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殲神封神大戦⑲〜大風起兮雲飛揚

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「大風起こりて雲飛揚す……まるで風のように突如として起こった殲神封神大戦も終りに近付こうとしているけれど、ここでもう一風、一際大きな風を起こしてくれないかしら」
 其は嵐のような、と――。
 頬笑みながら切り出すは、ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)。
 今度は快哉を覚えるような風が吹くだろうと、熾烈な戦いを凌ぎ続ける精鋭らを迎えたニコリネは、最終決戦の地は「太平道」にて、オブリビオン・フォーミュラたる大賢良師『張角』が猟兵を待ち受けていると言う。
「仙界の広大な草原に布陣した張角は、現在、黄色い布をつけた『黄巾オブリビオン』の大軍勢と共に皆を待ち構えているの」
 その軍勢たるや錚々たるものだ。
 先ずは、張角に忠誠を誓った証として黄色い布をつけた多数のオブリビオンが数十万。
 戦争サバイバルでも幾度と刃を交えた強者が、橫陣を敷いて待ち構える。
「彼等は『黄巾之檄』によって戦闘力を超強化しているから、激戦は必至……。皆は血煙に満つ戦場を無双乱舞して突破しながら、中央部にいる張角の所へ向かってね」
 凄まじい剣戟叫喚を抜けた先には、地公将軍『張宝』と人公将軍『張梁』。
 二人の弟が張角を守らんと立ちはだかるので、これも何とかしてやっつけよう。
「強固な守りを抜けた先には、いよいよ首魁の張角が居るんだけど、彼は『黄巾力士』という巨人兵士型宝貝と合体して、巨大ロボになって皆の攻撃を迎え撃つ心算みたい」
 これこそ張角が考えた「猟兵を完全に返り討ちにする布陣」のようだが、実のところ、迎撃する側の彼は守りに徹している。先制攻撃はしないのだ。
「だからね、皆は獅子奮迅の勢いで暴れまくって戦線を突破し、大軍勢が撹乱される中で戦大将の張角を叩きまくって頂戴!」
 ガツンとね! と拳を突き上げるニコリネ。
 これが最後の戦いとなる事を知る花屋は、皆に思いっきり暴れてもらい、封神武侠界中に武勇を知らしめて欲しいと咲む。
「威は海内に加はって故郷に歸る……この戦いが終わったら、みんなも其々の世界に戻ると思うけど、故郷に帰る時はスッキリ気持ちよく帰って欲しいしね」
 だから勝利で飾ろう、と。
 全ての説明を終えてぱちんとウインクした花屋は、繊手に光を喚んで、
「嵐が吹き荒れた後は、大風歌が聞こえる筈よ」
 と、精鋭を送り出すのだった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 このシナリオは、『殲神封神大戦』第十九の戦場、大賢良師『張角』と戦うシナリオのうち「太平道無双」を元にした、一章のみで完結するボス戦シナリオ(難易度:やや難)です。

●戦場の情報
 封神武侠界、仙界の広大な草原「太平道」。
 張角はここに布陣し、数十万にも見える「黄巾オブリビオン」の大軍勢と共に猟兵達を待ち受けています。

●敵の情報:大賢良師『張角』(ボス戦)
 かつて封神台を破壊した黄巾党の党首。漢王朝末期の戦いの中で死にましたが、オブリビオン・フォーミュラとして蘇りました。
 カタストロフこそ平和に至る唯一の道と信じているようです。

●プレイングボーナス:『黄巾オブリビオンの大軍勢を蹴散らし、張角と戦う(先制攻撃はありません)』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。

●シナリオ攻略のコツ
 張角は先制攻撃を仕掛けてきません。皆さんが指定したユーベルコードに対応した(POWにはPOW、SPDにはSPDの)応撃をします。
 最後の戦いですので、ご自身が飛び切り活躍する立ち回りをなさって下さい。
 数十万のオブリビオン軍勢、張宝と張梁、ロボ化した張角……敵は強力な布陣で待ち構えますが、頼もしいお仲間が居てくれますので、一つのプレイングで全てをカバー出来なくとも大丈夫です。個性や適性に応じた活躍の場を見つけましょう。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 団体様は【グループ名】を冒頭に記載願います。
 また、このシナリオに導入の文章はありません。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『大賢良師『張角』』

POW   :    戦術宝貝「黄巾力士」
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【巨人兵士型宝貝「黄巾力士」】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    黄巾三巨頭
戦闘用の、自身と同じ強さの【妖術を操る地公将軍『張宝』】と【武芸に長けた人公将軍『張梁』】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    黄巾之檄
【「蒼天已死 黄天當立」の檄文】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:藍

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

白斑・物九郎
【エル(f04770)と】
●WIZ


『砂嵐猟團』の始まりっスよ
合わせなさいや、エル


●対軍勢
戦争サバイバルにゃ初日から通しで参加してますからな
連中の陣容と手の内は頭に入ってまさ

敵布陣と攻撃を【野生の勘】で見越しながら――『創世濁流』発動!

クッソ高い摩天楼、縦横無尽の空中ハイウェイ、天地を行き交う乗用機械
地形を片ッ端からハチャメチャにカスタマイズして軍勢をマトモに動けなくしてやりますわ(地形の利用)


●対張角
戦場に檄なんざ飛ばさせねっスよ
電子音楽をそこらの街宣ドローンからガンガンに流しといてやりますわ

キマフューのインフラに乗ってギュンと接近して――奴本体を【狩猟(か)】る
この魔鍵をブチかます!(暴力)


エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●POW


これより、敵軍の完全沈黙まで――『砂嵐猟團』を開始します


●対軍勢
飛行用バーニアを背面へ展開、飛翔(空中機動+推力移動)

敵軍勢の動向を俯瞰(偵察+索敵+情報収集)
マスターの『創世濁流』による地形改竄コンプリートまでの間は――

・二門一対アームドフォート(2回攻撃+砲撃)
・機関砲の掃射(範囲攻撃+制圧射撃)
・レーザー溶断(レーザー射撃+焼却+切断)
・ライフル狙撃(スナイパー)

戦争サバイバルより得た知見を元に、各敵性に対し【援護射撃】を適宜展開します

また敵陣の分断状況を見つつ、マスターの戦闘を阻害しない位置へ【獅子奮迅マネギ(リミッター解除)】をヒューンと投下します



 大賢良師『張角』が掲げる檄文に集められたオブリビオンは数十万。
 地平線を埋め尽す大軍勢は、忠誠の証に結ぶ黄巾を草原の風に靡かせて大海原の如く、其は宛ら蒼天に迫る黄塵万丈のよう。
 電脳ゴーグル越しに敵の陣容を遠望したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、凡そ感情の色なきクリアボイスを発すると同時、花顔雪膚を青白い光に照らした。
「躯体番号L-95_これより電脳魔術による偵知(スキャン)を開始します」
 飛行用バーニアを背面展開。推力によりZ座標を上方置換。
 電脳走査線(スキャンライン)を面展開。敵陣営を偵知。
「屍仙女……濁業仙人……邪仙黑道……金剛将軍……赤顔大王……やばい奴……諸軍将を大分して八、更に其を三十六に分けた部隊を一単位として、幾層の橫陣を確認しました」
 而して一気に流れ込む厖大な情報を高速処理して電子女聲に出力すれば、それらは全て白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が、ピンと立てた猫耳に聽き拾っている。
「規模は違っても編成は樊城の其と同じ。面子も幾度とノした連中ですわな」
「総大将『張角』直々の出陣で士氣が1,015%昂揚しています」
「上等じゃニャーですかよ。それくらいリキ入れなきゃ最終決戰じゃありませんわ」
 語調も聲色も常と變わらず。
 然し眼路いっぱいに映る軍勢に煽られるか、品佳い鼻梁を狂熱の渦に向けた物九郎は、左腕に励起する虎縞模様を体表いっぱいに広げ、兩頬にまで刻み入れるほど。
 連日の防衛戰より齒應えのある狩りが出來そうだと金彩の瞳を烱々とさせた物九郎は、薄く開いた佳脣より冷ややかなテノール・バリトンを滑らせた。
「『砂嵐猟團』の始まりっスよ。合わせなさいや、エル」
 磨ぎ澄ました五指五爪をメキリと動かせば、上空でホバリングしていた副官は積載兵装を全展開、物九郎が惜しみなく注ぎ込んだ火砲銃器を全門解放する。
 煌々と全灯する電脳ゴーグルの下、彼女の金瞳も冱々と耀いていよう。
「これより、敵軍の完全沈默まで――『砂嵐猟團』を開始します」
 云うや二門一対のアームドフォートが轟ッと閃光火花を噴き、直線上に伸び征く火焔の先に本営を示すと、地上でそのラインを追った物九郎が口角を持ち上げた。
「――この先に張角が居る」
 わぁ、と湧き上がる叫喚の向こうに獲物を見出した狩猟者が、下駄の齒を蹴る。
 此度、砂嵐猟團(ワイルドハント)の狩場を太平道に定めた物九郎は、疾風と駆けざまモザイク状の空間からニュッと魔鍵を取り出し、先端の紅玉を蒼天に結ぶや【創世濁流】(ワイルド・マッド・ストリーム)――! 張角に浸蝕される蒼天を、自身のホームたるキマイラフューチャーの夜天に變えたッ!
『何と奇ッ怪な! 眞夜中であるのに斯くも燦然と輝くとはぐわぁぁああ嗚呼ッ!』
『なにかしらッ! この無性にイイネしたくなるミッドナイトビュァァアアーッ!』
 光を明滅させて夜天を游ぐ乗用ドローン。ネオンを抱いて聳立する摩天楼。
 近未來サイバーパンク都市が次々と天蓋から降り落ちる中、建物群を縫うように伸びる空中ハイウェイは網状になって大軍勢を貫き、方陣だか橫陣だかを引き裂いていく。
 黄巾オブリビオン軍勢がホバーバスやらゴリラの看板やらに次々とブッ飛ばされる中、それらを眦尻の端に流して遣り過ごした物九郎は、アルファルトに爪を切りつけながら、獸の如く四つ脚で走る、疾る、趨る!!
 キマフュの三次元路線は首都高以上に複雑だが、ホームで迷う猫は居まい。
 悪魔の域まで研ぎ澄まされた野生の勘は最適のルートを見出しながら、立ち塞がる敵は棍状に變化した魔鍵をゴスゴス叩き付け、足跡に死屍を積んで駆け抜ける。
 この時、視界の脇に爆ぜる衝撃はエルによる支援だ。
「マスターの本営到達まで援護射撃を継続します」
 地形改竄が完了するまでは、向かい來る大軍勢を赫灼一条に薙ぎ払い。
 空中ハイウェイが整備されてからは、火砲鐵彈を使い分けて個々を撃ち抜き。
 サバイバルで得た経験と知識を参照しつつ、其々の敵に相應しい砲彈を沈めたエルは、目下、物九郎が本営に到達する瞬間を見ると、上空から【獅子奮迅マネギ】(マネギバーサーカー)を投下した。
「ライオンハート、インストール完了。投下開始」
 百獣の王たる獅子の魂を宿した僚機マネギは顔回りをフサフサに、カッと開いた瞳には黄巾力士が「A5ランクの和牛肉」か「初競りの一番マグロ」に見えていよう。
「獅子搏兎……獅子は兎を狩るにも全力を尽くすものである……今も然り」
 NYAAAAAAAAAAA!! と狩猟本能全開で猫パンチを繰り出せば、巨人兵士型宝貝も豆腐の如く。ザリュッと疾る猫の爪に胴を断たれて身を崩す。
『むおおっ! 私と合体する筈だった黄巾力士が猫の玩具に……!』
 而して己の切札を切り崩された張角に肉薄するは――物九郎!
「おたくがフォーミュラですかよ。随分と小物じみていますわな」
『のわっ! 物音も立てず何處から……――おブゥッ!』
 咄嗟に構えた杖を魔鍵(棍)に寸断され、更にその隙間に先端を押し込まれる!
 胸を衝かれて後退した張角は、突如として現れた物九郎に目を白黑させるが、彼の俊足が音を置き去りにして來た事は勿論、周囲が騒然としている事にも原因があろう。
 四邊(あたり)では巨大スピーカーがクールな音楽を爆音で流し、街宣ドローンが「激安!」とか「高収入!」などと云いながら飛び交っており、肉聲で叫ぶ程度ではこれらを上回る事は難しい。
「胡亂な檄なんざ飛ばさせねっスよ」
『ッッ、もぐぅ!』
「“ココ”じゃセンスに欠けましょうや」
 夜のキマフュに恰當(そぐ)わぬものは、悉く淘汰されるのが『創世濁流』。
 すっかり取り残された張角は、間もなく脳天めがけて爆ぜる閃撃一揮に絶叫を哮るが、その悲鳴すら大音量に押し流されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

張・西嘉
さぁ、この世界を守る戦いももう一踏ん張りだ。
オブリビオンである張角が掲げる黄巾の世など訪れさせるわけにはいかないんでね。
過去に未来を奪われるわけにはいかんだろう。

青龍偃月刀を【怪力】で【なぎ払い】ながら進み【武器受け】で攻撃をいなしながら常に【カウンター】を狙う。
張宝の妖術対応にこちらも宝貝で【結界術】を発動。
流石に無傷では済まんだろうしそれならば
張角と巨人兵型宝貝にはUC【朱雀炎】で攻撃。



 蒼天已に死す。黄天當に立つべし――。
 大賢良師『張角』が嘗て掲げた旗幟は、腐敗した漢王朝に向けたものではなかった。
 仙界は太平道に結ばれた予兆(ヴィジョン)で封神台破壊の眞相と張角の眞意を知った張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)は、然して矢張り、彼を止めねばならぬと思う。
「黄天たる土德を立てたのは、禅譲によって黄初の世を開いた曹魏。そしてその曹魏より禅譲に與った今の晋は、金德を標榜している。戰亂によって代わった世は無い」
 張角が立てるべき黄天は無いと、殲神封神大戰を戰い抜いた西嘉は確言しよう。
 蘇芳色の瞳を烱々と、鷹の如く鋭くさせた武人は、広大な草原に広がる数十万の大軍勢を遠望すると、長い睫を伏せて深呼吸をひとつ、志氣を振るい起した。
「――さぁ、この世界を守る戰いももう一踏ん張りだ」
 この身は勝手に死ぬ事は許されておらず、其を命じた女主の元に戻るまでは決して死なないと誓った西嘉である。
 拇指球を踏み込むや彈ッと地を蹴った彼は、草原を吹き抜ける風となって颯然と疾り、地平いっぱいに群れ広がる黄巾オブリビオンの大軍勢に向かって突き進んだ。
「オブリビオンである張角が掲げる黄巾の世など、訪れさせる訳にはいかないんでね」
 見る眼も眩むばかり大反の青龍偃月刀、虚空を裂くや血煙を呼ぶ――!
 磨ぎ澄ました弧刃より繰り出た斬撃波も弓張月を描いて敵陣に飛び込み、オブリビオンらの胴にギッチリと喰い込んで上躰と下躰を泣き別れにする。
 ズッ……と崩れる異形の躯を一氣勇躍して敵陣に入った西嘉は、本営に迫るほど苛烈を極める劍戟叫喚を抜けると、間もなく見える黄巾三巨頭に向かって刀鋩を向けた。
『そこまでだ、猟兵! 我等兄弟、兄者へは一太刀も許さぬぞ!』
「お前達に許しを乞う必要は無い」
 靑々と光る偃月刀は張梁が振り翳した刃撃を穂先に受け取ると同時、ギチギチ抗衡する其を脇抱えにしながら、片手で宝貝『桃風扇』を一振り! 張宝が繰り出した風雨を呼ぶ妖術を破魔の結界に跳ね除ける。
『!! なんと……我等を同時に制するとは……!』
「戰大将の首を狙うに、流石に無傷では済まんだろう。多少の負傷は覚悟している」
 狙うは、張宝と張梁の攻撃を同時に凌いだ瞬間。
 兄弟を攻撃直後の状態に留めると共に、二人を使嗾する間は「自身は戰えない」状態にある張角に射線を結んだ西嘉は、【朱雀炎】――聖性溢るる赫炎を飛び込ませたッ!
「過去に未來を奪われるわけにはいかんだろう」
『……ッ、ッッ――!』
 巨人兵士型宝貝『黄巾力士』を喚び出す時間の余裕は無い。
 目下、張角は眼路いっぱいに朱雀の羽搏きを映すや、聖なる炎に身を灼いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
すげぇ数だな……
っし、しょこは本来のサイズで上空待機ヨロシク!

拘束術使用
範囲内の全ての敵を鎖で攻撃と同時に拘束
拘束出来なかった奴を優先的に排除しつつ進む

吹き飛ばしと斬撃波を乗せた華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃
攻撃には常時生命力吸収を乗せてく

拘束出来てない敵が増えてきたら再度拘束術を使用して進む
張角までの道を作る形で移動出来れば僥倖
敵の数が多すぎて身動き取れなかったら敵を足場に移動

敵の攻撃は見切りと残像で回避
念の為野生の勘と第六感も使ってく

張角までの距離があと一息なら
しょこを呼んで飛び移る
一撃入れるくらいは出来るだろ

羅刹の膂力で目一杯
衝撃波と鎧無視攻撃を乗せた華焔を振り抜いて攻撃



 蒼天已死。黄天當立。(蒼天已に死す。黄天當に立つべし)
 かの檄文に集められたオブリビオンは数十万に及ぼうか、張角に忠誠を示す黄色い布は草原の風に靡いて大海原の如く、其は宛ら華北で屡々起こる黄塵万丈のよう。
「すげぇ数だな……大地に広がる黄色が蒼穹まで浸蝕しそうな感じだ」
 感嘆に薄く開いた佳脣より滑る、爽涼のテノール・バリトン。
 聲主は篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
 翡翠色に縁取られる睫を眞直ぐ、遙か地平線まで広がる邪の大陣営へ結んだ倫太郎は、腕の中に収まる黑兎『しょこら』を撫でながら言を足した。
「張角が生前に掲げた旗幟も、間を経て愈々現実味を帯びてきたようだが、世界の全てを骸の海に導くなんて野望は、叶えてやる訳にはいかねぇよな」
 己も、この好奇心旺盛な命の耀きも。骸の海に抛られちゃ堪らない。
 他にも護りたいものが沢山あるのだと、愛しさを籠めて無垢なる温もりを撫でた彼は、黑兎の脇を抱えるや凛乎として云った。
「っし、しょこは本來のサイズで上空待機ヨロシク!」
「! !!」
 之を聽いた黑兎は兩耳をピンと、甘いイチゴ色の瞳をきゅぴっと輝かせよう。
 巨きなラビットグリフォンの姿となったしょこらは、背に生やした黑翼を風に滑らせて飛翔し、倫太郎とは別の、空のルートで本営に向かわんとする。
 畢竟、しょこらの鼻先が張角の居場所を示そう。
 地上で本営の方向を知った倫太郎は、最短経路を探るや疾駆し、間合いに入った瞬間に【拘束術】――半径120m圏内に居る全てのオブリビオンを不可視の鎖に戒めた!
「敵の数が多いって事は、足場にすれば安定した道が得られるって事だろ?」
『ぬッ……くッッ……!! 動かん……!!』
 剥製の如く動きを止めたオブリビオン軍勢の肩や頭を跳び伝い、これを本営に至るまで繰り返す。警戒すべきは鎖の射程範囲外から飛び込む遠距離攻撃だが、眼路に視認できるものは華焔刀 [ 凪 ]に薙ぎ払えば、足を止める要素にもなるまい。
 斯くして戰亂の渦を効率的に進んだ倫太郎は、間もなく本陣に張角を捉えると、今度はオブリビオン達を足場に大ジャンプ! 空を征くしょこらに飛び移って翔けた。
「この角度とこの速度なら、一撃入れるくらい出來るだろ」
 狙いは、敵襲に気付いた張角が巨人兵士型宝貝『黄巾力士』と合体する前。
 しょこらが黑翼を強く搏いて滑空した直後、倫太郎は駆け抜けざま華焔刀を一閃!
 俊足駿馬に跨る武人の如く、赫々しき光の襷を幾条と疾らせた刀は、振り抜いた直後の刃紋を鮮血に染め、而して迸る血潮を蒼穹に躍らせる――!
「――ほら、出來た」
 張角と擦れ違った倫太郎は、その麗顔を血斑に染めて猶も美しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九頭竜・聖
曰く戦とは攻める側が何倍もの戦力を揃えねばならぬもの、と耳にしたことがございます
その道理に従うのならば、この軍勢を突破するだけでも時間を取られましょう

ですが、それは人の道理に過ぎぬものというのをどうかお示しを
おいでませ、おいでませ、偉大なる青の龍神様
この地に満ちようとする破滅という穢れをどうか浄化してくださいませ……

【祈り】と共に舞を捧げ、此度御呼び致しますは大いなる海嘯の龍神様
集まる軍勢すべてを飲み込んでいく大津波と化しながら、張角の喉元まで一気に攻め入りましょう

二人の将軍も確かに強敵
ですが、弱点は張角が傷を負うことならば……すべてを押し流す海嘯
逃れることなど叶いませぬ



 大賢良師『張角』が發した檄文に集まったオブリビオンの数は凡そ数十万。
 遙か地平線まで広がる大軍勢は黄巾の海の如く、昂揚する士氣は宛ら黄塵万丈となって蒼天を呑まん勢いであるが、其を遠望する黑髪の娘は凪のように靜かだ。
「――曰く戰とは攻める側が何倍もの戰力を揃えねばならぬもの、と耳にしたことがございます。その道理に従うのならば、この軍勢を突破するだけでも時間を取られましょう」
 櫻脣を滑る佳聲は玻璃と澄みながら艶かしく。
 聲の主たる九頭竜・聖(九頭龍の贄・f28061)は、艶々しい睫を眞直ぐ大軍に結ぶと、黑彩の瞳に映れる脅威に交睫をひとつ。再び開かれた双眸に烱々と光を湛えた。
「ですが、それは人の道理に過ぎぬもの。人ならざれば從う道理はありませぬ」
 畢竟、聖を鎖ぐは人の道理に非ず。
 目下、大軍勢の跫音に地鳴りする大草原に一歩を進めた佳人は、「どうかお示しを」と祈りを捧げると、贄の祭具を手に瑶々と舞い始めた。
「おいでませ、おいでませ、偉大なる青の龍神様。この地に滿ちようとする“炎の破滅”という穢れをどうか浄化してくださいませ……」
 花嫁衣裳にして死装束たる贄の黑衣を翻々と躍らせつつ、薙刀の光を瀲灔と閃かせて喚び召すは、【参之龍・娑伽羅】――大いなる海嘯の龍神。
 靴底に響く地鳴りに更に地響きを被せた聖は、我が身に宿る龍氣を迸發(ほとばし)るや大海の巨鱓を頭上に据え、轟々と呻る大津波を瀑布落しに叩き付けた――ッ!
「黄巾の軍勢を飲み込みながら、張角の喉元まで一気に攻め入りましょう」
 さや、と囁く言の音色は變わらず冷艶と。
 娑伽羅(サーガラ)の身に包まれ高みを得た聖は、猛然たる狂瀾怒涛が鞺々と軍勢に打擲かると同時、大いなる渦流に押し流す――凄まじき惨憺の景を眼下に敷く。
 次々と陣営を丸呑みにして進む波濤は、而して直ぐに本営に達そう。
 聖の黑瞳にも周章めく【黄巾三巨頭】が捉えられるが、妖術を操れようと、武勇に長けていようと、すべてを押し流す海嘯の前では万物が平等に無力。
『どわーっ! このような大波、百斤の偃月刀でも斬れはせんンンごぶごぶ!!』
『むおーっ! 老仙より授かりし風雨を呼ぶ妖術も役に立たぬンンがばがば!!』
 張梁と張宝を配している時は張角は戰えない。
 そして張角自身が手負えば二人の将軍も消え失せてしまうのだが、首魁の張角とて海嘯に対抗する手段は無かろう。
「三の首、冷酷無情なる海嘯の龍。逃れることなど叶いませぬ」
『ッ……これぞ水侮土の摂理か……!!』
 張角の眉が忌々しげに吊り上がったのも束の間。
 彼は超絶の怒涛に呑まれると同時、頼もしき兄弟を失って押し流されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅・麗鳳
すべてを骸の海に――そんな、そんな事をすれば。

今度は妲己のみならず、いずれ蘇る西施、王昭君、貂蝉らとわたくしとの美姫バトルが勃発してしまうではありませんの……!

分かりました、張角。
真の最美を決めたい気持ちは分かります。

でもいずれ生まれる未来の美姫たちにもその挑戦権は残すべきでしてよ――!

まーちゃんに【騎乗】し真っ向から突撃。
檄にて強化された軍勢の壁! ですが美の前には無意味ですわ!

【宝貝解放「天香酔骨」】、その毒にて無力化しつつ、木偶にして蹴散らすか道を譲らせつつ張角の元へ。

黄天? 我が美貌の前には六宮の粉黛顔色無きが如しですわ!
そう喝破し【騎乗突撃】の勢い込めた方天画戟の一閃を叩き込みます。



 先に見た予兆(ヴィジョン)では、大賢良師『張角』は世界の全てを骸の海に嚮導し、己が『異門同胞』で統治すると云っていた。其が最善最良の安寧に至る王道であると。
「すべてを骸の海に――そんな、そんな事をすれば……!」
 その危うさは紅・麗鳳(国色無双・f32730)も白磁の繊指を震わせる程に感じよう。
「今度は妲己のみならず、いずれ蘇る西施、王昭君、貂蝉らとわたくしとの美姫バトルが勃発してしまうではありませんの……! 必然的に運命的に!!」
 くわっと紅玉の麗瞳を見開き、煌く虹彩に花の競宴を映す麗鳳。
 嘸かし美しかろうと極彩のドリームマッチを思い描いた佳人は、然し長い睫をスッ……と閉じ合せて瞼裏に訣れると、紅脣を滑る金絲雀の音色に凛然を萌した。
「……分かりました、張角。眞の最美を決めたい気持ちは分かります」
 分かりますとも、とコックリ頷いて間を置く佳人。
 然し其を叶える訳には往かぬと、再び開いた緋瞳に烱々たる光を湛えた麗鳳は、品佳い鼻梁を数十万のオブリビオン軍勢に結ぶと、大きく聲を張った。
「でもいずれ生まれる未來の美姫たちにも、その挑戰権は残すべきでしてよ――!」
 云って、不遇の汗血馬『まーちゃん』に颯爽と騎乗する。
 妍麗一花を螺鈿の鞍上に奉じ、一陣の風と駆け疾るまーちゃんの鼻先には黄塵万丈――黄巾の大海原が広がるが、主たる麗鳳に一縷の迷いは無し。眞正面から眞ッ向勝負だ。
「檄にて強化された軍勢の壁! ですが美の前には無意味ですわ!」
 花顔に溢れる塊麗の微笑を羽衣が遮ったのはこの時のこと。
 宝貝解放「天香酔骨」――五蘊を総じて癡と堕とす、甘美な毒香を放った凄艶は、忽ち木偶と化したオブリビオンらを眦尻に飛ばしつつ、速度はそのまま本営を目指す。
『美姫よ、そこまでだ! 黄巾三巨頭が止めて見せる!!』
「ま-ちゃん、構いません! 張角の腰巾着など跳び越えて征きなさい!」
 突如として襲い來る風雨も何のその、馬を殺さんと水平に薙ぎかかる大薙刀をピョンと飛び跨げば、馬上の女傑は桃花の如き艶髪を瀲灔となぶらせ、柳腰に提げたる画桿の戟の佩環を戛々と響かせながら、其を仰ぐ張角を堂々眼下に組み敷く――!
『ッッ、已に死した蒼天に踊る赫緋の契情……黄天を掲げる私に楯突くか!』
「黄天? 我が美貌の前には六宮の粉黛顔色無きが如しですわ!」
『!? っっ!?』
 自分で言うのん? と時間を止めたのが張角最大の失策。
 蒼天とか黄天とかごちゃごちゃ言う男をピシャリ喝破した麗鳳は、まーちゃんが鐵蹄に踏破(ふみしだ)いた直後の張角に向かって方天画戟『桃宴』を一閃ッ!
「――未來の美姫らの挑戰を受くべく、わたくしは美しく麗しく戰います」
『くっ……ぉぉおお嗚乎……っっ!』
 虚空に刃鳴一揮するや、鮮々たる血煙が牡丹花の如く咲き亂れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…確かに万の軍勢を相手にするのは骨が折れる
それがこの世界や私の故郷の世界の常識だけどね

…他の世界には、お前達が想像もしないような兵器が眠っている
これから見せるのは、その兵器を私なりに再現した物よ

「影精霊装」の環境耐性で陽光を遮り空中機動を行う「血の翼」を広げ上空に飛翔し、
大鎌に武器改造を施し変化した黒槍に闇の精霊を降霊してUCを発動

…来たれ、この世界を照らす大いなる力よ
天より墜ちて我が手に宿り、我に背く諸悪を滅却する黒き光となれ

吸血鬼化した自身の生命力を吸収し限界突破して闇の魔力を溜めた黒槍を怪力任せに投擲し、
着弾点を中心に超高温高圧のオーラで防御ごと敵軍ごと張角をなぎ払う"闇の核融合"を行う



 蒼天已死、黄天當立。歳在甲子、天下大吉――。
 大賢良師『張角』が發した檄文は嘗て十餘年の内に数十万の信者を獲得したと云うが、此度「太平道」に集められたオブリビオンも其に及び、広大な草原を覆い尽くす大軍勢は宛ら黄巾の海原のよう。
「……確かに万の軍勢を相手にするのは骨が折れる」
 士氣も充分のようだと、黄塵万丈を眺むはリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。蓋し惨憺を映す紫瞳が一縷と搖るがぬのは、このような数の暴力は殲神封神大戰で幾度と見たし、己が故郷とする常闇の世界でも見慣れた光景だからか。
「……何處の世界でも見る人海戰術。そして、これを破る策も世界中にあるわ」
 数多の酸鼻を見、夥しい凄惨を渡った者だからこそ識るものがある。
 品佳い鼻梁を眞直ぐ、囂々と大地を搖らす大軍勢に相對した佳人は、白い首筋を隱す『影精霊装』をしゅるり解きつつ、限定的に吸血鬼化して『血の翼』を背に広げた。
「……先ずは空から往く。これで本営に着くまでに交戰するオブリビオンも絞られるわ」
 若しか或いは、更なる高度を得れば交戰すら回避できるか。
 蒼天より注ぐ陽光を霊装に遮りつつ一気上昇したリーヴァルディは、高高度から本営の位置を探ると、劍戟叫喚の渦の中心に向かって飛びざま、次の手に出た。
「……他の世界には、お前達が想像もしないような兵器が眠っている。これから見せるのは、その兵器を私なりに再現した物よ」
 繊手に握れる大鎌『過去を刻むもの』に半魔の力を注いで黑槍とする。
 その鋭い穂先に更に闇の精霊を降霊させた佳人は、【限定解放・血の教義】(リミテッド・ブラッドドグマ)――吸血鬼のオドと精霊のマナを結び付けた。
「……來たれ、この世界を照らす大いなる力よ。天より墜ちて我が手に宿り、我に背く諸悪を滅却する黑き光となれ」
 忌わしき吸血鬼へと我が身を傾けたリーヴァルディは、闇の魔力を極限まで、更に限界を超えて引き出し、煌々と輝きを増す黑槍へと流し込んでいく――!
 繊手に握れる槍が穂先を小刻みに搖らし始めた時が飽和で臨界であったか、其と同時、翼下に本営を敷いた佳人は、大地に突き立てんばかり力強く擲げ込んだッ!
「……三千世界には、一介の兵士も副官も大将も、全てを平等に掻き消す兵器がある」
 黄塵万丈を吹き払うように墜下する脅威こそ、闇の核融合――ッ!
 着彈点を中心に超高温高圧のオーラを爆発させた究極の自然現象は、超絶エネルギー波を放射状に広げて草原を蹂躙し、張宝と張梁、張角、そして多数の黄巾オブリビオン軍勢を巻き込みながら席捲していく。
「……見様見真似だけど、上手くいったかしら」
 畢竟、返らぬ返事が何よりの答えとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
意思捻じ曲げて従わせた挙句、自らが支配しようとはな
ほざく目的も踊らされての妄言に過ぎん様だ
其の愚かしい夢ごと骸の海へ帰るがいい

先ずは有象無象の対処、か
数には数を――刃雷風裂、尽きぬ意を見よ
引き上げた反射と感知で以って
視界に映る事如くの僅かな動きや空気の揺らぎ、音の変化も逃さず
戦闘知識に第六感重ねた先読みにて攻撃を見切り躱し
前方へ飛刃を展開する事で道を抉じ開け進んでくれよう
些少の傷なぞ構いはせん、致命と行動阻害にさえ至らねば良い

図体ばかりの木偶の坊に止められると思うなよ
衝撃波と飛刃の虚実織り交ぜ、目晦ましと同時に関節部を削って機動を奪い
動きの鈍った処へ全力の斬撃を叩き込んでくれる
――疾く、潰えろ



 先に結ばれた予兆(ヴィジョン)では、異門同胞を「詔」とした張角が、世界の全てを骸の海に導いた後で統治するのが、最善最良の安寧に至る王道と云っていた。
 而してかの男が『蒼天已死、黄天當立』なる檄文を發した太平道に降り立ってみれば、広大な草原は黄巾の大海原に、宛ら黄塵万丈の如く蒼天に迫らんとしている。
「――意思を捻じ曲げて從わせた挙句、自らが支配しようとは魯鈍(おろか)な」
 敵方の昂揚を溜息に隔てるは、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)。
 遙か空際まで迫るオブリビオンの大軍勢を緋の隻眼に映した男は、封神台破壊の眞相を知って猶の事、張角の小人なる樣を痛感する。
「決戰を前に吠(ほざ)く目的も、鴻鈞道人に踊らされての妄言に過ぎん。其の愚かしい夢ごと骸の海へ帰るが佳い。無論、全てを導くつもりなら道も知っていよう」
 畢竟、張角が歩める道はひとつ。
 猶も迷道を王道だと吠くなら、目下に相對する有象無象ごと断たねばならぬと、佳脣を滑るハイ・バリトンに凄味を増した嵯泉は、月白の殺気に身を包むや滅禍の一刀『秋水』の鯉口を押し広げた。
「数には数を――刃雷風裂、尽きぬ意を見よ」
 虚空に刃鳴すること一揮、而して疾るは無窮の飛刃――ッ!
 極限の精神集中を以て距離を殺した刃撃は、眼路に映れる限りの黄巾オブリビオンの胴を寸断し、ズル……と上体を切り離す異形の間を、颯然の風が駆け抜ける。
「轍を通る心算(つもり)は無い。道など、抉じ開け進んでくれよう」
 飛刃を放つ毎に磨ぎ澄まされる感應が反射をみるみる引き上げ、五感に受け取る全ての感覚が手に取るかのよう。血煙戰塵の中に進路を見出した彼は、劍戟叫喚にも佩環の戛々たる響きを捉えると、この先に張角が居ると再び一閃! 本陣を一気に蹴散らした。
『むおッ! 猟兵よ、我が王道を止めるな! 黄巾力士よ、私と合体せよ!』
 而して暴かれた張角は、周章狼狽しつつも巨人兵士型宝貝を呼び寄せ、無数に飛び込む飛刃を遁れんと我が身と融合させる。
 頑健な巨躯なら嵯泉を止められようか。――否。断じて否。
「図体ばかりの木偶の坊に止められると思うなよ」
 ドスドスと鐵拳を繰り出す黄巾力士ロボの攻撃を目尻に流しつつ、颯然たる立ち回りで鐵腕の射程を離れた彼は、衝撃波と飛刃の虚実を織り交ぜて張角を撹亂する。
『これか!! ……いや、これか!? あっ、こっち?』
 怪腕鐵拳が虚を手折った瞬間に飛び込む実の刃撃が、機動の要たる関節部を破壊すれば動きは格段に鈍ろう。この時こそと嵯泉は全力の斬撃を叩き込む。
「端から往く道は決まっている。――疾く、潰えろ」
 訣別の言と共に鐵塊が粉々に打ち砕かれ、張角の掲げる王道は潰えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アナスタシア・ムスハルト
右を見ても左を見ても敵、敵、敵
守らなきゃいけない人も建物もなし
たまにはいいわねぇ、こういう周りを一切気にしないでいい暴れ放題も

敵軍に向かって「怪力」で戦斧を投擲
抜刀、突撃、「剣刃一閃」「剣刃一閃」「剣刃一閃」――片っ端から「切断」
寄らば斬る、というやつよぉ
試し斬りの巻藁代わりくらいにはなってちょうだいねぇ?

弓を射掛けられたら「早業」「咄嗟の一撃」
霊木の鞘で矢を叩き落とす
拾い直した戦斧を弓兵に投げつける

敵の死体から兜を剥ぎ取って鈍器代わりに、槍を奪って「怪力」で薙ぎ払い
体力には自信があるの(継戦能力・元気)、私はここで軍勢を惹き付けておくわぁ
大将首は誰かにお任せよぉ



 蒼天已死。黄天當立。(蒼天已に死す。黄天當に立つべし)
 かの檄文に集められたオブリビオンは数十万――嘗て張角が生前に集めた信者数に匹敵するとは奇縁を感じるが、此度も忠誠を示すに結ばれた黄色い布は、草原の風に搖られて大海原のよう。
「右を見ても左を見ても敵、敵、敵……すごい数が集まったわねぇ……」
 而して蒼天に迫る黄塵万丈を、美し金彩の瞳に眺めたアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)は雍容たるもの。
 常と變らわぬ柔らかなソプラノを零した少女は、まんまるの瞳で大草原を一眸すると、鴇色の佳脣に緩やかな弧を描きながら云った。
「守らなきゃいけない人も建物もなし……偶にはいいわねぇ、こんな暴れ放題も」
 周囲への影響を一切気にしなくて良い――とは畢竟(つまり)、刀を一振りするだけで凄まじい影響を及ぼしてしまう、彼女ならではの開放感。
 此度は斬り放題、やっつけ放題なのだと、眼前の大軍勢に心躍らせたアナスタシアは、拇指球を踏み込むや彈ッと蹴り出し、地を疾る雷光の如く走り出した!
「さぁ、いっくわよーぅ」
 己が紡ぐ颯然の風に月白の艶髪をねぶらせつつ、黄巾を纏う異形の群れに躍り掛かる。
 小柄なドワーフにあって猶も矮躯なアナスタシアには、橫陣に待ち構える大軍勢は巨壁にも見えようが、近付くほど花顔に艶咲(えみ)を深めた彼女は、先ずは怪力いっぱいに戰斧をブンッと擲げ入れ、橫陣の一部に血煙を繁噴かせたッ!
「それね、洞窟王國のドワーフさんから貰ったものなの。いいでしょ~?」
 金絲雀はふうわりと囀るが、回轉を加えた斧撃は凄惨を極めよう。
 アナスタシア自身も返り血を受けながらの突貫となるが、雪膚に生温い血を斑と浴びて猶も脚は止まらず、開いた繊手は柳腰に提げたるサムライブレイドをすらり、月光の如き光を暴いて【剣刃一閃】、【剣刃一閃】、【剣刃一閃】を繰り返す――ッ!
「寄らば斬る、というやつよぉ。試し斬りの巻藁代わりくらいにはなって頂戴ねぇ?」
 距離の近いものから平等に、片っ端に切断する。
 そのシンプルな戰法は實に臨機應変に、敵が近付けば敵を、鏃が先ずれば鏃を制そう。
 射掛けられる矢を霊木の鞘に叩き落したアナスタシアは、その方向に拾い直した戰斧を投げつけ、弓兵の今際の叫びも置き去りに突き進んでいく。
「体力には自信があるから、どんどん來ていいわよぉ?」
 敵が戈を突き立てれば、先に骸と變えた者から兜を取って盾に、初撃を禦げば鈍器として殴りつけ、然して崩れる身から戈を奪って次なる者を薙ぎ払う――快哉を覚えるほどの輕妙な無双は、より大勢の軍勢を惹き付ける爲だ。
「大将首は任せるわぁ。さぁ、次は誰がお相手かしらねぇ?」
 しとど血雨に濡れる佳人は、突撃する敵が身震いするほど――美しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 張角、この戦いの黒幕が相手ね。強敵ぞろいだったこの戦いも、ここを乗り越えれば終わるはず。相手は大勢で厳しい戦いだけど、これまでを無駄にしないためにも、全力で行くわ。さぁ咎人さん達、用意はいい?

 【UC:慈悲なき冬、来たれり】(WIZ)を発動よ。〈全力魔法〉で敵陣を〈こじ開け〉て、先に進むわ。張角には〈多重詠唱〉で氷の槍を幾つも作り出して〈属性攻撃〉よ。そのままの勢いで長剣の〈追撃〉よ。

 あなたの企てもここまでよ、張角! 世界の破壊が、平和への唯一の道なんて、そんなことない。この世界の人達は、きっと他の道を探せるはず。だから咎人さん、あなたに世界は壊させないわ!

(アドリブ連携等々全て歓迎)



 仙界は太平道に結ばれた予兆で、封神台破壊の新事實に触れたゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は、而して訪れた大草原に広がる数十万の大軍を見る。
 遙か空際にまで迫る大軍勢は、すべて大賢良師『張角』に忠誠を誓って甦った者達だ。
「張角……この大戰を起こした當人が相手ね」
 総大将直々の出陣となれば士氣は凄まじく、かの檄文に集められたオブリビオンは其々の黄巾を草原の風に靡かせ、その景は宛ら蒼天に迫る黄塵万丈のよう。
 愈々決戰だと、大きく波打つ黄巾の大海原に堂々正對したゾーヤは、翠緑の麗瞳に凛然を萌すと、櫻脣を滑る言を確かめるように云った。
「強敵揃いだったこの戰いも、ここを乗り越えれば終わる筈……これまでの戰いを無駄にしない爲にも、全力で行くわ」
 後悔をしない爲に、出し惜しみはしない。余力を残す器用など持ち合わせていない。
 力の限り戰って見せると、雪白の繊手をきゅうっと握り込めて胸元に宛てたゾーヤは、蘇芳色を縁取る睫を眞直ぐ前に、狂熱の渦流に向けて云った。
「さぁ咎人さん達、用意はいい?」
 隣人に語り掛けるよう、優艶なるソプラノはそっと語尾を持ち上げて。
 この時、繊手が眩い光に白んだのは、デコルテに刻まれた氷華の聖痕(スティグマ)が厖大な魔力を冷気として解放したからか――目下、銀色の雪華がヒラリと舞う。
「わたしの運命は氷、氷あるところに雪は降る。青々と草の生い茂る平原も、偽りの詔に從って組まれた大陣営も、今にわたしの世界になる」
 領域展開、【慈悲なき冬、来たれり】(ジャッジメント・コキュートス)――!
 全力も全力、繊麗の躯に宿れる厖大な魔力を無尽蔵に汲み上げて凍気と變えた佳人は、蒼天を急激に冷やして氷の槍を降らせ、巨壁と連なる橫陣を抉じ開けていく!
 硝子の如く鋭利な鋩が赫々と血煙を呼べば、彼女もその白皙に返り血を受け取ろう。
 然しゾーヤは咎人の血を浴びるも覚悟の上と、透徹の瞳に映る惨憺を眦尻へ流しつつ、死屍も絶叫も凍らせて前進する。
 故に彼女が本営に辿り着いた時は、驚くほど靜粛(しずか)であったろう。
 軈てゴクリと息を呑む張角を見たゾーヤは、長劍の鋩を突き付けて云った。
「あなたの企てもここまでよ、張角!」
『ッッ! ……猟兵よ、最善最良の安寧に至る道を阻むなら逆賊ぞ!』
「世界の破壊が、平和への唯一の道なんて、そんなことない。この世界の人達は、きっと他の道を探せる筈……そう、何度だって」
 氷の槍が驟雨と振り、氷雪が華と踊る嚴冬の中、ゾーヤの劍は玲瓏と精彩を増そう。
「だから咎人さん、あなたに世界は壊させないわ!」
『ぐッ、ッッ――!』
 而して刻下。
 キラキラと耀く銀世界に、赫い血汐が躍った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
たとえ敵が100万いたって怖気づいたりしないぞ!
一騎当千! 万夫不当! それが劉家拳の心意気だ!

全身に【覇気】を漲らせて【気合い】充分!!
覇王方天戟を担いで猛然と吶喊!!

戟でぶった斬って【なぎ払って】【ぶっ飛ばす】!
敵を引っ掴んで【怪力】でぶん投げて別の敵にぶつける!
戟を地面に叩き付けて地割れを起こす!(重量攻撃・地形破壊・蹂躙)
邪魔だー!!

張角ッ! お前の黄天は永遠に訪れない!!
この世界で乱を起こした落とし前! お前の首級で付けてもらうぞ!!

どんな宝貝だろうと私の劉家拳と覇王方天戟の敵じゃない!!
【怪力】【功夫】【限界突破】【劉家奥義・暴虎無双乱舞】!!
どぉおおおおりゃああああ!!!』



 大賢良師『張角』が掲げた檄文によって集められたオブリビオンは凡そ数十万。
 奇しくも生前に集めた信者数に匹敵する勢力を築き上げた男は、此度は仙界の大平原を黄巾の大海原の如くし、我が王道に立ちはだかる猟兵を待ち構える。
 その黄塵万丈の景色に向かって突撃する煙が一条。
 單騎駆けの馬煙か、――否。
 猛ダッシュする劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)だ!!
「うぉぉぉおおおっ! たとえ敵が百万いたって怖気づいたりしないぞ!」
 美し紅瞳は闘志に燃えて烱々煌々、玲瓏の彩いっぱいに映る黄巾軍めがけて吶喊!
 肩掛けにした『覇王方天戟』の鋩を前方に差し向ければ、眼前の敵らも雄々しく喊声を上げるが、涼鈴は狂熱の巨壁に刃鳴一揮! 赫々と血煙を繁吹かせたッ!
「一騎当千! 万夫不当! それが劉家拳の心意気だ!」
『ッッ、ギニャーっ!!』
 滿身の覇氣を以て振り抜かれた鋩が天を示せば、空には胴を別たれた躰が躍り上がり、熱く迸る血汐が雨と叩き付けられるが、花顔を紅く染め上げた涼鈴は止まらず。間もなく攻めかかる後続には別の敵を引っ掴んで擲げ込み、体勢を崩した隙に刃を突き入れた。
「とりゃー!」
 而して橫陣を楔打った小さな女傑は、ずるりと崩れる巨躯を足掛かりに大ジャンプ!
 今度はオブリビオンの肩や頭を足場と伝いつつ、鋭刃閃々、ブンブン振り回す方天戟に次々と首を搏ッた斬って驀進し、高みより見える本営に進路を結んだ。
「張角はそこだな!! いくぞーっ!!」
 矮躯を蒼天に躍らせた涼鈴は、重力を乗算して旋風刃! 周囲一帯の敵を蹴散らすと、赫々と照り輝く戟の鋩を地面に突き入れ、黄巾の大海原を切り割ッた!
「むぉぉぉぉおおおおーっ! 邪魔だー!!」
『なんとっ! 大地が割れて……アーッ!』
 撹亂して!
 蹂躙して!
 殲滅するッ!!
『な、なんというパワーだ……!!』
 猪突猛進の勢いで太平道を駆け抜ける涼鈴には、無論、張角も少々慄きつつ應撃を――黄巾力士を呼び寄せるが、かの巨人兵士型宝貝は先の地割れで下半身を地に埋めており、呼んでも來てくれないし、合体した所で首を斬られるだけだ。無念。
 その間にも涼鈴は槍の如く轟然と迫り、
「張角ッ! お前の黄天は永遠に訪れない!!」
『うおっ!!』
「この世界で乱を起こした落とし前! お前の首級で付けてもらうぞ!!」
『ふ……ぬッッ、ぉぉをををっ!!』
 華麗に閃く絶技【劉家奥義・暴虎無双乱舞】が暴れ狂う虎の如く、殴って搏いて斬っての滅多打ちにする――!
「どんな宝貝だろうと敵じゃない!! どぉおおおおりゃああああ!!!」
『どわぁぁぁぁああああああ!!!』
 而して刻下。
 フォーミュラらしからぬ全力の悲鳴が太平道に響き、蒼天を慰めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はっはっは、数十万を号する手勢を誇るとは素晴らしい!
ならば妾も応えるとしよう、もっと多くの、星の数ほどの歓喜と歓声でな!

右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 元気かのう皆の衆よ!
説明不要! 妾の魅せる、ド派手で最高のクライマックスだ!

広域殲滅の手段もあったがな、これは妾なりの敬意よ
目的も手段も相容れんが、歴史と人を動かしたその手腕にな
お主が量を突き詰めるなら、妾は真逆に質を極める!

張角を狙うのはある程度皆に任せ、妾は無双と洒落込もうではないか
この身ただひとつ、尾で、左腕で! 立ち塞がる、ありとあらゆる敵をブッ飛ばす!
挑んで来るがよい、悪の宿願成就の絶対の障壁に!



 大賢良師『張角』が太平道に集めたオブリビオン軍勢は数十万。
 奇しくも生前の信者数に匹敵する勢力を大草原に広げた訳だが、忠誠の証に結ぶ黄巾は草原の風に波打ち、その景色は宛ら黄色い大海原のよう。
「はっはっは、壮観ではないか! 数十万を號する手勢を誇るとは素晴らしい!」
 蒼天に迫る黄塵万丈を眺む御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は泰然たるもの。
 聽けば張角軍は『蒼天已死、黄天當立』なる檄文に士氣を爆アゲしているらしく、實に最終戰らしい狂熱だと紅脣を持ち上げた菘は、右の玉臂を天に掲げ、ぱちんと彈指した。
「ならば妾も應えるとしよう、もっと多くの、星の数ほどの歓喜と歓声でな!」
 カモン! 【喝采よ、妾に降り注げ】(エール・スクリーンズ)――ッ!
 一瞬にして無数のディスプレイを蒼天に召喚した菘は、『妾が封神武侠界で邪仙英傑をボコってみた(終)』の生配信を待っていた視聴者らの拍手喝采を黄土に降らせる。
「はーっはっはっは! 元気かのう皆の衆よ!」

 \元気です! 一ケ月通しで見てた皆の衆の一人です!/
 \邪神樣マジ乙。トレンド入りもおめおめ/
 \蛇神樣つよつよで大草原不可避と思ってたらガチで大草原に居るとか/

 視聴者は幾千幾万とカウントし続け、連打されるイイネ👍の数はその倍を超えよう。
 彼等は戰う力を持たぬが、数十万という数字を陳腐にさせる「数の暴力」は配信者たる菘を、彼等が期待する通りの圧倒的邪神に超強化していく――!
「最早、説明は不要! 妾の魅せる、ド派手で最高のクライマックスだ!」
 煌々と輝く光の天蓋を背負った菘は、高笑いしながら猛進して先ずはパンチ一發ッ! 間欠泉の如く配下を衝き上げると、今度は蛇の尻尾をブンッ! 己を囲繞せんとする後続を振り払い、こちらも飛沫の如く吹ッ飛ばした!!
 美し金彩の瞳は、キラリと視界から消える邪影を見送って愈々輝きを増そう。
「――広域殲滅の手段もあったがな、これは妾なりの敬意よ。目的も手段も相容れんが、歴史と人を動かしたその手腕にな」
『むおっ! 天蓋いっぱいに映るこの者が嵐の中心か!』
「お主が量を突き詰めるなら、妾は真逆に質を極める!」
『……む、くく……なんという奴よ……!!』
 空中ディスプレイは『天地通眼』より送出される菘の映像も出力するので、一騎当千のの無双ぶりは張角にも見えよう。画角いっぱいに映る彼女は實に勇壮で、實に美しい。
 周章狼狽する総大将は仲間に任せ、己は血闘に興じようと、血斑の花顔に塊麗の微笑を湛えた菘は、突き出した左腕にまた一体を剔抉し、握り潰し、鬼神と化していく――!
「挑んで來るがよい、悪の宿願成就の絶対の障壁に!」
 ありとあらゆる敵をブッ飛ばす――!
 その威容は張角にとってのラスボスであり、視聴者にとっては拝むばかり最高の配信者に違いなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

平坂・火乃華
アドリブ等歓迎

雑魚は無視して頭を潰すのがこの場合、一番なんだが、流石にこの数でそれは無理そうだな。
さて、張角の元に向かいつつ、新路上の敵や、こっちに向かってくる敵を【餓狼闘気】での【グラップル】で迎撃するぜ。大勢でかかってくるのであれば一発、一発のの攻撃の余波で他を巻き込めるはずだ。

そして、張角に対してだが、手始めに【呪殺弾】を装填した【詠唱ライフル】で牽制を仕掛ける。
その直後、【残像】で距離を詰め、【始銀零剣】を発動。
デカくなったってのはその分、攻撃が当たりやすくなってるて事だ。
狙うのは装甲が薄そうな関節部だ。

アンタのカリスマや実力は認めるが
世界、ぶっ壊してまで、為すことに意味なんざねぇよ。



 蒼天已に死す。黄天當に立つべし――!
 大賢良師『張角』が掲げた檄文に集ったオブリビオンは数十万に達し、彼に忠誠を示す黄巾は草原の風に靡いて大海原の如く、その狂熱は蒼天を覆う黄塵万丈のよう。
 総大将直々の出陣、そして最終決戰ともなれば士氣も上がっていようと眼前の大軍勢を眺めた平坂・火乃華(さすらいの銀狼・f35951)、然し焦燥も周章もなく云った。
「こういうのは雑魚を無視して頭を潰すのが一番なんだが……流石に数十万と聽いたら、それは無理そうだな。橫陣を一点突破していくしかない」
 金彩の瞳を烱々と巡らし、敵の布陣に付け入る隙を見る。
 而して進路を定めた火乃華は、己が巻き起こす一陣の風に月白の銀髪をねぶらせながら疾く疾く駆けると、雄々しく喊声を上げる敵軍勢に向かって『餓狼闘気』を迸らせた。
「さぁ、道を開けて貰おう」
『グッ、ァアッ!!』
 精悍の躯、その内を巡る「氣」を魔狼の殺戮衝動で高め、破壊のエネルギーと變える。
 向かい來る怪物の巨拳を躱して腕を伸ばした銀狼は、五指の力で異形の顔面を摑むと、重力の鎖を千切るように振り回して投擲! 別なる個体に叩き付ける!
「大勢でかかってくるのであれば一発、一発の攻撃の余波で他を巻き込める筈だ」
『ッッギャァァァア嗚呼!!』
 月光の如き闘氣を纏い、双眸は狼のように烱々と。
 我が足跡に死屍を積み上げながら戰場を疾駆した火乃華は、軈て本営に至ると、猟兵の凄まじい侵攻に狼狽した張角が、戰術宝貝「黄巾力士」に慌てて乗り込む姿を捉えた。
『くっ……総大将が直々に戰う展開になるとは……!』
「随分でかい木偶だな」
 その巨大な躯が目印になったとは言裡に祕めつつ、ロボが稼働し始める中でライフル銃を構える。彈倉には怨念の籠められた呪詛彈が装填済みだ。
「デカくなったってのは、その分、攻撃が当たりやすくなってるって事だ」
『ぬっをっ!』
「的が大きくて助かるぜ」
 感謝しつつ銃爪を彈き、怨毒を漲らせる彈丸を撃って装甲を破壊する。
 装甲が薄そうな部位に狙いを定める烱眼も然る事ながら、精確精緻に命中を得る腕前も小気味佳かろう。斯くしてロボの動きを巧妙に牽制した火乃華は、隙を見て一気肉薄し、【始銀零剣】――己が血量と体温を代償に、凍気を纏った水銀の短劍を差し入れたッ!
「アンタのカリスマや実力は認める」
『くっ、ぉぉおお嗚乎!!』
「――だが、世界をぶっ壊してまで為すことに意味なんざねぇよ」
 狙うは関節部。
 而して怪腕を斬り落とされたロボは、大きく身を傾けて倒れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
【蒼虹】
セロお兄さんを後ろに乗せる
よし、できるだけ楽して通りたい
ナビよろしく
最速で突っ切ろう

アルビレオで敵陣を突破して
立ち塞がるなら轢くもしくは灯り木で雑に撃つ
数が多いから狙う必要がないのがいい
たどり着いたらそのまま張角を撃…壁があるのか
お兄さん、右と左、どっちがいい?
了解。じゃあどちらが先に倒すか競争ね
張宝と張梁を倒したら、問答している間に何かされるのも嫌だし即座に張角を撃ち倒す…
って、お兄さん、それはずるくない?
まあ…乗るんだけど、さ

恒久の世界平和を目指す悪党は、最後にその平和を見守って消えるぐらいの気概がないといけないよ
自分が頂点に立とうとした時点で、それはただの私利私欲じゃないか


セロ・アルコイリス
【蒼虹】

リュカのアルビレオの後ろに乗って
【真空】で進行方向をお片付け
野生の勘とか悪路走破とか学習力とかで通り易い道を伝えられたらいいですね
右! 右だっつってんでしょ!

妖術か武術なら、魔法使いであるおれは妖術側でしょ
了解、負けた方が天心奢りですよ?
張宝と本気で戦いつつ、
あれっ?って途中で思う
こいつらにかかずらってるのも莫迦らしい
だって張角撃てば消えるんだ
『蜃気楼』の射線上に張角が来る位置取りを目指す
可能ならリュカとも目配せ、連携できたら
いや勿論張宝優先ですけど
盗人は強欲なんです

おれ、歴史よく判んねーけど
返すんなら最後まで返せよ
奪うなら気付かれねーくらいの手管で盗めよ
できねーならすんじゃねーです



 大賢良師『張角』が掲げた檄文に集められたオブリビオンは数十万に及ぶ。
 忠誠の証として結ばれる黄巾は草原の風に靡いて大海原の如く、張角直々の出撃で昂揚する士気は隆々と、宛如(まるで)蒼天を覆う黄塵万丈のよう。
 而して刻下、その黄色い海に迫らんとする噴煙が一条、眞直ぐに尾を引いて伸びる。
「本営までかなり厚みがあるようだし……よし、できるだけ楽して通ろう」
 一陣の風と疾る二輪の鐵騎、アルビレオ。
 操縦手たるリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)は、品佳い鼻梁を邪の巨壁に結んだ儘、ゴーグルに覆える靑藍の瞳を眦尻へ、肩越しに後部座席へ流眄を注いだ。
「ナビよろしく」
「おまかせを」
 いつもは旅行鞄が収まる其處から返るは莞爾とした艶笑(えみ)。
 颯然の風にねぶられる白絲の髪に虹光を彈きつつ、搖れる前髪の奥より東雲色の麗瞳を覗かせたセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は、白磁の繊指に骨董銃を取り出すや、進路に向かって銃爪を引いたッ!
「道は作ってしまいましょう。進行方向をお片付けします」
 鋭い銃聲と共に銃口より迸るは【真空】(ヴァシオ)――。
 鐵鉛の代わり衝撃波を彈いた『蜃気楼』は、前方の黄巾オブリビオン軍勢を吹き消し、アルビレオを青々とした草原の道に嚮導する。
「これで通り易くなりました」
 幾層の橫陣は斯くして通るべしと、美し機械人形が塊麗の微笑を注いだなら、操縦席のリュカはアクセル全開! 眼前の道が狭隘となる前に突破せんと速度を上げる。
「最速で突っ切ろう。立ち塞がるなら……」
 轢くか、若しくは――と小さく言ちつつ、背に負う愛用の長銃のベルトを手繰りながら銃口を前に向け、片手で雑に撃つ。
「数が多いから狙う必要がないのがいい」
 透徹のテノールに銃聲が被った時には、眼前の邪は戈を振り被るなり鐵彈を沈められ、而してぐうらりと傾く眼路の際を黑銀一騎が擦り抜けていく。
 巧みな操舵を見せたリュカは風の音を耳に掠めつつ、背越しに囀る大瑠璃の佳聲に聢と頷こう。
「この先に頭のふたつみっつ飛び出た人形が見えるでしょう」
「うん。黄巾力士の頭だ」
「戰術宝貝の近くに張角がいる筈です」
「――よし、行こう」
 艶々しい黑を縁取る睫が進路に結ばれた刹那、視界が開け、道が示される。セロが再び【真空】を彈いたのだ。
 二挺の銃、その筒先を共に進撃方向に揃えた二人は、軈て本営に坐す張角を――いや、総大将の前に双璧と立ち開(はだ)かる張宝と張梁の威容に片眉を上げた。
「――お兄さん、右と左、どっちがいい?」
「妖術か武術なら、魔法使いであるおれは妖術側でしょ」
 靜かに語尾を持ち上げるリュカの肩口のあたりで骨董銃をチョイチョイ動かし、風雨を操らんと杖を振り上げる方へ銃身を向けるセロ。
 この時、麗人は後部座席から颯然と飛び立つや宙空で言を交し、
「たぶん射線は別った方がいい。おれはこの距離で戰います」
「了解。じゃあどちらが先に倒すか競爭ね。二人倒したら直ぐ張角を撃つ方向で」
「了解。それじゃ負けた方が天心奢りですよ?」
「――って、お兄さん、それはずるくない? まあ……乗るんだけど、さ」
 繊麗の躯を風に躍らせるセロが距離を活かして戰うと云うなら、リュカはアルビレオの機動力で敵を翻弄しようか。小気味佳く瞥見して座標を違えた二人は、片や張宝に、片や張梁に銃口を結んで宣戰布告した。
『來たか猟兵! お前達も長兄の嚮導に從い、骸の海に往くが佳い!』
『我等黄巾三巨頭、當に天に代わりて宣化し、遍く世人を救うべし!』
 画戟一揮して血煙を喚ぶ張梁に對し、遠巻きに円を描きながら銃彈を撃つリュカ。
 そして張宝が杖を向けた先、天より叩き付けられる驟雨を蜃気楼に相殺するセロ。
 劍戟叫喚の中を立ち回る二人の撃手、その妙々たる立ち回りには兩将も舌を巻こうが、何より焦れったいのは死闘血宴を見る張角だろう。
『えぇい、邪魔をするな猟兵! お前達も今に異門同胞に從う身だろうに!』
 兄弟を使役している間、己は何も出來ないのだと口を動かせば、首魁の焦燥を耳にしたセロは、不圖(ふと)、張宝に結んでいた烱眼の視界を広く取る。
「――抑も張角を撃てば消えるのに、こいつらに係ってるのも莫迦らしくないですか」
 リュカが競爭だと云って、己も天心奢りとか云ったからだけど。
 魔法使いの矜持が結ばれてしまったのもあるけれど。
 長い睫毛をぱちりと音がしそうなほど瞬いたセロは、更に視界を広く、張梁と交戰中のリュカを映すと、疾風と駆ける彼にひとつ、目配せをした。
「いや勿論、張宝優先ですけど。盗人は強欲なんです」
「わかる。――わかってる」
 リュカが囁(つつや)いたのはセロの稟性に對してか戰術に對してか判然らない。
 唯だ彼は、セロが『蜃気楼』の射線上に張宝と張角を置く位置取りを目指すのと同時、己も張梁と張角を結ぶ射線にアルビレオを疾駆させ、【届け、願いの先へ】(バレット・オブ・シリウス)――装甲も幻想も撃ち貫く星の彈丸を繰り出したッ!

「恒久の世界平和を目指す悪党は、最後にその平和を見守って消えるぐらいの気概がないといけないよ。自分が頂点に立とうとした時点で、それはただの私利私欲じゃないか」

「……おれ、歴史よく判んねーけど、返すんなら最後まで返せよ。奪うなら気付かれねーくらいの手管で盗めよ。それができねーならすんじゃねーです」

 異なる座標から放たれた冱撃は、一瞬で交点をひとつに――張角へと結ばれる。
 蒼天に銃聲が響いて幾許。訣別の言と共に訪れた靜謐が、全ての決着を付けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
平和に至る唯一の道?
尊い犠牲の上に成り立つ平和ってヤツか。悪いがそんなモンはクソ喰らえだ。大賢良師だか詐欺師だか知らねぇが。アンタの一存で世界を潰そうなんざ、神サマにでもなったつもりかい?

張宝や張梁を倒して頼りになるお仲間に道を譲る、なんて殊勝な事を考えたりもしたんだがね。
最期の戦場だ。今回で退場になる舞台の主役(張角)のカーテンコールは見逃せないだろ?勿論、返しの挨拶もちゃんと考えてる。
返しの挨拶は――くたばれ、クソ野郎、だ。(中指立てて)

サイズ2倍に軽く溜息が出る。宝貝と合体とは。てっきり、どっかの教祖みたく空にでも浮くのかと期待したが。思ったよりは現実的だ。
――で、次はどうする?先に断っておくが、黄巾への勧誘はお断りだぜ?
先制は譲ろう。猟兵相手に見せ場なしじゃ、アンタも辛いだろうし。
【見切り】で躱してUCで迎撃。跳躍して魔剣で叩き斬るか。

…一つ言い忘れてた。『神殺し』は俺の十八番でね。別に誇れるような武勲でも無いが。アンタのような神気取りを骸の海に叩き返すのも俺の仕事さ。



 仙界の太平道に結ばれた予兆では、大賢良師『張角』は異門同胞こそ希望の詔であり、渾沌氏が云う“炎の破滅”(カタストロフ)こそ平和に至る唯一の道だと云っていた。
「平和に至る唯一の道、ねぇ……」
 而して現場を訪れたカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、かの檄文に集められたオブリビオン軍勢の、地平線を隱さんばかり威容を溜息に隔てる。
「これが尊い犠牲の上に成り立つ平和ってヤツか? 悪いがそんなモンはクソ喰らえだ」
 畢竟、眼前に見える数十万の軍勢が張角が描く未來の縮図。
 異門同胞なる鎖に繋がれ、偽りの詔に士気を昂揚させる狂熱の渦に對し、スッと親指を下に向けたカイムは、その手に『神殺しの魔剣』を握るなり黑銀の炎を迸ると、間もなく邪の巨壁へ駆け疾った。
「――扨て。大賢良師だか詐欺師だか知らねぇが、とんだ夢想家の面を見に行こうかね」
 云って、橫陣を楔打つ戰槌の如くとなる。
 爪先を蹴るなり敵陣に躍り掛かったカイムは、猛炎を纏う魔劔を一揮して血煙を呼び、忽ち突き上がる阿鼻叫喚をも灼いて進み始めた。
「退いて貰うぜ」
 赫黑い大劍が刃鳴一閃すれば、カイム自身も夥多しい返り血を浴びるが構わない。
 彼は自ら巻き起こす灼熱の風に銀の髪をねぶらせながら、炎に麗顔を照らして煌々と、紫苑色の虹彩に映る賊から順番に、平等に、骸の海に突き堕としていく――!
『くっぉぉおおお嗚乎!!』
『猟兵め! これだけの軍勢を抜けられよう、もの……かァ……ッ!!』
 まさに彼こそ一騎當千の豪の者。
 続々と襲い掛かる黄巾オブリビオン軍勢を吃ッと睨めたのも一瞬、渇望する者の魔劍は敵が画戟を振り被るより速く鋩を沈め、猛然たる黑銀の炎に肉を灼き、而してぐうらりと傾く巨躯の間際を風の如く過ぎる。而してその時は須臾にも滿たず。
「アンタらの大将は『世界の全てを骸の海に導く』なんて偉そうに云ってたが、何も其處に嚮導(みちび)けるのは一人だけじゃない」
 幾度とやって來た事だと、皮肉を零す余裕もあろうか。
 己が繁吹かせた血の雨に打たれて猶も麗姿は美しく妖しく、劍戟叫喚の中を駆け抜けたカイムは、幾層の橫陣が尽きる先、本営にて立ち開かる黄巾三巨頭を眼路に捉えた。
『來たか、猟兵! 長兄の安寧に至る王道を阻むなら逆賊ぞ!』
『我等兄弟、當に天に代わりて宣化し、遍く世人を救うべし!』
 張角の前に双璧を成すは張宝と張梁。
 目下、血の軍庭を突破して極限まで殺意を磨ぎ澄ましたカイムなら、片や妖術に長け、片や武勇に秀でる兩将軍と三つ巴の戰いを繰り広げる事も出來るし、血闘の果てに二人を斃し、頼りになるお仲間に道を譲る殊勝も演じられよう。――然う、彼は如何な役も演じられる。
 蓋し殲神封神大戰も最後の大舞台。
 これで退場となる主役の見せ場は作ってやらねばと、張角をカーテンコールに立たせるべく塊麗の微笑を湛えたカイムは、美脣から飛び切りの“お世辞”を滑らせた。
「――で、アンタが張角か。随分とご高説を垂れてる樣だが、手前の一存で世界を潰そうなんざ、神サマにでもなったつもりかね? 唯の詐欺師が、實に佳いご身分だ」
『口を慎め、猟兵! 我が王道を否定するとは、渾沌氏を愚弄するに等しい無礼ぞ!』
「ああ、そいつは殺して來た」
『!! なにッ!!』
 餘りの言葉に眉を蹴立て、張宝と張梁を制して踏み出る張角。
 その一歩を快く受け取ったカイムは、烈々と熾ゆる魔劔を一旦肩に収めると、空いた方の手を前に、中指を立てて挨拶をした。
「次はアンタさ。――くたばれ、クソ野郎」
『~~ッッ~~ッ!!』
 これだけの無礼、これだけの不遜。総大将が直々に相手せねば黄巾の名折れ。
 衆人が見る中で始末して遣ろうと、張角は杖を振り被って戰術宝貝「黄巾力士」を呼び、祕呪を唱えつつ融合合体するが、カイムはこれを止めもしない。
 ロボが仁王立ちになるまでの時の猶予を気前よく與えた彼は、ヒラリと手を翻して皮肉を零し、
「……へぇ、宝貝と合体とはね。てっきり、どっかの教祖みたく空にでも浮くのかと期待したが。サイズ感で強さを衒(ひけら)かす以外は、思ったより現実的だ」
『ぬうっ! 何處までも口の悪い奴め……!!』
「――で、次はどうする? 先に断っておくが、宗教勧誘はお断りだぜ?」
 黄色い布を巻くのは勘弁だと、冗長を添えるも“Kindness”(親切)。
 猟兵相手に見せ場なしじゃ辛いだろうと張角を気遣ったなら、彼は、いや黄巾力士ロボは予想通りに怪腕を伸ばし、鐵拳百閃を繰り出してカイムを潰しに掛かる。
『お前も骸の海を潜り、異門同胞の下に平和を享受するのだッ!』
「生憎、俺は突き堕とすのが専門でね」
『ッッ、口の減らぬ男よ……!!』
 蓋しこれこそが彼の戰術。挑発は張角を舞台から引きずり降ろす攻略の鑰。
 素早く振り下ろされる不断の拳撃を最小限の動きで躱したカイムは、【紫雷を纏う者】(ライトニング・エンハンス)――迅る紫雷の如く一瞬で黄巾ロボの顔面に跳躍すると、我が身に纏う紫雷と共に黑銀の炎を叩き付けたッ!
『んッ、なッッ――!』
「……噫、一つ言い忘れてた。『神殺し』は俺の十八番でね。別に誇れるような武勲でも無いが、アンタのような神気取りを骸の海に叩き返すのも俺の仕事さ」
『ぬっ、ぐっ……おぉぉおおをを嗚乎嗚乎!!!』
 劍刃一閃が連れるは、全ての神を滅ぼす終末の黄昏。
 顔面を斬撃で二分されると同時、紫雷に全身を貫かれて動きを止めた黄巾ロボは、軈てその装甲を張角の魂ごと灼いて、彼が「世界のすべてが導かれる」と云う骸の海へと堕ちてゆくのだった――。

 張角亡き後は、もう黄巾は搖れぬ。
 彼は生前と同じく騒擾を鎮められ、その野望ごと骸の海へと還って往くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月02日


挿絵イラスト