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銀河帝国攻略戦⑰~眠った力を解放して

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●対抗手段は猟兵たちに
「皆、集まってくれてありがとう。」
 そう話すのは宮前・紅(絡繰り仕掛けの人形遣い・f04970)だ。
「銀河帝国攻略戦について新たな情報がはいったんだよね♪
 これまでのことは既知の事実だろうから手早く説明会するね。」
 紅は真剣な面持ちのまま言葉を続ける。
「精神破壊兵器『アゴニーフェイス』を乗せた、艦隊が此方に向かってきてる。
 『アゴニーフェイス』自体には、戦闘力はないんだけど……」
 紅はそう言ったあと、少し口ごもりながらも告げる。
「その『アゴニーフェイス』から放たれる強大な『テレパシーの悲鳴』。それは受けた艦の人間達の精神を破壊するものなんだよね。
 それに、『解放軍』にはその攻撃を防ぐ手だてがないんだ。つまり確実に撃破される。」
 彼が言うのはつまりこうだ、反撃する手だてがない『解放軍』を救護するために、猟兵たちには『アゴニーフェイス』艦隊が、スペースシップワールドの艦隊を射程に収める前に、精神破壊兵器『アゴニーフェイス』を破壊しろという事だ。
「『アゴニーフェイス』艦隊には幸い、最低限の護衛と残敵掃討のための戦力以外ないみたいなんだ。だからどうか、手伝って欲しいんだ!」
 そう言い、頭を深々と下げると猟兵たちを真摯に見つめる。
「君たちなら出来るって信じてるよ。精神破壊兵器に打ち勝って、戦争を終結させる為にも手を貸して欲しい。」
 紅のその真剣な態度に、猟兵たちもやるしかないと感じるだろう。
 猟兵たちは精神破壊兵器『アゴニーフェイス』を破壊することが出来るのか、まだ見ぬ戦いに身を投じる事になるのだった。


LichT
 はじめまして、もしくはお世話になっておりますLichTと申します。

 『アゴニーフェイス』の精神破壊攻撃は猟兵にも効果を及ぼしますが、その効果は『理性を失わせ、その姿を強制的に真の姿とする』ものとなります。
 真の姿の描写での戦闘シーンも入りますのでプレイングにて、描写をお願い致します。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 皆さまのご活躍を期待しております。
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第1章 集団戦 『タイプ・メデューサ』

POW   :    触手の一撃
単純で重い【液状触手】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    強化増殖
自身が戦闘で瀕死になると【(強化版)タイプ・メデューサ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    石化粘液
【液状の触手】から【石化粘液】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルーヴェニア・サンテチエンヌ
『テレパシーの悲鳴』……なんという威力…!…ああ!満月の夜のように憂鬱で、どこにもやりようのない…!!

UC【Hymne pour le salut(イムヌポルセリュゥ)】を必死に歌って味方を治療がてら、狂暴化を抑え込もうとしますが……抑えられず真の姿としてハイイロオオカミになってしまいますわ。
敵に向かってUC【人狼咆哮】を放って攻撃しますが、自分の攻撃の合間には残った理性で一生懸命『戦友に関する歌』を歌い(狼の声ながら)、狼になった自分に味方の巻き添えを防ごうと意識させていることにしてくださいませ…。

(共闘、アドリブなど、すべてゆだねます。MS様の思うがまま行動させてくださいませ)


リュセフィーヌ・オールセン
心情
「誰も精神破壊はさせはしません!」

「アゴニーフェイス」に他の猟兵達と共に突撃して、ユーベルコード「スカイステッパー」を使います。
「アゴニーフェイスを破壊させて頂きます!」

精神破壊攻撃を受けた場合
「アゴニーフェイス」に向かって、ユーベルコード「ライオンライド」を使って思い切り突撃攻撃をします。

「アゴニーフェイス」を破壊した後は、こう言います。
「『アゴニーフェイス』を破壊できてよかった…」
「これで解放軍が壊滅せずに済みますね」


砂月・深影
真の姿は髪が全て白銀に変わり腰まで伸び、目も金色に変わる。羽も三対六翼に増える
また普段よりも言葉数が減り、人形めいた印象になる

人の精神を破壊するなんて、帝国のやり方は本当に気に食わないね……。犠牲者を出させないためにも僕らで止めないと!

フェイントや残像も入れながら迎撃しつつ、相手の隙を見て攻撃を叩き込んでいく。ここぞというところで【波涛舞刃】で一気に畳み掛けるよ。これは強力な分、隙も大きい技だから注意して使いたいところだね

相手の攻撃は武器受けやオーラ防御で防御したり、タイミングを見てカウンターで反撃していくようにする


アスカ・ユークレース
嫌だ……待って!まだ使うつもりはないのに!

必死に耳と目をふさぎ抵抗するが彼女の体は作り替えられていく

【真の姿】
身体中に走る青白い光の基盤のような線

周囲に展開される青いデジタル信号の帯

感情を一切映さぬ暗殺者の目

【戦闘】
【UC】で敵を殲滅
【学習力】で判明した急所を【スナイパー】【誘導弾】で射抜く


binary starにて放つ鎧をも砕く砲撃で『アゴニーフェイス』を破壊しようと

アドリブ歓迎



●Show me wonders of your world
 『アゴニーフェイス』の姿を捕らえた猟兵たち。ルーヴェニア・サンテチエンヌ(人と狼の狭間が産む讃美歌・f13108)、リュセフィーヌ・オールセン(オラトリオのビーストマスター・f10236)、砂月・深影(寒空に光る銀刀・f01237)、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)の四人は急襲すべく、策を講ずる。
「誰も精神破壊はさせはしません!私が、口火を切るわ!」
 オールセンは他の3人へそう言うと、『アゴニーフェイス』艦隊を一瞥する。精神破壊を真正面から浮けたら、どんなことになるかは安易に想像できる。なるだけ犠牲を減らすために、僅かな時間で考える。
「(こんなこと、見過ごしていいわけがないもの)」
 苦虫を噛み潰したような表情でオールセンは思う。精神破壊を受けたとして、自分たち猟兵は多分大丈夫な筈だ。けれど、『解放軍』の人たちはどうなるのだろう?考えれば考えるほど、最低最悪の結果が脳裏を過る。
「だから……3人にも協力して欲しいの。お願いします。」
 決意を固めたオールセンの言葉に、他の3人の猟兵も目配せをして頷く。
「リュセフィーヌさま。お顔を上げてくださいまし。わたくし、リュセフィーヌさまの作戦に異存はありませんわ!」
 オールセンの気持ちを斟酌したルーヴェニアは、オールセンの手を取り、微笑みかける。
「勿論、僕も手伝うよ。人の精神を破壊するなんて、帝国のやり方は本当に気に食わないね……。犠牲者を出さないためにも僕らで止めないと!」
 精神破壊なんて考えに思い至る、帝国の思考に嫌悪感を抱く砂月は、そう言うとユークレースの方を見やる。視線を向けられたユークレースは砂月の視線に反応すると、口を開く。
「はい!私もリュセフィーヌの意見に同意なのです!私にとっても帝国のやり口は目に余るものがあるのです。力を合わせてどうにか『アゴニーフェイス』なるものを破壊しましょう!」
 ユークレースは他の3人へ向けそう言うと、作戦を決行すべく各々の成すべき事に集中するのだった。

「(いた!あれが『アゴニーフェイス』ね。でも周りの敵が邪魔だわ。さっさと蹴散らしてしまいましょ)」
 周辺にいる敵『タイプ・メデューサ』が邪魔をして、上手く『アゴニーフェイス』を狙うことが出来ない、オールセンは『獣奏器』を構え『タイプ・メデューサ』に向け、攻撃を仕掛けようとした──だが。
 キィィィィィァァ!
 瞬間。悲鳴にも金属音にも聞こえる、耳を擘くような音が周辺に拡がる。この音は精神破壊兵器『アゴニーフェイス』から放たれる音だった。強大な『テレパシーの悲鳴』は、聴いた者の精神を破壊していくのだ。
 4人は耐え難いその音に、耳を塞ぐ。徐々に侵食していくその音は、彼女たちに変化をもたらしていく。
「『テレパシーの悲鳴』……なんという威力…!
……ああ!満月のように憂鬱で!どこにもやりようのない……!!」
 ルーヴェニアは耳を塞ぎながら、苦悶の声を漏らす。終わりの見えない苦しみは、憂鬱へと誘う。
「は、あ……!『神の愛のもとに、この歌を持って、救いがもたらされますように…』」
 ひゅーひゅーと喉の奥が五月蝿い。ルーヴェニアは必死に自我を保ちつつ歌う。【Hymne pour le salut】──それはルーヴェニアのユーベルコードだ。聴いた者を高速治癒していく力を持つ歌。皆を癒すために、ルーヴェニアは歌うのを止めない。ルーヴェニアは歌を歌い、味方を癒し自身を疲労させる事で自我を保とうとしているのかもしれない。
「ルーヴェニアさんっ……!くっ、アゴニーフェイスを破壊させて頂きます!」
 苦しむルーヴェニアを見ていることが堪えきれないオールセンは、すかさずユーベルコードを発動。
「絶対に精神破壊なんてさせないんだから……!」
 オールセンが使用するは【ライオンライド】。自身の身長の2倍程もある黄金のライオンを召喚したオールセンは、騎乗し敵へ向け突撃攻撃。『タイプ・メデューサ』へ加わった攻撃は強力だ。ぐらりと揺れる『タイプ・メデューサ』。
「(や、やったかな……。
 っ!)」
 オールセンが倒れた『タイプ・メデューサ』に気を取られている内に、眼前に迫ってきたのは『(強化版)タイプ・メデューサ』だ。敵の特異な技、強化増殖により召喚された『(強化版)タイプ・メデューサ』の液状触手がオールセンへ伸び彼女を叩きつける。
「う”、ぐ……ああああ!」
 艦の外壁へ飛ばされ叩きのめされたオールセンは、ぐったりと頽れる。
「リュセフィーヌ!」
 ぐったりと項垂れてしまった、オールセンの元へとユークレースは救護の為に向かおうとするも、上手く体が動かない。どうして、と焦燥に駆られるユークレースは、目を耳を身体中を塞ぎ抵抗していた。自分の中に居るその衝動を押さえつけるように。
「(どうして、どうして!動けないのですか!)」
 いつにもなく焦る彼女の体は抵抗も虚しく、作り替えられていく。
「嫌だ……待って!まだ使うつもりはないのに!」
 青白い光は彼女の体躯を駆け巡り、基盤の様な線が浮かび上がる。そして、彼女の周辺と空間に広がり、展開していく青いデジタル信号の帯。ユークレースの表情は凍てつくような、いやそれすらもない。感情の残滓すらも残っていない表情になっていた。
「……」
 無言のまま、ユークレースはユーベルコードを使用する。体を纏っていく電子の迷彩は、高速移動と不可視の矢の放射を可能にする。彼女はするりと身をかわし、不可視の矢を放射。その空間に聞こ得るのは風切り音だけ。
 【流れ星の軌跡】──ユークレースのユーベルコードの力によって、敵の数が減っていく。
「混戦状態……」
 白銀の美しい長髪、瞳は支子色、背には三対六翼の翼を持つ、人形のような無機質な少女がこの状況をじっと観察していた。その少女は砂月だった。『テレパシーの悲鳴』によって引き起こされたその姿は、人と呼ぶにはあまりにも無機質であった。
「これは許されない、行為」
 砂月は憤慨していた。帝国への明らかな殺意。ああ、仲間をも傷付けるだなんて、許していいはずがない。ゆらりと彼女の体が動くと、愛刀の『白銀氷刀』を振りかざす。
「僕が、とどめをさしてやる」
 砂月は【波涛舞刃】を放つ。優雅な舞と共に流れるような連続攻撃を繰り出すは、ユーベルコード【波涛舞刃】の力。人形のような姿へと変容したせいも相まってか舞う姿は見ている者に、人形劇を観ているかのような錯覚を与える。砂月は超高速連続攻撃を、右薙ぎ、左薙ぎと薙いでいくと最後には連続突きで動きを封じた。
「(……っ!)」
 そして最後の止めを刺そうとした時、砂月は本能的にその場から立ち退く。
「Awoooooooo!」
 激しい咆哮が周囲に響き渡る。15m半径内の敵をも無差別攻撃する咆哮は、ルーヴェニアの【人狼咆哮】によるものだった。【Hymne pour le salut】を歌っていたルーヴェニアだったが、凶暴化を抑えられずハイイロオオカミとなってしまった。そしてルーヴェニアは尚も吠え続ける。
「Awoooo……Awo」
 悲しげなそんな声にも聞こえるような咆哮を上げる。ルーヴェニアは攻撃の合間に、残った理性で一生懸命『戦友に関する歌』を歌っていた。彼女たちのように言葉を紡ぐことが出来なくなっていた、ルーヴェニアは哭くことしか出来ない。
 周辺にいた『タイプ・メデューサ』は、いつの間にか姿を消していた。

「う、気絶しちゃってました。ね。」
 そう言ってふらりと立ち上がるオールセンは、『アゴニーフェイス』へ向け『獣奏器』を構える。
「きっと、あなただけでは心許ない。僕も」
 砂月はオールセンの手を引きぐっと支えると、『白銀氷刀』を同じく構え直す。
「残滓すらも残さない」
 ユークレースも、『binary star』で標準を定め『アゴニーフェイス』の弱点めがけ放つ。

 ドガン!
 爆発音が聞こえ、バラバラに砕け散った『アゴニーフェイス』は霧散する。
 『アゴニーフェイス』の1つを破壊した猟兵たちは、『テレパシーの悲鳴』による影響力が薄れ、本来の姿へと戻る。苦戦はしたものの、目的を達成した猟兵たちは次なる戦闘フェイズへ移動するのだった。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アルファ・ユニ
【ペンドラゴン】で行動。精神破壊…仲間に迷惑をかけなきゃいいけど。真の姿は製造時のスチームパンク風ドレス、ドールアルファの姿。

戦闘は右眼のサトリの眼で敵の心情、行動を読む。指示できる余裕があるかわからないからその情報がクローネを通して精霊に送られるようにしておくよ。精霊が皆を誘導する。ユニは眼の情報をもとにトンファーで攻撃。トンファーの内蔵スピーカーからUCの音波を毎攻撃時に放ち音波が命中したオブジェクトや地形も全部操って攻撃を。意識があればカイムさんの戦いやすいようにも地形を動かしたい。

正気を保つお守りに…気休めかもしれないけど、ヘッドホンで彼の歌を聴きながら…
う、あぁ…ユキヤ…会いたいよ


カイム・クローバー
【ペンドラゴン】で行動。
ここまで俺達、猟兵有利に戦争は進んでんだぜ?下らねぇ姑息な手でこっちの有利潰されてたまっかよ。 精神破壊での俺の真の姿は見た目は変わらねぇ。身体に紫の雷光が走ったりはするが…それ以外じゃ変化はない。少なくとも今のトコはな…(掌見つめて)
戦闘はPOW判定で。二丁銃で範囲を片端から叩き潰す。【二回攻撃】【鎧砕き】【なぎ払い】【零距離射撃】【早業】、UCだ。 俺が前衛だな。【挑発】はキッチリ使用して後衛のユニのサポート。タコ野郎が行かないように注意するぜ。ユニの誘導に任せて数を減らしていく。近距離の攻撃は【見切り】に頼るぜ。…思ったより手こずってやがるな。一つ気合入れてくぜ


戎崎・蒼
まさか、真の姿に強制的にさせられるとは……難解で厄介な敵だね。
真の姿は、過去現在を聚合させた姿。今は猟兵だけど、昔は咎人殺しだったから、多分その名残なんじゃないかな。結構、理性的に制御出来ない。淡々と敵を殺す兵器みたいになっちゃうかもしれない。ただ、敵と見方の区別はギリギリつくと思うから、攻撃は敵だけを狙えると思う。
【POW】で判定。
集団戦だからより多くの敵を殲滅させるよ。今回は殺すことしか頭にないと思ってくれていいかな。
特殊なバレットを使って殺意高めの攻撃を喰らわせるよ(スナイパー+援護射撃+捨て身の一撃※再利用不可の特殊な弾薬)
相手の攻撃は、UC絶望の福音で避ける。
………………………。



●Swallow your fate
 専用カートリッジを設置した『アゴニーフェイス』から放たれたのは『テレパシーの悲鳴』。叫びにも思えるようなその『悲鳴』は徐々に猟兵たちの精神を狂わせていく。
 アルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア・f07535)、カイム・クローバー((自称)凄腕イケメン狼盗賊・f08018)、戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)の3人も例外では無かった。
「(ここまで、俺達が有利に戦争は進んでる。
 ちっ……下らねぇ。姑息な手段でこっちの攻勢崩されて堪るか!)」
 クローバーは精神破壊兵器にも怯まず、二丁銃を構える。が、しなやかな体躯を紫電が走り始める。これも精神破壊兵器によるものだった。
「(これも、あの『テレパシーの悲鳴』ってやつの影響か……俺は今のところは大丈夫だが、あの2人は)」
 素早く駆けていくクローバーは、他の猟兵2人の方を一瞥する。その猟兵2人はアルファと戎崎だ、この2人とクローバーは同じ旅団に所属している仲間。負傷させてしまうことは、避けておきたかった。
「カイムさん!」
 クローバーの銃を構えた背後に、僅かな時間で入り込んできた敵が液状触手を伸ばす。しかし、アルファの高圧電流が流れるトンファーが液状触手を打ち消した。怯んだ敵、『タイプ・メデューサ』はクローバーとアルファの間から立ち退く。
「キリが無いよ、ね」
 立ち退いた『タイプ・メデューサ』を一瞬たりとも逃さず、射撃。撃ち込んだ銃弾は『タイプ・メデューサ』を貫通し、艦の外壁へカンと音をたて深く沈み込む。構えていたマスケット銃を降ろし、アルファとクローバーの元へやって来たのは戎崎だ。
「……カイムさんも、蒼さんも大丈夫?
 ユニは、ちょっと変、な感じがするんだけど」
 少し怪訝そうに顔をしかめるアルファは、苦しそうだ。
 ああ、頭に『悲鳴』が響いて──自分ではない何者かになってしまいそうな、そんな恐怖が押し寄せる。込み上げてくる言い様のない不快感と、違和感にアルファは自身を抱き締めた。
 そのほんの一瞬の間に、彼女の姿は変わっていた。 かつてサトリ人形と呼ばれていた彼女の身に纏っていたのは、ヴィクトリアンスチームパンクドレス。これがアルファの製造時の姿──ドールアルファ。
「大丈夫か?ユニ」
「……うん。少なくとも戦えるはずだよ」
 なんとか正気を保とうとしているアルファは、クローバーへそう言うと、ヘッドホンから流れる音に耳を傾ける。彼女が聴くのは彼の歌、
「(あぁ……ユキヤ……会いたいよ)」
 こんなのは気休めでしかない事はアルファでも解っていた。気休めでも、彼女にとっては大事なお守り。
「(精神破壊……仲間に迷惑はかけられない)」
 トンファーを構え直し、敵の動きを視界に捉える。それを合図と判断したクローバーも二丁銃の標準を敵へ。
「蒼。行けるか?」
「……うん。でも、二人はなるだけ離れていて」
 言葉少なげに言う戎崎は、理性の制御不可に陥っていた。彼の姿は過去現在を聚合させたものへと変容し、咎人殺しだった過去と戦場傭兵の現在がないまぜになっている。
「(この様子だと、蒼さんは敵と味方の区別がギリギリついてるくらい。……ユニも結構余裕は無いんだけど、それなら)」
 アルファは思考をクローネに載せ、そしてそれを受け取った精霊が2人を誘導する。
「(伝わったかな……?伝わってると良いんだけれど)」
 クローバーと戎崎、その2人に作戦が伝わっていると信じてアルファは行動を始める。

 Mission Phase1:Analysis and Assistance

 アルファの右眼のサトリの眼は心を読み取る。その右眼で敵の心情、行動を読む。情報収集と操作に長けているアルファはその能力を活かし、分析結果の言語化を行う。
「(右前方に液状触手の攻撃を察知。周辺及び、後方『タイプ・メデューサ』は前方の攻撃に追撃する)」
 分析処理された情報はクローネから精霊へ、そして他の猟兵へと高速伝達することによって、クローバーと戎崎を援護する。
『ここはユニ達の舞台。勝手に動くことは許さない』
 アルファはトンファーの内蔵スピーカーから、外皮を裂く程振動の大きい音波を出し攻撃を加える。すると、艦の外壁めがけ音波を当て変化させた。これはアルファのユーベルコード【分散和音】。外皮を裂く程振動の大きい音波を出し、命中した対象にダメージを、そのユーベルコードを外しても、地形やオブジェクトに作用し自在に操ることが可能になる。
 そして敵の分析と地形の変化による援護で、優位な状況を作り出した。
「後は、任せるね」

 Mission Phase2:Breakdown

 戎崎は、アルファの情報を元に判断する。敵が多い分隙が出来やすいのを防ぐにはどうしたら良いのか。否、纏めて殲滅すれば良い。
『これで終わりにしよう、クラヴェッタ。…Tiro volley』
 戎崎が右手を振り上げると、頭上とその周りには複数のマスケット銃が展開されていた。目映い光と共に放たれた魔弾の一斉射撃は、20mもの半径内の敵へ降り注ぐ。これは戎崎のユーベルコード【第二楽章 無言歌《1999》op.13】によるもの。強力な魔弾の一斉射撃は敵の攻勢を崩し、戦力を削ぐ。殲滅兵器と化した戎崎は猛攻を止めない。
 それでも殲滅しきれず、その数の多さを見かねて戎崎は、アルファが作り出した地形を有利に活用。そして『タイプ・メデューサ』を魔弾の一斉射撃によって、ある一点へ追い込む。
「さぁ、覚悟しなよ」

 Mission Phase3:Finish somebody off

 クローバーは、戎崎が追い込んだある一点へ攻撃を放つ。その場所は、地形を変化させたことで出来た、一回踏み入れば突き当たり、出口のないボックス型の地形。アルファが地形を変化させ、戎崎が追い込んだ包囲戦法。
「(思ったより手こずってやがるな。でも、ユニと蒼のお陰で一気に殺れそうだ。
 ……ここは一つ気合入れてくか!)」
 不敵に口の端を上げると、『タイプ・メデューサ』の集団へ向かっていく。
『雑魚は退場の時間だ。舞台裏に引っ込んでな!』
 広範囲にクローバーの二丁銃、イーグル&ラプターによる一斉射撃が撃ち込まれる。目にも留まらぬ早業で、敵の弱点をいとも簡単に撃ち抜いていく。これは【銃弾の嵐】、このクローバーのユーベルコードはイーグル&ラプターによる一斉射撃だ。空間を吹きすさぶように敵を荒らしていく銃弾はまるで嵐のよう。
 クローバーは逃げるように近付いてきた『タイプ・メデューサ』に零距離射撃を1発、2発と撃ち込み、確実に殲滅。

 Mission Phase4:Extinction

 次々と殲滅されていく『タイプ・メデューサ』の大群は、『アゴニーフェイス』を護ることすら儘ならなくなっていた。
「よし!今だ!」
 クローバーの言葉に、アルファと戎崎も反応する、『アゴニーフェイス』へ向け攻撃。
 クローバーは二丁銃、アルファはトンファー、戎崎はマスケット銃を構えると三位一体の一撃を放つ。

 壊れた『アゴニーフェイス』は精神破壊の機能を失い、ただの鉄屑へと成り下がる。『タイプ・メデューサ』も全てが殲滅され、この場に居たことが嘘のようにまっさらになっていた。
 作戦を遂行し見事に成功させた3人の姿も元通りになった。

 これまでの猟兵たちの活躍によって、これにて『アゴニーフェイス』艦隊は終幕を迎える。
 だが、油断するべきでは無い。まだ戦争は終わっていないのだ。これはある一幕の終焉。
 クローバー、アルファ、戎崎の3人は戦争の終結へ向け、また新な戦場へと向かっていくのだった。

 To the next stage……?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト