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殲神封神大戦⑱〜糾われし陽と陰

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 伏羲は何を思って未来を知ることのできる方法を発明したのだろうか。
 祠の内部に刻まれた陰陽の図像は『八卦天命陣』へと訪問者を導き入れ、その目に己の未来を見せるという。
 しかし現在、祠はオブリビオンに浸食されて本来の機能を狂わされていた。陽が欠け、陰の可能性だけを具現化する装置へと変貌したそれは猟兵の前に破滅と絶望の未来を引きずり出して、そして。

「こういうのを、悪趣味っていうんだよね。人の触れられたくないところをかき乱して、まざまざと見せつけてくる」
 話している内容とは裏腹に、仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)の口調は軽やかだ。そのような仕掛け、猟兵ならば乗り越えられるだろうという確信でもあるかのように。

 残り少なくなった未制圧の戦場において、三皇『伏羲』の祠は留守のままであった。だが、オブリビオンの浸食はここにも至り、彼が世界中より収集した膨大な知識や呪文を収めた書庫は本来の機能を狂わされて訪れる者の精神を破壊するための罠そのものと化している。
「そのうちのひとつが、『あり得るかもしれない破滅の未来』を具現化するという『八卦天命陣』。ただの可能性でしかないものにあたかも真実のような形を与え、踏み込む者を襲わせる。その絶望が何かは本人にしかわからない。だから、乗り越え方もそれぞれに違うはずだ。ただひとつ言えるのは、これを乗り越えなければ先には進めないということ」

 自分への道を阻む最後の砦にこういう仕掛けを持ってくるあたり、『張角』の性格が知れる――弥鶴は微笑み、皆を促した。
「なら、そんなものでは猟兵の進軍は止まらないと教えてあげるしかないよね。皆ならそれができると思うんだけど、どうかな。乗り込んでやる準備はいい?」


ツヅキ
 プレイング受付期間:OP公開時~👑の数だけ🔵が獲得されるまで。

 連携無し、順次リプレイをお返ししていきます。プレイングを送れる間は受付中ですが、執筆のタイミングによっては早めに完結する場合があります。

●第1章
 三皇『伏羲』の祠を満たす書庫が汚染され、「あり得るかも知れない破滅の未来」そのものが具現化して襲ってきます。

 プレイングボーナス:あなたの「破滅」の予感を描写し、絶望を乗り越える。
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第1章 冒険 『八卦天命陣』

POW   :    腕力、もしくは胆力で破滅の未来を捻じ伏せる。

SPD   :    恐るべき絶望に耐えながら、一瞬の勝機を探す。

WIZ   :    破滅の予感すら布石にして、望む未来をその先に描く。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トゥリフィリ・スマラグダス
ここで見たものが確定事項の未来になる、という訳でないのなら気にする必要はないでしょう。
生憎と、この身が迎えるかもしれない「終わり」は、自分より前の実験体たちの記録で見飽きていますので。


「闇鬼」の暴走による「人喰い鬼化」、「石呪」の暴走による「獣堕ち」、「偽神」の暴走では「氷像」と化すので脅威にはならないとして……面倒なのは「禁樹」の「樹精化」ですか。言霊によるこちらの行動への干渉……。
ならば、言葉など届かない獣に。UCを発動し、具現化した未来の姿、その全てを力で捩じ伏せましょう。



 己の裡より引きずり出す可能性の未来ということは即ち、トゥリフィリ・スマラグダス(つぎはぎの半端者・f33514)が飽きるほどに見てきた既知なる“終わり”を意味している。
 同胞ともいえる実験体の記録はトゥリフィリが迎えるかもしれないそれの予知でもあったのだ。
「……人喰い鬼化」
 それは、鬼の因子が暴走した成れの果て。
「そちらは、獣堕ちか」
 黒き獣の因子が暴走すればこうなるのかと得心しつつ。
「氷像は偽神、そして禁樹による樹精化……全ての可能性がここに出揃ったわけですね」
 辺り一帯は氷銀の海に呑まれ、黒い染みのような影が幽鬼の如く徘徊する。門番のように立ちはだかる獣と、言霊を支配する領域を為す魔性の森がトゥリフィリを待ち受ける。
 特に厄介なのは最後の樹精化であるとトゥリフィリは見抜いた。あれだけは特別な対応が要る。
 ならば、己がこの場で選ぶべき因子は決まった。
 ――励起せよ、【Kthenos】。
 理性と引き換えに得た超攻撃力と超防御力を備えた獣身は瓜二つの黒獣と取っ組み合い、ねじ伏せて喉笛を噛み切る。
 この姿であれば言霊による支配など無意味。深々と根を張った樹精に体当たりを繰り返して力尽くで押し斃した。
 氷像はこの牙で噛み砕けばいい、ひとっ跳びに氷海を越えて容赦なく牙を立てる。
 甲高い音を上げて、氷像が砕け散った。
 あとは――。
 音もなく忍び寄る影とまるで踊るように組み合っては離れ、また組み合う。ただ目の前のものを屠るだけの獣は影を引き裂き、道を拓き、本体である鬼の喉元目がけて跳躍した。
 斃すことに迷いはなかった。
 全ての可能性が消滅するのと同時、祠が明るくなって元の場所に戻ってきている。トゥリフィリも元の姿を取り戻して息をついた。
「こんなものを見せられたところで、どうということもありませんよ」
 それは枝分かれする未来の可能性のうちのひとつに過ぎない。トゥリフィリの精神を揺るがすほどの脅威には当たらない。
 それがゆえの、圧勝であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディイ・ディー
目の前に視えたのは倒れている少女の姿
俺の本体であるダイスの呪力が発動していて
彼女の生命力を根こそぎ奪おうとしている
止めたくても止められない
右腕に宿る呪いの蒼炎、鐐が体を乗っ取っているからだ

呪が精神を侵食して暴走する未来
俺だった者は笑っている
やっとこの体を手に入れた。否、『取り戻せた』と
周囲の者の命を奪いながら呪炎は大きくなっていく
やがて、大切な人が息絶えた未来が視せられて――

その瞬間、体が動いた
呪炎の鐐と反発するように
腰に携えていた妖刀、鐡が俺を操り返したからだ

こんな未来、俺は認めない
どうせ仮初の身だ
右腕の炎が心まで奪うなら腕ごと斬り落としてやればいい

やれ、鐡!
遠慮はいらねえ、暴走した鐐なんてぶった斬っちまえ!

破滅は絶望を連れてくれる
即ちDoomとDespair
どちらも俺のD・Dという名に宿された意味合い
渡り合ってやろうか、どちらが真に破滅を生むかをな
オブリビオンの力なんざ全て斬って破滅させてやる

俺は愛しいあの子と生きる未来を望み、欲する
今の光景はただの偽物
だから絶対に――俺は負けねえ!



 目の前に倒れているのがあの少女だと識った途端、ディイ・ディー(Six Sides・f21861)の全身に得も言われぬ衝撃が迸った。
 微かな喘ぎ、苦悶の表情。
 何が彼女を痛めつけている? 苦しめている?
 ディイにはその正体がわかる。自分だけはその原因を過たない。なぜならば、それはディイの――俺の本体であるダイスの呪力が引き起こした惨事だからであった。
 
 止めろ。

 叫んだはずが声にならない。
 止めろ、彼女の生命力を根こそぎ奪い尽くすな――!!

 呪が精神を浸食して暴走する未来の光景を、俺だったはずの者が恍惚の表情で眺めている。その時、右腕に燃える蒼炎が傲然と揺らめいた。鐐。お前か。お前が俺の身体を乗っ取ったのか。
「やっと、この体を手に入れた」
 否、自嘲の笑みを浮かべながら言い換える。
「『取り戻せた』。ずっと、ずっと。この時をどれだけ待ち焦がれたか知れない」
 呪炎は燃え広がる。
 視界が開け、他にもたくさんの人たちが巻き込まれていると知る。数多の者の命を呑み込む呪炎は満足して消えるどころか、さらにおおきくなる一方だ。ああ、とディイは思い知る。

 貪欲の極致。
 至上なる傲然。
 
 大切な少女がこちらを視た。
 震える指先をディイに向かって伸ばし、唇がその名を呼ぶ形に一度だけ動く。それが最期だった。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!!」
 声にならない叫びと、軛が外れたように動いた体。
 ディイは腰に携えていた妖刀を救われたような眼差しで見つめた。鐡。呪炎の鐐と反発するようにして、黒鉄色の妖刀が俺を操り返す。追い出された蒼炎が抗議するように爆ぜた。

 貴様、よくも。
 ちッ――。

 せめぎ合う鐐と鐡。
 再び蒼き呪炎が勢力を増す。
 だが、黒鉄の刀はそれを押し返して譲らなかった。相反するふたつの存在に身を裂かれるような葛藤がディイを襲う。
「鐡」
 そんなやつは腕ごと斬り落としてしまえと嗾ける。どうせ仮初の身だ。構いやしないから――やれ、鐡!
「遠慮はいらねえ、暴走した鐐なんてお前の刃でぶった斬っちまえ!」
 
 ごとり。
 真っ赤な断面も露わに肩と肘の間辺りで切断された右腕が囂々と燃えている。ディイはそれをその場に置き去りにして、ゆっくりと歩き始めた。呪炎から取り戻した心が力強く脈打っている。

 一歩。
 血の滴が道程を彩る餞代わり。
 二歩。
 残る左腕に構える黒鉄は鈍く耀き。
 三歩。
 破滅は絶望を連れてくる。
 四歩。
 即ち、Doom&Despair。
 五歩。
 どちらも俺のD・Dという名に与えられし、宿命の。
 六歩。
 真に破滅を生む者の座をかけて、今――渡り合う。

 ディイは掲げた鐡で視せられた可能性の光景ごと全てを斬った。これこそが本物の破滅だと言わんばかりに、俺は絶対に負けはしないのだという決意を表明するために。
「俺は愛しいあの子と生きる未来を望み、欲する。わかったら消えろ。ただの偽物風情が俺様顔で破滅を語るな!」
 
 あれだけ燃え広がっていた呪炎があっという間に収束し、ディイは祠に戻ってきていた。目の前には刀傷のついた陰陽の図案。その傷跡をそっと撫でる右腕も元通り、だ。
「……だから絶対に、俺は負けねえ」
 ぼそりと口に出して、きつく拳を握り締める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:アノン

祠から溢れんばかりに肥大化した液体金属。手当たり次第に触手を伸ばし、書物や呪物を取り込んでいる。それは知識欲のタガが外れたロキの姿。

(あぁ、羨ましい。数冊持って帰れませんかね)
こっちのロキは無事なのかよ、ついでに殺せると思ったのによ
「全身液体金属で、アレ読めてんのか?」

液体金属を纏って狼耳と尻尾を象る。両腕と両足も獣を象るぜ。今回はこれがオレの武装。属性は重力。

押さえつけるように掴んで重力を注ぎ動きを封じるぜ。そのまま腕を構成する液体金属に取り込んでやる。元は同じものだからな。
この液体金属はオレの身体だ、元がロキでも関係ねェ
「返して貰うぜ、オレの身体」



 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――今はアノンと呼ぶべき青年はポケットに両手を突っ込んだまま、“ソイツ”と向き合った。
 端的に言えば、液体金属。
 それも欲望のタガが外れた状態の、祠から溢れんばかりに肥大化した怪物みたいな姿。触手は手当たり次第に書庫を漁り、本やら呪物の類やらを再現なく取り込み続ける。
(「あぁ、羨ましい。数冊持って帰れませんかね」)
 なんて声が怜悧の内部から聞こえてくる。ロキだ。どうやらこっちは無事らしい。なるほど、あれはあくまで未来の可能性のロキで、このロキとはまた別物というわけか。
 ――ついでに殺せると思ったのに。
 アノンは肩を竦めて尋ねる。
「全身液体金属で、アレ読めてんのか?」
(「もちろんです」)
「どうやって」
(「秘密です」)
 やれやれ。
 アノンは首を回して液体金属を操り狼耳と尻尾を象った。その両腕と両足にも獣めいた武装を構築する。
「お前の知識欲もこうなると始末が悪い……ッ」
 やり方は至極簡単。
 強引に押さえつけるように掴み、液体金属製の獣腕を通じて動きを封じるだけの重力を注ぎ込んでやれば、いやだと言わんばかりに“ソイツ”が暴れる。
「まだ知識が欲しいってか? 残念、返して貰うぜオレの身体」
 そう、元は同じものなのだ。
 液体金属は即ち、アノンの身体そのもの。元がロキだろうが関係なく、アノンはそのまま腕を構成する液体金属を通じて“ソイツ”の全て吸い取い取り、綺麗に片付けてしまった。
「終わったぞ」
 液体金属の武装を解き、アノンは主のいない書庫を見渡した。未練がましく土産を欲するロキを促すように告げる。
「名残惜しんでないで、とっとと先へ行くぞ。ここにはもう、用はないんだ。いいから土産は諦めろ」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月28日


挿絵イラスト