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殲神封神大戦⑰～渾沌氏『鴻鈞道人』に奪われたガジル！

作者：ゆうきつかさ

●封神武侠界
　仙界の最深部には、未だ形が定まらぬ混沌の地があった。
　そこには【骸の海】を自称する謎の敵、『鴻鈞道人』が待ち受けていた。
　鴻鈞道人の力は凄まじく、これまでに倒したオブリビオンや、まだ戦場にいるオブリビオンさえも、『再孵化』という能力で容易く作り出す事が出来た。
（普通にオブリビオンを再孵化させても面白くない。ならば、やるべき事は……ひとつ）
　次の瞬間、鴻鈞道人がガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）を自らの元に呼び寄せ、体内に潜り込んで融合した。
　それはあまりにも一瞬で、抵抗する間もなく、ガジルの意識が封じられた。
（大して強くはないが……悪くない。これで猟兵達も攻撃する事を躊躇うだろう。そうでなくとも、邪魔なヤツが、ひとり減る）
　鴻鈞道人に身体を乗っ取られた事で、ガジルは『渾沌の諸相』を身につけ、膨大な力を得た。
　その代償として、ガジルは自分の意思で、身体を動かす事が出来ず、深い眠りについているような状態になっていた。
　そのため、例え相手が猟兵であったとしても、手加減する事は出来ない。
　既に、身体の支配権が鴻鈞道人に移っているため、運よくガジルが目覚めたとしても、猟兵達の味方をする事は出来なかった。
　しかも、鴻鈞道人が力尽きるまで、ガジルが解放される事はない。
　その上、鴻鈞道人が強すぎるため、手加減する事も出来なかった。
　そのため、猟兵達はガジルの無事を祈りながら、鴻鈞道人と戦う事になった。

第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相 自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。 SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相 【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。 WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相 敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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　渾沌氏『鴻鈞道人』に憑依された事によって、ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）の目つきは鋭くなり、普段よりも凛々しくなっていた。
　そのため、いつもと比べて無駄がなく、完璧な感じであった。
　しかし、ガジル自身は、眠りについている状態であった。
「うむむむむむ……こうくるか。しかも『憑依』とはオブリビオンも考えたもんだね」
　そんな中、サリー・オーガスティン（鉄馬の半身・f02199）がバイクに跨って、鴻鈞道人に憑依されたガジルの前にやってきた。
（私はオブリビオンではない。私は【骸の海】……。お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である）
　鴻鈞道人がガジルの口を通じて、名乗りを上げながら、白き天使の翼、白きおぞましき触手、白き殺戮する刃を宿かと、一気に間合いを詰めて、サリーに攻撃を仕掛けてきた。
「軽口を叩いても仕方無い……か」
　その事に気づいたサリーが、落ち着いた様子で迷彩を施し、地形を利用しながら、ガジルの攻撃を避けていった。
（……なかなか、やるようだな）
　その事に感心した様子で、鴻鈞道人に憑依されたガジルが、サリーに視線を送った。
「今度はボクの番だ！」
　それと同時に、サリーがDragoon Musket（小ぶりの銃）を構え、鴻鈞道人に憑依されたガジルに狙いを定め、誘導弾を続けて撃ち込んだ。
（ぐ、ぐぬっ！　……まさか、仲間を攻撃するとはな）
　その途端、鴻鈞道人に憑依されたガジルが、サリーに冷たい視線を送った。
「外見がガジルさんそのまま、というのは申し訳無いけども……。ガジルさんがこんな酷い事はしない。だから……一切の遠慮はしないよ！」
　次の瞬間、サリーが【Cloud Nine（クラウドナイン）】が、鴻鈞道人に憑依されたガジルめがけて、アームドフォートによる素早い一撃を放つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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（まだだっ！　この程度で屈する私ではない。ようやく馴染んできた身体を、そう簡単に手放すモノか！）
　ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）の身体を乗っ取った鴻鈞道人は、時間が経つにつれ、次第に力を増大させた。
　それはガジルだけでは、発揮する事が出来なかったほど、強大なパワーであった。
「ガジルさんの身体を乗っ取るなんて、卑怯な真似を……！」
　上野・イオナ（レインボードリーム・f03734）が嫌悪感をあらわにしながら、ガジル（鴻鈞道人）をジロリと睨みつけた。
（私にとっては、褒め言葉だな）
　ガジル（鴻鈞道人）がイオナを見つめ、不気味な笑みを浮かべた。
　おそらく、ガジルの意思が残っていれば、ここで猛抗議をしているところだが、深い眠りについているような状態に陥っているため、何も言えないようである。
「……ここで攻撃を躊躇したら、相手の思うツボなのです！　少し手荒な手段になりますが、我慢して欲しいのです！」
　ウィユ・ウィク（幸せの黒いキマイラ・f13034）が、自らの迷いを振り払うようにして、自分自身に気合を入れた。
　結果的に、ガジルの身体を傷つけてしまう事になるが、このまま何もしなければ、彼女の身体を使って鴻鈞道人が何をするのか分からなかった。
　そのため、例えガジルに危険が及んだとしても、鴻鈞道人の撃破を優先しなければならなかった。
「まぁ、ガジルは知り合いでもないし、容赦をする理由がない。抵抗するのであれば、迷わず火達磨にするだけだ！」
　オメガ・カストゥール（火焔竜にして、竜神王・f34605）が、躊躇う事無く答えを返した。
　その途端、鴻鈞道人の意思に反して、ガジルの身体がビクッと震えた。
　それだけ、オメガの言葉が衝撃的だったのかも知れないが、ガジル自身は深い眠りについている……はずだった。
（お、お前達には、情けはないのか）
　そんな空気を察した鴻鈞道人が、オメガにツッコミを入れた。
「さっきも言ったが、知り合いでもないからな。一応、ガジルから依頼を受けた事はあるが、それは、それ。これは、これだ」
　オメガが真っ直ぐガジル（鴻鈞道人）を見つめ、死刑宣告の如く言い放った。
　その事にショックを受けたのか、鴻鈞道人の意思に反して、ガジルの身体が崩れ落ちたものの、本人は……（以下略）だった。
（そういえば、ガジルさん自身が戦っている姿を見たことがありませんね。戦術に関しては未知数ということですか）
　そんな中、火土金水・明（夜闇のウィザード・f01561）が、落ち着いた様子でガジルに視線を送った。
（ならば、こちらも本気で戦う必要がありそうだな）
　それと同時に、ガジル（鴻鈞道人）が白き天使の翼、白きおぞましき触手、白き殺戮する刃を宿し、全身から血を流しながら、猟兵達に襲いかかってきた。
（まるでガジルさんが泣いているようですね）
　その事に胸を痛めつつ、明が第六感と野性の勘を駆使して、ガジル（鴻鈞道人）の攻撃を避けた。
「こうなったら一か八か。……レイン、ガジルさんを助ける手助けをしてくれ！」
　続いて、イオナが武器受けと結界術で、ガジル（鴻鈞道人）の攻撃を防ぎつつ、【サルベージレインボードラゴン】で、戦場全体に電脳龍のドラゴンブレスを発生させた。
（な、なんだ、これは……！）
　その事に違和感を覚えたガジル（鴻鈞道人）が、警戒した様子で間合いを取った。
　だが、戦場全体にドラゴンブレスが広がっているため、何処にも逃げる事が出来なかった。
『グロロロォウル！！（訳：貴様ら、出てこい！！）』
　次の瞬間、オメガが【竜種招集（コール・ドラゴン）】を発動させ、12体の火竜と共に空からファイアブレスを吐いた。
（しょ、正気か！　コイツが死ぬぞ！）
　即座に、ガジル（鴻鈞道人）が白き天使の翼で、自らの身を守ったものの、赤黒く焦げた皮膚からブスブスと煙が上がった。
（こ、このままでは、ガジルお姉さんが丸焼きに……！　何とか助けてあげたいところだけど……）
　ウィユが複雑な気持ちになりつつ、ガジル（鴻鈞道人）に視線を送った。
　鴻鈞道人に乗っ取られている影響で、ガジルの肉体は強化されているようだが、それを上回るほど猟兵達は強かった。
　そのため、身体のあちこちが傷つき、痛々しい感じになっていた。
『ギャオオオオン！（訳：……まだだっ！）』
　そこに追い打ちを掛けるようにして、オメガが12体の火竜と共に再びファイアブレスを吐いた。
（ぐぬっ……、ぐぬぬぬっ！）
　その攻撃から逃れるようにして、ガジル（鴻鈞道人）が後ろに下がった。
「荒療治だけど何とかなってくれ」
　そんな中、イオナが祈るような表情を浮かべ、水色の修復プログラムでガジルを回復しながら、白き天使の翼に紫の破損データをぶち込んだ。
（ま、まさか、こんな方法があったとは……）
　ガジル（鴻鈞道人）が信じられない様子で、身体をフラつかせた。
「鴻鈞道人よ、ガジルさんを返してもらいますよ」
　それに合わせて、明がフェイントしカウンターを織り交ぜ、【銀の流れ星（ギンノナガレボシ）】を発動させ、銀の剣による素早い一撃で、白きおぞましき触手を斬り捨てた。
「このまま鴻鈞道人さんだけ、弾き出すのです！」
　次の瞬間、ウィユが【ねこさんもーど（ネコサンモード）】を発動させ、ネコパンチによる素早い一撃を放ち、ガジルの身体から鴻鈞道人を追い出した。
（今回は、私の負けだ。だが、次は……）
　そう言って鴻鈞道人が、塵となって消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年01月30日