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#UDCアース

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#UDCアース


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「Go to 強盗!!」
 開幕からテンションのバグったユウキの一言から、この猟兵史上最悪の犯罪行為……もとい、作戦は始まった。
「諸君、人生でもっとも大切な物はなんだ? ささやかな愛情? 美しい友情? クソくらえだ!!」
 あ、言いやがったこいつ。
「金だよカネ!! 金があるから愛情だの友情だのと余裕を持てるのだ!!」
 そんな身も蓋もない主張と共に、今回のお仕事の内容が説明された。
「お前ら含めた人件費にフロント企業を含めた維持費、武器装備の研究開発費。ざっと上げただけでもこれだけUDCが活動するにはお前達が考えている以上に出費が掛かる」
 まぁ、その主張は分からないでもない。
 相手が巨悪であるならなおさら、正義を成すに先立つ物が要るのは確かである。
「で、だ。今回は手っ取り早く金を回収するのが目的な訳だが……まぁ、まずは聞け。規模の大きな教団の中には俺たちUDCのように表向きの顔ってのがある連中も少なくない。もちろん、俺たちだって非合法組織である以上、それが分かったところで簡単に手を出す訳にも行かないのが司法というやつだ」
 だが、だからといって手をこまねいている訳にもいかない。
 ましてや資金源を断つのは戦術としても理に適う。
「とはいえ相手は悪人。事実、法に則って出る所に出れば少し叩くだけで埃が吹き出すような連中だ。よって、これから行う作戦は市警察に変わって手続きを省略し、悪を断罪しつつ金も稼げる素晴らしい計画というワケだよ諸君」
 なんだか先が見えてきた気がする。
「さて、気になるお相手はアメリカ合衆国に本拠を起き、各国政府の要人とすら太いパイプを持つ超大製薬企業【Mentors(メンタース)】庇護者とはよく言ったもんだ……こいつらが持つ研究所を襲撃して研究資料と現金をありったけ頂いたら回収地点まで一目散に逃げる作戦だ。簡単だろ?」
 言うだけなら簡単だ。
 だが、侵入から逃走までの計画や用意が無ければ無謀と言わざるをえない。
「もちろん、用意もしてれば計画もある……今回、お前さん達のやる事は陽動だ。先んじて施設内に侵入してる職員が金庫でショッピングを楽しんでいる間、金を出せと騒ぎながら金庫に移動する素振りを見せつつ大暴れすれば良い。もちろん、そのままスムーズにショッピングから帰宅できればそれで良いんだが、奴等だって馬鹿じゃない。職員が勘付かれたら護衛しつつ回収地点まで逃げてこい」
 そこまで話して、ユウキは思い出したかのように付け加える。
「あ、二度とUDCアースに近づかないってんなら構わないが、そうじゃないなら確実に国際指名手配されるからな? もちろん組織側でも手配はするが、顔ぐらいは隠しておいた方が良い。大義名分はあれど表の歴史には【国際企業に強盗を仕掛けた挙げ句、天文学的金額を盗み出した近代史に残る組織的大犯罪】としてしか記録されないからな」
 あまり気乗りはしない話である。
「報酬は盗み出した額の40%を参加者に分配する。さっきも言ったが天文学的な額になるぞ? ……まぁ、強制はしないさ。理由はどうあれ犯罪行為だしな。もちろん、UDCの正式な作戦記録にも残らない」
 そこまで言って、ユウキはゲートを開いた。
「この先には、形はどうあれ歴史に刻まれるデカい仕事が待ってる……一度きりの人生だ。楽しめよ、猟兵」


ユウキ
 皆様はじめましてこんにちわ。
 (´・ω・)bはじめちわ!!
 ユウキです。
 今回のシナリオは簡単に言うと、「悪い事しようぜ!」ってシナリオです。
 はい、某ゲームの影響です。
 本来なら戦争シナリオ書くべきなんでしょうが、今のワールドには一切と言って差し支え無いほどネタが出てきませんでした。
 仕方ないね。
 一応最初にプロローグと各章始めに断章を書く予定です。
「それでは皆様、良い狩りを……」
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第1章 集団戦 『ヴィクティムトルーパー』

POW   :    処刑
【相手の頸椎をへし折る事】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    邪神捕獲指令。支給弾薬装填。
いま戦っている対象に有効な【特殊弾】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    &jadjg&m?!gbjgltbnl!!
【精神支配する邪神の力を解放した異形】に変形し、自身の【人間の肉体と、武器を使用する程度の知性】を代償に、自身の【精神支配する邪神に応じた能力】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「異常無し!!」
 ……こいつらは他に言葉が言えないのか。
 ここの警備主任の座に落ち着いて早ウン年。
 施設内を彷徨くガスマスク連中から他のセリフを聞いた憶えが無い。
 少々不気味ではあるが、当然といえばそれまでなのかも知れない。
 こんな私設警察まで持っているような大企業の研究所を襲撃するような馬鹿が何処に居るというのか。
 まぁ、おかげで私はデスクに座って日がな一日、ガスマスク連中の報告を聞くだけでそこそこ優雅な暮らしが出来る訳だが……
 ……そういえば最近、若い女が警備隊に入っていたな。
 アドバイザーだとかなんとか。
 口はキツイがなかなかの美人だった。
 今晩辺り誘ってみてもいいかもしれない。
 こんな代わり映えのしない日々なのだ。
 少しは……
「敵襲!!」
「……へ?」
 反射的に向いた監視カメラのモニターに映る武装集団。
 何かを叫びながら、どんどんと内部に侵入している。
「う……嘘だろぉ!?」
 その日私は、始めてガスマスクの違うセリフを聞いたのだ。
 ……最悪の形で。
レア・リリシエル
盗みは職員がやるみたいなので私は「強盗です!」と叫んで囮になります…!
そしてとりあえずお面をつけて顔は隠します…!
相手を傷つけないように気をつけて杖から氷を放って動きを封じておきます!
…初めてこんな悪いことをしてしまいました……もうこんなことはしないようにしたいですね…


ジェイ・ランス
【SPD】※アドリブ、連携歓迎
■心情(マスクをして丁寧語で登場)
Go to 強盗。何を考えているのかと思えば、なるほどUDC関連の襲撃計画でしたか。
ならば適当に、金目の物を出せと騒いで適当に重要書類のようなものでもかぱらってきましょうかね。
どうせ、私は囮なのですから。

では―――Ubel:Code...

■行動
主に"爪"と"牙"を武器として使用。”事象観測術式”による【情報収集】から【偵察/索敵】を行い、敵に対しての切り札としてUCを使います(鎧無視攻撃、鎧砕き)。
【鍵開け】や【ハッキング】で通路を開けて侵入し、閉所を想定して”重力制御術式”による重力障壁(オーラ防御)にて防御行動します。



「ご……強盗でしゅ!!」
 開口一番轟いた少女の一声は、ある種油断を誘うには効果的だったのかもしれない。
正面入口に控えていた受付の人間達が、皆クスクスと笑っていた。
「アハハ、こりゃあ可愛い強盗さんだ」
 ゴシックロリータの衣装にうさぎの面。
 こんな出で立ちの少女が本物の強盗だと思う人間が何処に居るというのか?
「ダメだよ君。誰にやれと言われたのかは分からないけれども、そんな冗談は……」
「おや、冗談ではありませんよ?」
 男が少女に歩み寄りながら、諭すような声音で語りかけた時だった。
 ずいぶんと落ち着いた声音が耳元で囁かれたかと思うと、次の瞬間には思い切り腕を捻り上げられる。
「ぎぃッ!?」
「……強盗です。金目の物を頂きましょうか……?」
 パラララと小気味良い銃声と共に悲鳴が轟いた。
 痛む腕をなんとかしようともがこうとしたのだが、こめかみに触れた熱い感触に一気に背筋が凍り付いて動けなくなる。
「おっと……抵抗するようなら腕を折ります。しかし、貴方がどうしても協力を惜しむのであれば……」
「わ、分かった! 分かったから!!」
 男の必死の懇願にも、その仮面の裏は変わらない。
「それは良かった。それなら、貴方の脳髄を見せしめにぶち撒ける必要は無くなりましたね」
 男が腰を抜かして倒れそうになるのを無理矢理押支えながら、仮面の男ジェイ・ランスは再び要求を突き付ける。
「金銭及び研究資料、その他金目の物を素早くこちらに用意して下さい」

──どうしよう!? どうしよう!? どうしよう!?──
 ……ついにやってしまった。
 最初から盛大に台詞を噛んでしまった事すらどうでも良くなってしまう程に、レア・リリシエルは動揺していた。
 生まれてこの方、小さな悪戯程度ならやった事はあっても、こんな悪い事はした事が無い。
 なにせ、大義名分はあれどやっている事は文字通りの強盗である。
 これから自分はどうなるのかとか、もし捕まってしまったらどうしようとか、そんな考えが脳の中を高速でぐるぐると回り続けて、最後に浮かぶ言葉はただ一つ。

 犯罪者

 若干14歳で、史上最悪の犯罪者になってしまったのだ。
「ジェイさん、右ッ!」
 しかし、それでも判断力は持続しているのは流石と言うべきか。
 右手の通路から飛び出して来たガスマスクを、咄嗟の判断で放った氷の魔法で凍てつかせて見せる。
「おっと、流石に早いですね」
 氷付けにされたガスマスク……ヴィクティムトルーパーへと狙いを定めジェイは牙を連射した。
 さて……相手がオブリビオンなら人質などなんの役にも立たないし、殺すことを躊躇する理由もない。
「さて……始めましょうか……ッ!」
 史上最悪の強盗作戦を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
※バラクラバを被って身元を隠す
心情・理由:ほーそりゃ良い話だ、武侠戦争で消耗した分の補填が出来るってもんだぜ。

手段:目的地は警備室、そこを制圧出して館内の掌握を試みる。

軍用大型トラックに乗って正面セキュリティゲートの金網を突き破りながら研究所入り口に突入、トラックは運び出しに必要だしどうせドンパチするんだ、派手に行こう!

武装警備員はどうせオブリビオンかPMCの連中だろ?
なら遠慮はいらねぇ、【完全被甲弾】をブルパップ小銃に装填しボディアーマーごと貫く!

鍵の掛かったドアはグレネードでブリーチング…はやり過ぎか、軍用拳銃で錠前を撃ち抜いたりレーザーガンをトーチ代わりに使い溶断し突入、クリアリングだ。


九重・灯
表に出ている人格は「オレ」だ。
着てるコートに会社(所属してるUDC支部)のマークが付いてるからガムテープ巻いて隠しておく。
顔は覆面でもしておけば良いか

「ヒャッハー! 金庫はどこだあ? こっちかあ!?」
機関拳銃、ヴァジュラを天井にブッ放す。
(猟兵が強盗なんて世も末ですね……)
頭の中にもう一人の自分に声が響く。
オイオイ、その終末を回避するための金がいるんだろうが。
まあ、それはそうとなんか楽しいなコレ。クセになりそうだ!

敵が出てきたな
UC【ウィル・オ・ウィスプ】召喚。適度に合体させて妖しげな光で敵の視線を誘導。ぶつけて自壊させて焼いたり、横から銃弾撃ち込んでやる
『催眠術5、おびき寄せ3、不意打ち5』



「おー、おー。警備員にしちゃあ随分物々しい連中が来なすった」
 黒い覆面の裏で、すぅとその目が細くなる。
 少なくとも、相手は特殊部隊みたいな格好に身を包んだ連中だ。
 それも、機関銃まで持ち出してきている。
 いくら重要な施設と言ってもたかが警備員のする装備ではない。
 十中八九まともな相手ではないのは確かだろう。
 あのガスマスクにしたって、ガラス部分にわざわざ濃い着色ガラスを使う理由はなんだ?
 それは顔を見られると不都合があるからだというのは容易に想像が付く。
「民間のくそったれ共か、化け物か⋯⋯」
 ライフルに弾倉を装填しながら呟いた。
 前者であれば少なくとも殺すのは容易い。
 後者であるならば、その肉体強度が人間と同等であるという保証がない。
 だが、どちらにせよ変わらない点が一つだけある。
「ま、どっちにしてもぶっ殺したって後腐れはねぇわな⋯⋯ッ!!」
 先程響いた子気味良い発砲音よりも重い射撃音が、リズミカルに響いた。
 何度も指を切りながら、数発ずつ目の前のターゲットに数発ずつ弾丸を当てていく。
 反撃に放たれる射撃を近くの柱の陰でやり過ごしながら、ちらと撃ち込んだ相手を観察した。
 ぴくぴくと痙攣してはいるが、動き出す様子はない。
 死んではいないようだが、少なくとも弱点は人間と変わらないようだった。
「ハーハッハァ!!」
 ふと響いた随分と楽しげな声に目線を移せば、これまた自分と同じような覆面を被った猟兵が適当に銃を乱射しながら叫んでいる。
「金庫は何処だぁ!? 言わねぇと全員ぶっ殺しちまうぞ!!」
 ⋯⋯声からして女だろうが、相当にキレている。
 あまり関わりたくないタイプだが⋯⋯
「おーい、ちょいとそこのおねぇさ⋯⋯」
「あァ!?」
 ⋯⋯やっぱり関わりたくないタイプだ。
 そう心の中で呟きながら、ヴィリー・フランツという名のその男は女を呼んだ。


「いやっほう!!」
 放たれる銃弾、吹き上がる血しぶき。
 踊れ、踊れ。
 死に際のワルツをもっと踊って見せるがいい。
「さぁ! 死ぬか、金を出すか!? オレはどっちでもいいんだぜ!?」
 銃弾を雨のようにばら撒きながら笑う自分に呆れるかのように、心の中の自分が呟いた。
 ――猟兵が強盗なんて世も末ですね……――
 何を甘いことを。
「正義ってやつにも金が必要だってグリモアの兄ちゃんも言ってたじゃねぇか。必要悪ってやつだぜ兄弟。楽しめよ!!」
――誰が兄弟ですか⋯⋯――
 大義名分はあるのだ。
 なら、久方ぶりの大暴れを楽しまない方が損というものだ。
「ハーハッハァ!!」
 もう一人の自分が再び呆れたような溜息を吐いたのが聞こえたが、アレがそう言う性分なのは分かっていることだ。
 もちろん、オレがこういう性分なのもアレは良く分かっている。
 好きに楽しませてもらうさ。
「おーい、ちょいとそこのおねぇさ⋯⋯」
「あァ!?」
 ふと話しかけられて、せっかく楽しんでいたのを邪魔されたような気分になった。
 そのまま声の方向に顔を向けると、この強盗に参加した猟兵の一人――名前は知らん――が小さくこちらに手招きしている。
――何か話があるんでしょう⋯⋯変わってください――
 もう一人の自分が、男の考えを理解したのかそう呟いた。
 ⋯⋯クソッ。
 せっかくいいところだったというのに。
――変わってください――
「わぁったよ!! すぐ返せよ!!」
 そう言って、おとなしく体の主導権をもう一人に渡した。
 ⋯⋯少なくともこういう時に反抗すると暫く表に出してもらえないかもしれない。
 不本意ながら、絶対的主導権はあちらにあるのだ。
 さっと目つきが変わると、素早く男の方に駆け寄り聞いた。
「なんでしょう?」
 先ほどまでのだいぶキレた物言いとは打って変わった落ち着いた声音に目を丸くした男に、アレは気にしないでくれと言うと、男はまぁいいかと話出す。
「このまま暴れててもいいんが、本来の目的が万が一にも失敗するのは出来れば避けたい。そこで警備室を攻撃してシステムを完全にこちらで掌握しようと思ってな⋯⋯手を借りたい」
 簡潔に男がそう告げると、少し考えこむ。
 ⋯⋯確かに予定にはないが、ここで金を出せと暴れて本当に金庫に向かわれても困るし、警備システムを掌握すれば最悪でも時間稼ぎは可能だ。
「分かりました⋯⋯聞こえましたね?」
 もう一人の自分に問いかける。
――わかったから早く返せ!!――
 ⋯⋯まったく。
 勿論戦ってくれているのは助かるのだが、これで変な癖でもついてしまったらどうしたものか⋯⋯
 再び主導権を彼女に明け渡すと、彼女は行くぞと叫んで先陣を切る。
「おい、警備室の場所分かってんのか!?」
「うるせぇ!! 暴れながら探しゃ良いんだよ!!」
 ⋯⋯⋯⋯不安だ。
 心の中で、九重・灯はため息をつく。
 変な癖がつかないよう、もう一人の自分はしっかり私が監督せねば⋯⋯と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰樹・ユハナ
「全くもって嘆かわしい……天使が強盗などしてみろ、天界からも出禁になってしまうじゃないか」

言葉とは裏腹にとても楽しそうな声音で研究所の屋上に立っていた。人間世界に溶け込めるようにした姿になり、何処かの露店で買った狐のお面を顔に被せて「果たしてこれで誰か分からなくなるのか?」という一抹の不安はどこかに置いておいて。

「さて!」
彼女が徐に手を上に挙げて合図のように手を叩く。すると途端に施設内に不審な爆発音が飛び交うであろう。開戦の合図…とまでは行かないが、陽動には丁度良い爆発ではあるだろう。後は他の人に任せれば上手くいくはず!多分。

ユハナは爆発音を聞きながらお得意のローラースケートで踊り始めた。


ラピリス・マナフィールド
ふむ…、本作戦は
資金源を断つ、研究資料を入手するでしょうね

その為には超大製薬企業【Mentors(メンタース)】の本社
ビルの中の把握、偽装カードキー
それと奪取までの時間稼ぎ、脱出時(逃走時)の非戦闘の護衛
そして脱出

…冷静に考えるとやる事が沢山あるわね。
脱出時のヘリは用意してくれるのかしら?
少なくとも徒歩じゃ話にならないわよ


ヴィクティムトルーパー
……ねぇ、スズキ氏
これと呼んだ方がいいのかしら

きな臭い感じがするわ。資料をもっと頂戴…。いつのタイミングでもいいわ


全身を支給された軍服で着込み
脱出時に銃撃戦に参加する
ガスマスクとボイスチェンジャーを装着

「こっちだ!」
UCとM3サブマシンガンで支援する


化野・花鵺
「ふむ…つまり、ありえん格好をしていけば良いのじゃな?ならば、これはどうじゃ?」
狐、化術使い顔はユウキ氏で身体はボンキュッボンのトランジスターグラマーに変化した

「どうじゃ、これならありえんじゃろ?な、な?」
狐、自慢げにくるくる回った(なお、止められなければ本気でこれで行く予定(笑

「ヌシらごときの呪詛など片腹痛いわ。妾がヌシらに本物の呪詛を教えてくりょう、ホホホホホ」
「狐の呪詛」で、敵に不幸の連続プレゼント
敵を操ろうとして味方を操る
靴紐が切れて転び仲間の攻撃が直撃する
回避しようとして味方を巻き込み転倒する等々

「ヌシらが何を支配しようが、始まった不運は変わらんからの。せいぜい踊るがよいわ、ホホホ」



「ほほほほほ! これなら人としてありえんじゃろ!!」
 ……少し遡る。
 各々が強盗の為のマスクなどを準備していた時の事である。
 非常に上機嫌な高笑いに目を向けた猟兵達が、尽く凍り付く光景が、そこにはあった。
 首から下はグラマーな女性のそれである。
 余程特殊な性癖の男でなければその視線は釘付けになる事間違い無しだ。
 ……だが、その顔を見た瞬間、別の意味でその女体に釘付けになる事になるとは誰が思っただろう。
「どうじゃ?」
 ……その顔は、ついさっき自分達を送り出したグリモア猟兵のそれだった。
 どう見ても男の顔に、途轍もなくグラマーな女の身体が付いている。
 ……酷い悪夢のようだった。
「よし、これで行くとするかの!!」
「ちょっと待ったぁ!!」
 そのまま強盗に向かおうとするその化け物……化野・花鵺を止める者が居た。
「なんじゃい?」
 せっかく意気揚々と繰り出そうとしたところで足止めを食らって、少々不満げである。
「顔!!」
「顔? ……あぁ、似とるじゃろ?」
 ……。
「あほかぁ!!」
 そう叫びながら、ラピリス・マナフィールドは無理矢理にその頭部にマスクを被せる。
 何をするのかと抵抗する花鵺であったが、その後彼女は長々と説教を受ける羽目になる。
 ……その顔のまま行ったら、何かしらの関係性を疑われる恐れがある。
 少なくとも、他人の顔で強盗を行う者が何処に居るのだ……と。


「全くもって嘆かわしい……天使が強盗などしてみろ、天界からも出禁になってしまうじゃないか……」
 狐の面を被った少女が、空を見上げながら物憂げに呟いた。
「……とかなんとか言いつつ、楽しんでるんでしょ?」
「あ、バレました?」
 態々屋根の上のこれまた目立つ監視塔の上にまで登った挙げ句、そんな小芝居を打ってみた少女、灰樹・ユハナに対して、少し呆れたようにラピリスは指摘する。
 何か面白い物を見せると言ってここまで護衛させられて、まさかその面白い物が小芝居なら憤慨するところなのだが……。
「それでは皆様御清聴。これより見せます天使のショーをとくとご覧あれ!!」
 妙に芝居がかった様子で手をかざすユハナ。
 その響き渡る大声に、周囲に展開していた警備兵達の視線がいっぺんに集まった。
「ちょっ!?」
 これでは、わざわざ自分達を撃ってくれと喧伝するような物だ。
 当然、警備兵達の銃口はユハナへと向く。
「危な……」

 パァン!!

 ユハナの掲げられた両の手が打ち鳴らされる。
 ……次の瞬間、あちこちで次々と大爆発が起こり始めた。
 爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる者。
 不意の爆発に気を取られ、困惑しながら周囲を見回す者。
 吹き飛ばされて来た同僚の一部に発狂する者。
 阿鼻叫喚の地獄絵図が、眼下の世界に描き出される。
「さて……とりあえず後は話が進むまで踊ってましょうかね?」
 そんな眼下に描き出された地獄をまるで意に介さずに、ユハナはそう言った。
 彼女は天使だ。
 ……だからこそ、高き清浄なる空にて踊る。
 眼下に広がる地獄など、彼女の知った事では無い。
 たとえそれが自身の生み出した物であってもだ。
「うわぁ、派手にやるなぁ……」
 本当に踊りだしてしまったユハナを尻目に、眼下の世界に目をやるラピリス。
 だが、この混乱は好機だ。
「それじゃ、必要なら後で迎えに来るからね!!」
 そう言いながら地上へと飛び降り、慌てふためく者達に45口径の雨を浴びせながら駆け出して行く。
 この状況なら、金庫に向かった回収班にも援護に向かったほうが良さそうだ。
 これだけ大規模な爆発が起きれば、あるいは重要な防衛地点に兵を固める可能性がある。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
連携アドリブ歓迎
好きに暴れるだけで
大金が手に入る仕事と聞いて飛んできたぜ

あたしはバラクラバ(目出し帽)被りゃいいが
ビッグタイガーはどうすっかな
折角だし
普段やらねーようなカラーで塗装してみっか
このツヤッツヤの赤とかどーよ?
(無反応。派手な色は嫌らしい)
ヘソ曲げんなって
仕事が終わったら
(燃料になる)高ぇ酒買ってやっからよ

スモーク焚いて
タンクモードで突っ込むぜ
車体前面の盾と側面のパイルバンカーで
入口を粉砕しつつエントリーだ
後はビッグタイガーから降りて
機体を盾に『ステープラー』で制圧射撃
ビッグタイガーは適当に威嚇射撃頼んだ
こっちの装甲は物理耐性特化だぜ
そう簡単にブチ抜かれっかよ
(ビームだけは勘弁な)



「あぁ……なんなんだお前ら!? お前らはいったいなんなんだ!?」
 入口での少女達の侵入。
 警備室の掌握。
 研究所中に仕掛けられていた爆弾の一斉発破。
 そして……だ。
 警備主任の男は、目の前の巨大なコンクリート塀をぶち破って現れたそれに激昂とも悲鳴とも取れる声を上げた。
「あー、見てわっかんねぇかな?」
 覆面の裏で、女はまるで牙を剥くように口角を上げて笑った。
「ドロボーさんでぇす♪」
 そのまま、保持した機関銃を乱射しながら高笑いを上げる女に恐怖した警備主任は、腰を抜かしながら、失禁しながらも逃げ出して行く。
 子供に、数の差をものともせず警備室を掌握したり、最新の警備システムをすり抜けて爆弾を仕掛けられるようなプロに……
 そしていま目の前で機関銃を乱射した女は、まるでスポーツカーのようなピカピカのキャンディレッドに塗られた戦車で塀をブチ抜いて現れやがった。
 イカれてる……
 こんなのきっと悪い夢だ……


 「あァ!? クソッタレが!! ピカピカの車体に傷付けやがったなテメェ!!」
 泣きわめき、失禁しながら逃げていった男に変わり、次々と現れた黒いガスマスク集団の射撃を車体裏に隠れて防ぎながら女……チェスカー・アーマライトは叫ぶ。
 キャンディレッドに塗られたキャバリア――彼女はビッグタイガーと呼ぶ――はこの派手な色に少々不満を漏らしていたが、チェスカとしてはなかなかに気に入っていたというのに。
「くたばれコスプレ野郎共が!!」
 車体の影から銃口だけを覗かせた制圧射撃を掛けるが、如何せん数も多ければ感だけに頼った射撃は見てくれは良くとも制圧力を著しく欠く戦い方だ。
――これじゃジリ貧だな――
 派手な登場は当然敵の注意を引くためだが、もちろん大量の敵を集めてしまった以上下手に顔を出せば次の瞬間に額に穴を開けるような自体は容易に想像がつく。
「あぁ、クソめんどくせぇ!! ビッグタイガー!!」
 手持ちの機関銃で制圧できないのなら。
 チェスカの呼び声に、キャバリアの砲塔が敵の方へと首を振る。
「纏めて吹き飛ばせ!!」
 ビッグタイガー生身の敵への戦車砲による文字通りのオーバーキルを、彼女の号令で無慈悲に遂行し始めた。
「こうなりゃヤケだ!! 死にてぇ奴から前に出な!!」
 このまま敵を釘付けにする。
 後は回収班が作戦を成功すれば大金が手に入るのだ。
 これは必ず成功させる必要がある。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黒き戦禍『鳴宮・響』』

POW   :    血華響鳴(コール・イン・ザ・ブラッド)
自身の【瞳の奥に赤い光】が輝く間、【半径Lv二乗mの範囲内にいる生命体全てへ】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    千篇万禍(ゼロ・ミリオン)
【全知覚を用いた観察によって得た行動予測】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【精確に急所を射抜く銃撃】で攻撃する。
WIZ   :    確定予測(カリキュレーション)
【相手の動きを注視し、癖を読み取ることで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は鳴宮・匡です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「よし、ショッピングはここまでだ!! 行け! 行け!!」
 ずいぶんと派手に暴れてくれた物だ。
 おかげで金庫自体への注意は逸れ、各員の鞄ははち切れんばかりの現金と研究資料に満たされている。
 後は用意していた装甲バンに乗り込んで、回収地点まで逃げれば良い。
 史上最悪の強盗作戦は無事完了する。
「逃げられるとでも思っているのか!!」
 凛とした女の怒声が響き、回収班の隊長がやはり上手くはいかないかと悟るのに、一秒の隙も無かった。
「プランB!! 攻撃部隊にも連絡を!!」
 数人の部下と共に自分のバックを味方に渡し、即座に戦闘態勢に移る。

 プランB

 万が一敵にバレた場合、猟兵を呼びつつ隊長含む数名が足止めをして、金品を持った部下を逃がす作戦だ。
「小賢しい真似をッ!!」
 追跡に掛かろうとする女や、ガスマスクの部隊に射撃を加えつつ、その場の障害物を盾に即席の防衛線が構築された。
「死んでも追跡させるなッ!!」
 
チェスカー・アーマライト
連携アドリブ歓迎
RTB (基地に帰還)するまでが強盗だぜ
踏ん張って逃げろよ
殿は任せとけ
ランナーをホームへ返すのがバッターの仕事
アウトは取らせねー
絶対にな

ビッグタイガー、スタンディングモード
これで車高も車幅もデカくとれる
逃げる連中と敵の間に陣取って射線を遮るぜ
物理弾相手なら機体の装甲でどうとでもなる
必要ならスモークも撒いて
両手の火器をフルオートでブッ放して弾幕を張るぜ
追跡してくる車両とかが優先目標だ
歩兵に近寄られても
トレンチャーの散弾の射程に入るから問題ねぇ
ブースターの噴射炎も
生身相手ならいい牽制になるだろ
あんまり動き回らず
こっちにヘイトを集めたい
文字通りのタンク(盾)役ってヤツだな


ヴィリー・フランツ
SPD
心情:(舌打ち)そうは問屋は卸さないか、援護せんと今までの苦労がパァだぜ。

手段:「待ってろよ、俺のPay!」
去る前にグレネードを警備室に放り込んでおく、敵に再利用されてもつまらんし、監視映像共々俺達の記録は抹消した方が得策だしな。

こういった時は相手を無理に撃退する必要はない、要は回収班を先に逃がせば勝ちだ。

という訳で遅滞戦闘だ【ゲリラ戦闘技術】を見せてやる、回収班と合流する前に撤退経路の扉や、通路の角にプラズマグレネードやガスグレネードのワイヤートラップを仕掛ける、合流後通過する度に作動状態にすりゃ後続の敵が引っ掛かる寸法だ。

後は適度に小銃で牽制射撃や制圧射撃を食らわして足止めを試みる。


ラピリス・マナフィールド
「見つかったかッ!
  そう簡単にはいかないな!」

全身を支給された軍服で着込み
ガスマスクとボイスチェンジャーを装着
M3サブマシンガンをリロードして、遅滞戦闘に移行
初戦の殿を務める

UCは快速を使い速度向上。
逃走ルートに[C4]設置して、進路妨害
※可能であれば階段、機械室、エレベータ

今は戦闘中無駄口を叩いている暇は無いわ
…という事で戦闘に専念

ほら行きなさい
任務に集中なさい
理由がどうであれ、あれらは過去から染み出したものよ
ヒトであってヒトじゃないわ、だから容赦なく銃撃を浴びせればいいわ

人狼の身体能力でビルと飛び移ったりして撤退
追い詰められたら【Schwertleite】の力、借りるわね…?


ジェイ・ランス
【POW】※アドリブ、連携歓迎
■心情(引き続き仮面を被り丁寧口調で)
おやおや、ガスマスクの次は随分と可憐な方が出てきたものだ。隊長か何かかね。
しかしこちらも仕事、足止めさせていただく。
足止め、つまり、動く必要はないということ...

ならば、―――Ubel:Code...

■行動
”事象観測術式”にて【情報収集】しつつ【索敵/偵察】し、【瞬間思考力】によって正確に囮になり、【時間稼ぎ】します。
UCに【呪殺弾/誘導弾】を乗せて、”機関砲”や”砲塔”と共に【一斉発射】、【なぎ払い】ます。

私に釘付けにさせて頂くよ。


九重・灯
あぁ、プランB? 
(早く別動隊と合流を。時間を掛けていられませんよ)
頭の中にもう一人の自分の声が響く。
まあ、モタついたら外から敵の増援が来て、周辺住人を巻き込んで戦争になる可能性もあるかもだしな。
もちろんそんなコト望んじゃいねえよ。オレたちセイギノミカタだからな!
(……最後のは悪い冗談にしか聞こえませんよ)

よお。生きてるかあ、隊長サン?
まったく撤退戦は地獄だよなあ。
UC【影の森】。自身の生命力をカゲツムギに注ぐ。影が床や壁に広がり黒刃が乱立する。攻撃ついでに一時的な目眩ましにもなるだろ。
『串刺し8、貫通攻撃5、範囲攻撃5、目潰し3』
目の前のヤツら片付けてさっさとズラカるぞ!


化野・花鵺
「こなたの人員は、全て妾が運んでしまえば問題なかろ?」
狐、くわっと大あくびした

「あれらと戦うつわものは充分揃っておるからの。ヌシらはまとめて逃げるがよかろ…管狐!とっととあちらの全員を連れてこよ。式神はあのおなごの目眩ましじゃ…はよぅ行け」
「ヌシらはしばし妾の宿で休むが良いわ」
管狐に案内させて金塊等運搬者も別働隊の隊長達もどんどん竹筒で触れて「狐のお宿」に招待
式神を鳴宮周囲に羽虫のようにブンブン纏わりつかせ気を散らせる

「眼福眼福…ヌシは他の者共と遊んでいくが良いわ、ホホホ」
味方のUDC側人員全回収したら即逃げの一手
敵の攻撃は野生の勘で避け衝撃波で弾きオーラ防御で受け残像も駆使し安全圏まで撤退



『プランB!!』
 用意されていた通信機に、回収班からの怒号が入る。
「見つかったか!?」
 ラピリスはそれを聞きながら、T字路の角に陣取る相手に銃撃を加えながら舌を打つ。
 本来ならもう少し早く辿り着けたはずなのに。
 不意に遭遇した相手に防戦を徹底され、合流地点を前に足止めを余儀なくされていた。
 いくら熟練の職員といえど、相手がオブリビオンである以上長くはもたない。
 この場での数秒のロスが作戦の……否、職員の生死に関わる。
「くっ……」
 ここは、多少の被弾に構わず突撃するしかない。
 でなければ職員は全滅し作戦失敗。
 準備も命もすべてが無駄になる。
「ははははは!!」
 ラピリスが覚悟を決めた瞬間だった。
 壁を思い切り砕くような凄まじい音が前方から響き、続いて警備隊の慌てふためく叫びが上がる。
「オラオラ逃げろ!! 轢き殺しっちまうぞ!!」
 ラピリスの視線の先。
 キャンディレッドの機体が壁を削り崩しながら防衛部隊を無理矢理薙ぎ払って金庫の方向へと爆進していく様が映り、一瞬にして消えた。
「ハハ……無茶するなぁ……」
 だが。
 新しい弾薬を装填し、装備を再び整えると後を追う。
 方法はどうあれ、今は金庫に向かうのが最優先だ。


「さて……Pay back Timeってやつだな、くそったれめ」
 ピンを抜いた手榴弾を背後に放りながら、ヴィリーは舌を打つ。
 いつもそうだ。
 上手く行けば楽な仕事ほどこうやって面倒が起こる。
 ……結果として、最初から面倒だと分かっていた仕事以上に手間が増えるのだ。
「さて、早く行こうぜ?」
 キレた多重人格の女……灯とか言ったか。
 一応通報装置は停止させたし、
 メインの記録端末とサーバーは先程の爆発で物理的に黙らせた。
 警備室は完全に機能停止、これで少なくとも撤退の時間は稼げるはずだ。
 ……金庫についたらポケットの中に現金でも詰めてから逃げるとしよう。
 こいつは追加報酬案件だ。

――早く別動隊と合流を。時間を掛けていられませんよ――
「わぁってるよ」
 もう一人の自分が急かして来るが、自分も別にバーサーカーではない。
 一人で敵陣に突っ込んでも良くて大怪我。
 最悪は、袋叩きで“二人”纏めてあの世行きなのは考えるまでもない。
「まぁ、待てって」
 こういう時の判断は少なくともこちらのほうが冷静だ。
 もう一人は職員の人命という点で焦っている。
「OKだ、行くぞ」
 ヴィリーとか言う男がそう呟いて武器を構える。
「うっし、待ってました!」
 こちらもそれに合わせて構えると、歩調を合わせて金庫へと走り出す。
「さぁ、後は徹頭徹尾暴力の出る幕だ。暴れるぜ!!」


「くそったれが!!」
 なんて女だ。
 6人で銃撃しているのに殺すどころか傷一つ付いた様子がない。
 十中八九オブリビオンというやつだろう。
 もちろん相手にするのは初めてではないが、その強さには恐怖すら覚える。
 ……だが、相手も攻めあぐねているのは事実だ。
 こちらも未だ死傷者は無く、撤退チームは今頃バンに乗り込んだ所だろう。
 倒せずとも良い。
 我々の仕事は足止めなのだ。
 後を考えれば倒すべきなのだろうが、我々にその力は無いのは理解している。
 ならば……だ。
「……釘付けにするッ!!」
 ただ一つそれに徹する。
 それが……
「一番槍ィイッ!!」
 爆音と共に背後の壁がぶち抜かれた。
 女の怒号と共に現れたキャンディレッドの車体。
 それはラッパと共に現れた戦乙女……
「にしちゃあ派手すぎるな!?」
 現れた車体に素早く回り込み、盾にする。
「徹甲弾にキスしな、クソったれ!!」
 チェスカーのキャバリア【ビッグタイガー】の砲身が火を吹いた。
 先程まで敵の居た場所が吹っ飛んで派手な土煙が上がる。
「間に合った!!」
「おい!! 俺の追加報酬まで吹っ飛ぶだろうが!!」
 続いて現れたラピリス。
 そして、ヴィリーが悪態と共に現れ制圧射撃を掛ける。
「そこの趣味の悪い戦車は壁になりながら後退。んで、ボインの姉ちゃんは俺と一緒に機銃代わりに制圧しつつここを離れるぞ」
「このセクハラ男ッ!!」
 キィと牙を剥くラピリスだが、怒るのは今やるべき事ではない。
「倒さなくていい。今日の仕事はそれが目的じゃねぇ」
 そう言いながら車体に飛び乗るヴィリーに、ラピリスが続く。
「私を倒す……貴様らまさかッ!?」
 オブリビオン。
 生前、鳴宮・響と呼ばれた女の怒号は無為だ。
 全速力で後退を開始した車両に足で敵うはずもない。
 土煙が晴れ、あたりが静かになるのを待って顔を出せば、そこにあるのは瓦礫と味方の死体だけだ。
「……猟兵」
「おや、気づかれましたか?」
 その呟きに対し帰ってきた言葉に身構える。
「ふん、正義の味方が聞いて呆れる」
 そう悪態を付けば、そこに居た猟兵達は小さく笑った。
「悪党相手にゃ何しようが正義さ。正義なんざ悪の対義語でしかねぇ」
 灯の言葉に、花鵺は同意を示した。
「然り。正義だの悪だの……そんなものはあやふやで掴み所無く、時代が変われば定義も変わる……ただ“その程度”の物でしか無いじゃろう?」
 ただ。
 今この場で確かな物が一つある。
「我々は少なくとも敵同士……そして貴女は、倒すべき世界の癌です」
 ジェイの言葉で、4人は武器を構えた。
「確かに……では、死合おうかッ!!」
 向こうは目的を果たした。
 ならば、少なくともこちらにはもう戦う意義はない。
 既に負けている。
 だが、向こうもそれは同じはず。
 目的を果たしたなら戦う意味はない。
 いや“やつらの雇い主の目的”はどうあれ奴らには別の大義がある。
 オブリビオン……それを駆逐するという大義が。
「行け、式神よ!!」
 花鵺が牽制の式神を放つ。
 白い紙の人型がまるで意思があるように中を舞い、響に襲いかかった。
「甘い!!」
 素早くピンを引き抜いた焼夷手榴弾を投げながら飛び退き、先程確認していた猟兵達に向け銃撃を放つ。
「当たりませんよ」
 だが、猟兵とて愚かではない。
 花鵺の牽制と同時に素早く位置を移動し、制圧射撃を掛ける。
 目視は互いに利かずとも、数の上では3対1。
 射撃戦となれば密度が違う。
「ならば!!」
 爆発した手榴弾で燃える火の中へ飛び込む。
 肉薄すれば銃撃は行えない。
「狐火!!」
 花鵺は、飛び込むオブリビオンに本命の攻撃を叩き込む。
 既に相手の視界は火の海だ。
 飛んでくる火の玉の見分けなどつくはずがない。
「貰ったぞ!!」
 ……視界が歪む。
 炎で焼かれる身体が熱い。
 ……だが。
 目の前に映る敵に、そのまま飛び込んだ。
 たとえ一人しか殺れずとも……否、一人殺れたならそれはこちらの勝ちだった。
「……させませんよ」
 灯に飛び付くオブリビオンを、ジェイの射撃が止める。
 複数本の砲塔から放たれる銃弾が肉体を抉り、飛び付く勢いを殺す。
 床に倒れ伏し、勢いを増す炎の中で響は笑った。
「……無駄だ。私は……何度でも……」
 銃声。
 彼女の言葉が終わる前に、ジェイはその引き金を引いた。
「蘇んねぇで寝ててくれよ、面倒くせぇ」
 動かなくなったオブリビオンを見下ろしながら、灯が小さく呟き、
「……行きましょう。あまり長居をすれば今度は地元警察が来ます。彼らは敵ではありませんからね」
 銃を仕舞いながらジェイは踵を返す。
「……で、ワシらは何処に逃げれば良いんじゃ?」
『あ……』
 遠くから、パトカーのサイレンの音が響き始めていた。
 

 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『避暑地でくつろごう』

POW   :    こんな気候の良い場所なら運動は楽しいだろう

SPD   :    観光していろんな自然や活気を見て回るのは士気が上がる

WIZ   :    のんびりと別荘内で昼寝やネットサーフィン等のインドアな趣味を楽しもう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふぅ……」
 吐息が白く濁る。
 先日の戦いが嘘のようだ。
 鳴り響くサイレン。
 地元警察とのカーチェイス。
 遅れて逃げた猟兵を回収するためにわざわざ現地に戻るなんて事もあった。
 その後は暫くあちこち移動しつつ、最終的にはここ。
 日本は北海道の釧路まで逃げ切った。
 この時期、閑散としたこのロッジにはあまり近づく者も居ない。
 少なくともすぐに追手が掛かることもあるまい。
 ……さて。
 もうすぐUDCが金と私達を回収しにやってくる。
 外をちらつく雪に、室内は暖かな暖炉と酒。
 ささやかな静寂と共に一仕事終えた余韻に浸る。
 猟兵達は何をしているだろうか?
 
九重・灯
今回は「わたし」と、
もう一人の自分も一緒に居ますよ。そこの暖炉の前のソファーでだらけてます。
UC【オルタナティブ・ダブル】
常に一緒の体に居ると疲れるじゃないですか。オフの時は大体こうしてますよ

わたしはUDC組織の人と報酬について話します。
それなりのお金は頂きますけど、ほとんどを組織に返還します。
身に余る大金なんてトラブルの元ですから。

「なんだよつまんねー。地下の秘密基地付きの豪邸とか建てりゃいいのによ」
ソファーから茶化す声が飛んでくる。
……とにかく、お金は日本円で振り込んでもらいます。

「お、高そうな酒があるじゃん。味見くらい良いよなあ?」
ダメに決まってるでしょ。わたし達未成年なんだから!



「えぇ、ですから報酬については……はい……はい。よろしくおねがいします」
 パチパチと音を立てる暖炉の横で、灯は受話器越しに職員と会話していた。
 報酬についての話だ。
 だが、増額というわけではない。
 むしろ高すぎる報酬を組織へと譲渡したいという話だった。
 確かに金は重要ではあるが、身に余る程の金はえてしてトラブルを生む。
 必要最低限、多少の贅沢が出来れば充分以上だ。
 話を終えて振り返ると、少しつまらなそうにこちらを見ている自分が居た。
「なんだよつまんねぇなぁ……どうせなら豪邸でも立てちまえば良かったのに」
 ついでに秘密基地めいた地下室があればなお良し。
 そんなふうに冗談めかして言いながら、もう一人の私は笑った。
「そんなものどうするつもりですか……」
 私は呆れながらもう一人の自分を見据える。
 今、彼女は確かに目の前に居た。
 今回の戦いで実際に戦ったのは彼女だ。
 ……それもあって、仮初ではあるが彼女に肉体を与え、こうしてゆったりと休んでもらっているのだが……。
「それは……ほら、なんかできるだろ、たぶん」
 少し所在無さげに立ち上がってうろうろと歩きはじめた。
 どうやら、のんびりと寛ぐだけというのもあまり慣れないらしい。
「そんなものあったって、どうせ持て余すだけでしょうに」
 彼女が座っていたソファーへ、代わりに腰を下ろして暖炉を眺める。
 炎の暖かさと、薪の立てる音が心地良い。
 ……このまま少し寝てしまおうか。
 それも良い。
 ゆっくりと重たくなる瞼に逆らわず、微睡みに身を委ねる。
「お、良いもんあるじゃん」
 思考を微睡みに任せて放棄する直前に聞こえたもう一人の声に、自然と目がいった。
 何を見つけ……ッ!?
「何してるの!!」
 微睡みに攫われそうだった意識がその事態に覚醒する。
「ダメ!!」
 珍しく声を荒げる灯。
「なんだよ、硬いこと言うなって……」
 そんな彼女に気圧されながらも、もう一人の灯は再びそれ……酒瓶に手を掛ける。
「貸しなさい!! 私達まだ未成年でしょう!?」
「ははは、やなこった!」
 逃げる灯と追いかける灯。
 それはまるで姉妹のようにも見えた。
「待ちなさいっ!!」
 ……少なくとも、妹は姉が居ないと何をしでかすか分かったものではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイ・ランス
【WIZ】※アドリブ、連携歓迎
■心情
いやー、釧路って寒いな!なんでこんなとこまで逃げなきゃならんっちゅーねんなほんまにも~(キャラ崩壊)
え、静かじゃない?こんっっっっっな寒い場所、喋らなきゃやってられへんってわけですわよ!
いやいや、これでもやる事やってるからね?UCで偵察とか。ネットサーフィンで状況把握とか。
はー、はよカエリテー……

■行動
無駄口をたたきつつ、UCでの【索敵,/偵察】と、”事象観測術式”での【世界知識】による【情報収集】を行い、常に警戒しています。
また、インターネットを介して警察のネット回線を【ハッキング】。【目立たない】ように動向を探っています。



「へくちっ!!」
 暖炉に火を焚べながら、少々情けないくしゃみを上げた。
「おおぉぉぉ……寒っ!!」
 思えば、散々な目にあった。
 最期の最期で格好つけて、オブリビオンにトドメを刺したまでは良い。
 が、おかげで撤退に遅れ地元警察が来るわ、わざわざ一度撤退した部隊が再び迎えに戻る羽目になるわ、その後も無関係の人間を無駄に死なせるわけにもいかず、向こうが本気で殺しにかかって来る中でなんとか殺さないように反撃しつつ逃げるというハードモードカーチェイス。
「寒い! 疲れた!! キエェェェェエッ!!」
 思い出しただけで嫌になる。
 だが、それでも作戦は成功したしオブリビオンを骸の海に返すという猟兵の本分も過不足なく達成出来た。
 過程はどうあれ、結果は上々である。
「……お」
 そして今は、何故か分からないが最終待機地点として選ばれた北海道で寒さに喘ぎつつ、自分達の仕事がいったいどれほどの話題になったのかを調べてみている。

【二十世紀最悪の強盗事件 被害総額は国家予算並か】

【組織的大犯罪 犯行グループの黒幕は某国との見解も】

 そんな見出しの記事が、インターネットのあちこちに見つかった。
「おー」
 世界中が自分達の仕事に注目し、自分勝手な予想と持論で白熱しているが、誰一人として真実とは程遠い。
「……なるほど」
 そして誰一人として知らぬ黒幕の一人として、ジェイ・ランスは微笑んだ。





 これが“愉悦”か、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「確かに狐は冬眠も冬ごもりもせんがの。なんでこの寒いなか外に出ねばならんのじゃ。妾は犬ではないわ」
狐、首までコタツに潜り込んだ

「何をしておるか、じゃと?褒賞に選びに決まっておろうが」
狐、ばばんと分厚い制服図鑑何冊もを見せつけた

「うむ、この中学のせぇらぁは清楚で良いの。こちらの高校のブレザーもなかなか。流石原色図鑑だけあるのぅ。こちらのせぇふくは大柄な方が映えそうだの」
狐、図鑑にバシバシ付箋を貼りまくった

「なんのために、妾が竹筒を持っていると思うのじゃ。もらったせぇふくを、ぜぇんぶ保管するために決まっておろうが。早う褒賞係がこんかのぅ」
狐、寝転がってコタツに潜り込んだままウキウキした



 畳とこたつとミカンと狐娘。
 ……。
「なんじゃい」
「いや……なんでもない」
 なんか見たことある気がしたが、みなまで言うまい。
 山ほど積まれた雑誌らしき物をペラペラと流し見しながら、周囲では忙しなく小さな狐達が新たな雑誌を持ってきたり、古い雑誌の回収を行っていた。
「……なにを見ているんだ?」
 正直、猟兵の様子を見るため部屋の一つを訪ねてみたら、本来北欧風のロッジがどう見ても和の極みな見た目に変わっていた事には驚いたが、そもそも猟兵というのはそういうデタラメな事を当たり前にやってのける連中だ。
 もしかしたら、今見ている雑誌のような物も何か凄い魔術書とか、そんなもの――

 な、わけがなかった。
「ん、これか? いやぁ、せっかくの報奨じゃからの。どれを買おうかと悩んでおったんじゃよ♪」
 そう言って彼女が見せてきたその雑誌には、古今東西ありとあらゆる職業や学園の制服に見を包んだ人々の写真。
 よくよく表紙を見てみれば【世界制服大全1990〜2000】なるタイトルが書かれていた。
 ……マニアックすぎる。
「ほれ見てみぃ、この中学のせぇらぁは清楚で良いし、こちらの高校のブレザーもなかなか。流石原色図鑑だけあるのぅ……むぅ、こちらのせぇふくは大柄な方が映えそうだの……妾ではあまり似合わぬかもしれぬ」
 そう言いながらペタペタと付箋を貼っていく花鵺。
 隣に積まれた山にも付箋があちこち貼られており、小さな狐達がそれを回収しては新たな雑誌を持って来ている。
「考えてもみぃ。なんのために、妾が竹筒を持っていると思うのじゃ。もらったり買ったりしたせぇふくを、ぜぇんぶ保管するために決まっておろうが」
 ……いや、知らない。
 というか、竹筒?
 ……やはり諸人には傑物を理解することは不可能なのかもしれない。
「早う褒賞係がこんかのぅ♪」
 そんな風にウキウキしている彼女を見て、そういえば組織にも制服は有ったようなと思い出す。
 ……だが、それを話せばしばらくは彼女の制服談議に捕まる気がして、私はそっとその場を離れた。
 下手すれば、今までのリストを探させられるかもしれない。
 ……時間は有限だし、私は必要外の仕事はしない主義なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
心情:ふぃー、思ったよりも時間を食ってヒヤヒヤしたぜ、だがこれで戦争時の費用補填も出来るってもんだ。

手段:(回収班と暖炉の前でスコッチを煽ってる、テーブルの灰皿には葉巻も曇っている)
念のため大型軍用トラックを停めといて良かったな、まぁあの後白人と黒人の警官コンビに追われたり、やたら44マグナムを撃ちまくるデカや、運が無さそうなハゲの刑事も追跡してきて大変だったぜ。

「しかし何で潜伏先は極東の果てに?メキシコの方が近くて安全じゃないのか?」
俺達はお尋ね者、ニュースじゃ分離過激派はやイスラム原理主義のテロとも言われてたな、ちと派手にやり過ぎたか。

迎えが来るまで談笑しながら待つか、他の奴も出歩くなよ~



「ふぅ……」
 口から吐いた紫煙がゆっくりと上る。
 タバコと一緒に掴んだグラスを呷れば、カランと氷が小気味良い音を立てた。
「しかし何で潜伏先は極東の果てに? メキシコの方が近くて安全じゃないのか?」
 目の前で、同じようにグラスを傾ける職員にそう疑問を投げ掛ける。
 思えば、あの逃走劇はハリウッドも真っ青な代物だった。
 事実は小説より奇なりという言葉を思い出す。
「もともと、立案者……あんたらがグリモアなんちゃらって言ってるやつの所属が日本支部でな。それに、この国は犯罪者が逃げ込むとしたら一番と言っていい程候補に上がらないし、組織からの各職員や猟兵への支援が一番手厚い国だからだ」
 そりゃそうだ。
 この国は犯罪者が生きるには警察が真面目すぎる。
 それに、少なくとも犯罪者と見るや問答無用で銃をぶっ放してくるような警官も居ない。
 そして、UDCや邪神と呼ばれるオブリビオンの被害が多いこの国は、他国と比べて組織の規模が違う。
「ま、確かに俺達は何度も強盗するわけじゃないしな。それに、組織の支援が厚ければ最悪の事態でも俺たちを守りやすいってわけか」
 犯罪者として生きる訳でもなければ、逃げ込む場所として一番候補に上がらない場所を選ぶ。
 誰も予想しない場所に。
「なるほどね」
 そう納得しながら、少なくなったグラスに年代物のスコッチを再び注いで一気に煽る。
 テレビや新聞を見た限り、俺達の歴史的大犯罪は某国のテロ説や分離過激派説などの憶測に塗れ、真犯人とは程遠い。
 ……まして、極東の島国に逃げ込んだなど考えてすらいないだろう。
「いやぁ……しかしながら良い稼ぎだな」
 少なくとも今回の仕事の武器弾薬費はクライアント持ちだ。
 分配される報酬をざっと概算してみても、封神武侠界の戦争で使った武器弾薬費を余裕で上回り、更にお釣りが来る。
 これで、またしばらくは弾薬費に悩まされながら戦わなくても済むだろう。
 もうしばらくゆっくりとしていてくれと言い残し、職員が出ていったのを見送ると更に深くソファーにもたれて天井を仰いだ。
「あぁ……疲れた」
 酔も回り始め、達成感と安堵に眠気が来る。
「……ま、そこまで甘ちゃんじゃねぇけどなっと」
 そう言って上体を起こし、新しい葉巻に火をつける。
 まだ、眠気に身を委ねるには早い。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
連携アドリブ歓迎
寒い環境はあんま慣れてねーし
あたしは屋内で待機だな

待ってる間にガレージなり借りて
ビッグタイガーを軽く整備したい
キャンディレッドの塗料もしっかり落として
いつものコーティング剤を塗り直す
テカテカのお前も新鮮で面白かったが
艶もへったくれも無ぇ
いつものヤツがやっぱ落ち着くわな
今回もごくろーさん
良い仕事だったぜ

作業のお供に
ラジオでも点けるか
ビッグタイガー
コクピット内のラジオのチャンネル回して
野球の試合中継なり関連番組なり探してくれ
歌番組でもいいぞ
この国の流行りは知らんが
ロックやメタルがあれば嬉しい所だ



『さて、お次の話題は――』
 快活そうなディスクジョッキーの、とても楽しそうな声。
 正直、ラジオから流れてくる内容は刺激に欠け、呆れ返る程に退屈な内容だ。
 だが、平和な国とはこんなものなのかと若干のカルチャーショックを受けたのは認めるが、それでもつまらないとは思わない。
 合間合間に流れてくる音楽はバラエティに富み、時折流れるロックはどこの世界、如何なる言語でも刺激的だと痛感させてくれる。
「ほれ、これで良いんだろ?」
 借りた倉庫の中。
 この寒空での塗装の剥離作業は若干堪える物はあったが、その甲斐もあって目の前に佇む“相棒”は、いつも通りの無骨なブラウンに戻っていた。
《二度とあんな色は御免被る》
 “相棒”に繋がれたラップトップに、文字が浮かぶ。
「ちぇ、気に入ってたのに」
《“二度と”するな》
 再び浮かぶ文字に、頬が緩んだ。
「へぇへぇ」
 そんなおざなりな返事を返しながら、綺麗に磨いた車体を軽く叩く。
 やはり、それでもこいつはこれが良い。
 無骨で無難。
 愚鈍で重厚な動く要塞のようなコイツが、一番クールだ。
《そもそもお前は私をなんだと思っている?私は兵器だ。ナヨナヨした速さしか能がない連中みたいな塗装をしてからに、あれでは私が――》
「あぁもう! 静かだけどうるせぇ!!」
 矢継ぎ早に表示される文字列に文句を言って、ラップトップを引き抜いた。
 ……これで文句は付けられまい。
「あー、絶対内側のモニターにめちゃくちゃ説教表示されてんだろーな」
 チェスカーの予想通り、今ビッグタイガーの内部モニターにはラップトップをいきなり引き抜いた件を含めて画面が埋まるほどの説教が表示されていた。
「ま、とりあえず今日からまたいつも通りたのむわ……“相棒”!」
 そう言って再び車体を小突くと、寒い寒いと呟きながらあてがわれた部屋へと戻っていくチェスカー。
 彼女が見えなくなり、静寂に包まれたビッグタイガーのモニターに、再び文字が浮かび上がってすぐに消えた。
 それは、ログにも残らないたったの一言だ。



「お互いにな“相棒”」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月15日
宿敵 『黒き戦禍『鳴宮・響』』 を撃破!


挿絵イラスト