殲神封神大戦⑱〜のうみそくれまんどらごら
●最強のバカになれ!?
封神武侠界での戦いも、いよいよ大詰め。猟兵達は文化の祖とされる神、三皇『伏羲』の祠へと到達した。
現在、伏義はオブリビオンとして蘇ってはいない。だが、これはチャンス……と、手放しで喜べる状態ではないと、日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)は猟兵達に説明を始めた。
「えっと……伏義の祠は『無限の書架』と『さまざまな世界の言語や呪文』で満たされているんだ。でも、それだけじゃなくて、凄く恐ろしい魔力も充満しているみたいだけど……』
その魔力により、伏義の書架に収められた膨大な知識は、近づいただけで理性ある存在を『知識中毒』状態にしてしまう。人間の脳のキャパシティなど高が知れているのに、そこへ脳の許容量を超えた情報を一気に流し込まれればどうなるか。
結論から言うと、脳を破壊されて馬鹿になってしまう。あらゆる世界のあらゆる知識を吸収しようとした結果、一周廻って白痴にさせられるとか洒落にならない。
「この魔力の効果は、オブリビオンでも受けるみたいなんだ。現に、この祠の中には、知恵を破壊されたオブリビオンが大量にいるみたいだね」
これら全てを倒すのが今回の任務。幸い、敵はバカなので、そこまで複雑な思考はして来ないが……伏義の書庫は『会話や文字を操る者』を見つけると瞬時に脳を破壊しようとするため、迂闊な行動は死を意味する。
言葉での詠唱が必要な呪文の類は使うことができず、同じく書物を開くことも許されない。筆談での会話や、あるいは文字や会話と見做される絵画に動作……要するに点字や手話やモールス信号といった行動も、漏れなく書庫から目を付けられることとなる。
「こうなったら、もう言葉を一切使わないで、後はオリジナルの身振り、手振りで意思疎通する他にないのかも。あ、でも……『ものすごいバカ』になって戦えば、書庫が見逃してくれるかもしれないよ」
ただし、そのためには相当の覚悟が必要であり、バカのふりでは効果がない。しかも、ただのバカではなく『ものすごい』と来た。いったい、どれくらいのバカなら許されるのか、是非とも基準を知りたいわけで。
「そ、そうだね……。えっと……アポカリプスヘルに『かしこくないどうぶつたち』っていうオブリビオンがいるんだけど……あのくらいのバカになれば、見逃してもらえるかも……」
いや、それってもう、脳みそ半分ゾンビ状態じゃないか!
あるいは、痴呆老人とか赤ん坊とか、果ては『八百屋で大根を買ってこいと買い物メモを渡されたのに、何故か薬局で浣腸を買ってくる』レベルのバカであれば、見逃してもらえるかもしれないという。
我ながら酷い喩えだが、そうしなければ脳みそを焼かれてしまうので仕方がない。
ちなみに、出現するオブリビオンは曼柁茄。ただでさえ知恵の少なそうな妖獣が、その僅かな知恵も完全に破壊されてしまっているため、もはや本能でしか動いていない。
「曼柁茄はずっと土に埋まって動かなかったり、仲間同士で共食いしたり、意味不明な発狂の叫びを叫んでいたりするんだ。こっちもバカになって、こんなのと戦わないといけないなんて……もう、考えただけで頭が痛いよ……」
なんともカオスな戦いになりそうだが、それでも協力してくれる者はいないだろうか。そう言って、蒼は頷いた猟兵達を、伏羲の祠へと転送した。
雷紋寺音弥
このシナリオは戦争シナリオです。
1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
●伏羲の祠
知恵ある者の脳みそを『知識中毒』にして破壊する恐ろしい場所です。
言葉は勿論、文字やそれらに該当するものを操ろうとする者がいれば、問答無用で脳を焼かれます。
仲間との意思疎通は、オリジナルの身振り、手振り以外では、ほぼ行えないと考えて良さそうです。
脳が焼かれそうになった場合は、グリモア猟兵により強制送還させられるので死にはしませんが、それまでに倒せた敵の数によっては厳しい判定となります。
●『曼柁茄』(集団戦)
魔法生物マンドラゴラの封神武侠界バージョンです。
既に知性は破壊されており、本能のみで好き勝手に動き回っています。
●プレイングボーナス
『「言葉と文字」を使用せず戦う。もしくはものすごいバカになる』ことで、プレイングボーナスが得られます。
本を開く、筆談をする、点字やモールス信号などの既に一部の者達が文字や言葉として扱っている暗号を使用することも、『「言葉と文字」を使用』したことになってしまうので注意してください。
なお、ものすごいバカの度合いに関しては、以下の依頼に登場した『かしこくないどうぶつたち』を参照のこと。
このレベルのバカで、かつ人語を発することがなければ、脳を焼かれることはないでしょう。
●参考依頼(恐怖の人間工場)
(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28621)
『かしこくないどうぶつたち』は、第二章に登場しています。
第1章 集団戦
『曼柁茄』
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POW : 植栽形態
全身を【地中に埋め植栽形態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 猛毒の道草
戦闘中に食べた【自身や仲間の体】の量と質に応じて【対象は猛毒に侵され、麻酔・鎮痛効果により】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : 発狂絶叫
近接範囲内の全員を【発狂状態】にする【パニックボイス】を放ち、命中した敵にダメージと麻痺、味方に隠密効果を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬飼家・ヤング
こっ、これは……
脳みそを焼く謎パワーにパニックボイスを放つゆるキャラお野菜が合わさって
これはもう、ザ☆バカ時空!!
せやかてわいもナニワ芸人
アホアホパワーなら負けてへんで!
【バ美肉】パワァでムキムキマッチョにへ~んしん!
大胸筋が!僧帽筋が!上腕二頭筋がビクンビクン!
ポージングの度に隆起する筋肉山脈!ナイスバルク!
当然口から発するのは意味不明な掛け声のみ!
フンッ!ハッ!ポゥッ!ぶるわあああああああ!!
マッスル、そしてリアクション芸に言葉は必要あらへん!
そして5歳児のお子ちゃまが駄々こねるみたいに
適当かつ手当たり次第にフルパワーで暴れまくる!
うおーーーーーー!!
(じたばたバタバタどたばたポカポカ)
●脳の筋肉! 略して脳筋!!
知性ある存在を、問答無用でアホにする伏羲の祠。その内部へと転送された馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)は、あまりに衝撃的な光景に、しばし我を忘れて見惚れてしまった。
(「こっ、これは……! 脳みそを焼く謎パワーにパニックボイスを放つゆるキャラお野菜が合わさって……これはもう、ザ☆バカ時空!!」)
ここで、ついうっかり叫んでしまった……というようなオチは、さすがにない。だが、ヤングとてナニワ芸人の一人。あんな植物なんぞに負けていられない。
「ハァァァ……フンスゥゥゥゥゥ!!」
ユーベルコードの力を解放し、ヤングは一瞬にしてムキムキマッチョに変身した。
限界まで発達した大胸筋。溢れ出すパワーの僧帽筋。そして、漲る力の上腕二頭筋が、彼がポージングを決める度に隆起する!
それはまさしく筋肉の山脈! 最強のナイスバルクと化したヤングは、その肉体のパワーを以て、一気に曼柁茄へと突撃する!
「フンッ! ハッ! ポゥッ! ぶるわあああああああ!!」
奇声を発しながら、ヤングは手当たり次第に暴れ回った。肉体言語に文字は不要! 声も不要! 故に、いくら暴れ回っても祠に脳を焼かれる心配はない。曼柁茄たちも仲間を食べることでパワーアップしようとするが、暴走する筋肉の純粋なる暴力の前には、そんなことをしている余裕さえない。
「ウキャァァァァ!!」
「あきゃきゃきゃきゃ!!」
筋肉に潰されては堪らないと、そこら中を逃げ惑う曼柁茄達。そして、その中央で、まるで駄々っ子のように手足を振り回し、ゴロゴロと転げ回る筋肉マッチョ。
はっきり言って、これは酷い。この戦争の中でも、一、二を誇る程に馬鹿馬鹿しい戦いではなかろうか。
だが、この祠においては、むしろそれが正解なのだ。気が付けば、ヤングの身体は潰された曼柁茄の汁でベタベタになっていたが、それでも彼は休むことなく、手足を振り回して暴れ回っていた。
「うおーーーーーー!!!」
大成功
🔵🔵🔵
リオ・ウィンディア
感情で動く動物になりましょう
叫び声にはこちらもうわー!って雄叫びあげながら、
遠距離からマルシュアスを「楽器演奏、呪詛」
一応「精神攻撃」もするけれどもお馬鹿さんにはあまり効果がないかも
それでもきっと恐怖という感情は本能的にわかると思うからそれで対抗する
あとは対UC
基本近づかない
自分の音楽によるオーラ防御を併用
UC発動
詠唱はしないただ鍵を取り出す動作だけ
そしてカテーシー
呪詛と恐怖と不幸にもお亡くなりになることを願うわ
歌唱はしない
バレエ音楽を参考に
身振り手振り
マルシュアスを奏でるわ
●心のままに奏でましょう
言葉や文字を操れば、その瞬間に脳を焼かれる。ある意味、文化的なことを武器とする者にとっては、天敵とも呼べる祠である。
リオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)にとっても、それは同じだった。彼女の主な武器は音楽と歌だ。楽譜を取り出したり歌を紡いだりした瞬間、脳を焼かれることは確実であり。
(「感情で動く動物になりましょう……」)
ここは下手に歌を紡ぐのではなく、感情に従って行動することにした。見れば、何体かの曼柁茄達が、既にこちらへと向かってきており。
「あぴょぴょぴょぉぉぉぉ!!」
「わきゃぁぁぁぁぁ!!」
意味不明な奇声を発しながら、更なる混乱を巻き起こす。だが、リオはそれに負けじと大きく息を吸い込んで、可能な限りのシャウトをぶつけた。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
それは、普段の彼女からは考えられない程に、大地さえも揺るがさんほどの響きだった。デスメタルとか、そっち系のシャウトに近いものだろうか。気迫に押されてビビった曼柁茄が一目散に逃げだしたが、それを見逃すリオではない。
(「どうやら、恐怖を感じる程度の本能は残っているみたいね。だったら……!」)
戦いはここからが本番だ。逃げる曼柁茄達を狙い、まずは手回しオルガン形の魔楽器を奏でて聞かせるが、これはあまり効果がなかった。ただ、やはり恐怖だけは感じるようで、曲を聞いた曼柁茄達は、ますます混乱して逃げ惑い始めた。
(「さようなら物語、そして現実の恐怖へいらっしゃい。最終章はこれからよ?」)
心の中で呟きながら、リオは映写機の鍵から漆黒のカーテンを解き放つ。その布が齎す闇に覆われた者は、もれなく心の内に眠る恐怖を刺激され、果ては壮絶な不幸を与えられるという呪詛を受ける。
「うきゃ? あきゃきゃきゃきゃ!!」
「ぱぴぷぺぽ? ぱぴぷぺぽ? もろへいやぱぱぱぱぁぁぁぁ!!」
闇に閉ざされたことで完全に我を見失った曼柁茄達は、もはや完全なる狂乱状態。リオを発狂させるどころか、自分達の方が更に知性を崩壊させられてしまい、盛大な同士討ちの果てに滅びたという。
大成功
🔵🔵🔵
怨燃・羅鬼
アイドルならきちゃん☆今日は図書館でライブだよの手振り身振り【バーサーク】
曼柁茄を見つけ、わぁ~☆ファンがいっぱい来てくれたよ~☆の手振り
邪悪(じゃあ)ライブ開始だよ☆の手振り
羅射武舞逝苦で『串刺し』にし
口から『ブレス』攻撃で曼柁茄を『焼却』
そしてUCでみじん切りだぁ~!
野菜が足りないからこれ(書架の本)も追加だネ!の手振り
はい☆凶のお料理はお肉(曼柁茄)たっぷり野菜炒めでした☆の手振り
来週もこのチャンネルで☆バイバ~イの手振り
●妖獣クッキング!
狂ったオブリビオンが跋扈する伏羲の祠。そこへ辿り着いた怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)であったが、彼女はいつも通りのマイペース。
アイドルを自称する羅鬼にとって、彼女のいる場所は常にステージ。海の中でも山の中でも、そして火の中でも水の中でも変わらない。
それは、ここが伏羲の祠であっても同じこと。図書館ライブ開催とばかりに曼柁茄達へと手を振って、禁断のライブを開催だ!
(「邪悪(じゃあ)……ライブ開始だよ☆」)
身振り、手振りだけで一方的に伝えるや否や、羅鬼は先端が槍となったマイクを片手に突撃した。
「……あぴょ?」
突然、羅鬼に身体を貫かれ、呆然としている一匹の曼柁茄。だが、直ぐに全身を貫かれる痛みに震え、盛大なる絶叫を上げ始めた。
「あぴょぉぉぉぉっ! うきゃぁぁぁぁぁっ!!」
頭の葉っぱをバタバタさせて暴れる曼柁茄だったが、羅鬼はそんなことなど気にしない。続けて、口から炎を吐いて曼柁茄を焙ると、ギロチンを使って滅多斬り!
「あ……あぁぁぁ……」
「ぴょ……ぴょ……」
一連の光景を目の当たりにした曼柁茄達は、一目散に逃げだした。しかし、羅鬼は満面の笑みで彼らを追い回すと、一匹、また一匹と串刺しにして行き。
「みびぁぁぁぁぁっ!」
「じぇにゃぁぁぁぁっ!!」
情け容赦なく身体を炎で焙ったところで、仕上げはやっぱりみじん切り!
(「野菜が足りないからこれも追加だネ!」)
最後に書架の本も切り刻んでブチ込み炒めれば、なんともカオスな野菜炒めの完成である。
(「はい☆ 凶のお料理はお肉(曼柁茄)たっぷり野菜炒めでした☆ 来週もこのチャンネルで☆ バイバ~イ!」)
クッキング系アイドルと化した羅鬼によって、曼柁茄達は全て料理にされてしまった。なお、時に猛毒を含み曼柁茄を使った料理など、いったい誰が食べるのかと問われれば……それは永遠の謎であった。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
【ずしーん! ずしーん!】
【体に似合わぬクソデカ足跡で全て破壊!】
【近寄る者はその踏みつけの衝撃で吹き飛ばされる!】
【ところでコイツは一体とこへ向かっているのか!?】
【ああ!?】
【オブリビオン! オブリビオンの撃滅が奴の本能!】
【その本能の赴くままに地形ごと踏みつぶしていく!】
【ずしーん! ずしーん!】
【おわり】
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
また酷い環境ですねぇ。
何とかやってみますぅ。
この状況ですと、『到着後の【UC】の詠唱』も引っ掛かるでしょうから、『転送前』か『転送位置を入口前に設定し、部屋に入る前』の何れかのタイミングで『持続時間の長い能力を使用、到着後は其方で交戦』とするのが良いでしょうかぁ?
【再輿】を発動し『埋まった相手』を掘り起こす為の『ブルドーザー』を召喚、操縦して向かいますねぇ。
同時にで『FRS』と『FBS』は『FCS』で『自動操縦』に設定、『掘り起こした相手』を仕留めて行って頂きましょう。
後は、間違えて声を出さない様、手拭等を『口枷』にして着用、『暴走運転状態』で運転して走り回りますねぇ。
●なにはともあれ、物理で解決!
知性ある者の脳を焼く祠の中で、知性無きオブリビオンが跋扈する。
そこは正に、カオスの溢れる超空間。中へ足を踏み入れた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、しばしの間、呆然と佇むだけである。
(「これはまた酷い環境ですねぇ……」)
あちこちを駆け回る、頭のおかしな植物達。人間を発狂させるはずの妖獣が自分から発狂しているのは本末転倒な気もするが、細かいことは気にしたら負けだ。
(「さて……この状況、どうしましょう……」)
もっとも、るこるにとって誤算だったのは、祠の中ではまともに詠唱が行えないこと。ユーベルコードの効果が発揮されるのは、あくまで限られた範囲内……戦闘に限っていうならば戦場のみなので、当然のことながら発動させた状態で転送などしてもらえない。
ならば、せめて祠の外で何かできないかと思ったが、そもそも転送先が祠の中なので、それをするにはあまりに時間が掛かり過ぎる。おまけに、祠の外に出たが最後、そこは戦場の範囲外。強制的に効果範囲が距離で限定される広域効果系のユーベルコードでもなければ、祠の中にまで影響を及ぼすことは不可能だった。
果たして、この状況で自分に何ができるだろうか。どうにも攻めあぐね、思案してしまうるこるだったが……そんな彼女の前に現れたのは、見た目に反して凄まじい衝撃波を放ちながら、あらゆる物体を圧し潰して突き進む謎の妖精だった。
「ずしーん! ずしーん!」
それは、全身に重力波を纏ったフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だった。
彼女は小さな妖精故に、その身長は20cm程度。しかし、纏った重力波の威力は伊達ではなく、巻き込まれた者は全て等しくペチャンコに潰され、圧壊して行く。
「みぎゃぁぁぁぁっ!」
「めぴょぴょぴょぉぉぉぉ!」
潰されては堪らないと、曼柁茄達は一斉に逃げ出した。もっとも、フィロメーラの執拗な追撃から逃れるのは至難の業であり、彼女の通った跡に残るのは、曼柁茄達の残骸だけ。
「あぁぁぁぁ!」
新たな獲物を見つけたとばかりに奇声を発し、突撃して行くフィロメーラ。彼女の頭の中にあるのは、オブリビオンの殲滅、それだけだ。
本能の赴くままに、フィロメーラは曼柁茄達を圧し潰して行く。中には咄嗟に地中へ潜って防御形態になる曼柁茄もいたが、そんなものは関係ない。
「ずしーん! ずしーん!」
「ぴょっ! もぴょぉぉぉぉっ!!」
哀れ、重力波によって更に地下深くへと沈められ、曼柁茄はそのまま二度と再び上がって来なかった。絶対防御の力を持っていても、これでは元に戻った際、祠の中に帰れまい。
(「困りましたねぇ……。このままでは、何もできません」)
そんな中、るこるは未だ攻めあぐねているようだったが、こうなれば仕方がない。
声を出さないよう、予め口枷をしてきた状態では、詠唱の言葉は紡げない。だが、そもそも本当に詠唱の言葉が必ず必要になるのだろうか。
るこるのユーベルコードの大半は、祈りの力を具現かするもの。そして、祈りとは言葉ではなく、心の中で念じるもの。
呪文とは、それらをより伝播させやすくするための手段でしかない。つまり、声を出さずとも祈ることで、力を行使できるかもしれない。
(「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、大いなる技術の結晶よ、私の元へ……」)
いつもとは違い、心の中でるこるは念じた。すると、彼女の願いが聞き届けられたのか、なにやら巨大な重機が姿を現した。
(「せ、成功しました!!」)
まさか上手く行くとは思っていなかったが、これは好都合。召喚された重機、ブルドーザーに乗り込むと、るこるはその辺に埋まっている曼柁茄達を、手当たり次第に掘り起こし始めた。
「もぴょっ! もぴょぉぉぉっ!」
「あぺぺぺぺ! やぺぺぺぺ!!」
奇声を発しながら、慌てて逃げ出す曼柁茄達。掘り起こされてしまった以上、埋まっている状態が解除されてしまい、無敵モードが終了してしまったのだ。
本能的にヤバいと察したのか、彼らは戦いを放棄して祠の奥へ猛ダッシュ! が、しかし、その辺をフィロメーラが踏み荒らしまくっていたので、彼女の攻撃の巻き添えを食う形で、逃げ出した曼柁茄達は潰された。
(「ああ、こうなってしまえば、後は楽ですぅ」)
ブルドーザーで曼柁茄達を一ヵ所に集め、最後はるこるが浮遊兵器で一斉攻撃!
僅かばかりの知性さえも失った哀れな大根の命は、ここに潰えたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
さいしょから がらんどう
さいしょから がらくた
先制UCを最大範囲発動
強化効果を味方にも付与
残像忍び足でゆるゆると接敵
射程に入り次第念動怪力衝撃波炎氷雷毒地属性UCで範囲攻撃
フェイントや二回攻撃を交え三本の「しん」やすてぜにで薙ぎ払う
敵の攻撃を落ち着いて見切り
念動怪力衝撃波オーラ防御等で受け流す
カウンター念動怪力衝撃波炎氷雷毒地属性UCマヒ地形破壊
ど く ?
く る ゐ ?
さいしょから がらんどう
さいしょから なにもない
ただまりょくをながし
ただうごくだけ
なんでもうけいれ なんでもながれる
さようなら さようなら
●其は無我の境地なり
御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は、最初から何もない存在だった。
空っぽの器。それ故に変幻自在。それが伽藍だ。何も考えず、緩やかに曼柁茄へと近づいて、いきなり出鱈目に力を振るった。
「うぴょ!?」
「もぴょぴょ! うきょぉぉぉぉっ!」
何が起きたのか分からない曼柁茄達は、それぞれ叫びながら逃げ出して行く。実際、伽藍自身にも、何が起きているのかさっぱり分からない。
念力、衝撃波、様々な属性を純粋に放出するだけの攻撃に加え、ユーベルコードにより生成されし紫電を帯びた八本の剣。それらを、本当に思い付くままに、ただ無作為に放射しているのだ。
「うっきゃぁぁぁぁぁっ!!」
「みぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
中には発狂の声を放って来る曼柁茄もいたが、それさえも意に介さず、伽藍は持てる全ての武器を流れるままに放り投げた。一見して適当かつメチャクチャに動いているようにしか見えないが、しかしそれらは一つの流れを形成し、曼柁茄達を徐々にだが確実に追い詰めつつあった。
(「さいしょから……がらんどう……さいしょから……なにもない……。ただ、まりょくをながし……ただうごくだけ……」)
空っぽ故に、あらゆるものを受け流せる。流れに逆らうのではなく、流れの中に道を見つける。
それはまさしく、無我の境地。常人であれば、数多の年月を経た修行の上、辿り着ける悟りの境地。
だが、最初から無である伽藍にとって、それは至極自然な己の一部。知識も理性も必要ない。無常の存在である彼女だからこそ、悟るための修練など不要なのだ。
(「なんでもうけいれ……なんでもながれる……さようなら……さようなら」)
床に描かれた九曜紋。その上に立ち、戦う力を強めた伽藍にとって、もはや曼柁茄達の攻撃は脅威ではなかった。ただ、本能の赴くままに攻撃のような何かを繰り返すだけで、彼女は祠の中に巣食う狂った植物を駆逐していった。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
…よく考えたらあたし、この縛り大して影響ないわねぇ…
あたしのUCって基本技術昇華型だから詠唱とかそーゆーの要らないし。
…とりあえず、攻撃態勢がどーのって領域ですらないわよねぇ、コレ。問題なく先手取れそうだし、隠密状態になってても派手にバラ撒けば当たるでしょ。●瞬殺起動してグレネード類の○投擲で範囲攻撃して一網打尽にしちゃいましょうか。
あとは発狂の叫びかぁ。…思考する分には問題ないのよねぇ?それじゃあゴールドシーン、「あたしの周りを遮音してほしい」わぁ。
あたしが普段魔術文字を描く理由って「有する意味で祈りを具象化して効果を底上げするため」だし、別になくても「お願い」すれば聞いてくれるのよねぇ。
●単純明快、爆破で爽快!
言葉を口にしただけで、あるいは何らかの文字の類を使っただけで、即座に脳を破壊されてしまう恐るべき祠。
知識を武器とする魔導師や科学者からすれば、正に天敵とも呼べる場所。だが、その一方で、人によってはこれらの厳しい制約が、殆ど関係ない者もいる。
(「……よく考えたらあたし、この縛り大して影響ないわねぇ……」)
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)も、そんな人間の内の一人だった。猟兵にも様々な種族が存在するが、彼女の能力は己の技術を強化するものが大半だ。故に、複雑な詠唱も必要なければ、文字を使う必要もない。ただ、どこまでも普通の人間の持つ能力を、極限まで高められるというだけで。
「あぴょぴょぴょぴょ!」
「うぴょっ! おぴょぴょぴょぴょ!」
辺りを見回せば、そこら中に寄生を発する謎植物が群れているが、それぞれ好き勝手に動いているだけなので、ティオレンシアにとっては脅威でもなんでもなかった。先手を取るだけなら問題なくできそうだし、これなら攻撃もし放題だ。
(「……とりあえず、攻撃態勢がどーのって領域ですらないわよねぇ、コレ」)
こういう時に深く考えるのもバカバカしいと判断し、ティオレンシアはグレネード弾を放り投げ、曼柁茄達を雑に吹き飛ばした。幸い、命中精度や威力も3倍にまで上がっていたので、適当に攻撃しているにも関わらず、先手を取っている以上、ティオレンシアの有利は変わらないわけで。
「みぎゃぁぁぁぁっ!」
「めぎゃぁぁぁぁっ!」
何もすることができないまま、吹っ飛んで行く曼柁茄達。それでも、中には果敢に発狂ボイスを放とうとする個体もいたが、そこも既に対処済みだ。
(「ゴールドシーン、『あたしの周りを遮音してほしい』わぁ」)
遮音の魔術で攻撃を軽減すれば、いきなり発狂する事もない。そもそも、彼女の持つ道具は別に特殊な詠唱が必要なものではないので、祈ったり願ったりするだけで勝手に起動してくれる。
もはや、祠の制約など、ティオレンシアにとっては在って無いようなものだった。いかに特殊な条件で戦場を縛ろうと、それが特定の力を持った者にしか刺さらない以上、効果の範疇外な存在を相手にする場合はデメリットにしかならないのだ。
(「ほ~ら、これはオマケよ。盛大に吹っ飛んじゃいなさい♪」)
「「「ぷっぴゃるぺるぴるぺっぽっぱぁぁぁぁっ!!」」」
斯くして、特大の榴弾が炸裂したことで、曼柁茄達は見事に吹っ飛ばされ粉微塵になった。これだけ色々と爆破したら、後にはペンペン草も生えそうにないが……まあ、そんなことは些細なことだ。祠に巣食うオブリビオンを駆逐できたのだから、結果オーライである。
大成功
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