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殲神封神大戦⑰〜無血殴打

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 今回はいつもと違って、オープニングのスタートが戦場のため、ざっくり説明しよう。お前らはグリモア猟兵こと大神・狼煙(コーヒー味・f06108)に転送されて現地入りしたのであった!!
(絶えず時は運び、全ては土へと還る)
 どっかの歌詞みたいなセリフと共に、本依頼のボス(一章しかないからいきなりラスボスだよ!)は、片目しかないけど双眸っぽい雰囲気を猟兵に向けて。
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達よ)
「え、ちょ……」
 次元の裂け目から、遥か遠方に控えているはずの狼煙を引き摺り出して。
(相争い、私の左目に炎の破滅カタストロフを見せてくれ)
「待て!落ち着くんだ!!」
 なんかアレな感じで取り込もうとっていうか、むしろ取り込まれようとするのだが。
「これ絶対ダメなやつだって!俺とお前の相性的に最悪だからロクな目に遭わないって!!お互いの為にやめよう!?なっ!?」
 狼煙が何かを察して止めようとする。しかし敵にしてみれば、武器にして依代にして人質。手放すわけもなく。
「ぐぁあああ!?……ふん、騒々しい猟兵であった」
 狼煙と一体化し、鴻鈞道人は不敵に笑う。
「さて、猟兵よ……一つ死合おうではないか」
 などと、現場に不穏な空気と、喉元に刃を突きつけられたような殺気が張り詰める……が、オブリビオン(鴻鈞道人はオブリビオンではないとか名乗ってるけど、ややこしくなる為、便宜上このシナリオではオブリビオンとして扱います)は恥ずかしくないんですか?って確認されそうなくらい何度も湧き出すモノ。いい加減攻撃方法は割れてるし、狼煙の方の特性を知っている猟兵的には。
「……さすがに敵はネタ堕ちしませんよね?」
 何かが違う懸念を抱いていた。


久澄零太
ひゃっはー!!戦争シナリオだぁ!!

えー、エッグイのとコミカルなの、どっちに需要あるか分からなかったんで、エッグイシリアスに参加したい方は『刃物や槍など、出血を伴う攻撃』を持ち込んでください

逆にコミカルにしたい方は『鞘に納めたままの刀で殴る』など出血しない攻撃方法で挑みましょう

なお、扱い上は戦争シナリオやや難のため、コミカルだろうがシリアスだろうが、『判定はきっちり』やります

対応UC間違えたり、先制対策してなかったりしたら、赤丸三つ並ぶと思ってください

コミカルは判定緩めの予定ですよ……
(ネタ依頼に持っていきたい囁き)

執筆は25の予定

戦争シナリオだし、ソロ採用主軸でサラッと終わらせるつもりだよ⭐︎
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:樫か

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミカエル・アレクセイ
【白薔薇】
それを人質に使えると思ったのか…
それを合法的に痛めつけられる良いチャンスだな?

悪いが血は流させない…そいつの血で汚れて帰るとそいつの血の匂いで発情した弟子に襲われそうだから嫌

まって桜花今ここで兄貴を出すな…ちょっ
まぁいい戦え
物騒な猫、お前今日ただの盾な
『引退して魔王にでも転職したか?』
うるせぇ。兄貴が防ぎ損ねた先制攻撃はてめぇが受けろ

突っ込んできたら勢いを利用して投げつつ、手足を曲げてはいけない方向に容赦なく曲げる
折れた骨や砕けた骨が内臓に刺さったて内臓出血する位置は避けて殺人格闘術で対応
ダメージは負わないように気を付けるが、桜花が危険な場合は庇うなどする
基本的な立ち回りは桜花の補助


神樹・桜花
【白薔薇】
これはちょっと、斜め45度から全力で殴らないといけませんね

一先ずへんt…変態(まおう)を召喚します
先制攻撃を彼の防御魔術でやり過ごして、その後は刀(納刀状態・峰打ち)や銃(のストック)や鹿で、全力で殴ります
ルーシーちゃんには生命力の吸収や蝕毒など出血を伴わない攻撃魔術を行なって頂きます
『よーし、弟(みかえる)も居ることですし、ルーシーちゃん頑張っちゃうゾ☆』

一応、刀は斬る為のものなんですがね…
出血させない為とはいえ、何故刀で殴らねばならぬのか…

あとは隙を見て、オブリビオンの目を覗いてやりましょう
見えるのはオブリビオンの悪夢か、それとも…?
どちらにせよ、それで隙を作れれば上出来でしょう


純・あやめ
(二丁警棒を構えつつ)無血制圧が目的なら、わたしの出番だねー!
『…撲殺ならオッケーとか考えてない?』
まさかまさかー♪ちゃんと死なない加減はわかってるよー
『…とっても不安だわ』

それにしても融合した猟兵の部位を代償に…ねぇ
『それがどうしたの?』
つまり、髪の毛を代償にして戦って、それを武器破壊されちゃったら、店長さんの頭がツルピカになっちゃうって事じゃない?
『なんで言っちゃうかなぁ、その禁断のネタを!』
でもって、髪の毛を使い切るまで隠れてたら面白…もとい、楽に勝てたりしない?
『その時は他の部位を使うだけだから、無理でしょ』
そっかー…じゃあ、普通にUCで隠れて奇襲しようかな


七那原・望
ネタキャラを僭称しながらこんな事に。
わたしは純シリアス特化クールキャラ。ふざけませんよ。

わたしの友達を返しなさい!

相手が飛ぶ前提でスケルツァンドに騎乗。魔法による限界突破で速度を強化し空中戦。
第六感と野生の勘で敵の攻撃を見切り、渾沌の諸相の触手や刃を躱し、必要なら全力魔法の結界術やスタッカートで防ぎます。

目前まで迫ったらスケルツァンドを乗り捨て、突貫させて相手の隙を作り、素早く背中の翼で接近して早業の絶・蘇威禍割を異形化した部分へと叩き込み、鴻鈞道人という概念を砕きます。

本体もスイカみたいに割れてませんよね?割れてたら……まぁ、回復ユーベルコードをわたしのユーベルコードで強化しますから、ね?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ああ、今回の被害者はこの方ですかぁ(合掌)。

先制攻撃が『強化』→『攻撃』の形で有る以上、防壁展開の猶予は有るでしょう。
『FAS』を使用し飛行、大きく離脱すると共に『FMSのバリア』『FGSの重力波』『FSSのシールド』を配置し相手の接近と射線を阻害、抜けて来る多少のダメージは『FXS』で治癒しますねぇ。
完全な防御では有りませんが、【UC】発動まで凌げれば十分ですぅ。

可能になり次第【遍界招】発動、『人間大の巻き簾』の『祭器』を召喚し操作、道人を『簀巻』にしましょう。
後は『FTS』から『祓串』を取出し、狼煙さんの体から道人が出ていくまで、[祈り]を捧げつつ頭を叩きますねぇ。


セプリオギナ・ユーラス
(ころり、◆正六面体)
猟兵同士の戦いが見たいという敵を喜ばせるのは不本意でございますが……いえ、対処法が分かっているのならそうするまででございます。
つまり、貴殿という個体が崩壊するまで攻撃すれば宜しいのでしょう?
それでグリモア猟兵が開放されるであろうということまでは聞き及んでおります。ええ、ですので──問題なく治療を開始いたします。
《過去》を切除し、今を生きるものを治療する……いつものこと、でございますよ。

方針:先制攻撃に対してはUCにより攻撃を軽減する・多少の被弾は覚悟
手術具には刃物等も含みます
戦闘後に(余裕があれば他の猟兵へも)【医術】による治療を試みます


夕闇霧・空音
全く、カタストロフがみたいとか色々理解が出来ないわね。
【アドリブOK】
敵の攻撃は触手やら刃やらを仕掛けてくるみたいだけど
ここは第六感や優れた視力を駆使して敵の攻撃を回避していくわ。
後は触手を足場習熟とか悪路走破とかでうまく乗りこなして大神さんのもとへ向かうわ。

攻撃が激しくなってきたらいよいよ持ってユーベルコードを発動させる
多少無茶はするけど、時間を凍結させてその間に殴れるだけぶん殴る!
…まぁうまく行けばいいんだけどね。


テティス・ウルカヌス
「店長さんの雰囲気が変わりましたっ!?
こ、これはまさか……
……今回の撮影は店長さんが悪役ということですねっ!」

外見といい雰囲気といいセリフといい、意外と店長さんも役者(ただし悪役に限る)の素質がありますね!

「店長さんが悪役ということは、私は目付きの悪い極悪人に攫われた美少女ヒロインの役ですね!」

血を流しながら襲いかかってくる店長さんにおとなしく捕まる演技をしようとして……

「きゃああああっ!」

思わず護身用の『メリケンサック』で右ストレートのカウンター!(男性が苦手

「ああっ、つい癖でっ!
仕方ないから、少し休憩にしませんか?
私、お弁当作ってきましたから」

【手作り料理】を店長さんの口に押し込みますね。


エドゥアルト・ルーデル
乗っ取られ猟兵を景気よくボコボコだなんてそんな…やろうぜ!

地の文=サンの囁きもあるしネタ濃度あげてくか
先制攻撃をライフで受ける!つかの間のシリアスだ!カッコよくかかってきなさい!ぐえー
死ぬ拙者、だがリスポーン!残った死体からも【ギャグ時空】放出!ギャグ堕ちさせるまで拙者は何度でも蘇るぞ!ケンカ煙が出る勢いで殴り合いだこの野郎!前歯折ってやる!
更に時間死と殴り合いで拙者の死体が増えたらその分血が流れるのでいずれ道人UCを無力化できるって寸法よ!

何度目かのリスポン時に突然腹マイトで参上!スプラッタ以外でオチとなるとやっぱ爆発オチかねぇ?
という訳で選べよ
黒焦げアフロか?夜空のお星様か?リスポーンか?


アイ・リスパー
「そんなっ、マスターが鴻鈞道人に乗っ取られるなんて……!?」

この雰囲気……手加減したら殺られます!
後方に待機させておいた『機動戦車オベイロンⅡ』のAIに指示を飛ばします。

「オベイロンっ!
全力で……マスターを殺す気で時間を稼いでくださいっ!」

オベイロンにレーザーガトリング、ミサイルランチャー、荷電粒子砲、さらにはグラビトン・レールガンを一斉射させます。
これなら先制攻撃の相殺程度はできるはず!

「この隙に私は最大威力の電脳魔術を……!」

強力すぎるので人間相手には使わない電脳魔術ですが……そんなことを言っている余裕はありません!
【破砕領域】でマスターごと鴻鈞道人を消滅させますっ!

(流血重傷描写等歓迎)


涼風・穹
厨二病っぽい姿(その身体で翼だの触手だのを宿せば、ねぇ…)になったなら取り合えず突っ込んでおく
本人が悶えたり黒歴史コースになってくれれば面白いけど鴻鈞道人は無反応な気もするな
(実は流石にその身体を攻撃するのは気が引けて敢えて先に攻撃を受けていたりしますが口に出すのは戯言ですな)

取り合えず《断罪の刻》で全力で殴る
何となくリア充っぽい気もしないでもないから反応を確認しておく
(融合している以上どちらのせいで激痛に襲われるのか、或いはどちらも清い身体(穏当表現)なのかは知りませんがね…)

余計な事は考えないように《断罪の刻》を自分に使って自分の身体を限界まで酷使するように強制操作して殴り合っておきます



「それを人質に使えると思ったのか……それを合法的に痛めつけられる良いチャンスだな?」
「……何?」
 ミカエル・アレクセイ(山猿・f21199)のこの一言には、利便性という観点から今回はオブリビオン扱いとなった鴻鈞道人もびっくり。
「悪いが血は流させない……そいつの血で汚れて帰ると、そいつの血の匂いで発情した弟子に襲われそうだから嫌」
「そうか……」
「いやそんな目で見るなよ」
 オブリビオンから憐みの眼差しを向けられてしまい、名状しがたい渋面になるミカエル……まぁ、見た目が狼煙だから、周りから屑呼ばわりされてた奴に憐れまれているようで、心中複雑なのだろう。
「これはちょっと、斜め四十五度から全力で殴らないといけませんね」
 そんな狼煙なんだけど狼煙じゃないビジュアルに、神樹・桜花(神桜の一振り・f01584)が手刀をシュシュシュ……いやなんでそんな原始的な手法で治ると思ってしまったのか。
「思っていませんよ?」
 いうや否や、桜花が抜刀。その剣先が虚空を撫ぜ……。
「何をしようとしているかは知らぬが、させると思ったか」
(速い……!?)
 桜花がその接近を自覚した時には既に懐。狼煙の姿をしたオブリビオンの拳が桜花の腹を抉る。
「ぐ……!?」
 ヤドリガミの彼女にとって、その肉体は仮初でしかない。しかし、神経を通してある以上、痛覚はある。抉り込まれる鉄拳に、消化器官をねじ込まれて肺を圧迫する一撃。喉をせり上がる鉄臭い液体より先に、頭蓋を吹き飛ばす蹴りが視界の端に。
「チィッ!」
 初手の挙動にUCで対処しようとしたがために出遅れ、モロに一撃を食らった桜花。トドメに頭を吹き飛ばされそうになった寸前にミカエルが割り込んで、慣性のままに投げ飛ばそうとするが、その先には桜花の体がある。
「ッ!」
 いなしきれなかった衝撃に腕の中から乾いた音と鈍い痛み。それでも投げからいなしに切り替えて、上方に向かって軌道を逸らし、桜花の致命傷と自分の撃沈は回避する。ミカエルが端から桜花のカバーリングを想定していなければ、どちらか一人は終わっていただろう。
「無駄にスペックだけは高いってわけか……」
 判定はきっちりやるって言うたやんけ。これやや難の戦争シナリオやぞ?
「オイコラ観測者、ネタ臭い地の文を組み込むくらいならもっと手加減しろよ」
 悪いな、このシナリオは手加減が禁止されているんだ。
「くそがッ!!」
 ミカエルが悪態をついたところで、肩ポム。
「そんなにイライラすると、折れた腕に響きますよ?」
「なんでお前がここにいる……!?」
 ミカエルが狼煙(パラサイトオブリビオン)を見た時とは比べ物にならない絶望顔を向けた相手……それは。
「呼ばれて飛び出てルーシーちゃんでぇす☆」
 なお、男である。クラシカルなメイド服にフリルヘッドドレスとヘアピンキメて、ウィンクでハートマークまき散らしてる男である。そしてミカエルの兄貴である。
「言うな。アレと関係者だと思われたくない」
「えぇー?ルーシーちゃん傷ついちゃいますぅ☆」
 両手を丸めて目元に当てて、「え~ん」などと泣き真似をするルーシーことルシフェル。本来であればネームドオブリビオン級のバケモンなのだが、どうしてこうなった?
「というか、桜花。こいつ制御できるんじゃなかったのか?」
 そうね、呼び出したのは桜花だもんね、ただ問題が一つあったんですよ。
「それが……呼び出した途端に『あ、今回は戦争仕様だから交渉してくれないとお仕事し~ません☆でもでも、現実問題としてご主人様のピーンチッ!というわけで、ルーシーちゃんは第三勢力として好き勝手しちゃいます☆』と、言うことでして……」
「……」
 ミカエルが天を仰いで目を覆ったのは、呼び出された兄貴が暴走していた故か、はたまた普段は淡々と無感情な桜花がルーシー風に溌剌とした発声をしたためか……。
「とりあえず……」
 ミカエルは自分の影をごそごそ……いや待ってそれって収納なの?っていうツッコミをスルーして、赤目の黒猫を召喚。
「物騒な猫、お前今日ただの盾な」
『引退して魔王にでも転職したか?』
「うるせぇ。兄貴が防ぎ損ねた攻撃はてめぇが受けろ」
 猫の召喚獣ならメイド兄貴よりはましだろう、と思ったあなた。この流れでまともなものが出るわけがないでしょう。
「何が出ようと変わらぬ。来るがいい……」
 と、向き直ったオブリビオンが見たものが。

 ――ドゥルルン……!

 総勢四百七十匹の黒猫が機関銃を構えて強引に乗り込んだ大型バイクである。もはや銃口のハリネズミ状態なそれが、『防衛専念』の旗を掲げて弾幕張りながら突っ込んでくるのである。
「なん……!?」
 とりあえず理解が追い付かないオブリビオンと黒猫暴走族(単品)が正面衝突して大爆発、炎上する様を遠目に眺めて、桜花が首をコテン。
「あれ、防衛役ではありませんでしたか?」
「その予定だったんだが、判定上はこのUCで殴ってるからとりあえず一回は突撃しておいたらしい」
「そうですか……では、ルーシーちゃんも、生命力吸収とか、蝕毒とか、出血しない魔術でお願いします」
「え?そしたらあの目つきの悪い店主さんにだけダメージ入るかもしれませんよ?」
 骸の海って事は、そもそも生命力があるかどうか怪しいからな……しかし。
「構いません。むしろそれはそれで正しい行いですから」
「ヒューッ!ご主人様カッゲキ~☆」
 というわけで理不尽な(?)魔術が狼煙の肉体を襲う!!
「もしもの時は生き血でもくれてやればなんとかなるでしょう」
 などと、刀を鞘ごと抜いて。
「一応、刀は斬る為のものなんですがね……出血させない為とはいえ、何故刀で殴らねばならぬのか……」
「仕方ないだろ、こんなものを予知したコイツのせいだ」
 斜め四十五度から、桜花の鞘とミカエルのバイクが振り下ろされるのであった。


「無血制圧が目的なら、わたしの出番だねー!」
 などと二本の警棒を掲げる純・あやめ(砂塵の衛士・f26963)。見た目だけなら完全に蛮族である。
『……撲殺ならオッケーとか考えてない?』
「まさかまさかー♪ちゃんと死なない加減はわかってるよー」
『……とっても不安だわ』
 おかしい、こういう時は普通、猟兵の方が生き残りを心配する物だろうに、何故か契約悪魔の方が常識的……やっぱあいつ、悪魔じゃなくてオカンか何かなんじゃ……。
『誰がオカンよ!?』
 などとオカン系悪魔、カキツバタがツッコミを入れている間に物陰(ここは混沌の地とかいって、そんなスペース無いハズなんだけど、なんかあったんだよきっと)に身を潜めていたあやめがぽつり。
「それにしても融合した猟兵の部位を代償に……ねぇ」
『それがどうしたの?』
 もしやこの子にも、人の痛みを気に掛けるだけの優しさがあったのかしらー、なんてカキツバタの細やかな想いもあったりなかったりしたのだが。
「つまり、髪の毛を代償にして戦って、それを武器破壊されちゃったら、店長さんの頭がツルピカになっちゃうって事じゃない?」
『なんで言っちゃうかなぁ、その禁断のネタを!』
 そんなもんなかったよ!そもそもこんな依頼に来る時点でまともな奴のわけがなかったよ!!
「でもって、髪の毛を使い切るまで隠れてたら面白……もとい、楽に勝てたりしない?」
『その時は他の部位を使うだけだから、無理でしょ』
「そっかー……」
 じゃあ普通にUCで隠れて……などと、あやめがカキツバタの加護を受け、物理的認識を阻害する権能を纏おうとした時である。
「愚かな……」
「見つかった!?でも……!」
 カキツバタから放たれる簒奪の魔力の方が速い。認識阻害は成功した……はずだった。
「ぁぐっ!?」
 首を掴み引き倒され、変遷を続ける足場に叩きつけられたあやめの目が、驚愕に開かれる。
「嘘……見え……てる!?」
 指が顎骨の内側に潜り込み、気道と血管を同時に圧迫されるあやめだが、そこでカキツバタが狼煙が何者なのかを思い出したらしく。
『そうか……この人、私達を目で見てないわよ!死霊術師として、魂そのものを観測されてる!!』
 とまぁ、一応シリアスなシーンなのでそれっぽくまとめたが、実際の所はUCの殴り合いになる戦闘において、先制攻撃に対してUCで対策したら、そらー先制取られて対策にならないよねって話なだけである。あ、防御用のUCとかなら別よ?UCで殴れないから有効打にならないけど。
『あらまー、判定はきっちりやるって、その辺りもなのねー……』
 まぁ、今後はカキツバタがあやめを教育(ビシバシ)してくれるから次回以降に期待しておこう。
「ビシバシは……やだぁ……!」
 割と致命的状況なのに、カキツバタ先生のプレイング講座を前に涙目で震えてるあたり、あやめも実は結構余裕かもしれない。
「死ぬがよい」
 そんな事情はつゆ知らず、片腕を内部から食い破り、骨を枝分かれさせて膨れ上がる肉塊で覆い、質量の塊と化した物を振りかざすオブリビオン。変異はそれにとどまらず、人の頭蓋を粉砕するに事足りるそれは更に五つに分かれて圧縮、密に強化された肉枝は稼働する節を用いて屈曲し、引き絞るようにねじれ、細く、小さく強化された腕に導かれて、鉄拳と化した先端を……。
『いや戻ってる!途中経過があれなだけで元の人の腕に戻ってるわよ!?』
「……む?」
 カキツバタのツッコミに、オブリビオンが首を傾げた。開いて、握って、いつの間にか異形化が解けていた拳を見遣ると。
「まぁよい」
「ぴぎっ!?」
 普通に顔面をぶん殴った。あやめが赤くなったほっぺを押さえてぷるぷる……。
「女の子の顔を殴るのは酷くない!?」
『で、何がどうなってるのかしら?』
 カキツバタが『こっち』向いたんで説明しよう。狼煙の血液は触れたものを変質させる特性があり、本来ならこれのおかげで出血時の傷を即塞ぐため、ダメージを受け付けないのだが、まさかの鴻鈞道人のUCは自壊によって人質を代償に自己強化するもの。そりゃー勝手に治療されて強化が完全には得られなくもなる。
『なるほど……つまり、出血させなければただ痛いだけの攻撃って事ね!!』
「実際に殴られてる私は大変なんだけど!?」
『致命傷にはならないんだから我慢しなさい!女の子でしょ!!』
「それ普通は男の子に言うセリフー!!」
 とか騒いでる間に拳が引き上げられて第二撃。
「大人しく食らってたまるかー!!」
 体を丸めて両脚を狼煙の首にかけ、体重と腹筋で転がし、上下を入れ替えながら首を掴んだ腕を払いのけたあやめ。両手に構えた警棒を振りかざして。
「食らえ必殺、正当防衛アタック!!」
 警棒で下手人を滅多打ちにし始めるあやめを見つめて、カキツバタがぽつり。
『今度、過剰防衛についてお勉強する必要がありそうね……』


「ネタキャラを僭称しながらこんな事に。わたしは純シリアス特化クールキャラ。ふざけませんよ」
 七那原・望(封印されし果実・f04836)は気づかない。そのセリフが既に若干ネタ堕ちしてしまっているということに……。
「なのですっ!?」
 がびーん、と分かりやすくショックを受ける望だが、第四の壁の向こう側を認識できない敵が首を傾げたため、ハッと我に帰り。
「わたしの友達を返しなさい!」
 あ、今回は強引にシリアス路線でいくんですね。じゃあこの後真正面から戦うのかなって思いきや。
「スケルツァンド!」
 逃げたー!呼び出した騎乗機に乗って逃げたー!!
「逃げてないです!翼を持たない種族相手に、地の利を得ただけなのです!!」
「……空中であれば優位だとでも思ったか」
 つまらなそうに鼻で笑うオブリビオン。自身を中心にして空中を旋回し、白兵戦の射程外から分離した複合狙撃魔導銃を一斉にロックオンさせる望めがけて。
「甘い……」
 片腕を爆砕して形成するは巨大な腐肉の拳。白く爛れた巨腕が戦場を薙ぎ、高機動戦を仕掛けようとした望の策略諸共握り潰そうと迫り……。
「すばしこい相手に大振りな攻撃は不利なのですよ!!」
 車体にしがみつくようにして姿勢を低くした望は、むしろ自ら突っ込むように急加速。人の腕を模したがゆえに生まれた空隙、指の隙間をすり抜けて急転回。腕を伝うようにして空振りに終わった一撃の源、オブリビオンへ突貫。
「……ほう?」
 強制治癒により、人型に戻ってしまった腕を引いて望の双眸、布に秘された眼窩を抉らんと構えたオブリビオン……しかし。
「ごめんなさい、スケルツァンド」
 短い謝罪と共に望は愛機を放棄。乗り手を失った騎乗機が単身、オブリビオンと衝突。されどスケルツァンドを弾き飛ばした狼煙、その眼下。吹き飛ぶ白い機体の真下に潜んで、接近していた望による黒き妖刀と白き聖剣。相反する二つの得物の交差が十字の斬痕を刻み……。
「馬鹿め、この肉体は斬撃では……」
 と、急速再生が始まるかに思われたが。

 ――ザザーン……。

▼戦場は、真夏の浜辺になった!!

「何故!?」
 理解が及ばないオブリビオンだが、それ以前に、暑い。むしろ熱い。だって首から下が砂に埋まっているんだもの。
「これなるは対概念破砕ユーベルコード……」
 オブリビオンの耳が、背後から迫る足音を聞いた。赤いワンピース水着姿に変わっていた望が、目隠しの上に目隠しをするというカオスなスタイルで、しかし着実に距離を詰め……。
「斬撃でも打撃でもない、でもなんか斬ってるようで割ってる必殺剣……!」
 すっと、落ちる影から得物を振り上げた事を察したオブリビオンが段々蒸し焼きになってきたところで。
「絶!蘇威禍割!!」
 ッパァン!!

「はっ!?」
 謎の夢オチ(?)を迎えて、突如跳ね起きたオブリビオンが周りを見回す。目に留まったのは、ふくれっ面の望。
「本体が割れてないか心配してたら、鴻鈞道人も割れてなかったのです!これはもう一回概念攻撃なのです!!」
 一ターンに一回しか行動できないから次いくよー。
「やーですー!スイカと敵さんを割りたいですー!!」


「ああ、今回の被害者はこの方ですかぁ」
 既にタコ殴りにされたり夢の中で脳天を爆砕されたりしてた狼煙(イン・ザ・オブリビオン)に合掌する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。同情するなら手加減してやって欲しいところであるが。
「この依頼は全力で挑む必要がありますのでぇ……」
 救いはないのですか……?
「ありませぇん」
 無慈悲!!
(とはいえ、あちらは弱体化の呪詛がかかっている事を差し引いても実力者……強化直後の攻撃が来る前に、防壁を……)
 などと、まずは射程外に逃れようと光翼を展開するるこるであったが。
「ぐっ!?」
「逃げられると思うたか?」
 るこるの離脱より先に、狼煙の貫手が鳩尾を貫き、臓腑を直に掴まれ体内からの激痛に一瞬意識を手放しかけた。
「そん、な……!?」
 速すぎる。何が起こったのかと視線を走らせるるこるが捉えたのは、脚。直接的攻撃部位ではなく、自身の全身を武器として最大限に活用できる部位の方を変換してきたのだ。
(弱体化でこの一撃……本来の戦闘力をお持ちでしたら、何もできなかったかもしれませんねぇ……)
 まぁ、今回はネタ依頼よりで判定緩いからねぇ……。
「判定緩めで内臓に直接攻撃ってどういうことですかぁ!?」
 難易度の高い戦争依頼だからね、仕方ないね!ガチ判定なら割と問答無用で即死も普通にあるからね!!などとメタい話をしているうちに、るこるは花を模した祭器を展開して傷口を抉ろうとするオブリビオンと拮抗。肉体の破壊と治癒で鍔迫り合い、逃げられない状況を逆手にとって、『逃がさない』。
「この距離なら外しようがありませぇん……恵方巻アタックですぅ!!」
 バラリ、広がるそれは清められた簾。オブリビオンを巻き取ってるこるから強引に引き剥がし、適当に転がすと、いつの間にかシスター服になったるこるがその横に正座。
「ここから先は、根気との戦いですぅ……」
 すっと構えたものは祓串(編み込まれた植物の茎とか磨かれた木材に、互い違いに長方形になるように折られた紙がくっついてるアレ)。それでリズミカルに狼煙の頭を叩きながら。
「でーてーいーきーなーさーいーきーよーめーたーまーえー……」
 人を木魚か何かと勘違いしてませんかねぇ!?


「猟兵同士の戦いが見たいという敵を喜ばせるのは不本意でございますが……いえ、対処法が分かっているのならそうするまででございます」
 地面に『メス坊主』ってダイイングメッセージを遺している狼煙(オブリビオン)を前に、正六面体がころり。セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)は八つある頂点の内、その一つで立ち上がると。
「つまり、貴殿という個体が崩壊するまで攻撃すれば宜しいのでしょう?それでグリモア猟兵が開放されるであろうということまでは聞き及んでおります。ええ、ですので……」
 ゆっくりと回転し始め、同時に浮遊するメス(医療器具)の群れ。
「問題なく治療を開始いたします」
 回る、回る、回る。くるくると、少しずつ加速する六面体。合わせて増える、メスの軍勢。
 先に動いたのはオブリビオン。現時点で出血は皆無である故に、能力強化は発生しないが、地のスペックが違う。その上で被弾を恐れる理由がないのだ。
「さすが、でございますか」
 滞空していたメスなど見えていないかのように、グリモア猟兵の肉体が駆ける。ダメージを軽減する霧が発生する前に飛んできたトーキック。側面で直撃を食らったセプリオギナが吹き飛ばされるが、なんてことはない。黒液である彼に、臓腑は存在しない……急所を持たない生き物なのだ。
(とはいえ、我々は部位を持たぬ種族ゆえに、受けたダメージが同時に全身に蓄積する……あまり長引かせない方が得策でしょうね)
 吹き飛んだ先、別の頂点で着地したセプリオギナが回転加速。摩擦熱の黒煙か、はたまた自身の飛沫か、黒いヴェールを纏う。
「処置させていただきます」
 飛来。浮遊していた無数の刃が狼煙の体を掠めていき、その周囲に血霧を広げる。医療器具として作られたメスは、人の肉体を切り裂く事に長けている。そうでなければ、患者の肉体に負荷をかけてしまうからだ。
 並みの刀とは比べ物にならない切れ味に、噴き出す血液は瞬く間に傷口を塞ぐ。同時に身体強化を得たオブリビオンが、既にセプリオギナの背後に回って。
「俺に死角はない」
 死を予感したのか、口調を変えて高速回転する正六面体に、方向などあってないようなモノ。彼にしてみれば背後を取られたところで、敵が立ち位置を変えただけに過ぎないのだ。
(だが、見えなかった……やはり速攻で仕留めるしかない)
 殺到するメスを、狼煙の肉体は避けない。片腕に受け、指を切り落とされようと、肉が削げ落ち骨が露出しようと、零れ落ちる血液がすぐさま修復してセプリオギナへ伸ばされる腕を再構築。
「くっ……」
 飛びのこうとしたところで強引に掴まれ、回転する自分の辺がやすりのように狼煙の皮膚を削り落とすが、あふれ出る血が傷を塞ぎ続けて意味がない。握り潰された一角から全身に激痛が伝播すれど、オブリビオンに寄生された狼煙が不死身であるようにセプリオギナもまた不滅。失った体積を補うように、黒液を補填して元の正六面体を再構成する。
「お互いに斬撃では死なぬ身、千日手か……」
「いいや、終わるとも」
 見えぬ姿に響く声。しかしセプリオギナは正しく認識して。
「くっ……」
 頭上から振り落とされる蹴りの一撃。一見すれば、食らったところでさしたる問題には見えないが。
「修復を許さぬほど微細な飛沫に粉砕すれば、貴様とて生きてはいまい?」
「だったらどうした。その一撃を食らう前にお前を治療する」
 否定はしない。だが、肯定もしない。無数の刃を浮遊させ、六面体と寄生オブリビオンが再び睨み合った……。


「全く、カタストロフがみたいとか色々理解が出来ないわね」
 夕闇霧・空音(凶風・f00424)は無表情ながら、呆れかえったような目を向けて。
「まぁ、オブリビオンですらないあなたと分かり合えるとは思えないけども」
 骸の海を自称する存在を前に、空音が駆ける。対するは皮膚を食い破り蠢く無数の触手。直線的に迫るその軌道を読み、あえて真正面から踏み込むことで柔軟に変化するはずの軌道を封じた空音。
(もう一歩……!)
 腕を振りかぶり、殴り掛かろうとして……急速に距離が開かれた。
「く……」
 この局面で、敵は翼を広げて舞い上がったのである。追いすがろうとして、躱して来た触手が背後から迫り、根源である狼煙が離れることで倍速で迫るは触手から生み出された刃。
(追い付けない……逃げきれない……!)
 腹をくくれば、空音の対応は速く。
「耐えてよね、私の体……!」
 自ら迫りくる刃へ突っこみ、蹴りつけた。だが、響き渡ったのは血飛沫舞う水音ではなく、甲高い金属音。改造された四肢の強度を頼りに、敵の武器を足場としたのだ。踏みにじり、そう簡単には切断されない事を確かめた空音が触手を足場に、舞い上がる狼煙へ一気に駆け上がって。
「届け……!」
 振るわれる拳。機械化された文字通りの鉄拳は、ただ命中するだけで致命打になりうるが……遠い。拳はわずかに届かず、眼前に留まった一撃を前に、オブリビオンは飛翔するが。
「アブソリュートゼロ・インフィニティゼロモード!」
 リーチが伸びる。天音の両腕は武装が搭載された改造義手。拳から伸ばされた四本の爪が狼煙の喉を刺し貫き、過剰冷却。それはただの凍結機能ではない。命中した対象を構成する原子に働きかけて熱エネルギーを奪い、分子レベルの運動を強制停止させることで発生する『疑似的時間停止』を引き起こす。
「後は殴れるだけ……」
 爪を納めて、拳を握れば落下する対象を足で押さえ。
「ぶん殴る!!」
 流れ続ける時の中にしてほんの数秒。しかし、その刹那に無数の乱打が叩き込まれるのだった。


「店長さんの雰囲気が変わりましたっ!?こ、これはまさか……今回の撮影は店長さんが悪役ということですねっ!」
 テティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・聖なる歌姫・f12406)め……店でシャドーボクシングしてたから来る気はしていたが、汚いテティスの方で参戦か……。
「汚いってなんですかー!?」
 ぷんすこするテティスを前に、冬眠明けの熊みたいな顔した狼煙だが、天然モノのネタ女、テティスはむふり。
「外見といい雰囲気といいセリフといい、意外と店長さんも役者の素質がありますね!今時は悪いことしすぎて社会復帰できない人達が、そういう俳優業につく世の中ですし!!」
 あまりのアホさ加減に、かの鴻鈞道人が天を仰ぐという貴重なワンシーンを挟んでおいて。
「店長さんが悪役ということは、私は目付きの悪い極悪人に攫われた美少女ヒロインの役ですね!」
 いつものノリである。「さぁどうぞ!」と役作りもへったくれもない、どや顔でハグ待ちポーズ(?)で襲撃に備えるテティスだが、オブリビオン的には何はどうあれ、獲物が動きを止めたのなら殺す以外に道はない。
「へっ?」
 一足。呼吸すら許さぬ歩法はオブリビオンのモノか、狼煙のモノか。思考が追い付くより先に指先が胸を穿ち、肋骨の隙間から心臓を抉り出そうと……。
「きゃああああっ!」
「おぶっ!?」
 する前に、ここでまさかのカウンター!懐に隠し持っていたはずのメリケンサックを装備して、狼煙の顔面を殴り飛ばすという、脅威のスピードナックル!!
「あぁっ、つい癖でっ!」
「癖で出せる速度か……!?」
 敵さんもびっくりのスピード、その秘密はテティスが考えるより先に拳を出す、具体的には殴ろうと思って殴ってるんじゃなくて、接近した男を問答無用で殴るという事実。反射経路の差異による、神経伝達速度の違い。その僅かな違いが、ここに響いてきた。が、んなもん知らないテティスはあわあわしながら。
「し、仕方ないから少し休憩にしませんか?」
 このままでは清純系アイドルの自分の名に傷がつく、とでも思ったのか慌ててごまかすテティスが取り出したのは、名状しがたい  (表現の言語化に失敗しました。仔細は現場の猟兵本人にご確認ください)。
「このテティスちゃんが特別に『あーん』をしてさしあげますよ!!」
「おい待て、それは一体……ゴブゥ!?」
 口に箱ごと詰め込まれたそれは、まさに地獄絵図だったという……。


「乗っ取られ猟兵を景気よくボコボコだなんてそんな…やろうぜ!」
 さぁテンション高く入場しましたエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)。果たして今回は何をしでかしてくれるのでしょう!?
「拙者だけ文体が違くね!?さては地の文=サン、書くのに飽きてるな!?」
 飽きるも何も、人数来ないだろうなーって思って前日に出したらこの参加人数よ。さすがにやや難戦争だから赤丸は出るし何なら一部不採用判断もしないといけないしで、結構神経使うのよね。しかもこの数を、判定しながら捌くってなると俺の休日丸まる潰れるのよ。
「WAO!メンタルがヤられたところにフィジカルもヤられちゃうね!!」
 HAHAHA!両手でパンパンしながら警戒に笑うエドゥアルトがヘルメットを直して、キリッ。
「地の文=サンの囁きもあるしネタ濃度あげてくか……先制攻撃をライフで受ける!つかの間のシリアスだ!カッコよくかかってきな」
 とさっ……セリフが終わる前に、エドゥアルトの頭が落ちた。
「何だったのだ、こいつは?」
 一瞬にして、首『だけ』を引きちぎったオブリビオンが、手の中に残る喉笛を投げ捨て、無感情な視線を残して去っていった……。


「ちょーっと待った!?」
 うわ『こっち』に湧きやがった!?
「拙者知ってる!これあれでしょ?即死したから赤丸三つの流れでしょ!!」
 うん。
「即答!?青丸三つとは言わないけどさぁ、それぁないんじゃないの!?」
 逆に聞くけどさ。
「何よ?」
 お前、リスポーン地点設定したか?
「もちのロンよ!このリスポーンフラッグを突き立てれば、そこが拙者の……」
 自分で握りしめてた『セーブポイント』って書かれた旗を見て、サーッとエドゥアルトが青くなる。
「オゥマイガッ!?れれれ冷静になれ、今から戦場に向かえばまだ間に合うはず……!」
 震え過ぎて残像が見えるエドゥアルトがきょろきょろ。
「あれ、拙者どうやって戻ればいいの?この扉?」
 それはケルブレ行。
「じゃあこっち?」
 それはチェイパラ。そっちの端のが第六行な?
「せっかくだからチェイパラにお邪魔するぜ!」
 死ねぇ!!

▼スキル【マスター権限】!エドゥアルトは死んでしまった!

「いやさすがにずるくない!?」
「……ッ!?」
 突如復活したエドゥアルト、およびその付近に転がる『二つ』の遺体を前に、オブリビオンが目を見開く。
「何が起こった……?」
 事態が理解できず、困惑するオブリビオンを前に、エドゥアルトはカマキリの構え。
「こうなりゃ自棄だ!テメェを道連れに拙者も死ぬ!食らえ必殺」
 技を出す前に心臓を破壊され、貫通した貫手から滴る血を残し、エドゥアルトが崩れ落ちていく。
「目障りな奴であった」
 今度こそオブリビオンが踵を返すと。
「へいボーイ、真っ白ばっかじゃ飽きるだろ?真っ赤なランジェリーのチャンネーな雑誌はいかが?安心しろ、川辺で拾った二重の意味でタダのエロ本だ!!」
「……」
 二度目の天を仰ぐネームドオブリビオンという貴重なシーンが残されてしまう。
「何が、起こっている?」
「くくく、ここは既に拙者の死骸で侵食されたギャグ時く……うっ!」
 新鮮な黒髭の寿命は約二分しかない。雑談なんかしてるから死んでしまったエドゥアルトの腹を突き破り、新鮮なエドゥアルトが湧き出すのだが。
「そろそろ頃合いか……テメェもネタ堕ちさせてやろうかぁ!!」
 まさかの伝説の装備、ハラマイトアーマーを装着してやがる!
「ふん、オブリビオンならさておき、骸の海たるこの私がネタ堕ちするはずがないだろう……」
 腕組みして鼻で笑うオブリビオンを前に、エドゥアルトは思う。
「そのセリフが既にネタ堕ちしてる証拠で……あっ!」
 余計な会話してるから寿命が尽きたじゃねぇか!!
 まさかのハラマイトアーマーの亡骸から、お腹の周りに地雷を貼り付けて、体当たりに向け準備運動をする新手のエドゥアルト。片手で頭を、片手で天を、視線で旗を示し。
「とりあえず選べよ。黒焦げアフロか?夜空のお星様か?リスポーンか?」
「ふざけた事を……」
「ふぐぅ!?」
 おっとここでオブリビオンが仕留める前にエドゥアルトの寿命が尽き、新しいハラマイトアーマーのエドゥアルトが復活。
「ヒャッハー!全員吹き飛ばしてやるでござ……」
 エドゥアルトは見た。腹に地雷をくっつけた自分が倒れて、爆薬の雷管に圧が加わる瞬間を。
「あ、やっべあれ拙者の意思に関係なく勝手に爆発す……」
 チュドーン!まずは地雷が大爆発を起こして巻き込まれまいと必死に逃げるエドゥアルトだが、転がってたハラマイトアーマー付きの遺体の方に誘爆、更なるズバボボン!!そして爆風と共に熱波が……。
「いや待ってさすがに三段活用は酷くないでござ」

 ――ッドン!!

「拙者、来世はもっとカッコいい黒髭になるんだ……」
「解せぬ!!」
 夜空(?)にはアフロヘッドで爽やかな笑顔を浮かべるエドゥアルトの星座が煌き、その下には頭に『二代目』の旗が付いたオブリビオンが残されていた……。


「そんなっ、マスターが鴻鈞道人に乗っ取られるなんて……!?」
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)がシリアスな雰囲気で来たため、頭に刺さっていた旗をぐさぁッと引き抜き、投げ捨てたオブリビオン。改めてシリアスな方向に佇まいを直したオブリビオンを前にして、アイは本能的に半歩引く。
(この雰囲気……手加減したら殺られます!)
「オベイロンっ!全力で……マスターを殺す気で時間を稼いでくださいっ!」
 自律機動型戦車に指示を飛ばしたアイ。人の身でありながら、電子演算能力は他種族のそれに相当する彼女のエネルギー演算においては、それで足りるはずだった。
「全武装一斉掃射であれば、初撃の相殺程度はできるはず!この隙に私は最大威力の電脳魔術を……!」
 脳の思考回路を演算という名の詠唱に全力で回し、自律AIにより稼働するオベイロンⅡの陰に身を潜めた。主を守るために、光学兵器の砲身を回転させて、オーバーヒートを回避しながら連射。並みの金属であれば融解させる高エネルギーを弾丸代わりに、弾幕を展開。ダメ押しと言わんばかりに弾頭を叩き込んだところで、粒子に電圧をかけ、分子結合に干渉するビームとして照射。対象がどれほどの強度を持っていようと、結合崩壊を起こす砲撃とあっては耐えようがない。
「これで、なんとか……!」
 オベイロンⅡに搭載された最大の兵器、グラビトンレールガン。当たろうが当たるまいが、着弾地点の周囲に小規模なブラックホールを形成し、問答無用で圧壊させる。その砲弾が装填された時だった。
「なんとか、なんだ?」
「え……」
 耳元で聞こえた声に振り向けば、爆炎の最中に在るはずの狼煙の姿。
「なん……で……?」
 狼狽えるアイの危機を感知したのだろう。機動戦車が砲身を向けようとした瞬間、狼煙の腕がアイの首を掴み上げ砲身の前に晒す。身動きが取れなくなった戦車の装甲を白刃が貫通し、砲撃機構を破壊。金属塊と化した戦車を横目に、目じりに雫を蓄えるアイ。その視線が捉えたのは、白い残骸。
(まさか……あの弾幕の中、翼を盾に……?)
 だが、物理的に存在する物体であれば分解する砲弾を前に、盾など意味を成さないはずだが。
「火力は十分だとも。当たればな」
「!」
 その一言で理解する。最初に撃ち込んだレーザーと弾頭。その爆炎の中、翼を何層にも重ねて不完全燃焼を引き起こした。こうして爆『煙』を吐き、熱を持った煙幕に隠れた事でオベイロンⅡのセンサーすら欺くと、アイが初撃をしのいだと誤認する時を、刹那の油断を待ち構えていたのだ。
(でも……!)
 この距離なら、外さない。
(強力すぎるので人間相手には使わない電脳魔術ですが……そんなことを言っている余裕はありません!)
 既に演算は完了している。例え自分を巻き込むことになろうとも、ここで敵を倒せるのなら……。
「反粒子ビーム……照射……!」
 直撃すれば対象を消滅させる粒子の照射。虚空に刻まれた電脳式魔法陣から放たれる、今度こそ防ぎようのない砲撃。勝利を確信したアイの目の前で、片腕を消滅させ、爆風に飲まれて消えた狼煙と反対側へ吹き飛ばされたアイが、咳き込みながら顔を上げれば。
「……よぉ」
「ぇ……」
 目の前にいた狼煙に髪を掴まれ、吊るし上げられてしまう。
「そんな……」
 アイの砲撃の本質は、自らの消滅を見せつけられ、恐怖を覚え警戒することにある。そして意識を向けさせて、生まれた隙に次の一撃で仕留めるのだ。だがどうだろう。目の前の相手は怯えるどころか、つまらなそうに自分を見つめてくるではないか。
「くだらん」
「あぅっ!?」
 首筋に牙を立てられ、皮膚を裂き、肉を貫く痛みに奥歯を噛む。続く皮膚の下を蠢く感触に全身を痙攣させていると、目の前で失われたはずの部位が再生していく……。
「不味い小娘だ」
「ぐぅ!?」
 戦車の残骸に叩きつけられ崩れ落ちるアイを見下ろし、再生した腕の感覚を確かめるオブリビオン。その隙に最後の力を振り絞り、頭を消し飛ばそうと反粒子を収束させるアイであったが。
「同じ手を食うと思うたか」
 視線誘導を読まれ、思考を潰すように頭を掴まれる。締め上げる圧に頭蓋は悲鳴を上げて、必死に引き剥がそうとするアイの腕を、白い触手が貫いた。
「ひぎっ……!?」
 突き刺さった触手は筋繊維を引き裂き、動かなくなった腕の痛覚神経をかき乱して、実際の痛みよりも強烈な『ノイズ』を頭に叩き込み続ける。
「いやぁああああ!痛い痛い痛い痛い痛いぃいいいい!!」
 思考だけで強力な術を扱うゆえに、その思考能力の破壊を狙われたのだろう。激痛に泣き叫ぶアイの胸に、狼煙の指先が触れて。
「死ね」
 短い言葉と共に、沈んだ先端が肋骨の隙間を抜けて。
「ぃ……ぁ……」
 小さな声を残して、沈黙したアイから引き抜いた指先に舌を這わせる狼煙。その眼光が静かに光り。
「足りぬ……」
 残った赤い雫を振り払い、次の獲物を待つ……。


「いや厨二病っぽい!!」
 涼風・穹(人間の探索者・f02404)の第一声はそれであった。
「黒の服に白い翼だの触手だの……年頃男子の妄想の塊か!?」
「……」
 理解が及んでいないのか、ここまでの経験から「うわまたこの手の猟兵が来たよ……」って感情なのか、狼煙は眉間にこれでもかとしわを刻み、若干どころじゃないくらい引いて、口が上半分だけ開くという、実際に見た人にしか伝わらない、一周回って怪現象臭い表情。
「なんだか知らんがとにかく死ね」
「雑ぅ!?」
 一度は腕を異形化させたもの、案の定異形化が解けてしまい単純なフックになった拳。どうせ治るのなら、斬り伏せるのは容易いが。
「く……」
 一瞬、ためらってしまう。その隙に拳が的確に頬骨を穿ち、顎に衝撃を伝播して脳を揺らすが、踏みとどまった。
「へ……やっぱ男はコレ【拳】だよなぁ!!」
 顔面を殴り返したところで、敵は微動だにしない。それどころか、反動で穹の腕が痛みすらする。それでも……。
「ぼふっ!?」
 遅れて狼煙を激痛が襲い、突然の爆発で吹き飛ばされていった。その後を追うように走りながら、穹は自分の胸に触れ。
「加減も遠慮もなしだ。全力で行くぞ、俺!!」
 己の心臓を強制操作し、脈拍を加速する。巡る血液が熱を持ち、神経伝達速度を強化。
「歯ァ食いしばれ!!」
 頭を振って、立ち上がろうとした狼煙の顎を捉えたアッパーカット。打ち上げた体を蹴り飛ばし、追従して肘鉄を叩き込む。更に曲げた腕を伸ばして胸倉を掴むと足元に叩き落して。
「俺かお前か、どっちが先にくたばるか勝負だ……!」
 起き上がる狼煙を前に、拳を構える。両者踏み込み、撃ち出される拳はお互いの頬を捉えて……どさり、崩れ落ちた相手を、勝者が見下ろしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
狼煙を助けに往くんだな!

【戦闘知識】
狼煙の戦い方と攻撃の癖やパターンを把握
対POW
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け】
全力で飛び回り残像を残して回避
それでも避けきれない時は武器で受け止め致命だけは避け!

よし反撃…ぅ!?(ぱたり…UC強制起動
「テ、テラ!?ま、まさか…!」(今日は子猫なヘカテにゃん

「私の本能が叫ぶのだ。奴にパワーを与えよと」(邪神もとい謎の青年出現

以後ぜっちゃん

「狼煙に渾沌よ!お前達には足りないものがある!」
【属性攻撃・オーラ防御・料理】
チョコにチョコ属性を付与しつつ更にカカオ濃度を強化!
「それはパワーだ!だが安心しろ…我が至高のチョコを食せばお前達には圧倒的なパワーが宿るだろう!」
【二回攻撃・串刺し・早業】
狼煙の口にチョコを串刺しにする如くねじ込みねじ込み
「狼煙よ!お前も中々のカカオカラーだ!さぁ!体から溢れる圧倒的なパワーで歓喜の叫びをあげて宇宙を感じるがいい!」
更にもう一度捻じ込みねじ込み
「足りない?安心しろ!我がチョコは食べ放題のサービス付きだ!」
地獄発生中



 さーて既に決着がついてるっちゃーついてるんだけど、遅れて来た猟兵達の追撃が始まるぞー☆
「狼煙を助けに往くんだな!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)か……何故だろう、コイツとはしばらく宿敵関係で縁がある気がする……。
「お前の戦い方は既に見切っているぞ!具体的には戦闘記録で予習してきた!!」
「ほう……?」
 微かに目を細めた狼煙の腕が異形化する。白い腐肉と化した巨腕を振るわれれば、今まで戦って来た猟兵達の挙動を見て学んできたテラは全力で走りつつ。
「回避できるだけの空間を潰すほどの広範囲攻撃……でも、デカすぎて空隙もある!」
 と、実際に回避した猟兵もいた指の隙間を掻い潜ろうとしたところで、握り潰されそうになり、宙転して間一髪すり抜けるが。
「甘い……」
 パァン!異形化した腕が爆ぜ、大質量の肉塊がテラへ降り注ぐ!
「ちょっと待ってここで新技とかずる過ぎないか!?」
 深紅の刀身を持つ長剣を抜き放つが、それはすぐさま短剣に姿を変えた。散弾を弾くのに一見不利に見えるかもしれないが、いかんせん数が数である。直撃コースの肉塊に絞って対処するには、小手先で取り回しの効く短剣の方が都合がいい。
捌き切れないモノに頬や肩を掠められつつも、初手の襲撃を生き延びて見せたテラが改めて刃を伸ばした剣を構えたところで。
「よし反撃……ぅ!?」
 これから、というタイミングで突如崩れ落ちてしまう。
「テ、テラ!?ま、まさか……!」
 何故か黒子猫に変身した自我を持つキャバリアことヘカテにゃんがテラの懐で震え始めると……。
「私の本能が叫ぶのだ。奴にパワーを与えよと」
 なんか出たぁあああ!?具体的には銀髪銀目でシルバーシルバーした青年っていう色彩が迷子の変なのが出たぁああ!!
「狼煙に渾沌よ!お前達には足りないものがある!」
 勝手にキャンプを張ったかと思ったら、焚火でチョコを溶かし始める銀の青年こと、ぜっちゃん。
「それはパワーだ!だが安心しろ……我が至高のチョコを食せばお前達には圧倒的なパワーが宿るだろう!」
 いや、敵にパワーを与えてどうすんだよ!?
「なんの問題もない!パワーは全てを解決する。そしてパワーの源、それ即ちチョコである!!」
 とか言いつつ、溶けたチョコに手を突っこんだかと思えば、やたら粘性の強いチョコがうにょーん……説明しよう!チョコにチョコ属性を付与することでカカオ濃度が強化され、非常に濃厚なチョコと化しているのである!!……いやこれ、カカオ濃度が強化されたら辛苦い代物になってむしろ、一般的チョコのイメージから離れるんじゃ……。
「狼煙よ!お前も中々のカカオカラーだ!さぁ!体から溢れる圧倒的なパワーで歓喜の叫びをあげて宇宙を感じるがいい!」
「もがぁ!?」
 投げたー!液体とも固体ともつかぬチョコのような名状しがたい何かを投げつけたー!!
「足りない?安心しろ!我がチョコは食べ放題のサービス付きだ!」
 まだ何も言ってないのに、両手の間でねっちゃねっちゃしてたチョコをシューッ!!二撃目のチョコに吹き飛ばされた狼煙めがけて、大きく伸ばして冷却し、完全に固まったチョコをダイレクトイート!!今までの粘性からして、明らかに喉に詰まっているにも関わらず、強引にねじ込んでいくッ!!
「さぁ、存分にチョコを食らうがいい!!」
 トドメと言わんばかりに、螺旋チョコを漏斗代わりに、溶けたチョコをだぱぁ……ある意味一番殺意が高かったかもしれない……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUCと見分けがつかないほどに鍛え上げたと主張。

リミッター解除、限界突破、オーバーロード!真の姿解放(封印を解く)!
化術肉体改造と合わせて血液で出来た糸、それが今の私の姿だ。私より【多く血を流している】場合強化されるのであれば、私自身が血液になれば条件はみたせまい。これぞ真の姿血糸の魔王。
高速詠唱多重詠唱結界術で空間を詰め込みしての空間ジャンプや位相ずらしで回避を試みる。更に罠使いを術式に組み込み、鴻鈞道人が流血する端から傷口を焼き止血するトラップ結界術も展開しておくわ。
さて、先制攻撃を凌げたら、狼煙さんと死がふたりを分かつまで繋がるわ。血の糸である私は即ち赤い糸でもある。寄生種(悪のカリスマ)として糸の姿のまま狼煙さんに寄生して渾沌氏を駆逐しましょ。
結界術の内と外を分ける力で狼煙さんと渾沌氏の境界を分け、化術肉体改造で狼煙さんと渾沌氏の融合を絶つ。更に結界術を重ね骸の海まで締め出しましょ



「はぁい、随分とボロボロだけど、ご機嫌はいかがかしら?」
 もはやチョコに塗れた狼煙なのか、狼煙がチョコに沈んでいるのか分からない惨状を前にアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)が参戦。誰かこいつのプレを翻訳してくれる心優しくて優秀な人はいないかなぁ……。
「人は理解を求めながら理解されたくない生き物である……つまり、そんな都合のいい人いるわけないから、判定はしっかりよろしくね☆」
 コイツ、絶対、シバく。
「まぁ何はともあれ、オーバーロード、起動!」
 覇気を纏うアリスであったが、その視界に影が落ちる。
「何を成さんとするか知らぬが、遅い」
「あぐっ!?」
 胸の下方、肋骨の下を掻い潜るようにして突き立てられた貫手は消化器官を引きちぎり、少女の心臓を穿たんとするが……死を目前にしてなお、アリスは妖艶に微笑んだ。
「ようこそ、いらっしゃ~い♪」
 ハラリ、アリスが解けていく。自身の肉体を血液のみの存在として、白い抜け殻となった体を伝い、絡みつく血液の糸。
「こやつ……!」
 初撃で致命傷を狙ってくると分かっているなら、対処のしようはいくらでもある。敵が乗っ取った狼煙の技術を用いて即死攻撃を狙ってくるのなら、一発食らって己の体を罠とすればいい……いやマジで何言ってるのかわけわからないかもしれないが、俺にも正直よくわかってない。
 とりあえず確かな事は、肋骨をトラバサミにして鴻鈞道人の腕に食らいつき、ついた傷口から侵入しつつ外部に残した自分の肉体を燃料代わりに炎上させて、侵入経路を焼き付けることで更なる出血を強引に押さえてしまったという事……この対処法、もっといっぱいやられるかと思ったらアリスだけなんだよね、仕掛けてきたの。
「チッ」
 自ら腕を斬り落とし、噴き出す鮮血で蘇生を試みるオブリビオンだが、血流に乗って深部に潜り込んだアリスの放つ熱の壁が傷口を焼き、血液を凝固させてそれを許さない。こうなってしまえば再生そのものは行われているが、血液の接地面積が制限される分、回復速度が著しく低下する。
「こうなったら後は私とあなたの根競べよ」
 魂を支配する鴻鈞道人に対し、脊柱に寄生して神経の電気信号を掌握したアリス。それでも支配権は遥かに敵が上であるが。
「生憎、私は腕一本支配できれば十分なのよね」
 顔もないのに不敵に笑い、自らの腕をもって臓腑を引きずり出す狼煙。激痛に声を上げることすら許されない猟兵の手の中には、自身の心臓がある。
「貴様……こいつを殺害し、私を強制排除するつもりか……」
 ならば道連れにでもしようというのか、胸を、背を、脚を貫き湧き出した触手が湾曲し、自身を穿たんとした瞬間。
「悪いけど、殺す気はあっても死なせる気はないの」

 ――ブジャァ。

 呆気なく、肉を握りつぶす音と共に多量の血が零れ落ちる。別個体として再顕現した鴻鈞道人の目の前で、立往生を遂げた狼煙。その血だまりから、ゆっくりとアリスが浮上して……。
「此度の死合、実に見ものであった」
 それだけ言い残して霧散していく敵を見送り、アリスが小指を立ててフッと一息。失われた色彩を取り戻すように、繋がっていたそれは血液でできた赤い糸。繋がる先は狼煙の指先で……。
「どうかしら?命を繋ぐ糸で結んでおいて、狼煙さんを殺して敵を追い出すというこの作せ痛い痛い痛い待って私頑張ったじゃないなんで優しい微笑みに似合わないアイアンクローなんて仕掛けてくるのごめんなさい許してぇええええ!?」
 このあとめちゃくちゃお説教されたそうです。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月27日


挿絵イラスト