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殲神封神大戦⑰〜再殺

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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「集合お疲れ様! 時間あんまりないから、早速説明を始めるよ」
 藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)は猟兵達を確認すると、少し焦ったように口を開く。
「もうすぐ『渾沌の地』に繋がる転移ゲートが展開されるから、その先にいる『鴻鈞道人』を倒して欲しいんだ。ただ面倒なことにゲートが開くと同時に、私も向こうに転移される。そして鴻鈞道人が私に取り憑くから、私ごと奴を倒して欲しい」
 『鴻鈞道人』は骸の海を自称する謎の存在だ。
 『再孵化』と呼ばれる能力や変身能力など様々などを用いる彼は、これまた変化する『渾沌の地』にて猟兵を待ち構えている。
 グリモア猟兵を強制的に呼び寄せ憑依するというのも幾つかある能力の一つなのだろうが、一体どういうことなのだろうか。

「鴻鈞道人は私と融合して、『渾沌の諸相』とかいうのを強制的に発現させるんだ。こうなったら私の身体は完全に相手に掌握されるし、どれだけ呼びかけられても答えられない。この事態を解決するには、取り憑いた鴻鈞道人が力尽くまで戦うしかないって訳さ」
 此度の戦争で鴻鈞道人を完全に滅ぼすことは出来ないが、彼と戦い力を削ることは可能だ。
 オブリビオン・フォーミュラである張角と戦うためにも、鴻鈞道人を出来る限り討伐し道を切り拓かなくてはならない。
「それで厄介なのが、鴻鈞道人はひたすら強いんだよね。皆より早く私を動かすだろうからその対策をお願いしたいし、遠慮も一切しないで欲しい。手加減したら殺されちゃうから……本気で、殺すつもりで来てよ」
 私はデッドマンだし一回死んでるしさ、と付け足して美雨はからから笑う。
 口振りは軽くとも、言葉の意味は本当なのだろう。
「鴻鈞道人と戦った皆が生き残れば、あとは張角を目指して突っ走るだけだからね。私のことは気にせずガンガン殴ってきてよ。こう見えて頑丈だし大丈夫だから」
 戦いの後どうなるかは分からない。
 兎にも角にも鴻鈞道人を倒さなければ先へと進むことが出来ないのだから、物事が良い方向に転がると信じて戦うしかないだろう。

 一通りの説明が終わると同時に、転移ゲートが静かに開く。
 この場に集まった猟兵達の身体が少しふわりと浮かび上がれば、向かう先は渾沌の地だ。
「……そろそろ時間みたい。それじゃあ皆気をつけて、生きて勝ってね」
 次に美雨に顔を合わせる時は、彼女は既に鴻鈞道人となっているだろう。
 戦いが始まるまでは、あと少し。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 殺し殺され。

 当シナリオは『やや難』となります。

●プレイングボーナス
 グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。

 鴻鈞道人は藤・美雨に憑依し襲いかかってきます。
 彼女の身体に『渾沌の諸相』を発現しつつ肉弾戦で立ち向かってくるでしょう。
 武器などは使用せず、シンプルに殴る蹴るなどの手段で攻撃してきます。
 先制攻撃に対処しつつ、全力で戦って下さい。

 美雨は完全に鴻鈞道人と融合しているため、「心のつながり」があろうとも、どんなに呼びかけようとも反応しません(そのため初めましての方でも気兼ねなく戦っていただければと思います)。
 とにかく鴻鈞道人を倒すのが最優先です。

●『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
 骸の海を自称する謎の存在です。
 今回の戦いで完全に滅びはしませんが、戦闘において殺して戦力を削ることは可能です。


 オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。

 シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
 また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルドラ・ヴォルテクス
アドリブ&連携OK

【ルドラ・ゴースト】
骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな。

鴻鈞道人、傲慢な過去の輩、いずれ後悔の泥濘に堕とす。

悪辣な血の強化を使うか。
タービュランス、暴風障壁、チャンドラーエクリプス、防盾形態、UCアーディシェーシャを使う。

【反撃】
アーディシェーシャは今を繋ぎ止める楔。もう血の業はつかえまい。

美雨の身体がベースなら、限界突破、ラプチャーズの閃光で目をくらませたところへ、気絶攻撃性を最大化させたエレクトロキュートの一撃で、意識を刈る。
動けない人形をいつまで手繰ってるつもりだ、そろそろ出てこい、そこがお前の本性を露悪させるところだろう?(一刀で決着を図る)




 鴻鈞道人は美雨の姿をしながら、渾沌の地に降り立った。
 白く輝く左目が睨むのは、同時に舞い降りた青年の姿だ。
「……骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな」
 骸の海とは別、揺蕩う海から馳せたのはルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)だ。
 目の前にいるのは嵐吹き荒ぶ世界で見た猟兵。けれどその中身は、明らかに別の――六柱の邪神を思い起こさせる気配になっている。
「鴻鈞道人、傲慢な過去の輩、いずれ後悔の泥濘に堕とす」
(罪深き刃を刻まれし者よ、結局はお前も過去に落ちるのだ)
 ぶわ、と気配が溢れたかと思えば、美雨の身体に幾つもの傷が刻まれる。
 そこから血が流れれば流れるほど鴻鈞道人の力も強まり、それに合わせて美雨が凄まじい勢いで迫りだした。

「悪辣な血の強化を使うか。ならば……」
 相手が肉弾戦で来るのなら、まずは防御を固めなければ。ルドラは風の機構剣と羅睺の刃を構え、その力を解放していく。
「タービュランス、暴風障壁、チャンドラーエクリプス、防盾形態」
 主の言葉に合わせて武器達が盾に変わり、同時に肉薄してきた美雨が飛び蹴りを放つ。
 けれどその足はルドラには届かない。防盾が攻撃を阻み、暴風が美風の身体ごと弾き飛ばしたからだ。
 その一瞬を見逃す訳にはいかない。ルドラは着込んだ『アタルヴァ・ヴェーダ』の機能を解放し、悪を戒めるコードを刻む。
「繋ぎ止めろ! 『今』という環の裡へ!」
 力は見えざる波紋の形で広がり、吹き飛ぶ美雨の身体を撃った。すると彼女から発せられていた鴻鈞道人の気配が弱まったようだ。
(何を……)
「アーディシェーシャは今を繋ぎ止める楔。もう血の業はつかえまい」
 敵が弱体化した今ならば十分に攻め込める。ルドラはすかさず『ラプチャーズ』を構え、美雨の方へと投げ込んだ。
 次の瞬間、爆ぜたのは眩い光だ。いくら鴻鈞道人が強力な存在でも、今はヒトの視覚に頼らざるをえない。
 そこに閃光弾を投げ込まれれば、当然動きは鈍るだろう。
 そのままルドラは機構剣『エレクトロキュート』を構え、ふらつく美雨の方へと飛び込む。
「動けない人形をいつまで手繰ってるつもりだ、そろそろ出てこい、そこがお前の本性を露悪させるところだろう?」
 命を刈り取らない攻撃で彼女を殴りつければ――直後、顔を見せたのは鴻鈞道人としての表情だ。
 近くで見ればより分かる。自分はこのような悪しき過去を、滅ぼすために降り立ったのだと。
「今一度、駆け抜ける――この一閃で終わらせよう!」
 ルドラが再び放つのは、先程とは違う決意を籠めた一太刀だ。
 その刃は見事に鴻鈞道人を撃ち、力を刈り取っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガロウ・サンチェス
あの白いのが鴻鈞道人か。ワケわかんねー力であの嬢ちゃんを
乗っ取りやがって。力づくで追い出させてもらうぜっ!

渾沌の力を操るとはいえ、戦法のベースはあの嬢ちゃんなんだろ?
ここは焦らず、徒手空拳の基本戦法で出方を見るぜ。
大ぶりの打撃を《受け流し》で捌き、《グラップル》
による投げと《体勢を崩す》足払いで反撃。

『渾沌の諸相』で体が変化したら、それに合わせて
《衝撃波》をブッコミつつバックステップで距離を離して
勢いを殺したところで《ジャストガード》。
良い殺気だ。だが…殺生はいかんぞ!?
大連珠をジャリジャリ鳴らして念仏を唱え、
【顕現・牙楼明王】を発動。明王の力を身に宿し、
全力の一発にすべてを賭けるぜー!




 美雨越しに白くゆらりと見えるのは、鴻鈞道人の気配だろうか。
 その忌々しい気配を前に、ガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)は表情を険しくさせつつ前を睨む。
「ワケわかんねー力であの嬢ちゃんを乗っ取りやがって。力づくで追い出させてもらうぜっ!」
(罪深き刃を刻まれし者よ、過去へと向かうのはお前だ)
 勇ましく声を上げたガロウに対し、鴻鈞道人は一気に彼の方へと駆け出す。
 まだ『渾沌の諸相』は発露していない。最初は美雨の身体で肉弾戦を仕掛けてくるつもりだろう。
 鴻鈞道人本体の能力は未知数。けれど美雨の戦い方ならば、理解することは難しくない。
「ここは焦っちゃいけねぇな。徒手空拳の基本戦法に忠実に……って訳だ」
 ガロウはその場にどっしりと構え、迫る美雨の身体を見遣る。

 最初に放たれるのは凄まじい勢いの蹴りだ。それを力を籠めた腕で受け止め、出来る限り受け流す。
 一瞬の隙ができれば突き出された足を掴み、思い切り放り投げて。
「鴻鈞道人よ、猟兵の身体を乗っ取ったのが仇になったな。こっちの方が戦いやすいぜ!」
(ならば……これはどうだ?)
 次の攻撃に移ろうとした瞬間、美雨の足がぐにゃりと歪む。
 その足はヒトのものから悍ましい触手や白い翼の塊へと変化し、先程よりも強い力で動き始めた。
 美雨の身体はガロウの元から離れ、再び凄まじい勢いの蹴りが――。
「おっと、そうはさせんぞ!」
 この変化もガロウにとっては予測済みだ。すかさず衝撃波を撃ち込み、同時に後退すれば距離は稼げる。
 美雨の体勢もよろめき、蹴りの威力は十分に落ちているだろう。そのまま振るわれる異形の足を腕で受け止め、ガロウはニヤリと笑みを浮かべる。
「良い殺気だ。だが……殺生はいかんぞ!?」
 それもヒトの身体を乗っ取るなんて言語道断。けれどだからこそ、今の鴻鈞道人は悪霊に似た性質なのかもしれない。
 ならば――下すべきは仏罰だろうか。
 ガロウは大連珠を取り出し鳴らし、淡々と念仏を唱え始める。
 渾沌の地に響くのは重々しい声と大連珠のじゃらじゃらと鳴り響く音。それらが広がれば広がるほど、ガロウの力もどんどん強まっていく。
「顕現・牙楼明王ッ!!」
 念仏が終わった瞬間、ガロウに宿るのは明王の力だ。
 強い力を宿せばそれだけ身体が負担にかかる。けれど、それよりも目の前の相手をぶちのめす方が先だ。
 ガロウは一気に鴻鈞道人の元へと肉薄し、拳を振りかぶる。
「全力の一発にすべてを賭けるぜーュ!!」
 声と共に放たれた渾身の一撃は見事に美雨の胴を撃ち、彼女に宿る鴻鈞道人の命を削っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
厄介な感じになってるな!
手加減どころじゃない強さ!
一体どうやって戦おう?

殴る蹴るというと、遠距離が有利そう!
でも敵もそれは承知しているはず!
すぐに肉薄されると思う!

いっそ発想逆転だ!
相手の接近に合わせて、こちらも踏み込むぞ!
手足の伸びきる前・攻撃する予定ではない根元などにタイミングを外して当たり、【オーラ防御】で受けてしまおう!
【空中浮遊】してるから上下にズラしたり、下がって衝撃を逃がすという手もアリ!
柔剛を織り交ぜて対応!

やがて敵も対応し、更なる攻めの動きへ切り替えると思う!
そこで【カウンター】の【スーパー流れ星キック】よ!
加速が不十分?
いいや零距離から敵ごと加速して【踏みつけ】攻撃にする!




 鴻鈞道人の力は薄れているが、まだ諦める様子もなさそうだ。
「厄介な感じになってるな! 手加減どころじゃない強さだ!」
 ゆらり起き上がる敵を睨み、ぐっと拳に力を入れるのはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)。
 早く鴻鈞道人を倒して危機を脱したいが――果たしてどうやって戦おう?
 相手が接近戦主体ならば、こちらは遠距離で立ち向かうのがいいだろうか。フィロメーラなら戦場を飛び回り、強力な魔法を叩き込むことだって出来る。
 けれど鴻鈞道人も使っている身体の性質くらいは分かっているだろう。フィロメーラが逃げ回れば必ず追いかけ、渾沌の地を利用して肉薄してくるはずだ。
「……だったらこうだな、いっそ発想逆転だ!」
 何かを閃いたように笑顔を浮かべ、フィロメーラは翅をはためかせる。
 そんな彼女の様子に気付いたのだろうか。ふいに頭の中に響くのは鴻鈞道人の声だ。
(罪深き刃を刻まれし者よ、何か思いついたのかもしれないが……だが、それも無駄だ)
 次の瞬間、美雨の身体が弾丸のような勢いで駆け出す。
 彼女がフィロメーラの元まで辿り着くのに然程時間はかからないだろう。だったら――。
「きっとそっちが思ってるようなことはしないぜ。あたしは……逃げも隠れもしない!」
 フィロメーラも弾丸のように、前へと突っ込めばいいのだ。

(何……!?)
 予想外の接近に鴻鈞道人が零したのは困惑の声。
 どうにか反応は出来たようで、飛び込むフィロメーラ目掛けての蹴りは放ってきたが、それでも準備なしの攻撃ならば怖くはない。
「っと! このくらいなら受け止められる!」
 フィロメーラは咄嗟にオーラの防御を展開し、放たれる蹴りを全力で受け止める。
 そのまま身体を地面スレスレまで沈めれば、美雨も合わせてバランスを崩したようだ。
 けれど鴻鈞道人の攻撃も終わらない。美雨の身体は体勢を戻しつつ、今度は踏み込みを放ってきたようで。
 それをひらりと飛んで回避して、フィロメーラは頭上の敵の顔を睨む。
「手加減はなしだもんな。ここはあたしの全力で……」
 そのまま身体中に魔力をめぐらせれば、フィロメーラはキラキラ輝く光を纏う。
 その輝きを足元に集中させて――空に向かうかの如く、放つのは渾身のキック!
「スーパー! 流れ星!! キーーーック!!!」
 超加速と共に放たれる一撃は見事に美雨の胴を打ち据え、彼女ごと空に飛び上がる!
 零距離から放たれた以上、加速は不十分。けれどそれを利用し、相手を踏みつけるように飛び立てば問題ないのだ。
 鴻鈞道人の放つ悍ましい白色よりも輝く金の光が溢れれば、それは見事に過去を打ち砕いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
当人が直接戦っても強いだろうに、こんな事をするとは……
唯でさえ気に入らない上に、直接殴る事も出来ないとくれば尚更だが。まあ、いずれ落とし前をつけにいくさ

神刀を片手に、『八咫烏』に騎乗。先制攻撃を警戒しつつ、中距離で円を書くようにして走らせておく
攻撃が来たなら、被弾前にその場から走り去るか急旋回しての回避。最悪バイクから飛び降りても構わないのでどうにか避けよう

バイクが無事なら騎乗したまま、斬撃波も含めてすれ違いざまの一撃離脱で反撃を喰らわないような立ち回り
バイクから降りている場合は、刀で拳や蹴りを確実に受け流していく。徒手空拳と刀の射程差を活かす事で、自分に有利な間合いでやりあうように心掛ける




 何度か攻撃された胴を押さえつつ、美雨の身体は再びゆらりと起き上がる。
 けれどその顔つきは彼女のものではない。白く輝く左目が、鴻鈞道人の存在を強く主張していた。
「当人が直接戦っても強いだろうに、こんな事をするとは……」
 敵の姿を見遣り、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はぽつりと呟く。
 鴻鈞道人の行いはただでさえ気に食わないが、彼を直接叩くことも、此度の戦いで殺しきれないことも気にかかる。
 けれどこの戦闘を乗り切れば、いつかは彼と刃を交える機会も掴めるはず。
「まあ、いずれ落とし前をつけにいくさ。だから……今日は前へと進ませてもらう」
(罪深き刃を刻まれし者よ。お前の望む未来は来ない。全て過去に沈むのだ)
 決意を固める鏡介を一蹴するかのように、美雨の身体が前へと駆け出す。
 戦いの始まりを確信し、鏡介が取り出すのは神刀と――大型バイク『八咫烏』だ。
 鏡介はバイクに乗り込みつつ、静かに刀を構えた。堂々と響くエンジンの音が戦いの合図だ。

 かつては憧れだった「バイクに乗ること」、「そのまま刀を振るい戦うこと」。その双方が、今は鏡介の戦術として成り立っている。
 思い出すのは新し親分の元で初めてバイクに乗った時のこと。あの時の戦いがあって、今があって。自分達は未来に進んでいるのだ。
「俺達はこんな風に成長し、進んでいける……それを踏み躙る鴻鈞道人を、許せはしない」
 決意を胸に、けれど頭は冷静に。鏡介は敵との距離を測りつつ、懸命にバイクを走らせる。
 付かず離れずの距離を保ち相手の動きを観察すれば、攻撃の予兆もよく見えるのだ。
(威勢だけが良かったのか? そちらが来なければ、こちらから行かせてもらおう)
 ふいに、美雨の身体が一際大きく地面を踏み込む。同時に彼女の身体は鏡介の元へと接近し、同時に異形の足での飛び蹴りを放ってきたようだ。
「……ッ!!」
 鏡介も咄嗟にハンドルを切り、一気に進行方向を急転させる。
 直後、鏡介のいた地点には凄まじい攻撃が叩きつけられたようだ。その衝撃と急転の負担に負けないように身体に力を籠めて、鏡介はすぐに刀を構えた。
 鴻鈞道人はすぐに体勢を立て直し、次の攻撃を仕掛けようと飛び立つ。
 けれど初撃は回避した。相手の身体にも負担はかかっている。反撃するなら今だ。
「我が太刀は鏡の如く――」
 エンジンを全力で稼働させつつも、意識はしっかりと集中させ。再び飛び蹴りを放つ敵に、鏡介はしっかりと視線を向ける。
 チャンスはすれ違いさまの一回。その一瞬を見逃さず放つのは――。
「――捌の型【水鏡】」
 静かな、けれど着実な一閃。その刃は見事に飛び込む敵を斬り、過去の気配を削り取っていく。
 鏡介の確かな意志が悪しき過去の化身に傷を刻み込んだのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
デッドマンって魂に強い衝動がある限り不滅なんだよ
だからあのグリモア猟兵の心配はしない

胸鎧と一体化
黒い全身鎧の異形と化す
更にUC黒化装甲を発動

その間に敵からの攻撃は飛んでくるだろうけど恐れることはない
俺は負傷すればするほど戦闘力が上昇するし
生命力吸収能力を得てお前、又は操っている存在の命を喰らう
負傷すれば痛みがないわけじゃないけど、生憎痛みには鈍いんだ(激痛耐性)
苦しくて動きが鈍るなんて不覚も取るつもりはないね

暗夜の剣を抜き懐に飛び込み突き刺し、あるいは切り刻む
その間に受ける負傷は全部俺の力の元だ
敵が俺より能力が高まる条件を見抜けば攻撃を鞘に納めた剣による打撃に切り替えて

ふふっ、相手が悪かったね




 鴻鈞道人に取り憑かれた美雨は、半壊した人形のように身を起こす。
 けれど彼女はデッドマン。彼女の内に強い衝動がある限り死を迎えることはない。
 だから――サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)はただ、美雨の内に潜む過去にだけ意識を向ける。
「遠慮はしなくていいよね。こういう戦いの方が気が楽だよ」
 戦場に流れる血を一瞥しつつ、サンディは自身のプレートアーマーの力を解放していく。
 黒い全身鎧に身を包み、悪意のまま突き進む異形へと転じれば戦う準備も万端だ。
(罪深き刃を刻まれし者、業深き者よ。お前が止まらないというのなら、此方も相応に対処するだけだ)
 鴻鈞道人は更に美雨の傷口を開きつつ、彼女の身体で前へと駆ける。
 流れた血は鴻鈞道人の力も強化するだろうが、そんなことは些細な話だ。
「これが見られること、光栄に思えよ」
 サンディもまた悪意の魔力を展開させ、迫る敵へと視線を向ける。
 その表情に浮かぶのは、どこか嗜虐的な笑みだ。

 サンディの元へと飛び込んだ鴻鈞道人は、身体の負担を一切厭わないラッシュを仕掛けてきたようだ。
 流れるように浴びせられる蹴りや拳をある時は鎧で、ある時は身体で受け止めつつサンディはニヤリと笑う。
(……何が面白い?)
「まんまと飛び込んできたお前が面白いよ」
 美雨の身体が凄まじい威力の蹴りを発してくれば、その足を力づくで受け止めて。
 同時に鎧の魔力を解放すれば、鴻鈞道人の驚く声が脳裏に響く。
(何をした?)
「鴻鈞道人、お前の命を少しずつ奪いとっただけだよ。無策で攻撃を受ける訳がないじゃないか」
 サンディの纏う悪意は敵を傷つける刃であり、自分を支える糧でもある。
 敵の命や己の痛みすら糧とするこの力、流石の鴻鈞道人も驚くしかないだろう。
 不利を悟ったのか美雨は少し後退し、次の攻撃の準備をするが――逃げた時点で向こうの負けだ。
 サンディは『暗夜の剣』を引き抜き、奪い取った力を糧に前へと突き進む。
 ただただ悪意を、ぶつけるために。

(忌々しい……来るな!)
 飛び込んできたサンディに対し、美雨の身体はどうにかカウンターの拳を叩き込む。
 胴を打たれて鈍い痛みが響くが、その程度でサンディは止まらない。
「お前みたいな相手に忌々しい、なんて言ってもらえて光栄かな」
 悪意と傷をさらなる魔力に転換し、剣を強く握りしめて。
 サンディの視界に映るのは、美雨のはずなのに――その奥に、驚愕する鴻鈞道人の姿が見えた気がした。
「ふふっ、相手が悪かったね」
 嘲笑う声と共に斬撃を叩き込めば、それは美雨を、鴻鈞道人を切り刻む。
 渾沌の地から過去の気配が薄れていき、その分悪意の魔力が強まっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

壽春・杜環子
あなた様があの時わたくしをお救い下さったように、わたくしも
ふふ、少しだけかっこつけなことをお許しくださいませ

まったくもう
ご自分を大事になさらないのは藤様の悪い癖でしてよ?
バランスの悪い足場の補助はふわふわちゃんにお願いをして、
初撃、わたくし避けるつもりなど毛頭ございませぬ
全て受けて立ちましょう、【多重詠唱】に【高速詠唱】の【オーラ防御】と【結界術】を
わたくしの成し得る全てで抗いましょう

ねえ“鴻鈞道人”?
骸の海だから何なのでしょう【悪のカリスマ】【言いくるめ】
人の形に似た形を選択した時点で、人型故の盲点を抱え込んでいるのではなくて?
後から取って付けたような翼も触手も、刃など人工物ではございませぬか
何事もいいように解釈などさせません
重ねて映して見せましょう。そして理解なさい……骸の海などと名乗った癖に、己の選んだ様相の弱点を【呪詛】

藤様の形を借りて好き勝手などさせるものですか――!

わたくしの鏡が映すは真の姿
濫觴の水【属性攻撃】による攻撃は内の鴻鈞道人映した鏡を狙って

一緒に帰りましょうね、藤様




 転移の最中、壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)は少しだけ瞳を閉じる。
 思い出すのは機械都市での戦いと、先程のグリモアベースの説明。
 彼女はどちらも『大丈夫』と言っていたけれど、その意味合いは全く違っていて。
 だから杜環子は渾沌の地に降り立って、その先に立つ美雨の姿を見る。
 かつては自分が助けられる側だった。けれど今日はその逆だ。
「……ふふ、少しだけかっこつけなことをお許しくださいませ」
 ゆるり、優しく微笑んで。藍の瞳は確りと敵の姿を見遣る。

 ここまでの戦いと鴻鈞道人の戦法により、美雨の身体からは大量の血が流れ落ちていた。
 その様子には驚かない。彼女がそれを厭わないことは知っているから。
 だからといって、それを快いものと思うかは別問題だ。
「まったくもう。ご自分を大事になさらないのは藤様の悪い癖でしてよ?」
 ちょっとだけむすっとした表情を浮かべつつ、杜環子はふわふわちゃんの背に乗り込む。
 渾沌の地にあっても、ふわふわちゃんの白さはどこか安堵を覚えるものだ。微かな甘い香りに包まれながら、ゆっくりと呼吸を整えて。
(罪深き刃を刻まれし者よ、お前の言葉は届かない。ただ虚しく、過去へと落ちろ)
 構える杜環子の元へ、敵は更に迫りくる。美雨の身体に異形の諸相を発露させ、勢いよく飛び上がった。
 杜環子はその様子から決して目を逸らさず、両手を頭上へと構える。
「そう思うのは鴻鈞道人、あなた様の勝手です。ですが……わたくしは、自分がやりたいからこうするのです」
 掌に魔力を集中させ、それを美しい紋様のように編み込んで。
 手早く結界を作り上げ、杜環子は身体中に力を籠める。足元にはふわふわちゃんが居てくれる、集中すべきは来る攻撃だ。
 直後降り注いだのは、凄まじいまでの質量だった。結界越しとはいえ受けた手はびりびりと痛むけれど――それでも。
 大丈夫、受け止める。受け止めてみせる。決意がひたすらに杜環子を支えていた。
 そのまま視線を上げれば、見えたのは美雨の左目――白く輝く鴻鈞道人の色だった。

 結界越しに、藍色と白色は見つめ合う。
 その様子にはむしろ安心した。彼は目の前にいるのだ。だったらもう、逃さない。
「……ねえ“鴻鈞道人”? 骸の海だから何なのでしょう」
(どうした? 何かの強がりか?)
 ぐ、と結界に加えられる力が増す。それでも杜環子は痛みや苦しみを決して表情に出さず、朗々と言葉を紡ぎ続けた。
「人の形に似た形を選択した時点で、人型故の盲点を抱え込んでいるのではなくて? ほら、よく自分の身体をご覧になって下さいまし」
 その言葉に、白い視線が揺らぐ。美雨の足は翼や触手に覆われた巨大な異形と化しているが、それ以外の部分は人間のそれだ。
 これまでの戦いでも、鴻鈞道人はヒトだからこその制約を受けてきた。
 けれどそれは彼が選んだからこそ。しかし目を逸らしていた痛手に、鴻鈞道人は少し歯噛みするような表情を見せた。
 その隙を見逃さず、杜環子は結界に新たな魔力を注ぎ、その姿を変化させていく。
「何事もいいように解釈などさせません。わたくしは鏡、ゆえに――重ねて映して見せましょう。そして理解なさい……骸の海などと名乗った癖に、己の選んだ様相の弱点を」
 次の瞬間、渾沌の地に光の花が花開いた。弾けた結界は無数の小魔鏡へと変わり、万華鏡のように美雨の周囲に飛び交っていく。
 けれどその鏡面に映るのは――鴻鈞道人の姿だ。
「もうこれ以上……藤様の形を借りて、好き勝手などさせるものですか――!」
 鏡へ向け、杜環子はすぐさま古巻貝の魔杖を構える。先端の青玉から溢れるのは、生命溢れる海の力だ。
 その海は鏡に映った過去の海を押し流し、彼を在るべき所へ還していく。

 溢れ出た海水が退いていけば、残されたのは猟兵だけだ。
 見れば美雨の身体は気を失い倒れ伏している。彼女から鴻鈞道人の気配は消え去っているようだ。
 杜環子はすぐに美雨の元に駆け寄り、そっと顔を覗き込む。
「一緒に帰りましょうね、藤様」
 機械都市の、あの時のように。
 その願いは――きっとすぐに果たされることだろう。


 戦いが終わり暫くすれば、美雨の胸元から機械の駆動音が響く。
 同時に美雨の両目が見開かれるが、そこにあるのはいつも通りの灰色だった。
 美雨は猟兵達の顔を見遣り、少し申し訳無さそうな笑みを浮かべる。
「……ごめんね、もう大丈夫。本当にありがとう」
 ちゃんとしたお礼は帰ってからだね、なんて呟きつつ、いつものように転移ゲートが開かれて。

 こうして猟兵達は鴻鈞道人を打倒し、無事に帰る道を繋げた。
 圧倒的な過去を乗り越え、未来へと進む――そんな当たり前だけど大変なことが、これからも続いていくのだろう。
 猟兵達はその不確かな道を、確かな足取りで進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月29日


挿絵イラスト