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殲神封神大戦⑰〜千里眼の少女拳士

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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 グリモア猟兵は本来、猟兵たちを戦場に送り出すためにグリモアベースで待機しているもの。ところが渾沌氏『鴻鈞道人』は、そのグリモア猟兵を無理やり戦場に引っ張り込んで肉体を乗っ取ってしまうのだという。
「で、私も”そう”なる未来が視えたわ」
 他人事のように淡々と話しながら、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は自身の装備を次々と外していく。厳重に封印された妖刀、そして封印具や防具の数々。全武装を解除してから、ユウナは改めて猟兵たちに向き直った。
「さて、と。もう皆似たような事件を聞いてるだろうし、余計な話は抜きで始めさせてもらうわね。まずは敵の能力なんだけど、ユーベルコードとは別に融合したグリモア猟兵の力も使ってくるわ」
 いつもと変わらぬ調子で、資料を壁に投影するユウナ。それはグリモアベースで日常的に見られる姿であるが、自分自身のデータを、それも倒すべき敵として猟兵たちに説明するのは何とも異様な風景だ。
「私の戦闘スタイルは日本古武術。空手とか柔術とか、ざっくりそういうのをイメージしてちょうだい。武装解除はしてるけど、徒手空拳は得意とするところだから油断はしないでね。あと、一身上の都合で『刃物を使わない』って誓いを立てていて、これは今回の戦闘でも当てはまると思う」
 と、一通り話してから、ユウナは「最後に一番メンドーな能力」と言って自身の目蓋を叩いてみせた。
「私の『千里眼』。視野拡大や透視能力に加えて、未来を視る力があるの。未来視に関してはあくまで限定的なものだけど、いくらかは手の内を見透かされる覚悟はしておいてね」
 ユウナの千里眼と鴻鈞道人の膨大な力が合わされば、歴代でも最強クラスの敵となるだろう。
 戦闘におけるイニシアティブは、常に敵が握るものと考えねばならない。猟兵側の対抗手段は、ユーベルコード・技能・装備アイテム・その他諸々、様々な手段があるだろうが、レベルや性能・数をそろえただけでは足元にも及ぶまい。どれだけ「有効な作戦を立てられたか」が勝敗を決めるカギとなる。
「厳しい戦いになるとは思うけど、私は皆を信じてる。――必ず私を殺してくれるってね」
 信頼を込めたウインクを送って、ユウナはグリモアを展開した。



 猟兵たちが転送された先には、雑木林が広がっていた。
 大小の植物が乱雑に立ち並ぶ中、少し離れた切り株に彼女は座っていた。
『ほう。この娘、グリモアの眼を持っているのか』
 長い黒髪、熾火のごとく静かに燃える瞳を持つエルフの少女は、ゾッとするような笑みを浮かべて自身の顔を撫でる。
 立ち上る虚無的なプレッシャーは、数秒前までグリモアベースで話していたのと同じ肉体から放たれているとは信じられないほど強大だ。
『……しかし視力を強化する程度とは、宝の持ち腐れだな。グリモアというものを全く理解していない』
 嘆かわしい、とばかりに首を振って、少女は立ち上がると猟兵たちの方に視線を向けた。
 ……見られた。
 ただのそれだけで、心臓を握られたような錯覚に襲われる。
 圧倒的な格上、という評を身をもって理解して猟兵たちが戦闘態勢を取ると、少女はククと喉を鳴らした。
『なかなかの気魄だ。いいぞ。相争い、私にカタストロフを見せてくれ』


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 容赦なくボコボコにする気で待ち構えておりますので、遠慮なくボコボコにしてやってください。

●備考
 普段なら随時転送を行うグリモア猟兵がご覧の有り様。
 参加者さまはシナリオ開始時点で既に転移されていたものと解釈します。

●備考2
 鴻鈞道人と融合したユウナの自我は完全に失われています。彼に皆さまがユウナと何らかの「心のつながり」があったとしても、一切有利には働きません。
 説得やら何やらは全て無効となりますので、完全な『敵』として扱っていただければ。

●プレイングボーナス
 【グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する】【手加減せずに戦う】の二点が条件です。両方に対して有効なプレイング内容だった場合に限り、成功度判定のサイコロを振り直せるようになります。
 此度は超強敵ですので厳しめに判定させていただきます。頑張ってください。
 また、鴻鈞道人は融合したグリモア猟兵に由来する能力も使用します。上手く対処できていれば、ボーナスを追加します。

●固有能力
 下記の三点がグリモア猟兵に由来する能力です。田抜・ユウナのステータスを確認する必要はありません。
・基本攻撃
 原則として素手攻撃。技能は〈功夫〉〈グラップル〉〈視力〉〈見切り〉等々をノリで使用します。
・無刃の誓い
 刃物を使用しない代わりに身体能力を向上させるユーベルコードです。これにより、SPD【肉を破り現れる渾沌の諸相】の『白き殺戮する刃』は鈍器相当に扱われます。
・千里眼
 グリモアと同化した両眼です。視野拡大・透視・未来視といった効果があります。オープニングで意味深なこと言ってますが、何かある訳ではないです。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シル・ウィンディア
全力で行かないのならやられるだけ
だから、わたしの全部を出し切るだけっ!

敵のUCは、強化されるのが厄介
属性攻撃で炎属性を光刃剣と精霊剣に付与
傷を焼き切る感じで血を流させないように気を付けるね

敵の攻撃は第六感で感じて、動きを見切り、瞬間思考力で最適な防御と回避を選択
回避時は、残像を生み出してフェイントを入れて攪乱
防御は、オーラ防御で致命箇所を重点的に防御
インファイトに持っていかれたら、相手の腕を何とかからめとってから
腰部精霊電磁砲を撃つよ
その後は、多重詠唱でUCの詠唱と同時に限界突破の魔力溜め
溜めた魔力を全て全力魔法で出し切るよ

ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト
これがわたしの全力だーーっ!




『私のユーベルコードは出血していなければ始まらないのでな』
 田抜・ユウナ、いやユウナの体を乗っ取った鴻鈞道人は事も無げに言って、爪で己の頸動脈を掻き切った。
「なっ、自分から傷を!?」
 噴水のように飛び散る鮮血に、シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)は息を飲んで――――
『驚いている暇があるか?』
「っ!? 速い!」
 瞬く間にも満たない刹那に、数十メートルはあった距離が埋められていた。
 近い。――殴打が来る。――回避、いや防御? 判断基準は――ええいままよ!
「くっ……きゃん!?」
 勘で張ったオーラ防御が、薄いガラス板みたいに容易く砕け散った。
 障壁を割った拍子に攻撃軌道がわずかに逸れる。砲弾と見紛う鉄拳がこめかみをかすめる風を感じながら、シルは炎を付与した刃でカウンターを見舞う。ジュッ、と肉を焼く手応え。首を狙った斬撃は躱されたが、表皮に付いた火傷が頸動脈の裂け目を潰した。
 出血が止まったことで、ユーベルコードによる強化が解除される。
『味な真似を。……だが強化を解いたところで、レベルは私の方が圧倒的に上だ。負ける道理はない!』
 豪語するだけあって、初動と比べれば鈍くなったはずなのに鴻鈞道人のスピードは目で追うことすら困難だった。
 健やかな脚が鞭のようにしなり、二刀流の受けをすり抜けてシルの両手を蹴り上げる。
 衝撃で剣が吹っ飛ばされた。痛い。腕が痺れる……が、ユーベルコードが有効だったなら肘から千切れてしまっていただろう。まだ動くなら、それだけで重畳。
 素手同士で取っ組み合いながら腰に取り付けたレールキャノンをぶっぱなし、怯んだ隙に切り札を発動する。――多重詠唱。魔力充填120%。全力放射、【ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト】!
「これがわたしの全力だ――っ!!」
 火・水・風・土・光・闇の複合6属性の魔力砲撃が鴻鈞道人を飲み込んで、視界を真っ白に染め上げた。
 やがて光が収まると、魔法の威力を物語るように地面を抉った跡が直線580メートルも続いた終点で、鴻鈞道人が体から煙を上げて立っていた。
『……今のは、なかなか効いたぞ』
「あれで倒れない、か。流石に手強いね」
 落とした剣を回収し、シルは額の汗をぬぐって戦闘続行の構えを取る。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪華・風月
不謹慎な話ではありますが…
この雪華・風月、強き猟兵の方と戦えると聞いて少々胸が踊っています
はい、必ずや勝利してその身をお救いします

未来視、手の内を見透かされようと関係ありません
ただ、この身でできるのは刃を振るうのみそれしかできませんので…


空を飛ばれるのは少々困りますが…
触手はこの眼で軌道を『見切り』、我が刃、雪解雫にて『切断』
刃、鈍器にも刀で『受け、流し』対処を

消耗の少ない防御重視で相手の動きの癖を『情報収集』し
隙を見極めたら力いっぱい足を踏み込み、龍脈に乗る…
縮地、この一刀にて…!

刃物を使わない誓いですか
ではいつか乗っ取られていない素のユウナさんと徒手空拳による稽古試合等行ってみたいですね…




「不謹慎ですが、この雪華・風月(若輩侍少女・f22820)強き猟兵の方と戦えると聞いて少々胸が踊っています」
『闘争は私の望むところでもある。良いぞ、存分に殺し合おうではないか!』
 好戦的な一面を隠すことなく抜刀する風月に愉悦で返す鴻鈞道人の、背中の肉を破って渾沌の翼が出現した。白き天使の翼が羽ばたくたびに血飛沫が飛び、鴻鈞道人を空へと引き上げる。
『呵ァ!』
 奔流。おぞましき触手が百千と群れを成して襲いかかった。木々の間を飛び回りながら放つ豪雨のごとき白骨色の肉塊を、風月は眼球が飛び出るかというほど目を見開いて仰視する。
「観の目強く見の目弱く――見切った!」
 弾けるように迎撃。
 退魔刀『雪解雫』が銀に閃き、幾重もの斬撃が傘のようになって、グロテスクな触手の雨を受け止めた。
 真っ直ぐ急所を狙った刺突を斬り落とし、返す刀で死角に回った触手を切断。狙いが甘いのは最小限の動きで回避したところを集中攻撃してきたので回転斬りで薙ぎ払う。
 数えきれない触手が柔軟かつ縦横無尽に蠢くのを、風月は息を乱すこともなくただ一振りの刀で斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬――れない!?
 ガキッ! と硬い手応えがして剣閃が止まった。柔らかい触手とは異質な感触に、風月ははたと思い出す。敵のユーベルコード【肉を破り現れる渾沌の諸相】で顕現するのは翼と触手の他にもう一つあった。
「白き殺戮する刃。触手の中に紛れ込ませて……!」
 今までの猛攻は全て布石だったということか。
 巧みに隠されていた本命、刃を潰した剣は恐ろしく頑強だ。いくら腕が良くても触手を斬るつもりで振るった刀で斬れるはずもなく、圧倒的なパワーで押し返される。このまま鍔迫り合いに持ち込まれたら耐えられないと判断した風月は、咄嗟に腕の力を抜いた。
 土壇場での急脱力。拮抗が崩れ、噛み合っていた刃が上滑りして、敵の剣が逸れていく。
 ――ここが勝機だ。
「龍脈に乗る……【縮地】!」
 力いっぱい踏みしめた足の底から、大地の霊脈に干渉する。エネルギーの“流れ”は地中から根、幹を伝って樹上まで。飛翔する鴻鈞道人の背後に立つクヌギの樹の枝先へ――跳べ!
「取った!」
『ぬっ!?』
 最後に勝敗を分けたのは間合いの差であった。反応した鴻鈞道人の裏拳は空を切り、刀の分だけ徒手より長く伸びた風月の切っ先は敵の脇腹を捉える。
『瞬間移動のユーベルコード……この未来は視逃したか!』
 急所を断たれた鴻鈞道人は空中でコントロールを失い、頭から墜落した。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
賭すは一瞬。

――恐れず、迷わず、侮らず
――為すべきを定めて、心を水鏡に

「推して参る」

調息、脱力、敵を観据える。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から呼吸を量る。

真正面から踏み込む、と見せかけてタクティカルペンを投擲。それに対応させることで、その意識の隙を突いて初撃を回避し、持てる最速で間合いを殺し懐に入る。

当然未来視があれば、懐に入るところで対応され迎撃を受ける。

それら『表向きの戦術』を目隠しにして、踏み込む際の重心移動、内筋の操作、姿勢と闘気の偽装で、踏み込む拍子を半歩ずらし、その猶予を以て迎撃を回避。

そして組付いてUCによる渾身のスープレックスを叩き込む。




 驚怖疑惑、是即ち武道の四戒なり、と。
 恐れは体を硬直させる。かといって侮っていては驚かされて隙となる。心惑わせることなく、為すべきと定めたことを信じて進め。
「上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)、推して参る」
 充実した心技体で一歩踏み出すと同時、袖口に忍ばせていたタクティカルペンを投げた。真正面からの突撃と見せかけた奇襲に、しかし鴻鈞道人は顔色ひとつ変えない。
『見え見えだな』
 ピン、と指で左耳を弾くや、エルフ特有の尖り耳が破裂した。
 ユーベルコード【肉を喰らい貫く渾沌の諸相】。血煙に消えた耳の跡からサソリの尾にも似た毒々しい触手が生えてきて、投擲されたボールペンを払い飛ばす。
『筆を模した暗器か? 不意を突くにはバカ正直が過ぎるな』
 などと退屈そうに呟くが、修介とてペンの一本で勝てるとは思っていない。意識が他所に向いた刹那の隙に瞬発。間合いを詰めて懐に潜り込むように動く。
『見え見えだと言った』
「ッ!」
 異形化した耳が鎌首を鋭角旋回し、鴻鈞道人の右脚が跳ね上がった。
 顔面蹴りと触手で背中を突く二重迎撃が、修介の最高速度にコンマ1秒の狂いもなくピッタリ合わせたタイミング・角度で、確実に仕留めにくる。
「まったく……期待通りだよ」
 直後、修介の鼻柱を砕くかに見えた爪先は前髪を掠め、心臓を貫かんとしていた触手は虚しく地面に突き刺さった。完全に捕捉されたはずだったのに、実際に攻撃してみればマトは半歩も彼方にあって遠く届かない。
『これは……!?』
「戦術とは常にイタチごっこだ。正確に見切る技があれば当然、見切りを狂わせる術も編みだされる」
 驚怖疑惑、是即ち武道の四戒なり。
 予想外の空振りで狼狽した相手の死角を取るなど赤子の手をひねるようなもので、修介は容易く背後に回り込むと腰をクラッチ。渾身の力で反り投げる。
 ユーベルコード【――崩す】。超高速かつ大威力のスープレックスが美しいアーチを作り、受け身も取らせず地面に叩きつけた少女の細首がありえない方向にへし曲がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
ユウナ…凄く強そうだな
だからこそ…助けると共に挑みたくもなってるぞ!

【戦闘知識】
ユウナの功夫らの技能とその動きの癖を分析

【属性攻撃】
炎を全身と武器に付与
傷つけても焼いて出血を妨害

対POW
【見切り・第六感・残像・空中機動・オーラ防御・武器受け】
その動きを見据え残像を残し天を待って回避に努め
避けきれないのは剣で受け止め
【弾幕・貫通攻撃・重量攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開!
重力弾を乱射してその動きを鈍らせドリル攻撃!
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣と太刀による連続斬撃から槍に切り替えての串刺し攻撃!

ユウナ…お前に我が全霊を捧げるとしようか!
【リミッター解除】
メテオブラスト!
…その身に味わえー!




「ユウナ……凄く強そうだな。だからこそ……助けると共に挑みたくもなってるぞ!」
『ユウナ? ……ああ、我が器となったグリモア猟兵のことか』
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の台詞に対し、鴻鈞道人は興味の欠片もない様子でパキパキ首を鳴らして、その姿が唐突に掻き消えた。
 目にも留まらぬ瞬発で懐に飛び込まれ、テラはわずかな逡巡の後に防御を選択。抉るようなボディブロウを十字に構えた剣で受け止める。敵の拳は火炎を付与した刃と衝突し、逆に焼き斬られて四分割された。
『……渾沌よ、肉を喰らいて貫き穿て』
 焔! 斬り割られた拳から肩にかけてが一気に燃え上がった。炎の色はテラの赤ではなく、死骨を思わせる白。焼失から再生・異形化まで一瞬にも満たず、グリモア猟兵の右腕は複数の獣を融合させたようなバケモノに変貌した。
 ――ギャウギャウギャウギャウギャウギャウギャウギャウ!!!
 幾つもの獣顎がけたたましく牙を鳴らして喰いかかり、凄まじい威圧に押されてテラの両足は地面に二本線を曳きながら後退した。
「くっ、うううう…………ガンドライド、撃て!」
 必死で堪え忍びながら、テラは周囲に展開させていた小型浮遊自走砲台群に砲撃命令を下した。
 重力弾の乱射で動きを鈍らせ、かろうじて生まれた余力で得物を二刀流から槍に持ち替えると、二体一組のドリルビットも合わせた三方向から串刺しにする。
『ぬぅ、これは……』
 さしもの鴻鈞道人にも焦燥が浮かんだ。対応するにも肥大化した腕が邪魔になって思うように動けず、そうこうしているうちに完全に沈黙した怪腕を飛び越えてテラが迫る。
「ユウナ……お前に我が全霊を捧げるとしようか! ……その身に味わえ――!!」
 振りかざした脚に宿るは超重力の黒。リミッターを外した必殺の踵落としが鴻鈞道人の脳天に直撃した。【メテオ・ブラスト】の名に相応しい隕石のごとき脚蹴を受けて、鴻鈞道人は五体まるごと地面に埋もれる。
「手応えはあったが……さあ、どうだ!」
 すぐさま飛び退いて残心を取るテラの前で、鴻鈞道人はゆっくりと立ち上がると口の中の土を吐き捨てた。
『いい蹴りをする。首の骨が砕けたぞ』
「はっ! 平気な顔で言われてもな」
 絶命してもおかしくないダメージを負いながら少しも迫力の衰えない様子に、テラな内心で戦慄しながら武器を構え直す。
 おそらく敵は限界寸前。もう勝利は目の前だが、まだまだ油断は禁物だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
なんとひきょうな手段をつかうやつなのだ!
おにー!あくまー!たぬきー!!

さておき。
敵のSPD系はデメリット持ち。時間が経てば経つほど不利に働くはず。なので思いっきり時間を稼ぐ。ユーベルコード解禁まではひったすら逃げる。覚悟決めて気合込めて限界突破した全力ダッシュ!残像とかフェイント系の小細工は千里眼あるからたぶん無効だろう。でもないよりマシなのか?追いつかれたら念動力とオーラ防御で二重バリア。まったく手加減せずに逃げるのだ。

ユベコ解禁後は大喝。

きみきみ!ジョークのひとつも飛ばしたらどうだね!
ひょうきん道人だろう!

たぶん相手は笑わないので速度1/5。でさらに逃げて十分相手が弱ったら刀で斬る。




 大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)は激怒した。これだけは言ってやらねば気が済まなかった。
「なんとひきょうな手段をつかうやつなのだ! おにー! あくまー! たぬきー!!」
『……鬼、悪魔はまだしも、狸とは何だ?』
「塩対応! ユウナちゃんなら絶対ブチ切れワードであるというのに。完全に意識が失われているというのは本当なのドゥワァァ!?」
 話し終わってないのに容赦なく、白き殺戮する刃が強襲。顔面目掛けて投擲された刃引きの剣を、麗刃はブリッジして回避すると尻尾を巻いて逃げ出した。
 気合充実、限界を超えた全力ダッシュ。車のタイヤみたいに足を高速回転させる麗刃の背中へ、おぞましき触手の群れが殺到する。木々を呑み込みながら押し寄せてくる触手に、麗刃は縦横無尽に駆け回り、上に跳んで下に落ち、残像を生む変則走行でひたすら逃げる。
『ええい、ちょこまかと! 一つ一つの動きは千里眼で見切れるとはいえ、うっとうしい立ち回りをする男だ』
「塵もつもればモツ煮込み、っとな!」
 麗刃は飄々とうそぶいて、スゥと四白眼を小狡そうに細めた。
「ところで、さっきから触手が遅くなってきてる気がするのだが、もう疲れちゃったのかな? かなりのダメージが溜まってる上に、代償アリのユーベルコードを使ってるのだものなあ」
『舐めるなよ若造!』
 怒気を乗せて再度投擲された白き殺戮する刃は、しかし初撃に比べて明らかに精彩を欠いて、念動力とオーラ防御の二重バリアを貫通できずに止められる。
 そして機は熟し、麗刃の【わたしのネタを聞け】が完成した。
 ユーベルコードの効果でこの戦場『渾沌の地』の世界法則が書き換わり、あまねく存在はネタを楽しまなければ行動速度が五分の一になるというカオス空間が形成されてしまった。
「ってなわけできみきみ! ジョークのひとつも飛ばしたらどうだね? 『ひょうきん道人』だろう!」
『阿保らしい。そういうのは張角相手にでも言っておけ。あれ黄巾族だから同じネタで行けるだろう』
「いやでもさ、『道人』は良くても『族』だとさ、ナニかに抵触しない?」
 と、よしなしごとはさておき。提供されたネタに乗らないどころかその場にいない他人に丸投げする鴻鈞道人がこの領域に適応できるはずがない。
 0.2倍速にまで鈍化したのを見取った麗刃は一転攻勢、白き天使の翼がノロノロと防御形態を取ろうとする隙間に刀を差し込んだ。
 ずぶりと肉を貫く感触がして、敵の体から力が抜ける。
『ぐ……。……っふ。もはや限界、か。……口惜しいが、この娘は返すとしよう。……だが、忘れないことだ。私は【骸の海】。何度殺されようと決して滅びることはない。この場は退くが、必ずや全てを土に還してくれる』
 鴻鈞道人は捨て台詞を残して瞳を閉じて、ロウソクの火が吹き消されるように倒れ伏した。
 地面に転がった少女からはもう渾沌の気配は感じられない。元の田抜・ユウナが帰ってきたのだと、麗刃は胸を撫でおろして彼女を抱き上げて……とてつもない大問題が残っていることに思い至った。
「これ……どうやって帰んの?」
 普段であれば帰還用の転移門を開いてくれるグリモア猟兵は意識不明。渾沌の地に取り残された麗刃たちが帰路に就くまで何やかんやあったのだが、その過程はまた別の物語だ。
【END】

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月30日


挿絵イラスト