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殲神封神大戦⑰〜イェーガー×マッハ!

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』 #コンキスタドール『編笠』

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「よもや、【骸の海】そのものが形を得るとは……あれは真実なのか……?」
 謎めいた敵、『鴻鈞道人』の言葉を訝しむムルヘルベル・アーキロギア。
 その真実は誰にも分からない。そして、敵が語ることもないだろう。
 であれば、今はただ奴を倒すしかない……その点では、シンプルな話だ。

 気を取り直したムルヘルベルは、予知内容を猟兵たちに伝える。
「鴻鈞道人、あるいは渾沌……は、その身を『香港租界の街中』そっくりに作り変え、こちらを待ち受けておる。
 彼奴の代わりに戦うのは、彼奴が『再孵化』させた、『編笠』のようだ。
 ……そもそも、まだ『再孵化』の謎も解けていないというのに、厄介な話である」
 かつて編笠が予兆の中で口にしていた通り、奴は覚えめでたく再生を果たした。
 地形も完全に再現されているため、戦いは相変わらず編笠に有利なまま進む。
「再孵化されたのは、編笠だけでなく奴の手勢のマフィアどもも同じのようだ。
 すでに香港租界で、奴と戦った者もいるやもしれぬが、改めて説明しよう。
 彼奴は、それこそ香港のアクションじみた、路地裏や看板といった地形を生かした『アクロバティックなアクション』で先制攻撃をしてくる。
 こちらも、奴の度肝を抜かすような『奇想天外なアクロバット・アクション』で反撃をしてやるのだ。そうすれば、普通に戦うよりはずっと有利に戦いを運べるはずである」
 編笠は、再孵化を心から喜び、猟兵との再戦を心待ちにしている。
 オブリビオンであるゆえ、奴が香港租界での戦いの記憶を有することはない。
 が、租界での戦いと同じような手で挑むのは、裏をかかれる可能性があるだろう。

「ワガハイは、そういうアクロバティックな動きというのは、どうも苦手でな。
 それゆえ、こうするべきだというアドバイスはしにくい。が、あえて云うなら……」
 ムルヘルベルは顎に手を当てて考えた。
「"考えるな、感じろ"が、偉大なアクションスターの言葉であったかな?
 センス・オブ・ワンダーというやつだ。案外、そのほうが上手くいくのかもしれん。
 ……渾沌そのものが相手ではないとはいえ、編笠は強い。気を抜くでないぞ」
 張角への道を開くためには、すべての有力敵との戦いは避けられない。
 謎めいた敵の差し向けた再来の怪物を、驚天動地のアクションで叩き潰せ!


唐揚げ
 ラー油です。アクションを書くのが楽しいので、これにしました。
 入り組んだ香港租界(を再現した地形)を生かし、カンフーしましょう!
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第1章 ボス戦 『『編笠』inノワール』

POW   :    紫煙龍降臨
自身の【煙管の煙から具現化した「紫煙龍」】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[煙管の煙から具現化した「紫煙龍」]から何度でも発動できる。
SPD   :    拳銃挽歌
【改造モーゼル銃】から、戦場全体に「敵味方を識別する【無数の銃弾】」を放ち、ダメージと【大量出血】の状態異常を与える。
WIZ   :    「今だ、私の家族(マイ・ファミリー)!」
【編笠の命令】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【香港マフィア】で囲まれた内部に【銃弾の雨】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
奴の言葉が真実か偽りか。……今の時点でそれを確かめる術はないから、考えるのは後回しだ
今やるべき事は、復活した編笠を倒して道を切り開く事だけだ

神刀を片手に、店のテーブルなどを切り崩して盾代わりに。その間に大きくジャンプ、看板などに手をかけて身体を跳ね上げて高所を取る
飛んでくる銃弾を刀で弾きつつ、連続してジャンプで移動。斬撃波で看板を落としたり、適当なものを投げ付けて妨害しながら編笠の元へと近付いていこう

編笠に接近できたなら、高所から飛び降りて接近
落下時に壁を蹴って軌跡を変えて攻撃を躱していくが、最後の1回だけは上に跳ぶように調整
編笠の頭上を取って、澪式・参の型【双影】で速攻の一撃を叩き込む



●その剣、自由にして自在
 ヒュカッ! と神速の剣閃が走った瞬間、巨大な丸テーブルがバラバラに切り崩され、夜刀神・鏡介が脚を踏みしめることで衝撃でふわりと浮かび上がる。
 浮かび上がった残骸は、編笠の放った無数の銃弾を受け止め、さらにバラバラになって四散した。当然その時には、鏡介は店を飛び出している。
「ハ! なかなか器用な真似をするね! 慣れているじゃないか!」
「お前との戦いは、経験済みなんでな。おかげで学習させてもらったさ」
 編笠は執拗に鏡介を追う。弾丸の追撃が途切れることはない。
 看板を足場に上方向へ駆け上がりながら、鏡介は神刀を奮って弾丸を弾く。
 時折、看板の接続部を切断することで、雪崩めいて落としてみせるが、編笠もその妨害を読んでいる。落ちてきた看板を足場に蹴り上がるという絶技!
(「やっぱりたいした妨害にはならないな。まあ、いいさ」)
 弾ききれなかった弾丸が、鏡介の身体のあちこちに血のシミを生む。
 鏡介が待っているのは、追われる側から追う側になる一瞬だ。
 それはおそらく、この上への逃避行の頂点で訪れる……!

「捉えた!」
 編笠が快哉めいて叫んだ。その時、鏡介はビルの貯水タンクの上。
「いいや、捉えたのはこちらだ。そんなに殺したいなら、俺から近づかせてもらう」
 鏡介、貯水タンクの上から飛び降りる。貯水タンクは穴だらけになって破裂。
 中に溜まっていた水が雨のように降り注ぐなか、両者の相対距離が縮まる!
「自分から死にに来るとは――」
 編笠はしかし、弾丸が当たらないことを訝しんだ。
 ここはビルのあわい。両側の壁は、鏡介にとっては足場も同然だ。
 まるで稲妻のようなジグザグの立体的軌道を描き、鏡介が迫る!
(「なかなかやる。けど、方向がわかっているなら問題ない!」)
 編笠は鏡介の斬撃を先読みし、致命的な弾丸を叩き込もうとした。

 しかし、その予測は外れた。
「澪式・参の型【双影】。この斬撃は、見切りきれなかったようだな」
 寸前で頭上を再び取った鏡介の剣戟が、編笠の肩口を切り裂く!
「小賢しい、真似を……!」
 自らが翻弄されるという屈辱は、編笠に大きな精神ダメージを与えた。
「言っただろう? お前との戦いは、経験済みだって」
 すでに一度乗り越えた過去を相手に膝をつくほど、鏡介は弱くはない。
 たとえ何度再孵化しようと叩き潰す。彼の双眸は、そう伝えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルクレツィア・アストリュード
入り組んだ地形での対多数戦。
不利な戦いは否めない、か。けど、この程度でやられる訳にはいかない。

壁や看板を蹴っての跳躍、或いは急降下で敵の狙いを躱してゆく。
けど、あくまで地形を蹴っての機動であるなら、そのうち読み切られる可能性が高い。
そこを狙ってユーベルコードを撃ってくる…と思うから、そのように誘導を試みる。
撃ってきたところで機動を【リミッター解除】。【ダッシュ】から空中を蹴っての【ジャンプ】で撹乱を試みる。
ユーベルコード発動の機が巡ってきたら、可能な限り多くの敵を視界に収めたところで発動。銃弾ごと敵を斬り払い、暴走状態で正確な狙いを阻害。
そこから編笠へ接近、斬り倒していく。



●刃風は乱れ狂い、火となりて
 再現された香港租界には、あるべき住人たちだけがいない。
 それゆえに、ルクレツィア・アストリュードは、周囲の巻き込まれを気にすることなく、縦横無尽に駆け回ることができた。
「なかなかすばしっこいね! けど、私の家族(マイ・ファミリー)の手から、どこまで逃げ切れるかな?」
 路地裏に駆け込めば、マフィアどもがそこに待ち受けている。
 ならばと上を目指すと、ビル屋上に並んだマフィアどもから弾雨の洗礼。
 たまらず建物に窓から飛び込んだ瞬間、容赦ない出迎えを受けた。
「部隊は展開済み、というわけか。数で来られると少し困る……」
 もっと時間を稼げると思っていたルクレツィアだが、編笠の読みは彼女を上回っていたようだ。
 時間をかければかけるほど、被弾は蓄積する。いつまでも逃げ回っているわけにはいかないだろう。
 そして敵も、その時を待っている。とどめを刺してくるとすれば、そこだ。
(「その瞬間に賭けるしかない。出来るだけ敵を集めて……」)
 ルクレツィアは、その時を待った。
 逃避行の果て、命を賭けたチャンス。ルクレツィアにとっても危険な一瞬を。

 やがてルクレツィアは、自分が誘い込まれているのだとぼんやりと理解した。
 マフィアどもの配置は、ある一点に自分を追い込むためになされている。
 不利な戦いは承知の上だ。ルクレツィアは、勇んで危険へ飛び込んだ!
「待っていたよ猟兵! さあ今だ、私の家族!」
 これまででもっとも派手な弾丸の洗礼! ルクレツィアの肌を弾丸がかすめる。
 セーブしていた身体能力を解放したルクレツィアは、一気に加速。
 かなりの量の弾丸を浴びながらも、炎を帯びた無数の斬撃で反撃した。
 マフィアどものほとんどが斬り捨てられ、燃え上がる。編笠は驚愕!
「仕留めきれなかっただって……!?」
「この程度で、やられるわけにはいかない。ボクらの目指す場所は、世界を救うことなんだから……!」
 乱れ燃える火を纏った剣が、編笠を斬り捨てた。
 理性をも焼き尽くす斬撃で、銃弾がブレる。ダメージは互角といったところか。
 編笠は痛感し、そして同時に納得する。
 再孵化する前の己も、こうして猟兵の恐ろしさを、文字通り刻み込まれていたのだろうと。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

紅月・スズ
考えるな、感じろ、アルかー
考えないのは得意アルけど

とにかく足で頭目を探すネ
何処にいるか知らないから屋内屋外とにかく探すよー
部下に襲われたら袖の中の暗器投げたり近くのものを蹴り飛ばしてぶつけるアル
銃撃には空気の流れ、金属の気配、そういうものを何とか読んでその辺の障害物や下っ端を盾にするアル
万象に気を巡らせ、己が身体の延長と為す護業天象拳、周囲を使うのは初歩中の初歩アルよー!
まあ負傷しても無視アルよ無視

相手さえ見つければこっちのものあるけど、まあ多分ハチの巣アルね。
なので今の体は一旦捨てて、【護業転身・蒼天雷装】して雷そのものと化し雷速で近づいて思いっきりぶん殴るアル!

※アドリブ他歓迎です



●稲妻は弾丸よりも強し
 紅月・スズは編笠を探し出すつもりだったが、幸運なことにその手間は省かれた。
 彼女にとって不幸なことがあったとすると、それは向こうから殺しに来た、ということだろう。
 まあ、僵尸であるスズに、死という単語がそぐうのかはさておき。

「さあ、避けてごらんよ猟兵! 私の弾丸で、もう一度死ぬといい!」
 BLAMBLAMBLAM!! けたたましい銃声と、花火めいたマズルフラッシュ!
 編笠の弾丸も致命的だが、さらに周囲をマフィアが取り囲み行く手を遮る。
「アイヤー! 四方八方から鬱陶しいアルね!」
 スズは空気の流れや金属の気配を読み、そこら中の障害物(住民もなく再現された屋台や、どこかの飯店のテーブル、あるいはネオンの切れかかった看板などだ)に隠れたり、時には外して投げつけたりと、縦横無尽に駆け回る。
 目の前に立ちふさがるマフィアには、転がってきた椅子の破片を蹴り上げて攻撃。敵が怯んだところで頭を踏みつけて足場にすると、袖の中の暗器を放射状に投げつけ、周囲のマフィアを蹴散らす。
 そのまま垂直にジャンプして、窓から身を乗り出したマフィアの首根っこを掴むと、部屋の中から引きずり出して肉の盾にした!
「おっと、ごめんよ私の家族(マイ・ファミリー)。恨むなら猟兵を恨んでくれ」
 盾にされて蜂の巣になってしまったマフィアに、編笠は軽い調子で言った。
 家族という言葉を使っておきながらこのドライさ、奴の本質が垣間見える。

 そして両者は、どこかのビルの屋上で相対する。
 すでにスズの身体のあちこちに銃痕が開いていたが、スズは気にしない。
「来たね編笠、今度はこっちの番アルよ!」
「捨て身で来るかい? なら、君と私と、どちらが早いか勝負だね!」
 真正面から突っ込んできたスズを、編笠は容赦なく迎え撃つ。
 もはや蜂の巣どころかボロ肉じみた有様だ。だが、見よ!
「動くこと、雷の如く! 護業天象拳の本懐を見せてやるね!」
「な……!?」
 肉の身体を捨てて、スズは雷そのものと化した。
 弾丸では、海を殺せない。空から降り注ぐ稲妻を殺すことも出来ぬ。
 光そのもののスピードを味方につけたスズの拳が、弾丸よりも早く編笠の顔面に叩き込まれた
「ぐはっ!?」
 編笠は猛スピードで吹き飛ばされ、隣のビルの看板にしたたかに打ち付けられる。
 打撃の余波が、バチバチと蜘蛛の巣状に放射した。護業天象拳、ここにあり!

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
アクションねえ……。
普段から空を飛んでると逆に難しい!
飛んでるだけじゃ奇想天外とはね?

ここは敢えて地を駆けてみよう!
正確にはちょっと【空中浮遊】してるけど!
この靴は滑るように移動するんで、ローラースケート的な感じ!
コレでノンストップに路地を駆け抜けたり建物に突っ込んだり壁や天井を滑ったり、動き回れば一斉攻撃されにくいはず!

あと銃弾の雨ってことは主に上のほうから来ると思う!
そこで【スライディング】よ!
固そうな椅子や机とか車とか、隙間に潜り込んで盾にする!
遮蔽物と【オーラ防御】を併せればイケると思う!

防いだ所で【はじまりを刻む地の新星】発動!
撃ち込まれた銃弾を操って【カウンター】だ!
敵に撃ち返す!



●地を滑り天を貫く
 BRATATA! BRATATATATA!!
「うわわわわ! ていうか、うるさーい!?」
 フィロメーラ・アステールは、スケートのように地面を滑り、降り注ぐマシンガンの雨をかろうじて避けた。
 業を煮やしたマフィアは、トンプソン式機関銃を持ち出し、とにかく物量で猟兵を殺そうとしてきたのだ。
 フェアリーであるフィロメーラがあんな弾丸を食らったら、一発でお陀仏だろう。
 他の頑丈な猟兵のように、被弾を耐えながら突っ込むなんて力技は不可能だ。

 だが、その小柄さは、障害物に身を隠すのには有利に働く。
「とーうっ!」
 フィロメーラは華麗なスライディングを決め、誰も乗っていない車の真下を滑り抜けた。
 直後、遅れて車は穴だらけになり、爆発! 一時も足を止められない!
「さあ、どこまで逃げられるかね、小さな猟兵? 私の家族は、地獄の果てまでだって追いかけるよ。そのために再孵化していただいたのだからね!」
「なんだかんだ言って、やられたことを恨んでるのかな? けど、だからって、あたしもやられるつもりはないぜーっ!」
 飯店に飛び込んだフィロメーラは、椅子の影に隠れたり、都合よく縦に転がっている机の後ろに潜り込んだり、カウンターに飛び込んだりと、とにかく機敏に逃げ回った。
 そこへ、編笠がダイレクトエントリー! 割れたガラスが、キラキラと冬の朝の雪めいて輝く!
「そこだね! もらったよ、猟兵!」
 BRATATATA!! 一斉射撃だ! だが、それはフィロメーラが待ち望んだチャンス!
「目覚めろー! 愉快……じゃないけど、危なっかしい仲間たち!」
 一点をめがけて集まった弾丸は、フィロメーラまで残り数センチのところで停止。
 そして、ギュンッと180度反転し、編笠とマフィアどもに襲いかかった!
「カウンターだって!?」
 ベクトルをそのまま返され、編笠は被弾、マフィアどもは脳天や心臓部に弾丸を食らって即死する。
「どーだ! 小さくったって、鉄砲の弾になんか負けないぞー!」
 フィロメーラはにやりと笑って、胸を張った。
 身体は小さくとも、彼女も歴戦の猟兵。やる時は、やる女なのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
編笠サンか、
そんなに暴れ足りなかったかい。
そっちがその気なんならいいさ、
存分に付き合ってやらぁ!

香港の九龍ってんならノーヘルでも問題ねぇだろ、
アオザイ姿でカブに『騎乗』しひた走る。
もちろん目指すは編笠サン、アンタの所一直線さ。
ファミリーの銃撃を『操縦』テクを駆使して、
スタントの如く路傍の看板を利用して『ジャンプ』、
そのまま空中で飛び降りつつ『踏みつけ』んと跳び蹴り。
ま、煙の竜を通っちまうだろうけどねぇ。

分かってんだろ、編笠サン。
ここまでがアタシの『挑発』だ。
練って整えたこの気力、至近じゃなけりゃ意味がない。
奇しくも同じ編笠姿さ、水入らずで存分に戦り合おうじゃないの!



●水入らずの戦い
 戦いの邪魔になる住民の消えた香港租界に、数宮・多喜の相棒のエンジン音が高らかに鳴り響く。
 どこか懐かしい猥雑さがないぶん、エグゾーストノートはよく響いた。多喜は、一抹の寂寥感を覚える。
「戦いのために誂えられたフィールド、ってのはわかってるが……人っ子ひとりいないんじゃ、寂しくて仕方ない。こんなところに君臨して、アンタは満足かい? 編笠サンよ!」
「租界なんて、あとからいくらでも作り出せるよ。もちろん、私の家族もね!」
 BRATATATA!! 拳銃、マシンガン、ショットガン! 多種多様な弾丸が多喜を出迎える!
「そうかい! 自分が再孵化してもらえりゃそれで満足ってわけだね!」
 多喜はアオザイを翻しながらターンを決め、弾丸を躱した。
 S字を描くように再び方向転換し、狙い向かうは編笠一直線だ!

 だが、編笠は、あざ笑うようにふわりと浮かび上がった。
 紫煙竜の額に飛び乗り、あっという間に遠くへ逃げてしまったのである。
「ここまで来てご覧、猟兵!」
「言われなくても!」
 多喜は己の身体の一部のようにカブを操り、路傍の看板をジャンプ台代わりに跳んだ!
 そしてカブそのものを蹴って二段ジャンプ、窓から身を乗り出したマフィアの頭を足場代わりにストンプし、三段ジャンプだ!
「まるで雑技団だね。紫煙竜、喰ってしまいな!」
 煙の竜が牙を剥く。多喜は竜の牙じみた鋭い飛び蹴りで迎え撃った!

 紫煙竜は、ユーベルコードを食らう。
 それゆえ、近づいてきたとして、敵の攻撃を利用すればいい。
 そう考えていた編笠だが……竜を通じて伝わった手応えに、顔を顰めた。
「わかってんだろ、編笠サン。"そいつ"は、そんなとこからじゃ使えないよ?」
 バチバチ、と、紫煙竜を通り抜けた多喜の掌に、稲妻型のエナジーが集まる。
「どうせ戦りあうなら、水入らずで正面からやろうや!」
「そうかい。そこまで死にたいなら、お望み通りにしてやるよ!」
 編笠は挑発に応じた。両者は至近距離となり、掌底を繰り出し合う!

 だが、所詮借り物の力では、本家本元には勝てない。
「ぐッ!?」
 掌底は、一瞬早く多喜のほうが叩き込まれていた。
「練って、整え、ぶち込む……これがコツだよ、身体に刻んでおきな!!」
 どうん!! と、気が爆ぜ、編笠はくの字に折れ曲がり吹っ飛んだ!
 バチバチと、稲妻めいたエナジーが、多喜の全身から足元、地面へ逃れる。
 足場にしたネオンサインが、その電流で火花を散らし、激しく明滅する。
 看板に描かれた文字は『头奖(ジャックポット)』。まさしく大当たりだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハイドラ・モリアーティ
いいね、勝負だ
――『FLOW』
俺のブーツ、いいでしょ。自分で作ったの
よう、ボス。おしゃれなサングラスだな
俺にくれねェ?それ

【CRYONICS】
女の体は男より柔らかい
関節だって大きく開くし、『ギリギリ』のアクション向き
小さい体を丸めて躱すことも
スライディングで股下潜ることもできる
机を蹴り上げたり、壁を走ったりもイイな
『Cthulhi』に地形の把握、行動パターンも分析させとく
アクション映画に命綱が必要なように
俺にも仕掛けが必要なのさ

仕留めたと思った俺が起き上がったら
ハラハラドキドキ――クライマックス・ハイテンポ・スリラー・アクションの始まりさ!
女同士の殴り合いはエグいんだ
『死ぬまで』ド派手にやろう



●死ぬまでド派手に
 カツ、コツと、雑然とした租界に似合わぬヒールの音。
 ハイドラ・モリアーティのブーツは、流麗でありながら頑丈であり、戦闘用としてもハイドラの履き物としても、申し分ない性能を誇る。
「俺のブーツ、いいでしょ。自分で作ったの」
 ハイドラはコンコンとつま先でアスファルトを叩き、子供めいて微笑んだ。
 FLOW、展開。離陸寸前のジェット機のような、竜の金切り声が響く。
「上物じゃないか。ぜひとも欲しいね。高く売れそうだ」
「タダじゃくれてやらねェよ。代わりにその洒落たサングラスくれんなら、考えなくもねェけど?」
「ハハハ! 私が平等な取引なんてするわけないじゃないか」
「欲しいものは奪うか騙し取る、って? いいね、"よくわかる"よ」
 悪女同士、理解がある。ハイドラは笑みを深め、編笠もまた笑った。
「こんな形で殺し合うとは。猟兵も楽じゃないね? "御同輩"」
「同輩扱いはよしてくれよ。俺は……所帯持ちなんでなッ!」
 ハイドラが仕掛けた! 音の壁を突き破り、まっすぐに加速する!

 編笠はニヤニヤと笑みを浮かべたまま、モーゼル型拳銃を引き抜き、撃った。
 ハイドラは走りながら身を伏せるほどに低くかがめ、眉間狙いの弾丸を躱す。
 たちまちにふたりは色ある風となった。ビルからビルへ、路地から路地へを走り、蹴立て、跳び、ぶつかり合う!
「紫煙龍! 私を守れ!」
 ふう、と吐き出された煙が巨大な龍に変わり、巨体でとぐろを巻くようにして編笠の身を守る。
 煙でありながら弾力性を持つ肉体に、ハイドラの飛び蹴りは弾かれた。
「おっと! そうだよな、アクション映画ってのはトラブルがなくちゃあ!」
 空中で無防備なハイドラに、窓から身を乗り出したマフィアどもの追い打ち。
 ハイドラはその弾丸そのものを蹴るという絶技で、包囲から逃れると、
 隣のビルの壁を蹴って平行移動し、斜めに三角飛びして料理店に雪崩込む。
 遅れて乱入してきた弾雨を、巨大な丸テーブルを蹴り上げて防いだ!

「自分から袋小路に入り込むとはね。それとも誘ってるつもりかな?」
 編笠はふわりと降り立つと、まず自らの『家族』と紫煙龍を雪崩込ませた。
 身を潜めていたハイドラが飛び出し、マフィアの顎を蹴って殺す。
 照準を合わされた瞬間に股下をくぐり抜け、椅子の影に身を丸めて躱し、殺す、殺す、殺す! ガラスと残骸まみれの店内が血の海と化す!
「――そこだよ、御同輩」
 だが、その動きは編笠に読まれていた。いつのまにか背後に回った編笠が、脳天をぶち抜く……!

 これで、終わった。
 奴がそう確信した瞬間、うつ伏せに斃れていたはずのハイドラがごろりと回転し、仰向けになる。
「何?」
 ハイドラがぎょろりと編笠を見返し、目が合った。あの悪童めいた笑み。
 脚の筋力でバネ仕掛けの如く跳ね起きたハイドラの手刀が、鎖骨に叩き込まれる!
「ぐ……! は、ハハハ! ずいぶん羨ましい身体の持ち主だね、御同輩!」
「いいだろ? スリラー・アクションにはもってこいさ。いいだろ?」
「紫煙龍の能力を忘れたかね? 頑丈さなら私も負けないよ」
 両者、血みどろで向かい合う。この距離では射撃は逆に不利だ。
「じゃあ、エグい女同士の殴り合い(キャットファイト)といこうじゃねェか」
 不老不死は祝福などではない。死ねないことは苦しみだ。
 もはやゴアグラインドも真っ青の殺し合いが始まる。折り、砕き、抉り、刺し、引きずり出し、ほじくり、引きちぎる! 化け物同士の殺し合いだ!
 死ねない。死なない。路地を血で汚し看板を赤く染め、化け物二匹は無益で空虚に殺し合う。

「がふッ!?」
 編笠の顔面を、ハイドラの拳が砕いた。
「残念。サングラス割っちまった。おしゃれだったのにな、それ」
 自分のものかもわからない血で染まった顔に、笑みが浮かんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイ・バグショット
入り組んだ地形や路地裏とは
職業柄な仲良しなもので
刻印(ドライバー)による魔術で血液生物「ネズミ」を数匹作り出し動く目として放つ

奇想天外、ね
敵さんもビックリな一芸でも披露してやろうか

手にした黒剣はスピードよりも重量のある一撃向き
わざと避けるか受け止めさせ
UCで「絶叫のザラド」を殺戮捕食形態へ
ゾロリと並ぶ牙による捕食、噛みつきで削り取る

影のUDC「テフルネプ」を細く
あちこちに伸ばしてトラップを張れば
戦闘中に騙し討ちを狙いつつ自身の動きの補助へ

顔色の悪さに反して動きは身軽

道が狭くて助かった
獲物を追い詰めるには最適だ
ネズミの目で動きを把握したら
七つの鉄輪が踊るように跳ね回る拷問具「荊棘王ワポゼ」で強襲



●暗闇より来たる
 黒剣が弾丸を弾くたび、昏い路地裏がチカチカとほのかに輝いた。
 浮かび上がったジェイ・バグショットの相貌は、憂いに沈むかのよう。
「道が狭くて助かったぜ。獲物を追い詰めるには最適だからな」
「へえ……私が獲物だと言いたいのかな? ずいぶん自信があるようだね」
 編笠は、これまでの戦いですでに相当のダメージを受けているものの、自らが死ぬことを恐れている様子はない。
 たとえ死んでも、再孵化さえあればどうとでもなると思っているのだろう。
「敵はない、って顔してるな。そういう奴から足元を掬われるもんだぜ」
「物量においては、私達(オブリビオン)の圧倒的勝利と決まっているからね。
 君がここで私を殺したとしても、また新たな私が再孵化されるだけのことさ」
「さて、どうだろうな」
 ジェイは取り合わない。出てくるなら出てくるだけ殺す、顔にそう書いてある。
 邪神現象ポーシュボスをも退けたジェイが、今更怯むことはないのだ。

「まあそもそも、ここで君に殺されるつもりはないがね!」
「……後ろか」
 然り。紫煙龍は編笠と挟み撃ちをする形で後ろに回り込んでいた。
 同時に編笠が、壁を連続三角跳びし、不規則な移動でこちらを翻弄する。
「こいつはまいったな」
 ジェイは、うっそりとした笑みを浮かべた。
「予想してた通りに来てくれるなんてよ」
「!?」
 紫煙龍の噛みつきは、空を切った。ジェイは編笠の眼前にいる。
(「動きを、読んだ? 一体どうやって――」)
 その時、編笠は、チチチとネズミの鳴き声を聞いた。
 暗がりからこちらを見つめるその瞳は、目の前の男の金瞳に似ている。
「生き延びてみろよ」
 ジェイの斬撃。黒剣を受け止める。重いが、この程度なら。

 絶叫のザラドの刀身に、無数の牙が生じた。
 それはモーゼル拳銃を握る編笠の手に食い込み、そして鎖骨にまで突き刺さる!
「ぐ、ぎ――ッ!?」
「ビックリしたかい? こんなものもあるぜ」
 たまらず離れた編笠めがけ、7つの鉄輪ががしゃがしゃと騒がしく襲いかかる。
 その棘は編笠の肉を食み、鉄輪が動きを戒め、長く長く苦しめた。
 暗闇はジェイの領域だ。ここを戦場に選んだ時点で、奴の負けは決まっていたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイニィ・レッド
再孵化、か
じゃあ自分は雨を連れてくる時点で警戒されるでしょうね

奴さんも馬鹿じゃねェ
同じ手は喰わねぇでしょうし
ある程度雨を渡って部下を畳んだら
雨に逃げるのはそこそこに物陰を渡り
銃弾の隙間を縫って正面から突っ込みましょ

血飛沫に紛れながら跳び回り
時に死体を盾に
騙し討ちとフェイントを駆使して
ズタズタに刻んでやります

負傷は問題ない
寧ろ糧にしてやりましょ

そういや前のアンタは知らずに死にましたね
自分は『雨の赤ずきん』
雨が 血潮が
レインコートを濡らす限り
赤ずきんは斃れない

だから何度来ても同じことです

……死んで学びませんでしたか?
雨は殺せねェって

過去の産物が
二度と蘇ってくるなよ



●Rainy Red.
 雨が降っている。
 なんの変哲もない、ただの雨だ。渾沌がもたらした気まぐれだろう。
 ただ少し冷たいだけの、身体を冷やしてしまうだけの、害のない雨だ。

 しかし、編笠は識っている。
 再孵化されたオブリビオンが、記憶を受け継ぐことはなくとも。
 刻み込まれたがゆえに識っている。雨の中の怪物の恐ろしさを。
「なんでだろうねぇ、"御同輩"。君の手管は、ようくわかるんだよ!」
 雨が降っている。雨の中、レイニィ・レッドは正面から挑む。
 殺したマフィアの死体を盾に、あるいは雨の中に融けるようにして。
「前のアンタよりかは利口らしいですね」
 レイニィは、被弾していた。いくら死体の盾でも弾雨は防げない。
 ふたつの雨が、降り続けている。殺せど殺せどマフィアは尽きることがない。
 オブリビオンとは、そういうものだ。それを殺す怪物が、彼だ。

 雨が、血(あか)を洗い流す。
 看板を蹴り、路地を駆け、壁を渡り、屋上を駆け抜けて。
 追いつ追われつの攻防。編笠は圧倒的有利を握っていた。
「出し物は終わりかい? 御同輩」
「……その呼び方は気に入らねェので、やめてもらえますか」
 レイニィは、血まみれだ。全身を赤く染めている。もう雨でも洗い流せない。
 弾丸で撃たれていない箇所はない。そのぐらいに被弾していた。
 だから、あと一発で殺せる。編笠はそう思っていた。

(「違う」)
 唐突に、必然的に、編笠は理解した。
 雨で洗い流せない? 違う、雨が、赤く染まっているのだ。
 血液と雨水の違いもわからないぐらいに、もうすでに浸透している。
「そういや、前のアンタは知らずに死にましたね」
 フードの下から、昏い瞳が見返した。
「自分は"雨の赤ずきん"。だから、何度来ても同じことですよ」
 レイニィが消えた。編笠は咄嗟に、あらゆる方角に弾丸を放つ。
「死んで学びませんでしたか」
 声は背後。
「雨は、殺せねェって」
 じょきん。編笠の血が、雨の中に迸った。

「ぐ、う……ッ」
「過去の産物は、二度も蘇っちゃいけねェんですよ」
 昏い瞳が、編笠を見下ろしている。
「三度目はねェよ。残骸」
 雨が降り続けている。
 つまりここは、レイニィの狩場なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリー・ベスレム
あーあ、なんてつまらないシーンかしら
あなたもそう思わない?
本物そっくりなのは街の見せかけばっかりで
住民たちも再現はされているようだけれど?
み~んな大根役者以下の影法師
悪徳も情動も
退廃も欲望も
この街らしいものがここにはなんにもないんだもの
だったら、せめてアクションで魅せてあげなきゃね?

【逃げ足】活かして立ち回り
銃声に【聞き耳】立てて【野生の勘】で身を躱す

敢えて袋小路に追い込まれた【演技】をしながら
(だって、その方が敵の来る方向がわかりやすいでしょう?)
壁や庇、洗濯紐だって足場に【ジャンプ】【軽業】跳び上がり
邪魔なマフィアどもも【踏みつけ】て
見つけた敵の頭上から、肉切り包丁【重量攻撃】叩き切る!

……この程度で殺せてしまったら盛り上がりに欠けるけれど
きっと、そうじゃないでしょう?

一度でも距離を詰めたなら
振るう刃に蹴り技までも織り交ぜて
逃がすものかと畳みかける

出血は自分が【部位破壊】する時の逆の要領で
致命的な部位への被弾を可能な限り避けながら
【激痛耐性】耐えながら
動けなくなる前に【首をはねた!】



●エクスプロイテーション
「あーあ、つまらないわ! なんてつまらないシーンかしら!」
 メアリー・ベスレムはこれみよがしに言った。
「つまらない?」
「だってそうでしょう? 本物そっくりなのは、街の見せかけばっかり。
 悪徳も情動も、退廃も欲望も、この街らしいものがなあんにもないんだもの」
 編笠は、喉の奥で忍び笑いをした。
「言い得て妙だね。ここは私の築き上げた租界に比べれば、たしかに淡白だ。
 けれどね"御同輩"、悪徳も退廃も、少し手間をかければいくらでも作れるのさ」
「ふうん? 生き残るつもりなのね? アリスと戦っているのに」
 にたりと、メアリーが残酷な笑みを浮かべた。
「あなたの傲慢(それ)だけは面白いわ。踏みにじり甲斐があるじゃない」
「踏みにじられるのは君のほうだよ、御同輩!」
 BLAMBLAMBLAM!! 改造モーゼル拳銃が火を噴く!
 メアリーは肉切り包丁を振るい、弾丸を弾き、路地裏の暗がりへ消えた。

 そこへ待ち伏せていたマフィアどもを、メアリーは殺しに殺す。
 壁を走るように蹴立てて上を取り、背中に回り込みながら鎖骨を叩き割る。
 看板から看板を蹴り渡り、窓から乗り出したマフィアの首を刈る。
 かと思えば、薄汚れた洗濯物の吊るされた紐を、サーカスの綱渡りめいて華麗に歩き、隣のビルへ。廊下を血と臓物で染めて、向かいの窓からひとっ飛び。
「そうそう、ついておいでなさいな! アクションで魅せてあげなくちゃ!」
 追ってくる弾丸を弾いて、メアリーは小悪魔めいて言った。
 編笠は後ろ――いや、その姿が消えた! メアリーはにたりと笑う。
「頭上を取ったつもり? 芸がないのね」
 爆発的瞬発力を発揮し、垂直跳躍! 目指す先は屋上だ!

 奴は、そこに居た。姿を表したメアリーを出迎える弾丸の雨!
 メアリーは空中で独楽のように回転し、弾丸を弾く、弾く、弾く!
「アリスからの贈り物、受け取って!」
 弾丸の海を切り裂くような肉切り包丁の一太刀! 血が、飛沫いた。
「そう来ると思ったよ、御同輩」
 叩き込まれた肉切り包丁をがっちりと掴み止めた編笠。
 メアリーの脇腹に押し付けられるモーゼル拳銃――BLAMN!!
「そうよ、そうでなくちゃ! 盛り上がりに欠けるわ!」
 メアリーは生きている! 肉斬り包丁を手放し、編笠の胸部を蹴って跳躍していた! 脇腹を弾丸が貫いているが、臓物へのダメージはなし。戦闘続行可能!
 編笠は、貯水タンクや室外機といった障害物を利用して逃れようとする。
 だが、一度近づいた以上、首刎ね兎が獲物を逃すことはない。
 赤い瞳が、迫る。編笠は引きつった笑みを浮かべた。
「これじゃあアクション映画じゃなく、ホラーじゃないか御同輩――」
「ええそうよ? 最初からそうだったでしょう? 追われて死ぬのはあなただと、決まっているもの」
 死神の鎌じみた凄絶な蹴りが、編笠の首を刎ねた。

 切断面から、間欠泉めいて噴出する血を、メアリーはうっとりと浴びる。
「これで少しは"らしく"なったわね。ここがつまらないのは、変わらないけれど」
 自慢の尻を撫でる指先は艷やかに。それはまるで、俗悪(エクスプロイテーション)な映画のように、暴力と血とエロスにまみれた画(ショット)だった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月27日


挿絵イラスト