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殲神封神大戦⑪〜カウント・ゼロが迫るまで

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑪ #『王翦大将軍』

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#『王翦大将軍』


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●黄金巨人完成を阻止せよ
 その日、封神武侠界の果てにある楽浪郡の上空に黄金に輝く巨大宮殿が出現した。
 この地は元々神隠しにより多くの人が異世界から飛ばされてくるという不思議な土地、けれどこの巨大宮殿の出現は神隠しによるものなどではなかった。
 かつて始皇帝の配下であった瑞獣『王翦大将軍』により召喚されたそれは『瑞獣載霊殿』という名であり、常に響く重々しい音と共にその構造を変化させていた。
 黄金宮殿とその近くに浮かび上がる黄金の『捌』が『漆』へと変わる。このカウントが『零』になったその時、黄金宮殿は黄金の巨人となる。
 そのための不可思議な儀式を執り行いながら、きっと阻止に来るであるだろう猟兵共を迎え撃つために王翦大将軍は複雑に入り組み回転する建物内を自在に駆けるのであった。

 グリモアベース。
「予知を得た。殲神封神大戦に纏わるモノである」
 龍神である水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は静かに告げ、集まった猟兵達に説明を開始する。
「王翦大将軍というオブリビオンを補足した。封神武侠界の果て、楽浪郡に現れた王翦は空中から黄金に輝く巨大宮殿である瑞獣載霊殿を召喚し、中で何やら不可思議な儀式を執り行っておる。その儀式が完成すれば黄金宮殿は黄金の巨人の形となってしまう。そうなれば何が起こるかは分からぬが……碌な事にはならない事は目に見えておる」
 転送によりその内部へと直接向かう事ができるから空中に浮かぶ瑞獣載霊殿への侵入方法は考えなくても問題ない、と多摘は言う。
「瑞獣載霊殿の内部は奇妙な形状をしておる。いくつもの立方体の箱のような部屋があり、それが時間の経過と共に移動する。何らかの規則性はあるようでおそらくは黄金巨人への変形の為に必要な工程なのであろう。その上部屋は時折回転し上下左右が反転し、方向感覚や平衡感覚も魔術的な作用で狂わされてしまう。当然タイミングによっては部屋の外の空間に飛び出す事もできるが、その場合部屋と部屋に押し潰される危険もあるから注意が必要じゃ」
 部屋はどれも非常に頑丈で重く、挟まれれば大怪我か足止めされることは避けられないだろうと龍神は説明する。
「そしてその仕掛けを掻い潜って儀式の担い手である王翦大将軍が先制攻撃を仕掛けてくる。非常に厄介ではあるが……上手く仕掛けを利用する事でその攻撃を凌ぎつつ反撃する事もできるかもしれぬ。どうあれ強力なオブリビオン、上手く作戦を立てて撃破して欲しい」
 そしてもう一つ注意すべきことがある、と多摘は補足する。
「上空に浮かぶ黄金の数字、あれは時間経過で零に近づいていき零になると同時に黄金巨人は完成する。屋内からでも窓などから数字は見えるから、そうなる前に速攻で撃破せねばなるまい」
 どうか頼む、と龍神が締め括りその手の宝珠を輝かせる。
 そしてその光が止んだ時、猟兵達の視界には黄金に輝く宮殿が広がっていた。
 窓の向こうに見える黄金の数字は漆、急がねばと猟兵達はそれぞれ行動を開始した。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 変形する巨大宮殿とは。

 このシナリオは封神武侠界の楽浪郡上空の『瑞獣載霊殿』で『王翦大将軍』と戦うシナリオとなります。
 王翦大将軍に召喚された瑞獣載霊殿は時間経過で変形し、同じく上空に浮かぶ黄金の数字が零になった時に『黄金の巨人』へと完全に変形してしまいます。
 そうなる前に変形を続ける瑞獣載霊殿に潜入し、先制攻撃を仕掛けてくる王翦大将軍の攻撃を凌いでどうにか撃破してください。
 宮殿内には立方体型の部屋が数百あり、それらが立体的なパズルのように移動し回転します。
 部屋の中は柱や足場等はあり、上下回転した場合でも大体似たような構造になるようになっています。
 隣に部屋が繋がっていないタイミングで入口から飛び出せば部屋の外の空間に飛び出せますが、重力は働いていますし各部屋は動き続けているので潰されないよう注意が必要です。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……変形する宮殿を利用して敵の先制攻撃に対応しつつ、制限時間内に王翦を倒す。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『王翦大将軍』』

POW   :    王翦異界混成軍
レベル×1体の【異世界オブリビオン兵団】を召喚する。[異世界オブリビオン兵団]は【出身世界】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    王翦奇兵用兵術
いま戦っている対象に有効な【ユーベルコードを使う新たなオブリビオン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    王翦龍神変異軍
召喚したレベル×1体の【オブリビオン軍団】に【龍の角と尾、翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

徳川・家光
「僕は本来、肌を見せない事にしているのですが、仕方ありません…」
武器とふんどし一丁だけの姿で登場し(背中には葵の御紋が浮かんでいます)、宮殿内で天河大濁流を使います!
たちまち宮殿内を大水が埋め始め、空飛ぶ竜化オブリビオンの動きを鈍らせ、対処しやすくします。加えて、水の流れる方向…すなわち宮殿外に飛び出してしまう方向に逆らって、抵抗の少ない裸で古式泳法をして、迷路の謎を解かずとも、宮殿から追い出されないように対処します。

「さあ王翦大将軍、この徳川家光が相手です!(といいたい所だが、水中なのでしゃべれない)」



 瑞獣載霊殿へと転移した猟兵、幾つもの刃を携えた羅刹の徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が部屋を見回す程の時間もなく、入口から猛スピードで巨大な鯉の瑞獣『昇龍鯉』の群が飛び込んでくる。
 突然の襲撃を愛用のサムライブレイドで斬り払いつつ一旦他の部屋へと逃れ距離を取ろうとする家光。
 しかし龍の角と尾、そして翼を生やした昇龍鯉は逃れようとする彼をしつこく追いかけ吸いつくように突撃を繰り返す。
『ん~、侵入者の気配を感じて飛んで来たけど……猟兵って恰好とか気にしないの?』
 鯉の群れの後方、この空中宮殿を召喚し変形させる儀式を行う王翦大将軍が心底不思議そうに問う。
 そんな家光の姿はこの季節とこの場には少々そぐわぬ、寒中水泳にでも臨むかのような背中に浮かぶ葵紋も鮮やかな褌一丁の姿。
 本来彼は肌を見せない事にしているのだが、今回家光が行おうとしている事は服が邪魔になるから仕方がない。
『ま、よく分かんないけど死んじゃってね』
 明るい口調のままに王翦大将軍が召喚した昇龍鯉に命じ、一斉に襲い掛からせる。
 入口を、逃げ道を塞ぐように展開している昇龍鯉の群れ。危地に追い込まれた家光だがその表情に焦りはない。
 家光は愛用のサムライブレイドとは別の一振り、かつて土蜘蛛より奪いし呪われた神の鉄剣【鎚曇斬剣】を掲げ、ユーベルコードを発動する。
「天の水甕よ、土蜘蛛より奪いし剣を伝い、我が敵を飲み込め!」
 するとどうだろう。鉄剣より水が濁流の如く溢れ出し部屋を水で満たし、更に部屋の外へと溢れ出しそのまま黄金の宮殿に水が満ちていく。
 龍化した鯉の瑞獣の群はその濁流に抗い家光へと向かおうとするが、龍の翼や尾が邪魔になっているのかその動きはやや鈍らされている。
『あっしの宮殿を何てことするんだ!』
 部屋の外の空間に押し流された王翦大将軍は濁流の中槍を構えつつ体勢を立て直すが、その勢いを利用しつつ家光は古式泳法で距離を詰めていく。
(「さあ王翦大将軍、この徳川家光が相手です!」)
 水中だから喋れないのだけれども、二剣を構え更に加速。
 青龍のオブリビオンの槍が家光に伸ばされるが慣れない水中戦だからかその槍は見切れる程度に鈍らされている。
 一方の衣服による抵抗が少ない状態で準備するなどしていたからこの濁流の中でも機敏に動ける。
 濁流に動きを鈍らせながら迫ってくる鯉を軽くいなしながら槍をすり抜けるように躱し【大天狗正宗】でカウンター一閃。
 青龍の瑞獣の血が一瞬滲み濁流に薄れ、同時に気配が遠ざかっていくのを感じる。一旦濁流の影響の少ないだろう方へ離脱したのだろう。
 古式泳法で濁流に逆らいつつ近くに見えた部屋の入口へと飛び込み周囲の状況を確認する。
 変形に際して宮殿の外へといくらか水は排出されていくようで、それを踏まえても宮殿の下部四割程度は完全に水没、残りも浸水してしまっている。
 そして思いがけず水が障害になっているのか宮殿の変形の速度も僅かに落ちたように思える。
 だが、窓の向こうに見える数字は『陸』。儀式の完了まで猶予は然程ないだろう。
 一刻も早く撃破せんと、家光は逃れた悪しき青龍の追跡を開始するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リオ・ウィンディア
変形の部屋、そんな映画があったなぁってふと過るわ
【第六感】を使って部屋が移動する前兆を探すわ
曰く、些細な音や内部の変化など
全くの規則性がないとしても、それこそ直感で進むわよ
部屋が移動したり回転したりするタイミングで物陰に隠れて、壁越しにダガーで【不意打ち、切断、残撃破、貫通攻撃】を行いこれを【地形の利用】とする

対uc
上記の方法に加えダガーによる【2回攻撃、範囲攻撃、呪詛】でもって纏めて薙ぎ払うわ

王翦、あんたはこんな砦に篭って何をしようとしているのやら
uc発動
【早業】で王翦に肉薄するわ


夜刀神・鏡介
時間制限のある戦いではあるが、だからと言って焦るのは愚策
あくまで冷静に、確実に仕留めにいこう

神刀を抜き、神気を纏って身体能力を強化
王翦が別の部屋に移動したタイミングで部屋をが移動して追跡が出来なくなると面倒だし、先制攻撃で召喚されたオブリビオン達の相手は最低限

王翦に近付く為に邪魔な相手だけは斬撃波でなぎ払っていく
部屋の回転時には、ジャンプしてから柱や足場に掴まるなり、近くの壁や床などに刀を突き刺す事で高所からの落下しないように備える……敵に羽根がなければ幾らかは落ちて動けなくなったりするだろう

王翦を追いかけつつ漆の秘剣【蒼鷹閃】を発動、足元を刈り取り怯ませつつ接近して、直接の斬撃を叩き込む



 重い音と共に部屋と部屋がずれ、暗い空間が見えた後にまた金に輝く部屋と接続される。
 接続された部屋と部屋を移動する二人の猟兵がいた。
「そんな映画があったなぁ……」
 ぽつりと呟いたのは漆黒の舞台衣装を纏うリオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)というエルフの少女。
 覗き窓から見える瑞獣載霊殿の内部では立方体の部屋がスライドし、時には回転し何やら変形し続けていて昔見た映画の状況がふと頭を過った。
 即死トラップ付きの部屋等もあったような気はするけれど、幸いこの瑞獣載霊殿にはそういう罠はないようだ。
 ただ、下層部が何故か濁流に水没していて何が起こるか分からないという意味では油断は禁物だろう。
 そして時間制限がある中で夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は移動、変動する部屋を観察していた。
 時間は王翦大将軍の味方だが、だからと言って焦る事は愚策。足元を掬われてしまうだろう。
 神刀を抜き強化した身体能力による軽業のような身のこなしで部屋から部屋へと移りながら敵の手掛かりを探していく。
 そして移動しながらリオは耳を澄ませて移動の兆候を探っていた。
 これだけ大きな構造物が移動するならば音や部屋内に前兆として何かある可能性は高い。
 そう注意を払いながら部屋を進む二人は、ある行き止まりらしき部屋に差し掛かる。
 部屋の中は黄金に輝く装飾品や彫刻、用途の分からない石像があり、隣り合う部屋の無い虚空に開いた入口も見える。
 そして、その入り口から突如龍の翼を広げた虎の群れが突入してきた。
 強さの象徴でもある虎、孤高の存在として人気がある存在であるそれらは群れ成して二人に襲い掛かる。
 しかし慎重に進んでいた二人はその奇襲を察知、神刀やダガーで弾き初撃をやり過ごした。
『ありゃ~不意討ちで決まればよかったんだけどな~』
 少し遅れ、のんびりした口調でいいながら青龍のオブリビオンが部屋へと飛び込んでくる。
 既にどこかで戦ったからか、負傷しているようだ。
「王翦、あんたはこんな砦に篭って何をしようとしているのやら」
『そりゃあま~ロマンだね! でっかい光の巨人とか最高じゃないかな~!』
 リオの問いに本心なのかはぐらかしなのか分からぬ言葉を王翦は返す。
 そこにやり取りは不要とばかりに鏡介が一直線に王翦大将軍へと斬りかかっていく。
『あ~もう! うっとおしいなあ!』
 そう言って王翦は眼前に新たなオブリビオン兵団を召喚する。それはこの封神武侠界には本来いない、異世界のリザードマン。
 爬虫類の特徴を持つ蛮族は盾を突き出し鏡介を阻もうとする。
 時間稼ぎ、けれどそれを予想していた鏡介はまともにやり合うつもりもない。王翦へ刃を届かせ別の部屋へ逃げる前に仕留める、その為に斬撃波で進路上のリザードマンを薙ぎ払っていく。
 だが王翦大将軍も配下を操る事にかけては秦国最強の将軍である。即座に号令をかけ鏡介の突破を易々とは許さない。
 そこでリオの長い耳がある音を捉える。
 即座に虎の爪をダガーで弾き柱の陰に回り込むと、柱と繋がった鳳凰らしきオブジェクトを両手で掴む。
「今よ!」
 鏡介にリオが声をかけ、咄嗟に鏡介は手近にあった棒状の装飾を掴む。
 それとほぼ同時、部屋が上下回転する。
 彼女の聞いた音は回転の予兆、それを察知し落下しないようにしたのだ。
 だがその部屋の回転にリザードマン達は対応できない。回転に巻き込まれる形で逆さまに落ちていって元の天井へと落下、一部は外の空間へと投げ出されてしまう。
 翼持つ虎は一部は対応し、翼を広げ姿勢を戻そうとするが、リオがダガーを連続で振るい柱の向こうから斬撃を飛ばしその胴や翼を切り飛ばしていく。
 姿勢制御の為の翼を無くした虎は墜落、一部は部屋の外へと不運なリザードマンと共に投げ出されしばらくして大きな水音が連続で聞こえてきた。
『やるっすねぇ!』
 遠距離より放たれた斬撃を槍で斬り払う王翦、そして自身も壁の向こうのリオに突撃を喰らわせようと飛び込もうとする。
 だがこの瞬間鏡介が飛び込んできた。
 リオに気を取られリザードマンへの指示が僅かに疎かになっていて道が開けていたのだ。
 意識外からの突撃に対応が遅れる、その間に鏡介は手にしている神刀の封印を解きユーベルコードを起動。
「神刀解放。刃は流れるが如く――漆の秘剣【蒼鷹閃】」
 彼の動きは流水の如く淀みなく、放たれた斬撃波が王翦の足元を狙う。
 慌て宙へと跳ねる王翦だが、鏡介は上下逆さになった部屋の石像を蹴って追い、流れるように神刀で直に王翦の龍の胴を切り裂いた。
「この大空を駆け抜ける勇気を、この手に希望を」
 更ににリオはユーベルコードを起動し白き翼と衣の少女へと変身する。
 逆風が王翦大将軍を迎え、それを追い風としてリオが翼広げ飛び込んでいく。
「この背に翼を! 私はどこまでも怯まない!」
 ――速い。
 青龍のオブリビオンは慌て迎撃態勢をとるがリオの精霊の力を宿したダガーは恐るべき早業で防御を抜いて王翦の人型部分の胴を切り裂いた。
『むっ……ここは分が悪い。一旦退かなきゃ』
 そう呟き傷を庇いながら部屋の入口へと向かう王翦。
 逃がすまいと鏡介とリオは追うが、横合いから混乱から復帰したリザードマンと龍翼生やした虎が飛びかかり追撃を妨害する。
 足止めにかかるオブリビオン軍団に対処する間に、王翦大将軍はこの黄金宮殿の何処かへと姿を消していた。
 ちらりと鏡介が外を見る。輝く黄金の数字は今は肆――先程よりも進んでいる。
 手応えはあった。だがもう一押しが必要だ。
 確実に王翦大将軍を仕留める為、二人は再び瑞獣載霊殿の探索を再開するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



 相変わらず、瑞獣載霊殿の内部構造は変動を続け、儀式はまだ継続している。
 この儀式が成れば何が起こるか分からない――太刀のヤドリガミの女、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)はそんな事を考えつつ黄金に輝く部屋を渡りながら索敵を行っている。
 外に見える数字は参、転送された時点から零へとかなり近づいてきている。あまり猶予はないだろう。
 一方、移動し回転する部屋をアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)というバイオモンスターの猟兵は楽しみながら探索していた。
 好奇心旺盛な彼女、刻々と迫りくる時間制限も気にせずに無邪気に黄金に輝く瑞獣載霊殿の内装を楽しんでいる様子だ。
 そうやって探索を続ける二人。探索の網を広げようと天井に開いた入り口と繋がっている部屋へ向かおうとしたその時、傷だらけの王翦大将軍が下層より飛んで現れてきた。
 手傷を負った様子の王翦大将軍だけれど、彼女は楽しそうに笑い配下のオブリビオンを召喚する。
『これだけ追い詰められるなんてね! だけどあっしも大将軍、簡単に負けるのはやだからね~』
 そんな風に言った王翦大将軍が号令をかければ、黒々とした巨大蜂『刻印玄蜂』の群れがアウルに、奇妙な人型のキノコ『咎忍『冬虫夏草』』が真峰へと一斉に襲い掛かった。
「さて、真剣勝負といこうか」
 自身の体から其々十体程のキノコ人間を召喚しバラバラに飛び掛かってくるキノコのオブリビオンを前に、真峰は佩いている本体ではなく鞘に納めたままの脇差を手にして迎撃する。
 だが、キノコ人間は一体一体がそれなりに強力で、かつ独立して行動してくるため対応し辛い。
 納刀したままの脇差で群がるキノコ人間達を殴り飛ばし、或いは召喚した式神を盾にしつつ残像で攪乱しながら王翦大将軍を狙うが、それは向こうも承知のようで手堅く命令を飛ばし寄せ付けようとしない。
 一方のアウル、部屋の装飾である無機物が刻印玄蜂のユーベルコードにより毒針の雨に変換され、彼女に横殴りの雨の如く襲い掛かってくる。
 アウルは即座に部屋中央の太い柱を盾に毒針の雨をやり過ごすも、恐らくこの強毒針の雨にはアウルのユーベルコードはすこぶる相性が悪い。
 驚かせても王翦の指揮ですぐさま落ち着いて――そもそも蜂が驚くかの時点で分からない上、翼竜や恐竜の形態に変身しても近づく前に蜂の巣だ。
 延々と近づけないようにされているなんともつまらない状況、アウルは無邪気にそう思う。
 どうにか突破して直接叩かなきゃと考える彼女が視線を巡らせると、相手は違うけれども同じく苦戦している真峰と目が合う。
 自分にとって苦手な相手、相対するのは二組。
 一人でどうにかすることは難しくとも、この状況であるなら突破口も見えてくる。
 視線で合図を交わし、アウルと真峰は同時にユーベルコードを発動する。
「特別なカタチ……どれになろうかな?」
 夢見る少女のようにアウルがそう呟けば、ユーベルコードによって身軽な翼竜の姿へと変身し飛び立つ。
 巨大な蜂の群れは翅を広げ追おうとするも、百以上の太刀がそれを阻む。
 錬成カミヤドリにより複製した真峰の本体――の複製、それを操る彼女は鈍器の如く扱っていた脇差から複製の一つに持ち替えて、残り114本を念力で操作し黒蜂の強毒の針を斬り払いながら空中の蜂を切り落としていく。
 そんな真峰を狙うキノコ人間の群れの頭上を越え、召喚主である咎忍に翼竜が襲い掛かり菌糸のやわらかな体に爪を立てて引き裂き、或いは掴んで部屋の外へと放り出していった。
 遠くから延々と毒針を雨のように降らせてくる相手よりも、爪を直に振るって引き裂けるキノコ人間の群れの方が面白そうだから。
 キノコが混ざっているから少々柔らかすぎるようにも思えるけれども、これだけ数がいるなら手応え十分。
 其々に対し有利なユーベルコードを行使する相手、ならば対処する相手を入れ替えればその狙いは崩せるのは自明。
 王翦大将軍の用兵は優れているけれども、二人の猟兵は青龍のオブリビオンの指揮以上の速度で配下オブリビオンを切り伏せ何もない部屋の外へと叩き出し、数を減らしていく。
 そして十分数が減り、王翦配下の守りが薄くなった瞬間部屋が回転し、それに合わせ真峰が複製太刀の群れと共に黒き毒蜂を真峰が斬り裂きながら王翦大将軍へと飛び込もうとする。
 キノコ人間と毒針の雨が彼女を阻もうとするけれど、分かりやすく動いた彼女は陽動。
 真峰の反対側からぐるりと回転する部屋の壁を蹴り、獰猛な恐竜が王翦に飛び込み食らいつく。旧き時代、地上を支配していた竜の姿を取ったアウルはその獰猛を以て抵抗する王翦大将軍に食らいつき離れない。
 振るわれる槍も体表の蔓植物を操りオブリビオンの腕に絡みつかせることで力を逸らしガード。
 アウルへの対応に意識を逸らされた王翦の指揮が止まり、配下達の統率に乱れが生じる。
 そこに真峰はありったけの複製の太刀を舞わせ混乱を加速、強引に広げた隙――毒針の雨と太刀の嵐が吹き荒れる中に王翦への道を見出して、複製の太刀を構え床を蹴って飛び込んだ。
 喰らいつくアウルと拮抗していた王翦大将軍はアウルを何とか振り払い、向かってくる真峰に傷だらけの龍尾を振るい弾き飛ばそうとする。
 しかしそれが薙ぎ払ったのは真峰の残像のみ。
 複製の太刀の一閃が青龍を斬り、刻み込まれた致命傷に血が派手に散って。
 弾かれたアウルが態勢を整えつつ窓の外へと視線を向ければ、見える黄金の数字は弐。
 召喚した部下も一掃され、儀式も阻止された後に残るは青龍一体。
 蹂躙と戦争、殺戮をこよなく愛する秦国最強の将軍は、どこか残念がるように大きく息を吐くと、そのまま力を失い瑞獣載霊殿の下層へと落ちて消滅していった。
 その消滅と同時、瑞獣載霊殿に重く響き続けていた音が停止し、青空に輝いていた黄金の数字も大気に溶けていくようにして薄れ消失していく。
 こうして黄金の巨人の完成は猟兵達の活躍により食い止められたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年02月03日


挿絵イラスト