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殲神封神大戦⑰〜渾沌に沈む星光

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●渾沌の地
「皆様、お待ちしていましたわ」
 金髪ショートカットのグリモア猟兵、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)に転送され、仙界の最深部「渾沌の地」に到達した猟兵達、そこで待ち受けていたのは 自らを【骸の海】と自称する謎の敵『鴻鈞道人』であった。
 だがその姿は長い黒髪に妖艶な笑みを浮かべた少女の姿をしている。
 『鴻鈞道人』は謎の多い存在であると聞いていたが、少女の姿にまで変えられるとは意外であった。
「それでは早速始めましょうか…全力でかかってきてくださいませ」
 少女の声が聞こえてくるが、彼女の口は動いてはいない。思念で猟兵達に語り掛けているようである。
 先手必勝とばかりに、挑みかかる猟兵達であったが、『鴻鈞道人』が具現化させた少女の姿を見て、驚きのあまりに足を止めざるを得なかった。
 猟兵達を転送してグリモアベースで帰りを待っている筈の、金髪ショートカットの少女の姿がそこにあったのである。
「あら、説明を受けていなかったのかしら?それとも、この子も知らなかっただけなのかしらね…知らないまま戦うのも面白くはないですし、私から説明して差し上げましょう」
 戸惑う猟兵達を尻目に、黒髪の少女の姿をした『鴻鈞道人』は思念で状況を説明する。
「私-『鴻鈞道人』は転送能力を使ったグリモア猟兵を呼び寄せて取り込む事が出来るのですの。この子の取り込む瞬間を見せられなかったのは、本当に残念ですわ。ちなみに今の子の姿は星闇と呼んでいる人格ですわね。滅多に表に出さない人格ですわ」
 少女らしさを残しながらも、どこか邪悪な雰囲気を感じる姿を目の当たりにしている猟兵たちは、リリスフィアが表に出したくない理由を容易に察する事ができた。
 そして『鴻鈞道人』はリリスフィアの別人格である、ピンク色のポニーテールの少女と、銀髪ツインテールの少女を具現化させる。
 『鴻鈞道人』の前に現れた3人の少女は、立ってこそいるものの目は虚ろで人形のようである。
「私を退けた所で、必ずしもこの子達が助かるとは限りませんから、手加減してきて挑んできてくださいね…でも全力で挑んで来るのなら、それはそれで歓迎しますわね。私はこの子達が苦しむ姿を見るのが、何よりの喜びですの。会話は出来ないですし誰であろうとも声は届く事はないですが、戦ったり痛がったりする事は出来ますの…こんな風にね」
 そう告げて黒髪の少女の姿をした『鴻鈞道人』は腕を異形化させ、ピンク色のポニーテールの少女の胸を貫いた。
「ぐ…ごほっ!」
 ピンク色のポニーテールの少女は苦痛に顔を歪め、貫かれた胸部だけでなく、口からも大量の血を吐き出す。
 『鴻鈞道人』は無慈悲にも異形化した腕を引き抜くと、少女の血を媒体にしたかのように深紅の魔剣を生み出した。
「説明が長くなってしまいましたが、それでは始めましょうか。どうぞ楽しんでいってくださいませ」
 そう言い終えた『鴻鈞道人』は魔剣を構え、渾沌の諸相を籠めた一撃を、猟兵達に向け解き放つのであった。


吾妻 銀
 吾妻 銀です。
 殲神封神大戦の2本目のシナリオとなります。

 戦争シナリオとなりますので、1章構成となります。
 今回はグリモア猟兵と融合した鴻鈞道人との戦いとなります。
 恐れながら、執筆ペースはゆっくりめとなります。

 鴻鈞道人は強敵ですので、手加減するのは非常に危険です。
 またグリモア猟兵の意識は鴻鈞道人が完全に掌握している為、誰であろうとも説得は不可能です。
 残念ながら現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法は無いようですが、ひとまず戦闘で殺す事は可能ですし、戦力を0にすれば撤退します。
 グリモア猟兵もその時点で解放される筈です。
 プレイングボーナスは「グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する」です。
 参考までにリリスフィアの人格をざっとお伝えしておきます。
 通称スフィ:金髪ショートカットの明るい少女で主人格。
 リリス:ピンク色ポニーテールの強気で接近戦が得意の人格。
 フィア:銀髪ツインテールのお淑やかで魔法が得意の人格。
 星闇(せいや):いわゆる闇人格。鴻鈞道人は彼女の人格を借りて挑んできます。

 それでは皆様の参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユリウス・リウィウス
今更だな、鴻鈞道人。スフィは返してもらうぞ。俺のものは誰にも渡さん。
星闇が今の主人格か。他三人は体のいい壁役だな。

スフィの分身なら見慣れてるんだ。今更分身体を並べたところで怯みやしねぇよ。

「生命力吸収」と「精神攻撃」の双剣で、リリスとフィアを突き飛ばす。
スフィも道を空けろ。俺の知ってるスフィはそんな人形じゃねぇ。剣を打ち合って、撥ね除ける。

よう、来たぜ。そいつを返してもらおうか、なぁ、おい。
触手を「盾受け」、刃を「武器受け」して、裂帛の双剣撃で星闇の両肩から縦に「切断」する。
心を殺す術は遠い昔に身に付けた。いかにスフィといえども、必要なのであれば斬る。
死んじゃいねぇよなぁ、スフィ、なぁ、おい。



「さあ、まずはどなたから来てくれるのかしら?」
 黒髪の少女の姿をした鴻鈞道人が怪しく微笑む。
 今の鴻鈞道人はグリモア猟兵の少女と融合しており、その人格の一部をも拝借しているのである。
「今更だな、鴻鈞道人。スフィは返してもらうぞ。俺のものは誰にも渡さん」
 そんな鴻鈞道人に向けて、ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が静かに告げる。
 グリモア猟兵の少女とは深い関係にあるのユリウスであるが、彼の姿を見ても鴻鈞道人は特に反応する様子もなく、彼女の一部である三人の少女の人格を切り取り、分身体としてユリウスの眼前に出現させた。
 その三人の姿はユリウスがよく知っている存在である。
「ということは、星闇が今の主人格か…他三人は体のいい壁役だな」
「正解ですわ。せいぜい、その壁役を排除して私の所に辿り着いてくださいましね」
 姿、口調こそユリウスの知る少女であるが、その邪悪な振る舞いは鴻鈞道人そのものであった。
「スフィの分身なら見慣れてるんだ。今更分身体を並べたところで怯みやしねぇよ」
 あくまで戦う相手は鴻鈞道人である。
 ユリウスは双剣を取り、挑みかかってきたピンク髪の少女と銀髪の少女を、躊躇いなく切り伏せた。
「きゃああ!」
「そ、そんな…」
 双剣に切り裂かれた二人の少女は、悲鳴をあげ、苦痛に顔を歪めたまま崩れ落ちる。
 分身体であるはずの偽りの少女達であるにもかかわらず、肉を切った確かな感触がユリウスに伝わり、倒れた少女達の身体からは真っ赤な血が流れている。
「ふふ…いいですわ。暴漢に襲われ散りゆく姿…それを見たかったのですの」
 壁役である分身体をあっさり失った鴻鈞道人だが、その表情は喜びに満ちていた。
「スフィも道を空けろ。俺の知ってるスフィはそんな歪んだ性格でも、人形でもねぇ!」
 ユリウスは残った金髪の少女の分身体を剣で撃ち合い、吹き飛ばしてから、すぐさま鴻鈞道人に斬りかかる。
「それでは私も参りましょう!」
 それに対して少女の姿を借りた鴻鈞道人は白き天使の翼を背中に広げ、白き殺戮する刃を手にして、ユリウスを迎え撃つ。
「ち…思っていた以上に早いな!」
 鴻鈞道人の反応速度は凄まじく、先に仕掛けたはずのユリウスでさえも防戦一方に追い込まれる程であった。
「まだまだこれからですわよ」
 刃だけに留まらず鴻鈞道人は触手も生み出して、ユリウスを更に攻め立てる。
 だがユリウスも、ただ攻撃を受けていたわけではなかった。
 ユリウスの双剣には生命力を吸収する魔力が込められており、攻め続ける鴻鈞道人を疲弊させていく。
「そいつを返してもらおうか、なぁ、おい!」
 鴻鈞道人の動きが鈍った所でユリウスは反撃に出た。
 白き刃と触手を双剣で弾き返し、怯ませた所に渾身の双撃を繰り出した。
「ああっ!!」
 両肩から縦にかけて大きく切り裂かれた鴻鈞道人は悲鳴をあげ、その場に崩れ落ちる。
「この程度で死んじゃいねぇよなぁ、スフィ、なぁ、おい」
 心を殺す術は遠い昔に身に付けたはずのユリウスであったが、あまりにも呆気なく倒れた少女の姿を見て、心配になり思わず声をかける、
「…ええ、心配無用ですわ…これで終わってしまっては面白くありませんものね」
 すぐに鴻鈞道人は起き上がって、ユリウスと距離を取った。
 双剣に斬られた傷もたちどころに塞がっていく。
「鴻鈞道人…お前との遊戯など興味はない。俺のものを返してもらうだけだ」 
 ユリウスの声はグリモア猟兵の少女には、まだ届きそうになかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
うーむ、要はカクリヨファンタズムの骸魂に取り込まれた妖怪とほぼ同じじゃん!倒せばもとに戻るってとこも含めて!
それに、普段味方な猟兵と命を掛けて戦えるチャーンス!
こいつは全力で楽しまないと勿体ないね!

武器は重戦斧【緋月】を使うよ!
壁役の3人は、1人は殴って吹き飛ばし、2人は【怪力】で掴み持ち上げよう!暴れたりしたらちょっと地面にでもぶつけよう。
そして、鴻鈞道人の攻撃はこの持っている2人を盾にして受けるよ!態々使えるものを用意してくれてありがたいね!
使い終えたら投げつけて返却し、緋迅滅錘衝をぶちこみにいくよ!

ここまでやっても猟兵ならどこかに生き延びる意思があれば生き残るんじゃないかな?



「うーむ、要はカクリヨファンタズムの骸魂に取り込まれた妖怪とほぼ同じじゃん!」
 緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は、グリモア猟兵の少女を取り込んだ鴻鈞道人と生み出された3人の少女の分身体を見て、そんな感想を漏らす。
「倒せばもとに戻るってとこも含めてだね!」
 女性でありながら巨大な戦斧である【緋月】を構えている事からも、透乃の怪力ぶりが伺える。
 そんな透乃の表情はどこか嬉しそうであった。
 味方であるはずの猟兵と命がけで戦えるチャンスでもあるのだと、透乃の戦意は十分に高揚していた。
「私も貴女のような猟兵と戦えて嬉しく思いますわ。私達、仲良くなれそうですわね」
「うん、全力で楽しまないと勿体ないね!」
 一見すると、女性同士の明るい会話のようだが、両者から漂う殺気から、壮絶な死闘が繰り広げられることを予感させられた。
「やり過ぎても、猟兵ならどこかに生き延びる意思があれば生き残るよね?」
「ふふ、そうかもしれませんわね。でも、その前に貴女は生き延びられるかしら」
 少女の姿をした鴻鈞道人は血で染められた魔剣を手に透乃に斬りかかる。
 グリモア猟兵と融合しているとはいえ、あくまでも相手は圧倒的な力を持つ鴻鈞道人である。
 まともに斬り合うのは、透乃といえども不利であると言わざるを得ない。
 透乃は距離を取り、鴻鈞道人の間合いから遠ざかる。
「それとも彼女達と戦うのがお望みなのかしら?」
 そこへ鴻鈞道人に命じられた3人の少女の分身体が追いかけてくる。
 それこそ透乃の狙い通りであった。
「せっかく、壁役がいるんだから使えるものは使わないとね!」
 【緋月】で振り回して、鴻鈞道人が生み出した分身体の1人を吹き飛ばすと、残った2人を怪力で掴み持ち上げる。
 2人の少女は抵抗しようともがくが、透乃は2人の顔を地面に叩きつけて大人しくさせた。
「素晴らしいですわ。仲間である猟兵に存在に扱われる有様を見て見たかったのですの!」
 鴻鈞道人の意志なのか、それともグリモア猟兵に眠る闇人格の本性なのかはわからないが、黒髪の少女は分身体を盾にされている事にもお構いなしに、魔剣で挑みかかる。
「「ああああああ!」」 
 透乃は2人の少女を盾にして、鴻鈞道人の怒涛の攻めを凌ぐ。
 何度も魔剣に斬られた少女達は断末魔の悲鳴をあげ、真っ赤な肉塊と化すのであった。
 2人の少女を盾にしても尚、魔剣による衝撃が透乃にも伝わり、彼女の身体を蝕んでいく。
 それでも透乃は反撃の機会を信じて耐え抜くのであった。
「でも両腕が塞がっていて反撃できるのかしら?それに側面からの攻撃にも対処できませんわよ」
 次の瞬間、透乃の脇腹に短剣が突き刺された。
 透乃が初撃で吹き飛ばしたはずの金髪の少女が、いつの間にか近寄り、両腕が塞がっていた透乃を一刺ししたのである。
「彼女達を盾役と言った覚えはありませんわよ」
 そして透乃が掴んでいた2人の少女の分身体が、突然腐食を始めた。
 このままでは透乃自身も巻き込まれて腐食していまいかねない。
「それならお返しするよ!」
 透乃は苦痛を顧みず、金髪の少女の分身体を振りほどくと、2人の分身体を鴻鈞道人に向かって投げつけた。
「いっぱつでぶっこわーす!緋迅滅錘衝!!」
 鴻鈞道人が怯んだ僅かな隙を突いて、透乃は【緋月】による渾身の一撃を叩きこむ。
 その破壊力は3人の分身体を完全に消滅させ、鴻鈞道人を大きく吹き飛ばす程であった。
 劣勢をたった一撃で引っくり返したのである。
「…でも一発とはいきませんでしたね。次はその髪の色と同じように血で染めて差し上げますわ」
 鴻鈞道人は起き上がるが、透乃の一撃でかなりのダメージを負ったようである。
 表情こそ笑顔を浮かべているが、その漂う殺気は先程よりも強まっている。
「やっぱり簡単にこわしちゃったらつまんないよね。もっと楽しんじゃお!」
 透乃は最低限の止血を済ませてから、【緋月】を構え直す。
 それからも両者は力の限りの死闘を繰り広げ、存分に楽しむのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

モフットボール・クラウディン
「ボクはお前みたいな概念《やつ》が大嫌いだよ、鴻鈞道人」
誰に聞こえたともしれない呟きと共に、モフットボールが参戦します。

アドリブ・共闘歓迎
とりあえず【獄炎突砲撃】による「捨て身の一撃」を行います。
自身を高速回転させながら突進し、鴻鈞道人に「頭突き」します。途中で3人を巻き込みますが、なるべく3人への延焼はすぐに消去し、鴻鈞道人を入念に焼けるよう燃やします。
反撃をモロに受ける「覚悟」はあります。

「燃え尽きろっ! イグニスフィア……シュート!!」



「あなた、モーラットね。一度、虐めてみたいと思っていましたの」
 モフットボール・クラウディン(モーラットのブレイズキャリバー・f35950)の姿を見た、鴻鈞道人は笑みを浮かべる。
 向けられた殺気から、虐めるなんて生易しいものではないという事は、モフットボールにも伝わってきた。
 それでもモフットボールの戦意が揺らぐことはない。
「ボクはお前みたいな概念《やつ》が大嫌いだよ、鴻鈞道人」
 あまりにも醜悪な振る舞いに、モフットボールは誰にも聞かせるつもりもなかった言葉を鴻鈞道人に聞こえるよう吐き捨てる。
「それは残念ね、それならその名前の通り、ボールにでもなってもらおうかしら」
 鴻鈞道人は3自らが生み出した3人の少女の分身体を、モフットボールに差し向ける。
 少女達の表情は虚ろで意思は感じられないが、統制の取れた連携でモフットボールに仕掛けて来る。
 モフットボールはその身軽さを利用して、少女達から繰り出される斬撃や魔法による攻撃をひょいひょいと避けていった。
「…それなら、望み通りボールになってやる!」
 少女達の先制攻撃を凌ぎ、反撃のタイミングが生まれた所で、モフットボールは地獄の炎をその身に纏わせる。
 そして自身を高速回転させる事で、火の玉となって鴻鈞道人に向かって突進した。
 小さいながらもその勢いはとどまる事を知らず、妨害しようとした3人の少女を容易く吹き飛ばした。
「焼くのは鴻鈞道人、お前だけだよ!」
 モフットボールは倒れた3人の少女の延焼を消してから、鴻鈞道人にその身をぶつけた。
「燃え尽きろっ! イグニスフィア……シュート!!」
 反撃を受ける事も厭わない決死の突撃が、鴻鈞道人のどてっぱらに直撃した。
「ぐ…よくもやりましたわね!」
 黒髪の少女の姿を借りた鴻鈞道人は忌々し気に火の玉となったモフットボールを、異形化した腕で力任せに殴り飛ばした。
 だが纏わりついた炎は消える事なく、瞬く間に鴻鈞道人の全身に回るのであった。
「そのまま炎に焼かれて地獄に墜ちればいい」
 殴り飛ばされ、地面に叩きつけられながらも受け身はとっていたモフットボールは、むくりと起き上がり、鴻鈞道人が地獄の炎に焼かれていく光景を眺めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有州院・こりす
先制攻撃を見切って
全力魔法でオーラ防御
盾役の3人には範囲+マヒ攻撃で足止め

声も想いも届かなくとも語り掛ける

「アルダワ戦争のこと覚えてるやろか
リリスフィアちゃんは
…フィアちゃんは
優しさで敵まで救っちゃったんや
その時からずっとこりすちゃんにとって
フィアちゃん達は憧れのお姫様やったんよ?

3人相手ならUC増強も3倍以上
生命力吸収で3人の具現化を打ち消す

「その別人格なら星闇ちゃんだってきっと意地っぱりなだけのツンデレお姫様や
だから…返してもらうで4人とも

道人が星闇ちゃんを流血させる前に
優しさ込めたプリンセスハート飛ばして
限界突破
捨て身アタック

リリスフィアちゃん達を
大切な人の所にぜったい帰してあげるんや!



「アルダワ戦争のこと覚えてるやろか。リリスフィアちゃんは…フィアちゃんは優しさで敵まで救っちゃったんや。その時からずっと、こりすちゃんにとって、フィアちゃん達は憧れのお姫様やったんよ?」
 声も想いも届かないと知りながらも、有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)は、鴻鈞道人に強制的に融合されたグリモア猟兵の少女に向かって懸命に語り掛ける。
 だがそんな、こりすに対して黒髪の少女の返事は、優しさとは程遠い残酷なものであった。
「アルダワ?記憶にありませんわね…でも貴方の事は気に入りましたわ。血まみれのプリンセスにして差し上げますわ」
 その言葉はあくまでも鴻鈞道人の邪悪な意思によるものだが、氷の刃のような言葉と殺気がこりすに突き刺さる。
 そしてこりすが見知った3人の少女達が、一斉に襲い掛かってきた。
 彼女達は鴻鈞道人がグリモア猟兵の少女の人格を切り取った分身体である。
 同じなのはあくまで姿だけで、その虚ろな表情と容赦なく刃を向けて来る様子は、こりすが知っている少女達はまるで異なるものであった。
「リリスフィアちゃん達を、大切な人の所にぜったい帰してあげるんや!」
 こりすはピンク髪の少女の刃の軌道を見切って避け、銀発の少女から放たれた火球を、魔力のオーラを展開して防ぐ。
「ふふ…中々、頑張りますわね。楽しませてくれますわ」
 その様子を余裕の表情で眺めている鴻鈞道人であったが、その足元はふらついている事をこりすは見逃さなかった。
 これまでの猟兵達との戦いによって、鴻鈞道人が負ったダメージは軽くはなく、あと一押しすればグリモア猟兵の少女から、鴻鈞道人を切り離せるかもしれないと、こりすの目に希望の光が宿るのであった。
「必ず助けるから。もう少し我慢してや」 
 こりすは決意を新たに、畳みかけるように挑みかかってきた金髪の少女の斬撃を受け止める。
 一方的に攻撃し続ける3人の少女の分身体であったが、その動きは次第に鈍っていた。
 こりすが少女達の攻撃を凌いでいた間、自らの魔力で彼女達の生命力を吸収し続けていたのである。
「これでは埒が明かないですわね…そろそろ私も手を下しましょうか」
 その様子に業を煮やした鴻鈞道人が、血で真っ赤に染まった魔剣を手に、斬撃波を繰り出した。
 その狙いはこりすだけではなく、3人の少女を巻き込もうとしている。
 彼女達にも血を流させて、自らの糧にでもするつもりなのだろう。
「そうはさせない!」
 こりすは自らだけなく3人の少女を守るべく、全力でオーラを展開した。
 魔力と斬撃波が激しくぶつかり合い、少女達を巻き込むことなく相殺されるのであった。
「…………」
 守られた3人の少女達は力を失ったのか、その場にへたれ込んで動けなくなる。
 今こそ鴻鈞道人を攻める好機である。
 こりすは少女達から吸収した力も借りて、プリンセスハートを鴻鈞道人に向けて飛ばした。
 鴻鈞道人が再び魔剣から斬撃波を繰り出すも、魔力を得て巨大化したプリンセスハートは、その刃を容易く打ち消すのであった。
「まさか…そんな!」
「いつだって笑顔が、一番つよい魔法なんやで!」
 鴻鈞道人が動揺を見せた所で、こりすは我が身を顧みずに黒髪の少女の身体に飛び込んだ。
「その別人格なら星闇ちゃんだってきっと意地っぱりなだけのツンデレお姫様や。だから…返してもらうで4人とも」
 優しさを込めたこりすの魔力が鴻鈞道人の生命力を奪っていく。
「く・・・放しなさい!」
 身の危険を感じた鴻鈞道人が、必死に魔剣を振り回して、こりすを振りほどこうともがく。
「絶対に放さない!」
 血に染まった刃にこりすは幾度ともなく傷つけられるも、鴻鈞道人から生命力を奪いきるまで、黒髪の少女の身体から離れる事はしなかった。
 やがて鴻鈞道人の生命力が限界を迎える時が近づいてくる。
「仕方あるまい…この場は退かせてもらおうとしよう。猟兵諸君…また会う事もあるだろう」
 その声は融合しているグリモア猟兵の少女のものではなく、鴻鈞道人の声であった。
 ついに融合状態を保てなくなったる、鴻鈞道人は少女の身体を切り捨て、戦場から脱出するのであった。
 その直後、黒髪の少女は糸の切れた人形のように、こりすに向かって倒れ込んだ。
「もう大丈夫や…お帰りやで…」
 姿こそは変わってはいないが、黒髪の少女からは鴻鈞道人の邪悪な雰囲気が完全に消えていた。
 こりすはその事に安堵し、グリモア猟兵の少女の身体を支えるが、意識が朦朧として、その場に一緒に倒れ込んだ。
 鴻鈞道人の攻撃を受け続けてきた事で、体力の限界を迎えたのである。
 それから2人の少女は合流してきた他の猟兵達に救助されるまで、安らかな表情で眠り続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月29日


挿絵イラスト