6
殲神封神大戦⑰〜末日重启/再生の渾沌、破滅の炎(邦題)

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』 #オブリビオンマシン『哪吒』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑰
🔒
#渾沌氏『鴻鈞道人』
🔒
#オブリビオンマシン『哪吒』


0




●渾沌の都、建業

 ───SYSTEM CHECK.
 H1:Examine the [Holy Grail] Link System.
 H2:Six Arm Unit「RX-A六臂」……OK.
 H3:Leg Flight Unit「EP風火輪」……OK.
 H1:Rocket Arm Device「RXS-A乾坤圏」……OK.
 H2:Main Scissors Weapon「RX金蛟剪」……OK.
 H3:Mass Production「陸戦量産型哪吒」……Null.
 H1:Limited Grail「BS-F九竜神火罩」……Now Reproduction.
 H2:Head1 Head2(left) Head3(right) All Green.
 H3:Language System Downloaded……System Startup.

 Oblivion Machine「哪吒」……Ready to launch.


『……鴻鈞道人による再孵化を果たしたか。だが、吾が分身までは再生に至らず、と』
 燃える建業の都、その中心にオブリビオンマシン『哪吒』は再び姿を現した。
 しかし、すべてを再生したとは言い切れず、哪吒の端末であり僚機たる『陸戦量産型哪吒』の気配は何処にも感じられない。
 ここは仙界の最深部。いまだ形定まらぬ『渾沌の地』。
 建業の都は『再現』されたに過ぎず、炎に灼かれて逃げ惑う人々の声はおろか生気も感じさせないゴーストタウンであった。

『とは言え、これも再孵化を果たせたのは僥倖である』
 そして、哪吒の背後にそびえる無数の血管が走しり、さも生きているかのように脈動しているのは、哪吒が建造されたのと同じ生体オブリビオン・プラント『肉毬』。その胎内では素体たる『金丹』を胚とさせて、攻撃衛星『BS-F九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)』が目下建造中である。今の肉毬は種子であり裸同然であるが、成長を促進さえるために建業の都そのものを焚べてその熱をエネルギーに変換させれば、外殻は草体となってやがて蓮の蕾のような発射台を形成させ、花弁状のドームが開けば完成したBS-F九竜神火罩は宇宙に向かって打ち上がる。
 だが、人界では発射まであと一歩のところで、自身共々に猟兵の手により骸の海へと還されてしまった。『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)の代行者』として撃破された哪吒にとっては、この無念を仙界にて晴らす千載一遇のチャンスにて他ならない。

『六番目の猟兵、吾が言葉を再度聞け。吾が名は哪吒、自律型オブリビオンマシンにして殲禍炎剣の代行者なり。吾はこれより、攻撃衛星九竜神火罩を再建造し、人界と仙界に炎の破滅(カタストロフ)をもたらす。再び止められるか……猟兵よ。偽りの建業の都にて待つ』


●グリモアベースにて
「建業の都にて繰り広げられた、哪吒とその量産型との戦いの勝利。ならびに封神武侠界をカタストロフに導く九竜神火罩の破壊、お疲れさまでした」
 一気に進みきろうとした封神武侠界の終末時計の針が猟兵たちの活躍によって戻ったことを、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は労をねぎらいながら報告をした。

「そして、殲神封神大戦も最後の局面を迎え、仙界の最深部であり『鴻鈞道人』が待ち構える『渾沌の地』へ通じる道も切り拓かれたのですが……ここで少々困ったことが起きました。自らを『骸の海』そのものと語る鴻鈞道人の手により、撃破されたはずの哪吒と九竜神火罩が渾沌の地にて『再孵化』を果たしたのです」
 再孵化……それは帝竜戦役にて帝竜『ヴァルギリオス』が初めて語った、骸の海より過去たるオブリビオンが汲み上げられる現象を表す言葉である。その全容は今だ謎のベールに包まれているが、何れにせよ厄介な相手が復活したのには変わらない。

「果たして骸の海そのものと自称する鴻鈞道人の言葉が真偽であるかは定かではありませんが、彼を骸の海へと還さねければ封神武侠界にカタストロフを齎そうとしている大賢良師『張角』の元へと辿り着けません。そして、復活を果たした哪吒も再び九竜神火罩を打ち上げてカタストロフを引き起こそうとしているため、まさに面倒極まりない状況となってしまったわけなのです」
 まさに二者一択の決断が予知したシグルドに迫られた。しかし、彼の答えはすぐに下されていた。

「そして皆さん、思い出してください。建業の都にて、我々はオリジナルである哪吒とその複製たる陸戦量産型哪吒たちに対抗したことを。前回は量産型の哪吒の対応を選びましたが、今回はそのオリジナルたる哪吒を再び骸の海へと還すと決めました。そうすれば、他の猟兵たちは鴻鈞道人への対応に専念できるものです」
 だが、オリジナルの哪吒は前回戦った陸戦量産型哪吒の性能を遥かに上回っている。鬼神のごとく苛烈な哪吒の攻撃を、いかに対処するかの策を講じなければ苦戦は免れない。

「再孵化を経て、人界での戦いの記憶を哪吒は有しているかもしれませんが、その条件はこちらも同じです。一度撃破できた相手です。再び骸の海へと追い返し、今回も炎の破滅を未然に防ぎましょう」
 そう締めくくると、シグルドは静かに瞳を閉じて精神を統一させる。彼の身体から溢れるフォースのエネルギーが視覚化させると、それはグリモアとなって猟兵たちを光で包み込んだ。かくして、炎の破滅を巡る再演の幕があがるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 鴻鈞道人との決戦が始まりましたが、同時に今回の戦争の特色でもある『有力敵をすべて倒さなければ張角と戦えない』ことへの驚愕な事実が判明しました。
 そりゃあ、鴻鈞道人も倒さなければ幾らでも復活しちゃうわけですね。
 そんな事で、陸戦量産型哪吒戦が終われば同軸時空のシナリオで考えていましたオリジナル哪吒との決戦シナリオでしたが、このような形で仙界を舞台として再構想した次第であります。

●シナリオ概要
 シナリオ難易度は、やや難となります。
 仙界の最深部にある、いまだ形定まらぬ「渾沌の地」に、自らを【骸の海】と自称する謎の敵、『鴻鈞道人』が待ち受けています。
 鴻鈞道人はこれまでに倒した筈のオブリビオン、或いはまだ戦場にいるオブリビオンさえも「再孵化」という能力で容易く作り出し、猟兵を攻撃してきます。渾沌の地も作られたオブリビオンに応じて形状を変化して、再孵化された『哪吒』との再戦となります。
 鴻鈞道人自身は渾沌の地と融合することによって『建業の都』を再現し、戦場と化している為に直接攻撃することはできません。
 そのため、先制攻撃で襲ってくる途轍もなく強力な体長5メートルの哪吒を相手に、偽りの都にて市街戦を展開する事になります。可能ならばこちらも自前のキャバリアを持ち込んで、正面から戦いましょう!

 よってプレイングボーナスは、『キャバリアに乗り込むなど、オブリビオンマシン『哪吒』と戦う方法を考え、実行する』、となります。
 当シナリオでは、クロムキャバリアのシナリオでやっておりますキャバリアの貸し出しは行っていません。自らの愛機に搭乗して出撃するか、それとも生身で強力無比なオブリビオンマシンに対抗できる作戦を編み出してお挑みください。

 それでは、渾沌をも焼き尽くそうとする炎にも負けない熱いプレイングをお待ちします。
50




第1章 ボス戦 『オブリビオンマシン『哪吒』』

POW   :    RX金蛟剪(きんこうせん)
【二刃一対のハサミ型刀剣兵器】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【新型オブリビオンマシン】に変身する。
SPD   :    EP風火輪(ふうかりん)
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両足の火炎車輪型フロートユニット】から【火炎竜巻】を放つ。
WIZ   :    RXS-A乾坤圏(けんこんけん)
【腕】を向けた対象に、【空飛ぶロケットパンチ】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

チッ、鴻鈞道人ってのは本当に無茶苦茶だね
これだから他の世界は常識が通用しなくて嫌になるよっ!
だが、まぁ……こいつならまだオブリビオンマシンだしマシかねぇ?

アマランサス・マリーネ、出るよっ!
チッ!先制でSFSのカノンライダーは大破してリアクティブアーマーも使われたか
だが、マリーネ本体の戦闘能力は落ちていないさね!
右手のビームアサルトライフル、左手のバズーカ、サブアームのサブマシン2門を撃ちながら高機動強襲機の機動力で市街地を動き回ることでなんとか九竜神火罩を目指すさね
ある程度接近したら肩のミサイルポッドの6発の【FAE-13】、燃料気化爆弾で再現都市ごとぶっ飛ばすんだよっ!



「チッ、鴻鈞道人ってのは本当に無茶苦茶だね。これだから他の世界は常識が通用しなくて嫌になるよっ!」
 キャバリアが乗るエアバイクというべき形状のバイク型サブフライトシステム『SFSカノンライダー』。それを愛機『アマランサス・マリーネ』で滑走させているルイン・トゥーガン(B級戦犯指定逃亡者・f29918)は、鴻鈞道人そのものと言っても過言ではない偽りの建業の都にどこか薄気味悪さを覚える。誰が付けたのかわからない炎が焚べられて燃えているだけではあるが、炎のゆらめきが獲物が近寄れば絡め取って捕獲する食虫植物のようにも思えた。

「だが、まぁ……こいつならまだオブリビオンマシンだしマシかねぇ?」
 センサーには建造中の九竜神火罩が納められていると思わしき巨大構造物体、それを護るかのように配置されている哪吒と思わしき反応があった。他の反応が周囲に見受け慣れないことから、敵であるオブリビオンマシンは哪吒一機のみ。
 なら、簡単な仕事だ。ルインがほくそ笑んだその時、哪吒の機体反応が動いた。

「さぁて、動いたようだね……。カノンライダーの動きに追い付けは……なんだい、この速さは!?」
 ルインが驚愕するのも無理はない。人型ロボットのキャバリアと言えども、5メートル程度の体躯ではエネルギーインゴットや推進剤の搭載できる量は限られてくる。当然ながら機体の出力や速度を増せば比例するように稼働時間は低下するものであるが、それを補うべく開発されたのがSFS(サブ・フライト・システム)と呼ばれる支援機である。
 汎用性は失われるが、その分燃料や弾薬といった物資をキャバリアよりも搭載でき、低空飛行のみに限られるが大抵のキャバリアを搭載できるほどのペイロードを有している。キャバリアを乗せても速く滑走させるSFSカノンライダーのおおよそ3倍と計測された哪吒の速度を目の当たりにすれば、流石の彼女も驚かざるを得なかった。

「ちぃ、何処から来るんだい? 前じゃない、横でもない……まさか、上かい!?」
 ルインが苦々しい顔持ちで舌打ちをしたが、ここは『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』によって制空権が奪われた世界ではないことを失念していたからだ。クロムキャバリアにおいては、オブリビオンマシンと言えども無闇に飛行すれば殲禍炎剣による裁きの光が下されるために、上の守りはそう考えなくても良い。その普段の感覚が、哪吒による先制攻撃を許したのだ。

『よもや、直上からの襲撃が無いと思ったのではあるまいな?』
 両足に設けられた火炎車輪型フロートユニット、『EP風火輪(ふうかりん)』から炎を渦巻かせ、上空から強襲した哪吒が投げ放った二刃一対のハサミ型刀剣兵器『RX金蛟剪(きんこうせん)』がルインへと襲いかかった。分離された刀剣は、片やカノンライダーの機首を、片やアマランサス・マリーネの装甲を穿つ。
 不幸中の幸いではあるが、哪吒の強襲を受けてルインは咄嗟にカノンライダーを乗り捨てた。アマランサス・マリーネの損傷は、使い捨て増加装甲であるEPリアクティブアーマーが犠牲になった程度で済んだが、カノンライダーは燃料や弾薬に誘爆でもしたかで大きな爆発が起きると大破して鉄くずと化した。

「チッ! だが、マリーネ本体の戦闘能力は落ちていないさね!」
 バーニアで機体制動を取りながら役目を終えて今やデッドウェイトにしかならない増設装甲の残骸をパージさせると、アマランサス・マリーネはサブアームに取り付けていた2門のRSダブルサブマシンガンを同時に撃ち放って牽制を試みる。

『RX金蛟剪、回収。データ解析……完了。増設装甲、この火力であるならば申し分ない』
 哪吒はRX金蛟剪が破壊したEPリアクティブアーマーの情報を元に、EP風火輪から迸る炎を身に纏うとそれを増加装甲へと返させた。若干ながら機動性が失われたが、サブアームの二丁サブマシンガンに加えて、右手のビームアサルトライフルと左手のバズーカも撃ってくるルインの猛攻に対する守りとしては盤石であった。

「はん! わざわざ重りを被ったのかい。それなら身軽になった分、急がせてもらうよ」
 増加装甲が失われた代わりとして、本来の姿である高機動強襲機に戻ったアマランサス・マリーネが市街地を疾走する。見たところ、速度は相手の方が上だがその分小回りが効いていない。であれば、相手の土俵には乗らずに得意とする市街地戦に引きずり込むのが上策であると、彼女は判断したのだ。
 それに、ここが建業を模しているのであれば、既に人界にある建業の都のマップデータはインプット済みであり、追手の追撃を振り切るのは特務隊時代から得意としている。
 更にルインのターゲットは哪吒ではない。目下建造中の九竜神火罩だ。

「そぉら、ご到着だよ」
 そうして行く内に、ルインはオブリビオンプラント『肉毬』を遮るものがなく一望できる中心部付近へと辿り着く。肉塊状の種子は街全体を燃やし尽くす熱量を糧として既に発芽し、蓮の蕾状の草体へと成長を遂げている。あとは開花と共に攻撃衛星BS-F九竜神火罩が打ち上げられるのを待つのみであるが、その姿は無防備同然であっても天に聳える塔の如く巨大であった。それを死守すべく哪吒は猟兵を迎え打ったが、生半可な攻撃ではオブリビオンマシンの外殻で九竜神火罩の打ち上げには支障が出ないと判断してだ。

「確かに、このデカさじゃ弾がいくらあっても切りがないさね。だけどね、熱を吸って育っても『燃えない』わけじゃないだろ?」
 追ってきた哪吒の攻撃を回避して機体を翻させながら、ルインはアマランサス・マリーネの肩に搭載されたミサイルポッドから6発全てを発射させると、脇目も振り返らず一気に戦線を離脱し始める。

『くっ、小癪な!』
 その様子にただならぬ空気を察知した哪吒が、ルインを捨て置いてミサイルの弾頭を切り落としにかかる。ひとつ、ふたつ、みっつ……。哪吒が両手に携えるRX金蛟剪が次々とミサイルを両断して行く。あと三発、肉毬に向かう残りの弾頭を切り落とそうと炎を舞い上げた直後、突如として背後で何かが着弾し、炸裂して哪吒の動きを阻害させた。

「後ろがガラ空きだよ! 増加装甲で動きが鈍ってしまってるみたいさね?」
 去り際にルインが放ったRSハイパーバズーカだ。彼女が指摘する通り、もし増加装甲を作り出していなければ、従来の速さを哪吒は発揮できたであろう。そうなれば、三発切り落とした段階で全ての弾頭を切り落としていたはずでもあり、ルインが放ったバズーカの弾頭も躱すことなど造作も無いことである。
 ルインが放った置き土産に哪吒の迎撃が間に合わず、ミサイルの弾頭が肉毬へと着弾すると周囲は灼熱の巨大火球に包まれた。
 FAE-13……その弾頭は、燃料気化爆弾である。着弾と共に気化した液体燃料が周辺の酸素を取り込んで燃焼爆発を起こし、瞬間的に膨大となった熱と衝撃が哪吒と九竜神火罩を建造しているオブリビオンプラントを飲み込んだのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
「ええ、何度だって止めてみせるわ

自前キャバリア機神『蚩尤』に乗って戦うわ

敵UCは自分UCの狐火の一部で相殺
後出しになるから[ジャミング]と[残像]で命中率下げて[空中機動]で回避
[オーラ防御]で防御力を上げる予備策も実行しておくわ
腕を射出するということは戻ってくるはず
きっちり[部位破壊]しておきたい

「ここからは[仙術]比べよ
ビット機からの[援護射撃]を受けて残った狐火で哪吒を攻撃
同時に別々の方向から多数の狐火を向かわせて避けづらくさせる


朱鷺透・小枝子
何度出て来ようと壊してやる!

ディスポーザブル03を【操縦】
【オーラ防御】サイキックシールドでロケットパンチを受け止め【早業】その拳に向けて【エネルギー充填】したビーム砲の【吹き飛ばし】で攻撃。UC発動条件を満たす。
ミサイル【誘導弾】に更にコンテナミサイルも放ち【範囲攻撃】

壊れてしまえ!!

シールドを纏わせた【念動力】サーベルユニットで【武器受け】の態勢を取りつつ、ビーム砲の【なぎ払い】で哪吒を攻撃し注意を向けさせ、引きつけた所に、『破傷戦』を発動。
再孵化前に負った傷も再現し、更に【呪詛解体】からの【追撃】4基のサーベルユニットで【串刺し】にしてハイペリオンツインランチャーを叩き込む!



『……外部装甲、一部融解。オブリビオンプラント肉毬、及びBS-F九竜神火罩、健在』
 キノコ雲を作るほどの急激な上昇気流を起こした急激な爆炎の炎が晴れる。衝撃波によって周囲の建造物を燃やしていた炎が消火されており、その爆心地たる中心には外殻が大きく剥がれ落ちたものの機能は維持しているBS-F九竜神火罩のゆりかごたるオブリビオンプラント『肉毬』の草体が、それを護るように立ちはだかっている哪吒の姿があった。

「何度出て来ようと壊してやる!」
「ええ、何度だって止めてみせるわ」
 先程の猟兵が撃ち放った燃料気化爆弾の爆発を合図にして、楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)によってヒトガタを媒介に召喚された白い中国武将風のサイキックキャバリア、機神『蚩尤』。両腕にビーム砲、機体の各所には隙間なくミサイルを搭載している朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が操るスーパーロボット、ディスポーザブル03が脚部の無限軌道機構を唸らせながら破竹の勢いで哪吒の元へと迫ろうとする。

『それは、こちらも同じことだ』
 熱と衝撃によって機体にダメージを負っていたが、哪吒の物言わぬ無機質の顔が二機を睨みつける。RX-A六臂に搭載された二拳一対の兵装、せり出した安定翼のようなものが取り付けられている腕状の『RXS-A乾坤圏(けんこんけん)』が、ロケットノズルより炎を噴き上げさせながら放たれた所謂ロケットパンチは一気に加速して、散開した宵雪と小枝子を迎撃せんと襲いかかった。追尾機能を有しているようで、それぞれが独自の意思を持っているかのように自由自在にと軌道を変えてくる。

「もぉ、しつこいわ!」
 いくら躱しても追撃を止めない乾坤圏に対し、宵雪は己の仙力を蚩尤を介して増幅させた仙術、UCを発動させる。『花霞の燈火』による薄紅色の狐火が宙に浮かび上がると、それらが集合しあって盾となり、RXS-A乾坤圏の軌道上に寄り固まると防壁となった他、炎が蚩尤の形状へと姿を変えさせてデコイにもなった。

「こんなもの、受け止めてやるッ!」
 一方小枝子は、ディスポーザブル03に搭載されたBXサイキックシールドによりRXS-A乾坤圏を受け止める選択に出た。機体全体を覆う超能力シールドが展開され、哪吒の空飛ぶ拳が激突すると不可視であったエネルギーがチカチカと激しく光りながら可視化される。

『笑止千万。この程度で、吾が剛拳を静止できるとでも思ったか!』
 無機質ながらも激昂した感情が籠もった哪吒の声とともに、RXS-A乾坤圏から推進剤の炎を噴き出させているロケットノズルの角度が変わって拳を軸に急回転し始めた。

『螺旋回転式乾坤圏(ドリル・けんこんけん)!』
 ロケットパンチの軌道を安定させる安定翼も捻れて、さながらドリル状となり、貫通力を増したRXS-A乾坤圏が拮抗していた防壁を突き破らんと加速を強めた。

「ちぃっ!!」
 小枝子は推進力が衰えた所でディスポーザブル03の腕でもあるビーム砲により撃ち落とすつもりでいたが、まさかの隠し玉を前にして苦々しく舌打ちをした。この様子ではあと数秒でBXサイキックシールドが突き破られても可笑しくはない。
 ならば、こちらも攻撃に転じるのみ。不安や恐怖を闘争心で塗り替えてエネルギー充填済みのビーム砲を構えた直後、サイキックシールドの盾は崩壊した。

『痛み分けか。だが……』
 両者の攻撃は小枝子が機先を制したが、ビーム砲の熱に灼かれながらもRXS-A乾坤圏の勢いは衰えず、ディスポーザブル03の腕とともに爆散した。その余波で破壊された腕側にあったミサイルコンテナにも誘爆したが、被弾した際での安全装置が働いて半身の火器は喪いはしたものの全壊は免れたというところである。

「まだだ! まだ、半分残ってる!」
 ディスポーザブル03の被害は甚大であるが、まだ闘える。その意思を示すように、残存するミサイルコンテナのハッチが開かれ、肩部に搭載されたコンテナミサイルも射出しての一斉射撃にて反撃した。

「援護するわ! ここから仙術比べよ」
 電磁パルス、ナパーム、貫通爆弾、クラスター等々の各種ミサイルが飛び交う戦場を縫うように、折鶴のような外観のビット、機鳥型電波妨害装置『舞鶴』が蚩尤より射出された。数機はミサイルの猛攻に晒されて満足に直進できていない残ったRXS-A乾坤圏へ。残りは哪吒へとだ。

『くっ、追い詰められた獣はなんとやらか』
 片腕だけとなったRXS-A乾坤圏のエネルギーが僅かとなったことで戻そうとした哪吒であったが、ミサイルの雨と狐火の残り火が舞鶴から発される妨害電波によってレーダーともなっているふたつの顔が満足に補足しきれない。渾沌氏『鴻鈞道人』による『再孵化』にて新たに付与された、『渾沌の地』から汲み上げられる渾沌を元に自己再生する機能によって満足に稼働できるようになった哪吒が再び飛翔し、『RX金蛟剪(きんこうせん)』を振るいながら雲霞の如く迫りくる驚異を切り払っていく。

『九竜神火罩に集ろうとする蝗め、落ちよ!』
 それでも切り落とせず、オブリビオンプラントへ向かう弾体に対しては、EP金磚(きんせん)による散弾状に拡散する装甲炸裂弾が放たれた。これらは誘導装置を介さぬ兵装故に、ジャミングを行ってくる舞鶴の撃墜や分裂しては再び再合体する花霞の燈火の薄紅色の狐火を尽く霧散させる。そうして主の元へとRXS-A乾坤圏の片割れが帰還し、エネルギーチャージのために再接続すると、感覚を確かめるように哪吒は拳を握りしめた。

「倍返しだ、壊れてしまえ!!」
 既にミサイルを撃ち切ったディスポーザブル03が、腕のビーム砲『ハイペリオンツインランチャー』の残った片割れを哪吒へと向けていた。ミサイルの一斉発射はあくまでビーム砲のフルチャージに要する時間稼ぎに過ぎず、哪吒の元へRXS-A乾坤圏が再接続するこの時を待っていた。
 目には目を、歯に歯を。他人の目を害した者は自らの目をもって償い、歯を害した者は歯をもって償わなければならないと書き表した復讐思想と報復律に従って、小夜子は今、報復する。

 ──あの姿は……。
 その直前、哪吒は思い出す。かの機体は再孵化前に闘った者であったことを。爆発の衝撃で剥がれた増加装甲から覗かせたディスポーザブル03の再孵化前に負った破損部位が、哪吒に記憶を呼び起こさせたのだ。その僅かに生じた隙を逃さまいと、蒼い極光を覗かせる発射口が哪吒のRX-A六臂を狙いすまし、哪吒はディスポーザブル03同様にみっつの片腕は蒼光の渦に呑み込まれて喪失したのであった。。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
機神搭乗

早い復活だな哪吒
だが…何度だって骸の海に帰してやるぞ
おれとヘカテがな!

【属性攻撃】
重力属性を機体に付与
【戦闘知識】
之まで戦った哪吒との差異はないか分析

対SPD
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け・オーラ防御】
高速で飛び回り半ば直感で攻撃を回避
避けきれないのは三呪剣と剣や槍とオーラで致命は避ける

UC発動
【弾幕・貫通攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
超高速で飛び回りながら火炎弾の弾幕と共にドリル突撃!
【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
三呪剣と共に剣での連続斬撃から槍に切り替えて串刺しにして動きを止め

【重量攻撃・砲撃】
ブラックホールキャノン起動!
哪吒よ!虚無の海に還れー!!!



『ぐゥううッ!?』
 哪吒の三面六臂のうち一面三臂がビームの奔流に呑み込まれて喪失してしまったが、本体はなおも健在であった。渾沌氏『鴻鈞道人』の泥で再生しようにも、流石にこの甚大である損害では自己修復が間に合わない。
 せめて、腕の一本だけでも……。だが、躯体修復を許すほど猟兵も甘くはなかった。

「早い復活だな哪。だが……何度だって骸の海に帰してやるぞ、おれとヘカテがな!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が。三界神機『ヘカテイア』の魔術動力炉より生じさせた反重力制御特有の飛翔で哪吒へと追撃を仕掛ける。3つの砲身を持つ小型浮遊自走砲台のRS-F『ガンドライド』、一対のF-RXドリルビット『エンプーサ&モルモー』がヘカテイアの前面を先行し、獲物を追い立てる猟犬のごとく哪吒へと牙を剥いた。

『それは吾も同じこと』
 右側の腕を全て喪ってはいるが、それでも哪吒は果敢にそれらを片割れになった双剣と炎を滾らせる剣で火炎の弾幕とドリルの突撃を切り払っていく。

「なるほどな。ここまでは、復活する前の哪吒と同じか」
 高速機動する端末群による哪吒との戦闘を見据えながら、テラは『再孵化』する以前の記憶と照らし合わせる。ここまでは以前の哪吒と同じであるが、多少の差異があるとすれば地上ではなく仙界。更にはこの『渾沌の地』にて再孵化を果たしただけあって、鴻鈞道人同様の再生機能が備わっていると言ったところであろうか。そうなれば、今は優勢であろうか生半可な攻撃では骸の海へと送り返すこともままならず、イタズラに時間を浪費すれば九竜神火罩の打ち上げによって哪吒の目的は達成されることとなる。

『左様。吾の悲願は、九竜神火罩の打ち上げ。殲禍炎剣の代行者としての役儀よ』
 EP『風火輪(ふうかりん)』の炎を舞い散らかせながら、切り払ったビット群の隙間を突破して、哪吒はヘカテイアに燃え盛る剣を唸らせた。
 だが、眼前に迫った哪吒の攻撃を機体を翻して躱したテラにある違和感が感じ得た。アレは確かに哪吒である。しかし、哪吒であって哪吒でないというべき妙な違和感を感じてしまう。以前は建業の至る所に配備されていた陸戦量産型哪吒の姿がまったく見られないのも、その違和感をさらに強めさせていた。

(時間稼ぎするなら自分の量産型をけしかけりゃいいが、それをやっちゃいない。再孵化でそれが省かれたって線もあっけど、なぁんかしっくりこねぇんだよな)
 仮にこれが陸戦量産型哪吒の変わりであったとすれば、本当の哪吒であるべきモノは何処に居るのか?
 テラはそのように考えあぐねいていたが、その疑問は高く聳え立つ『肉毬』から成長した発射台たる草体、目下として九竜神火罩の建造を行っているオブリビオンプラントにふと目が行く。その瞬間、彼女の疑問はすべて氷解し、ある仮説が浮かんだ。
 この哪吒は躯体に記憶を移した紛い物であると。本当の哪吒は、渾沌の地でぐちゃぐちゃになった結果、あのオブリビオンプラントと同化したのであると。であれば、哪吒へ新たに加えられた再生能力も合点が着く。陸戦量産型哪を代償に骸の海そのものの身体となり、九竜神火罩を打ち上げられなかった悔恨の情が発射台と一体化することで目的を再達成しようとしているのであれば……狙うは唯一つ。刻々と九竜神火罩の発射準備を整えている『肉毬』のみだ。

「ブラックホールキャノン起動! 哪吒よ、九竜神火罩よ! 虚無の海に還れー!!!」
 テラの叫びに呼応し、ヘカテイアが重力素子によって質量あると言うべき残像を残しながら空高く飛翔した。デコイを切り裂きながら哪吒が追撃を仕掛けようとしたが、ヘカテイアが筒状の物を携えているのに気づくと、狙いは九竜神火罩であるかと炎を迸らせながら空を疾走する。
 テラは哪吒の動きを無視して、オブリビオンプラントに照準を絞る。そうはさせまいと哪吒がEP風火輪を大回転させて火炎竜巻を舞い起こさせたが、些か間に合わなかった。ヘカテイアより放たれたマイクロブラックホール砲は炎の防壁を突き抜け、オブリビオンプラントと同化した哪吒の本体の外殻を超重力により圧潰させながら抉ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリーズ・エリゴス
キャバリア、ロートガルに搭乗してサブフライトシステムのザーブトンに騎乗していきますよぉ

くひっ!量産型とは殺(アイ)し合いましたが、オリジナルとは愛し(ヤリ)そびれてたので、蘇ってまで愛(コロ)し合ってくれるなんて感激ですよぉ!

先制のロケットパンチは、ザーブトンを急上昇させて躱そうとしますがザーブトンを盾にして乗り捨てることでロートガルへの被弾を防ぎますよぉ
きひっ!落下しながら生体CPU用薬物を投与して、私の殺意(アイ)の念を強化しますよぉ
そしてその愛(サツイ)の念が、首から提げたT型サイコマテリアルで増幅されて、サイコ・コントロール・システムで機体を満たしオーラの如く溢れ出しますよぉぉぉ!
その不可解な現象のオーラとスラスターで落下が止まり、更にビームソードアックスが異常な程に伸びて地上の哪吒に振り下ろしますよぉぉぉ!
ふ、ふふ……うふふ、ひひっ!まだ、終わりじゃないですよぉ!
胸部メガビーム砲の砲口が溶解する程にオーラで異常強化されたビームを放って哪吒諸共九竜神火罩を吹き飛ばしてしますよぉ!


エル・カザマ
妖精戦士エル・カザマ、シルヴァインいくよ!
というわけで戦死したパートナーの聖戦士ショウジ・カザマから受け継いだサイキックキャバリアのシルヴァインで出撃!
シルヴァインをガンシップのウィングキャリアに騎乗させてるけど、先制攻撃でウィングキャリアが大破!?
慌てて離脱したからシルヴァインはなんとか無事、かな

くぅ、強敵過ぎて出し惜しみは出来ないね!
大技を出そうとサイキック力を高めたら、サイキックコンバーターが暴走するようにサイキック力を増幅し過ぎちゃう!?
さ、サイキック力の高まりがっ……止められない!は、【ハイパー化】しちゃうぅぅぅ!!
ハイパーで超巨大化したシルヴァインが剣を振り回して大暴れしちゃう!?



『ぐっ! 肉毬、九竜神火罩が!?』
 狙いを自らでなくオブリビオンプラントに絞られ、この時哪吒は激しく動揺をした。自らこそオリジナルとの認識であるものの、再孵化によってオブリビオンプラントと同化した自身の一部が損傷を受けたものだろうが、猟兵たちの攻勢はなおも衰えることはない。
 
「くひっ! 量産型とは殺(アイ)し合いましたが、オリジナルとは愛し(ヤリ)そびれてたので、蘇ってまで愛(コロ)し合ってくれるなんて感激ですよぉ!」
「妖精戦士エル・カザマ、シルヴァインいくよ!」
 上空より、サブフライトシステム・ザーブトンに騎乗している重装甲・高機動・大火力を実現した試作重キャバリア『ロートガル』を操るメアリーズ・エリゴス(生体CPU・f30579)が、エル・カザマ(妖精戦士・f30078)が昆虫のような外見をしたガンシップ・ウィングキャリアにサイキックキャバリア『シルヴァイン』を騎乗させながら強襲を仕掛けてきた。
 ここは高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』に制空権が喪われたクロムキャバリアではなく、高高度の飛行と高速飛翔が可能な世界だ。尤も、殲禍炎剣と同等の機能を有する九竜神火罩が打ち上げられてしまえば、封神武侠界も同様に自由の大空を奪われることとなる。
 それを阻止すべく、オリジナルとの戦いに執着心を見せるメアリーズは哪吒を、開花も時間の問題である草体の破壊を狙ったエルが迫り来る中、哪吒は鷹揚と片腕の拳を掲げてみせた。

『肉毬の開花、それに伴う九竜神火罩の打ち上げは目前。やらせはせぬ!』
 エネルギーの再補充が終えたRXS-A乾坤圏にRX金蛟剪を握り締めさせ、噴射炎を迸らせながら二機に向けて撃ち放った。

「来たね。回避運動……あわわ、やられちゃった!?」
 RXS-A乾坤圏は一気に最高速度まで加速し、迎撃を予測していたエルはウィングキャリアとRXS-A乾坤圏の衝突をギリギリで躱したはずであった。しかし、密かに握られていたRX金蛟剪の刃が彼女の予想を覆してしまい、ウィングキャリアの大部分が切り裂かれてバランスを失って墜落し始めた。

『まずはひとつ』
 哪吒はウィングキャリアを大破させたのを確認すると、次にメアリーズが駆るロートガルへと狙いを変えさせる。

「くひっ! くひひっ! これは、不味いかもしれませんねぇ?」
 そんな状況を愉しむように笑い声を堪えきれないメアリーズがザーブトンを急上昇させる。だが、RXS-A乾坤圏の追尾はそれを逃さずにザーブトンの底部を貫通させて穿つと、液化したエネルギーインゴットが爆発を起こしてサブフライトシステムが爆破四散する。

「きひっ! 間一髪でした。ここまで愛(コロ)し合ってくれるなら、私の殺意(アイ)の念を強化しますよぉ」
 メアリーズは無事であった。ザーブトンをRXS-A乾坤圏から逃れさせたと見せかけ、実はそれを隠れ蓑として既に脱出していた。ロートガルが自由落下する中の疑似無重力感覚が彼女を支配させる中、パイロットスーツに仕込まれた『生体CPU』の能力向上と精神高揚を齎す薬剤が注入される。ふわっと浮き上がる感覚の中で愛が燃えるような熱が彼女の全身を駆け巡り、脳が狂気に満ちあふれていく感覚に彼女は恍惚な笑みを浮かべさせていた。

「くぅ、強敵過ぎて出し惜しみは出来ないね!」
 エルもメアリーズ同様にウィングキャリアを乗り捨て、シルヴァインの翅を展開して空中戦を展開していた。メアリーズが薬をキメている最中とは知らず、依然として反応がないロートガルを護るようにRX金蛟剪を握り締めているRXS-A乾坤圏の猛攻を凌ぐ。
 だが、強大な推進力とともに繰り出される一撃は非常に重く、昆虫染みた騎士型キャバリアであるシルヴァインの質量では軌道を反らすのが精一杯と言ったところであった。

「呼吸を整えて、意識を集中させて、サイキック力を高めないと……っ!」
 そんな攻防を可能とさせていたのが、エルの身体から生じさせるサイキック力である。搭乗者のサイキック力を上限なしにエネルギーに変換する動力機関、『EPサイキックコンバーター』によってシルヴァインは稼働し、また高まるサイキック力に呼応してRXサイキックソードが強化される。幸いなことに、RXS-A乾坤圏はひとつのみとなっており、大きく弧を描いて旋回するため、呼吸を整える時間がある。焦る中、エルは生死の境とも言える剣戟に疲弊しつつあったが、ある危険信号が突如としてコクピット内に鳴り響いた。

「こ、この音は!? サイキックコンバーターが暴走しちゃって、サイキック力を増幅し過ぎちゃてるぅ!?」
 EPサイキックコンバーターはサイキック力を上限なしに高める一方、出力を留めて暴走を未然に防ぐリミッターという機能というものはない。それを抑える為に精神を一定に保たなければならないが、この苛烈な攻防ともなればそれに気を使うほどの余裕などないのは仕方ないことでもあった。

「さ、サイキック力の高まりがっ……止められない! は、ハイパー化しちゃうぅぅぅ!!」
 サイキック力が暴走したシルヴァインが白く光り輝く。その光は徐々に拡大して、何が起きたと哪吒は警戒する中、愛(サツイ)の念が高まったメアリーズの首に提げられているT型サイコマテリアルで増幅される。ロートガルのモノアイが力強く光ると、サイコ・コントロール・システムは発動して機体からオーラの如く妖しい光が溢れ出す。

「きひっ! ふひっ、ひひっ! あなたは私だけを見てください。さぁ、お互いに殺(アイ)し合い、愛(コロ)し合いましょうよぉ!!」
 その不可解な現象でロートガルの降下は止まり、スラスターで姿勢を制御しながら機体は宙に浮かぶよう静止した。そして、手に携えていたビームソードアックスが刃を形成させ、異常な程に伸びたそれを地上の哪吒を切り潰すよう振り落とししたのだ。

『現象計測……理解不明。となれば、UCによるものか』
 一体何が起きたか、事態が把握しきれぬなか、メアリーズより放たれた重い愛の一撃を炎を滾らせながら躱す。どんな現象かは知らぬが、この一撃を草体を巻き込む訳にも行かないと哪吒は肉毬との距離を取ろうとする。

「ふ、ふふ……うふふ、ひひっ! まだ、終わりじゃないですよぉ!」
「シ、シルヴァインがハイパー化して、超巨大化しちゃったよぉ!?」
 シルヴァインから発せられていた光が止むと、そこには超巨大化したシルヴァインの姿があった。
 ハイパー化……それは、生命の持つ生体エネルギーでもあるサイキック力の暴走によって引き起こされる、キャバリアの巨大化現象を指す。サイキック力の増大と連動するこの現象によってキャバリアは戦闘力に応じたサイズに比例して大幅に強化される一方、サイキック力による巨大化は当然として機体やパイロットの負担になり、最悪の場合は機体の自壊やパイロットの死に繋がる両刃の剣でもあるのだ。

「でも、これなら……ッ!」
 エルは確信する。このサイズならば、オブリビオンプラントを破壊しきれると。反応が敏感となって思うよう制御しきれないハイパー・シルヴァインが急降下し、サイキック力を滾らせながらRXサイキックソードを振りかざす。

『おのれ、翅虫めが!!』
 哪吒は肉毬をやらせんと、RX金蛟剪を前に突き出すよう持ち直したRXS-A乾坤圏を有人機ならではの唯一無二の弱点、コクピットブロックに狙いを定めて穿とうとした。

「きひひっ! 駄目じゃないですかぁ? 言ったでしょぉ……私だけ、見てくださいってねぇ?」
 注意がエルに向かったのに嫉妬を覚えたメアリーズが、ロートガルの胸部メガビーム砲の砲口が溶解する程に異常強化されたビームを放った。機体全体の熱量が急上昇し、オーバーヒートを告げる警告音がコクピットに鳴り響いたが、メアリーズはお構いなしにと更に出力を上昇させる。奇しくも砲口が融解したことで射線が歪み、拡散したビームがオブリビオンプラントにも浴びせられた。
 外殻はビームの熱では融かしきれなかったが、そこへハイパー・シルヴァインのRXサイキックソードが振り落とされ、草体の中で発射準備が整った九竜神火罩ごと一気に根まで切り裂き落とす。

『九竜神火罩が……ぐわぁ!?』
 発射台ともなるオブリビオンプラント、並びに九竜神火罩の破壊と同時に、メアリーズが放った最大出力の胸部メガビーム砲が哪吒を直撃し、こちらも自らが迸らせる炎よりも高い熱量によって虚に消え去った。
 殲禍炎剣の代行者としての使命を真っ当すべく、再孵化によって自らオブリオンプラントと同化し九竜神火罩の打ち上げを次こそは成功させようとした哪吒。その生き写しということを知りもせず、陸戦量産型哪吒を代償にコピーられた哪吒。
 渾沌の地に復活を遂げたふたつの哪吒はともに消滅をして骸の海へと還る中、その戦いを見届けて敗北したと知った渾沌氏『鴻鈞道人』の手によって建業の都はどろりと溶け落ちて渾沌のみが広がる空間へと戻ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月02日


挿絵イラスト