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銀河帝国攻略戦⑱~再生帝国騎士を倒せ!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●再現
 黒い流体が何かに反応して隆起する。
 それはやがて、騎士の形を取り、剣を持ち、そして自らの生まれた黒い羊水から足を踏み出した。
 来るべき猟兵を撃破するため。

●グリモアベース
「今度の敵は『リキッドコンピューター』が作る帝国騎士になるぜ。ある意味再生怪人、こいつはライトニングだ!」
 意気揚々と語るのは雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)。少年が語るにドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が判明したがドクター・オロチが率いる艦隊が立ちふさがっているとのこと。
「兄ちゃん達はこの中のアマルテア情報艦隊ってやつの戦艦を落として欲しいんだ。この戦艦、他の船と違って火力は無いけど情報収集に優れていて帝国軍の宇宙工作員の行う情報戦にも支援を行ってるんだ。難しいことは分からないけれど『情報は武器』だろ?」
 難しいことを使いすぎたのか頭を掻きむしって少年は話を続ける。
「みんなは俺がもうりょ……グリモアウォッチでゲートを開いて艦内に直接転送する、勿論帰りもゲートを開くから、安心してえーと……『かいぞくさっぽう』に励んでよ!」
 通が時計に手を触れればゲートが開く。
「でも、気を付けて。中にはさっき言った帝国騎士を再現した敵が居る! コンピューターだから色々と攻め方はあると思うけど、油断はしないで! そして帰ってきたらみんなの話、聞かせてほしいな」
 少年が笑えば、ゲートは完全に開き、敵艦の艦内と思しき情景が見えた。
 さあ! 今が攻め時だ!


みなさわ
 こんにちはみなさわです。
 今回はアマルテア情報艦隊の船に搭載されている『リキッドコンピューター』が作り出す帝国騎士とのバトルです。
 通常の帝国騎士より強化されていますのでお気をつけください。
 それでは皆様の宇宙での活躍をご期待しております。

●マスターよりご連絡
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 海賊殺法――正式には移乗攻撃と呼ばれる古くからある海戦での戦術である。
 ワープドライブ、スペースシップによる艦隊戦に主軸が置かれる、スペースシップワールドでも、奇襲や拿捕目的で行われている。
 しかし猟兵達にはそんな常識は通用しない。船内への直接転送、特殊宇宙服着用の上でのゲート転送からの一撃離脱戦法により、次々と銀河帝国の船は沈められていた。
 そして今、このアマルティア情報艦隊旗下、戦艦ビブリオテーカにも猟兵による移乗戦闘が敢行された!
リゥ・ズゥ
※アドリブ歓迎

リゥ・ズゥは一度、騎士に、勝った。
お前があの騎士より、強くても、リゥ・ズゥは、あの時より、ずっと強い。
そして、お前を喰らって、リゥ・ズゥは更に強く、なる……!

(「見切り」「野生の勘」「ダッシュ」で斬撃を避けながら接近戦を仕掛け、
躱せずとも流動体の身体と上記技能で致命傷にならぬ様最小限のダメージに押さえます。
念動力で繋がれた場合は逆に「怪力」で振り回すことも出来るでしょう。
ダークフォースは電撃耐性で耐えながら高速移動を「見切り」「」。
「捨て身の一撃」「鎧無視攻撃」「カウンター」でのグラウンドクラッシャーで攻め立て、たとえ外れても帝国領土となった地形を破壊し強化を無力化を図ります。)


ミハエラ・ジェシンスカ
海賊殺法、か
ああ、いいだろう。邪道の剣には相応しいやり方だ

[念動力]で周囲の障害物を盾にしたり、[地形の利用]を行いながら接敵
フォースセイバーの二刀流で[二回攻撃]を仕掛ける

その旗で士気が上がるのは、何もそちらばかりではないぞ、帝国騎士
それは我が敵である事を示す旗標。どれほど記憶領域が損傷していようとも、それだけは決して忘れん
そんな思いと共に、敵へ[捨て身の一撃]を叩き込む

……ああ、捨て身の一撃だ
我が身を省みぬが故に、突くべき隙は大きいだろう
ヤツが精確な判断をするコンピューターならば、その好機を逃す事はあるまい

それこそが貴様の隙で私の好機だ
隠し腕を展開、[だまし討ち]からの[カウンター]を狙う



●2018121700003&unknown
 まず先駆けて飛び込んだのは、二名の異形。
 一人はリゥ・ズゥ(カイブツ・f00303)。悪魔的な容姿を持ったブラックタールが艦内に跳びこめば、艦内兵士は武器を構えずに逃走の道を選ぶ。
 元々情報艦のクルーである上に、彼等にはリキッドコンピューターという武器がある。するべきは戦う事でなく時間を稼ぐことだった。
 クルーの退避を確認すれば、すぐに艦内区画の隔壁が閉ざされ、酸素の供給が立たれる。
 そこへ銀河帝国攻略戦に呼応して再起動した旧帝国製ウォーマシン、ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)の念動力が伸びれば、隔壁は開かれ、道を作り、そして破壊していく。
「海賊殺法、か」
 三つ目の隔壁を破壊しながらウォーマシンは呟いた。
「ああ、いいだろう。邪道の剣には相応しいやり方だ」
 自らを邪道と称するはその生まれ故か、そして機械にないはずの勘が通路の先に居る存在を感じ取り、視線をそちらに送る。
 鎧を模した装甲服に、理力剣を一振り。
 一見すれば帝国騎士と呼ばれる姿であるが、違うと言えば色――全身がモノトーンのブラックで作られたそれは、自身がリキッドコンピューターから作られた流体のデータの結晶である事を証明していた。
『侵入者確認、照合。一体、ライブラリ2018121700003にて一致。一体、ライブラリ不明も帝国軍制試験機計画にて当該ファイルあり』
 液体を振動させて声を作り上げた帝国騎士の言葉に二人の視線が騎士へ向く。
「騎士、リゥ・ズゥ、知ってるか?」
『当該ライブラリにて帝国騎士サルヴァスと交戦記録あり』
「リゥ・ズゥは、騎士に、勝った」
 ブラックタールが腰を落とし、足に発条を溜める。
「お前があの騎士より、強くても、リゥ・ズゥは、あの時より、ずっと強い」
『実証データ不足』
「そして、お前を喰らって、リゥ・ズゥは更に強く、なる……!」
『故に個体名リゥ・ズゥはシステム維持のため排除する』
 黒いカイブツと黒い模造騎士がお互いに走り出す。
 先手を取ったのは帝国騎士、複製された武装の差を活かしフォースセイバーに模した流体剣で刺突を仕掛ければ、リゥ・ズゥは自らの肉体を流体化させ腕に絡みつくように剣を回避、肩周りで固体化すればそのまま騎士の顔面に膝を見舞う。
 仰け反るモノトーンの身体から飛んだ黒い飛沫が艦内隔壁と汚し、揮発してシミとなる。
 損傷を受けた騎士はカイブツを振り払うと、そのまま突進。次に挑むは自分より遥かに大きいウォーマシン。
 ミハエラが破壊した隔壁を念動力でレールガンよろしく発射すれば、帝国騎士は身を屈めて回避、足裏の摩擦係数を調整し身を低くした状態で滑走。目の前にウォーマシンを確認すれば摩擦係数を上げて、踏み込みを効かせての切り上げ。
 それはミハエラは右手に持ったフォールンセイバーで振り払えば踏み込んでの左手の赤黒い理力剣による袈裟斬り――フォースセイバー二刀流!
 身を翻す帝国騎士、体勢を整えて袈裟斬りを受け止めれば、腕を回しぶつかり合った刀身を受け流すと唐竹へと剣を運ぶ。
 咄嗟、ミハエラを両手の剣をクロスして受け止めれば、その背後からリゥ・ズゥが突進、重たい拳を握る。
『戦闘演算上方修正、流体揮発完全揮発まで94607995秒』
 帝国騎士の目が電荷を帯びた流体によって発光すれば、その身は赤黒く光り、そして跳躍する。
 190センチに迫るブラックタールの巨体と天井の隙間をすり抜けるように模造騎士が後転すれば、カイブツたる拳はウォーマシンへ。
 ミハエラが下がり、リゥ・ズゥが踏みとどまれば、モノトーンの騎士は流体剣を握り、今以上の剣速を以て二人に挑みかかった。

 戦闘は個においては帝国騎士が勝り、全においては猟兵が勝っていた。
 ダークフォースバリアを模倣した帝国騎士の動きを猟兵達は凌駕することはできなかったが、代わりにミハエラは念動力で隔壁の破片を騎士の周りに浮遊させ、自らはその巨体で圧力をかける。
 戦域が狭くなり、高速移動の利点を殺せば、リゥ・ズゥはその変幻自在な動きで破片の隙間から縫うように貫手を槍の様に伸ばす。
 騎士が首をひねってその軌道を回避したところに迫るのはミハエラのフォースセイバー。フルスイングの理力剣を避けようとバックステップしたところで破片が背中に当たり、騎士の動きが止まれば、その脇腹を切り裂き、リキッドコンピューターの残滓を散らす。
『戦域拡張プログラム、起動』
 不利を悟った帝国騎士が赤黒い電流を放射。突然の雷撃に二人の動きが止まれば、距離を取り帝国旗を念動形成。
 十と七の旗が飛槍となって、二人を襲う。
「リゥ・ズゥ、電撃、強い」
 先に走り出すのは黒きブラックタール、だが彼を襲う旗はウォーマシンより多い。回避に時間を取られ走るスピードが鈍る。
「その旗で士気が上がるのは、何もそちらばかりではないぞ、帝国騎士!」
 その横をミハエラが走りだした、その身には既に七本の旗が刺さっている。
「それは我が敵である事を示す旗標。どれほど記憶領域(メモリー)が損傷していようとも」
 損傷したメモリーから何かをサルページする、欠けた記憶領域は戦争人形の心をリブートし。
「――それだけは決して忘れん!!」
 闘志をアップデートした。
 迫るミハエラが両手をクロスし我が身を捨て去らんと踏み込めば、理力の刀身が疾り、十文字に切り裂かんと刃が振るわれる。
『データ検索、特攻攻撃率70%、プランB実行』
 騎士が放つのは再度の電撃、赤黒い奔流がウォーマシンの剣速をわずかに鈍らせ、騎士が身を捻って刃を振るう。
「お前が精確な判断をするコンピューターならば、この好機を逃す事はあるまい」
 ウォーマシンが笑ったと思ったのはセンサーのバグか? 騎士の演算に別の数式が入った直後。
「それこそが貴様の隙で私の好機だ」
 ミハエラの身体から隠し腕が展開、握られたフォースセイバーが騎士の左腕を切断した。
 そして――。
「リゥ・ズゥ、捉えた」
 カイブツの腕が伸び、騎士の顔を掴む。足を払って床に叩きつければ、駆けだして帝国騎士の身体でスペースチタニウムの鋼材で削る!
 火花が散り、流体の残滓が舞い、旗が吹き飛ぶ。
『戦力、再分析』
 リゥ・ズゥの腕から逃れた騎士が状況を再計算する。
『当機、左腕破損。及び猟兵による橋頭保破壊に失敗、援軍の可能性有』
 不利を認識しても騎士は剣を捨てない。システム保全の為に戦わないと行けないのだから。
 機械故の不幸がそこにはあった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

峰谷・恵
「重役出勤になっちゃったか。その分働かないとね」

戦闘エリアに乗り込みざま、血統覚醒でヴァンパイアの力を乗せたアームドフォート、MCフォート、熱線銃で残っている帝国旗を破壊する。
MCフォートの弾幕(鎧砕き、誘導弾)で敵に防御なり回避なり対応を迫り、対応して動きが限定された瞬間に本命のアームドフォート砲撃(鎧無視攻撃、鎧砕き、誘導弾、2回攻撃)を叩き込む。
敵の攻撃は極力回避。敵が近接攻撃を仕掛けてきたらダークミストシールド(盾受け)で受け流して遅すぎた収穫期で突き刺し(怪力、串刺し、傷口を抉る)、ゼロ距離からのMCフォートとアームドフォートの射撃(一斉発射、ゼロ距離射撃、2回攻撃)を叩き込む


アリルティリア・アリルアノン
ちょっと、再生怪人が強いなんてルール違反ですよ!
とはいえすーぱーインテリジェントなバーチャル魔法少女のアリルが、変なコンピューターに後れを取るわけにはいきません!

帝国騎士のダークフォースバリアは強力であるが故に命を削る攻撃!
それを使うのがコンピューターの生み出す分身となれば、
本体にも少なくない負荷がかかるはず!
ならば18体のバトルキャラクターズを呼んで本体を狙うそぶりを見せる事で攻撃を誘い、
出来る限り時間を稼いで消耗させる作戦でいきます!
なお数字1の強さでは騎士を抑えられない、もしくは本体攻撃の好機と判断した場合には合体させ、ほぼ同じ強さの3体にして戦わせます


ニコル・ピアース
◎アドリブ等歓迎。

ええと、とりあえず、殴り倒せばいいんですね。
うん、簡単です。
相手が一人だけなら一人殴り倒すだけで終了ですからね。

細かいことは考えずに正面からがんがん殴り付ければいいだけ。
攻撃が効いてきたらグラウンドクラッシャーで殴り付けましょう。

ん、なんか鎖で繋がれましたね。
これは都合がいいですねえ。
これで見失うことなく攻撃できますから。



●2019012702378&2018122400350&2019020703561
 攻勢が始まった。
 峰谷・恵(神葬騎・f03180)が血統を覚醒し、自らの血を人外へと近づければ飛躍した戦闘能力を駆使して熱線銃、マシンキャノン、固定砲台を一度にコントロール、全ての照準をロックすれば、全砲門を開放する。
「重役出勤になっちゃったか。その分働かないとね」
 個人が持ちうる最大限とも言える圧倒的な制圧射撃が領域としての力を失った旗を駆逐し、帝国騎士の動きを止める。
 対する騎士も己の流体剣を振るい、砲火の雨を振るい落とせば。
『当該砲撃、ライブラリ2019012702378他、複数で確認』
 データを検索し、片腕ながらも洗練された動きで無駄なく熱線を打ち払い、弾丸を払い、砲弾を寸断する。
 しかし制圧射撃とは敵を倒すだけの射撃ではない、敵を動かなくさせるという目的も持っている。
「ちょっと、再生怪人が強いなんてルール違反ですよ!」
 現に間隙をついてアリルティリア・アリルアノン(バーチャル魔法少女アリルちゃん・f00639)が薄緑色の光を放つ魔法のステッキ、エレクトロ・ルミネイトを手に持てば。
「とはいえすーぱーインテリジェントなバーチャル魔法少女のアリルが、変なコンピューターに後れを取るわけにはいきません!」
 現れ……いや受肉するのは十八体のゲームキャラクター、ちなみに今報告書においてはバンクによる映像処理が無かったことをここに記録する。
『ライブラリ2018122400350他にて確認』
 十八体のキャラクターが一斉に飛び掛かれば、ダークフォースバリアであげた剣速を更に速め、その身のこなしは影を残す様に速い。
『揮発速度上昇。流体揮発完全揮発まで63604975秒』
 そして、それこそがアリルちゃんの狙い。十八体から繰り出される牽制攻撃が模造の騎士の意識を逸らせ、流体物質を揮発させ、消耗を強いる。
 そこへ――。
「ええと、とりあえず、殴り倒せばいいんですね」
 ニコル・ピアース(蛮鬼・f06009)が斧を振るって攻めていく。
 徹底的な制圧から牽制、そして一撃。
 かろうじて帝国騎士は流体剣で斧を受け止めるが、受け流すことが出来ず刃を肩に食い込ませる。
 不利を悟って、下がる騎士。肩の傷はリキッドコンピューターが他の部分から流用し補填していく。
 勿論、それを黙ってみているニコルではない、追いすがって単純かつ重たい一撃で仕留めようとしたその時。
 モノトーンの騎士から飛んだ斬撃が彼女に直撃し、そして二人の足を鎖で繋いだ。

 鎖でつながれた事を最初、都合が良いとニコルは考えた。だが、すぐにそれを後悔することになる。
 高速移動にて帝国騎士がステップを踏み、念動力で作られた鎖を引っ張れば、渡来の羅刹は足をコントロールされ、踏み込むことはおろか、自分の間合いを作り出すこともできない。
『ライブラリ2019020703561にて戦闘データを確認。対策実行』
 騎士を自分の足を後ろに引けば、ニコルの足が前に引っ張られて、重心が前に崩れる。
 そこを狙って騎士が剣を振り下ろせば羅刹の女は斧を振り上げてかろうじて斬撃を防ぐ。
 ニコルの戦法は間違っていなかった、万全ともいえる支援体制の中、攻撃に集中するのが良手であるはずだった。
 けれど、騎士が鎖で戦場を限定した。
 間合いが近ければ支援射撃も難しく、バーチャルキャラクターによる牽制も逆に邪魔となる。
 せめて、何かにニコルが何かに備えることを考えていれば主導権を保つことが出来たかもしれない。だが攻めて倒すだけの想定しかしてない彼女には今の情況からの脱出は難しい――彼女一人ならば。
 恵のアームドフォートに弾丸が装填される、弾種は誘導式成形炸薬弾。照準を定めれば、後はトリガーを引くだけ。
 駐退機が後退し、マズルブレーキが炎を吐けば、螺旋を描いて貫くのは二発の砲弾。
 誘導された砲弾が羅刹の女を避けて正確に騎士に叩きこまれればモンロー/ノイマン効果によるメタルジェットの奔流がモノトーンの背部から噴出し、鎖を千切ってある部屋のドアへと叩きつける。
「今です! バーチャル魔法トリプルスクリューマックスー!!」
 騎士と自分達の距離が離れたのを好機と見たアリルちゃんが十八体居たキャラクターを合体させる。それぞれに額に光るのは『6』『6』『6』。人はそれを悪魔の数字と恐れるがキマイラフューチャーの魔法少女にはそんなことは関係ない。三体のキャラクターの内、一人目が飛び蹴りを放てば二人目は両腕を伸ばして飛び、その肩を押して推進力をプラス。三人目が飛び、二人目の足を掴んで空中で捻れば回転がプラスされ破壊力は乗算される。6×6×6=216パワーの飛び蹴りが騎士を吹き飛ばしドアを破壊して、室内へ。
 そこは黒い液体が満ちたプールのような部屋。そして模造騎士が生まれた場所――リキッドコンピュータールーム。
『現在、戦場リキッドコンピュータールームに移動。データ損傷の可能性あり』
 身を起こした騎士が剣を振るい前に出る。此処は危険だ、なんとしても彼女達を追い出さないと行けない。そう判断した帝国騎士の前に立ちふさがるのが恵、騎士の剣を手袋から発生させた黒い霧で防げば自らの剣型兵装――遅すぎた収穫期を腹に突き刺し、そこから全砲門零距離一斉射撃。
 大量の砲火を一身に受けた模造騎士の足が大地から離れ、プールへと落ちていく。
「逃がしませんよ」
 そこへ――ニコルが飛び、斧を持つ手に力を込めた。
 グラウンドクラッシャー!!
 単純で重い斧の一撃をモノトーンの騎士に食い込みそのままリキッドコンピューターに満ちたプールへと叩き付ければ。床は割れ、モノトーンの流体データは飛沫となって飛び散った。

『リキッドコンピューター破損、当艦の制御不能。各クルーはデータをコピーの上、脱出してください』
 クルーの精神を落ち着かせることを考慮された女性オペレーターを模した艦内放送が飛沫の散ったコンピュータールームにも流れる。
 既に艦内のあちこちで火花が散っていることを確認した三人が急いでグリモア猟兵の繋いだゲートへと走る。猟兵達がグリモアゲートに飛び込みゲートが閉じた瞬間、爆発音が響き、閉じた光の壁が震えた。
 グリモアゲートの中で無事を確認した少女達が安堵の息を漏らす。
 猟兵が戦艦の撃破を確認したのはそれから間もなくだった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト