6
殲神封神大戦⑰〜倒せ、クソヒキニートグリモア猟兵

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑰
🔒
#渾沌氏『鴻鈞道人』


0




●ヒキニート、戦場に立つ
 そして、雨月・雨莉(は何もしない・f03581)は戦場に立っていた。あの予知以外なんもしないヒキニートグリモア猟兵がついに戦う決意を決めた! というわけじゃなさそうだった。目は虚ろで光なく、その表情からはなんの感情も読み取れない。ただそこに立っているだけなのに、纏う空気は異質だった。そして、彼女(?)は口を開いた。
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達よ)
(相争い、私の左目に炎の破滅カタストロフを見せてくれ)
 明らかに本人じゃなかった。本人だったら絶対こんなこと言わない。普段だったらもっと、推しカプがどうとかショタの推しがどうとか、どうしようもないことばっかり言ってるのに。……うん。普段の彼女を思い出した猟兵達は遠い目になった。本当にどうしようもないなアイツ。ヒキニートだし。などと言ってる場合じゃなかった。無表情のままに、すっと掲げた掌から異形の先制攻撃が放たれる。それを辛くも避けながら、猟兵達は転送前に聞いた話を思い出していた――。


「たすけてください」
 グリモアベースでコタツにくるまってぷるぷるしながら、雨莉が訴えてきた。
「あの、絶賛開催中の殲神封神大戦で、封神仙女『妲己』を倒し、渾沌氏『鴻鈞道人』との戦いが開始されたんすけど……ええと、その鴻鈞道人、自らを骸の海って称してて、えっ急にラスボス出てきた!!? って感じなんすけどいや重要なのはそこじゃなくて」
 雨莉がぶんぶん頭を振って、涙をいっぱいに貯めた瞳で訴えかける。
「そいつ、転送を担当した『グリモア猟兵』……この場合は俺っすね……を自らの元に呼び寄せて……融合、するらしくて」
 息を呑む猟兵達。涙目のまま、彼女は続ける。
「いまだに冒険一度も行ったことないんで……俺は超よわよわなんすけど……融合されたら……俺が、鴻鈞道人の膨大な力によって『渾沌の諸相』を身につけることになりますね」
 するとどうなるか。普通だったら、一度でも冒険に行ったことのある猟兵ならぶっちぎりで勝てるレベルの雨莉が超強キャラになる。それで味方してくれるなら頼もしい事この上ないが、自身を骸の海と称する鴻鈞道人のこと、んなわけはない。そのまま猟兵達に襲い掛かってくるだろう。必ず、先制攻撃で。
「……そうなると戦いは避けられないでしょうし……せめてお手柔らかにお願いしますと言いたいところなんすけど……鴻鈞道人は強敵です。手加減してる余裕は、ないでしょうね」
 そして、全力で戦った後。融合された彼女が無事でいられる保証は、ない。雨莉は震えたまま俯いた。
「……あの、こういう時って融合された人と強いつながりのある人の説得とか思い出のアイテムとかで弱体化するっていうのが定番っすけど……残念ながら、鴻鈞道人が強すぎて、今回はそれも期待できないみたい……っす……」
 ということは、例え彼女の推しの女装ショタメイド姿の写真とか見せたところで効果はないということだ。……普段の彼女がアレなだけに例えもアレだがともかく。雨莉は呟いた。
「……ただただ、融合した鴻鈞道人が力尽きるまで戦うしか……尤も、骸の海って自称が本当だとしたら、そんな途方もないもの、これで完全に倒せるわけもないんすけど」
 しかし、ひとまず戦闘で殺す事は可能だし、戦力を0にすれば撤退する。今はそうするしかない。……殺すしか。雨莉は色々と諦めた顔で目を閉じた。
「せめて。……せめて屍は拾ってください」


ライ麦
 ライ麦です。時限見て急にラスボス出てきた!!? ってなりました。色々大変ですが頑張りましょう。
 以下OP読まなくても分かるまとめです。

●やること
 鴻鈞道人と融合した雨月・雨莉(は何もしない・f03581)と戦う。
 雨莉自身はなんもしないクソヒキニートなので、今だレベル10の超弱猟兵ですが、鴻鈞道人は強敵です。従って融合された雨莉も超強キャラになります。手加減したら勝てません。そして、もし雨莉と何らかのつながりのある猟兵の方がいらっしゃったとしても、それは一切有利には働きません。(彼女の推しに関するアイテムなどもおそらく無効です)
 ただし、グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人は必ず先制攻撃してくるので、それに対処するプレイングにはプレイングボーナスがつきます。
 戦闘後、雨莉が無事でいられるかは分かりません。よろしければせめて、生きていてくれる事を祈ってください。

 それでは、皆さんのプレイングを心よりお待ちしております。
52




第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
無論、この状況に対して思う所はあるのだが……道を切り開く為には倒すしかないと言うのであれば、倒すまでだ

敵より多く血を流せば戦闘力が強まる。此方から攻撃しなければ……等というのは通用しないだろうな。自傷による出血をしていると見るべきか
だがそれが出来るのは此方も同じ事。自傷して出血した状態で、神刀を構えて相対
単純に耐久勝負は出来ないが、まずは初撃を凌がないと話にならないからな

初撃を凌いだなら壱の秘剣【銀流閃】を発動
自身の出血は治さないが、出血で失われた体力は回復。そして、雨月の傷を治す事で出血を抑えつつ、鴻鈞道人には斬撃波による攻撃
浄化の力で物理的な怪我を与えずに、出血させないようにして戦う



 鴻鈞道人と融合した雨莉を前に、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は目を閉じて思う。
「(無論、この状況に対して思う所はあるのだが……道を切り開く為には倒すしかないと言うのであれば、倒すまでだ)」
 そして目を開き、眼前の敵を確りと見据える。虚ろな瞳のままの彼女の背から、肉を破って白き天使の翼が顕現した。続けてその両腕からは白きおぞましき触手が、掌からは白き殺戮する刃が、血を噴き出しながら出現する。白き翼や刃を伝って、赤き血がボタボタと地に落ちた。だが、その流血に対して何も対処する様子はない。それを冷静に観察し、鏡介は分析する。
(「流血をそのままにしておくのは、鴻鈞道人にとって、グリモア猟兵がただの器に過ぎないせいもあるだろうが……それ以外にも、何か理由があるのかもしれない。例えば……敵より多く血を流せば戦闘力が強まる、とか」)
 ならば、此方から攻撃しなければ……等というのは通用しないだろう。現に、彼女は【肉を破り現れる渾沌の諸相】によってかなり流血している。或いは、それも鴻鈞道人の作戦のうちなのかもしれない。
(「だが、それが出来るのは此方も同じ事だ」)
 鏡介はためらいなく、神刀【無仭】で自身の体に傷をつけた。彼の体からも血がとめどなく流れ落ちる。だが、これで相手と条件は同じ。少なくとも相手の戦闘力が上がった状態で攻撃を受けることは回避できる。鏡介は息を吸い、神刀を構えて相対した。
(「単純に耐久勝負は出来ないが、まずは初撃を凌がないと話にならないからな」)
 雨莉もまた、白き殺戮する刃を構えた。高まる緊張。両者の間の空気すら張り詰めたように感じる、その一瞬。目にも止まらぬ速さで、雨莉の刃が閃いた。その一撃を辛くも見切り、神刀で受け止める。受け止めた攻撃が、ひどく重い。たまらず息を吐き出す。恐らく鏡介の工夫により、相手の戦闘力の上昇は避けられているだろう。にも関わらずこの威力。強敵なのだと、改めて実感する。しかし、これで初撃は凌いだ。
「今度は此方の番だ」
 鏡介は神刀を構え直し、詠唱する。
「神刀解放。邪を絶ち、善を守護せん――壱の秘剣【銀流閃】」
 その言葉で神刀の封印は解かれ、神気が解放される。そこから放たれる、月白色の神気の加護。それは対象の全状態異常を遮断し、治癒する。尤も、鏡介はあえて自身の出血は治さない。相手を有利な状態にしないために。代わりに出血で失われた体力は回復させ、そして――肉を破り現れた渾沌の諸相によって傷ついた雨莉を癒す。白き翼の付け根から、おぞましき触手が生えた両腕から、掌に宿した刃から。絶えず流れ続けていた鮮血が、止まった。そうして、自身と彼女を癒すと同時に、融合している鴻鈞道人には、邪悪を絶ち切る白銀色の神気の斬撃波を浴びせ続ける。浄化の力で、肉体には傷をつけない。これで敵側の出血は抑えられるはず。あとは、このまま戦うだけ。この道の先に、まだ出来ることがある筈だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

唯嗣・たから
■めっちゃ怒った
たから怒った。覚悟しろ。お姉さんに取り憑いたとか、たからの逆鱗だ。鬼来迎の名の下に骸の海に強制送還する。

■真の姿
生前の姿(not骨)髪と目以外は真っ白な半透明な幽霊、クロも黒猫から白猫に。


惜別は今を生きる人によって行われること。骸の海だと言うお前が、俺はお前たちが踏み躙ってきた過去だー、て主張することを構ってちゃんって言う。

渾沌より骸を呼び出すのがお前の専売特許というのは勘違い。精度も強さも劣るけど呼び出すくらいならたからもできる。

おいで過去に喪した命たち。

【降霊】で幽霊いっぱい呼ぶ。意思を持つけどたからは死体、つまり物。おまけに今は幽霊。幽霊群の中にこの身体を【(物を)隠す】

先制攻撃はこれで眩ませる。そのまま【フェイント】でクロを囮に。一瞬でもクロに釣られたら、たからが死角からUCで攻撃。

お姉さんを返せ!

お姉さん、たからの魂、半分はまだ向こう側だから、間違って向こういっても、たからが無理矢理にでも連れ戻す。碎輝お兄ちゃんのこと、いっぱい話そ。



「たから怒った。めっちゃ怒った」
 唯嗣・たから(忌来迎・f35900)は激怒した。彼女にとって雨莉は、ぼっちクリパを一緒に楽しんだ仲のお姉さんだ。そんな相手に取り憑いたとか。
「たからの逆鱗だ。覚悟しろ。鬼来迎の名の下に骸の海に強制送還する」
 たからは雨莉と融合している鴻鈞道人を睨み付け、オーバーロードで真の姿を解放する。すると、その姿が骸骨から生前の姿……髪と目以外は真っ白な、半透明の少女の幽霊へと変わった。相棒のクロも黒猫から白猫のぬいぐるみに変わる。幽霊姿でふわり着地したたからは、雨莉の姿をした鴻鈞道人に指を突き付けた。
「惜別は今を生きる人によって行われること。骸の海だと言うお前が、俺はお前たちが踏み躙ってきた過去だー、て主張することを構ってちゃんって言う!」
 6歳の少女に構ってちゃん呼ばわりされる骸の海さん(自称)。その言葉に何を思ったのだろうか。鴻鈞道人もとい融合されている雨莉はただ、一言呟いただけだった。
(絶えず時は運び、全ては土へと還る)
(私も、お前も)
 すっと雨莉の右掌が翳される。翳された右手が、白き靄に覆われ、異形と化す。渾沌の諸相。先んじて放たれる一撃に、たからは、
「渾沌より骸を呼び出すのがお前の専売特許というのは勘違い。精度も強さも劣るけど呼び出すくらいならたからもできる。おいで過去に喪した命たち」
 と降霊の術で大量の幽霊を呼び出した。たからは意思を持つが死体、つまり「物」。おまけに今は幽霊の姿。この姿なら、呼び出した幽霊群の中に紛れ込める。木の葉を森の中に隠すように。案の定、大量の幽霊群の中に隠れたたからに、鴻鈞道人は狙いを見失った。幽霊の中をすり抜けていく攻撃の手応えのなさに、鴻鈞道人――雨莉はどこに行った、と周囲を見回す。と、浮遊する霊達の中に、微かに動く影を見つけた。そこか、と狙いを定め――。
「引っかかった! クロは囮!」
 瞬間、雨莉の背後からたからが飛び出す。クロはたからが十指に結びつけた糸で操る「戦闘用人形」。囮もお手のもの。クロを操っていた糸を放し、たからは地縛霊と合体した。
「誅罰代行!」
 ユーベルコード、怨恨手指累々ノ刑(エンコンシュシルイルイノケイ)。咲き崩れる半面により、攻撃力が増加し、同時に追い縋る数多の黒い手が雨莉を拘束する。そこに、たからは錆びついた青龍刀で渾身の一撃を叩き込んだ。
「お姉さんを返せ!」
 心の叫びと一緒に放たれた攻撃に、雨莉の体が大きくふらついた。倒れかける彼女に、たからはそっと呼びかける。
「お姉さん、たからの魂、半分はまだ向こう側だから、間違って向こういっても、たからが無理矢理にでも連れ戻す。碎輝お兄ちゃんのこと、いっぱい話そ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

天城・潤
はい。お助けしましょう。
ただし、大変申し訳ないですが刃を持って。
ええ、面識はないですよ。でもね…何処か遠く
彼方で、もしかしたら、ね?

先制攻撃はどうにかして技能とか身体能力で
避けてしまえたらと思います。

UC黒蒼刃鏖殺を詠唱。
以後はただひたすら触手だの片翼だのを
とびすさり、薙ぎ払い、斬っていきます。
可能な限り、本体ではなく諸相だけを狙う努力はします。

そういえば、黒ボッチパーティの参加、間に合わなかった
んでした。
ああ、そういう縁がありましたね、確かに。

「僕が憧れる人がね、『如何なる時も護れ』と
言うんですよ。ですから…」
斬り結びながらも、声は掛けています。
「貴女も護って見せましょう」
にこりと、笑顔で。



 彼女は転送前に言った。「たすけてください」と。
「はい。お助けしましょう」
 天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)は笑顔でそれに答えた。ただし。
「大変申し訳ないですが刃を持って」
 そう、黒蒼刃を構えて。刃物持って笑顔で言われると違う意味に聞こえるが仕方ない。全力でかからないと、彼女と融合した鴻鈞道人を殺せないのだから。刃を撫で、潤はポツリ呟いた。
「……ええ、面識はないですよ。でもね……何処か遠く彼方で、もしかしたら、ね?」
 人の縁というのは、どこで繋がっているのか分からない。袖振り合うも多生の縁という言葉もある。もしかしたら、こことは違う場所で、違う時間で、違う姿で。違う彼女と出会っていたかもしれない。暫し目を閉じて、想いを馳せた後。潤は目を開いて、確りと雨莉を見据えた。何にせよ、まずは彼女の攻撃をかわさねばならない。刃には刃というのか。雨莉は掌の白き殺戮する刃を構え、勢いよく斬りかかってきた。潤はそれを瞬間思考力と集中力でもって見切り、鍛えられた身体能力で咄嗟に飛び退く。辛くも先制攻撃を避けた潤は、
「それでは、今度はこちらの番ですね」
 と黒蒼刃を構え直し、詠唱する。
「――この刃に触れるものに、死を」
 ユーベルコード、黒蒼刃鏖殺(コクソウジンオウサツ)。その効果によって強化された黒蒼刃を一振りすると、雨莉の腕から伸びたおぞましき触手が切り落とされた。切り落とされた触手を見、唸り声を上げた彼女が再び斬りかかってくる。それを飛びすさり、避けながら、薙ぎ払い、彼女の片翼や残りの触手を斬っていく。可能な限り、雨莉本人ではなく渾沌の諸相だけを狙いながら、そういえば、と潤は漏らした。
「黒ボッチパーティの参加、間に合わなかったんでした」
 思えば、彼女がクリスマスに企画したクリぼっち……もとい、黒ボッチパーティへの参加を検討しながらも、その時は間に合わなかった。奇しくも、先に来ていたたからと雨莉の縁はそこで結ばれたものだが……縁は異なものだ。間に合わなかったとはいえ、これもある意味雨莉との縁といえるかもしれない。
「ああ、そういう縁がありましたね、確かに」
 呟きをひとつ落とし、潤は残った雨莉の片翼を切り落とす。文字通り翼をもがれ、立ちすくむ彼女に、潤は声をかけた。
「僕が憧れる人がね、『如何なる時も護れ』と言うんですよ。ですから……」
 斬り結びながらも、にこりと笑って言う。
「貴女も護ってみせましょう」

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
シリアスも似合ってるじゃないですか



一撃貰って対策とします、よく狙え
【ジャストガード】で急所を外し【元気・肉体改造】で造血量を増やしつつ耐える
…ただ、逃がさない。その距離から反撃としてユーベルコード
炎の文字を【達筆】で敵の出血部位に直接書き上げて炎で塞いでから距離を取る
自傷想定の短期決戦?そうはいかせませんよ


距離を取り、次々と文字を綴る
此方は【結界術・破魔・時間稼ぎ】で障壁を張りつつね
…ヒロイックな状況でパワーアップ出来れば世話無いですね、竜神親分を師事したい気分です
だからそのパイプ役、翌日筋肉痛込みでこっちに返してくれませんかね!

ギリギリ引き付け【焼却・衝撃波・地形破壊】で最大威力の攻撃!



「シリアスも似合ってるじゃないですか」
 雨莉の姿を見、ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)はニヤリと笑ってみせた。前に彼女を見たのはメイド喫茶依頼の時だったか。その時は推しの竜神親分になんとかメイド服を着せようと、(依頼の説明で)奮闘しているどうしようもないヤツで、いっそグリモアベースに苦情を出そうかと思ったほどだったが。鴻鈞道人に融合されるというシリアスな状況ではさすがに、そのどうしようもなさも鳴りを潜めている。無言のままベルベナを一瞥した雨莉の背と腕に、先ほど潤に切り落とされたはずの白き翼と触手が、流血と共に再び生えてきた。血を流しながら、雨莉は白き殺戮する刃を手に、一直線にベルベナに向かってくる。振るわれる刃をしかし、彼はあえて避けずに、大きく両手を広げて受け止めた。
「一撃貰って対策とします、よく狙え」
 尤も、ジャストガードで急所は外しているが。それでも、殺戮する刃は深く彼の体に喰いこみ、思わず血を吐く。さすが、超強化されているだけある。元気と肉体改造の技能で造血量を増やし、なんとか耐えたベルベナは雨莉を睨みつけた。
「……ただ、逃がさない」
 あえて先制攻撃を受けたのは、彼女を引き付けるため。すかさず反撃として、グレイプニル・ブラストを放つ。
「「火」「灯」「焔」「焼」「燼」「煌」「灼」「爆」……」
 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する、炎の魔法文字。それを達筆で素早く雨莉の出血部位に直接書き上げ、炎で塞いで飛び退く。
「自傷想定の短期決戦? そうはいかせませんよ」
 文字を綴る片手を突き付け、ベルベナは言い放った。燃えた雨莉の傷口が塞がり、出血が止まる。これでもう流れる血に嗤う渾沌の諸相は無効。さらに距離をとりながら、ベルベナは次々に魔法文字を宙に書き綴る。負けじと刃を振るう彼女の攻撃は破魔の力を込めた結界術で時間を稼ぎ、障壁を張りつつ避けた。ベルベナは一人ごちる。
「……ヒロイックな状況でパワーアップ出来れば世話無いですね、竜神親分を師事したい気分です」
 だから。推しだからと彼に関連した依頼ばかり持ってくる、そのパイプ役を。
「翌日筋肉痛込みでこっちに返してくれませんかね!」
 ギリギリまで雨莉――彼女の姿をした鴻鈞道人を引き付け、ベルベナは爆炎と爆風を直線上にに放った。爆風による衝撃波が地形を抉り、爆炎が全てを焼却する。最大威力の攻撃に、雨莉は膝をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中村・裕美
私もこいつに取り憑かれたことがあったし何とか助けたいところ
「……引きこもり不法侵入罪は……重罪よ」

相手の攻撃をドラゴンランスを振るって【武器受け】。あとは電脳魔術で【残像】を生み出して攻撃を凌いでゆく。一応雨莉さんも電脳魔術師なので、そうした検知からも欺けるタイプの残像を作成しておく。こちらからは積極的に攻撃はせず、流血は抑える。
「……準備は……整った」
その間にも雨莉さんの身体を【ハッキング】し、UCで鴻鈞道人に取り憑かれる前の状態に肉体の状態を上書き。敵は上書きされて消滅…というのがベストだけど、無理そうなら攻撃してダメージを与えて雨莉さんの部分だけ治療するを繰り返して倒しにかかる



(「私もこいつに取り憑かれたことがあったし、何とか助けたいところ」)
 自身も鴻鈞道人に融合されたことのあるグリモア猟兵、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は渾沌の諸相に侵された雨莉の姿に胸を痛めた。勝手に融合される苦しさは体験したものとしてよく分かる。裕美はドラゴンランスを突きつけ、ぼそぼそと呟いた。
「……引きこもり不法侵入罪は……重罪よ」
 そもそも勝手に体に入り込むとか、引きこもりの部屋に相手の許可も得ずに無理やり入っていくようなものだ(?)。しかし骸の海を自称する鴻鈞道人にはその言葉も響かない。黙れ、とでも言うように向けられた視線。雨莉のその目が、白く濁って異形と化し、裕美に襲いかかる。その攻撃をドラゴンランスを振るって受け、防御しながら思う。こいつ雨莉さんの目を代償にしやがった。目がどれだけ大切か分かってるのか。彼女も一応、電脳魔術師なのに。電脳魔術師の術使ってるとこ見たことないけど。なんなら本人すら忘れてそうなサブジョブだけど、念のためにそうした検知からも欺けるタイプの残像を電脳魔術で生み出し、続けて白き殺戮する刃で斬りかかってくる彼女の攻撃を凌いでいく。こちらからは積極的に攻撃はしない。相手がこちらより血を流せば強化されることは既に割れている。そうしている間にも裕美は電脳世界を展開し、雨莉の身体をハッキングした。そして。
「……準備は……整った」
 クイッと眼鏡を押し上げた裕美がタンッと最後のキーを押す。放たれるユーベルコード、リアリティハッキング。これは心身を健康な状態へ上書きするプログラム。これで鴻鈞道人に取り憑かれる前の状態に肉体の状態を上書きできれば……。祈るように見つめる裕美の前で、雨莉は苦悶の声を上げた。治療用ユーベルコードなのに。いや、苦悶の声を上げているのは鴻鈞道人の方なのか。顔を覆った彼女の背から白き天使の翼が剥がれ落ち、両腕から生えたおぞましき触手も、掌に宿した白き殺戮する刃も。全てが地に落ちて、白く蠢いて消えていく。面を上げた雨莉の瞳も、元の赤い色に戻っていた。……だが。その瞳には変わらず光がない。無表情のままに裕美を睨みつける彼女は、完全に元に戻ったようには見えなかった。ユーベルコードの力で、敵は上書きされて消滅……というのがベストだったが、裕美のリアリティハッキングをもってしても、雨莉の体から鴻鈞道人を追い出すことはできなかったらしい。それだけ強敵なのだ。だが、少なくとも彼女の表面に現れた渾沌の諸相は一掃できたし、代償にされた部位も元に戻った。後は彼女の中に巣食う鴻鈞道人を倒すだけ。裕美は気持ちを切り替え、ドラゴンランスを手に突撃する。そうしてダメージを与えつつ、雨莉の部分だけ治療するを繰り返した。この先に彼女を救える未来があると信じて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミリアリア・アーデルハイム
ヒキニートだからといって操っていいという事ではありませんし、碎輝様を好きな人に悪い人はいない(断言)!

【真の姿】背中から8枚の布状腕。眼は金色のリボンで目隠し。髪が伸びて目の様にも見える琥珀色の宝珠が散りばめられる
を現し、布状腕の4本で「オーラ防御」三倍攻撃を受けて流血。1〜2本千切れても止むなしです。
さて、流血分の贖いをいただくとしましょう。

箒で屏氷万里鏡で鏡像を映し「残像」「フェイント」をかけ
UCを全力魔法で秩序属性の浄化呪殺誘導弾として発動。

雨月さんが何もしないのは、人は誰でも動けば世界を改変してしまうと識っているからです。これを賢者の知見と言わずしてなんとします!
(多分誤解)
ゆえに・・・その方は我々と世界にとって必要な方、返していただきましょう。



「ヒキニートだからといって操っていいという事ではありませんし、それに碎輝様を好きな人に悪い人はいない!」
 ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は雨莉の姿をした鴻鈞道人にビシッと指を突き付け、断言した。雨莉こと鴻鈞道人は不快そうに、微かに眉をひそめる。ここまでの戦いで鴻鈞道人も大分疲弊している。彼とてもう後がない。五月蝿い、とミリアリアを睨み付け、何度目かの肉を破り現れる渾沌の諸相で、雨莉の肉体に白き天使の翼と白きおぞましき触手、白き殺戮する刃を与える。代償として毒に全身を侵されつつも、構わず雨莉の体を斬り裂き、流血しながら、ミリアリアに向かって飛翔した。
(融合したこの体はもはや私のもの。どう使おうと、私の自由)
 あまりにも自分本位な理屈を述べながら、空より斬りかかってくる鴻鈞道人に、
「違います! 雨月さんの体は雨月さんのもの! 先ほども言いましたように、勝手に操っていいものではありません!」
 ミリアリアは言い返し、オーバーロードの力で真の姿を解放する。その背から8枚の布状腕が伸び、眼は金色のリボンで目隠し。その代わりのように、伸びた髪には目の様にも見える琥珀色の宝珠が散りばめられる。すかさず迫る刃を4本の布状腕でオーラ防御。しかし相手は超強化されている上に、自傷行為でミリアリアより血を流している。通常よりはるかに強化された攻撃に、オーラ防御していても耐えきれず、布状腕は1本、2本と千切れて、彼女からも血が流れて滴り落ちた。だがそれも止むなしだ。むしろこちらも流血した分、相手の優位性は薄まったといえる。ミリアリアは口角を上げた。
「さて、流血分の贖いをいただくとしましょう」
 魔法の棕櫚箒が無数の氷の欠片――屏氷万里鏡を乗せ、周囲を飛び回る。氷に映る彼女の姿が残像となり、鴻鈞道人を惑わす。狼狽えた彼はめくらめっぽう、刃を残像に突き立てるも、氷が砕けるだけだった。その間に、ミリアリアはユーベルコード、ミゼリコルディア・スパーダを発動させる。彼女がウィザードらしくてかっこいいと思っている術だ。幾何学模様を描き、複雑に飛翔する1160本もの魔法剣が、全力魔法の秩序属性の浄化呪殺誘導弾となって、鴻鈞道人に襲い掛かる。鴻鈞道人は雨莉の姿のまま目を見開いた。だが、その姿は呼び寄せたグリモア猟兵に勝手に融合して得たもの。彼のものではない。ミリアリアは再び指を突き付けて言った。
「雨月さんが何もしないのは、人は誰でも動けば世界を改変してしまうと識っているからです。これを賢者の知見と言わずしてなんとします!」
 多分に誤解だが。アイツ絶対そこまで考えてない。けど自信満々に言い切った彼女は、ゆえに、と言葉を紡ぐ。
「ゆえに……その方は我々と世界にとって必要な方、返していただきましょう」
 祈るように組んだ手。1000を超える魔法剣が、雨莉の――いや、鴻鈞道人の体を貫く。断末魔を上げた雨莉の体から、白き靄のようなものが立ち上り、消えていった。ドサリと音を立てて倒れ込む雨莉。その身から白き天使の翼も、おぞましき触手も刃も既に消えている。だが無事かどうかは分からない。ミリアリアは心配そうに駆け寄った。
「雨月さん、大丈夫ですか……!?」
 駆け寄る彼女の前で、雨莉はうっすらと目を開ける。その瞳にはいつもの光が戻っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月06日


挿絵イラスト