殲神封神大戦⑰〜未来は仲間に託し~
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目の前に見えるのは傷ついた仲間の姿。その仲間達が立ち向かっているのは・・・。
(俺・・・なのか?)
普段、仲間を傷つける事を極端に嫌う彼だが・・・。その彼が仲間達に攻撃を仕掛ける、という状況。必死にその手を止めようとするが、彼の体は言う事を聞かず・・・。次々と仲間達へ攻撃を仕掛けていく。
だが、その中で彼自身も攻撃を次々と受け・・・。倒れ伏し・・・。
そこで、彼の意識は途切れた。
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「皆さん、今回は新たに姿を現した渾沌氏『鴻鈞道人』との交戦となります」
鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の表情がいつになく厳しい。その様子にただならない物を感じ取った猟兵達。
「今回の敵は・・・。どうもオブリビオンではないようです。自身を【骸の海】と自称する存在。今まで戦ってきた敵とは異質な存在だと思われます」
オブリビオンを生み出す【骸の海】、それそのものが今回の敵だというのか。それは途方もない相手である。下手したらオブリビオン・フォーミュラである『張角』よりも厄介な存在であるといえるだろう。そんな敵に、どう立ち向かうというのか。
「本当に奴が【骸の海】だというのなら、本来は実態がない存在なのかもしれません。ですが・・・、今回俺が予知した中では奴と猟兵の皆さんは交戦する事が出来ていました。それは・・・、奴が俺の体を乗っ取っている状態だったからです」
実態を持たぬかもしれない存在も、体を得た状態ならばダメージを与えられるという事か。だが、それにしても・・・。
「俺が皆さんを転送してすぐ、奴は俺の体を乗っ取るようです。なので、遠慮はしないでください。俺も、おそらく加減は出来ません」
予知では、自分の体が自分のいう事を利かなかった事を猟兵達に話すひりょ。中にはひりょと顔見知りの存在もいるのだろう、猟兵達の中には戸惑いの表情を見せる者もいた。
「今回、奴を完全に倒せるとは思えない。・・・ですが、退ける事は出来ると思います。俺は皆さんなら、出来ると信じています」
カクリヨでの戦争の際、親分達は大祓骸魂を倒す為に自らを犠牲にしようとした。未来を切り開くために。もしかしたら、今のひりょが感じている『仲間達へ未来を託す』思いは、あの時の親分達に似ている所があるのかもしれない。自分が『鴻鈞道人』に乗っ取られる事で、同じようなグリモア猟兵が一人でも少なく済むように・・・。犠牲が減るように・・・と。
「それでは、これから皆さんを現地へ転送します。・・・後の事は、よろしくお願いしますね」
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猟兵達は現地へと転送された。そして、ひりょの言う通りの状況へと陥る。転送を終了したひりょが突然苦しみだし、そして・・・。『渾沌の諸相』を身につけたひりょは真の姿へと転じた。背より翼を生やしたひりょは無表情で猟兵達へ刃を向ける。
(まだ融合したてで、この者の全ての力は使えぬか。だが、それもまた一興)
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達よ)
(相争い、私の左目に炎の破滅カタストロフを見せてくれ)
黄昏空
MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。このシナリオは戦争シナリオ、1章で完結します。グリモア猟兵の鳳凰院ひりょの体を乗っ取った渾沌氏『鴻鈞道人』との戦闘となります。ひりょと何らかの「心のつながり」を持った猟兵であっても、今の体を乗っ取られたひりょは手加減しません。鴻鈞道人そのものも、自らを【骸の海】と自称する程の強力な存在。猟兵の側も手加減をする事など出来ないでしょう。全力での戦いとなりますが、ひりょが戦闘後に生きているかどうかは、本人自身も予知で確認出来ていません。残念ながら現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法は無いようですが、ひとまず戦闘で殺す事は可能ですし、戦力を0にすれば撤退します。
尚、ひりょは乗っ取られたばかりで全ての力を『鴻鈞道人』が使いこなせるわけではない模様。ひりょ自身のUCまでは使えませんが、真の姿で襲い掛かってきます。必ず先制攻撃を行ってきますので注意してください。シナリオはひりょによって転送された後から開始します。
また『鴻鈞道人』のUC以外に、次の通常攻撃を行ってきます。
POW『刀による接近戦』、SPD『翼で飛翔しつつ刀から衝撃波を放つ』、WIZ『相手に有効と思われる【属性攻撃】を付与した護符での攻撃』
プレイングボーナスは『グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する』です。
この謎の多き敵をなんとか退けてください。
プレイング募集はOP公開と共に開始します。それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
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POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ロニーニャ・メテオライト
☆アドリブ・改変歓迎。SPD
……そんな。余りにも残酷ね。
でも、助けるわ。私に優しくしてくれたひりょさんのこと、必ず。
まず、刀からの衝撃波に対処。【物見の星座盤】よ、安全な場所を教えて。
渾沌氏の攻撃も、【オーラ防御】と星座盤の導きに従ってできるだけ避けるわ。当たっても構わない。ひりょさんが必死に戦っているのだもの、私だって救うためなら、戦うわ。
「オーロラよ、宙の裾野よ。今だけ願いを叶えて。」UC
ありったけの【祈り】と【浄化】、【破魔】の力を込めたオーロラ。
高電磁波で飛んでいる渾沌を叩き落とす。彼の体から出ていきなさい。
渾沌さえ居なくなれば、オーロラの元、ひりょさんの傷も回復出来るはずだわ。
事前に話は聞いていた。…だが、実際に無表情でこちらへ殺気を放ってくるひりょの姿を目の当たりにすると心が苦しくなる。
(……そんな。余りにも残酷ね。でも、助けるわ。私に優しくしてくれたひりょさんのこと、必ず)
ロニーニャ・メテオライト(不老不死の星の子ども・f35195)は、ひりょとは顔見知りだ。ロニーニャがとある旅団へ所属する際に、笑顔で出迎えてくれた旅団メンバーの内の一人。大事な仲間なのだ。
自分達を信じ、後の事を任せてくれたその想いに応えたい…。その一心でロニーニャはひりょと交戦を開始するのであった。
(【物見の星座盤】よ、安全な場所を教えて)
ロニーニャは静かに心の中で星座盤へと語り掛ける。その想いに反応した星座盤が、うっすらと光を放つ。そしてその光が導き出す、ひりょの攻撃を回避出来る位置を!
考えるより前に、ロニーニャはその導かれた場所へと駆けた!
気が付けば、いつの間にかひりょは上空へと舞い上がっており…。先程までロニーニャがいた所の地面が、無残にも抉られていた。恐らくひりょが放った衝撃波によるものであろう。まさに間一髪であった。
(まぐれか?それとも危険を察知する能力に長けるのか?ならば、これはどうだ)
攻撃を予測したかのように動いたともいえるロニーニャの行動に、若干訝しむ鴻鈞道人。だが、些細な事だと切り捨て、自身の力をひりょの肉体を介し発動させた。白き刃が多数放たれ、ロニーニャへと襲い掛かる!それを星座盤の導きに従い、必死に回避を試みるロニーニャ。だが、鴻鈞道人の攻撃はそれだけでは終わらない。巨大な白い触手がロニーニャを叩き伏せんと迫って来る!回避しきれないと察したロニーニャは、瞬時に防御姿勢を取る。オーラを身に纏わせて、回避しきれなかった攻撃を何とか耐え抜く事に成功した。
(やはり、何某かの攻撃予測が行えるようだが…。こちらの方が上手だったようだな、小娘)
「…まだ、まだ戦える。たとえ攻撃が当たっても構わない。ひりょさんが必死に戦っているのだもの、私だって救うためなら、戦うわ」
(だが、逃げてばかりの小娘に何が出来る?何も出来はしまい)
傷だらけになりながら防戦一方のロニーニャを嘲笑う鴻鈞道人。だが、そんな相手の言動にロニーニャは屈しはしない。いや、ロニーニャもただ闇雲に攻撃を回避していたわけではないのだ。星座盤の導きに従い、彼女が打てる最高の一手が放てる場所へと移動していたのだ。
「この位置なら、逃げ場はないわ」
(小娘、覚悟を決めたか。ならひと思いに…)
「いいえ、覚悟するのはあなたの方。『逃げ場はない』と言ったわよね?『オーロラよ、宙の裾野よ。今だけ願いを叶えて』」
(…オーロラか。だが、それがどうしたという…っ)
一帯を包み込むように広がっていくオーロラを見ても何の脅威とも感じていなかった様子の鴻鈞道人が、一笑に伏そうとしたその矢先。全てを言い終わる前にひりょの体が地面へと叩き伏せられた事に驚きの声を上げる。
(なんだ、これは!おのれ…これは電磁波…かっ)
「渾沌、彼の体から出ていきなさい」
(この程度の攻撃でっ…。…ぐっ、体が動かぬ)
「私のありったけの力を注ぎ込んだオーロラの力よ。渾沌さえ居なくなれば、オーロラの元、ひりょさんの傷も回復出来るはずだわ。ひりょさん、もう少し我慢しててね。必ず助けるから」
大成功
🔵🔵🔵
アイ・リスパー
「そんなっ、鳳凰院さんと戦わないといけないなんて……」
機動戦車オベイロンⅡをパワードスーツ形態にして装着します。
これで鳳凰院さんの先制攻撃の衝撃波や触手による攻撃を防げるはず……
「くっ、オベイロン、ダメージ箇所の報告を!
こちらからも反撃です!」
レーザーガトリングで攻撃しますが……
翼で飛翔する鳳凰院さんの動きを追いきれません!?
けれど、荷電粒子砲を撃つわけには……
悩む間に徐々にダメージが蓄積し、操縦席にはアラートが鳴り響きます。
「こうなったらっ!」
パワードスーツから降り、【マックスウェルの悪魔】による氷で鳳凰院さんの翼を狙います!
翼さえ凍りつかせられれば鳳凰院さんの動きを封じることができるはず!
(いつまでも、この私の動きを封じておけるとは思わぬ事だ)
裂傷するのも気にせず、ひりょは自身を捉えていた電磁波から強引に脱出した。
「わかってはいました、わかってはいましたが…。鳳凰院さんとこうして全力と戦わないといけないなんて……」
アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)とて、覚悟はしてきたつもりではあった。だがそれでも…アイにとってひりょは友人であり、何度も一緒に任務をこなした仲間の一人だ。最悪命を奪う事になるかもしれないという状況に、アイは一瞬攻撃を躊躇う。だが、その一瞬の隙を鴻鈞道人は見逃さない。
(隙だらけだぞ小娘)
オベイロンが発する緊急アラートにハッとし、アイは慌てて防御態勢を取る。次々に襲い来るひりょの衝撃波、触手攻撃に曝され…。アイが纏ったパワードスーツが軋みを上げる。
「…事前にオベイロンをパワードスーツ形態にしておいて正解でしたね」
先制攻撃をなんとか耐え凌いだアイ。機動戦車であるオベイロンⅡの装甲は伊達ではない。だが、それでも…パワードスーツのあちこちから火花が飛び散っている。それだけ先制攻撃は苛烈なものだったのだ。
「くっ、オベイロン、ダメージ箇所の報告を!」
『アイ、先程の攻撃で装甲の一部が破損しました。機動力が低下しています』
さらに飛んでくる衝撃波をガードしながら、アイは状況の立て直しを図る。
「ですがまだ、いけますね?こちらからも反撃です!」
レーザーガトリングによる反撃を開始するアイ。ガトリングが唸りを上げ、次々レーザーが放たれるが…。
「鳳凰院さんの動きが、追いきれないっ!?」
鴻鈞道人としてはひりょの体は使い捨ての消耗品、それ故に無茶な軌道での回避も行うようだ。決してアイやオベイロンの狙いが甘いわけではない。体に掛かる負荷など考慮しない、常軌を逸した回避の仕方なのだ。
そしてその回避と共に繰り出される衝撃波の雨。
(小娘、この程度か。威勢だけは良かったようだが…)
「ガトリングではあの動きは捉えきれない。けれど、荷電粒子砲を撃つわけには……」
荷電粒子砲ならばその大火力で薙ぎ払う事が出来るかもしれない。だが、その大火力はひりょの体を飲み込む事になるだろう。ひりょを跡形もなく蒸発させてしまう可能性…。その考えが過ったアイは、必死に打開策を練ろうとするが…。相手はその間にも攻撃を繰り返し、思考の時間を与えてはくれない。
『アイ、これ以上は誘爆の恐れもあります、急ぎ退避してください』
操縦席にはアラートが鳴り響き、オベイロンの報に顔を歪めるアイ。
「こうなったらっ!」
アイは意を決しパワードスーツより飛び降りた。
(小娘、とうとう成す術もなくなり観念したか)
「…いいえ、まだです。私は電脳魔術士、オベイロンが全てではありません!」
(この動きが捉えられぬ者に、何が出来るというのだ!)
「それなら、捉えられるようにするだけです!」
ひりょは確かに常軌を逸した動きでこちらの攻撃を回避していた。だが、その動き自体は目視出来たのだ。それならば…。
(小細工が通用すると…、なにっ)
地上で何事かを始めたアイへ止めを刺そうとしたひりょの体が、急に飛行を保てずに落下する。
(翼が凍り付いているだと?馬鹿な、いつの間に)
「今なら!オベイロン、ガトリング一斉射です!」
『銃身が焼け付くまで撃ち続けます』
身動きの取れなくなったひりょにガトリングの一斉射が叩き込まれた!
大成功
🔵🔵🔵
地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
加減したらこっちがやられる……ちっ、気は進まねえが全力で行かせてもらうぜ……!
『穢れを喰らう黒き竜性』で"ひりょが乗っ取られ続ける不運"を喰らう!
これで少しでも風向きを変えるぜ!
攻撃は【見切り】と【第六感】で回避、当たっても【激痛耐性】【継戦能力】で踏み止まって攻撃が一段落するまで仲間の不運を喰らい続ける!
そして反撃で【指定UC】!
これで動きを鈍らせたところを一気に【グラップル】で捕まえて畳み掛けるぜ!
仲間の情に訴えても無駄だって先に言ったのはてめえの方だ鴻鈞道人!
俺がいる限り仲間がいなくなるっつう"不運"は絶対に訪れねえ!!
そんなもん俺が全部喰らってやる!!!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
大変ですが、何とかやってみますぅ。
『FAS』を使用し飛行した上で、『FMS』のバリアと『FXS』の結界、『FSS』のシールドに『FGS』の重力結界まで、各『防壁』を多重展開しますねぇ。
『刀』による接近戦は[空中戦]による回避と物理障壁で防ぎ、『諸相』も『部位』を使う以上其方に注視しての回避行動で直撃を避けられれば、各『防壁』と『FXS』による治癒で戦闘継続可能な程度への軽減は可能でしょう。
可能になり次第【燦華】を発動、全身を『光』に変えれば『光速回避』が可能になりますので、以降の回避は容易になりますぅ。
後は『FRS』の[砲撃]と『刀』のみを実体化しての『光速の斬撃』で。
ミリアリア・アーデルハイム
『骸の海』が意思を持つ混沌?後で考えます
さあ、今すぐ【夕闇亭】団長をお返し頂きましょうか。
「黄金の騎士」から剣を受け取り左掌に突き刺し、流血
失血が致命的になる前に決着を付けます。
箒、ローラちゃん(掃除機)、お掃除の時間です!
護符を箒が【衝撃波】で掃き、ローラちゃんが【捕食】で吸収
その他には屏氷万理鏡の【オーラ防御・盾受け】で対応
UC発動 渾身の古式ゆかしき「ボックスマジック」です
【結界術】で箱を形成し道人を閉じ込め【浄化・神罰】を込めた、UCの魔力による光の剣を全方位から突き立てます
どうか、箱が開けば怪我も変異も憑依も無い全て元通りの鳳凰院さんに戻っていてください・・・ッ!【祈り】
「…?」
「どうかされましたかぁ?」
訝し気な表情を見せた地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)に気が付いた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が問いかける。
「いや、気のせいかもしれないが…ひりょの傷、癒えてないか?」
「え?確かに私達猟兵は普通の人より傷が癒えるのは早いかもしれませんけれど…。でも…、確かにさっきの電磁波で負傷していた傷、癒えてきてるみたいですね」
同じくその場にいたミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)がひりょの様子を確認し、驚きの声を上げた。
「これは…、鳳凰院さんの【黄昏の翼】の影響が出てきているのでしょうかぁ」
るこるはふと思い浮かんだ考えを口に出す。
「ひりょの【黄昏の翼】か。あれって、仲間や自分の負傷の分だけ力が増すって奴だったよな」
凌牙は以前共に戦った際に、敵の横暴にブチ切れて【黄昏の翼】を発動させていた時の事を思い出した。あれはカクリヨでの事だっただろうか…。そうだ、あの翼の効果はそれだけではない。
「はいぃ。後…、回復効果が付与されますねぇ。ですが、それにしては回復が遅いようですが」
「回復効果があるんですか?よく知っていますね!」
「鳳凰院さんがあの【黄昏の翼】を習得する際に、少々助言した事がありましてぇ」
「なるほど、それで詳しいんですね。…でも、それってかなりまずいじゃないですか!」
るこるの説明を聞くうちに、ミリアリアも状況がかなりまずい方向へ動き出してきている事に気が付いたようだ。
「今までひりょのUCを使えなかったのは、単に体に慣れていなかったからなのか、それとも別の要因があったのかはわからないが…」
「長引けば長引くだけまずい状況になりそうですねぇ」
「じゃあ、一気に畳みかけちゃいましょう地籠さん、るこるさん!」
「あぁ、そもそも加減したらこっちがやられる。長引けばより状況が悪化するなら…。ちっ、気は進まねえが全力で行かせてもらうぜ……!」
ひりょに後の事を託されたの思い出し、全力でぶつかる覚悟を決めた凌牙。被害は出来るだけ最小限に抑えたいるこるとしても異論はない。
「大変ですが、何とかやってみますねぇ」
ひりょを取り戻す為、3人一丸となり交戦を開始するのであった!
(おのれ、味な真似をするではないか。だが、私はこの程度では倒せぬぞ)
ガトリングの雨をオーラの防御で耐えきったひりょが再び動き出す。
「鳳凰院さんの傷が癒え始めているのなら、好都合かもですね。今なら鴻鈞道人の3倍効果を受けずに済みます」
黄金の騎士像から剣を受けとったミリアリアが、その剣を左掌に突き立てる。鋭い痛みに耐えながら、手元に待機する箒と掃除機へ指示を出すミリアリア。
「箒、ローラちゃん、お掃除の時間です!」
箒がミリアリアを焼き払おうと飛来した護符に向け衝撃波を放ち、その勢いを相殺する。すると今度はその護符をローラちゃんと呼ばれた掃除機が吸い込み、完全に無力化する。だが、飛来する護符は一枚や二枚ではない。箒と掃除機が対処しきれない分はなんとかオーラの防御で耐え凌ごうとする。そこへ凌牙が割り込み、渾身の一撃で護符を叩き落とす。
「任せろ!ミリアリアはUCの発動に専念してくれ!」
「ありがとうございます!」
凌牙の援護を受け、ミリアリアはUCの発動に集中し始めた。
護符が叩き落とされた事を知ったひりょが、今度は凌牙に向けて一気に間合いを詰めてきた!
「るこるの予想通りみたいだな。氷漬けにされてたはずの翼が、もう使えやがる」
刀を手に切り込んでくるひりょは翼で飛翔しながら接近してきた。片足は…異形化している。あの異形化した足による一撃はまずい、瞬時にそう判断した凌牙。異形化した足による蹴りは確実に回避するよう全神経を集中させる。刀による連撃は回避出来るもの以外は痛みに耐えながら捌き切る。
「…っ!まだ刀による攻撃の方がましだな。それにしても…最初にあった頃には遠距離主体だったってのに」
今や遠近両用の攻撃が可能となっているひりょ。仲間の成長は凌牙にとっても喜ばしい事ではあるが、今ここに至っては厄介極まりない。刀と体術による波状攻撃に流石の凌牙も体勢を崩してしまう!
(まずいっ、ヤバい一撃が…)
異形の足による一撃が体勢を崩した凌牙へと迫る!だがしかし…、その一撃が凌牙へと届く事はなかった。その前にひりょの体は砲撃を受け吹き飛ばされていたのだ。
「るこる、助かった!」
「ご無事で何よりですぅ。続けて援護しますねぇ」
砲撃は上空へと飛翔していたるこるが放ったものであった。さらに降り注ぐ砲撃を受け、ひりょと凌牙の距離が離れる。その隙になんとか凌牙は体勢を立て直す事に成功する。
(おのれ、忌々しい。ならば小娘、お前から仕留めてやろう)
「るこる、ひりょがそっちへ行くぞ!」
凌牙の声にるこるは砲撃を一旦止め、防御をより密にする。そこへ翼で飛翔しるこるへと詰め寄ったひりょの斬撃が襲い掛かる。
ひりょの刀による斬撃は、るこるが展開した物理防壁を完全には突破出来ず…。一部破損させるに留まった。
「想定では完全に防ぎきれると思っていたのですが…、鴻鈞道人の力の分が未知数でしたねぇ」
続けて繰り出される異形の足からの一撃を何とか回避を試みるるこる。多重の障壁を削るその一撃は、その動きを注視していた事でかろうじて直撃を避ける事が出来た。
「バリア、結界、シールド、重力結界と多重の障壁を展開しておいたのですが…それも突破してきますかぁ…。あの一撃だけは避けなければいけませんねぇ」
ひりょの力に鴻鈞道人の力が上乗せされたその一撃は、るこるの想定よりも上の威力を持っていたようだ。障壁は修復する事は出来るものの、それ頼みにするには危険なようだ。
さらに追撃を入れようとするひりょの横っ面を、駆け付けた凌牙がぶん殴る!
「相手はるこるだけじゃないぜ!」
(おのれぇ!)
るこると凌牙が互いをカバーし合い、ひりょの猛攻を凌ぐ。
(まだか?ミリアリア、そろそろこっちもまずいぞ…頼む)
ひりょがるこると凌牙の二人と交戦状態に入った後、ミリアリアは神経を集中しUCの発動準備を進めていた。今回のUCを確実に当てる為に、ひりょを一定の場所へしばらくくぎ付けにする必要があった。ミリアリアはるこると凌牙が作り出してくれた絶好のチャンスを使い、ひりょを閉じ込める為の結界と、それに続けて放つUCの構築に全神経を集中した。結界形成とUCの発動のタイミング、これは一つタイミングがずれてしまえばせっかくの好機を逃してしまう事だろう。責任重大である。未だミリアリアの左掌は出血が止まっていない。急ぐ必要もあるが、焦る事は出来ない。
(『骸の海』が意思を持つ混沌?わからない事だらけですが、そんな事は後で考えます。今は、この一手に全てを注がなくては)
そして、ついに全ての準備が整った!その瞬間、ミリアリアは上空に向けて声を張り上げる!
「お二人とも、準備が整いました!」
「あぁ、わかった!」
「はいぃ、では」
合図を受け、瞬時にひりょより距離を取る上空の二人。
(…何をするつもりかはしらないが…。そうはさせ…ぬ?)
気が付けば周囲を覆う黒い結界。ひりょはいつの間にか黒い結界に閉じ込められていた。
「渾身の古式ゆかしき『ボックスマジック』です。さあ、今すぐ【夕闇亭】団長をお返し頂きましょうか」
(戯言を。このような結界に私を閉じ込めただけで…っ。ぐ、ぐぉぉっ!)
黒い結界の中に次々と光輝く剣が突き立てられていく。その剣はどんどん増えていき…ひりょの体も貫いていく。
「私の全力を注いだ一撃です。どうか、箱が開けば怪我も変異も憑依も無い全て元通りの鳳凰院さんに戻っていてください・・・ッ!」
黒いボックス型の結界が解除され…中からひりょが放り出される。そのまま墜落したひりょの元へ駆け付け無事を確認しようとするミリアリア。だが…。
(お、おのれ…あのような隠し玉を持っていたとは)
「耐えきったんですか!あれを」
信じられないといった表情で、ふらりと立ち上がったひりょを見つめるミリアリア。
(大した脅威ではないと思っていたが…。このまま屠ってくれよう)
無表情のひりょがゆっくりとミリアリアへと歩を詰めて来る。万事休すか?いや!
「あとは、俺達に任せておけ!ここまでの間でるこるとミリアリア、そしてひりょの不運は食らい尽くした!あとは、お前に叩きつける番だ鴻鈞道人!」
黒靄を纏った凌牙が高速で飛翔し、ひりょへと肉薄する!
(くっ…、なんだ…?思ったように体が動かない…だと)
今頃になってひりょの体が黒い靄に絡め取られている事に気が付いた鴻鈞道人。
「他人の体を使っているせいか、危険察知能力が低下しているのでしょうかねぇ」
さらに迫るるこるの体は凌牙と対照的に光に包まれている。いや、光そのものとなっていた。
「覚悟しろよ鴻鈞道人!仲間の情に訴えても無駄だって先に言ったのは、てめえの方だからな。遠慮はしねぇ!」
「そろそろ鳳凰院さんを解放してもらいましょうかぁ」
「あと一息です、二人とも!私も回復で援護します!」
ミリアリアの援護を受け…。凌牙の打撃によるラッシュが、るこるの光速の斬撃が、次々とひりょへと叩き込まれていく!
「俺が、俺達がいる限り、仲間がいなくなるっつう"不運"は絶対に訪れねえ!!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
凌牙の想いが通じたのだろうか?これより戦闘は、風向きが大きく変化し始めるのであった。
疋田・菊月
まあまあ、ひりょさん。大変なことになりましたねー
どうか、やりすぎてしまっても恨まないでくださいね
ご家族へのお手紙は書いておきますから!
いやいや、しかし、どうしましょうかねー
ひりょさんの技量は圧倒的。とてもじゃないですが、真正面から殴り合うなんてできません
いずれも必殺の威力を誇るなら、こちらもキャバリアを持ち出して全力対処です
それでも手投げ弾とマシンガンによる制圧射及び爆撃しつつ遅滞戦術が主ですかねー
とにかく距離を取って、無理矢理距離を詰めたくなるよう仕向けます
こちらには射撃しか無いと思わせるんです
勝負はクロスレンジ、ぶつけますよー!
潰れろっ!
『どこまで本気なんだゃ?』
「まあまあ、ひりょさん。大変なことになりましたねー」
体の一部が異形化しているひりょの姿を眺めても、普段通りの口調を崩さない給仕服の少女の名は疋田・菊月(人造術士九号・f22519)。
(この男に注ぎ込める力の量には限界があるとはいえ…、まさかここまで私を追い詰めるとは。だが、お前達の善戦もあとわずかで潰える。この男の力を完全に掌握出来れば…)
「いやいや、しかし、どうしましょうかねー。ひりょさんの技量は圧倒的。とてもじゃないですが、真正面から殴り合うなんてできません」
「ん~」と考える素振りの菊月。
「それに今の話ではさらにパワーアップするようじゃないですかー。いずれも必殺の威力を誇るなら、こちらも全力を出さざるを得ないですねー」
そう言うと、召喚したキャバリアにいそいそと乗り込む菊月。…、……えっ、ここでキャバリア!?
「どうか、やりすぎてしまっても恨まないでくださいね。ご家族へのお手紙は書いておきますから!」
(き、貴様…。この男がどうなってもいいというのか!)
「お互いに手加減は出来ない状況ですしねー。では行きますよー!」
(おのれ小娘!ならばこれを食らうがいい!)
上空へと舞い上がったひりょは、触手と多数の刃を繰り出しキャバリアへ攻撃を仕掛けようとする。だが、その攻撃は菊月の乗るキャバリアまで届かない。
「先程の戦いで、ある程度飛距離は把握していますしね。これだけ距離を取れば届きませんよー?」
(間合いが届かぬか。しかも、この状況では呪縛により身動きが取れぬ…えぇい、もどかしい!)
強力な攻撃ではあるが、その代償としてその場から移動が出来ない。上手く間合いを取った菊月は一方的な攻撃をひりょへと仕掛ける。
痺れを切らしたのだろう。触手と刃による攻撃を止め、飛行状態からの刀の衝撃波攻撃へと切り替えた。
(速度で翻弄してくれるわ!)
「おぉ、速いですねー。ですが、こっちも負けませんよー」
ひりょが距離を詰めようとすると手投げ弾が放り込まれ、衝撃波を放つも距離を取られ…、そしてマシンガンによる反撃を受ける。菊月の側のワンサイドゲームと化していた。
(このままでは埒が明かぬか。ならば…防御して強引に突破し、間合いを詰めるのみだ)
防御姿勢を取って、マシンガンの雨をものともせず強引に接近を試みるひりょ。ひりょの体を操る鴻鈞道人としては、体さえ動けばいいのだ。
(その機体の遠距離攻撃で、こちらをじわりじわりと削るつもりだったのだろうが…。当てが外れたな!覚悟せよ)
ひりょが疾風の如く菊月のキャバリアへと迫る!手に持った刀が雷を帯び、今キャバリアを叩き切らんと…、ぺきょっ
(ぶべらっ!)
シリアスな雰囲気の鴻鈞道人には似つかわしくない声を上げながら…吹っ飛ぶ、吹っ飛ぶひりょ。
「おー、見事に何度も地面をバウンドしながら転がっていきますねー」
拳を突き出した状態で動きを止めたキャバリアの中から、物凄い勢いで吹っ飛ばされていくひりょの姿を眺める菊月。
菊月のキャバリアは遠距離攻撃しか出来ないわけではない、白兵戦も出来るのだ。猛スピードで迫って来たひりょに向け、クロスレンジで叩き込んだキャバリアの拳。リーチはキャバリアの方が圧倒的に長い。
「『潰れろっ!』とか思いながら殴っちゃいましたけど…、少々やりすぎましたかね」
『どこまで本気なんだゃ?』
コックピットに菊月と共に搭乗していたカミオさんが、思わずツッコミを入れるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
●精神世界にて
「…、……。どれだけ…気を失ってた?皆を転送した直後から記憶がない…」
体中が痛い。まだ生きているようだ。だが、体が思うように動かない。
「この辺りは予知で見た時と同じ状況か…。くそっ、気が付けば俺の力のほとんど奪われかけてるじゃないか!」
仲間達との交戦で、ひりょの体に注がれた鴻鈞道人の力は着実に削り取られていっているが…。まだ、体の支配は掌握されたままだ。まだ、まだ一歩足りない。
歯がゆい…、自分の心がもっと強ければ…。自身の心の弱さは自分でも自覚している。鴻鈞道人の力は強大である、だが、心が強ければ多少なりとも抗う事も出来たかもしれない…。それが出来なかった。
「すまない、皆…。こんな体たらくだけど…、なんとか支配権取り戻せるように頑張ってみるよ」
体の支配は奪われたままの為、口に出す事も出来ないが…。それでも、ひりょはなんとか突破口を開こうと抗い始めるのであった。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
全力戦闘をしつつもひりょさんを傷つけない
骸の海、廃棄された時間質量か……つまり産廃ね。これもしかして不法投棄的なアレになってるから公害(オブリビオン)が発生するとかそんな感じなのかしら?なら再利用方法を……と今は考察してる暇はないわね。
リミッター解除、限界突破、オーバーロード!真の姿解放(封印を解く)
多重詠唱結界術で位相をずらしたり量子テレポート(空間の詰め込み、ジャンプ)したりギャグ補正(継戦能力)でリポップしたりジュブナイル伝奇(青春)的な中二ムーブしたり魔王(悪のカリスマ)的なチートっぽいなんやかんやで耐えましょう。
さて、こちらのターン。設定通りの能力持ちフォロワー数に比例した強さを発揮するオリキャラよ。120レベル×178フォロワー数の21360絆パワーで融合(化術肉体改造降霊)し鴻鈞道人を変質させながらひりょさんから引き剥がすわよ。寄生なら私の土俵よ♥
「骸の海、廃棄された時間質量か……つまり産廃ね。これもしかして不法投棄的なアレになってるから、オブリビオンという名の公害が発生するとか…そんな感じなのかしら?なら再利用方法を……」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)は、つい思考の海に沈みそうになる自分を引き戻した。
「今は考察してる暇はないわね。ひりょさんをどうにかしないと、なのだけれど…」
視線の先に見えるのは、ボロボロのひりょの姿。
「流石にあれだけの攻撃を受けた後だと、回復が追いついていないみたいね」
これ以上の追撃は、ひりょ自身の命に関わるとアリスは判断した。
「もともと私もひりょさんを傷つけずに戦うつもりだったし、ちょうど良かったかもしれないわね。リミッター解除、限界突破、オーバーロード!」
細身ながらセクシーな女性の姿へと姿を変えたアリス。果たして彼女はどう戦うつもりなのだろうか?
(おのれ、まさかあのような手で来ようとは…。くっ、回復が間に合わない中で新手か)
「今度は私が相手になるわね、ひりょさん。それとも鴻鈞道人直々に相手をしてくれるのかしら?」
(ふざ、けるな。これでも食らうがよい)
上空に舞い上がったひりょの体から再び白い刃が多数放たれる!当たればただでは済まないだろう刃が…アリスの体をすり抜ける。
(なんだと?どういう事だ)
アリスが自身の周囲に張り巡らせた多重結界により位相をずらし、直撃を避けたのだ。彼女の鍛え上げられた結界術は既にUC並なのであった。
「これでお終いかしら?」
(ならば、これだ!)
続けて襲い掛かる白い触手!その一撃はアリスの多重結界を打ち破り、アリスを激しく打ち据える!その強烈な一撃を受けアリスの体が後方へと弾き飛ばされた。だが…、叩き伏せられたアリスが、むくりと何事もなかったかのように立ち上がる。
「今のは流石にちょっと痛かったわね。それにしても、触手の使い方がなってないわ。こういう時は女の子を絡め取るのに使うのよ?」
(ふざ、けるなぁっ!)
続けて放たれる刀からの衝撃波も、テレポートしながら回避していくアリス。
(な、なんなのだ貴様は…)
得体の知れない者と相対しているような感覚に襲われた鴻鈞道人の声には、動揺している雰囲気が伺えた。
「さて、次は私の番ね。原初の私を具現化させて…融合よ?」
絆パワー最大状態の原初の吸血鬼と融合したアリス。つかつかとひりょへと歩み寄ると、おもむろにひりょの体へ手刀を突き立てた!いや…ひりょの体に沈み込んだアリスの手は、何者かの手を握っていた。その何者かをひりょの体から強引に引っ張りだすアリス。
(…?……はっ?!な、何故私が分離しているのだ。しかもなぜ幼く!)
アリスが引っ張り出したのは、アリス好みのショタっ子化した鴻鈞道人の分身体。
「寄生なら私の土俵よ♥それに…そういう格好の場合、一人称は『ボク』とかじゃなきゃダメよ♥」
(いや、言っている意味がわからないぞ。…ど、どこへ連れていく気だ!)
「さぁ、ボク?私と良い事しましょう?ふふ…」
(は、はなせぇぇぇっ!)
怪しく笑うアリスに、ただならぬものを感じ取った鴻鈞道人が必死に抵抗を試みるが…。ズルズルと『良い子は見ちゃダメ!』と表記された空間へと引っ張り込まれてしまった。
しばらくすると…。何故かお肌をツヤツヤさせたアリスのみが、その空間より帰還したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
●
「…?体の束縛感が弱まった気がする…」
まだ、確かに体を自分の意志で動かす事は出来ない。だが…、先程まで感じていた鴻鈞道人らしき存在からの圧迫感は薄らいで来ている気がする。
「皆が、俺の為に頑張ってくれている…。俺も負けられないな」
決着の時は近い。
蛇塚・レモン
ひりょ君……ひりょ君……っ!
(分かってるっ! この場で絆の強さは無意味だって事はっ!)
(だとしても、大好きな人の名前を呼ばずにはいられない……っ!)
先制攻撃……疑似精霊が来るっ!
【全力魔法・属性攻撃・焼却・結界術・念動力・オーラ防御・受け流し】
燃え盛る黄金霊波動を全力解放っ!
全身に霊的バリアを展開!
蛇だから氷結属性の疑似精霊が飛んでくるはず
超克して暁の黄金竜神化して太陽属性も追加、攻撃を受け流すよ
でも凄まじい猛吹雪に、召喚した蛇神様が動けない……!
こうなったら……やるっきゃ、ないっ!
自分のこめかみに超霊力オーラガンの呪殺弾を撃ち込む!
頭が割れて大量の出血が吹き出し、その顔を真っ赤に濡らす
多分、死なずに済んだのは……ひりょ君のおかげだね……
(リボンリングの『幸運』)
鴻鈞道人……瀕死のあたいのほうが……多く血を流してる……っ!
これでユーベルコードは、無効化したよ……っ!
威力の弱まった吹雪を炎のバリアが押し返し、UC発動!
捕縛とUC封殺を施した後、蛇腹剣を振り上げる
これがあたいの愛だぁぁーっ!
猟兵達との交戦で、全身傷だらけという痛ましい姿のひりょ。その姿に誰よりも胸が締め付けられる想いでいた蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)。
「ひりょ君……ひりょ君……っ!」
(分かってるっ! この場で絆の強さは無意味だって事はっ!)
それは事前に知らされていた事だ。だが、この沸き上がる思いは理屈ではないのだ。
(無意味だってわかってても…。大好きな人の名前を呼ばずにはいられない……っ!)
先程から戦闘中、ひりょは一言も言葉を発していない。完全に鴻鈞道人の制御下にあるのだろうか?
(そんな事はない!ひりょ君もきっと戦ってるはず!あたいも全力で戦うよ!)
ひりょに呼びかけたレモンを嘲笑うような鴻鈞道人の声が響く。
(ほぅ、この男の想い人か何かか。この者の命を奪うか、それともこの者に命を奪われるか…どちらか好きな方を選ぶがよい)
声と共にひりょが護符をレモンへ向けて乱れ撃ちで放って来る!凍てつくような冷気がレモンの体を包み込もうとする。
(やっぱり、冷気系の攻撃が来たっ!霊的バリア、全力展開っ!)
その強力な冷気攻撃を、持ちうる力をフルに使い必死に耐えようとするレモン。
(どうした小娘。このままここで潰えるか?)
「オーバーロード!…、……!?暁の黄金竜神化して太陽属性も追加しているのに…。ひりょ君、体中怪我しているから…それで…。だめっ蛇神様、今、眠っちゃったらっ!」
今までの戦闘での流血の分、ひりょの攻撃は想像を絶する威力となっていた。寒さに弱い蛇神のオロチヒメはその冷気の前に、徐々に動きを鈍らせていく。そうなれば、レモンの今の力も維持する事は叶わないだろう。そして、その先に待ち受けているのは…。
(こうなったら……やるっきゃ、ないっ!)
覚悟を決めたレモンは一旦防御を解除し、指先にありったけの力を注ぎ込む。
(ふっ、耐えられぬと理解して攻撃に転じようというのか。だが、無駄だ!)
鴻鈞道人の挑発には応じず、レモンは呪殺弾を放った!自身のこめかみに。
(なっ!?)
絶句する鴻鈞道人。額が割れ、大量の血が流れ出るレモン。…そのまま崩れ落ちそうになるが、なんとか踏みとどまる。
(なんとか…生きてる。ひりょ君がくれた指輪の加護…だね)
かろうじて意識がある程度ではあるが…、意識が保てているのなら…、それだけで十分だ。
「鴻鈞道人……瀕死のあたいのほうが……多く血を流してる……っ!これでユーベルコードは、無効化したよ……っ!」
(馬鹿な!この男とて今までの戦闘で幾多の傷を…。っ!?回復能力か!)
そう、流血は完全に止まっていた。それは不運にも、鴻鈞道人が取り込もうとしていたひりょの力の一端であった。
(だが、この男の力を取り込めたのならその力が湧いてくるはず…。何故…力が湧いて来ぬ!)
その時、レモンは確かに見た。無表情のひりょの口元が微かに動いたのを。
(『俺達の、勝ちだ』…っ、…ひりょ君!)
朦朧とする中で最後の力を振り絞るレモン。それを支えるように蛇神オロチヒメの力が加わる。
「今なら…っ!炎のバリアで押し返せる!」
威力が弱まった吹雪は、もうレモンの脅威ではなくなった。完全に吹雪を封殺すると続けてUCを発動させる!
(くっ、動きが、力が全て封じられた、だと!?馬鹿な、この私が…!)
「これがあたいの愛だぁぁーっ!」
レモンが放った蛇腹剣での渾身の一撃が…深々とひりょを刺し貫く。そして…ひりょの体はそのまま、地面へと倒れ伏すのであった。
●エピローグ
(…罪深き刃を刻まれし者達よ。今回はお前達に勝ちを譲ろう。だが、次はないと思うがよい)
最後にそう言い残すと、鴻鈞道人の気配が完全にこの場から消え失せた。そう、ついに鴻鈞道人を打ち破る事が出来たのだ!
ひりょは…、周囲に展開されたオーロラと治癒能力を持つ猟兵達によって応急手当が行われた。戦闘の最中、自身も傷を負った者もいる。皆が手当を済ませているうちに、横たえられたひりょの目がうっすらと開いた事に一人の猟兵が気が付く。
ホッとした雰囲気が辺りに満ちた。
「皆…鴻鈞道人を打倒してくれたんだね。ありがとう」
転送して直後に意識を失い、戦闘の途中まで意識が戻らなかった事。意識が戻った後は、必死に鴻鈞道人の完全支配に抵抗し続けていた事。そして、最後の最後に自身の体中の傷口だけ塞いだ時点で、自身の力を断絶させる事に全力を注いだ事。自身の回復を待ちながら、ぽつりぽつりと猟兵達に状況を説明していたひりょ。最後に弱々しいながらも苦笑を浮かべる。
「もうちょっとしたら、皆を転送出来ると思う。俺が倒れちゃったら、皆ここに閉じ込められちゃうもんね」
鴻鈞道人、恐ろしい相手であった。グリモア猟兵達が決死の覚悟で挑んでも、今回は撃退するのがやっとという相手。
この先、再び相まみえる時に果たして倒せるのか…。問題は残っているが、今は…、誰一人欠ける事なく帰還出来る事を皆で喜ぶのであった。
【完】
大成功
🔵🔵🔵