10
殲神封神大戦⑰〜全てが蝋で埋まる前に

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑰
🔒
#渾沌氏『鴻鈞道人』


0




●捕らわれし肉体
(みなさん……今回はかなりマズい状況です……)
 仙界の最深部に未だ形定まらぬ地『渾沌の地』にミネラル・トーリア(蝋成分100%のブラックタール・f25607)はそこにいた。
 本来、猟兵達を送り出すだけのグリモア猟兵のトーリア、それが今回に限って何処か違和感を感じていた……。
 気づけば今の場所に立っている……それは、自らの意思ではなく―――。

『何度でも【再孵化】せよ。死ぬ事は赦さぬ』
(まさか……ボクが狙われるなんて……)
 自らを【骸の海】と自称する謎の敵、渾沌氏『鴻鈞道人』の声が響く。
『私は常より名乗っており、隠しても居ない』
(くっ……身体の自由が……)
『私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である』
 必死にもがくトーリア、しかし自身の身体はびくともしない。
『お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である』
 彼女は必死に考える、ここからどうすればいいのか……。

●あ、シリアスはここまでですよ?
 トーリアによって転送された場所……『渾沌の地』に足を踏み入れた。
 今回は渾沌氏『鴻鈞道人』を倒す事、相手は『再孵化』によって今まで倒してきたオブリビオン達が作られ戦力として襲ってくるというものだ。
 彼(彼女)らを襲い掛かってくる敵を待ち構えていた……が。
 目の前には転送してくれたはずのグリモア猟兵のトーリアがそこにいた。
 何故?と疑問に思考する前に彼女が口を開く。
「す……すみません……油断してしまいました……」
 必死に何かをこらえているような……何やら様子が変だ。
「詳しい話は後です……端的に言えば……鴻鈞道人と融合されてしまいました……!」
 冗談のような発言、しかし彼女の表情を見れば嘘を言っているわけでもなさそうだ。
「まずは……ボクを……倒してください……本気で行かなければ……ぐうぅ……」
 とんでもない一言、そして苦しそうな表情から一変し、虚ろな目を浮かべる。
『絶えず時は運び、全ては土へと還る』
 声色が違う……彼女の言っていた『鴻鈞道人』と思われる。
『罪深き刃(ユーベルコード)を刻まれし者達よ』
 さらにはトーリアの身体が溶けていき、バケツの中に溜まっていく。
『相争い、私の左目に炎の破滅(カタストロフ)を見せてくれ』
 ゴトゴトと大きなバケツが揺れ動き……倒れた。
 と、同時に彼女の肉体でもある純白の溶けた蝋が溢れ出す。
「アアアアァァァ―――!」
 耳を防ぎたくなる程の咆哮が木霊する。
 同時に溢れ出す明らかにバケツの内容量を超えた量が壊れた蛇口の如く噴き出す。
 さらに溶けた蝋は大きく、何かを形作っていく……。
「アアアアァァァ―――!」
 再度の咆哮……形作られた『それ』はトーリア……巨大化した彼女自身だった。
 それは、本来他人に見せる事がないはずだった……。
 彼女の真の姿―――。

(あぁ……やってしまいましたか……)
『足掻くが良い、お前が何をやっても……』
(はぁ……あのですね……)
 今まで抵抗しようとしていたはずの彼女はため息をつく。
 そして、衝撃の事実が彼女の口から飛び出した。
(真の姿になると……ボクでも制御できないんですよ……)
『……え?』
 そういえばたまーに、ホント気づかないぐらいの頻度で身体の制御が自分の意思とは異なった動きをするのだが……。
 まさか?そんなはずは……?

「アアアアァァァ―――!」
 巨大なる蝋の女王は動き出す……。
 未だバケツからは溶けた蝋が溢れ出し続けている、このままではこの場所が……どころか自分達以下、別の戦場にも蝋で埋め尽くされるのも時間の問題だろう。
 彼女の言葉……「ボクを……倒してください」
 相手が同じ猟兵であるため躊躇うこととなるが……本気で行かなければこちらがやられてしまう!
 脳裏に葛藤を過ぎりつつも、白き巨人と化したグリモア猟兵に向かっていった―――。


もちもち大福
 おはこんばんちは!今日ももちもち!もちもち大福です。
 大丈夫です、いつもの展開です。
(色んな意味でヤバいですが……)

 戦争シナリオのため、特殊ルールが存在します。
 プレイングボーナス……グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。
 鴻鈞道人と融合してしまったトーリアは真の姿となって襲ってきます。
 仮に猟兵達がそのグリモア猟兵と何らかの『心のつながり』があったとしても、一切有利には働かないため、融合した鴻鈞道人が力尽きるまで戦うしかありません。
 さらに真の姿となったトーリアは強すぎるために『手加減をする事もできない』上に、現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法は無いです。
 現状としては、彼女の入っていた大きなバケツが転がっており、そこから無尽蔵に吹き出し続けており、辺り一面は蝋の沼と化して広がり続けています。
 それを中心に巨大化した真の姿のトーリアといった配置になります。
 基本的に巨体を活かして相手を捕らえて蝋漬けにしたり、蝋を飛ばして拘束しながら蝋の沼に沈めたりと結構単純です。
 さらに融合してはいますが、自由に操っているようで操られてなさそうで地味に操り切れていない状態の上、本気で迎え撃つためにこちらも全力でぶつかってきてください。
 普通の人とはワケが違うため或る程度ボコボコにしても大丈夫ですが、時間が掛かると出続けている蝋が広がって不利になる可能性があります。
 尚、蝋の身体となっておりますが、本体のダメージと共に噴き出す蝋=血と判断して、プレイングをしてください。

 今回は通常とは異なる状況のため、いつもの通りのやられ前提のプレイングは内容によって流す可能性があるためご了承ください。
(一応最終的に蝋固めされてしまっても終了時にはなんやかんやで戻ります)
 それでは、みなさまのプレイングをお待ちしております!
49




第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 まず現状を整理しよう―――
 グリモア猟兵のトーリアは現在、渾沌氏『鴻鈞道人』と融合し……さらには真の姿へと変貌、巨大なトーリアが今猟兵達の目の前に佇んでいる。
 その近くには彼女が入っていたであろうバケツが浮かんで、それを守るように巨大トーリアはその場から動こうとしない……いや、動けないのか?
 さらにはそのバケツから質量を超えた溶けた蝋が溢れ出続けており、現在も少しずつ蝋の沼が広がっていっている。
 恐らく……あの沼には足を踏み入れない方が良いと、猟兵達の勘が囁いている。
 このまま放っておけばこの戦場どころか、他の戦場まで影響が出てくる可能性のある傍迷惑な状況だ……!

 つまり今回はいつもの……ではなく、融合してしまった彼女(しかも真の姿で)と本気で戦わなければならないのだ。
 色々と気になる部分はあるだろう……。
 だが、彼女を助けられるかは……今ここにいる猟兵達次第だろう……。
四王天・燦
蝋のカタストロフだ…色んな意味でやべえ!

三倍とか気にしてられね…元が高すぎ!
でも純粋な速度は変わらないので足で攪乱するぜ
距離を取ってダッシュで逃げ惑う
沼は片足が沈む前にもう片足を出す出す理論…実際は空中浮遊して突っ走る

蝋液はアークウィンドを振るって風の衝撃波で散らすぜ
喰らわないに尽きる
って、ぎゃー顔半分固まったー!(ダメージ描写おまかせ)

喚いて調子に乗らせつつ密かに蝋の海に結界符を沈めていくよ
いくぞ真威解放!

蝋の海を散らしたところでバケツに向かうぜ
第六感でそこらに核があると思ったから!
それっぽいところに黒曜石の杖から石化ガスを浴びせてやる

最後は親指立てて蝋に沈みつつお次の猟兵に任せると思います



「蝋のカタストロフだ……色んな意味でやべえ!」
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は目の前に立ちはだかる蝋の巨体に驚くばかりだった。
 だがそれだけではない……本人であるグリモア猟兵トーリアや現在進行形で広がりつつある蝋の沼の事もある、このまま手をこまねいているわけにはいかない。
「三倍とか気にしてられね……元が高すぎ!」
 こんなものが他の戦場へ移動するとなると大惨事は確実に逃れられないだろう。
 しかし、その巨体であるが故に純粋な速度はそこまで変わることはないため、燦は足で攪乱する事にする。
「アアアァァァ―――!!」
 巨大な蝋塊となったトーリアは燦に気づき手を伸ばそうとするが、そうはさせまいと距離を取ってダッシュで逃げ惑う。
 蝋沼の上では片足が沈む前にもう片足を出して進む理論で走っていく……と見せかけて実際は【空中浮遊】して突っ走っている。
 その彼女を捕らえようと片手を伸ばしては躱され、もう片手を伸ばしてはまた躱されていく。
「ひゃー……あっぶねぇー……」
 こちらもこちらで余裕があるというわけではないようだ……何故か腕組みをしながら余裕そうに走っている事については突っ込んではいけない。
 しかし、ここでふと燦はあることに気づく、思い切り遠くへ離れても追いかけてくる気配はなく、逆に近づけば襲ってくるということが分かる。
「ふむ……これは……」
 今まで逃げ回っていた彼女が突然巨大トーリアに向け始めた。
「アアアァァァ―――!!」
 相手も沼に手を突っ込んでいき、蝋塊を引き上げるなり投げ飛ばしていく。
 襲い掛かる蝋粘液に燦は風属性の短剣【アークウィンド】を振るって風の衝撃波によって飛び散る蝋を散らしていく。
 が、全て捌ききれず一部の蝋液が彼女の身体や顔に付着してしまう。
「喰らわないに尽きる……って、ぎゃー!顔半分固まったー!!」
 文字通り蝋が顔半分を浴びてしまい、片目が見えなくなってしまう。
 顎にかけて流れ落ちる蝋が固まり氷柱のように作られる。
 顔だけではなく身体の所々に付着し固化しているが、幸い脚といった運動を阻害されるような事はない。
「アアァァ―――!」
 喚いている彼女を見て追い討ちをかけようとする。
 当の本人はその相手を調子に乗らせつつも密かに結界符を蝋の沼へ沈めていく。
 その直後には巨体がもう一度持った蝋塊を投げつける。
「いくぞ真威解放!」
 ユーベルコード【真威解放・アークウィンド【テンペスト】】を【アークウィンド】を振るって発動させる。
 蝋液を浴びる直前に結界符が発動、限界圧縮された破滅の暴風雨を降り注ぐ蝋と共に蝋の沼を散らしていく。
 その暴風雨に驚いて一瞬動きを止めるトーリアを他所に、燦は一直線に未だ溶けた蝋が溢れ噴き出し続けるバケツに向かっていく。
 彼女の【第六感】によって、そのバケツに『何か』があると感じたのだ。
「それっぽいところに石化ガスを浴びせてやる!」
 バケツの中にあるであろう核っぽいところに【黒曜石の杖】から石化ガスを出して浴びせていく。
 普通に考えれば非生物に近いものなので石化が効くかどうかは不明として……巨大トーリアの様子が一変した。
「アアアアァァァァ―――!!」
 あれだけ暴れていた巨体が頭を抱えて動きが止まっていたのだ。
「あれ?もしかして効果あり?」
 予想外の反応に呆然とした燦の身体が直後沈みだす。
 全力を出し尽くして【空中浮遊】も維持できなくなったため、蝋の沼という名の地に足が付き沈んでいくのだ。
 とはいえ彼女は特別慌てるわけでもなく、やれることをやり切ったため別の猟兵達に次を託すという形となっていた。
 むしろ最後に至っては頭も沈んだ後に手だけ残った状態で親指立ててそのまま沈んでいくほど余裕はあった……ようだ?

 一人の猟兵の犠牲(?)によって真の姿のトーリアについて少しわかったような気がする―――。
 しかし現状は変わらず、巨大トーリアは再び動き出す―――。
 蝋の沼は少しずつ広がっていき、時間も余裕もあまりないだろう―――。
 融合し捕らわれた彼女を救うため、この戦争を終わらせるために―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


『成程……これがお前の力か……』
 トーリアの意識下の中……融合を果たした鴻鈞道人が巨大化した彼女の動きに慣れていきつつある。
『やはりコントロールが難しい上……巨体であるが故に動きも鈍いか……』
 その反面、巨大トーリアの身体全身が粘液状であるため、使いようによっては十分猟兵に対抗制圧できるだろう。
(しかし……やはり短所も目立つな……)
 真の姿となったトーリアはもはや誰にも止められない……はずだった。
 彼女が入っていたバケツに石化の呪いを送られた途端に制御ができなくなった。
 やはり……恐らく……と鴻鈞道人はぶつぶつと独り言を繰り返す。
『だが、これこそ……』
 ニヤリと笑みを浮かべる彼にトーリアはただ黙って見ているしかなかった……。

 しかし、それでも猟兵達は前へ進む……奪われた彼女を取り戻すため、鴻鈞道人の侵攻を食い止めるため、そしてこの戦争を終結させるために……。
(みなさん……ボクは何もできませんが……信じています……)
パティ・チャン
■SPD
予め[迷彩、オーラ防御、落ち着き、空中機動]発動

ひとまずは。私が空を飛べる妖精族で良かった、というべきでしょうか。
溶けた蝋の沼に降りたら、一巻の終わり、ですね
(一瞬冷たいモノが心の中に流れる)

先制攻撃を避けるべく、予め発動させた技能をフル活用させて、兎に角蝋の直撃は避ける
(あんなの一発でも喰らったら、おしまいだわ……)

「それじゃ反撃、いきますよ!」
UCを[2回攻撃、カウンター、勇気、空中機動]つきで発動させます!

……とはいえ、このUCは4発全て当てると、トーリアさんを死に至らしめてしまうかもしれません。救出最優先。出来れば諸撃を空振りにしておきたいところですが…

※連携・アドリブとも歓迎



 次なる猟兵はパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)、26.4cmという小さな身体を持つ妖精騎士だ。
 そのため広い蝋の沼を飛んで足を踏み入れずに行動ができる。
 さらに予め【迷彩】【オーラ防御】【落ち着き】【空中機動】を使用して相手の先制攻撃に備え進んで行く。
(溶けた蝋の沼に降りたら、一巻の終わり……ですね)
 一瞬冷たいモノが心の中に流れる、生暖かい蠢く粘液に入ってしまえばどんな種族だろうと逃れられず呑み込まれてしまうだろう。
 少なくともそれだけは避けたいと心に留めつつも、一番反応が違っていた浮かぶバケツに向かっていく。
「アアアァァァ―――!!!」
 彼女の存在に気づいた巨大なトーリアの皮を被った鴻鈞道人の動きはさっきまでとは異なっていた。
 動きが遅いなりに着々と使いこなせつつあり、両腕を蝋の沼に思いきり叩きつけ大きな蝋津波と蝋の飛沫が舞った。
(あんなの一発でも喰らったら、おしまいだわ……)
 パティは小さい……それ故に大きな一滴でも浴びてしまえばあっという間に沼へ真っ逆さまに落ちてしまう。
 その先制攻撃を避けるべく、使用中の技能をフル活用させていく。
 雨のように落ちてくる蝋の雫を【落ち着き】ながら【空中機動】によって躱していき、触れそうな場合には【オーラ防御】で防いでいく。
 さらに【迷彩】によって相手から蝋津波に隠れながらなど、様々な隠れ方で発見しにくくして、一直線にバケツへ近づいていく。
「それじゃ反撃、いきますよ!」
 蝋を噴き出し続けるバケツに向けてユーベルコード【Flower pool Delight】を発動させる。
 さらに【2回攻撃】【カウンター】【勇気】【空中機動】を合わせていく。
「舞い立ちなさい、歓喜の泉より!」
 背中の羽根を羽ばたかせ、バケツとの間合いに踏み込んでいく。
「アアアァァァ―――!?」
 彼女の存在を見つけるが時すでに遅し、幻影の花の泉に舞う蝶の幻を放ちながらバケツに向けて攻撃を開始する。
 一発目―――やはり特殊な作りになっているのか傷がつかない。
 二発目―――少し傷ついた……が致命傷ではない。
 三発目―――さらに傷がつく、この時点でまた巨大トーリアの動きが止まった。
 四発目―――を当てると死んでしまう、相手が救出最優先であるグリモア猟兵であるためそこまでやる必要はない。
 可能であれば諸撃を空振りにしたかったが……。
 その瞬間、殺気が身体中に感じるなり横を向くと巨大な蝋の手が迫って来た。
「くっ―――!?」
 パティはユーベルコードを強制的に解除し、残された力を回避に転換する。
 寸でのところで回避しつつ、飛び散る蝋も技能を駆使して躱しつつも離れていく。
 さっきまで動きが止まっていたはずだったが……鴻鈞道人が彼女の身体を使いこなしているように感じられた。
「アアアァァァ―――!」
 さらに巨大トーリアの身体から蝋の刃が飛び出してくる。
「なっ!?さっきまでそんなの無かったはずよ!?」
 驚愕しながらも彼女を狙う白い刃は雨が降るの如く降り注いでいく。
 しかし大きな刃にパティは冷静に躱していき、戦場から即座に離脱する。
「あ……危なかった……」
 攻撃範囲外へと脱出した彼女は肝を冷やす。
 さっきまで特に攻撃とも言えない攻撃のはずが、唐突に攻撃の幅が広がっていた。
 それは、鴻鈞道人自身が融合した彼女の身体に慣れ始めている証拠でもあるのかもしれない。
 が、今のパティに確かめられる気力は残されておらず、予想外の攻撃に全力を振ってしまったためである。
 残りの猟兵達に後を託すしかなく、広がりつつある蝋の沼から離れるのに精いっぱいだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
ダッ、ドゥァーン!
浮上して偽乳を揺すって蝋を落とすぜ
下着までベトベト
胎内蝋化の異物感は恥ずかしさ耐性で耐える

触手キター!
稲荷符の火属性攻撃で焼き熔かす
神鳴から電光ビームで反撃だ
…ビームも蝋で固まるとか知ってた

ぎゃー飛んだー、蝋の刃が降ってきたー
再び結界を張って身を護る
結界表面が蝋で包まれたら目くらましに利用するぜ

玖式で炎の弓矢を生む
自爆覚悟でカウントダウンを起動
矢に妖力を力溜め開始
爆発と同時に結界を解き、周囲の蝋を吹き飛ばして射線を通す

蝋刃の裂傷から浸蝕されても気合で耐え…部位破壊:翼で射ッ!
イカロスの翼作戦だ

あ…
落ちて来た巨ミネラル女史に捕まり食べられ、取り込まれるのでした

お次の猟兵に以下略



 ダッ、ドゥァーン!
 浮かんだままドロドロの蝋塊と化した燦が気合を入れて身体に纏わりつく蝋を吹き飛ばす!
 偽乳を揺すりつつ残った蝋も落としたが、身に着けていた衣服は下着まで浸食しておりベトベトだった。

 え?彼女が親指立てて蝋の沼へ沈んでいく涙なしに語れないシーンだって?そんなものはない!

 なんやかんやで気合で蝋を落としたものの、それは外側だけで身体の中……特に胎内は特に蝋の侵食が酷く、感じる異物感は【恥ずかしさ耐性】で何とか耐える。
「アアアァァァ―――!!」
 まさか蝋の沼に沈んだはずの彼女が復活するなんてこの場にいる全員はおそらく思ったのであろう。
 トーリアという名の融合した鴻鈞道人も驚きつつもすぐさま戦闘態勢に入る。
 再度甲高い叫びに応じるかのように、巨大トーリアの周りから蝋でできた触手が現れるなり燦に襲ってくる。
「触手キター!」
 何故か喜びの声が上がるがきっと気のせいだろう……無論、触手自体蝋そのものであるため捕まってしまったら言わずもがな……。
 そこに取り出した稲荷符の火【属性攻撃】で迎え撃ち、蝋の触手を文字通り焼き熔かしていく。
 さらに刀身が帯電している特殊な刀【神鳴】によって電光ビームで反撃するが、蝋の触手の先端から溶けた蝋をホースから出る水のように噴き出していく。
 なんとその電光ビームが蝋に包まれ……そのまま固まってしまい重力のままに落ちて沼へと沈んでいった。
「……ビームも蝋で固まるとか知ってた」
 普通なら予想できない事を燦は普通に予想していたようだ……できるの!?
「アアアァァァ―――!!!」
 しかしそんな摩訶不思議な攻撃手段を増やしていく鴻鈞道人はとんでもない行動に移した。
 その巨体から翼が生え宙に浮かび……飛んだのだ!
 身体から大量の溶けた蝋をまき散らしながら……最早なんでもありである。
「ぎゃー!飛んだー!?」
 無論、燦も突然の飛翔に素で驚くばかりだった。
 さらにはその翼から蝋の刃を大量に作り、雨のように降らせていく。
「蝋の刃が降ってきたー!?」
 降り注ぐ刃に対抗するために再び結界を張って身を守り、突き刺さるはずの刃は粘液へと溶けていき結界自体を蝋で包んでいく。
 むしろこれこそ好都合であり、結界表面が蝋で包まれていき、相手への目くらましとして利用をする。
 その間に燦はユーベルコード【フォックスファイア・玖式】を発動、狐火から形成された実体の炎の弓矢を生み出す。
 自爆覚悟で時限爆弾【カウントダウン】を起動させると同時に矢に妖力【力溜め】を開始する。

 5―――。

 4―――。

 3―――。

 2―――。

 1―――。

 0と同時に【カウントダウン】が閃光と爆音によって爆発と共に結界を解く。
 爆風によって周囲の蝋を吹き飛ばして射線を通す。
 同時に蝋の刃が燦の身体に突き刺さる、痛みは無くそれらは液状へと溶け、再度彼女の身体を侵食していく。
 それでも気合で耐え、溜め切った妖力のこもった炎の弓矢を放っていく。
「射ッ!」
 その目標は翼……【部位破壊】によって飛翔能力を失わせる作戦、その名も―――。
「イカロスの翼作戦だ!」
 彼女の目論見通り、片翼の付け根が思い切り溶け落ちながら綺麗に分断した。
 その巨大な蝋塊は叫びながら落下していく。
「アアアァァァーーー!?!?」
「あ……」
 よりにもよって燦の近くに……。
 大きな水飛沫ならぬ蝋飛沫が彼女を含む周りを巻き込んでいく。
 必死にもがきながらも気づけば……。
「うそ……」
 顔を青ざめる彼女の真下には、あの巨大トーリアの頭が嫌というほど目に入った。
 しかもご丁寧にも大きな口を開けて―――。

 結局、やられた分だけ倍返しとして反撃、彼女を落下させたものの……油断してその本人によって成す術なく丸呑みされてしまったのだ。
 体内はもちろん蝋で満たされており燦の一瞬にして蝋漬けにしてしまうほど。
 上から下へと通り、流動する彼女の身体から流れ出るように現れる。
 既に身体の芯まで蝋に侵されており、さらに外側もドロドロの蝋で漬け込まれ、再び悲惨な姿を晒す事となった。
 再び後の猟兵達に託すように―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


『身体は馴染んできたようだが……』
 鴻鈞道人はどうにも調子が悪かった。
 やはり人ならざる不定形では融合しにくかったのか?
 しかし猟兵を撃退しているので特に問題はない。
 少しずつ広がる蝋の沼もある、攻撃手段も慣れて増やしていける(ただどれも蝋化効果ではあるが……)
『このまま耐えれば問題はない……』
 身体にはダメージを負っているが、まだ動ける……。
『さぁ、私の左目に炎の破滅(カタストロフ)を見せてくれ』
 融合した蝋の巨体はこの戦場を真っ白に染めようとする……。
九重・白亜
ヤバこいつ(直球)

しかし状況は理解しました。確かにまずいですね……このままでは本気で世界が蝋にまみれかねない。
ならば──オブリビオンには、オブリビオンで抵抗すルのさ!
心ヲゆダネて、一ツにぃィぃぃ!!

指定UCを発動後、触手をアンカー代わりに伸ばして巨大化したトーリアの一部へ接着、そこから急接近しつつ肉体をポーシュボスの細胞で上書きする。
相手がドロドロの蝋で侵食するならば、こちらもドロドロの液体で侵食させてやる!

聞コえる?こノまま、ヒトツに……うウン、混ザれ。異物に悶エ苦め!彼女を解放シナけれバ、コノまマお前もポーシュボスサマの仲間入りだ!あハは!アハハ!!

あれ、これ一緒に固まるパターンじゃね?



「やばコイツ」
 と、巨大なトーリアの姿を見て九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)は口からド直球な一言が洩れた。
 ドロドロの蝋で構成された巨大な『それ』なのだから彼の言うことはごもっともである……。
「しかし状況は理解しました、確かにまずいですね……」
 そう、このままでは冗談抜きで本気でこの世界が蝋まみれになりかねないのだ。
 ならばと白亜はユーベルコード【咲き乱れる黄金色の異形花】を発動させる。
「オブリビオンには、オブリビオンで抵抗すルのさ!」
 かつて別の世界で起きた戦争に現れたオブリビオン・ポーシュボスのシードコアから伸びる触手を自ら覆っていく。
 あの時、それに同化されてしまったあの感覚……身体に染みついて忘れられない感覚……。
「心ヲゆダネて、一ツにぃィぃぃ!!」
 それは、意識を保ったまま自身がポーシュボスへと変貌していく。
 身体に覆われた触手をアンカー代わりに伸ばしていき、巨大化トーリアの一部へと接着し繋げていく。
 それに気づいた時にはすでに遅く急接近を始める。
「アアアァァァ―――!!!」
 両手で思い切り沼を叩きつけると同時にそこから巨大な蝋の津波が発生する。
 白亜はそれに臆することなくそのまま真っ向に大波を突っ込んでいく。
 一瞬にして純白のドロドロにまみれた彼、本来ならそのまま固まるところだが……。
「無駄ダ―――!!」
 液体から固体になる前に固まりゆく肉体をポーシュボスの細胞で上書き、真っ白な身体は一瞬にして真っ黒な肉体へと戻る。
「相手がドロドロの蝋で侵食するならば、こちらもドロドロの液体で侵食させてやる!」
 そのまま巨体の一部に取り付き、自身が蝋に呑まれる前にその蝋自体を細胞で侵食させていく。
「アアアァァァ―――!?」
 融合している鴻鈞道人は焦って巨大な手で彼をつかみ取ろうとする。
 だが、そこから漆黒に染まり侵食されてしまう。
(聞コえる?こノまま、ヒトツに……うウン、混ザれ、異物に悶エ苦め!)
『これは―――何だ―――!?』
 意識内に聞こえる白亜の声……それに驚く鴻鈞道人……。
 さらには得も知れぬ異物の侵食……しかし覚えのある感覚……。
(彼女を解放シナけれバ、コノまマお前もポーシュボスサマの仲間入りだ!あハは!アハハ!!)
 本当に猟兵なのか?今気づいた骸の海と同じ感覚……本当に『それ』は人なのか?
 その巨体は黒く染め上げていく―――はずだった。
『私も大人しくやられる訳にはいかぬ―――』
「アアアァァァ―――!!!」
 突然巨大トーリアは黒く染め上げる最中に動きを止めた。
 身体中の流動する蝋の動きが止まり、それに気づいた白亜はふと何かを察する。
(あれ、これ一緒に固まるパターンじゃね?)
 同化を進める彼を巻き込んで自ら固体になることによって侵食を阻止しようとしたのだ。
 時間はかからず、巨大な蝋の塊は文字通り固体の塊と化す……侵食しようとした白亜も巻き込んで……。
(…………)
 あれだけ音が響き合っていいたはずの戦場は一時の静けさを包んでいく。
 未だ広がり続ける蝋の侵食の音を残して―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
喰われて蝋に溶けそうだ
ミネラル女史も渾沌に溶かされてこんな気持ちなのかな

っざけんなー!
魂の炎を燃やして気合で復帰するぜ

神鳴に電撃とマヒ攻撃を纏わせ、痺れを持って渾沌の諸相を防ぐ
諸相の中に女史の依頼で酷い目に遭わされてきた敵たちを垣間見て慄くよ
現実に何か異常攻撃を受けているのか、フラッシュバックなのか判別がつかない

が、負けては女史は取り戻せねえ
勇気を出して向き合うぜ

渾沌で異形化なら、理を持って正しい姿に戻す
破魔と浄化、そして扱えはじめたばかりの理属性攻撃でカウンターの一撃を見舞うよ

機が来たなら逃さない
蝋の巨体を空中浮遊を交えて駆け上り、慈悲の聖剣で両断するぜ
往ねよ渾沌!

おかえりなさいミネラル女史



 鴻鈞道人は今の状況を芳しくないと感じた……。
 仮にもグリモア猟兵という人質がいるにもかかわらず、皆本気で強力な力をぶつけてきたのだ。
 黒き侵食されそうになった肉体を緊急脱出させ、真の姿から通常の姿へと戻ってしまう事となった。
 それでも蝋の沼は広がり続ける……これ以上、傷を負うことは許されない……。

 一方、無限の蝋の中……燦は蝋の沼に沈んでいき、薄れゆく意識さえも溶けていきそうな気分だった。
 トーリアもまた鴻鈞道人と融合され、溶かされていく気持ちも分かるような気がした。
「っざけんなー!」
 ワケでもなく!魂の炎を燃やし、大きな蝋の飛沫を上げて気合で復帰していく。

 さて、世の中には『二度あることは三度ある』という言葉がある。
 つまりは二度あったことは必ずもう一度起こるということわざである。
 最も……燦の場合は『三度目の正直』とも呼ぶだろう。

 突然現れた彼女に鴻鈞道人は身構える。
『またお前か……いい加減諦めるたらどうだ……?』
「悪いけどアタシは最後まで諦めない性質でね!」
 蝋の身体の一部が異形と化し、渾沌の諸相として燦に襲い掛かる。
 それに対してバチバチと電撃が弾ける【神鳴】に電撃と【マヒ攻撃】を纏わせ、痺れを持って防いでいく。
 だが、その防御で諸相の中に様々な場面を垣間見ていく。

 ある者は蝋が滴る大きな袋を持った赤い少女……。

 ある者は死んだ事に気づかずに永遠と彷徨う少年……。

 ある者は珊瑚に身を包んだ無機質な女王……。

 ある者は誘惑に負け堕ちた彫刻家の迷い人……。

 ある者は悪しき魂に囚われ歌声と石化によって惑わす妖怪……。

 ある者は……。

 今までトーリアの依頼で討伐対象であったオブリビオン達……そしてその末路……。
 それらを何度も燦は見ていく、現実に何か異常攻撃を受けているのか、またはフラッシュバックなのか判別がつかない状況だ。
「が、負けては女史は取り戻せねえ……!
 それでも彼女は勇気を出して向き合うと再び決意をする。
「渾沌で異形化なら、理を持って正しい姿に戻す」
 鴻鈞道人は異形化した蝋の腕を振るうのに対し、燦は【破魔】と【浄化】……そして扱い始めたばかりの理【属性攻撃】による【カウンター】の一撃を食らわせる。
『無駄な事を―――!』
 そうは言ってもさっきのカウンターによって融合した肉体の限界は近い……その時が来た―――相手は巨体ではなくほぼ同サイズ……。
 蝋の沼の上を【空中浮遊】をしながら、ユーベルコード【巫術[慈悲の聖剣]】を発動させる。
 破魔の力を籠めた霊力で形成された光の非実体剣が融合した悪意だけを両断した。
「往ねよ渾沌!」
 蝋の身体から鴻鈞道人の気配が消失していく。
『なる……ほど……今回も……』
 完全に気配が消失し、トーリアの身体が解放された。
 蝋の身体は崩れ落ちると同時に、広がりつつあった蝋の沼はまるで逆再生するかのように急速にバケツの中へと戻っていく。
「よっと……」
 全て蝋が回収されると同時に燦は倒れたバケツを元に戻していく、この戦場を駆け抜けた猟兵達も集まってくる。
 そして中から人型を形作ったトーリアが姿を現す、今度こそ本人であり融合された者でもない。
「おかえりなさいミネラル女史」
「……はい!ただいま……です!」
 疲れが見えつつもにっこりと笑顔を浮かべるトーリアの表情は助けられた安堵を浮かべていた。

 こうして鴻鈞道人と融合したグリモア猟兵を助け出すことに成功した。
 グリモアベースに戻ったトーリアは猟兵達に助けられた安堵の反面……グリモア猟兵も決して安全ではない事に不安を感じていた。
 これからの戦いがどうなるのか、彼女さえ……いやどの猟兵やグリモア猟兵さえも未来を予想することなどできなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月04日


挿絵イラスト