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殲神封神大戦⑰~其れは白く醜く

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●渾沌氏『鴻鈞道人』
 封神武侠界にて起きた殲神封神大戦も佳境を迎えている。
 猟兵たちは着実に敵を倒し洛陽の都から進軍を続け、いにしえの仙界『紫霄宫〈しあいきゅう〉』に至る門──南蛮門を潜り、辿り着いた仙界の最深部。
 そこは未だ形定まらぬ『渾沌の地』。
 その地に居た“もの”は、
「……オブリビオンじゃねーんですって」
 セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は、そのココロをなんと表現したら良いのか判らず唇を尖らせた。
「【骸の海】そのものだって名乗ってるんですよ。世界に外に広がる骸の海が左目を得て具現化したもんだとかどーだとかって予知、あんたも視ました?」
 鴻鈞道人〈こうきんどうじん〉と呼ばれる“それ”は、なんとこれまで倒してきたはずのオブリビオンたちまで【再孵化】という力で以て作り出し、のみならずグリモア猟兵達と融合して戦いに用いるなど、まさに“埒外”な存在なのだと言う。
「埒外は猟兵の専売特許だったんじゃねーのか……あ、おれはだいじょぶです、今回は」
 セロは軽く手を振る。彼が今回案内する依頼は【再孵化】も『グリモア猟兵との融合』も関係ない。

「殴りに行きましょう。本体を」

 正直、現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法はない。ひとまず戦闘で殺すことは可能だし、戦争の戦略の面でも、戦力を尽きさせれば“あれ”は撤退するだろう。
 ならばすることはひとつだ。
「ただし、」
 セロはひと差し指を鼻先に立てる。
「もうひとつある鴻鈞道人の能力『渾沌の諸相〈undefined〉』を使ってきます、当然」
 それは、『自らの肉体を渾沌の地と一体化させ、その身を無差別に発現させた不定形の怪物に変異させて襲い掛かってくる』、というものだ。
 これまでの戦争の敵たちと同じく必ず先制攻撃をしてくるだけではなく、その対処までも不明瞭だということだ。
「どんな攻撃が来んのかも判んねー先制攻撃を生き延びて反撃する余地を残しておく必要がある、ってことです」
 敵は強大。
 油断は決して、決して──出来ない。
「……それでも、おれはあんた達を送り出しますよ。だから、勝って来てください」
 東雲色の瞳が、ただ猟兵たちを真摯に見た。

●渾沌の地
 それはまるでソースを煮詰め過ぎた鍋の中のようで。
 それはまるで雨上がりの泥濘を姿の見えぬ生物が泳ぐようで。
 それはまるで異なる比重の液体を無理やり混ぜた界面のようで。
 それはまるで腐り落ちた臓腑のようで。
 定まらず、変わり続ける場所。
 その中で、白く醜い存在は得たばかりの左目をゆっくりと閉じる。

(私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である)
(お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である)

 その音は、声と呼べるのだろうか。
 聴こえぬはずのそれが、渾沌の中でただ届く。

(絶えず時は運び、全ては土へと還る)
(罪深き刃〈ユーベルコード〉を刻まれし者達よ)
(私の左目に炎の破滅〈カタストロフ〉を見せてくれ)


朱凪
 目に留めていただき、ありがとうございます。
 ……道人の見た目が好み過ぎたんだ。朱凪です。

 まずはマスターページをご一読下さい。

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プレイングボーナス……鴻鈞道人の「詳細不明な先制攻撃」に対処する。
=============================

▼遊び方
 純戦です。難易度は『やや難』です。それなりの判定をします。
 『判定はダイス』+『プレイング行動の加点』です。
 傷付いたり苦戦したりしても良いという方はどうぞ。

▼注意
 戦争シナリオであることは百も承知ですが、それ程迅速な執筆にはならないと思います。
 また、書ける分を、書けるだけ、のスタンスのため、採用数はおそらく最低限です。
 ご了承のうえ、ご参加ください。

 では、渾沌に立ち向かうプレイング、お待ちしてます。
200




第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』undefined』

POW   :    渾沌災炎 undefined inferno
【undefined】が命中した対象を燃やす。放たれた【undefined】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    渾沌解放 undefined infinity
【undefined】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    渾沌収束 undefined gravity
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【undefined】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィロメーラ・アステール
へえ、お前もコントンって言うんだ。
奇遇だね、あたしもコントンさ。
……今、思い出したけど!

でも性質は真逆かな?
あたしは未来さ、始まりゆく零からやってきた。
だからお前を許さない!

どんな攻撃でも「放つ~当たる」の流れ、予兆や過程が存在すると思う!
危機を察知する【第六感】と、狙いを惑わす【残像】と、縦横無尽に駆ける【空中浮遊】【ダッシュ】と!
あと【オーラ防御】バリアで!
躱す、受ける、致命打を少しでも防ぐ!

受けきれないかもしれないけど!
自分を【鼓舞】して【気合い】で耐える!

そして【星霊憑依】に繋ぐぞ!
敵の攻撃や部位に憑依して【盗み】取り【浄化】して【武器改造】を施し、自分の【破魔】の一撃として繰り出す!



●等しく遠い
 ごぽり、と泡が弾けるように。
 ずるり、と肉が腐り落ちるように。
 形を変えるおぞましい場所に、綺羅と輝く光──フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が颯爽と舞い込んだ。
 渾沌氏の虚ろな左目を覗き込むように、彼女は微笑む。
「へえ、お前もコントンって言うんだ。奇遇だね、あたしもコントンさ」
 ……今、思い出したけど! 付け足すように悪びれず細められる鮮やかなセルリアンブルーの双眸。渾沌氏は表情を変えない。フィロメーラも、気にしない。
「でも性質は真逆かな? あたしは未来さ、始まりゆく零からやってきた。──だから、お前を許さない!」
 さあ来いとばかりに正面から睨めつけたフェアリーへ、渾沌氏は静かに瞼を伏せた。
(同じ渾沌ならば、ひとつに融けるがいい)
「──……!」
 渾沌災炎〈undefined inferno〉。なにかが命中した対象を燃やすという『渾沌の諸相〈undefined〉』。放ち、当たる。その流れには必ず過程があると予測した彼女に働いた、第六感。まずい。
 敵は既に、放っていた。
 思念。
 彼、あるいは彼女、あるいは何者かの、“声”。
 それでもそれを察知できたのはフィロメーラの高い技能があってこそだった。間一髪で星の輝き煌めくオーラを展開することで、その業火の威力をほんの僅かでも抑えることができたのだから。
「ぐ、ぅうう……ッ!」
 受け切れないかもしれない。それはもちろん、想定済。
 じりじりと灼けていく翅。皮膚も熱風に傷み、骨さえ軋みを上げる。彼女は吼えた。
「あたしは、負けない……っ! 過去が未来に勝てると……思うなぁああッ!!」
 己を鼓舞し気合いで耐える──完全なる根性論。それでも“それ”が戦況を変えることがあるのも、事実だ。
 燃え盛る白い炎の中で、フィロメーラは手を伸ばす。星霊憑依──モレキュールポゼッション。自身が瀕死になった際にだけ、近くの対象に憑依できるユーベルコード。
(、……)
「さあ、お望み通りひとつになってやったぞ。次はあたしの番だな」
 足許に蠢いていた醜い触手を彼女は浄化する。白く白くその色を変えるだけではなく、持つ力をも塗り替えていく。破壊し埋めるだけの過去の手を、癒すためのやさしい掌へ。
「破魔の力を、喰らえ!」
 包み込むように叩き付けた大きな白い掌が、渾沌氏を濁ったソースに叩き落とした。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

クロム・ハクト
沈んで足を取られるわけでなくても立ち止まるのは避けたいな。
感覚的な物と、一体化しているならこの足元から発現させる事もあるかもしれないという考え。

先制攻撃は、処刑道具で勢いを削ぎ、死角や広範のものはからくり人形で受け止める。
不定形ともなると、不用意に侵入させないと言うべきか。
凌いだ後に、オペラツィオン・マカブル。
そのまま返すか、喰らいつくか、いずれにせよ食らってやろうと思っていた。
喪った過去の断片もこの海にあるなら食らおうと思ったか、
それとも"白い"それが骸の海を名乗るのが気に食わないのか、案外後者のような、そんな単純なものかもしれない。

…立ち止まるわけには、いかないからな。

アドリブ・絡みOK



●“白”
 フィロメーラによって渾沌氏の姿が『渾沌の地』に叩き落とされたのを見て、クロム・ハクト(黒と白・f16294)はよりいっそう駆ける足を速める。
 辿りついてすぐに確かめた。確かに不定形の『渾沌の地』は底無し沼のように沈み込むわけではなさそうではあるが、渾沌氏『鴻鈞道人』が一体化しているのだとすれば、油断はできない。
「、」
 揺れる。
 大地が、揺れる。
 沸き立つように揺らぐ大地から放たれた無数の白き刃が三日月描いて襲い来た。
「ぐっ……!」
 高威力の無差別攻撃。軌道はてんでばらばらで、それでもクロムは己を狙うものに絞り大鉈で凌ぎ、からくり人形で受けた。
 響く衝撃と腕の痺れに敵の強さを知る。相棒たる大熊猫の人形は刃によって腕を落とされ足を潰された。否、呪詛を引き受ける依代でもあるというその存在意義を果たしたのかもしれない。
 頬に、腕に、足に、腹に、全身に鋭い傷を受けながらも相棒への感謝の言葉をそっと舌に乗せて。クロムは穢れひとつなく中空へ再び舞い上がった渾沌氏へ黄金の瞳を据えた。
──そのまま返すか、喰らいつくか、いずれにせよ食らってやろうと思っていた。
 クロムはだらりと腕を下ろす。甚大な被害を得た人形も、べしゃりと不定形の泥に崩れ落ちた。
(土に還るか。善かろう)
 再び放たれた数多の白き刃。これは渾沌。渾沌とは、【骸の海】なのだと目の前の存在は告げる。
 クロムは思う。
 自分は、喪った過去の断片もこの海にあるのなら食らうことで我がものとできはしないかと願ったのだろうか。それとも“白い”それが【骸の海】を名乗るのがただ気に食わないのか。
──案外、ただそれだけの理由かもしれないな。
 彼はちいさく笑った。
 先程散々にクロムの身を裂き相棒を刻んだ白刃は、今度は彼を傷付けない。オペラツィオン・マカブル。
 きゅい、と十指から繋がる人形を起こせば、白黒熊猫はすっぱりと切断された両腕を白い虚ろへと差し向けた。
「……立ち止まるわけには、いかないからな」
 返すぜ、と短く告げると同時、弾き出された白い三日月型の無数の刃。
 それは渾沌氏の白い翼、白い腕、白い膚──すべてを裂いたが、彼自身も血を失い過ぎた。刃の攻撃が止むと同時、眩む視界に、クロムも膝をついた。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

夏目・晴夜
骸の海そのもの?
それってハレルヤよりも凄いのでしょうか

しっかし何が来るのか判らないとは狡いですねえ
流石のハレルヤでも、【呪詛】を込めた【衝撃波】や
【第六感】【武器受け】で対処しきれるかは危ういです
なので、不要な部位を切り捨てます

駆ける為の両脚と、生きる為の頭と心臓さえ守れれば構いません
利き手である右腕も残したいですが、まあ失っても何とかなるでしょう
妖刀の柄を咥えれば十二分に戦えるのがハレルヤの至高たる所以ですので
ああ、でも一生残るような怪我は負わなければいいですねえ
私の行動に怒ったり、悲しんでくれる人達がいるかも知れませんから

先制攻撃を生き延びる事さえ出来れば後は思う存分動くのみ
『喰う幸福』の高速移動と斬撃でズタズタに切り裂いて参ります
そしてその身を【踏みつけ】強引に留めてでも妖刀を【串刺し】にして、
傷を蝕む呪詛を伴う衝撃波を内側へ直接ぶち込んで差し上げますよ

死んでしまうかも、だとか、撤退した方が、なんて
微塵も思いませんし、思わせる暇もあげません
完全に滅ぼせなくても、お前は此処で殺します



●優先順位/勇戦純意
「【骸の海】そのものと言いました? それってハレルヤよりも凄いのでしょうか」
 至極自然な仕種で夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は首を傾げた。副音声が聴こえる。私はそうは思いませんねえ!
──しっかし何が来るのか判らないとは狡いですねえ。
(性懲りもなく過去を踏みしめるのだな)
 “声”がした。
 放たれたのは──白い光。光線。照射したものを灼き斬るほどの。
 歪みうねる『渾沌の地』に乱反射して、無差別に襲い来る。
「いや、これは」
 晴夜は引き攣るように口角を上げた。
「あまりにも狡いでしょう!」
 普段から晴夜は防戦にほぼ意識を割いていない。掻い潜り、敵を穿つ。攻勢こそ最高の防御だ。そう信じている。そうやって、生きてきた。
「……仕方ありませんね」
 ぽつりと零した晴夜は、『えだまめ』から悪食──鞘のない妖刀を受け取り、胸の前に立てた。アメジストの双眸が爛と光った。
──反射、するんですよね。
 踊るように軽いステップで晴夜は光を追う。反射の軌道を読む。そして瞳に一閃、その瞬間に悪食の刀身を翳した。
「ぐ……!」
 びり、と痺れる感覚。けれど弾かれた光線は『渾沌の地』のどこかへと飛んで消えた。出来る。弾くことは、なんとか。細く息を吐く。
 渾沌氏が“言う”。
(その程度か)
「煩いですね」
 黙っててくれませんか。とまでは口に出来ない。きゅん、と走った光線に耳の端が灼き切れる。かと思えば背後から肩を穿たれる。更に足許に跳ねて胸に──、
「くっ!」
 悪食を身の前に立てる。弾く。背後。しゃがむ。右。脇腹を持ってかれた。上。転がる。足りない、左の指が飛んだ。
 光が熄む頃には、煮詰めたソースのような大地に、ばたばたと大粒の血が零れ落ちた。白い狼の尾も、紅く染まってしまった。
 けれどそれらはすべて、──想定内だった。
 彼は覚悟を決めていた。駆けるための両脚と、生きるための頭と心臓さえ守れれば良いのだと。不要な部位は切り捨てるのだと。
「ああ……これならまだ握れそうですね」
 ぜぇ、と上がった吐息に血が混ざる。利き手もほぼ無事だなんて、さすがハレルヤだと思いませんか? 訊きたいところだったけれど息をするたびに肺が痛んだ。
 それでも彼は踏み出す。
「ええと、なんでしたっけ。過去を踏み締めるのか、ですっけ?」
 肩で息をして、──地を蹴った。噴き出した血が大地に到達する刹那、悪食はクロムによって斬り裂かれていた傷口へと暗色の怨念と共に深々と突き立った。見開かれた左目。口がないから悲鳴もない。
 そのまま柄に全重を乗せ、呪詛と共に衝撃波を放つのに合わせて、晴夜は渾沌氏を突き倒しその肩へ踵を叩きつけた。
「踏み付けてやりますよ、過去なんて、いくらでも」
 じゃないと進めないんです。軍帽の翳で、アメジストの双眸が渾沌氏を見下ろす。
 死への恐怖など微塵も感じないし、撤退など考える暇もやるつもりはない。
「完全に滅ぼせなくても、お前は此処で殺します」
──ああでも、死ぬわけにはいかない、ですねえ。
 一生残るような傷を負ったら悲しんだり怒ったりする人がいるかもしれないと思ったのに、死んでしまったらそれどころではない。
「……ということで、過去〈お前〉を殺してハレルヤは生きていきます」
 

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
ヒトは生きるために過去を踏みしめる
それを悪だとは言わないよね?
これは理
俺もいつか死に骸の海に行く
でもそれは今じゃない
骸の海が生者に干渉するのは間違ってる
…ま、俺はお前が本当に骸の海か疑ってるけど!

どんな攻撃が来ようと関係ない、耐えるだけ
俺はずっとそうしてきた
魔力を高めオーラを作りだし
敵の動きから攻撃が飛んでくる位置を予想し躱せるものは躱す
攻撃は激しいだろう
第一波を耐えたからって俺のターンが来るとも思ってない
UC解放・宵を攻撃回数重視で発動し
この回数を活用して続く敵の攻撃を躱して凌ぎながら敵の元へ向かっていく
接敵しても方針はほぼ変えず
敵からの攻撃に注意しながらUCの一撃一撃を刻みこんでやろう



●折れない心
 晴夜の言葉にサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は穏やかに見える表情のままこっくりと肯いた。
「ヒトは生きるために過去を踏みしめる。それを悪だとは言わないよね?」
 これは理。
 大きくはない、けれど靭い声でサンディが告げるのに、いくつかの攻防の末、再び自由になった渾沌氏はばさりと羽ばたいた。身体は傷だらけ、身体の中心には大きな風穴すら空いているのに、平然として見える。
 あれが【骸の海】だというのならば、それも当然かもしれない。そうも思う。
「……俺もいつか死に、【骸の海】に行く。でもそれは今じゃない」
 紺碧の双眸がひたと敵を見据え、彼は腰に帯びた黒剣を澱みなく抜いた。
「【骸の海】が生者に干渉するのは間違ってる。……ま、俺はお前が本当に【骸の海】か疑ってるけど!」
(私は渾沌氏。すなわち【骸の海】である)
「聞き飽きたよ」
 死にたい女を何度も蘇らせ、猟兵たちの同士討ちを狙うような姑息で卑怯な敵。悪辣。そう断じることが出来る。
(炎の破滅〈カタストロフ〉が起きれば判るだろう)
 ぞぞぞ、と白いおぞましい触手が蠢いた。渾沌の大地を潜り──否、同化し、サンディの足許から這い上がった。陸に打ち上げられた魚が跳ねるような鋭い打擲が飛ぶ。
──どんな攻撃が来ようと関係ない、耐えるだけ。
 ずっとそうしてきた。
 サンディは己の磨いた技能を信じ、すんでのところで触手を躱す。
 対策を考えることが求められるこの場において、思考を放棄することは非常に危険だ。それでも彼は、捩じ伏せた。
 避け切れない触手が掠めた、それだけで燃え上がる白炎に身を灼かれ、筋肉が縮んで骨の軋む音が聴こえる。闇色のオーラを纏い炎の浸食を喰い止めつつ、彼は黒い刀身を敵へと差し向けた。解放・宵。攻撃回数を重視してユーベルコードを発動したなら、サンディは駆け出す。
 触手が渾沌の中から無尽に湧き出る渾沌氏までの直線距離を、触手の軌道や大地の波打ち方を読み、その攻勢を叩っ斬り突き進む。
 運が良かった。そう評するのは簡単だが、それだけ、でもなかった。執念。そうとも呼ぶべきなにか。
 灼けた指先で握り締める柄が滑らぬよう、あくまでも冷静に。ふぅ、と息を吐いて。
「理に背いてるのはお前だろう。なら──正さないとな」
 振り下ろす。
 その黒い刃に、慈悲はない。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

冬・鷙灰
相手にとって不足なし――参る。

無駄だろうが、左の視界から捉えにくいような位置取り、動く。
しかし炎は避けられまい。
一が捉えられぬなら、全を見る。
道士の動きから目を逸らさず、近づくものへ感覚を研ぎ澄ます。

息を止め、裡を灼かれぬように留意し。
爪構え、受ける。

全身が焼け爛れようが構わぬ。
向こうは七孔の六がない。身を惜しんでも恥にしかならん。

この覚悟をもって真の姿を解放。

虎の四肢で地を駆り、爪を変じた鉾にて反撃。
右を意識し、深い一撃を狙う。
渾沌は七孔を穿てば死ぬというが、さて。

こうも灼けたなら攻撃の一切を怖れる必要が無い。
守りを一切捨て仕掛ける。手数で勝負。

お前が齎す破滅は、お前をも灼く……それだけだ。



●過不足
 冬・鷙灰(忍冬・f32991)は静かに渾沌氏を見据えた。
 他の猟兵の攻撃により斬り刻まれたその身に血が滲むことはなく、確かな損傷を与えていることは間違いないのに、変わらぬ表情がそれを感じさせない。
「相手にとって不足なし──参る」
 黒い口覆〈マスク〉の裡で呟き、鷙灰は駆けた。混濁した液体とも固体ともつかぬ泥濘が跳ねる。
 渾沌氏の右目側へと回り込む彼に、渾沌氏はただ翼を広げた。白く歪な、腕や、髪や、背から生えた翼。
 途端に舞い散った幾多の羽根。
 不規則な動きでふぅわと泳ぐ羽根は、避けようと動けば動く程に風に乗って傍へ寄り、触れると同時に白炎となって身を灼いた。
(お前も等しく灰になれ)
「……元より」
 零す声はどこまでも平らかに。
 触れる。燃える。触れる。焦げる。触れる。灼ける。
 ならばと鷙灰は息を止めた。琥珀の双眸は渾沌氏を睨め据えて動かず、ただ腰を落としじゃらと手枷鳴らし爪を構えて──受ける。一が捉えられぬなら、全を見る。
 そう。彼は臓腑の傷みさえ無ければ良いとすべてを放り出した。
──全身が焼け爛れようが構わぬ。
──向こうは七孔の六がない。身を惜しんでも恥にしかならん。
 炯々と光る眼は黄昏色に輝いて。これぞ堅忍果決──ワガミチとばかりに胸に刻むのは『命の限り戦い続ける』という誓いだ。
 全ての戦盤を返しかねない力。埒外の存在たる真の姿。
 白い炎が喰らい尽くすように燃えた場所から、鷙灰はその姿を顕す。太く強靭な虎の四肢には紫紺の鋭い爪が備わる。虎の首があるべき場所に据える半身に散った火の粉は零れて消えた。
「渾沌は七孔を穿てば死ぬというが、さて」
 落とした声が、鴻鈞道人に届くか否か。
 虎の脚は泥濘を大きく穿ち、死角である右に“爪”を突き出していた。その刃は白い頸の大半を断った。
 本来ならば吹き上げる血飛沫に絶命を知るべきほどの傷に──渾沌氏は左目をゆっくり瞬いた。再び羽ばたくと同時に羽根が、白炎が、鷙灰を襲う。
 しかし誓いの許、彼は一切を恐れない。必要がない。
「お前が齎す破滅は、お前をも灼く……それだけだ」
(さすがは罪深き刃〈ユーベルコード〉を持つ者か)
 ほんの少し眇められた左目は、なにを意味しただろう。
 嵐のような白虎の斬撃にその形は更に醜く歪んでいった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ヲルガ・ヨハ
アドリブ歓迎

嗚呼、あれは強敵だ
なぁ"おまえよ"
むざむざ消え果て
過去となる気は毛頭ないさ

『限界突破』し
煙のごとき『オーラ防御』に身を包む
迫りくるそれは触手か、刃か、それとも
打ち砕けぬなら護りを固め

避けきれず、直撃した部位が霊物質と崩れたとて
顔色ひとつ変えぬけれど

ーーッ!!

土塊が、転がる
われを『庇う』からくり人形が
穿たれ崩れ落ち、

"  "……!

最早気力のみで立つそれは
土塊へ成り果ていく"おまえ"を腕に抱き留め
人の子の四肢を生やし
龍の尾をびたり、びたりと打つ

嗚呼、アァ、
ゆるさない、決して
繋ぎ止めるものは只
臓腑を灼き、燃え盛る怒り

過去は過去だ
幾度だって踏み越えてみせよう
喰らい、糧とし、経験を得る
われらは過去ではない、それゆえに
拳を、牙を突き立て
前へ往くのみ

喩え一刻前のわれにさえ
われは勝利する

白き懐へとびこみ【星火燎原】
この顎ひとつさえ、残れば良い

さァーー"喰ろうて"やろうぞ……!



●逆鱗
「嗚呼、あれは強敵だ。なぁ“おまえ”よ」
 虎の“爪”に八つ裂きにされてなお、その大きく傾いだ御首〈みしるし〉を元通りの場所に一応据えて戦闘を継続する渾沌氏の姿は異形であり異常であったけれど。
 ヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は常と同じく土塊固めたからくり人形の腕に抱かれ、面紗の向こうで薄っすらと笑みさえ刷いた。心配するなとでも言いたげにからくり人形の頬をそっと撫でる。
「むざむざ消え果て、過去となる気は毛頭ないさ」
(お前にその気がなくとも、)
 白い歪な翼を羽ばたき、渾沌氏が“言う”。
(全ては土へと還る)
 同時に放つ渾沌収束〈undefined gravity〉。白く幾何学模様を描き複雑に飛翔するそれは──人の手だ。
「悪趣味な」
 咄嗟にけぶりが如きオーラを纏い身を護るが、優に千を超える数の手はまるで神に縋るかのように彼女の衣を掴み、髪を掴み、腕を掴み、……千切る。
 ほろほろと鱗が零れるように霊物質となって崩れるそれにも、面紗の奥のヲルガの表情は揺れることもなかったけれど。

(その、偶人のように)

「──ッ!!」
 がくりと視界が揺れて、ヲルガはそれを知った。
 敵のすべてを攻撃する手は、ヲルガだけではなく彼女の無二の供にも縋りつき、引き千切り、抉り取った。そうでなくてもこのからくり人形は彼女を庇う。
 彼女に群がる腕を振り払わんと上げたそれに、白い白い指先がめり込んで、土塊が零れ落ちる。
「“  ”……!」
 己の喉は、震えたのだろうか。
 己の鼓膜は、揺れたのだろうか。
 もはやヲルガにも判らない。判るのは千を超える白い人の手が、“おまえ”を奪っていくことだけだ。
 腕の形を留めていないそれから降り、人の脚を生やしたヲルガは竜面のからくり人形をその腕にひしと抱き留めた。気力のみで彼女の傍らに立ち続ける“おまえ”を。
「嗚呼、アァ、」
 面紗の裡から落ちる声音の、人智を超えた色と言ったら。
 銀の鱗並ぶ龍の尾が、びたり、びたりと『渾沌の地』を打つ。
「ゆるさない、決して」
 彼女の瞳を見る者があったならば、そこに溢れる激情に灼き尽くされたことだろう。彼女を繋ぎ止めるのはただ、臓腑を灼き、燃え盛る怒りだけ。
 見据える先の存在は【骸の海】なのだという。踏みしめられてきた、全ての過去なのだという。
「過去は過去だ。幾度だって踏み越えてみせよう」
 とん、と乙女の白い脚は腐れた臓腑が如き大地を蹴る。
 白い手が忍び寄るのも構わずヲルガはひた駆けた。喰らい、糧とし、経験を得る。今を生きる彼女たちは過去ではないが故に、拳を、牙を突き立て前へ往くのみと知っている。
 だから渾沌の中の白き懐へと飛び込んで。
 ヲルガはすべてを解き放つ。星火燎原。追憶を喰らう事により、神力を一時的に増強し全ての能力を格段に跳ね上げるユーベルコード。
 過去とは追憶の塊であろうと、彼女は咢を開いた。

「さァ──“喰ろうて”やろうぞ……!」

 閃いた牙が、見えただろうか。
 次いで、軍神の膂力が戯れに紙切れでも千切るかの如く渾沌氏の右腕の、背中の、翼を捥ぎ取った。
「喩え一刻前のわれにさえ、われは勝利する」
 渾沌氏の左目を面紗越しに睨めつけ、押し殺したように龍は吼えた。
 そして“過去”の頸に手を掛けたところで──彼女の意識は黒に塗り潰された。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

城野・いばら
何もないから容になる様は
生まれたばかりの不思議の国みたい
どんな姿でも驚かないわ
不思議には慣れっこだもの

先制攻撃はトロイメライで風か水の有効な魔法を紡ぎ、属性攻撃
吹き飛ばしちゃう
弾ききれない攻撃はUC発動
茨で武器受けたり捕縛して直撃をかばうの
桃花の浄化の力も重ね、威力を削げれば

夢路にも手伝ってもらい視線をお誘い
攻撃を分散させその隙に間合いを詰める
不安定な場所は空飛べる日傘で駆けるの

伐られてもいばらは何度でも咲くわ
伸ばした茨で生命力吸収し
ダメージを与えつつ継戦能力を維持

UCで得た力と怪力を拳に籠め、アナタにお見舞
泣きべそ天女さんに約束したから
パーじゃなくてグーでって!
皆の頑張りを
平和を無にさせない



●やくそく
「夢路!」
 ユーベルコードの制約で意識を失った“アリス”を救うべく、城野・いばら(白夜の揺籃・f20406)は青い蝶を呼んだ。ひらり舞う翅は鴻鈞道人の左目を覆い、その隙に彼女は仲間を抱いて跳んだ。
 着地と同時にいばらの足許を穿つように飛んで来たのは白い羽根。まあ立派な羽根ペンになりそう、なんて考えられたのも瞬時のこと。豪雨よりも激しい羽根の嵐がいばらへと襲い掛かった。
 トライメライ──魔法の紡錘を手に、彼女は魔法を紡ぐ。羽根には風を。
 確かに彼女の持つ技能により、数十の羽根は吹き飛ばすことに成功した。けれど渾沌氏の放つそれは優に千を超える。桃の枝に咲く破魔の花弁による浄化も、いばらへの直撃の数は確かに減らしただろうが、そこまでだ。
 幾何学な動きに咲かれた皮膚からはぽろぽろと白い薔薇の花弁が散り落ちる。
 痛みについ、顔が歪む。
 だけどそれでも──構わないのだ。
「伐られてもいばらは何度でも咲くわ」
 黒いブーツが煮詰め切ったソースを蹴立てる。勢い乗せてぽんと開いた白い日傘に身体を預けて、白い翼を無惨に捥がれた“鳥”の傍へと舞い降りた。
 同時に、密生した茨が青々と茂り彼女の身体を包み込み、彼女は微笑む。それは茨の森──ネムレルモリ。伸ばした腕から伸びた茨が渾沌氏を絡め取り、じわりじわりと奪い取る生命力によっていばらは気力を回復していく。
 ついでに、固定している。渾沌氏を。逃げられないように。
「皆の頑張りを、平和を、……無にさせない」
(杀了我)
 囁くように告げた、鋼色の濡れた瞳を思い出す。
「泣きべそ天女さんに約束したから」
 彼女のユーベルコードは生命力吸収能力を得るばかりではない。
 自身が敵から受けた攻撃力に比例した戦闘力を増強する。

「パーじゃなくてグーでって!」

 思い切り、あらん限りの力を籠めて、いばらは拳を渾沌氏の左頬にお見舞いした。
 もはや耐え切る力も尽きていた渾沌氏の白い身体はいくつかに千切れて、『渾沌の地』に呑み込まれるよりも前にざらりと崩れて消えた。
 いばらはそれを見遣って、吐息をひとつ。脳裏の天女にちいさく告げる。
「……待っててね。もう少し、がんばるから」

 戦争はいよいよ、最終局面を迎える。
 

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月29日


挿絵イラスト