銀河帝国攻略戦⑱~敵の頭脳を打ち壊せ~
「はい皆さん集合です!次の戦場が決まりましたよ!」
そう呼びかけるのは毎度おなじみのアホ毛をぴょこぴょこさせたアリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)だ。
「今回の舞台も引き続き戦争が行われているスペースシップワールドです!」
現在行われている銀河帝国との戦争において、猟兵と向こうの世界の人々で結成された解放軍は勢いそのままに優位に戦況を進めていた。
既に解放軍は銀河帝国の拠点である『エンペラーズマインド』に突入しており、その陥落は時間の問題となっている。
そしてそれと同時に猟兵たちは強力なジャミングを突破して銀河帝国の執政官兼科学技術総督ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在を発見していた。
「現在は引き続きエンペラーズマインドを攻略中です。そして一部の解放軍はドクター・オロチをはじめとした銀河帝国の幹部を倒すためにエンペラーズマインドを越えての進行を開始しつつあります」
敵の重要拠点の陥落が目前、その情報は解放軍の勢いを大きく盛りたて更なる攻勢へと繋がっていた。
「今回私が予知したのは銀河帝国の『アマルテア』情報艦隊の位置情報です!皆さんをその艦隊内部に転送するので色々破壊してきてください!」
アリアが言うにはこのアマルテア情報艦隊は銀河帝国の幹部であるドクター・オロチが開発したリキッドコンピューターを搭載した艦隊だという。
粘性の液体が満ちた広いプール空間においてこの液体自体が情報を蓄積し処理するコンピューターとなっている。
これにより宇宙各地で活動する工作員から得られる情報を処理し、最適な作戦計画を立案してきたのだ。
つまりこれを撃破すれば工作員を含めたオブリビオンの行動を抑制できるということだ。
「ただそれを守る敵はだいぶ強敵のようです!今まで出てきた強敵を液体で強化再現するようですね!同じ敵だと思って油断していたらお陀仏なんてのも考えられます!」
そしてアリアは今回の強化再現されるであろう敵を告げる。
「今回の敵は『アナリシス」というユーベルコード研究の実験体として造られた金属生命体です!私たちのユーベルコードをコピーして使ってくる厄介な敵ですね!それが今回強化再現されているということなので気をつけてください!よろしくお願いします!」
アリアはそう注意を促し一礼すると猟兵たちをテレポートで送りだした。
小牧葵
=============================
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
はいと言うわけで戦争3作目の小牧葵(こまき あおい)です!
だんだん寒くなってきましたが戦場はホットです!
皆さんのプレイングもホットなので火傷しないように全力でがんばります!
ではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『アナリシス』
|
POW : アナライズ&コードテイカー
【ダメージのない解析ビーム 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象のユーベルコードを借用した攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : カウンターコード
【近くで使われたユーベルコードを解析する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【そのユーベルコードのコピーを使用する事】で攻撃する。
WIZ : ミラーフォーム
対象の攻撃を軽減する【対象と鏡映しの姿(ミラーフォーム) 】に変身しつつ、【対象が所持するユーベルコードを借用する事】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鏡繰・くるる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジニア・ドグダラ
私たちのを、コピーですか……でしたら、デメリットのあるものなら、相手も早々に使えない筈かも知れません。
鎖に縛られた棺桶の【封印を解く】ことで死霊達を一斉に解放、封印を解くのに合わせて【高速詠唱】にて【再起犠者】を発動し、私に憑依させていきます。
(先制攻撃)のため、全力で地を蹴りながら肉薄します。そのまま死霊達による【呪詛】で相手の【生命力を吸収】しながら、呪詛による行動制限を狙っていきます。
相手からの攻撃もあると思いますが、憑依体による軽減と【激痛耐性】で耐えていきましょう。また、私のをコピーしても、私自身には【呪詛耐性】があります。そちらも軽減していきましょう。
※アドリブ・他者との協力歓迎
エーカ・ライスフェルト
【WIZ】
今まで出てきた強敵を液体で強化再現?
えっ、ちょっと待って。単純に速くて力強いのに化けられたら、私なすすべ無く負けるわよ(冷や汗を流す)
サムライエンパイアで戦った錫杖持ちの武僧とか、私にとって相性最悪なのよね……
特に特徴のない形の【機械兵器】を召喚し、【属性攻撃】で炎の属性を与えてから敵に向かって突撃させるわ
「覚悟はしてたけど予想以上に厳しいわね。皆、気合いを入れなさい。帝国再打倒で活躍した兵器一覧に、皆の型番を刻み込むのよ!」
後は【機械兵器】と他猟兵を支援する。【属性攻撃】で単発の氷の矢を飛ばすとかして。ダメージより牽制優先
「白兵戦では私は足手纏いよ。火力支援はするから護衛よろしく」
三影・サイ
帝国の実験体、ですか。
敵なら同情も遠慮もしません、排除します。
ユーベルコードを使用し敵を撃ち抜きます。
弱点が分かりませんが、技能のスナイパーを利用して敵の身体の中心部を狙撃。
カウンターコードが厄介そうですが、私のコピーなら照準時の隙も同じようにあるはずです。
機会を逃さず味方と連携して、攻撃を集中して仕留めます。
他にも味方に射手がいらっしゃるならお互いに死角を補うようにして、敵への射撃を間断なく行いたいです。
●
先行した3人の猟兵たちが送られたのは戦艦の9割を占める広大なルームだった。
そしてその部屋の半分から向こう側にあったのは黒い水面だった。
「あれが、リキッドコンピューターですか……まさか、こんなに大きいとは」
実物を見てジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)はそう呟く。
「あれを破壊すればオブリビオンの行動が抑制されるって言っていたわね」
それに反応するのはエーカ・ライスフェルト(電脳ウィザード・f06511)だ。
「はい、ただ…」
「ええ、強化版のアナリリスがでるって言ってたわね、どんな強化がされているのかしら」
ユーベルコードをコピーして扱うアナリリス、今回はそれが強化再現されているという。
エーカは過去苦戦した経験からあの能力に素早さや純粋なパワーが備わっていたらまずいなと冷や汗を流していた。
「それは分かりませんが行かないことには始まりません。気を引き締めていきましょう」
そう答えたのは愛用のビームガンであるネモフィラCP106を構えて周囲を警戒している三影・サイ(火力支援兵・f14159)だ。
今この場は静寂に包まれているが敵がどこに潜んでいるかもしれない。
ジニアとエーカは三影の言葉に頷き慎重に歩を進めていく。
そして数歩進んだところでルームに全体にアラームが鳴り響いた。
『ビーーーービーーーー敵性反応を確認。迎撃システム・ウェーブワンを作動します』
黒い水面が沸騰するようにぐつぐつと蠢きだす。
そしてその黒い粘液は1体の人型のオブリビオンを作り出す。そう、アナリリスだ。
本来の銀色とは異なる黒色のアナリリスは猟兵たちに向かって走りだした。
向かってくるアナリリスに対して最初に行動を起こしたのは三影だ。
「『この光が、いつか誰かを許しますように』、ネモフィラ・スターライト!」
そう言の葉を紡ぐと共に三影はアナリリスの体の中心部に標準を合わせて引き金を引く。
発射された青紫色のビームはアナリリスの捉えてその胸に風穴を開けた。
本来なら心臓部分に値する部位、明らかな致命傷だがアナリリスは止まらない。
できた風穴の周辺が蠢いてその傷を埋めていくのだ。
「(弱点は以前不明、なら分かるまでは移動力を封じましょう)」
三影は標準を足元に変更しアナリリスの速度を少しでも緩めようと射撃を開始した。
「粘液性…なるほど。超回復による強化、ということですね」
「身体的な強化じゃないってことね。なら相性的には問題ないわね」
その光景を見ていたジニアとエーカは冷静に敵戦力を分析し抱いていた懸念を消す。
そしてジニアは背負っている棺桶の鎖を緩めるとそこから無数の死霊が棺桶から溢れだした。
同時にジニアは口早に詠唱を開始する。
「『来たれ!再起を望む、打ち捨てられし犠牲者よ!憑依し、その願望、成し遂げよ!』、再起犠者!!」
唱え終えたジニアの体が脈打つようにはねる。
それはその華奢な身体に死霊が憑依した証だ。
「身体的な強化じゃないってことね。なら相性的には問題ないわね。来なさい私の兵士達、帝国再打倒で活躍した兵器一覧に、皆の型番を刻み込むのよ!」
その横ではエーカがアナリリスの周りに機械兵器を召喚していた。
生みだされた110体の機械兵器はアナリリスのコピーを想定してかチェスのポーンにサーベルを持たせたような目立った特徴のない形となっている。
「ジニアさん、私は白兵戦では足手纏いよ。だからその分火力支援に努めるわね」
エーカはそう言いながら自身の魔法によって機械兵器のサーベルに炎を纏わせる。
「わかりました。よろしく、お願いします」
ジニアはその申し出を受け入れると足に力を入れて地を蹴り死霊と共にアナリリスに飛び込んでいき、その後に続くように機械兵器たちが動きだした。
三影の銃撃に足を止めさせられていたアナリリスは先行して自身に向かってくるジニアに対して右手を向ける。
その手から放たれたのは黒いビーム、それがジニアを狙って放たれた。
「死霊よ!」
ジニアはとっさに死霊の1体にそれを防がせる。
「今のが、解析ビーム、ですね」
そう呟くジニアの横から機械兵器がアナリリスに殺到しそのサーベルを振り下ろす。
それを跳躍してかわしたアナリリスを空中で死霊たちが囲んだ。
そのまま死霊たちは呪詛を吐きアナリリスの身体を蝕んでいく。
動きが鈍ったアナリリスに対して三影はその隙を逃すまいとネモフィラCP106を連射する。
放たれた数発のビームがアナリリスの身体に風穴を開け、それによってアナリリスはその体勢を崩して地面に叩きつけられる。
再びそこを機械兵器たちが襲いかかり炎のサーベルがアナリリスを斬り裂いていく。
その傷口からは黒い煙が上がっていた。
「粘液で作られているから近い属性には弱いのかしら」
エーカはそう呟きながら援護のため作りだした氷の矢を待機させて戦況見つめていた。
現在の戦況は明らかに優勢だが倒すまでは油断できないだろう。
そして大抵その考えはあたるものだ。
劣勢のアナリリスの周囲を守るように黒い機械兵器が召喚される。
アナリリスがエーカのエレクトロレギオンをコピーしたのだ。
こちらは炎を纏っていないという違いがあるが僅かにアナリリスが生みだした機械兵器の数はエーカの生みだした機械兵器より多かった。
アナリリスは機械兵器をエーカの機械兵器へとぶつけ残りをジニアへと迫らせた。
同時にアナリリスの身体が蠢きジニアと同じ姿へと変貌する。
だがそこから何かをしてくる様子はなかった。
既にアナリリスの身体は呪詛によって大幅に蝕まれており機械兵器を生みだすので精一杯だったのだろう。
そう判断したジニアは引き続き死霊による呪詛攻撃を続けさせながら機械兵器による攻撃に耐えていた。
その間に体勢を立て直そうとするアナリリスだがそうはさせまいと三影はビームによる足止めを続ける。
アナリリスは三影を攻撃するために左手を向けて最初に受けたネモフィラ・スターライトを放とうとする。
だがそれには標準を合わせる必要があった。
「私を忘れてもらったら困るわ」
エーカは火と水で構成された魔法の矢によってその暇を与えない。
そしてビームと魔法を放つ2人の射手はそのままアナリリスの身体が超回復しなくなるまで打ち抜き続けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●
場を静寂が包んだ。
既にアナリリスが生みだしていた機械兵器も消滅している。
「倒したのかしら?」
「はい、おそらくは」
エーカと三影はそう言いながらプールへと歩みだす。
その後ろでジニアはある違和感を覚えていた。
なぜアナリリスは自分に化けた後に何もしなかったのか。
あの時はダメージから使えないだけだと考えたがその後にアナリリスは三影のユーべルコードを使用しかけていたのだ。
それに疑問を感じていたジニアだがその答えはすぐに見つかった。
「あっけなかったわね」
「そうですね。相手の攻撃手段は主に私たちのユーベルコードですから、私のように隙があるものは仲間がいれば阻止できますし1体だったのが相手の敗因でしょう」
そう、それだ。アナリリスは1体だった。なら自分たちと同じように複数体が相手なら――――
「そうか。私が使えるユーベルコードには、あれが」
結果的にジニアの予想は当たった。それも最悪な方向で。
広大なルームに機械音が響き渡る。
『迎撃システム・ウェーブワンの破壊を確認。迎撃システム・ウェーブツー作動します』
再び黒いプールの水面が蠢きだして形成するのは2つの人型のオブリビオン。
「ウェーブワンの後はウェーブツーってわけね。2体になるのは予想外だったわ」
エーカはそう呟く。
「違います、エーカさん。それだけじゃ」
それに対してジニアが自分の考えを伝えようとするが再度発せられた機械音によってその必要はなくなった。
『迎撃システム・ウェーブワンの戦闘結果の分析が完了。戦闘結果からユーベルコード名オルタナティブ・ダブルを獲得します』
そして―――2体のアナリリスは4体となって猟兵たちに襲い掛かるのだった。
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「強敵なんだから油断は禁物よ」
弟のフォルセティとアナリシスに挑む!
■作戦
常に先手をとり敵の反撃はUCで相殺し
WIZ型攻撃UCは使用しないことでアナリシスを封じる
■行動
弟の攻撃直後に【高速詠唱】でアイギスの盾を展開
弟のUCのコピーカウンターに備える
「次はこちらからいくわよ」
杖を構えて【先制攻撃×高速詠唱】でアイオロスの刃を発動
金属生命体なので【属性攻撃】で雷を付与
さらに弟の攻撃をサポートするため、アイギスの盾で
アナリシスの反撃に備える。
なお、解析ビームを受ける、ミラーフォームされるなど
戦闘が想定と異なる場合は直ちに二人とも撤退する
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(共闘/アドリブ可)
「ねーねー、あれ女の子かな?」
フィオ姉ちゃんとお互いに攻撃と防御(相殺)を駆使して
一緒にアナリシスを倒すよ
【行動】()内は技能
「ボク達の連携攻撃、簡単には解析させないよ」
(先制攻撃)でいきなりクラロ・デ・ルーナを叩きつける
フィオ姉ちゃんの攻撃に対して、解析ビームの反撃を予想し
(高速詠唱)でグアルディアン・サトゥルノを展開
「ふふーん、ボクだってできるんだよ」
さらに止めとばかりに(ダッシュ)して間合いを一気に詰めて
イスベル・ウラーノを(全力魔法)でアナリシスに叩きつける
「これでおしまいだね」
最後にリキッドコンピューターを破壊することも忘れないよ
蜂蜜院・紫髪
*連携アドリブ歓迎
シホ殿(f03442)とコンビを組んでいます
心情:シホ殿とコンビを組めるのはありがたいの。まぁあまり自分に負担をかけておらぬかよく見ておかねばな
情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう
戦闘:護衛人形を盾に狐火で戦います
【アナライズ&コードテイカー】護衛人形で【かばう】ことで不発を狙います
【ミラーフォーム】反転した姿である事を【見切り】【カウンター】を狙います
【カウンターコード】護衛人形で【オーラ防御】【武器受け】【かばう】し、【厄受人形】【呪詛返し】を狙います
今回はシホ殿が居るので回復を任せますが、無茶をしているようであれば【癒しの狐火】で負担を軽減します
シホ・エーデルワイス
紫髪さん(f00356)とコンビ
他の方との連携とアドリブ歓迎
私も再びコンビを組めて助かります
張り切って回復しますよ!
確かに兵器や資金源の情報とかは禍根になりそうです
基本【生まれながらの光】で味方を回復
敵のUC対策
紫髪さんの護衛人形を盾にし
<目立たない、忍び足、迷彩>でなるべく姿を見せない
攻撃はUCを無暗に使わず
聖銃二丁による<先制攻撃、2回攻撃、誘導弾、スナイパー、フェイント、鎧無視攻撃>
で牽制し
<情報収集、戦闘知識、学習力>で行動パターンを解析し
味方へ連携
ここ一番の時に【銃奏】を使用
攻撃は<オーラ防御、武器受け>で防御
状況によってはリキッドコンピューターのプールを
攻撃しに行く様に見せましょう
エルス・クロウディス
●POW
高威力高命中のカウンターか……厄介と言えば厄介だな。
ところで、だ。
「俺のこいつは、極論自分の武装を自在に操る類の代物なわけだけど」
相手に使われると、どうなるのかね?
いやま、この場合使われないのが一番なわけだけど。
となるとどうするか。
「……まぁ、当たらないように頑張ってみるか?」
そも、初手である解析ビームに当たらなければ、次も来ないわけだ。
振るうは舜濤。
動作の延長で攻撃をするこれなら、<残像>が乗せやすい。
<ダッシュ>で距離を詰めつつ、敵の動作<見切り>、ビームを躱す。
まぁ、もし仮に敵の攻撃が甘いようならな。
逆に<武器受け>して逸らし、<カウンター>でもくれてやろう。
アドリブ・連携〇
月島・彩希
絵里香(f03667)さんと参加
UCを模倣されたくらいで負けはしない
絵里香さんいきましょう!
事前に【戦闘知識】としてお互いの技のタイミングや予備動作を把握、合図や声を掛け合って対応
【残像】を用いた【フェイント】を交ぜることで行動を読ませないように回避
雷属性攻撃は【雷撃耐性】と短槍を【投擲】しての【武器受け】で対処
回避後は技の隙を狙って【カウンター】、【戦闘知識】と【野生の勘】で感じ取った最適のタイミングで【怪力】を用いた槍による突きと旋風刃(UC)を叩き込む
遠距離は雷属性を纏わせた短槍による【槍投げ】で攻撃
絵里香さんが水神権限を使用したら、氷上の舞(UC)を使用してプールを氷結させて破壊
神宮寺・絵里香
彩希(f12810)と連携。
≪心情≫
・リキッドコンピューター?よく分からんが液体ならオレの管轄だ。
壊す分なら問題ない。さあ、行くぞ、彩希。
≪戦闘≫
・事前にお互いのUCや戦法等を【戦闘知識】として共有
・オレのUCを使おうとした時は、予備動作を【戦闘知識】で
【見切り】、彩希に声掛けをして対処
・戦闘は【雷属性】を纏った叢雲での【薙ぎ払い】を使った白兵戦。
遠距離は【高速詠唱】からの『因達羅乃矢』
・コピー『因達羅乃矢』に対しては薙刀を避雷針のように立て
【武器受け】と【電撃耐性】で対処
・UCの水の三態を操る力で、リキッドPCの水分を凍らせての
機能不全と彩希の足場づくりをする。強化内容は防御力
ヘスティア・イクテュス
リキッドコンピューター…この液体がコンピューターね…どういう原理かしら?
これアベルに組み込めない?
相手のユーベルコードを解析…
流石に相手より劣ってるアベルを解析されたとこで所詮劣化だし怖くはないわよ
あらかじめ、味方のユーベルコードを把握
アベルに伝えておくことで解析されて使用されても回避しやすいように
基本は敵の周囲をティターニアで飛んで注意を惹き付ける役
ホログラム【残像】の自身も投影してかく乱
その格好、寒くないかしら?ビームの熱で暖めてあげる!
とミスティルテインで攻撃ね
止めは【力溜め】したビームの一撃
味方に合わせて放つわ【援護射撃】
●アベル
ヘスーお嬢様呼び
執事のような話し方
●激戦の前に
先行した猟兵たちに遅れる形でテレポートされた8人の猟兵が見たのは4体のアナリシスによって生みだされた多数の機械兵器にルームの隅に追い詰められているジニアとエーカ、そして三影だった。
エーカは再度機械兵器を生みだしてそれに対抗し、三影は銃撃によって機械兵器を援護していた。
隅に移動していたのは機械兵器の数の差から戦闘区域を狭める狙いがあり、3人は多勢に無勢と判断し後続の猟兵たちが来るまで時間を稼いでいたのである。
「見てよフィオ姉ちゃん!ジニアさんの姿をしたアナリシスが4体いるよ!」
「そうね。あの沢山の機械兵器はエーカさんのエレクトロレギオンをコピーしたのは分かるけど、一体どういう経緯からこうなったのかしら」
そう口にしたのは4体のアナリシスを見て驚くフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)と困惑しながらも現状を冷静に分析するフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)の姉弟。
「何はともあれまずはあの3人を助けるべきではないかのう」
「見たところ怪我も負っているみたいです。早く助けましょう」
それに対して蜂蜜院・紫髪(怠惰な蜂蜜屋・f00356)とシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)はまずあの3人の救助が優先だと進言する。
「敵の機械兵器の囲いを一時的にでも解いて道を開ければ脱出できるはずだ」
「ならオレが行くか。援護しろ彩希」
「はい、絵里香さん。いきましょう!」
救出方法を提案するエルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)に自身が行くと宣言した神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は月島・彩希(灰色狼・f12810)に援護を要請し月島はそれを受諾する。
「ならわたしはミスティルテインでアナリシスを牽制するわ」
その横ではヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)が愛用のビームライフルであるミスティルテインを構える。
「俺も近接型だからな。神宮寺について行こう」
「なら私たちは援護するわよフォルセティ」
「うん!任せてよフィオ姉ちゃん!」
エルスは突撃側、ソルレスティア姉弟は援護に回る構えだ。
「ならわしらは彼らに任せて回復の準備じゃな。頼むぞシホ殿」
「そうですね紫髪さん。準備しておきます」
これわしいかなくてもいいなと若干怠惰な部分が出た蜂蜜院は回復の指示を飛ばしそれを受けたシホは準備に入った。
そして強襲組である3人は援護組の3人がアナリシスに対して牽制攻撃を行っている間に機械兵器の群れに突入する。
援護が来ていることに気付いたジニアはエーカと三影に伝えてその方向へと突撃、結果的にその作戦は成功し3人は敵の囲いから救助され8人の猟兵たちに合流する。
「で、どうしてこうなっていたんじゃろうか?」
シホが聖なる光を救助した3人に飛ばして回復させている間に紫髪は情報の共有を申請する。
それに対してジニアはこれまで得たアナリシスの情報と迎撃システムについて、そしてオルタナティブダブルにより4体になっていることを周りに伝えた。
「あれを倒しても今度は6体出てくる可能性があるってことだな」
エルスのその言葉にジニアは頷いた。
「ただ4体になっているということは既にミラーフォームが使われているってことでしょうか?」
「だな。つまり変身されることは現状ないってわけだ」
フィオリナのその疑問に神宮寺は事前情報から判断してそう返答する。
「ならアナリシスを倒し続けてもきりがないのでリキッドコンピューター自体を狙いましょう」
「じゃあツーマンセルでアナリシスを1体相手する。早く倒した組がリキッドコンピューターの破壊に行き、その間に他の組は残りのアナリシスを抑える。それでいいかしら?」
月島が本体を狙うべきだと主張してヘスティアが具体的な作戦提案を行う。
先行した3人には未だ残っている多数の機械兵器を相手にしてもらう算段である。
その提案に猟兵たちは頷き、それぞれ対象とする敵へと向かっていくのであった。
●四方の戦い
猟兵たちはそれぞれペアを組み4方向からリキッドコンピューターへと向かっていく。
ペアの構成はソルレスティア姉弟、蜂蜜院とシホ、月島と神宮寺、最後にエルスとヘスティアだ。
4組のペアに対して予定通り1体ずつアナリシスがその行く手を阻んだ。
そして広大なルームの4か所で猟兵たちはアナリシスと激突する。
~攻防一体の姉弟~
フィオリナとフォルセティは自身を阻むアナリシスを見据える。
「ねーねー、あれ女の子かな?」
アナリシスの姿にフォルセティはどっちかなーとフィオリナに尋ねる。
「スライムみたいなものだし性別ないんじゃない?それより強敵なんだから油断は禁物よ、フォルセティ」
「はーい。フィオ姉ちゃん!何時もみたいにささっと倒してボクたちが一番乗りしちゃおう!」
フィオリナはその質問に答えつつ注意を促すが、他のペアに負けてられないと意気込むフォルセティが聞いているかは定かではない。
もう・・・とフィオリナは息を吐くが可愛い弟はいつも通りの調子であり連携して闘うことに変わりはない。
そして姉弟とアナリシスは同時に動き出した。
先制を取ったのはフォルセティだ。
「『放て!』」
短い詠唱から放たれたのは眩い閃光の高エネルギー波。
アナリシスはそれを避けようとするが間に合わずに右手首に命中し、その衝撃で肘から先をすべて弾き飛ばした。
「この分なら楽勝だね!」
その様子を見て喜ぶフォルセティにアナリシスは怪我を超回復させつつ左手で黒いビームを飛ばす。
「『そんな攻撃当たらないわよ、防げ、アイギスの盾よ!』」
そのビームを防ぐのはフィオリナによって生みだされた光り輝く魔法の盾。
「私油断しないでって言ったわよね、フォルセティ」
「防いでくれるって分かってたからだよ!」
釘をさすフィオリナだったがフォルセティにそう返されては納得せざるをえなかった。
「とーにーかく今のが解析ビームだよね!」
「そうね。当初の予定とは少し違うけど誤差の範囲、続けるわよ、フォルセティ」
話題をそらすフォルセティにフィオリナは作戦の続行を告げる。
あらかじめフィオリナとフォルセティは相手の能力を学習して作戦を立ててきていたのだ。
もし今の解析ビームや、ミラーフォームでお互いのどちらかに化けられたときは一度退く算段まで付けていたのだがもうこれで懸念事項はない。
「次はこちらからいくわよ!」
フィオリナは銀翼杖セラファイトに魔力を込める。
「『バラバラにしてあげるわ。切り裂け、風神の刃よ!』」
そしてその杖先をアナリシスに向けるとそこから雷を纏った真空の刃が放たれる。
しかし同時にアナリシスも詠唱で無防備になるフィオリナに対して閃光を伴う高エネルギー波を放っていた。
そのユーベルコードの打ち合いはフィオリナに軍配が上がった。
真空の刃はアナリシスの左足を切り裂いたが高エネルギー波は虹色に輝く魔法の盾に阻まれフィオリナを捉えることはなかったためである。
「『暗闇を統べる星刻の大神。七界を照らすは虹鱗の彩光』」
フォルセティはフィオリナの攻撃に合わせてアナリシスが反撃してくることを見越して防御魔法の詠唱を済ませていたためだ。
「ふふーん、ボクだってできるんだよ」
フォルセティは自慢げにアナリシスにそう言い放つ。
長年一緒に過ごしてきたのだ。
ソルレスティア姉弟の連携は他者のそれとは違い完璧に攻防一体として作動していた。
あとはお互いの使用するユーべルコードがアナリシスに使われることを想定しながら攻撃と防御を上手く組み合わせていくだけだった。
フィオリナとフォルセティはお互いを魔法の盾によってカバーしあいながら高エネルギー波と真空の刃によってアナリシスを追い詰めていく。
「そろそろいいよね!」
アナリシスの動きが鈍っているのを確認してフォルセティは地を蹴って間合いを一気に詰める。
そして聖箒ソル・アトゥースを掲げて今まで以上に魔力を込めて詠唱を行う。
「『星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷』、イスベル・ウラーノ!!」
詠唱を終えると聖箒を抱げた先にはとてつもない大きさの氷塊ができあがっていた。
「これでおしまいだよ!」
そのままフォルセティは氷塊をアナリシスに叩きつける。
その場に白い冷気の煙が舞い上がった。
終わったと思ったフォルセティに対し、冷静にアナリシスへの氷塊の着弾を見ていたフィオリナはフォルセティの前にアイギスの盾を展開する。
その魔法の盾は煙を打ち消すかのように放たれた高エネルギー波を受け止めた。
「しぶといわね」
そう口にしたフィオリナの目線の先にはまだアナリシスが立っていた。
なぜならフォルセティの放った氷塊に対して真空の刃を放つことで切断し、氷塊の直撃を免れていたためだ。
「えー早く倒れてくれればいいのにー」
フォルセティも聖箒を再度握りしめて距離を取る。
まだアナリシスは存命だが姉弟の連携によって既にボロボロなのは間違いない。
ソルレスティア姉弟は今度こそとどめを刺すべく再び攻防連携してアナリシスにダメージを重ねていくのだった。
~舞う狐火と響く聖弾~
蜂蜜院とシホのペアは共に後衛である。
そのため前衛には蜂蜜院の護衛人形が立つことでアナリシスを抑え込む役目を果たしていた。
そして実にこれがうまく働くのだ。
何でも自らの肉体を盾にして防ぐ継ぎ接ぎだらけの人形は既にアナリシスのアナライズ&コードテイカ―を防ぐことに成功。
アナリシスの反撃により護衛人形もダメージを負っていくもののシホの生まれながらの光によって治療していたため前線は保たれていた。
「先程から何度も回復をさせておるが負担は大丈夫かのう?」
蜂蜜院は狐火をアナリシスに放ちつつ斜め後ろに控えているシホにそう声をかける。
「はい。あれくらいなら問題ありません」
シホは聖銃を二丁構えて発砲による牽制を行いながらそれに返答する。
護衛人形が耐えきれるダメージにも限度があるため銃撃を回避させることでアナリシスの攻撃が散発的になるようにしているのだ。
その合間を縫って聖なる光を飛ばしていることからシホの器用さがうかがえた。
そして続けて蜂蜜院にある疑問を投げかける。
「ところで紫髪さん」
「なんじゃ?」
「このやりとりさっきもしませんでした?」
「そうじゃったかのう」
はっはっはと誤魔化すように笑う蜂蜜院にシホは溜息を返す。
というのも蜂蜜院はシホが自身に負担をかけても気丈にふるまう性格だということを知っていたためだ。
実際このペアのメインの攻撃である狐火を放つことに集中できるのはいいが、護衛人形の回復と援護を全てシホに背負わせているのだ。
無茶をしないように何度も負担がないか確認をするのは蜂蜜院にとって当然だ。
それが分かっているからこそシホもそれ以上は突っ込むことはしなかった。
そこから暫く進展のない戦闘が続いていた。
現状この戦闘で使用されているユーベルコードは実質的に蜂蜜院の狐火だけである。
初めその狐火はアナリシスの体を燃やし少しずつダメージを与えていたが、途中からアナリシスは回避をメインにしてコピーした狐火をあまり放たなくなっていたためにダメージレースは停滞していたのだ。
シホも本格的にアナリシスを狙って聖銃を放つが回避に専念しているアナリシスを捉えられない。
こちらは全くダメージを受けていないが回復による疲労だけが徐々にシホに溜まっていくと言ったところだろうか。
「敵はこちらが大技を使うのを待っているみたいですね」
シホはこれまでのアナリシスの動きからそう予測を立てる。
「こっちから自発的に撃てる大技はシホ殿の銃奏くらいじゃ。どうせならこのまま遅延戦闘に努めてもいいのではないか?」
専ら蜂蜜院が得意なのは時間稼ぎとヘイト集めである。
自分たちが無理しなくてもアナリシスを抑え込んでおけば他のペアが何とかしてくれる可能性は高いのだ。
シホもそれも悪くはないと考えるが1つ懸念が残っていた。
「確かにそれは分かりますが、ただもう少しダメージを与えておかないと必要な時に抑え込めずに向かわれてしまうのではないでしょうか?」
「分かりみに溢れるのう。じゃがどうする?やみくもに銃奏をしても避けられて手痛い反撃に繋がるかもしれん。やるなら1回で決めねばならんぞ?」
「問題ありません。既にアナリシスの行動パターンは掴めましたから」
そして2人は動きだす―――
シホは二丁の聖銃を構えてリキッドコンピューターに走りだした。
慌ててシホを追いかけるアナリシスに蜂蜜院は容赦なく狐火を飛ばす。
回避する余裕もないのだろう。
その火はアナリシスを包み込み黒い蒸気をあげていく。
火に包まれたアナリシスは無数の狐火を放ちつつそのままシホに飛び掛かった。
その間に飛び込むように身体を割り込んだのは追いかけるように走ってきた護衛人形。
「『護り給え 清め給え』」
無数の狐火をその身で受けて防いだ護衛人形を見て蜂蜜院は短く詠唱する。
そして護衛人形は飛び掛かってきたアナリシスを捕また。
護衛人形の筋力ではアナリシスを捕まえておけるのはほんの数秒。
だがそれで十分だ。
シホはアナリシスの頭と胸部にそれぞれ銃口を向ける。
「この距離なら外すことはありません。『あなたの魂に救いの余地があることを祈ります』」
そして蜂蜜院も護衛人形に向けてその身に受けた狐火を解き放つよう詠唱する。
「『祓い給えヒトガタよ!』」
同時に紡がれた言葉と共に速射された弾丸はアナリシスの頭部と胸部に吹き飛ばし、残った部位は護衛人形と共に大きな火柱をあげた。
燃え盛る火柱から1つの影が飛び出す。
それは敵であるアナリシスだ。
「流石に仕留めたと思ったんじゃがのう」
思わず蜂蜜院はそう呟く。
アナリシスは失った胸部と頭部を超回復により再生していく。
「流石に強化素体なことはありますね。ただ超回復にかかる時間も増えています。相当なダメージは与えられていますし、これで充分でしょう」
「シホ殿はそんなことまで数えていたのか・・・勤勉じゃのう」
「まぁ終わってないのなら仕方ない。護衛人形よ、もうちょっと頑張るのじゃ」
蜂蜜院は護衛人形に癒しの狐火を飛ばして最低限の修復をすます。
「さぁてここからは遅滞戦闘に努めるかのう」
「そうですね。後は周りに任せましょう」
そうして2人はまたずるずると時間稼ぎに走るのだった。
~貫くは稲妻と狼槍~
月島と神宮寺のペアはアナリシスに相対していた。
「全部手筈どおりだ、問題ないな?彩希」
「問題ありません。神宮寺さんのことは全て頭に入ってます」
神宮寺の問に対して月島は是と返す。
ならいい、とアナリシスに視線を戻した神宮寺は走りだす。
月島も神宮寺に続いてアナリシスへと突撃―――そして戦闘が始まった。
先制したのは神宮寺だ。
その手によって振るわれるのは薙刀である叢雲。
神宮寺は叢雲を横に払い、突きだし、あるいは縦に振り落ろしていく。
アナリシスもそれに合わせて避けていくがその回避先に合わせるように突きだされるのは月島の灰狼の槍だ。
その槍はアナリシスを貫くが月島はそれに手ごたえがないことを感じていた。
アナリシスを見てみると超回復によって空けた風穴は即座に埋まっていた。
「やはりただの物理攻撃はあまり意味がないみたいですね」
「元は金属だが液体だからな。何かしらの魔法を纏わせた方がいいか」
月島の感じた手応えから即座に最適解を出す神宮寺。
神宮寺は薙刀に電光を纏わせ、月島は槍の先に冷気を発生させる。
そして再び攻撃的な連携をアナリシスへと食らわせていく。
神宮寺と月島が扱う得物は長物でアナリシスは武器を持っていない。
この利点である攻撃可能な範囲であるリーチの差によって2人はアナリシスの反撃の機会を奪っていた。
アナリシスも度々神宮寺の懐に潜り込もうとするがそれを月島が許さない。
入り込まれれば途端にそのリーチが仇となるのが欠点であることを2人は十分に理解している。
神宮寺の叢雲は威力のある分振り回す必要があり多少の隙は否めない。
そこで月島はフェイントを交えつつ常に動き続けることで自身の隙を消し、槍の攻撃方法を突きのみに限定する。
その分身軽になった月島がアナリシスを牽制することで神宮寺をカバーしていた。
戦闘開始からしばらくして神宮寺と月島は特別なユーベルコードを使用せずとも連携によって少しずつではあるがアナリシスにダメージを与えることに成功していた。
だが今回は他のペアのこともあるため時間が惜しい。
「彩希、オレを相手にするぞ」
「了解しました!合わせます!」
その言い放った後、神宮寺はわざと叢雲の攻撃を大振りへと切り替えた。
それによって隙ができた神宮寺へとアナリシスは黒い解析ビームを放つ。
神宮寺はそれを避けずに受けいれる。
一方の解析ビームを当てたアナリシスはこの至近距離で使える神宮寺のユーベルコードを解析する。
そしてあるユーベルコードを選択したアナリシスは足に力を入れて踏み込む。
「拳だ!」
それを見た神宮寺は事前に決めていた合言葉を口にする。
「はい!」
月島はそれの意図を理解して槍を握りなおした。
あからじめ月島と神宮寺は事前にお互いのできることと必要な予備動作を全て話し合っており、そこから合図と声の掛け合いで対応することを決めていたのだ。
そしてアナリシスが放ったのは必殺の素手の一撃である灰燼拳。
普通では対処できない一撃だが事前に分かっていれば対応はできるものだ。
その超高速で繰り出される一撃は神宮寺に届く前に月島の付きだした槍によりアナリシスの拳ごと霧散させられた。
そして目の前で無防備になったそれを神宮寺は見逃す気はない。
神宮寺は右手を叢雲から放してその拳に雷を纏わせる。
「それはこうやって撃つんだ」
そう告げると共に足を踏み込まれて突き出された拳はアナリシスの胸部一帯を吹き飛ばした。
それでも液体で作成された強化型アナリシスは即座に遠方へと離脱し吹き飛ばされた部位を超回復させようとする。
「逃がしません!」
月島はそれを許すまいと雷を纏った短槍を取りだして投擲した後に低姿勢で走りだした。
投げられた短槍はアナリシスの左太ももを吹き飛ばしてその離脱を妨げる。
動きを止めさせられたアナリシスに神宮寺は指先を向けて言の葉を紡いだ。
「『ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ!神々の王の裁きよここに!魔を滅ぼせ因達羅の矢よ!!』」
その詠唱と共に上空からの青白い稲妻がアナリシスを貫く。
走りだしていた月島はそこに突撃して冷気を纏った槍をアナリシスに突き刺し
「『吹き飛べ!』、旋風刃!!」
そのまま更に疾風を纏わせた槍の薙ぎ払いにより上半身を吹き飛ばした。
場を静寂が包む。
「まだ他のペアは戦闘を続行しています。コンピューターを破壊しに行きましょう」
神宮寺の隣に戻ってきた月島はそう提案するが神宮寺はそれに答えずに叢雲を立てる。
するとそこに青白い稲妻が落ちた。
それはアナリシスによって放たれた因達羅乃矢。
月島が振り返ると上半身を超回復させつつあるアナリシスがこちらに指先を向けていた。
「なるほど・・・完全に消滅させる必要があるみたいですね」
「ああ、だがやることは変わらない。もう一度だ。行くぞ、彩希」
「はい!」
次は一部位も残さずに消滅させると決めた2人は再びアナリシスに向かっていくのだった。
~振るう骸装と煌く青き両翼~
アナリシスに挑む前にペアを決める際、組むことになったエルスとヘスティアは簡単に言葉を交わしていた。
「俺とヘスティアがペアだな」
「ええ、そうね。私が後衛であなたが前衛よ。問題ないわね?」
「ああ、それでいこう」
奇しくも即席で組まれたエルスとヘスティアは他のペアと違って前衛と後衛がはっきりしていた。
役割を完全に分割できる。
これならお互いを阻害し合うこともないだろう。
「後あなたのできることを教えて頂戴、私も教えるから」
「俺のできることは多いが覚えきれるか?」
「問題ないわ。アベルが覚えるから」
そしてヘスティアは自身が最も便りにしているサポートAI端末を起動する。
「『アベル、状況把握。指示、お願いするわ』」
『了解しました。へスーお嬢様をサポートするアベルに御座います。エルス様、以後お見知りおきを』
ヘスティアの戦闘は基本的にアベルに委ねている。
まぁ記憶も敵の分析もその他もろもろも全部アベル任せなのだがそれは内緒だ。
「ああ、アベル、よろしく頼む」
そして2人はお互いのことを話し合った後戦場へと向かっていった。
エルスとヘスティアは自分たちが担当する1体のアナリシスへと突撃していく。
そしてエルスはヘスティアより早く地を蹴り接近しつつ詠唱と共に自身の武装を展開する。
「『骸装、展開。悪いけど、苦手なものでやらせてもらおう』、戎応無尽」
その言葉を紡ぐと共にエルスの手に現れたのは三尺の刃渡りを持つ野太刀である舜濤だ。
舜濤を構えて突っ込んでくるエルスに対してアナリシスは右手を向ける。
「まずは初撃だが・・・まぁ、当たらないように頑張ってみるか?」
エルスは右手から放たれるであろう黒い解析ビームの射出を見切ろうとしていた。
『エルス様、避ける必要はありません』
「ええ、そのまま走って!」
そこにアベルとヘスティアがそう伝える。
回避運動を取ろうとしていたエルスだがそれを取りやめてアナリシスに向かって一直線に走る。
「『風向把握…弾道予測…射軸安定……今!』」
そして放たれた黒いビームはエルスの斜め後ろから飛んできたビームによって相殺され煙を上げた。
それはヘスティアによって放たれたミスティルテイン・スナイプモードによる一撃だ。
そしてエルスは煙を突き破りアナリシスへと接近して体を回す。
「舜濤を振るうは腕に非ず。無用な力は要らず体裁きのみ」
そう呟きつつエルスはアナリシスの体を両断するように切り裂いた。
「『そこよ!』」
ヘスティアはそれを確認するとミスティルテインをアサルトモードにして連射する。
だがその銃弾はアナリシスには届かなかった。
体を両断されたにもかかわらず超回復により即座に接着し飛び退いたのである。
「どういうことかしら?」
『おそらくは物理攻撃を受けつけていないのでしょう。他の戦場でも同様なことが起きています』
ヘスティアの疑問にアベルはそう答える。
ビームライフルは熱量を発射する攻撃であるために避けられたのだろうと。
「なるほどな」
そのやり取りを聞いていたエルスは舜濤に炎を纏わせる。
「あまりこういうことはやったことないんだが・・・まぁ即席ならこれで十分だろう」
そして再度アナリシスへと突貫していくがそれを迎え撃つアナリシスの体が変化を見せる。
「俺のこいつは、自分の武装を自在に操る類の代物なわけだが・・・なるほど、そうなるんだな」
そう呟いたエルスの視線の先には自分の右腕を刀状に変形させて硬質化したアナリシスがいた。
おそらくは自身の舜濤を模したのだろう。
「どっちが本物か決めようじゃないか」
エルスの顔つきが代わり眼光が鋭くアナリシスを見据える。
そしてエルスはアナリシスへと切り込みそれをアナリシスが受け止めた。
ヘスティアは妖精の羽を象ったジェットパックであるティターニアで飛びつつミスティルテインでそれを援護しようとするが、急に飛んできたビームに反応したアベルが回避運動をとらせた。
「え?どっから飛んできたのよ!?」
慌てるヘスティアにアベルはアナリシスを見るよう促す。
そこには左手をビームライフル状に変形させたアナリシスがいた。
コピーしたエルスの戎応無尽による効果は右手の剣だけではなかったのだろう。
それを確認したヘスティアは冷静にホログラムを発動し周囲に自身の残像を映す。
アナリシスはそれを撃ちつつ本体を探すがヘスティアはその所在を掴ませないように飛びつつビームライフルをチャージする。
「がら空きだ!」
注意が散漫になったアナリシスにエルスは炎を纏った舜濤によってその両腕を斬り飛ばし傷口を炎上させる。
「今よ!」
黒い煙があがり無防備になったアナリシスにヘスティアはチャージした極大のビームの一撃を叩き込んだ。
身体の多くを消し飛ばされたアナリシスだが一度距離をとる。
どうやらその戦意はまだ衰えていないらしい。
残った液体を総動員して再び武装を作り出そうとしていた。
「何度やっても同じだということをわからせてやるか」
「ええ、行くわよアベル!」
『はい、ヘスーお嬢様』
それを見た2人+1機は再び獲物を握りなおして向かっていくのだった。
●リキッドコンピューターの終焉
5つの箇所で戦闘は続いていた。
ジニアとエーカ、そして三影はアナリシスの指示が無くなった雑兵である機械兵器を掃討しつつあり、4つのペアはアナリシスにダメージを重ねていく。
そして一番最初に敵を倒したのは―――月島と神宮寺のペアだった。
2人は顔を合わせて頷くとリキッドコンピューターへと走り出す。
「あーーー!もう少しだったのに!」
「いいから抑え込むのよ、フォルセティ」
それを見たフォルセティは口を膨らませ、それをフィオリナは叱咤する。
「おーやったいみたいじゃな」
「そうですね。では足止めしましょう」
蜂蜜院とシホもアナリシスを行かすまいと阻む。
『ヘスーお嬢様、他のペアが突破したようです』
「だそうよエルス。破壊か・・・まぁ勿体無いわね。アベルに組み込めたらって少しは思ってたのに」
「ってことはもう終わりか。それについては今回は諦めるんだな」
勿体無さを感じるヘスティアとそれに答えつつアナリシスを行かせまいと攻撃を激化させるエルス。
その横を月島と神宮寺は駆け抜けていく。
遮るものはもういない。2人は黒い水面へとたどり着く。
「『大いなる水を司る白蛇の名の下に、水よ我が支配下となれ』」
そう神宮寺が詠唱すると黒いプールは蠢きだして中央部、おそらくリキッドコンピューターの中枢であろう付近へと道を開いた。
そこへ月島が走る。
「『灰狼の舞をお見せしましょう』」
そして中央部へと到達した月島はその舞によって自身の周囲の黒い液体を氷へと変えた。
これによりリキッドコンピューターはその機能を停止させていく。
そして神宮寺はコアの機能を失った残りの液体を全て氷結させ、一気に砕いた。
周囲に舞い散るは黒い結晶、リキッドコンピューターはその役目を終えたのだった。
全てが終わり11人の猟兵たちは帰路につく。
リキッドコンピューターがその役目を終えた時に残っていたアナリシスとそれによって生みだされていた機械兵器はすべて消滅した。
これをもって猟兵たちは敵の情報源を叩き壊すことに成功、今後のオブリビオンの活動は抑制されていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵