殲神封神大戦⑰〜醜き渾沌の怪物
●仙界・渾沌の地仙界・渾沌の地
(何度でも【再孵化】せよ。死ぬ事は赦さぬ)
渾沌氏『鴻鈞道人』が思念を飛ばし、死ぬ運命だったはずのオブリビオン達を強制的に蘇らせる。
(私は常より名乗っており、隠しても居ない)
(私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である)
(お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である)
骸の海が左目を得て具現化した存在だと自称する。悠久の存在が肉を持ち世界に現れたのだと。
(絶えず時は運び、全ては土へと還る)
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達よ)
(相争い、私の左目に炎の破滅を見せてくれ)
世界を滅ぼす力が渦巻く。まるで原初の海のように渾沌が世界を侵食していた。
●グリモアベース
「自らを【骸の海】と自称する謎の敵『鴻鈞道人』が姿を現した」
バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が新たな強敵の出現を猟兵に告げる。
「場所は仙界の最深部にある「渾沌の地」と呼ばれる形定まらぬ場所だ。泥沼の海のように常に蠢くこの世のものとも思えぬ地形になっているようだ」
戦いで足を取られぬように注意する必要があるだろう。
「鴻鈞道人は「再孵化」という死んだオブリビオンや違う場所にいるオブリビオンを作り出す能力を持っているが、今回はそれを使わず、内に秘めたる恐るべき力によって攻撃してくるようだ。
自らの肉体を渾沌の地と一体化させ、「白き天使の翼・白きおぞましき触手・白き無貌の牛頭・白き殺戮する刃」等の『渾沌の諸相』を無差別に発現させた不定形の怪物となって襲い掛かって来る」
その姿はまさに渾沌。常に変異し続けるおぞましい怪物はただ全ての存在を呑み込み滅ぼさんとしている。
「怪物となった鴻鈞道人は先制攻撃をしてくる。だがどのような攻撃をしてくるのか、予知を以ってしても視ることが叶わなかった。常に変異する姿が未来を変え続けているのかもしれん」
渾沌から何が生まれるか、それを知ることはできない。あらゆる事態を想定して攻撃を凌ぐしかない。
「反撃するには初撃を凌がねばならん。今までの戦いの経験を活かし、何としても先制攻撃を生き延びて一撃を加えるのだ」
先制攻撃で倒れれば何もできない。反撃するには予測不能の攻撃を受けても戦う力を残さねばならない。
「現状、鴻鈞道人を滅ぼす術はない。だがオブリビオンを蘇らせる能力を放置しておけば無限に戦力が減らぬことになる。なんとか戦力を削り撤退させる作戦となる」
鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法はない。だが今ある肉体は破壊できるとバルモアは戦場へのゲートを開いた。
「骸の海が本当なのかはわからん。だが敵であるならば戦わねばならん。勝たねばならん。諸君ならば例え骸の海が相手であっても勝利し生還できると信じている。
鴻鈞道人を撃退し、大賢良師『張角』への道を切り拓け!」
天木一
こんにちは天木一です。
渾沌氏『鴻鈞道人』との戦いとなります!
このシナリオは、1章だけで完結する戦争シナリオとなります。
強敵であるやや難易度の高いシナリオとなっております。
醜い怪物と化した鴻鈞道人は先制攻撃を行いますが、使うユーベルコードの詳細は不明です。使われるまでわかりません。
その正体不明な先制攻撃に対処することで、プレイングボーナスを得ることができます。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページかタグにて。
戦争も終盤です! 鴻鈞道人を撃退して決戦へと進みましょう!
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』undefined』
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POW : 渾沌災炎 undefined inferno
【undefined】が命中した対象を燃やす。放たれた【undefined】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 渾沌解放 undefined infinity
【undefined】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 渾沌収束 undefined gravity
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【undefined】で包囲攻撃する。
イラスト:樫か
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黄泉川・宿儺
POW ※アドリブ連携等歓迎です
あの渾沌は、無尽蔵。
きっと小生にはどうすることもできない。
だけど、あれを放置するなんて、小生には絶対できないでござる!
正体不明のUCに対処すべく、<第六感>で攻撃の方角を予想
全身を脱力し、方角を<見切って>被弾箇所を減らすことに尽力する
ダメージは<激痛耐性>で精一杯のやせ我慢!
正体不明の攻撃がどんなものであろうと、今だけは<根性>で突き進む!
不器用であろうと何であろうと、これが小生のバトルスタイル!
もってくれ、小生の身体!
小生の全身全霊をこの拳に!
どんなにボロボロでも関係ない。今こそ<限界突破>!
これで、終わらせるでござるよ!【UC:絶壊拳撃】!
天道・あや
自称、骸の海……ねえ。今一よく分かんないけど、倒さなきゃいけないのは確かだよね??
……よし!そうとなれば、先に進むためにもyouには此処から立ち引いて貰いますぜ!
右よし!左よし!あたしよし!それじゃ、いくぞーー!
どんな攻撃をどんなタイミングでしてくるか分かんない?なら単純! どんな攻撃が何処から来ようと耐えるまで!
自分で言うのも何だけどあたしの身体はなかなか頑丈だし、心は常に燃えてるのでどんな攻撃でもそれ比べたら温いぜ……!【激痛耐性、情熱】
耐えたら次はこっちの番!あたしの燃える想いの乗った重い一撃を聴いて貰うぜ!UC発動!
あたしの歌!骸の海の底まで届かせて魅せる!【歌唱、限界突破】
●瘴気の炎
鴻鈞道人が白き天使の翼を広げ、人型に近いが人には見えぬ怪物となって猟兵を待ち構えていた。
「あの渾沌は、無尽蔵。きっと小生にはどうすることもできない」
黄泉川・宿儺(両面宿儺・f29475)はあらゆる存在がごちゃ混ぜになったような混沌の根源とも云うべき存在を感じる。
「だけど、あれを放置するなんて、小生には絶対できないでござる!」
あんなものをこの世に放っておけば、今ある世界の何もかもが呑み込まれると気合を入れて踏み出した。
「どんな技であれ見切ってみせるでござるよ!」
全身を脱力し、どんな方角からの攻撃も躱す心づもりで鴻鈞道人に接近する。
「自称、骸の海……ねえ。今一よく分かんないけど、倒さなきゃいけないのは確かだよね??」
天道・あや(スタァーライト(皆の道を照らす一番星)・f12190)は難しいことはわからないが、倒さなければいけないのは何となく理解した。
「……よし! そうとなれば、先に進むためにもyouには此処から立ち引いて貰いますぜ!」
道を切り拓こうとあやは不気味な怪物へ立ち向かう。
「右よし! 左よし! あたしよし! それじゃ、いくぞーー!」
交通安全の確認でもするようにキョロキョロと周囲を見渡し、あやも後に続き怪物に向かって真っ直ぐ前進した。
「どんな攻撃をどんなタイミングでしてくるか分かんない? なら単純! どんな攻撃が何処から来ようと耐えるまで!」
避けることは最初から諦めて耐えてしまえばいいとシンプルイズベストな答えに到達していた。
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達よ)
(渾沌の煉獄に呑まれよ)
渾沌と化した鴻鈞道人の怪物の体に無数の口が生まれ、そこから瘴気が放たれる。それが地面や壁に触れた瞬間、爆発炎上して炎の渦が巻き起こった。
「これは燃える瘴気でござるか!」
見れば周囲にも口が生み出され、瘴気があちこちから覆うように宿儺に襲い掛かる。
「避けられぬのであれば、根性で突き進む!」
ただ前を見て敵に向かって突っ込む。瘴気に触れた瞬間炎に包まれるが、構わず炎の中に踏み出して突破を図る。
「不器用であろうと何であろうと、これが小生のバトルスタイル!」
焼ける痛みや体内まで届く熱の苦しみをやせ我慢で耐えてさらに足を前に出す。
「自分で言うのも何だけどあたしの身体はなかなか頑丈だし、心は常に燃えてるのでどんな攻撃でもそれ比べたら温いぜ……!」
あやも燃え上がる炎の渦に呑み込まれ、全身を巻かれながらも耐えて前進する足を止めない。
運良く前方からの炎を宿儺が受けてくれているお蔭で少し浴びる炎が減っていた。
(熱くない熱くない熱くない!)
心に念じて熱さを我慢し、あやは息を止めて先んじて炎を突破する。
「ぜぇ……はぁ……た、耐えた!」
まるでサウナに入ったように全身から汗が流れ、体が焼けて湯気が立つ。
「耐えたら次はこっちの番! あたしの燃える想いの乗った重い一撃を聴いて貰うぜ! ユーベルコード発動!」
呼吸を整えたあやはユーベルコード『サウンド!ボンバー!』を発動し、周囲に元気いっぱいの歌声を響かせる。
「あたしの歌! 骸の海の底まで届かせて魅せる!」
それは渾沌の海の底にまで届かさんと、夢と未来という希望を乗せて広がる。歌と共に飛び散る音符が炎を押し戻し、地獄のような光景が弱まった。
(夢、未来、希望もやがて骸の海に還る)
歌によって怪物の思念が乱れるが、すぐに姿を変え立て直そうと瘴気を放ち始めた。しかしそれに対抗するようにあやも歌のテンポを上げた。
(もってくれ、小生の身体!)
直撃した炎に全身を焼かれながらも宿儺は意識を保ち、変化し続ける怪物の前に立った。
「小生の全身全霊をこの拳に!」
焼け焦げた右の拳を引いて力を込める。
(そのような体で何ができる)
「どんなにボロボロでも関係ない。今こそ限界突破!」
傷だらけの体が戦えそうにない状態。だが限界を超えてさらに足を前に踏み込ませた。
「これで、終わらせるでござるよ! 絶壊拳撃!」
ユーベルコード『絶壊拳撃(スクナックル・オーバーブレイク)』による極限状態での一撃。拳は真っ直ぐ怪物に打ち込まれ、体を貫き破裂させて肉片をバラバラに吹き飛ばした。
「バラバラになったよ!」
敵が木っ端微塵になったとあやが喜びの声を上げる。
「やったでござる!」
手応えありと宿儺が肉片となった敵を見下ろす。
普通なら即死しているダメージ。しかしその肉片はそれぞれが個々の生き物のように蠢き近くの肉片同士がくっつく。そして四つ脚の怪物へと変化し頭部が大きな口となってニタリと笑みを浮かべた。
「うえっ気持ち悪い!」
人の本能に訴えかけるような不気味な姿にあやは顔をしかめて叫んだ。
「倒し切れなかったでござるか!」
宿儺は力を使い果たした身体でさらに殴ろうとするが、口から吐き出された濃厚な瘴気が爆発を起こしてあや諸共、後方に吹っ飛ばされた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
謎の敵とは恐ろしい!
でも怪物にはなるんだろ?
骸の海のまま突っ込んできた方が恐いな。
形を得る事で意志が生まれ、行動と結果が生ずる。これはカオスが因果に収束し、混沌ではなくなることを意味する。
そこには間違いなく『流れ』がある!
【気合い】を入れ【第六感】フル稼働!
予測や予知が無理でも予感ならある、それは形なきモノではなく経験と知識と【情報収集】に基づく解答だから!
超スピード【残像】回避とか、耐性山盛り【オーラ防御】バリアとか、【カウンター】【目潰し】の閃光とか!
【瞬間思考力】で判断して対応!
さあ攻撃したことで混沌は形になった。
『原初の混沌』を【全力魔法】で【武器改造】し、敵を討つ【属性攻撃】とする!
鏡島・嵐
【渡り鳥騎士】
自称骸の海の化身サマ……それでオブリビオンじゃねえってどんだけ規格外なんだ。
正直、すげえ怖い。でも踏ん張らねーと。
どんな攻撃来るかわかんねーけど、何がなんでも防がねえと。
機械馬に騎乗した状態で〈野生の勘〉〈第六感〉をフルに発揮して攻撃の前兆を察知し〈見切り〉、タイミングをトリテレイアに伝え回避機動を取ってもらう。それで防ぎきれねえ分は〈オーラ防御〉を展開して耐える。
UCで自分たちの各種能力強化……攻撃準備時間を短縮したり、威力や機動力を引き上げたりしながら、トリテレイアの反撃準備が整うまで防御に徹して時間稼ぎ。
〈援護射撃〉も撃ちつつ、反撃を綺麗に当てられる決定的な瞬間を作り出す。
トリテレイア・ゼロナイン
【渡り鳥騎士】
友と共に
如何なる相手であろうと、退けねば封神武侠界に、私達に未来はありません
世界を知る為に、越えねばならぬなら…行きましょう、鏡島様!
共に機械馬ロシナンテⅡに騎乗しワイヤーアンカーで操縦
飛来する「何か」を電脳禁忌剣や大盾での武器受けや盾受けで防御
背後は肩部格納銃器を旋回させ撃ち落とし
マルチセンサーでの情報収集と瞬間思考力で攻撃は分析しますが…受けてはならぬ攻撃や防御不能の判別は鏡島様の感覚を頼ります
機械馬に装備された大出力スラスター推力移動にて回避
用途申請 『鴻鈞道人』の撃退!
UC解禁
戦場を駆けつつ馬上槍の如く剣構え充填開始
鴻鈞道人、覚悟!
切っ先の電脳魔法陣から光条放ち消し飛ばし
霧島・絶奈
◆心情
絶望の海に餐まれるわけにはいきません
少なくとも今は…
共に愉しみましょう
この『逢瀬』を
◆行動
左目を得て具現化した事で、「見る」事に執着している様にも感じられます
故に私がどう凌ぐのかを観察したいのでしょう
地形対策には【空中浮遊】を活用
敵の先制攻撃は…
名前から察するにブラックホールでしょうか?
まあ「n本の」というルールに縛られるならば…
地形からも生える無数の触手による熱い抱擁と言った所でしょうね
対策として【罠使い】として持ち込んだ複数の「サーモバリック爆薬」を【衝撃波】で周囲に散布
物体ならば物理的に吹き飛ばし、仮にブラックホールなら中心核の生成を阻害する事で威力を減衰
加えて【限界突破】する程【各種耐性】を高めた【オーラ防御】を展開
<真の姿を開放>
『涅槃寂静』にて「死」属性の「極超新星」を行使し【範囲攻撃】
此の地諸共、骸の海に還ると良いでしょう
私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【各種耐性】を【限界突破】する程高めた【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
●渾沌を打ち消す光
「謎の敵とは恐ろしい! でも怪物にはなるんだろ?」
フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は変化はすれども形を持つ怪物と化した鴻鈞道人を視界に収める。
「骸の海のまま突っ込んできた方が恐いな」
例えどのように変わろうともそこに物質として存在している。それならば実体がない状態であった方が恐ろしいと感じた。
「形を得る事で意志が生まれ、行動と結果が生ずる。これはカオスが因果に収束し、混沌ではなくなることを意味する」
この世界に現れたことで混沌としての属性を失ったのだと看破した。
「そこには間違いなく『流れ』がある!」
ならどうにかできると信じ、フィロメーラは気合を入れて強敵に挑む。
「絶望の海に餐まれるわけにはいきません。少なくとも今は……」
霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は世界を渾沌に沈めようとする怪物を拒絶する。
「共に愉しみましょう。この『逢瀬』を」
絶望をもたらす怪物を前にしても微笑みを浮かべ、その異形の姿を観察する。
「左目を得て具現化した事で、「見る」事に執着している様にも感じられます」
この世界に唯一顕在している左目。核のようになっているその影響で見ることを重視していると感じた。
「故に私がどう凌ぐのかを観察したいのでしょう」
ならば対策してみせようとふわりと浮かび上がる。
(敵の先制攻撃は……名前から察するにブラックホールでしょうか? まあ「n本の」というルールに縛られるならば……地形からも生える無数の触手による熱い抱擁と言った所でしょうね)
そう予測して対抗策を考え、罠を散布して備えた。
(骸の海に抗うな)
(命あるものよ土へと還れ)
渾沌から鴻鈞道人の意思が伝わり、怪物の四つ脚が地面と一体化し、浸蝕するように地面に壁に天井に広がると無数の牙がびっしりと生える。それはまるで巨大な生物の口の中に取り込まれたような光景だった。
「来る!」
予感にぞくりと身体が震え、フィロメーラが超スピードで飛ぶと同時に牙が全方向から伸びた。その根本は触手となりうねうねと蠢く。
「触手でしたか、先端が刃として高質化しているようですね」
絶奈は冷静に敵の攻撃を判断しながら、ばら撒いていたサーモバリック爆薬を爆発させて爆風で軌道を捻じ曲げる。
だが蠢く触手がすぐに軌道修正し、絶奈を狙って全方向から貫こうと迫った。
「簡単にはいきませんか」
すぐに絶奈はオーラを展開して受け止める。だがガリガリと削られ牙が中に入って体に突き刺さろうとするのを黒剣と白槍で弾いた。
「ですが此方も簡単にやられるつもりはありません」
絶奈が宙を動きながら衝撃波を飛ばし、攻撃を回避していく。
「負けない!」
フィロメーラは右に左にと無数の牙を避け、目潰しの閃光を放って狙いを逸らす。だが圧倒的に数の多い牙の群れはお構いなしに襲い掛かる。そのうち避けきれないものが体を掠め、オーラのバリアで凌ぐが大きく体勢を崩す。そこへ牙が身体を貫く――だがフィロメーラの体は幻のように消えた。
「まだまだ!」
残像を残しながら飛び回り、フィロメーラは牙の嵐を避け続けた。
(喰らい損ねたか)
二人が手傷を負いながらも猛攻から逃れていると、ようやく触手の動きが鈍り始めた。
「どうやら先制の猛攻が終わったようですね」
絶奈が周囲の触手が戻っていくのを見てオーラを解いた。
「流れが途切れた!」
牙の襲撃を潜り抜けたフィロメーラが肉塊に近付く。
「さあ攻撃したことで混沌は形になった。今度はこっちの番だ!」
ユーベルコード『界の指先(ツクリダス)』を発動し、原初の混沌をありったけの魔力を注ぎ込んだ魔法で改造し、敵を討つ力に変える。
「混沌には混沌を!」
輝く光を手中に作り出す。それは原初の海のように無数の色が混じり合った星の如く煌めく。
「これでどうだ!」
放つ流星が肉塊に直撃し、爆発を起こして肉片が飛び散った。しかし肉片がビクビクと震えてくっつきまた違う怪物の形状に変化していく。
「ダメージを受けてもまた結合するのは知っています」
絶奈は先に戦った仲間の情報からその生命力の強さを理解していた。
「では此れでどうでしょう」
絶奈は真の姿である異端の神の姿となると、ユーベルコード『涅槃寂静(ヨクト)』を発動した。怪物が支配している領域に侵食し、自らの支配域として塗り替える。
「此の地諸共、骸の海に還ると良いでしょう」
死の力を宿す極超新星が生み出され、爆発に周囲の地形ごと肉片を呑み込んだ。
だがその閃光の中から感情を感じさせない目がぎょろりと絶奈を見つめた。
「まだ足りませんか。成程、骸の海を名乗るだけはあります」
絶奈が見ている前で、目から新たな肉体が作り出され、鳥のように翼を広げた。
「しかし力はかなり失っているようです。もう一押しでしょう」
脅威には変わりないが、先ほどよりも感じられる力の波動が減っていた。
●骸の海に還る
「自称骸の海の化身サマ……それでオブリビオンじゃねえってどんだけ規格外なんだ」
どろどろに溶けた肉片が新たな姿に再生される怪物。こんなものがオブリビオンではない事実に鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は驚愕する。
「正直、すげえ怖い。でも踏ん張らねーと」
怯えて逃げたくなる気持ちを抑え込み、この脅威が世界を呑み込むのを防がなねばと勇気を振り絞る。
「如何なる相手であろうと、退けねば封神武侠界に、私達に未来はありません」
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は全ての人々の為に戦わんと【機械白馬「ロシナンテⅡ」】を呼び出し騎乗した。
「世界を知る為に、越えねばならぬなら……行きましょう、鏡島様!」
そして友と共に乗り越えようと嵐に呼びかけた。
「どんな攻撃来るかわかんねーけど、何がなんでも防がねえと」
嵐も機械馬に二人乗りで後ろに騎乗して、敵の様子や周囲の空気を感じ取り攻撃の前兆を探る。
「同じ攻撃がくればいいが、そう甘くはねえだろうしな」
先ほど他の猟兵が戦っていた時には刃のような牙が飛び回っていたが、既に敵は違う姿へと変貌している。
「何が飛来しようとも耐え凌いでみせましょう」
トリテレイアはワイヤーアンカーで機械馬を操作し、怪物に向かって接近する。
(私の力に抗う者達よ)
(死の翼に包まれ世界と共に骸の海に沈め)
怪物の背に広がる美しい純白の翼。それが増えて何対もの翼が視界を埋め尽くした。
「すげぇ嫌な予感がしやがる」
嵐がその光景を見てぞくっと寒気に身体を震えさせた。
「そのようだ」
トリテレイアもその感覚に同意して、警戒して機械馬の手綱を引くようにワイヤーアンカーを操って速度を下げ、敵に向かっていた方向を変えた。
「回避だ! トリテレイア!」
「承知!」
嵐が叫ぶとトリテレイアが機械馬を反転させ逃げるように全力で走らせる。
それと同時に純白の翼が羽ばたくと無数の羽根が矢のように放たれた。先ほどの牙を上回る数の攻撃が襲い掛かる。
「こんなの躱しきれねえ!」
嵐が自分達を守るようにオーラの防壁を展開して守りを固める。だが次々とオーラに羽根が突き刺さり、穴が穿たれ背中に突き刺さった。
さらに通り過ぎた羽根が旋回して逃げる二人の正面からも迫る。
「こちらからも来たか」
トリテレイアは剣を振るって弾き、大型盾で受け止める。しかしすり抜けたものが手足や機械馬に突き刺さっていった。
「絶対に耐えてみせる!」
殺気を感じた嵐は上を見上げ、【お手製スリングショット】から石を飛ばして頭上から頭部を狙った羽根を撃ち落とす。
「旋回します」
「わかった!」
このままでは動きが読まれていると予測したトリテレイアが機械馬の大出力スラスターを使って速度を下げぬまま方向転換し、大きく回避行動を取った。それに合わせフォローするように嵐は石を纏めてばら撒き矢にぶつけて弾いた。
どれほどの時間が経っただろうか。体感では途轍もなく長い時間が過ぎたところで、怪物の翼から羽根が失われ、白い嵐が静まった……。
(死の翼から逃れたか)
(罪深き刃ユーベルコードを刻まれし者達はどこまでも破滅に抗う)
淡々とした思念が放たれ、怪物は次の形態へと変化を始める。
「なんとか……生きてるな」
嵐は血を流しながらも、戦闘に支障はないことを確認して敵を見た。
「こちらもダメージは受けましたが問題ありません」
トリテレイアも自身の損傷状況をチェックして問題ないと機械馬を敵に向けた。
「反撃といこうか」
嵐がユーベルコード『笛吹き男の凱歌(ラッテンフェンガー・パラード)』を発動し、召喚された道化師が魔笛を吹き鳴らし、勇ましい音色で仲間の戦闘力を高める。
「援護するから、仕上げはトリテレイアに任せた!」
嵐はスリングショットで援護し、敵の生まれ出る頭部に石を撃ち込んだ。
「お任せあれ!」
トリテレイアが馬上槍の如く剣を構え、切っ先を怪物に向けてエネルギー充填を開始した。
「鴻鈞道人、覚悟!」
ユーベルコード『銀河帝国正式配備・普及量産型惑星破壊兵器(アレクシアウェポン・プラネットブレイカー)』を発動し、眩い閃光と共に破壊光線を発射した。
(星をも破壊する光か)
全身を光に包まれた怪物の体が消し飛んでいく。
(まだ――消えぬ)
消し飛ぶ光の中、鴻鈞道人の左目が再度輝き再生を始める。
「何度実体を持ったって無駄だ!」
そこへフィロメーラが力の流れを乱すように星の光を叩き込んだ。
「此れで終わりにしましょう。此処は貴方の居場所ではありません」
続けて絶奈が死の力を込めた衝撃波をぶつけ再生を止めた。
「今だトリテレイア! いっけーーー!」
嵐が道化師の演奏をクライマックスのように盛り上げて最大強化を施す。
「この世界から消えよ! 鴻鈞道人!」
トリテレイアが破壊光線の出力を上げて光が目を眩ませるほどになる。
(ここまでか……)
その光が通り過ぎると、怪物の一片までもが消滅し左目も世界から消え去っていた。
「撃退完了です」
「やったな!」
トリテレイアと嵐が喜びの声を上げる。
「やったー!」
「何とか倒せたようですね」
フィロメーラと絶奈も恐ろしい怪物を倒せたと笑みを浮かべ力を抜いた。
猟兵達は見事に渾沌の怪物を追い払い、世界が骸の海に呑まれるのを回避した。
あとは張角だけだと、休む間もなく最後の戦いの備え忙しなく帰還していった……。
大成功
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