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殲神封神大戦⑰〜機人、渾沌に呑まれ

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●仙界最深部『渾沌の地』
 渾沌氏『鴻鈞道人』。
 骸の海そのものと称する存在を討つため、その在所へと、猟兵達を導くグリモア猟兵。
 すなわち、ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、いつも通り、猟兵達を鼓舞せんとしていた。
「敵はカオスにして強大。皆様のご武運をバシッとお祈……なんですと!?」
 ヴェルタールの足が地を離れ、浮かび上がる。
 明らかに本人の意思に反するその行動、その鋼の肉体の行先は、敵である鴻鈞道人の元であった。
(グリモア携えし猟兵。その導きにて争乱を齎せ)
「まさか、私の体を使おうと言うのですか!?」
 ヴェルタールの躯体の、隙間という隙間から、鴻鈞道人の影が入り込む。
 道人により侵食されゆくヴェルタールの瞳から、光が失われる。
 刹那の後、再び灯る光。しかし、そこに宿るのは……ヴェルタールの意志ではなかった。

「人にして人にあらず。絡繰りにして絡繰りにあらず。面白き躰よ」

 声こそヴェルタールのもの。しかし、それを発する体の主は、鴻鈞道人にすり替わっていた。
 この存在はもはや、鴻鈞道人と同一と言っていい。
 それでも、猟兵達の前に立ちはだかるのが、ヴェルタール本人の肉体であり、その魂を宿したものである事に変わりはない。
「我に姿形など無意味。だが猟兵よ、その心にとっては如何に」
 その言葉に、ヴェルタールの心は存在しない。
 たとえ、猟兵達が呼び掛けようとも、一切揺らぐ事は有るまい。加えて、鴻鈞道人の力には、こちらが全力を出してなお、届くかどうか。
 手加減している余裕など、ない。
 ならば、猟兵に出来るのは、全力を振り絞って戦う事。
 常に猟兵の先を行く攻撃に対処し、反撃する事。
 そして、勝利の後、ヴェルタールという存在が無事に残留してくれる事を祈る事。
 猟兵達が為すべきは、いつもと変わらぬ。勝利だ。


七尾マサムネ
 こちらは、殲神封神大戦のシナリオです。
 一章のみで完結します。

 今回の渾沌氏『鴻鈞道人』は、グリモア猟兵を乗っ取り、その体で攻撃してきます。
 なお、このシナリオに参加する猟兵は、シナリオ開始時点で、既に戦場に転移されていたものとします。

●プレイングボーナス
 グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。

 それでは、皆さんのお力でヴェルタールさんを解放してやってくださいませ……!
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルドラ・ヴォルテクス
アドリブ&連携OK

【ルドラ・ゴースト】
骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな。

ヴェルタールを依代にしたか。
血の業……アレが混沌の業か。
チャンドラーエクリプス展開!
ヴァーハナヴィマナ、限界突破、振り切る!

【反撃】
UCアーディシェーシャ、今を繋ぎ止めろ!
強化を封じれば、あとはこちらの番だ。
インシネイト接続、ラプチャーズグレネード、高出力電磁パルスだ、普通のマシンならコレで終わるが、ヴェルタール、お前に注がれた技術と技巧、信じて撃ち込ませてもらうぞ!

……とはいえ、混沌……貴様は耐えてくるか?露出させたお前という悪意を穿てば、ヴェルタールから離れざるを得ない、違うか?



 渾沌の地。
 天も地も曖昧なこの空間に、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)の姿はあった。
「骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな」
 そして、ルドラを手助けするように導いた人物が、目の前にいる。
 グリモア猟兵、ヴェルタール。しかし、今は。
「渾沌氏……ヴェルタールを依代にしたか」
「左目のみではいささか不便ゆえ」
 ルドラへの返答は、思念ではなく、音声として伝わった。
 そして、ヴェルタールの五感を掌握した鴻鈞道人が、鋼の体を動かす。
 内蔵された機械腕が……ヴェルタール自身へと突きこまれる。流れ出すのは、合成血液。
 無重力空間のように、粒となって浮かび上がった血液が、道人ヴェルタールをコーティングしていく。
「血の業……アレが混沌の業か。だが、その体を傷付けさせる事も強化する事も、それ以上はさせん! チャンドラー・エクリプス展開!」
 羅睺の刃が、渾沌を斬るのに最適な形を求めて、組み替えられる。
 戦単車ヴァーハナ・ヴィマナを駆るルドラへ、道人ヴェルタールから突き出される、機械腕。
 その先端部をドリル状に変え、ルドラへと迷いなく突進してくる。
 相手の速力は、尋常ではない。そしてそれがもたらすのは、圧倒的な強度を誇る命中率だ。
「限界突破、振り切る!」
 単車で回避を試みながら、ルドラは、もう1つの手を打っていた。
 道人ヴェルタールの攻撃が確定的ならば、その軌道は全てルドラに帰結する。
 攻撃が、ルドラの霊的存在まで貫く寸前。
「アーディシェーシャ、今を繋ぎ止めろ!」
 不可視の波紋。
 ルドラが相手に送り込んだコードが、威力を発揮する。
「……これは」
 回路の如く駆け巡った光が、道人ヴェルタールがまとう、血の装甲を剥離させた。
 展開した障壁も合わせ、ドリルの直撃を免れ、距離を取るルドラ。
「強化を封じれば、あとはこちらの番だ」
 『ラプチャーズ』に『インシネイト』をコネクト、道人に向けて射出。
 爆発とともに拡散したのは、高出力電磁パルス。
 普通のマシンならこれで終わるところだが、内なる存在が、それに耐える。
 しかし、ヴェルタールから溢れ出さんとする敵の気配を狙い、ルドラが次弾を装填する。
「ヴェルタール、お前に注がれた技術と技巧、信じて撃ち込ませてもらうぞ!」
 二射目。
 爆破用擲弾が、機人に炸裂した。
「露出させたお前という悪意を穿てば、ヴェルタールから離れざるを得ない、違うか?」
 煙の中の影から、ルドラへの回答はない。
 いや、それこそが、道人の答えであるといえた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
ツラいけどガツンとやるしかない!
でも、あのボディは固そう!
ただガツンといくよりも……?

とりあえず攻撃に対処しよう!
ウォーマシンだし、色々と駆動音がするんじゃない?
これを【聞き耳】で捉えれば攻撃の前兆が掴めると思う!
【視力】いいからパーツの細かい動きも見逃さない!
攻撃の種類を見極めて【残像】の速度で避けるぞ!

敵は血を流すと……血? オイルとか?
とにかくパワーアップされないよう攻撃は控える!
パワー型だし、回避に専念して動き回れば、隙を作れるはず!

そしたら【星の遊び場】だ!
【破魔】【属性攻撃】の雷で【鎧無視攻撃】する!
歴戦のマシンなら耐電能力はあると思う。
でも聖なる雷で悪しき骸の海を撃つならどうよ!



 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、骸の海……過去そのものである渾沌氏に取り込まれたヴェルタールを、目の当たりにしていた。
 乗っ取られたグリモア猟兵が、苦しみを訴える事はない。
 自分を攻撃するのに躊躇いを捨てろと懇願する事もない。
 何とも、やるせない。
「ツラいけど……ガツンとやるしかない!」
 しかし相手は、ただでさえ頑強な鋼の肉体。
 正攻法で装甲をぶち破るよりも、あるいは……と、フィロメーラは策を巡らす。
 だが、フィロメーラに鴻鈞道人が与えてくれる猶予は、ない。
 ここまでの猟兵との死闘により、自傷せずとも、ヴェルタールの躯体のあちこちから、内部を流れる合成血液がこぼれ出している。
 オイル? ……かと思ったが、どうやら違うようだ。
 道人は、その流血を操ると、ヴェルタールの損傷を覆うように、まとってみせた。
「性能を示してもらおう。その命、骸の海に還るまで」
 身体の主にそう告げると、道人ヴェルタールが、駆動した。
 コートを思わせる外装、その裏に隠された腕が、露わになる。渾沌の諸相によって強化された一撃ならば、フィロメーラなど塵に還りそう。
 しかし。
 あくまでも、体はヴェルタール。性能を越えた力を与えられているとはいえ、強い負荷がかかれば体が軋むし、静音機能にも限界がある。
 ゆえに、フィロメーラは耳を澄ませた。相手が動き出す、その兆しをいち早く捉えるために。
 前進の為、特徴的な腰部パーツが微動する音と一瞬を、フィロメーラの耳と目は逃さなかった。
 機械腕の先端が、刃に変わる。刺突だ。
 絶対命中の領域に達したその一撃が、フィロメーラの小さき体を貫いた。
 しかし、道人ヴェルタールは、つまらなそうに刃を引き抜いた。
「残像か」
 フィロメーラの本体を求めて、攻撃を続ける道人ヴェルタール。
 一方のフィロメーラは、回避に徹する。無闇に攻撃して損傷させれば、相手をよりパワーアップさせてしまうだけだからだ。
 ヴェルタールが高速戦闘タイプでないのも加味した上で、避けて、避けて、避けまくる。
 だが、もちろん、いつまでも相手の思うようにしておくつもりは……ない!
「歴戦のマシンなら耐電能力はあると思う。でも聖なる雷で悪しき骸の海を撃つならどうよ!」
 幸運もたらす流れ星が、奔放に舞い踊るように。
 フィロメーラが呼び起こした雷撃が、道人ヴェルタールに降り注いだ。
 内なる渾沌のみを退ける、破魔の力。
 そして、ヴェルタールの重装甲を無視する威力が、道人そのものを引き裂いた!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
ヴェルタール、しっかりしろ!
…くっ、やはり声をかけても無駄か。
ウォーマシンの頑強性に渾沌の力が加われば、厄介だな。

【先制攻撃対策】
アカツキと躯丸の二刀を抜き、伸びてくる触手を
《2回攻撃》で切り払う。続いて《念動力》で
スラッシュストリングを操り、天使の翼を
削ぎ切るように振るって空中機動力を低下させる。
そして殺戮の刃はブレイドウイングを展開させ、
《ジャストガード》で防御。

私の反撃はこれからだ。いくぞヴェルタール!
《メカニック》知識と《戦闘知識》で、ヴェルタールの
構造上脆い部分を割り出し、そこへ《属性攻撃》
で重力の波動を送る。動きが鈍ったところへ
【フルチャージバスター】の《レーザー射撃》を撃ち込む!



 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、渾沌の使徒と化したヴェルタールと交戦していた。
「ヴェルタール、しっかりしろ!」
 同じグリモアを預かる者として。
 たとえ届かぬと知っていても、呼び掛けずにはいられない。
「彼の者の魂は檻の中。何ものも触れられぬ」
「……くっ、やはり声をかけても無駄か」
 それだけ鴻鈞道人の力が強大である、という証拠だ。
 ウォーマシンの持つ頑強性に、渾沌の力が加われば、厄介極まりない。
「私は骸の海の一掬いに過ぎぬ。だがこの肉体の主はどうか」
 一度や二度倒したところで、道人にはさしたる痛痒はない。だが、ヴェルタールは一度きりの命だ。
 言葉でガーネットの覚悟を揺さぶった道人は、更なる絶望を、形として見せつける。
 背部装甲を破って立ち昇る白きオーラが、翼となり。
 本来の構造を砕き、おぞましき触手と刃が、新たな腕として顕現する。
「来るか!」
 弾丸の如き速さで突き出された触手が、ガーネットを突き破る寸前。
 重ねの刃が、それを切り払った。アカツキと躯丸、二刀による連斬。
 塵と化す触手。無論、これしきの事で揺らぐ道人ではない。
 羽ばたく白翼に、ガーネットは、すかさずスラッシュストリングを放ち、拘束。
 宇宙怪獣の皮膚さえ切り裂く鋼糸だ。渾沌製の翼といえど、はじき返す事は出来ない。
 翼を裁断され、機動力を低下させた道人ヴェルタールは、冷静に演算を続行した。まだ、殺戮の刃がある。
「私の齎す死からは逃れられぬ」
 力の代償として、鋼の体を駆動させる合成血液をこぼしながら、白刃を振るう道人。
 今度こそ、ガーネットの命脈も断たれるか。
 答えは否。
「ほう」
 道人が発したのは、感心か。
 火花を散らし、殺戮の刃を防いだのは、ガーネットの外套から現れた刃の盾……ブレイドウイングだった。タイミングは完全。
 ここまでの攻防、時間にしてわずか数秒。
 道人ヴェルタールの絶技をしのぎ切ったガーネットが、いよいよ牙を剥く時が来た。
「私の反撃はこれからだ。いくぞヴェルタール!」
 ガーネットの知識群が、ヴェルタールの構造上の脆弱な部分を看破する。
 重力波動が狙うは、フレキシブルな稼働を実現させる、背骨状の上半身。
 これまでの猟兵の攻撃で、負荷がかかっているところへの攻撃は、実によく効いた。
「……!」
 挙動の要を押さえつけられた道人ヴェルタールは、光を見た。
 白翼の残滓も、装甲さえも破って。
 クロスグレイブの砲身が赤熱化する程の大出力レーザーが、鋼の体を貫通した。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)

元々頑丈で大きくて結構脳筋なヴェルタールは中々に厄介
でも、このヴェルタールwith渾沌はNM・モジュール付けてくれそうにない
絶対にヴェルタールを取り戻す

…ん?何まつりん
ん、ん…きっとそう。まつりんの予想、流石(こくこく)
そしたらわたしはどんな状況でも対応出来そうな、象にアリ作戦でいく
真の姿を解放して瞳が青に

白い翼…ネコミミ付けたらばっちりだと思うので、戻ったらコスプレってもらおう
その誓いを己への鼓舞にし
超強化へ立ち向かう勇気に変えて

第六感で触手、刃のタイミングを感じ取り
幅広の大剣にした灯る陽光を怪力で振り殴り相殺
競り負けそうなら一気に脱力し渾沌氏の体勢を崩す
その一瞬で逃げ足使いジャンプで後方へ

【うさみみメイドさんΩ】

メイドさんズ、その小ささは有利
一気に散り走り、ヴェルタールの身体に纏わりついて
機体の隙間という隙間から内部へ衝撃がいくようにキック、パンチ!

まつりんのサンダーを察したら巻き込まれないよう急ぎ離れて

無事渾沌氏を取り除けばヴェルタールの機体修理しよう


木元・祭莉
アンちゃん(f16565)、ヴェルタールさんがピンチだ!

こーきん……渾沌氏の先制ゆべこが来る!
うわぁ、ヴェルタールさんが白く光って、強化されたっ……

……強化された、んだよね?
流血?
するのかな??(うーん)

……うん、翼と触手と刃が生えた。
なんかスゴい姿になっちゃったね……よし、戦闘開始!(ふんっ)

アンちゃんは、うさメイドさんを呼ぶんだね!
じゃあ、おいらもそんなかんじで!
ジャンプ&ダッシュで接近!

一斉射撃の雨をかいくぐり。
周囲をぐるぐる駆け回って、隙を狙う!
誘導弾は空中で月面宙返りして躱し、如意な棒で叩き落としていくよ!
一応、血? は流させない方が良さそうだから、綾帯を引っ張り伸ばして投擲!
両足に絡み付けて、動きを阻害したり。

うさみみメイドさんズの波が一段落したら。
あーゆーれでぃ?(コケー☆)
いくよ、メカタマコ!

こっそり配置しておいたメカたまたちの電撃!
ヴェルタールさん、機械だから効くでしょ?
シビシビするでしょ?

それー、渾沌氏をお仕置きだ、かかれー!
はやく出てけー!
ちゃんとカッコよく喋れー!



「アンちゃん、ヴェルタールさんがピンチだ!」
 木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)が、自分達を導いてくれたグリモア猟兵を指さした。
 祭莉にも一目で分かる、これはヴェルタールとは全くの別人。
 機械の体は、鴻鈞道人という赤の他人によって支配され、本来の持ち主の意志など、微塵もみせない。
 なじみ深い、大きな体のグリモア猟兵との、想定外の対決。
 木元・杏(焼肉処・杏・f16565)の面持ちは、なんとも険しいものだった。
「元々頑丈で大きくて結構脳筋なヴェルタールは中々に厄介」
 杏が感想をこぼしても、いつものようにヴェルタールが応える事は、ない。
「でも、このヴェルタールwith渾沌はNM・モジュール付けてくれそうにない。絶対にヴェルタールを取り戻す」
「この体を破壊する事と、この体を保つ事。矛盾を叶える事ができようか」
「やって、みせる」
 鴻鈞道人の、ウォーマシン以上に無機質な言葉に、答える杏。
 ヴェルタールの体は、損傷が激しい。早く解放して、急いで修理しないと。

 杏が勝利への道を模索する中、道人ヴェルタールから放たれる威圧感が突如、増大した。
 祭莉達を過去に沈めるべく、渾沌の諸相を解放したのだ。
「こーきん……渾沌氏の先制ゆべこが来る!」
 それは渾沌の諸相、ヴェルタールのユーベルコードとは全く異種の力……!
「うわぁ、ヴェルタールさんが光って、強化されたっ……」
 まばゆい輝きが収まった後、現れたのは、
「……強化された、んだよね?」
 先ほどと一切変わらない外見だった。
 しかも、
「流血? するのかな??」
 うーん、と、首をかしげる祭莉。
 ウォーマシンも人のように動くのなら、人工的にせよなんにせよ、血液っぽいものはあるはずだ。多分。
 すると、マントのような外装の下から、腕が現れた。隠し腕だ。
 それを使って、自らの装甲を剥がす。こぼれ出す液体。ヴェルタールの中に流れる合成血液である。
 流れ出る血を、オーラのようにまとった道人ヴェルタールが、祭莉に照準を合わせた。
 がこん、と外装が開き、中から武装が現れる。
 それによって披露されたのは、一斉射撃の雨!
 流血を媒介にして強化された射撃が、祭莉へと降りかかる。
 殺意の雨をかいくぐり、道人ヴェルタールの周囲を駆け巡り、隙を狙う祭莉。渾沌氏を追い出すチャンスは、必ず訪れるはず……!
 下方へと落下していく弾の中、異なる軌道を描くものがあった。誘導弾が、弾幕の中に紛れ込んでいたのだ。
「ヴェルタールさんはそんな卑怯な事しないよ! ……たぶん!」
 とっさに祭莉は、虚空で月面宙返り。そこに殺到する弾の群れを、如意な棒で叩き落としていく。

「このままじゃ渾沌氏のペースだね! アンちゃん!」
「? まつりん、何か作戦が」
 祭莉の耳打ちを受け、駆け寄る杏。
「あれがヴェルタールさんの体なら、もにょもにょ……」
「ん、ん……きっとそう。まつりんの予想、流石」
 こくこく。
 道人に一泡吹かせる祭莉の作戦を、杏は了解した。
「そしたらわたしはどんな状況でも対応出来そうな、象にアリ作戦でいく」
 周囲を満たす渾沌の気配を、杏の神秘的な力が押し返す。
 普段とは異なる、それでいて、杏の本質が強く表れた、その力こそ。
「それが猟兵の権能か」
 真の姿の証、杏の青の瞳に見据えられた、道人ヴェルタールは、応答するように、体を変容させた。
 先ほどとはまた違った気配を察し、身構える祭莉。
 白き翼、白き触手、白き刃。
 めきめき。渾沌の力が機械の体を突き破って、形を取ったものだ。
「……今度はなんかスゴい姿になっちゃったね……」
 変化した道人ヴェルタールの姿を見て、杏は、白い翼+ネコミミ=ばっちりだと思った。
「戻ったらコスプレってもらおう」
 その誓いを、己への鼓舞に。
 敵の、超強化へ立ち向かう勇気に変えて。
 迎え討つ杏へと、道人ヴェルタールから、超高速の触手が来る。
 更に、包囲網を完成させるように、白刃が振われる。
 杏の第六感が、その体を突き動かす。閃く『灯る陽光』。幅広の大剣と、白の殺意がぶつかった。
 杏の発揮する怪力は、ウォーマシンにも引けを取らない。
 だが、元のヴェルタールならいざ知らず。手数も威力も、相手の方が別格だ。そこで、杏は、自身が競り負けるという予測を受け入れた。
 こめていたありったけの怪力を、一気に脱力。
 攻勢に全振りしていた道人が、前のめりになる。力のバランスをずらされ、道人が体勢を崩した瞬間を狙い、杏は後方へジャンプ。
 空を切った攻撃の威力は、虚空を破壊して、爆発に似たエネルギーの飛散が生じた。
 元々、渾沌の地の景色は、渾沌だ。景色のカオス度が多少上がったところで、何の問題も無い。
 杏は、破壊の衝撃風を浴びつつ、反撃に出る。
「【うさみみメイドさんΩ】」
 小さき味方……うさみみメイドさん達が、渾沌の空間にあふれた。
 杏がメイドさん達を呼ぶのを見て、祭莉もジャンプ&ダッシュで、道人ヴェルタールへ接近。
 下手に道人ヴェルタールを傷付ければ、疑似血液が流れて、敵の思うつぼ。
 それを見抜いた祭莉は、綾帯を引っ張り伸ばして投擲した。
 しゅるり、道人ヴェルタールの両足に絡み付き、動きをソフトに阻害する。
「アンちゃん、ヴェルタールさんがもごもごしてるうちに!」
「ん。メイドさん達、れっつごー」
 杏の合図で、一気に八方へと散る。うさみみメイドさん軍団。
 道人ヴェルタールの全身へと次々纏わりつくと、鋼の体の隙間という隙間を狙い、一勢攻撃を仕掛けた。
 パンチにキックの雨あられ。シンプルだが確実な打撃が、道人ヴェルタールの体を揺るがす。
 そして、内部フレームにまで伝播した衝撃が、道人そのものすら削り取る。
 骸の海と言っても、ここに在るのはその一部。杏達でも倒しきれない道理はない。
「!」
 杏とうさみみメイドさん達が、突然、道人ヴェルタールから離れた。
 いよいよ作戦も大詰め。
 うさみみメイドさん達の奮闘中に、祭莉の準備は万端!
「あーゆーれでぃ?」
『コケー☆』
 コール&レスポンス。
 うさメイド軍団から解放された道人ヴェルタールが顔を上げた先、祭莉とメカタマコ軍団が待っていた。
 こっそり配置しておいたメカ達が、陣を為している。
「いくよ、メカタマコ!」
 ぱちん。
 祭莉の鳴らした指が、起動キィ。
 渾沌の地が、轟音と閃光に震えた。
 陣の中心に囚われた道人ヴェルタールを、裁きの雷光が直撃したのだ。
「ヴェルタールさん、機械だから効くでしょ? シビシビするでしょ?」
「……!」
 中が渾沌氏で満たされているとはいえ、身体はヴェルタールのもの、すなわち、ウォーマシンのそれ。
 これぞ祭莉発案、乾坤一擲の大反撃。
 道人の動きが止まった隙に、祭莉は一気に反撃に転じた。
「それー、渾沌氏をお仕置きだ、かかれー!」
 陣を解いたメカタマコ達が、煙をあちこちから上げるヴェルタールへと殺到する。
「はやく出てけー! ちゃんとカッコよく喋れー!」
「そう。そしてネコミミを付けてみんな幸せになる」
 杏のかざした大剣を旗印に、うさみみメイドさん達も、再び標的へ飛びかかったのである……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グレアム・マックスウェル
猟兵同士を戦わせるに飽き足らず、代償で苦しむ様まで見せつけるか
実に愚かで卑劣
こんなゲスが神を名乗るなんて虫唾が走る

先制攻撃はリミッター解除して機能を機動力強化に全振りし
瞬間思考力で攻撃を先読みして回避

鴻鈞道人、『君』は自分で言っただろう?
『彼』は人にして人ならざる者
生命の埒外にある猟兵がそう簡単にくたばるはずがない
仮に僕が『彼』の立場でも……
だから僕も全力でやらせてもらう

敵の攻撃を回避しながらも冷静に戦況を判断し
急所を狙って(スナイパー)銃撃
人質を盾に取り痛めつければ簡単に心を折れると考えた
その「人に対する侮蔑と慢心」がお前の限界にして敗因だ

おかえり、ヴェルタール
そして……神気取りのゲスは死ね



 猟兵達による、必死の解放作戦が、渾沌氏を追いつめる。
 グレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)もまた、ヴェルタールを救い出すべく、解放戦を挑んでいた。
 鴻鈞道人を宿したヴェルタールが、性能を発揮する。本人も全く知る由のない、埒外の力を。
 鋼の躯体を突き破り、発現するのは、白き天翼、白きおぞましき触手、そして、白き殺戮の刃。
 だが、ヴェルタールの体は、限界を越えた負荷に耐えきれず、内を流れる合成血液を溢れさせる。
 それはまるで、赤き涙……ヴェルタールの悲嘆にも見えた。
「猟兵同士を戦わせるに飽き足らず、代償で苦しむ様まで見せつけるか。実に愚かで卑劣。こんなゲスが神を名乗るなんて虫唾が走る」
「私は終極にして始原。それを神と呼ぶのなら」
 白翼が、渾沌たる虚空に浮かぶ道人ヴェルタールを飛翔させた。
 圧倒的な速力から繰り出される触手が、グレアムを襲う。
 受けるか、かわすか。迷う暇はない。
 グレアムが選択したのは、後者であった。
 瞬間思考力を総動員、己の機動力に全てのリソースをつぎ込み、攻撃の軌道を先読みして、直撃の運命から逃れ出る。
 それでも、空を切った際に生じた衝撃波が、グレアムの体を吹き飛ばす。
「鴻鈞道人、『君』は自分で言っただろう? 『彼』は人にして人ならざる者。生命の埒外にある猟兵がそう簡単にくたばるはずがない」
 グレアムが、仕留めそこなった落胆など、一片も感じさせぬ道人へと、告げる。
「仮に僕が『彼』の立場でも……」
 ヴェルタールが、命乞いをするはずがない。
 無論、命は惜しいだろうが、世界の敵と己の命を天秤にかけたなら、猟兵としてどちらを選ぶかは明白だ。
 だから、
「だから僕も全力でやらせてもらう」
 鴻鈞道人の討伐という、作戦目的遂行の為。
 戦闘マシンと化すグレアム。ただ回避に専心していたわけではない。
 冷静に戦況を判断し、ヴェルタールの急所を看破している。大仰な破壊兵器はいらぬ。
 ただ一点を傷つける武器さえあればいい。そう、一丁の愛銃が。
 グレアムの狙いすました銃撃が、ヴェルタールの奥に潜むコアに、命中した。
「同朋を傷つける躊躇を、覚悟が凌駕したというのか」
「人質を盾に取り痛めつければ簡単に心を折れると考えた。その『人に対する侮蔑と慢心』がお前の限界にして敗因だ」
 脱力するウォーマシン、その体から抜け出ていく白き流体……渾沌の気配に告げる、グレアム。
 確保したグリモア猟兵から、確かな生体反応を感じ取り、グレアムの微かに口元が緩む。
「おかえり、ヴェルタール。そして……神気取りのゲスは死ね」
 再び人型をとった鴻鈞道人の眉間を、グレアムの銃弾が撃ち抜いた。

 奪回したヴェルタールの体は、数多の攻撃を受け、大いに損傷していた。
 しかし。
 ギラリッ、と。
 猟兵達は、その目に赤い光が戻るのを、しかと見届けたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月28日


挿絵イラスト