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殲神封神大戦⑰〜踏み締めて、踏み躙って

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●浸食
 そこは、形容し難い場所だった。
 何かがあるわけでなく、かといって虚無でもない。
 形はなく、だがしかし、何かがある。
 しいて言うなら、渾沌。
 彼の者の名が示す通りの、仙界の奥底にある地である。

「私こそは、骸の海」
 中心に佇む『彼女』が言う。
 幼さすら感じる声色に見合わない重みを以て。
「お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である」
 細い脚が、一歩刻む。
 あるのかも定かでない地面が、まるで石を投じられた水面のように、波打った。

 世界が色を帯びる。
 暗く、それでも明確な意味を持ち始める。
 ……そこは、月光がか細く差し込む、常世の森中であった。

「絶えず時は運び、全ては土へと還る。この娘も、お前たちも」
 少女の姿を借り受けた『骸の海』。
 その瞳に宿るものが何なのかを窺い知ることは出来ない。
 文字通りの渾沌に濁った、光のない瞳を、猟兵たちへと向ける。
「罪深き刃(ユーベルコード)を刻まれし者達よ」
 ――相争い、私の左目に炎の破滅を見せてくれ。
 そう言い放ち、彼女は銃剣の切っ先を猟兵へと向けた。

●顕現
 時は、少しさかのぼる。
「これまた、スケールのでかい話になってきましたねぇ……」
 グリモアベースにて、シャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)が溜息をつく。
 彼女の手のグリモアが示す映像には、封神武侠界――そこにおける仙界の、更に奥底。
 混沌の地と呼ばれる場所と、そこに巣食う『敵』の姿が映し出されていた。
「まずは皆さん、戦争お疲れさまです。予断を許さない状況ではありますが、確実に進んではいる状況、勢いを落とさず行きたいものですね」
 集った猟兵に、まずは挨拶一つ。
 勿論、今回の作戦もその攻略のための一手である事には違いないのだが……。
「予兆をご覧になって、すでにご存じの方も多いとは思いますが……今回侵攻することになるのは渾沌の地……形定まらぬ、仙界の奥地です。
 ターゲットは『鴻鈞道人』……渾沌氏とも呼ばれる存在だとか」
 左目のみを持つ異様な顔をした、白い魔人。
 一目見た形容としては、こんなところであろう。だが。
「曰く、渾沌氏とは『骸の海』。世界の外に漂う、捨てられた過去そのもの。
 その言葉を額面通りに受け取るべきなのかはちょっとわかんないですが……少なくとも、そう名乗るに足る力を持つ存在なのは、確かです」
 幾度でもオブリビオンを『再孵化』させる力、『渾沌の諸相』と呼ばれる、変幻自在の戦術。
 それだけでも十分すぎるほどの脅威である。
 そしてもう一つ、と。シャルが人差し指を立てる。
「グリモア猟兵との融合能力、です」
 場が緊張に包まれる。
 なぜグリモア猟兵なのか。ほかの猟兵には何故融合しないのか。
 わからぬことは多いが、事実として、その力が存在することは、他ならぬグリモアの予知が示している。
「と言うわけで、予知してしまった以上は……まぁ、私も乗っ取られることになるんでしょうね。いやー困った困った」
 あはは、とシャルが乾いた笑い声をあげる。
 笑い事ではないのだが、逆に笑うしかないのかもしれない。
 それで、結局どうするのかと誰かが問うた。
「どうもこうもないですよ。やっちゃってください私ごと」
 (努めて)あっけらかんとシャルが言う。
「そもそも、私の事を気にしている場合じゃないんですよ。相手はそれほどの存在です。本気で殺す気で行かないと、こっちがオブリビオンの仲間入りになりかねないですからね」
 それで、シャルはどうなるのか。
「まぁ、平穏無事には行かないでしょうけども」
 困ったようにポリポリと頬を掻いた彼女は続ける。
「こちとら、一度既に死んでる人間です。
 悪霊ってのは、強い執着を以て世界に留まる存在、なんて言いますし。大丈夫、もう一回くらいしがみついてやりますから」
 ――だから、まずは自分の心配してくださいね。
 彼女はそう言って、渾沌の地への道を拓くのだった。


ふねこ
 しゃ「久々にグリモア猟兵業復帰したらフルボッコにされる未来が見えた件」
 とってもお久しぶりです。ふねこです。半年ぶりですって。

 何はともあれ戦争です。まさかのVSグリモア猟兵です。
 以下、ざっくり概要です。

●VS渾沌氏『鴻鈞道人』inシャルチャン。
 転送を担当したシャルを無理やり呼び寄せて融合しました。
 本人の武装のほか、渾沌氏本来の能力も駆使して戦います。今までのボス格同様、先制攻撃持ちです。
 完全に滅ぼすことは出来ないようですが、ひとまず渾沌氏は戦闘で殺して撤退させることは可能なようです。

 シャル当人も言っておりますが、ボス相応にフツーに強いので手加減する余裕はありません。
 プレイングボーナスは『グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する』であり、シャルを気遣ったりするようなプレイングをしても(やってもいいけど)一切のプラス補正は入らないのでお気を付けください。

 あと戦争シナリオなので、特に募集期間等は定めず、書けるときに書ける分だけのスタイルで参ります。
 性質上、全採用は難しいと思われますので、予めご了承ください。

 それでは、久々のシナリオ頑張ってまいりますので、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:樫か

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘスティア・イクテュス
くっ、世界の平和を取り戻す為にはこうするしか無いなんて…
ごめんね、シャルロット…貴方の犠牲は決して忘れないわ……
…触手付きシャルロットって結構エッチじゃない?


シャルロットの武装なら銃系?背中のティターニアで『空中戦』で三次元機動で躱しやすく
ABVD、小型盾ドローン、これで『盾受け』避けきれない攻撃は『受け流し』

中距離を保った状態でアペイロンから冷凍光線を放つ銃撃戦を…
因みに渾沌氏…って男性?下はピンクの…


相手の攻撃を躱しつつプチヘス部隊を呼び出し『集団戦術』を…
いけ!プチヘス!(その辺のを引っ掴んで投擲)
数の暴力でシャルロットをプチヘスの海(百数体)に埋めるわよ!!


荒谷・つかさ
貴女の覚悟は受け取ったわ……ええ、私の全力をぶつけてあげる。

まずはシャルロットの得意な射撃を封じるためにも、大剣「零式・改三」を盾にしつつダッシュで接近
完全に防ぐとは言わないけれど、多少はマシなはず
そして鴻鈞道人のコードに対しては「怪力」任せに大剣で真っ向から打ち合い、逸らしつつ懐へ踏み込む
鴻鈞道人にとって「シャルの肉体」は大きな代償とはなり得ないはず
ならば力ずくで逸らす程度なら何とかしてみせるわ

踏み込んだなら武器を棄てつつ【鬼神拳・極】発動
これまでの鍛錬で得た「怪力」の総てを込めた、全力のパンチをシャルの腹にお見舞いするわ

いつか全ては土へと還る……確かにその通りね。
でも、それは今じゃないわ。


七那原・望
わたしはもうこれ以上大切な人を失いたくないのです……

毒ガスとかは浄化の魔法で対処しつつ急所だけを結界で護り第六感と野生の勘でぎりぎり戦える限界を見極め、魔力を溜めつつわざと銃撃を受けます。
これでユーベルコードは封じた。

この程度の痛み……シャルロットお姉ちゃんはもっと苦しいはず……

激痛耐性で耐えながら深淵の招来を発動したら第六感と野生の勘で攻撃と鴻鈞道人にのみ有効な属性を見切り、回避や結界術で防ぎつつ接近、悪霊の耐久力を信じて零距離から溜めた魔力を一気に解き放ち限界を超えた威力の鴻鈞道人にのみ有効な属性の多重詠唱全力魔法乱れ撃ちを叩き込みます。

シャルロットお姉ちゃんを返しなさい!



 渾沌に侵されたシャルと対峙する三人の猟兵。
 異形と化したグリモア猟兵を睨むその視線は、一様に重く、鋭い。
「くっ、世界の平和を取り戻す為にはこうするしか無いなんて……」
 ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が忌々し気に声を絞り出す。
 その融合を解き、渾沌氏だけを討つことができれば、どれほど楽であろうか。
 そんな都合のいい方法などないとわかっているからこその声だった。
 だが、当のシャルとて、それを承知の上で(そうするしかなかったとしても)こうして猟兵に事を託している。
 なればこそ。
「貴女の覚悟は受け取ったわ」
 ――ええ、私の全力をぶつけてあげる。
 荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)が言うように、全力で奴を下すのが最優先事項である。
「……ところで、触手付きシャルロットって結構エッ」
 べしーん。
「ヘスティアさーん!!!」
「しょーもないこと考えてるからよ」
 超高速で飛来した触手にヘスティアがハタかれた。
 つかさの反応が冷たいのは、ヘスティアが浮遊していたおかげで衝撃の大半を流せたおかげで致命傷ではないのを看破していたためだろう。
 たぶん。
「ヘスはほっといて、行くわよ、望!」
「わ、わかったのです!わたしだって、もうこれ以上大切な人を失いたくないのです……!」
 思わぬギャグ展開に呆然となりかけた七那原・望(封印されし果実・f04836)に渇を入れ、つかさが大剣を手に駆け出す。
 木々の奥から「ひどくない!?」って声が聞こえた気がした。割と元気そうなので大丈夫だろう。
 と言うか、事実そちらに気を取られている暇はない。
 銃弾と触手の群れが、文字通り雨あられと木々の合間を縫って二人に迫ってきていた。
 宿主の心象風景なのだろうか、ダークセイヴァーを思わせる暗い森、木々を遮蔽にすればある程度の銃弾は阻めるにしても、その上で攻撃圏内まで近づくとなるとそれですべてを無視はできない。
 そも、それで銃弾を防いだとして、変幻自在の触手は遮蔽などあってないようなもの。
 だから、避けるのではなく、防ぐ。
 頑丈さと腕力に物を言わせて、大剣を盾に、強引に距離を詰める。
 当然、いくら広刃、肉厚、頑丈を売りとしていようと、剣一本ですべてを凌ぐのは無理がある。
 だが、致命傷だけを避けられれば、今はそれでいい。一発くれてやれれば、まずはそれでいい。少なくとも、つかさ一人に限って言えば。
 ぐちゃり、耳障りな音が響く。
 シャルの背中から左肩にかけて、肉を、皮膚を食い破り生じた触手が、さながら毒蛇のように伸び、襲い掛かる。
「っぐぅぅぅ……!」
 狙ったのは、つかさでなく、別方向から接近をかけようとしていた望の側。
 重厚な剣も、強固な盾も持たぬ望には、圧倒的すぎるほどの暴力。
 生半可な障壁も容易く打ち破られる。故に、ギリギリまで狭く、より強固に、致命傷だけを避けるよう、急所の守りにのみ絞って。
 抉る。
 肩、腕、脚。純粋な運動エネルギーか、あるいはその渾沌の力もか、ただ掠めるだけでも皮膚は切れ、ぶつかろうものならいとも容易く肉が裂け、その度に鮮血が撒き散らされる。
 退いて、受け流すだけであれば、あるいはどうにかできたかもしれないが、状況がそれを許さない。
 遠い。彼女の姿が。
「でも、この程度の痛み……!」
 ――シャルロットお姉ちゃんは、もっと苦しいはず!
 その一心で、必死に食らいつかんとする望をあざ笑うかのように、のたうつ触手は攻める手を緩めない。
 どこまでだ。
 どこまでなら攻め込める。
 望の直感が、無慈悲にも己の問に否を突き付けるその瞬間。何かが彼女の小さな身体を横合いから掻っ攫った。
「無茶するんだから、まったくもう!」
「ヘスティアさん……!?」
 望を小脇に抱えたヘスティアが、直撃コースだった触手の網をかいくぐっていく。
 メキャリと木々が薙ぎ倒される音を聞いた。
「でも、ユーベルコードの一つは封じたのです……!今の内じゃないと……!」
「それはわかってるんだけど……!」
 望の出血は大きい。
 怪我の酷さを否応にでも感じさせるが、その一方で、『渾沌に侵されたシャルロット』の支配下にある空間を、一時的にでもその血で上書きすることには成功していた。
 事実、攻め込むなら、奴が100%の力を発揮できない今しかない。だが、そうであったとしてもこの状況を作り出すために払った代償は大きい。
 望を抱えたヘスティアにしても、背中のフライトユニットから火花と黒煙が昇っている。
 この状況で人一人を抱えて接近するのは、あまりにもリスクが大きいと言わざるを得ない。
「……距離さえ近ければいいわよね?」
「……やってみせるのです……!」
 であるのならば。
 そこにいて、と望を木々の合間にそっと降ろし、一部始終を横目で見るほかなかったつかさと短く頷き合う。
 幸い、触手の猛攻が望の側に言ったおかげで、つかさはまだ止まらずにいられていた。
 大剣の間合い。銃の攻撃圏の、更に内側。
 ――みちり。
 銃を握る手とは逆の腕、シャルの左腕が泡立つように肥大化する。
 おおよそ人の形を逸脱した異形の剛腕が、握り締めたガンブレードを振り抜いた。
 爆発音にも近い轟音を響かせて、つかさの大剣が宙を舞う。
 つかさの怪力を以てして落とされた大剣が、片腕一本であまりにも軽々と。
 これが渾沌、骸の海そのものの力。
 で、あれど!
「……逸らしたわよ!」
 それは、依り代となった少女の肉が厳密に人のそれでなかった故か、あるいはそんなこととは関係なしにその一念の力が届いたか。
 いずれにせよ……懐。
 剣を失う代わりに、拳の間合いを頂く。
「飛ばすわ!望!」
 がら空きとなった少女の脇腹に、あらん限りの力を込めて、鉄拳を叩き込む。
 常人であれば、あばらの数本を微塵にして余りあるであろう一撃を以て、物陰の望めがけて弾き飛ばしたのだ。
 宙を舞ったシャルの、渾沌の瞳が、それでもなお無感情につかさを見た。
 わなないた触手が、殴り抜いて体勢の立て直せないつかさ目掛けて殺到する。
「プチヘス!奴を止めなさい!」
 ヘスティアの冷凍光線が触手を弾き、それでもなお止まらないものは小型のヘスティア型メカがその身を砕きながらも強引に止める。
 その上で喰らうものは、必要経費。命があれば帰れる、それでいい。
 ――どろり、闇が広がる。
 渾沌とはまた違う、混じりけのない、深く、昏い闇。
 その中心たる望の元へと、渾沌が放り込まれる。
「シャルロットお姉ちゃんを……」
 傷に悲鳴を上げる身体を無視し、あらん限りの魔力を練り上げる。
 彼女は『殺す気で行け』と言った。
 だから、信じる。それでも彼女が己を繋ぎ止めてくれると。
「返しなさい!!」
 練りに練り上げた、全力魔法。あらん限りの魔力弾を、惜しげもなく、文字通り消し飛ばすつもりで至近距離から叩き込む。
 濛々と土煙が上がる中、人二人を抱えたヘスティアが突き抜けていった。

「……そういえば、渾沌氏…って男性なのかしら?確か、あの子の下ってピ」
 べしーん。
「ヘスティアさーん!!!」
「アホ言ってないで引くわよ、まったく」
 煙の中から追っかけてきた触手に弾き飛ばされ、三人は続く猟兵に後を託すのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リア・ファル
OK…なんて、ボクが言うと思った?

姿形がどうあれ、キミは今を生きている
「やることはいつもと変らない。
 それじゃ行くよ、今を生きるシャルちゃんの明日の為に!」

脚を止めてたら狙撃のイイ的だ
「ガーネレイ」で駆け抜けつつ、ボクの不意を突いて来るだろう
渾沌の諸相を凌がなきゃね

ボクの全力演算とガーネレイの全武装で相殺を狙う
それでダメなら、機体を切り離してぶつけるまで!

「ヌァザ、次元門開け! イ・ラプセルの主砲を召喚する!」
次元をこじ開け、兄さんの戦闘空母の主砲を召喚!

この一撃に全てを込める!
「キミに炎の破滅なんか見せてはやらない。
キミは融合『できなかった』。そんな『if』を此処に起こす!」

【転機の神槍】!


ユーイ・コスモナッツ
身を屈め、盾を構える
上半身、特に頭が完全に隠れるように
隙だらけの足下
シャルさんは必ずここを狙ってくる
まず脚を潰して次弾でトドメを刺す、
そういう戦い方のできる人だ

シャルさんが狙いを外すなんてありえない
ふつうに戦ったら、一瞬で頭を撃ち抜かれて終わりでしょう
だけど狙いが正確であるぶん、
先制攻撃されると分かっているぶん、
今回に限っては私が有利だ

集中。
射撃の呼吸を読んで一射目をかわす
最低限致命傷は避ける

撃たれた角度から相手の位置を割り出す
一ヶ所に留まっている彼女ではないでしょうが、
いちど狙いを外した狙撃兵を見逃すほど、
私だって甘くない

【流星の運動方程式】
二射目を撃たれる前に、
懐に飛び込んで決着をつけます



 水平に奔る、一筋の雷光。
 視認できるのは、それが過ぎ去ったという軌跡だけ。
 飛来した『それ』を理解したのは、脹脛の肉を抉られてその軌跡を目の当たりにしてからだ。
「いっ……!ったた……流石はシャルさんの迅雷弾、撃たれてからじゃとても反応できないや……!」
 痛みに顔を顰めながら、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は舌を巻く。
 木々を叩く銃弾の雨の中、そんな障害などまるでないものと言わんばかりに貫いてきた、超高速の徹甲弾。
 電磁加速が施された、初速と貫通力にとことんまで特化されたその一発の弾丸は、ユーイもよく知るところであった。
「脚を止めてたら狙撃のイイ的だ!やれる、ユーイちゃん?」
「大丈夫です!初撃をこの程度で抑えられれば、儲けものですから!」
 その横を、白銀のキャバリアがスラスターを全開にして駆けていく。
 その姿に奮い立たされるように、ユーイはキッと顔を上げて未だ遠い相手を睨みつけた。
 幸い、その高すぎる貫通力のおかげで、脚を射抜かれた割にはダメージはそこまででもない。運動エネルギーが人体に伝わりきる前に貫徹しているからである。
 これなら、反重力シールドに騎乗しても、振り落とされない程度にバランスをとることは出来る。
 闇夜でも目立つそのキャバリアに紛れるように、ユーイもまた大盾を己の足に変えて木々の中へと消えていく。
 特段、示し合わせたわけではない。
 だが、彼我のサイズ差、そして何より、あのキャバリアなら……それを駆る『彼女』とであれば、お互い意を汲むのはそう難しいことでもない。
「まぁ、やることはいつもと変らないさ」
 降り注ぐ弾幕が装甲を叩く中、コックピットで操縦桿を握るリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)の手に、力が籠る。
 ――亡霊だろうが何だろうが、キミは今を生きてる。
 その『今を生きる』キミの為に――!
「オールウェポンズフリー!出し惜しみは無しだ!」
 真正面から。迫りくる触手の群れを、片っ端から断ち切り、撃ち落とす。
 間断なく降り注ぐ銃弾の雨は、最早気にする余裕もない。装甲、防護壁に一任する。
 それでもなお防ぎきれぬ凶刃が、構造材を打ち剥がし、その度に機体は大きく傾ぎ、レッドアラートが鳴り響く。
 鬼気迫る突撃戦術。
 そしてその意気は、当然ながらリアだけのものではない。
「(機動力を見て取って、狙撃から面制圧に切り替えた?でも、それならそれで……!)」
 ユーイの知るシャルロットと言う少女は、脚を潰し、確実に取れる状況で取りに来る。そういう戦い方ができる人だった。
 だからこそ、それを承知で、初撃は己の足をくれてやった。どうせ狙撃をしてくるなら、そしてどうせ避けれないなら、シールドで代わりが効く部位に吸わせればいいと。
 その上で、第二の狙撃に移られる前に、一気に懐に飛び込んで、叩く。
 即座に面制圧に切り替えてきたのは予想外だったにしても、より脅威度の高いリアのキャバリアへの対応と考えれば不思議な話でもない。
 少なくとも、こちらへ狙撃する余裕はリアが奪ってくれているなら。
「いちど狙いを外した狙撃兵を見逃すほど、私だって甘くないですよ!シャルさん!!」
 リアへの斉射を続ける彼女の右手のマシンガン。その間隙をうねり、波状攻撃を仕掛ける無数の触手は、左肩から腕にかけて。
 ガラ空きとなった右半身やや後方。大きく回り込み、十全に速度を、運動エネルギーを、己が騎兵槍の先端ただ一点に乗せる。
 振り返った彼女の、濁った瞳と視線が合った。
 白銀の穂先が、その左目に迫り……。
「……なっ!?」
 その眼前で、止まる。
 シャルの背を突き破り現れ出でた純白の……不気味さすら感じさせるほどに漂白された翼が、まるで手のようにユーイの槍を掴み取っていた。
 ――違う。
 ここに至って、ユーイは理解する。
 依り代は、確かにそうであったとしても。今目の前にいる彼女は断じて『シャルロット・クリスティア』ではない。
 彼女の身体を持ち、彼女の武器を握っているというだけで、『これ』は『渾沌氏』。
 逃げる素振りを一切見せなかったのも、制圧するような攻撃を即座に選んだのも、戦術的判断などではなく、ただ化け物が手にした暴力を振りまいているだけに過ぎないのだ、と。
 ――だが、それはユーイの行為が一切の無に還ったという意味などでは、断じてない。
「だとしても……止めましたよ、リアさん!」
 全霊を以てして突き込まれた全力の刺突。それは確かに防がれた。逆に言えば『防ぐという動作をさせた』のだ。
 銃口が、ユーイを向く。
 それは、その瞬間リアへの銃撃が止まったことと同義だ。
 そして、その場に縫い留められた渾沌は逃がすことも許されない。
 だから、こちらも届かせられる。
 ぐしゃり。
 ズタボロになったキャバリアが、その大質量ごと渾沌を圧し潰す。
 その拍子に翼の力が緩み、自由になったユーイが見たのは、寸前でキャバリアから脱出し、高速で空間にプログラムを走らせるリアの姿だった。
「この一撃にすべて込める!ちょっとこの後動けそうにないから、拾ってってもらえないかな!」
 そしてリアも、ユーイがいるからこそ惜しげもなく全力を出し切れる。
 これで決められなかったら、などと言う心配はいらない。
「ヌァザ、次元門開け!主砲、召喚!」
 次元を割って現れたのは、かつての栄光の残滓。
 戦闘空母『イ・ラプセル』……その主砲の再現体である。
 その本質は現実の改変、再構成。
「キミに炎の破滅なんか見せてはやらない。シャルちゃんとの融合も認めてなんかやらない。
 キミは融合『できなかった』。そんな『if』を此処に起こす!」
 ――撃。
 キャバリアの残骸を砕き割った渾沌を、眩いばかりの光が包み込んでいく。
「無駄だ。私は過去より連綿と連なるもの。如何様な未来であれど、避けることは在り得ぬ」
「そうかもしれない。これだけやっても、歯車を少しずらしただけかもしれないさ。……だけど」
「そうやって積み重ねて、きっと変えてみせます!みんなで!」
 光が薄れゆく中、尚も混濁とした瞳で――されど、幾許か異形の変質を減じさせたように見受けられる――見据える渾沌へと、二人は告げる。
 全力を尽くした、その上で『今は』奴を討ち、彼女を解放することは叶わなかった。
 それでも、渾沌を減じさせ、その未来へと道筋を捻じ曲げることは、確かに成った。
 そんな確信と共に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●WIZ



・暴れシャルチャンをガチ【狩猟】する


●対先制
・警戒順序…遠距離攻撃>敵攻撃回避前後で踏まされるやもしれぬ罠>白兵戦

・射撃/投擲武器は『モザイク状の空間』を撒き照準攪乱
・罠類は【野生の勘】で敷設位置を予期、位置誘導されぬよう注意
・バディペット群が居た際は、ドローン『茶斑の三毛』をブンブン煩わしく飛ばし注意を割かせる
・銃声の間隙に矢が無音で飛来する可能性にも注意


●反撃
・魔鍵を物理透過/精神攻撃モードで運用、「血を流させない攻撃」を行う(鎧無視攻撃+精神攻撃)

・隙を見て左拳で渾身の腹パン、【アイシクルドライブ(属性攻撃+怪力+暴力)】
・凍らせることで、例え自傷ででも徹頭徹尾「血を流させない」


レナ・ヴァレンタイン
くっ、…くくっ、ははっ、……あーはっはっはっはっ!
いやなんだ、実際問題こうも「様になってる」ものを見せられると
笑い事ではないのは分かっているのだがね!

対処法はユーベルコードに対しては多脚戦車を使い捨ての盾にしつつ、同時にスモークを焚いて位置撹乱
戦車の裏、敵の死角となる場で回避行動を取りつつ、自身のユーベルコードで「気配を掴み視界不良の中でも敵の位置を察知し」「距離を掴んで潰すことで距離を詰め」「混沌を掴むことでシャルロットを傷つけること無く本体を撃退する」

あまりやったことのない曲芸だが、少し思い付きの無茶無理無謀をさせてもらおうか
私の数少ない友人なんだ、貴様ごときにくれてやるものか
失せろ渾沌


夕凪・悠那
気軽に言ってくれちゃってさあ……
まあ、どうにかするよ
死にたくないし、死なせたくもないし

シャルさん由来の武装は銃火器系
本人の技巧までは扱えないのが救いだけど単純に脅威、と
『黄金瞳』励起
銃口の向きから射線を予測
『Virtual Realize』で遮蔽物を配置
直線攻撃を阻害するとともに、迂回してくる触手をキャラを配置して切り払いや吹き飛ばしで対処(切断×斬撃波/砲撃×爆撃)

【Exist Hack】(+ハッキング)
融合維持に必要な"核"部位を創出
仮想具現化したキャラを指揮
通常戦闘――爆撃や倒されたキャラの自爆に意識を割かせ、潜ませた[スナイパー]で弱点を撃ち抜く(集団戦術×援護射撃×目潰し/迷彩)



 爆音が響く。
 闇夜の森にはいささか似つかわしくない、鋼鉄の多脚戦車が、一瞬のうちにスクラップと化した。
 ただの銃弾で流石にそんな真似ができる筈はない。それこそが、彼女の身に潜り込んだ渾沌の力の一旦だというのを理解するのは容易い。
「こうも一瞬も持たないか!はっはっはっ!」
「ちょっ、何いきなり!?」
 高笑い。
 そんな状況かと、爆風の中を遮蔽に向かって突っ走る夕凪・悠那(電脳魔・f08384)が思わずぎょっとして声の主に振り返る。
「ははっ、いやなに、笑い事ではないのは私も重々わかってはいるんだがね!」
 なかなかどうして、敵側も様になってるじゃないか!
 即席の盾である戦車がその役目を早くも終えるそのわずかな間隙で、持ち主であるレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)がスモークを焚いた。
 濛々と立ち込める白い煙。奥に構える渾沌の姿が掻き消えると、ようやくレナの笑い声も収まって。
「いやしかし、これでもやたらめったらに暴れてくるか。それで、どうだね」
「やっぱり、シャルさん本人の技巧までは奪えないみたいだね。結局、身体を動かしてるのは別物、って事みたい……うわ、っとと」 
 白く煙る、ほとんど利かない視界の中でも、渾沌の暴れ狂う音は、振動は、嫌が応にもこちらに聞こえてくる。
 シャルロット本人なら、絶対こんな戦い方はしないだろう。と、遮蔽にした木の幹を叩いた銃弾に身を竦ませながら、悠那は言う。
「もっとも、その分渾沌がヤバいから、簡単とは言わないけど……」
「なァに、その分罠やら何やら警戒しなくていい、って事でしょうや」
 ガサリ、草木が揺れた。
 次の瞬間には、煙の奥へと突っ込んでいく黒い影。
 猟団長、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)。
 一瞬だけ見えたその横顔、その口元は、わずかながら吊り上がっていたような、そんな風に見えた。
 まるで『こんな貴重な機会を逃してなるものか』と言わんばかりに。
「あっ、ちょっと猟団長……!」
「くく……まぁいいじゃないか。それに、そういうことならやりようもある。だろう?」
 そんな様を同じく見えていたのか、また込み上げてきた笑いを噛み殺し損ねながら、レナもそれに続いて地面を蹴る。
「……不憫だなぁ、シャルさんも」
 今度は悠那が苦笑をこぼす番だった。
 ……まぁ、致し方なし。それはそれ、これはこれ。
 『殺す気でやれ』などと聞いた時には、気軽に言ってくれるものだと思ったが。
「(まあ、どうにかするよ)」
 死にたくないし、死なせたくもないし。
 あの二人がやる気であるなら、こちらもこちらでそれに乗らせて、やらせてもらおう。
「『Virtual Realize』――創出、具現……展開」
 煙に紛れて、電脳機械が飛ぶ。
 ……その一方。
「ハッ、良い暴れっぷりじゃニャーですかシャルチャンよォ!」
 金属同士が打ち合う音。
 渾沌が握り締めた、少女の銃剣と、物九郎が振り回す魔鍵がぶつかり合う度に、その衝撃が波となって立ち込めた煙を押し流す。
 戦術も何もない、渾沌(めちゃくちゃ)な動き。
 ただ相手が近づいてきたからと、銃の代わりに刃を振るう、本当にそれだけの話。
 それでもなお、人のそれを逸脱したように捻じれ、肥大化した腕で不規則に振るわれる銃剣と、それに付随し、それでいて好き勝手に暴れ回る触手群は、ただめちゃくちゃに暴れるだけでも十分すぎるほどに脅威である。
 それは、本来は非実体で振るわれる物九郎の精神攻撃用の魔鍵を、わざわざ実体化して打ち合わせていることからも見て取れる。
 そうしないと、こちらが討ち取られる。つまりは守勢に回らざるを得ないということだ。
 これで、『本来の彼女』の得意戦術である罠や闇討ちまで警戒させられていたらと思うと正直ゾッとする。
 ぐしゃり。のたうち回る触手の流れ弾で、悠那の放った自律機械が一つ潰れる。
「03ロスト。フォーメーション再構築、解析続行。浸食進行率から発信源を逆算――」
 動揺を出すな。
 自分に言い聞かせ、息を潜め、近くを余波が掠めるのを強引に意識から切り離して、巻き込まれそうな軌道のものだけは自律機械を犠牲に防ぎきり。眼前のディスプレイを通じて、飛ばした機械からの情報を、一粒たりとも見落とさず。
「――そこか!」
 算出完了。
 嗚呼、いくら渾沌の化身と言えど、そこに在る以上は、弱点だって在るじゃないか。
 今も浸食を続ける、拡げ続けるその根元にいる『核』が。
 あまりにもぐちゃぐちゃで、濃密が過ぎる渾沌、完全に情報を書き換えることは電脳魔術士の改変技術を以てしても難しい。
 ……が、そこは意地だ。ハイ出来ませんなどと言うのは許されない。
 故にこそ、探り当て、示す。
 ヒトであるところの、心臓部――!
「でかした」
 ニィ、と。物九郎の口角が吊り上がる。
 防戦一方と言うのは癪だったが、ここまでだ。『猟』るための場は整った。
 頭上から落ちる触手を、今度こそ魔鍵で『斬り伏せる』。
 非実体の鍵は、それを切断することは叶わない。
 しかし、力の流れを『閉じ』、そのコントロールは、確かに鈍る。それまでに乗った慣性は奪えず、その身を抉ることになろうとも、『致命傷』を『許容可能な手傷』まで持っていくことは叶う。
「ザ・レフトハンド――【属性攻撃・氷】……ON!」
 拳の間合い。後の先。それを頂くための対価は支払った。
 ミシリ、ごく低温の拳を、その身にめり込ませる。
 血など――霊体に血があるかは別としても、それに準ずる何かであっても――流させない。
 ダメージは与える。その上で、逃がさない。
「やあ、ありがとう。おかげで詰められるし、獲りやすい」
 そして、その衝撃で一瞬であれど動きが止まってくれれば。こういった曲芸も少しはやりやすいというものだ。
 そのための決定的な隙を、一発限りの千載一遇のチャンスを、レナは待ち構えていた。
 距離を掴む。間合いに入る。
 そして、残る『掴むべきもの』は……。
「お前だ、渾沌」
 『緋色の悪性』と呼ばれる、物質非物質、概念ですらも、掴み取れれば握りつぶす掌を、伸ばす。
 示された、核へ。
「私の数少ない友人なんだ、貴様ごときにくれてやるものか」
 ――失せろ。
 ぶちゅり。
 柔らかいものを握りつぶすような、不快な音。
 それを皮切りに、複雑に、無秩序に絡み合っていた渾沌が、急速に解けていくのが見えた。
 渾沌に侵された白い身体はその輪郭を失い、何の意味もなさない光の粒となって。
 それに伴い、森と言う意味を持っていたこの空間自体も、元の無秩序へと巻き戻っていく。
 今ここに、骸の海の化身は、溶け消えた。
「……さて。気分は如何かな、お嬢さん?」
(正直、二度とごめんですね)
 そこに、ふわりと漂う魂一つを残して。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月25日


挿絵イラスト