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殲神封神大戦⑰〜無明無尽渾沌醜演

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●予測不可能、回避可能……?
「骸の海、か。これはまた、随分と仰々しい手合いのお出ましだね」
 グリモアベースへと集った猟兵たちを前にして、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は眉間に深々と皴を寄せながらそう口火を切った。しかし、それも無理はない。現れた相手が相手なのである。
「皆のお陰でフォーミュラである張角までの道は開けた。後は結界を破壊すれば討伐可能になるのだけれど……その維持を司る一人はこれまで以上に強力な相手と言える。仙界の深奥に待ち受けるは渾沌氏『鴻鈞道人』、自らを骸の海と嘯く存在だよ」
 飽くまでも自称ではあるのだが、その戦闘力は大言壮語と笑えぬもの。鴻鈞道人は『再孵化』なる能力により、次々とオブリビオンを生み出す事が出来るのである。しかも数に任せた雑兵などではない、複数の猟兵が波状攻撃を仕掛けて漸く倒せたレベルの敵さえ瞬時に再出現させてしまう。
「始皇帝、編笠、哪吒、王翦大将軍、妲己、神農兀突骨……これらを率いて襲い来る様は極めて脅威と言えるだろうね。そして勿論、『再孵化』させたオブリビオンに戦闘を任せるだけじゃない。本人も前線へと姿を見せるみたいだ」
 今回に関しては、鴻鈞道人が直接戦闘を仕掛けて来る。未だ形定まらぬ渾沌を用いた戦術を予測するのは不可能。そう、これは比喩ではない。本当に何を以て攻撃して来るのか、グリモアの予知を以てしても分からないのだ。
「天使の翼やおぞましき触手、無貌の牛頭に殺戮する刃。これも垣間見えたほんの一例に過ぎない。渾沌の名前通り、どんな一撃が出て来るのか発動するまでは推測を立てる事すら出来ないんだ」
 故に正直言って、今回アドバイスできる事は極めて少ない。何かが来るからどうにかして凌ぎ、反撃せよ。そんな戦術と呼べるのか怪しい事しか助言できないのである。
「『高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応せよ』。こんな無意味に等しい事を言いたくは無いのだけれど、今回は本当にそうとしか言えないのがね……」
 その上、【現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法は無い】という事はだけは確かなのだ。ユエインが複雑な面持ちを浮かべるのも無理はないだろう。これ以上、語れる事もない。人形はグリモアを起動し、戦場へと路を繋いでゆく。
「だけど相手が何であれ、倒さなければ張角への道は開かれない。だからくれぐれも……頼んだよ?」
 そう言って、ユエインは猟兵たちを送り出すのであった。

●白き渾沌
 猟兵たちが降り立った其処は、黒と白が入り混じった場所であった。一面の漆黒に包まれた、仙界の最深部。無明とも言える闇ばかりの場所に、ぽっかりと白い何かが浮かんでいる。
 沼の様な、地を這う粘菌の様な……それこそ、波が寄せては返す海の様な。小刻みに蠕動する『何か』。それは猟兵たちの気配を感じ取ったのか、ある一点へと収束してゆく。
 人間の左目を中心として形成されるは中性的な男の姿。総身を純白で染め上げたその外見は、正しくこの世の物とは思えない。
 ゆらりと、一つしかない眼が此方を捉える。瞬間、脳裏に言の葉が響き渡ってゆく。
(――汝ら、第六の猟兵。罪深き刃【ユーベルコード】を刻まれし者達よ)
 口らしい器官は見当たらないが、その程度は些末な事なのだろう。鴻鈞道人は警戒する猟兵たちを意に介する事無く、先を続ける。
(絶えず時は運び、全ては土へと還る。この醜き姿は朽ちかけた心臓を抱いた己自身。お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である)
 そこに籠められた感情は杳として窺い知れぬ。だが、その所作の一つ一つから無機質な殺意のみが滲み出ていた。
(さぁ……相争い、私の左目に炎の破滅【カタストロフ】を見せてくれ)
 刹那――知覚不可能な『何か』が、猟兵たちへと襲い掛かってゆくのであった。


月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 戦争シナリオ、お次は分からん殺しのお時間となります。
 それでは以下補足です。

●最終勝利条件
 『鴻鈞道人』の撃退。
 ※現時点での撃破は不可能。

●プレイングボーナス
 鴻鈞道人の「詳細不明な先制攻撃」に対処する。

●戦場
 仙界の最深部、漆黒に包まれた領域。光源は在りませんが、鴻鈞道人の姿はハッキリと浮かび上がって見える為、戦闘に支障はありません。どれ程の広さなのかすら判別つきませんが、縦横無尽に駆け回れる程度には空間があるようです。

●鴻鈞道人
 外見、戦闘力はOP・時限トップなどに記載の通りです。
 『骸の海』を自称する存在であり、その詳細は現時点では謎に包まれています。彼の繰り出してくる攻撃は放たれるまで内容が分からない為、何が来ても良いように備えるか、もしくは見てから対応できる機敏さが求められます。
 ※具体的に言えばプレイング等々を鑑みた上で、都度此方で攻撃内容を考えます。

●プレイング受付について
 戦争シナリオですので、採用は無理のない範囲でとなります。執筆時間が平日と重なった場合は特にその傾向が顕著です。止むを得ず流してしまう場合もありますので、その点を予めご了承頂けますと幸いです。

 それではどうぞよろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』undefined』

POW   :    渾沌災炎 undefined inferno
【undefined】が命中した対象を燃やす。放たれた【undefined】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    渾沌解放 undefined infinity
【undefined】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    渾沌収束 undefined gravity
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【undefined】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

緋月・透乃
ほへー、骸の海って意思があったんだねぇ。ん?あくまで鴻鈞道人が自称しているだけでそういうことではないのかな?
ま、邪魔になりそうで倒せそうな相手なら戦って倒すだけだね!

ふむー、敵は何をしてくるかわからない、と。だったら自分の一番得意なことをぶつける、って対処でいくよ!
重戦斧【緋月】をすぐ振れるように構えて敵へ真っ直ぐ突撃!
敵の攻撃に私の怪力を込めた攻撃を当てて相殺とか当てた衝撃で吹き飛ばされることで直撃を避けるとかを狙ってみるよ!
死なない程度のダメージなら気合でなんとかしてゴリ押すぞー!

攻撃対処後も勢いを緩めずに突っ込んで緋迅滅墜衝をぶち込んでいくよ!



●食と闘には焔獣を以て
「ほへー、骸の海って意思があったんだねぇ……ん? いや、あくまで鴻鈞道人が自称しているだけでそういうことではないのかな? ただ、嘘とか使うタイプには見えないけど」
 何処までも広がる漆黒の空間。天も地もあやふやな其処へと降り立った緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は、咥えていた人参スティックをパキリと噛み砕きながらそう独り言ちていた。
「ま、邪魔になりそうで倒せそうな相手なら戦って倒すだけだね! 何をしてこようが、やるべき事に変わりはないから!」
 そうして戦闘前の腹ごしらえを終えた少女は、愛用の大斧を担ぎ直しながら、暗闇の中に佇む鴻鈞道人へと向き直る。事前の説明通りであれば、相手が何をしてくるのかは一切不明だ。だが、その内容がどうであろうと透乃には関係なかった。
「だから……自分の一番得意なことをぶつける、って対処でいくよ!」
 己が自慢の膂力を以て、一切合切を打ち砕き断ち切りゆく。ただそれだけだ。相手の強みに合わせて受けるのではなく、飽くまでも己の長所をぶつける。それが彼女の選んだ戦術だった。
 すぐに振り抜けるよう、真っ直ぐに得物を構えながら吶喊してゆく透乃。対して、白き仙人はゆらりと片手を持ち上げる。
(喰らい、挑み、荒ぶる者か。その赫々たる戦意は燃え盛る焔が如きものなれば、お前にはこれが相応しい)
 瞬間、指先に白い焔が灯ったかと思うや、膨れ上がったそれは荒々しき肉食獣の姿を形成してゆく。透乃が好む気質、即ち食事と闘争を読み取った結果なのだろう。狩猟本能を剥き出しにした肉食獣は、猟兵を食い破らんと襲い掛かって来る。
「ちょっと相性は良くないけど、攻撃を当てられれば相殺できるかな? 或いは衝撃で吹き飛ばせば、直撃も避けられるかも……よし、狙ってみようか!」
 加えて、炎という性質も厄介だ。実体の有る存在であれば彼女の大斧も有効だろうが、炎相手では効果も半減してしまうだろう。それでもなお、透乃には臆する様子など微塵もない。寧ろどう凌ぎ相手を攻略しようかと、不敵な笑みを浮かべていた。
(挑み来るか、六番目の猟兵よ)
「もっちろん! 死なない程度のダメージなら、気合でなんとかしてゴリ押すぞー!」
 一方で、対称的に鴻鈞道人の反応は飽くまでも淡々としたもの。猟兵がどう己が初撃を防ぐのか、渾沌氏が一つしかない眼でジッと見つめる中、透乃と焔獣が真正面からぶつかり合う。
「このくらいの熱量で止めようだなんて甘いよ! 丹精込めて作って貰った手製の大斧も、それを振るう私もね!」
 渾身の力を籠めて振るわれる、横薙ぎの一閃。その一撃は確かに相手の勢いを削ぎ、身体を構成する白き炎を吹き散らしてゆく。しかし、それも完全ではない。上下に斬断されながらも焔獣は牙を突き立て、強烈な激痛と決して消えぬ残火を残してゆく。
「っ、かなり痛い、けど……まだ、まだぁッ!」
(ほう、あれでも止まらぬか)
 全身を炎に包まれ、さしもの透乃も余りの苦痛に表情を歪ませる。だが彼女は歯を喰いしばり、あらん限りの気合を以てそれを抑え込む。そのまま距離を詰めて来る猟兵に対し、鴻鈞道人は感心したように思念を零す。
 それは絶対強者の余裕か、この場で己が滅することは無いという慢心か。だが先ほども言った通り、少女がやるべき事は変わらない。己が全力の一撃を叩き込む、それだけだ。
「力の限りぶっ壊せーッ! 必殺の左、緋迅滅墜衝!!」
 果たして、左手のみで繰り出された大振りの横薙ぎは狙い違わず、白き仙人の身体へと吸い込まれてゆき――。
(なるほど……これが汝の罪深き刃【ユーベルコード】か)
 分厚い重刃が、深々と渾沌で出来た肉体を切り裂いてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はっはっは、巨悪にありがちな含みの多い発言!
意味は全く分からんが、演出としてはポイント高いぞ!

妾も同系統の技を会得しているのでな、炎ダメージの軽減と耐える方に集中するぞ
意識、視線や指差し、理不尽な方法で命中から着火まではキメてくるであろうからな
邪神オーラを纏った左腕で頭部をガード
頭に受けたらマズい酸欠とか精神支配系の、行動阻害する状態異常でなければ構わん!
覚悟を決めてダメージには耐える!

はっはっは、即KOされなければ妾のターンだ!
一気に突っ込んで、尾を鴻鈞道人に巻き付ける!
お主も諸共に燃えろ! …というのは演技込みのフェイクよ
本命は別だ! その左目に全力で、頭突きをブチ込み砕いてくれよう!



●悪意は燃え盛り、神は動じず
「はっはっは、巨悪にありがちな含みの多い発言! それに相手の特性を把握した上での予測不可能攻撃! 意味は全く分からんが、演出としてはポイント高いぞ!」
 先行した猟兵との一幕を観察していた御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、臆するどころか愉快気に呵々と大笑する。フォーミュラを操っていた黒幕にして、骸の海を自称する謎の存在。カメラ映えを重視する菘にとっては中々に興味がそそられる相手なのだろう。
「だが生憎と、妾も同系統の技を会得しているのでな。まずは炎のダメージの軽減と耐久に集中するとしよう」
 そして彼女は己の信者から見られ慣れていると同時に、相手の所作や機微を見抜く注意深さも併せ持っている。意識外からの攻撃は勿論、視線や指差しといった何気ない動き、避けようのない理不尽な着火方法すらもキメて来るだろうと踏んでいた。
 故にジリジリと彼我の距離を測りつつ、異常があればすぐにでも肉薄できるよう覚悟を決めてゆく。一方、鴻鈞道人はそんな猟兵の姿を視線を逸らすことなくジッと見つめ続けている。
(神を名乗る者。寺社仏閣に依らず、電光の海を介して己が偶像を広めるか。なればこそ、見られるが故の危機を与えよう)
 刹那、ゆらりと白き仙人の瞳から陽炎が立ち上る。紛れもない攻撃の前兆、それを確認した菘は瞬時に身を固め、防御態勢を取った……瞬間。
「はっ、随分と熱い視線だな! お主も妾の信者になってみるか!」
 全身が一瞬にして焔に包まれた。咄嗟に神気を纏わせた左手で頭部を庇い、最低限の思考能力だけは確保を試みる。酸欠による意識切断や、精神干渉による人格支配を嫌っての事だ。確かにそれは対応としては間違っていない、のだが。
「熱いことは熱いが、この程度なら問題な……ッ!?」
 燃え盛る炎のうねりに『何か』が混じる。それは煌めきが像を結んだ文字、風の流れによって生み出された声。知覚すべきでない。菘はそう本能的に直感するも、配信者としての性か彼女は浮かび上がった意味を認識してしまう。
「仮にも仙人ともあろう者が、随分と俗な手を使うものだな……!」
 それはあらん限りの罵倒で在り、陰湿な皮肉で在り、浮かんでは流れ消える悪意の数々だった。どんな人気者とて、全員が全員好意的に見てくれる訳ではない。母数が増えればその分、いわゆるアンチというものは増えるもの。相手がその理をどうやって知ったかは知らぬが、恐らくは炎を媒介としてそれを汲み上げたのだろう。
 それらが本当に誰かが抱く感情か、それとも鴻鈞道人のでっち上げか、真偽は定からぬ。しかし、大量の罵詈雑言は着実に精神を蝕む毒性を秘めている。常人であれば、戦意を喪失しても無理ならざる威だ……が、しかし。
「――全く、妾も見縊られたものよな。この様な炎上、これまで起こしてこなかったと思うたか?」
 菘の心が折れることは無かった。炎上上等とまではいかないが、配信者などやっていれば大なり小なり似た様な事は経験するものだ。故にこそ、彼女はある種の悟り、もっと言ってしまえば開き直りも心得ていた。
「信者もアンチも、戦い振りで魅了してやればよい! 何故なら妾は真の蛇神にして邪神なのだからな! そうとも、即KOされなければ妾のターンだ! はっはっは!」
 こうなれば残る問題は全身を焼く炎の痛みだけだが、こんなものはノリと勢いで押し切れる。猟兵は炎を纏ったまま一気に敵へと肉薄するや ぐるりと尾を相手に巻き付けた。炎は白き仙人に触れた端から消えるため延焼はさせられないが、強靭な膂力が痩せぎすな体を締め上げてゆく。
「お主諸共に炎上してやろうと思ったのだが、流石にそう上手くはいかぬか」
(無数の悪意に晒されても尚、己が有り様を変えぬか。だからこそ、お前たちは炎の破滅【カタストロフ】足りえる)
 一方、鴻鈞道人は今一度猟兵を燃やし尽くさんと左目を向けて来る。チラチラと熾火が揺らめくそれを見るや、菘は不敵な笑みと共に大きく頭を仰け反らせ。
「いつの世も、放火魔と言うのは厄介なものよな。然らばその左目、全力でブチ込み砕いてくれよう!」
 焔と共に繰り出された全力の頭突きが、白き仙人の顔面へと勢いよくめり込んでゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪・兼光
骸の海に事態に自我があるのか?
…倒せないならお引き取り願おう

相手からの攻撃が対応できるなら第六感で避ける
避けきれないなら旅行鞄とオーラ防御で防御

以降は継戦能力を利用

そっちが変化でくるならこっちも似たようなもので応戦してやる

お前ら指示頼むぞ!
2羽の指示に従いつつも時々、ガン無視で【undefined】と相手ごと範囲攻撃、2回攻撃、部位破壊で攻撃してみたり
ガン無視した事で、でちことやいのやいの言いながら、2羽の指示に従わないでオーラ防御しながら第六感で避けたり

零距離射撃、乱れ撃ち、範囲攻撃で相手を蜂の巣に出来るか試してみたり
倒せないなら相手が諦めるまで攻撃と足掻きを見せてやる



●幻惑見抜くは電子の瞳
「骸の海に事態に自我があるのか? それとも単なるフカシか……ともあれ、倒せないならお引き取り願おう」
 言動も、正体も、使う技さえも。全ての詳細が謎に包まれた存在、渾沌氏『鴻鈞道人』。分かる事と言えば、この場で滅する事が叶わぬほどの圧倒的な強さのみである。そんな敵を前にして、雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は油断なく警戒を張り巡らせていた。
 先に挑んだ猟兵相手には性質こそ違えど焔を以て攻撃してきたが、そう何度も同じ手を使ってくるとは思えない。持ち込んだキャリーバックからハンドガンサイズのブラスターを取り出しつつ、何が来ても良いように科学的・魔術的に強化されたそれを盾代わりに構える。
(旅する者よ。酩酊を愛し、空想を巡る猟兵よ。汝には流転する幻惑こそが相応しい。現実すらも定からぬ中、我が元まで辿り着けるか?)
 対して、白き仙人はやはりこれまでと戦闘パターンを変えたらしい。痩せぎすな肉体からドロリと渾沌が流れ出したかと思うや、様々な形を取り始める。それらはアリスラビリンスで見る様な童話を捻じ曲げた外見や、UDCアースに封ぜられた邪神の様な姿……詰まるところ、醜悪な夢が如き見た目をしていた。
「モチーフとしては悪夢や幻覚、か? 酔い潰れた時や、高熱で魘された際に見る様な……人様の趣味嗜好を揶揄するなど、それこそ趣味は悪いというものだぞ」
 一瞬ごとに形を変えるそれらは鴻鈞道人を中心として渦を巻きながら戦場を荒れ狂っており、このままでは確実に飲み込まれるだろう。それにどのみち、これらを越えねば相手の元へは辿り付けぬ。
「そっちが変化でくるならこっちも似たようなもので応戦してやる。お前ら、指示頼むぞ!」
 なればと兼光がそう叫ぶや、呼びかけに応じてキャリーバックから何かが飛び出した。二羽の鳥、否、AIを搭載した鳥型のメカである。二機は周囲を一瞥して状況を把握するや、きゃいきゃいと囀り始めてゆく。
『でちたちにおまかせでちー!!!! って、なんでちかこのヤベー戦場!?』
『……でちこ、五月蝿い。ほら、さっさと動きを予測して』
 刻一刻と変化する敵の姿に、渦を巻く様な動き。それらは幻惑的かつ悍ましい光景だ。しかし、機械の目にはそんな枝葉末節は関係ない。敵の流れを正確に捕捉し、更には次の動きさえも予測するだけだ。
「相手が相手だ、始めから全てを見切れるとは思っちゃいない。ブラスターを撃てるだけの余力さえ残っていれば十二分!」
 斯くして、一人と二機は躊躇う事無く渾沌の渦へと飛び込んでゆく。瞬間、次々と化け物たちが猟兵を引き裂かんと殺到し始める。
『三秒後に右から二体、五秒後に上から一体。避けようとして左に逃げれば追い詰められるから、そのまま直進して』
「了解した、ベージェ」
 だが兼光も鳥たちの指示に従い避けられる相手は避け、叶わなければ旅行鞄で防ぎ、時には熱線銃を以て排除し、着実に距離を詰めてゆく。勿論無傷とはいかないものの、それでも無策で飛び込むよりかは遥かに効率的だ。
『後ろから来ているのも居るでちが、こちらはそのまま流れていくでちね。それよりも今は先へ進むのが先決……』
「射線が開いたな。仕掛けられる機は逃さず撃っておくべきか」
『あれ無視でちか!?』
 だが、機械では読み切れぬ機微と言うのもまた存在する。それを補う要素こそが人間の経験と直感だ。故に兼光は時に鳥たちの指示から外れ、鴻鈞道人への攻撃を優先してゆく。
 対して相手は避ける素振りすら見せず、次々と直撃弾を受けていった。しかし、穿たれた傷口も次の瞬間には何事も無かったかの如く塞がってしまう。
「この程度じゃ効かないってか。倒せないなら、相手が諦めるまで攻撃と足掻きを見せてやる!」
 一撃で足りぬなら、十を、百を叩き込むのみ。兼光は回避と移動、防御と射撃を絶え間なく繰り返しながら、ひたすらに前へ、前へ。そうして渾沌の渦を抜け、敵の眼前へと至り、そして。
(この渦を抜けるとは、見事也)
「……どこまでも上から目線だな。だが、今回は俺の勝ちだ」
 相手の左眼目掛け、熱線を放ち貫いてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

春乃・結希
【はるさご】
共倒れを防ぐ為、左護さんと近付き過ぎないように
だけどこちらの切り札は左護さんのUCだから、絶対にしなせない
間に合うなら私が盾になる
『wanderer』の機動力、焔による修復・耐久力、盾に使う『with』
持てる力の全てを使って回避、防御する
ころさないとしにませんし、しなせませんよ【覚悟】

UC発動
翼からの焔で、undefinedに包囲される前に焼き払う【焼却】
私が踏み込み敵を引きつけ、左護さんが隙をつく
左護さんが生きてるなら私もしなないから、いつも以上に積極的に攻めていける
undefinedによる燃焼も、自身の焔で包んで止める
どうですか?焔の使い方なら、私も負けてないじゃろ?


左護・結姫
【はるさご】
詳細不明とはいえ、骸の海そのものなら、使える力も過去のもので
能力者としての経験を辿れば、何かしら共通するものがあるはず【戦闘知識】
結局は殺すための力でしかないんでしょう?
一緒だよ、全部
包囲の穴を見極め、すり抜ける【集中力】
春乃ちゃんがぼろぼろでも気にしない
あの子の覚悟に水をさすこともないし

私が。春乃ちゃんが。しんでしまう前にUC発動
生きてる~?はぁ…こことかとっても痛いんだけど。服もお気に入りだったのになぁ

常に死角に入るように動く
春乃ちゃんが作ってくれた一瞬の隙
剣の道を極めた歩法で滑るように間合いを詰め一閃
春乃ちゃんが生きてるなら、私もしなない
弾かれたとして、やり直すだけ【覚悟】



●偽り、繋がりを断つこと能わず
(私を滅するには程遠い。だが、それでもなお尽く罪深き刃を届かせ得るとは)
 先に交戦した猟兵によって吹き飛ばされた鴻鈞道人の頭部が、何事もなかったかの如く一瞬にして元の形へと戻る。他のオブリビオンを次々と【再孵化】ほどの再生力は正に尋常ではない。
 果たして、どれ程のダメージを蓄積出来ているのか。変わらず悠然と佇む白き仙人を前に、春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)と左護・結姫(は幸せです。・f35408)は底知れぬ不気味さを感じ取っていた。
「あれが鴻鈞道人……骸の海そのものだと言われても、何だか納得できる威圧感やね」
「ただ詳細不明とはいえ、もし仮に骸の海そのものなら、使える力も過去のもので。私の能力者としての経験を辿れば、何かしら共通するものがあるはず……」
 すらりと愛しき黒剣を鞘走らせ構える旅人に、己が経験して来た戦いを思い起こす能力者。相手が一体何者で、どんな能力を振るうのだとしても、敵であるという一点だけは明白だ。ならば、彼らがやるべき事もまた一つしかない。
「……結局は殺すための力でしかないんでしょう? 一緒だよ、全部」
「ええ、そうです。だから、これまでと変わりません。大丈夫、もしもの時は私が守りますから」
 結希と結姫はそれぞれそう言葉を交わし合うと、そっと互いに距離を取る。何度も言う様に、繰り出されるまでは相手の攻撃内容が分からない。如何に歴戦の猟兵とて、一網打尽にされる可能性とて無いとは言い切れないのだ。
 故にこそ、彼女たちは連携が取れぬという不利を呑んでまで、全滅を避けるべく別行動を選んだのである。だがそれは裏を返せば、互いの実力を信頼している事の証左でもあった。この戦友ならば、必ずや先制攻撃を踏破し敵まで辿り着く――と。
(一人は世界を巡って来た旅人。繋がりを厭いながらも孤独を嫌い、ただ刃のみに心を預けし者。もう一人は銀の雨煌めく旧き世界の只人。円く閉じた世界より足を踏み出せし者)
 対して、鴻鈞道人はそんな猟兵の動きを意に介した様子も無い。彼は一つしかない瞳でゆっくりと敵対者を見定めるや、ぞわりと全身を震わせる。攻撃が来る、そう二人が直感した瞬間、炎を帯びた『何か』と幾何学模様を描く無数の『何か』が放たれてゆく。
(唯一無二と断ずるならば、数多の偽りを以て斬り裂こう。結界の外へと踏み出したのならば、今一度その中へと縫い留めよう)
 それは燃え盛る紅蓮を纏った漆黒の大剣と、詠唱銀と思しき物質で出来た鏃の群れ。攻撃の内容としては前評判と比べ極めてシンプルだ。しかし、それらは結希と結姫の神経を逆撫でするに十分なもので。
「……なるほど? withの偽物ですか。そんなものを持ち出された程度で動揺するつもりはないですけど。でも、ちょっとだけ」
 ――イラっとしますね。
 瞬間、旅人は己が背より紅蓮の焔翼を形成するや、躊躇なく吶喊してゆく。足元の脚甲より蒸気を噴き上げ加速し、刃には刃を、炎には炎を以てぶつかり合う。更には強引に攻撃の軌道を変えるや、仲間の元へ飛翔する銀鏃との射線上にまで身をねじ込ませた。
「私はころさないとしにませんし、結姫さんもしなせませんよ?」
 当然、そうなれば二人分に向けられた攻撃を一身に引き受ける事になる。である以上、無傷で済むはずもない。瞬く間に灼熱で肌を焼かれ、刃が肉を裂き、鏃が深々と食い込んでゆく。だが結希は痛みを強引に無視しながら、文字通り身を削って猛攻の数々を凌ぎ続ける。
(……今だけは手助け無用。それはあの子の覚悟に水を差す事になるから。それよりも、私は自分が生き残る事を優先しくちゃね)
 だが、結姫が援護に動く様子は無い。それは結希が叩き落しきれなかった銀の鏃が迫っていたというのもあるが、何より此処で彼女が前線へ飛び込んでしまえば作戦が台無しになると理解しているが故。それを成就させるべく奮闘する旅人の挺身を、自ら無為するなど絶対にしてはならなかった。
「ブランクはあるけど、踏んできた場数なら負けないよ……!」
 動き回る小物体を弓矢で狙い撃つのは至難を極める。であれば、白兵戦にて迎撃する他に無し。結姫も桜色の太刀を引き抜くや、最小限の動作でそれを叩き落し始めた。しかし、減ったとはいえ数が数だ。能力者の全身もまた、点々と朱が滲んでゆく。
(私が。春乃ちゃんが。しんでしまう前に……ギリギリまで、前にッ!)
 気力か、体力か、集中力か。或いは仲間の命脈か。その何れかが尽きた瞬間、確実な死が訪れるだろう。ジリジリとした焦燥感に神経を焼かれながら、結姫は足を踏み出し続ける。そして、結希との距離が百メートルを切った頃合いを見計らい――。
「間に、あった……!」
 ひゅるりと、一本の赤い糸が戦場を駆け抜けた。それが黒剣を振るう少女の小指へと絡み付いた途端、鈍り掛けていた動きが精彩を取り戻し始める。果たして、息を吹き返した旅人の猛連撃にさしもの渾沌も耐え切れず。
「……所詮は偽物でしたね?」
 偽りの剣は炎を失い、刀身半ばよりへし折られていった。それを見て勝ち誇ったように不敵な笑みを浮かべる仲間へ、能力者は緊張の糸が切れた様にゆるゆると息を吐く。
「春乃ちゃん、生きてる~? はぁ……こことかとっても痛いんだけど。服もお気に入りだったのになぁ。クリーニングに出しても駄目そうだよぉ」
「はははっ、最初に心配するのがそこですか。左護さんらしいと言えばらしいですけど……さて、と」
 二人の策、それがこの運命の糸による生命共有である。どちらか一方が生きていれば、片方もまた死ぬことは無い、文字通りの運命共同体。最初から使えればまだ楽だっただろうが、それでは糸が切られる恐れがあった。故にこそ、初撃を凌げるギリギリを見計らわねばならなかったのだ。
「ある意味、今からが本番ですね。悪趣味な贋作を差し向けてきたお礼、たっぷりとさせて貰いますよ」
「これで多少の無茶も効くから、動きやすくなったはず。それに、駄目になった服の分もお返したいしね?」
 ドッと疲労が押し寄せる身体に活を入れ直し、二人は今度こそ鴻鈞道人へと挑み掛かってゆく。一方の白き仙人は微塵も動ずることなく、再度の攻撃態勢へと入る。
(私を滅する術を持たぬ一方、我が意を以てしても猟兵を殺しきれぬ。これが今を生きし六番目の猟兵、その実力か)
 再び放たれる炎剣と銀鏃だったが、そう何度も同じ手を食うほど彼女らも甘くはない。仕掛ける機を窺う結姫を横目に、まずは結希が前衛役として踏み込む。
「左護さんが生きてるなら私もしなないから、いつも以上に積極的な戦い方が出来ます!」
 彼女はおもむろに身体を反転させ、背の焔翼を羽撃かせる。それは絶望を拒絶する、緋色の煌めき。一人ではなく二人分の想いが籠められた熱量は先程の比ではない。
「どうですか? 焔の使い方なら、私も負けてないじゃろ?」
 一切合切を絡め取る様に焼き尽くすや、そのままくるりと一回転。遠心力を利用して愛剣を白き仙人の胴体目掛けて叩き込む。手応えは鉛の様に重く、ズシリと刀身越しに圧し掛かって来る。だが負けてなるものかと強引に振り抜くや、肉体を構成していた渾沌が大きく抉り取られる。
「左護さん、今ですッ!」
「……ありがとう、春乃ちゃん。どんな体の造りをしているのか知らないけど、突破口さえあれば!」
 結希の呼びかけに応じ、間髪入れずに結姫が動いた。仲間の攻勢に乗じ敵の死角へと回り込んでいた能力者は、地面を滑る様な歩法で一気に間合いを詰める。そうして相手を攻撃圏内へと捉えて瞬間、鮮やかな二の太刀が仲間の刻んだ斬傷へと吸い込まれていき、そして。
(水面の月を乱すに似るが、それでも届いたことに変わりなし、か)
 鴻鈞道人の身体を、胸元より一刀両断する事に成功するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜刀神・鏡介
鴻鈞道人。骸の海を自称する者、再孵化……情報不足だが、ある意味この戦いの真の黒幕ということか
倒しきれないとは聞いたが、出来るだけの事はやらないとな

敵が戦場と一体化しているなら、離れて様子を窺う事も不可能かな。であれば、神刀を片手に敵をしっかり見据えつつ、敢えて踏み込んでいく
何をしてくるか分からなくとも、攻撃時には必ず何かしらの予兆がある筈。観察によりそれを見極め、敵が何かをしてくると思った瞬間に後ろに跳びながら斬撃波で迎撃
そして参の秘剣【紫電閃】を発動、思考と身体能力を強化する事で攻撃の正体を見極め、次の攻撃へ対処できるようにしながらも、再度攻撃を放ってくる前に接近して、高速の連撃を叩き込もう



●暗迷照らすは紫電の閃
(過去を踏みしめる者。混沌の渦を滅せずとも、罪深き刃を以てその澱みを断つか)
 先に交戦した猟兵により、身体を上下に寸断された鴻鈞道人。常人であれば絶命は必至の一撃だが、この白き仙人にとっては果たして如何ばかりの痛苦なのか。渾沌の名に恥じぬ底知れなさが、佇む痩躯から滲み出ている。
「鴻鈞道人。骸の海を自称する者、再孵化……情報不足だが、ある意味この戦いの真の黒幕ということか。倒しきれないと聞いてはいたが、百聞は一見に如かずとは正にこの事だろう。だが、出来るだけの事はやらないとな」
 しかし、戦場へと降り立った夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)からは緊張や気負いと言った委縮は感じられない。敵が何であろうとも、いま己が為すべき事を行うのみ。見通しの効かぬ戦場だろうと限りある手札で挑まねばならぬと、軍学校でも教えられていた。
(敵が戦場と一体化しているなら、離れて様子を窺う事も不可能かな。であれば、虎穴に入らずんば虎子を得ず……見に徹するよりも踏み込むべきか)
 相手は千変万化の渾沌そのものだ、受けに回ってはそのまま飲み込まれるだけ。鏡介は腰に佩いた神刀をすらりと引き抜くや、そのまま躊躇なく神仙目掛けて挑んでゆく。対して、鴻鈞道人は全身に纏った渾沌をふつふつと蠕動させ始める。
(『選ばれし者』、軍法を学びし猟兵か。然して、戦場に求められるは数の理。一握りの英雄が戦局に寄与せぬ事を、お前は知っているだろう?)
(っ、仕掛けてくるか……!)
 攻撃の予兆を感じ取った青年は警戒感を高めながら、得物を構えゆく。そして次の瞬間、総身より渾沌が飛び散ったかと思うや、それらが人型となって一斉に襲い掛かって来た。しかも単なる肉人形ではない。兵士、それもこれまで兵馬俑などで見てきた古式ゆかしい姿ではなく、近代的な装備をした歩兵たちである。
「それで俺の在り方を皮肉った心算か? だとしたら見縊られたものだな!」
 濃密な弾幕と共に、戦列を組んで銃剣突撃を敢行して来る兵士たち。だが一方、猟兵の反応もまた素早かった。鏡介は瞬時に後方へと飛び退り刺突を回避、そのまま剣閃より衝撃波を放ち、群れ為す敵を斬り捨てる。
 ともあれ、これで種は割れた。相手の一番の脅威は攻撃の詳細が不明な事だ。手の内さえ分かれば取るべき戦法も見えて来る。とは言え、生み出された兵士の数は極めて多い。
「なるほど、確かに数の差は圧倒的だろう。だがそうした状況を無理やり突破するからこそ、単騎駆けは戦の華と呼ばれるんだ」
 掠めた弾丸に朱が滲み、躱す銃剣の切っ先が傷を刻みゆく。焼ける様な痛みとは裏腹に、青年の思考は極めて冷静だ。彼は隊伍間の間隙を見出すや、臆することなくその中へと身体をねじ込ませる。
 こうして内部に入り込んでしまえば、相手も射線を通し辛い。手近な敵兵を斬り捨てて進路を確保しながら、ひたすらに前へ、前へ。果たして、集団を踏破した先に神仙は戦闘開始前と変わることなく佇んでいた。
「ここまで辿り着ければ、もうこちらの距離だッ!」
(流石は埒外の存在と言うべきか。来る者の悉くが私の混沌に比する多様さを誇っている。だが、その罪深き刃が我が命に届くことは無い)
「だとしても、だ。神刀解放……我が刃は刹那にて瞬く」
 神刀の刀身が煌めきを放ち、周囲の暗闇を塗り潰す。瞬間、引き延ばされた時間の中で鏡介は動く。緩慢とした敵の動きを知覚しながら、放たれる斬撃は九つ。此処に犠牲と出来る味方は居ないが、元より仲間を傷つけるつもりもなし。
 それは正しく、電光石火の一刀。主観速度が正常に戻った途端、雷鳴が如き轟音が戦場へと響き渡り、そして。
「――参の秘剣【紫電閃】ッ!」
 神鳴る刀が、白き仙人の全身を千々に斬り裂いてゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
とりま、左手の小指をこっそり切り落としてそこらにポイッとしておく。
「うーん。敵さんって血は流れてるの?」
なんかちっと微妙そうだけど。

Argentaを周囲に展開して敵の攻撃に備える。僕に当たる前に他のモノに当たればそっちが燃えるでしょ。
目に見えないモノが当たってもすぐ気付ける様に悪魔の見えざる手を僕の壁役にしとくのもありだね。
目に見えないパターンの時は強欲髪を僕の身体を覆う様に伸ばして僕の盾に。
髪ならすぐ戻せるから、燃えたらとっとと髪を切り落としてすぐさま次に備えて行こう。
問答無用で燃やされる場合は燃え出した部分を即座に切り落としてそれ以上の延焼を防ぐかな。

凌げたら、UCで吸血鬼化。
受けた傷を治しつつ敵さんへ攻撃。身体に出した暴飲暴食で敵さんの血と肉?を奪って行こう。
攻撃中に僕の血が敵さんについてたら血液操作の能力で血を操って敵さんの左目を狙うのもあり。

緊急時は今の身体を放棄。さっき捨てた小指を基点に身体を再生させるって事で。

「太陽とかはやめといてね。治すのがめんどうだし。」



●満たせども餓え飽きて
(侮っていたつもりは無いが……ふむ。こう何度も死すとは、少々予想外だ)
 バラバラに切断されても尚、傷口からは血の一滴も流れることは無く。瞬きした次の瞬間にはもう、鴻鈞道人は元の姿に戻っていた。これが相手の操る【再孵化】なのだろうか。交戦を重ねてもなお底が見えぬ相手を前に、しかして須藤・莉亜(ブラッドバラッド・f00277)は別の事柄について思考を巡らせている。
「うーん……敵さんって血は流れてるの? なんか切られても白っぽい渾沌が飛び散ってただけだし、見た限りちっと微妙そうだけど」
 つまりは吸える相手か、そうでないか。それこそ、莉亜が敵に求める最も重要な要素だ。だが相手の様子を観察した限り、その望みは薄そうである。予知などを鑑みるに、何かが人型を模しているに過ぎないといった所か。
 青年はやや落胆したようにそう独り言ちながら、髪の毛を一本抜き取って左の小指へそっと巻きつける。すると、彼は何と躊躇なくそれを引き絞るやすっぱりと小指を根元から断ち切ってしまった。見るも痛々しい光景だが、莉亜は意に介した様子は無い。
 神仙に気付かれぬ様それを遠くへ投擲しつつ、ようやく猟兵は臨戦態勢へと移行する。
「何が来るかも分からないしね、一先ずArgentaを周囲に展開しておこうか。僕に当たる前に他のモノに当たればそっちが燃えるでしょ」
 そう言って己の周りに出現させたのは、百を超える銀の槍だ。それを十重二十重に張り巡らせることにより、何が来ようとも対処する為の時間を稼げる様にしたのである。加えてもう一つ、それとは別に策を仕込んでゆく。
(相手の攻撃が目に見えるモノだとは限らない。悪魔の見えざる手を壁代わりにして……念の為、強欲髪もすぐ伸ばせるようにしておこうか)
 鋭い鉤爪を備えた不可視の両椀、変幻自在の髪の毛。もしも槍衾をすり抜けられたとしても、すぐカバー出来るようにという備えだ。これでも懸念事項はまだまだ有るが、取りあえず手持ちの装備で出来る限りの迎撃準備は整えられたと言って良い。
 一方、ジッと猟兵を観察していた鴻鈞道人もまた動き始める。相手の準備が終わるまで手を出さなかったのは強者の余裕か、それとも何らかの意図があるのか。神仙が手を振るうと、鬼火が如き白焔が次々と生まれてゆく。
(血を啜り、命を奪う簒奪者よ。餓え飢えるよりも恐ろしきものをお前に示そう)
 そう言うや否や、次々と莉亜目掛けて炎が解き放たれてゆく。一先ず、目に見えないという懸念は杞憂だったらしい。なればと、青年もまた銀槍を投擲してそれらを相殺しようとするのだが。
「槍がすり抜ける……? 成る程、そう来たんだね」
 するりと、鋭い穂先が呆気なく空を切る。流石にわざわざ打ち消されると分かっているものを繰り出す程、相手も馬鹿ではないのだろう。なればと、莉亜は見えざる手を防壁にしながら、全身を鎧代わりの髪の毛で覆い尽くす。
 これならば炎を払いのけつつ、万が一直撃を喰らったとしても該当部を切り落として延焼を防ぐことが出来るはずだ。その狙いは功を奏し、不可視の腕が次々と白焔を叩き落してゆく。
(この調子なら、問題なく接近する事が出来て……っと!)
 だが順調だと思った矢先、フッとすり抜けた白焔が懐へと飛び込んできた。無数の攻撃を敢えて迎撃させることで、視認困難な存在の動きを把握したのだろう。そうして接近を許してしまった結果、巻きつけた髪にぼわりと燃え広がり始める。
 だが、ここまでは想定の範囲内。莉亜はさっさと炎上部を切除しようとするのだが、そこで違和感に気付く。
「っ、切れない……いや、切った端から繋がっている!?」
 スッパリと髪の毛を断ち切っているのだが、何と炎に触れた端から再生し、元通りになってしまうのだ。だがこの瞬間にもじわじわと白焔は延焼を続け、強烈な熱量が体を蝕む。そこで彼はようやく、攻撃の本質に気付く。
「……不死鳥と言うには悪趣味だね。焼き尽くした端から治癒するだなんて、長く苦しめと言っているようなものじゃないかな」
 相手は炎の『焼く』という性質はそのままに、同時に『治癒』の効果も付与していたのだ。更にはそんな有り様にも関わらず、莉亜は己の飢餓感もまた薄れつつあることに気付く。
(捕食者の最適な状態とは、餓えている事だ。腹の満ちた虎がどうして獲物に牙を剥こう。汝の強さはその強大なる吸血衝動にこそ在らん)
「初対面の相手を随分とよく観察しているんだね……!」
 これが鴻鈞道人による必殺の一手。このままで遅かれ早かれ全身火達磨となり、生かさず殺さず苦しみ抜いた上で消し炭と化すだろう。しかし、この状況を如何にして打破すべきか。
「中途半端じゃ届かない、か……良いよ、それじゃあ」
 ――全力で殺してあげるね。
 答えは単純明快、更なる渇望を以て敵を喰らい尽くすのみ。青年の瞳が金色に輝いたと思うや、混血ではない真正の吸血鬼へと変貌する。当然ながら再生力は勿論、血液に対する欲求も先の比ではない。
 彼は強化された身体機能でダメージを強引に補いながら、炎を纏ったまま神仙へと襲い掛かる。全身には牙や顎を出現させており、乾せども尽きぬ飢餓感を示していた。莉亜はそのまま敵へと組み付くや、当たるを幸いに敵を削り喰らってゆく。
「っ、色んな味が混ざり合ってる。その上、どれも古ぼけた風味だね……端的に言って、不味い」
 骸の海、渾沌氏を自称するが故か。酸いも甘いも一緒くたにしてしまえば、素材が何であろうと酷い味になるのは当然である。とは言え、補給できる先は眼前の敵しかいないのだ。焼却と再生、吸血と捕食。まるで尾を呑む蛇が如く、両者は己が存在を削り合う。
 しかし、そもそもの地力に大きな隔たりがある。拮抗状態はそう長く続かない。戦いの天秤は徐々に神仙側へと傾き始め、莉亜の肉体は末端から炭化し崩れてゆく。これ以上の継戦は困難、そう判断した青年は血液を操り相手の左眼へと叩きつける。
「太陽じゃない分まだマシだけど、やっぱり焔も厄介だね。一から治すのもめんどうだし」
 だが、そこまでだ。とうとう維持限界を迎えた猟兵の肉体が崩壊、消し炭と化す。後に残ったのはブスブスと燻る燃えカスのみ。あわや、遂に戦死者が出てしまったかと思われた、その時。
「……ふぅ。やっぱり、保険を残しておいて正解だったね」
 ずるりと、虚空より莉亜が姿を見せた。正確に言えば、戦闘開始前に投じておいた己の小指からだ。彼はこのような場合を想定し予め自身の一部を分離、復活可能な余地を遺しておいたのだ。
 布石の見事な活用に、不敵な笑みを浮かべる猟兵。対する鴻鈞道人は淡々と、変わらぬ視線を注ぎ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
センサーにて飛来せし渾沌捉え
瞬間思考力にて性質見切り
格納銃器で撃ち落とし、剣盾で弾き
防御してはいけない・出来ぬ物はスラスター併用した疾走で躱し


何故、創造主を殺し壊された私が“過去”とならず、猟兵として世界に選ばれたのか
何故、猟兵とオブリビオンの力の根源が同じ“UC”なのか

罪深き刃…錯誤でしょうが、腑に落ちた気がするのです

真実は遠く、敵は眼前に

貴方が渾沌の化身であるならば…

申請待たず制限全開放された禁忌剣に眠りし未完の兵器
己が騎士をなぞる戦闘機械たる証左、討たれるべき邪竜へと

人が願いし御伽を此処に!
無辺の故郷よ、未来築く秩序よ、命紡ぎし優しき花々よ!
コスモスよ、コスモスよ、コスモスよッ!

罪深き刃携え冷たき鋼が希う!
花園を守護する一輪の…ブローディアの騎士たらん事を許したまえ!

本物には遠く及ばねど
剣掲げ己を中心に放つは秩序属性のビッグバン
大爆発で渾沌焼き払い、後に残るは秩序以て再構築されしコスモスの花園

此度は、いいえ
何度でも退いて頂きます、渾沌よ!

通常形態にて疾走
力使い果たした剣を振り下ろし



●花園より、過去より遠き貴女へ
(――ずっと、疑問に思っていたことがあります)
 星一つ見えぬ暗夜の中。煌めく流星が如き菫色の輝きを避けて疾駆しながら、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はそう演算領域の片隅でそう独白する。
 先の戦闘時、鴻鈞道人は猟兵の準備が整うのを律儀に待っていた。その反動という訳ではないだろうが、今回に関してはその逆。相手は戦機の出現と同時に、躊躇なく攻撃を仕掛けてきたのだ。
 幾何学模様を描いて飛翔する煌めきの一つ一つに、彼を消し飛ばして余りある威力が秘められている。それらに使われている技術に己との類似性を感じながらも、鋼騎士はセンサーで捉え、銃器で撃ち落とし、剣盾を以て弾き、直撃だけは避けんと試みゆく。
(何故、創造主を殺し壊された私が“過去”とならず、猟兵として世界に選ばれたのか。何故、猟兵とオブリビオンの力の根源が同じ“ユーベルコード”と呼ばれるのか)
 そんな紙一重の差で撃破されかねない中、それでも彼は思考を巡らせざるを得なかった。これまでも骸の海を利用する手合いが居なかった訳ではない。ヒーローズアースのクライング・ジェネシスなどが良い例だ。だが、骸の海そのものとなれば話は別。
(罪深き刃……飽くまで私の錯誤でしょうが、なんだか腑に落ちた気がするのです)
 己がどうして猟兵となったのか。如何なる理由で彼女に、過去の集積物に拒絶されたのか。その差がいったい何処にあるのか。理由の一端を、彼は神仙の言に垣間見た気がしていた。
(真実は遠く、敵は眼前に。もしも本当に、貴方が渾沌の化身であるならば……)
 無論、それが此方を露悪的に揶揄した可能性は大いにある。自らを骸の海と称するのもどこまでは本当かも分からぬ。だが【再孵化】を始めとする数々の能力は、その言動を偽りと切って捨てるには余りにも強大過ぎて。
「不肖の騎士たる我が責において、貴女が厭うた地獄を此処に……いいえ、否ッ!」
 だからこそ、なのだろうか。0と1の織り成す電気信号の空隙に、形容不可能な感情が生じる。彼は手にした騎士剣を投棄するや、精緻な芸術品を思わせる大剣の柄へと手を伸ばす。それこそ己を造り出し、己が手で眠らせた設計者の遺産。彼女の手で封じられた、不世出の技術群。
 常ならば経るであろう承認プロセスの悉くを強引に突破しながら、トリテレイアは叫ぶ。自嘲交じりの宣言ではなく、祈りを込めた誓約を。
「――人が願いし御伽を此処にッ!」
 不用意な動きをしたことで、菫の閃光が次々と着弾。鋼騎士の躯体を瞬く間に打ち砕いてゆく。しかし、彼はそれらを意に介さない。何故ならば崩壊した箇所を補う様に、禁忌の箱から引き出された高密度情報が解凍されつつあったからだ。
「無辺の故郷よ、未来築く秩序よ、命紡ぎし優しき花々よ! コスモスよ、コスモスよ、コスモスよッ! あの昏き無謬の宙において、幻想の中にのみ許された安寧よッ!」
 それらは実体化し、質量を増大させ、鋼の騎士を覆いゆく。ただでさえ大柄な機影を更に拡張しながら、完全なる顕現を果たした機械仕掛けの邪竜が虚ろな暗黒を踏破する。立て続けに撃ち込まれる光弾さえも、彼の全身を完全に打ち砕く事は困難だろう。
(知っている、知っているぞ。その技術を、その武威を、その脅威を。それらもまた骸の海に連なるものなれば……私はそれを『知っていた』)
 そして鴻鈞道人もまた、相手が何をしようと考えているのかを悟る。それも当然だろう。彼の戦機が手にせし遺産は、元より骸の海から生じた物の一つ。である以上、その化身を称する者が知らぬはずもない。
「罪深き刃を携え、冷たき鋼が希う!」
 彼我の距離が詰まるに従い、弾幕も密度を増してゆく。もはや一本の柱と化すほどの勢いなれど、邪竜が構えし禁忌の剣には罅一つ入ることは無かった。そうして両者の勢いが拮抗した瞬間、隙を晒す事も厭わずにトリテレイアは手にした遺産を高らかに掲げる。
「この身が花園を守護する一輪の……ブローディアの騎士たらん事を許したまえ!」
 ――刹那。漆黒の世界は暴力的なまでの純白によって塗り潰された。
 その正体は禁忌剣に内蔵された縮退炉の出力を臨界寸前まで上げ、一気に解放したのである。光すらも逃れ得ぬ暗黒天体、それを原理として利用した機構の最大火力。その威力は正に天体の終焉と同義だ。
 空間全てを満たす破壊の渦。だがやはり、この場所自体にも神仙の手が加えられているのだろう。本来であれば更地になってもおかしくない威力にも拘らず、破滅はこの周辺にのみ留まっている。
 そうして徐々に閃光が収まった果てに、姿を見せたのは無惨な惨状……ではない。
(……これがお前の望む光景か。この様なありふれたものをこそ、手に出来ぬと嘆き、辿り着こうと欲したのか)
 うぞうぞと蠢く渾沌で肉体を再構築しながら、ジロリと左眼で周囲を見渡す鴻鈞道人。その先に広がっていたのは、一面に広がるコスモスの花園であった。問い掛けと共に視線を戻せば、そこには同じように佇むトリテレイアの姿が見える。
「ええ、その通りですよ。他の世界ならそう珍しくもないものが、私の生きた時代/世界では望むべくもなかった。それこそ、御伽噺という空想の中にのみ許された平穏です」
 自らの放った超新星爆発の威力は、彼自身をも焼き尽したのだろう。邪竜の装甲は全て吹き飛んでおり、核である鋼騎士自身も半壊状態。だがそれでも、彼は禁忌剣を手に立っていた。千々に砕けた理想を掻き集め、ただ己が望み、彼女が願った騎士たらんが為に。
「故にこそ、その空想を空想のままとしない為にも。此度は……いいえ。何度でも退いて頂きます、渾沌よ!」
(なるほど。骸の海全てを滅する事は能わずとも、既にその一端は為し得たという事か)
 残ったエネルギーを総動員し、力を使い果たした刃を振り被り、鋼騎士は骸の海へと挑み掛かる。確かに相手を滅する方法はないだろう。だが、可能性はゼロではない。
 オブリビオンは個体差こそあれ、同一種と思しき存在が姿を見せる事がままある。生物然り、兵器然り、そして人間然り。だが極々稀に、何かしらの切っ掛けを以て二度と姿を見せなくなる場合もまたあった。
(その意味するところは定かではありません。ですがもし、それが骸の海を削る事に繋がるのであれば)
 そうした者たちが何処に消えたのか、それは分からない。だが、現れなくなったという事にきっと意味は在る筈。例えそれが過去と言う時間の総量からすれば、極々些細な一握だとしても。
「私は刃を振るいましょう……御伽噺の英雄の様に」
 斯くして、遺されし剣は白き仙人を一刀の元に斬り裂いてゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
【路地裏】
骸の海、とは…。
真偽のほどはわかりませんが、それを自負するだけの力があるということ。
ですが恐怖を感じないのはこの天華のヤドリガミ、ファン殿がついてくださるからでしょうね。
ウケ、相手が強敵であることは間違いありません。結界をはることだけに集中し力を注いで下さい。
今回は貴方だけに負担をかけません。
先の戦で見た消えざるシバの炎を参考に、兄様の操る炎を月代とウカの衝撃波で舞い上がらせ炎を壁をつくる。
みけさんは砲撃で援護射撃をお願いしますね。
相手の戦術がわからない以上、万全とは言えませんが時間稼ぎになれば十分。

UC【天鼓雷音】使用
先ほど触れた天華。その複製を避雷針代わりに雷を落とす。
私の雷も素直に落ちませんが、その避雷針も留まりはしませんよ?
無差別攻撃と飛翔攻撃に対応しつつ、鴻鈞道人へ攻撃を。

「過去」を教訓に「現在」を生き「未来へ」進む。
私達はただ闇雲に生きるためだけに過去を踏みしめていたのではありません!


ファン・ティンタン
【SPD】斬らるるものに貴賤なく
【路地裏】

隻眼に、白一色
その風体には、どうにも気に障る要素を感じるんだ
とっとと引っ込んでもらおうか

私は基本、脳筋だからね
個人としては、無形の力にはあまり対応策が無い
その点は、素直に狐珀へぶん投げるよ
遅すまポジクラ、ってやつだね
その分、有形の物は任せてもらおうか
これでも、多少は戦禍をくぐってきた前衛だ

こーゆーのは視覚的にだけじゃない、音なり気配なり、世界に在るからには存在感は消せない
切り、斬り、舞いて、寄るモノ皆断たん
私の感覚から逃れたければ、害意さえ持たず災いを振りまく“現象”にでもなることだよ
……まあ、例えそこまでに至っても、私の感覚器は、何も器物たる天津華だけじゃない
空舞う綺羅星
穿つ雷閃
噛み砕く獣牙
名も無き鋭刃
浄愛の懐刀
決死の毒棘
帯びる刃が、我が至宝が、力となってこの身を今に繋いで来た
振るうだけが刃の能ではないと知れ

【夢想剣生】
百を超える閃きの、更にその先へ届かんとするなら、どうぞいらっしゃい
形あるモノなら、斬り断ち穿ち、正体関係なく叩き斬ってみせるよ



●百刃万雷、渾沌断ちて照らし出す
(無尽の身なれども、こうも短期間に複数の死を体験するとは。侮っていたつもりは微塵もないのだがな。命の総量を差し引けば、私と猟兵の力量差にそこまでの開きは無いという事か。なるほど、面白い)
 度重なる猟兵との交戦、そしてそれに伴う死と再孵化。幾らでも再生できるとは言え、ここまでしてやられるのは鴻鈞道人としても予想外だったのだろう。若干の感心を滲ませつつも、その口振りには依然として滅びぬが故の余裕が見て取れた。
「……隻眼に、白一色。その風体には、どうにも気に障る要素を感じるんだ。そろそろ、この戦争も佳境に差し掛かって来たんだしね。邪魔者にはとっとと引っ込んでもらおうか」
 だが、敵対者からすればその在り様は酷く傲慢に映るものだ。漆黒の中に浮かび上がるもう一つの白、新たに転送されてきたファン・ティンタン(天津華・f07547)は苛立ち交じりにそう相手を切って捨てる。彼女の言葉が示すのは己自身か、はたまた別の誰かか。
(骸の海、とは……真偽のほどはわかりませんが、それを自負するだけの力があるということ。現に普通であればとうに倒れているはずの手傷を負って尚、あの神仙は平然としている……本来であれば、臆してしまっても不思議ではありません)
 一方、同じタイミングで戦場へと降り立った吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)はある種奇妙な心持であった。眼前の敵はこれまで対峙してオブリビオンと比べ、明らかに一線を画す存在だ。現に彼女の本能は今この瞬間も危険信号を発し続けている。

(ですが、恐怖を感じないのは……この天華のヤドリガミ、ファン殿がついてくださるからでしょうね。一人であればきっと、相手に吞まれてしまっていたでしょうから)
 だが言葉通り、不思議と彼女の心に怯懦や緊張が浮かぶことはない。その理由は共に肩を並べる仲間のお陰だろう。底の知れぬ神仙に対し、真正面から気に食わないと啖呵を切るその姿はいっそ清々しいものだ。
「ウケ、相手が強敵であることは間違いありません。しかも、放たれる攻撃は悉くが予測不可能。何が来るか分からぬ以上、結界を張ることだけに集中し力を注いで下さい」
 ならば自分も臆してなどいられないと、狐珀は付き従う白狐にそう命じてゆく。白き刃が矛ならば、狐像の少女は盾。詳細不明の攻撃を凌ぎ反撃へと転ずるためにも、まずは彼女が役割を果たさねば始まらない。
 主の意に応じ、手にした巻物を触媒として霊力を周囲へ張り巡らせてゆく霊狐。無論、相手の攻撃がこれだけで防げるほど生易しいもので無い事は百も承知だ。故に彼女は兄たる絡繰り人形を傍らに招き寄せながら、そっと保食神の頭を撫ぜる。
「勿論、今回は貴方だけに負担をかけません。こちらも全力を以て応じなければ、そのまま打ち破られるだけでしょうから」
「その点に関しては、対策をぶん投げてしまうようで済まないね。私は基本的に脳筋だから、個人としては無形の力にはあまり対応策が無い。いわゆる遅すまポジクラ、ってやつだ」
 若干の申し訳なさを滲ませつつ、それでもファンは仲間を庇う様にそっと一歩前へと踏み出す。己が現身たる白刀を幾つか複製し地面へと突き立てながら、その内の一本を構える。
「ただその分、有形の物は任せてもらおうか。これでも、多少は戦禍をくぐってきた前衛だ。質量を備えた物なら、切って捨てて見せるよ」
「ええ、そちらはお任せしますね?」
 そう不敵な笑みを浮かべる仲間に、狐珀もクスリと笑みを零す。相手の攻撃が一体なんであれ、此方がやるべき事は単純明快だ。ならば、後はただ雌雄を決するのみ。
 そうして体勢を整えた猟兵たちを前にして、鴻鈞道人もまた動き出す。彼がおもむろに手を振るうや、虚空に幾つもの白い点が滲み出してゆく。
(己が過去を顧みぬモノ、担い手を失いし背理の刃よ。汝に相応しきは者にあらず物なれば)
 その正体は無数の武器や装飾品の数々。一見すれば雑多な寄せ集めにも思えるが、よくよく見ればそれらはファンがこれまで縁を結んできた器物たちである事が分かるだろう。物には物を、といった所か。
(祭る神もなく、座する社さえ無きモノよ。汝に相応しきは祈りすら届かぬ畏れなれば)
 次いで現れたのは淡い輝きを放つ薄靄の様なもの。揺らめくその姿は幻想的であるが、狐珀の目には全く別の光景が映っていた。それらは名も姿も失って骸の海へと沈んだ御柱、その成れの果て。大祓百鬼夜行で見たUDC-nullに近しいが、それよりも遥かに歪んだ荒魂である。
 使い手を想う物に者は不要と断じ、神仏を尊ぶ者に零落を示す。正に悪趣味と言う他ない一手だ。わざわざ猟兵側の迎撃準備を待っていたのも、これを見せつける為か。少女たちが顔を顰める中、前触れもなく動き出したそれらが一斉に襲い掛かって来た。
「まずは私たちで敵群の勢いを削ぎます! ウケはそのまま結界の維持に注力を! 兄様、それに月代とウカも、タイミングを合わせてください!」
 荒れ狂う器物の波と幾何学的な動きで迫り来る荒魂たち。どう切り抜けるにしろ、これをそのまま対処するのは余りにも無謀過ぎた。故に白狐の結界を最終防壁としつつ、狐珀は彼我の中間地点目掛けて絡繰り人形から業炎を放ってゆく。
 高熱は器物を焼き、炎は浄化の威を以て神々を祓い清めるだろう。だが、敵の数に対し燃焼範囲は限定的だ。このままでは到底止め切れない、が。
「……先の戦で見た消えざるシバの炎。あれほどの密度と規模は望めずとも、機先を制するには十二分です!」
 ぶわりと、まるで扇を開くかの如く炎が勢いを増しながら広がってゆく。人形の生み出した炎を、仔龍と黒狐の放った衝撃波で拡散させたのだ。風の流れを受けた焔は轟々と燃え盛り、文字通り炎の壁となって戦場を分断する。
 しかもこれらは単なる物理現象ではなく、邪気を払う清冽なる煌めき。零落した神とは言え、否、神だからこそ容易くは超えられぬ。なればと焼却される前に器物群が炎壁の突破を試みるも、それらも鋼狐のレーザーによって次々と撃ち落とされていった。
「ミケさん、支援砲撃ありがとうございます。相手の戦術がどう来るかと心配でしたが、一先ず初撃は切り抜けられましたね」
「ただ、今も後続が次から次へと現れているみたいだね。気を抜けば数の差で押し切られかねない……となれば、次は私の出番かな」
 狐珀と狐たちの連携により、初手で圧殺される展開は回避する事が出来た。しかし相手が犠牲覚悟の飽和攻撃で炎壁を突破すれば元の木阿弥である。なればこそ、この僅かに生まれた猶予を生かして打って出る他にない。そう判断したファンは後背を仲間に任せ、前線へと飛び出してゆく。
(全く、忌々しいほど精巧に似せているね……だけど、そのお陰で気配は察し易い。これなら討ち漏らす心配はないだろう。問題は荒魂の方か)
 次々と降り注ぐ器物の群れを切り払いながら、ちらりと白き刃は紅瞳で周囲を一瞥する。相手は此方を皮肉る為にこれ等を生み出したのだろうが、逆にそれが猟兵側に利する形となっていた。
(こーゆーのは視覚的にだけじゃない、音なり気配なり、世界に在るからには存在感は消せない。見知ったモノなら猶更だ……為らばその尽くを切り、斬り、舞いて、寄るモノ皆断たん)
 突き立つ牙を砕き、隕鉄を叩き落し、手鏡を割り、筆を折る。手にした白刃が閃く度に、両断された器物たちが元の混沌へと戻ってゆく。勿論、無傷とはいかない。纏う装束の所々に点々と朱が滲みゆくも、それでも致命打だけは紙一重で躱している。この調子であれば鴻鈞道人の元まで辿り着けそうなものだが、そう上手くいくほど相手も甘くはなかった。
(私の感覚から逃れたければ、害意さえ持たず災いを振りまく“現象”にでもなることだけれど……まさか、狐珀に向けた攻撃がこちらに『刺さる』とはね?)
 そう、荒ぶる神々に関しては話が別。微かな燐光のみを発するそれらは視認が困難な上、ただ物理的に切っただけでは意味がない。もう一方の猟兵を想定した一手なのだろうが、結果的にはファンの方にも有効と言えた。
 勿論、刀身に霊気を纏わせて振るえば良いのだろうが、それとて有限だ。四方八方から襲い来る器物に注意を払い、体力を削りつつ迎撃し、更には霊力まで消費するとなれば消耗度合いは跳ね上がるだろう。ならば、どうすべきか。
(……まあ、例えそこまでに至っても、私の感覚器は、何も器物たる天津華だけじゃない。口が裂けても私が使い手だなんて、言えはしないけれど。贋作如きに負けるも癪だよ)
 凛、と。涼やかな金属音が響き渡る。ふわりと白き刃の周囲に舞うは、幾つもの刀剣刃器たち。即ち、空舞う綺羅星、穿つ雷閃、噛み砕く獣牙、名も無き鋭刃、浄愛の懐刀、決死の毒棘。どれも神仙の生み出したモノと瓜二つだが、それらには魂と呼ぶべき意が宿っている。
 しかし、それも当然。彼らこそが原型(オリジナル)なのだ。幾ら見てくれを似せた所で、真と偽には天と地ほどの差があるもの。況や、これらはファン自らが縁を結んだ友輩。言うまでもなく、そのどれもが一級品である。
「帯びる刃が、我が至宝が、力となってこの身を今に繋いで来た。朽ちることなく、久遠の刻を超えてきた同胞たち。ただ振るうだけが刃の能ではないと知れ」
 彼らに目は無く、耳もなく、鼻も口もない。然れども、それ故に人型を得た白き刃が手放してしまった霊的な知覚を未だ残していた。彼らの形なき声に耳を傾ければ、荒魂の動きも朧気ながらに認識する事が出来る。
 こうなればもはや恐れるに足らず。ファンは無人の荒野を征くが如く、真っ直ぐに鴻鈞道人を目指して疾駆してゆく。神仙は今こうしている間も器物と荒魂を生み出し続けているが、ここまで距離を詰めればもう関係ない。
(これで猟兵が私の元へ辿り着くのは幾度目か。渾沌の裡より、最も効果的な手を選んでいるというのに。不思議なものだが、同時に納得もしている。それでこそ、罪深き刃【ユーベルコード】である、と)
「ただ単純に人の神経を逆撫でしてしっぺ返しを食らっているだけなのに、よくもまぁさも高尚そうに言い換えられるものだね。不愉快なモノを見せてくれたお礼だ、格の違いってやつを見せてあげよう」
 ――さぁ、征こう。『あの人達』の刃と共に。
 そうして、ファンが懐より取り出せしは小さな翡翠輝石の欠片。それが僅かに瞬いたかと思うや、一陣の風が戦場に吹き荒れる。刹那、碧き鉱石の内部から百を超える刃が飛び出して来た。
 それらは彼女が携えし武器の数々、その複製である。一見すれば、敵が繰り出していた攻撃と同じに見えるだろう。だが、違う。渾沌の複製とは決定的に異なっている。何故ならそれらは複製であると同時に、原型でもあるのだ。
「……百を超える閃きの、更にその先へ届かんとするなら、どうぞいらっしゃい。全力を以て歓迎しよう。形あるモノなら、斬り断ち穿ち、正体関係なく叩き斬ってみせるよ」
 斯くしてまるで軍勢同士のぶつかり合いが如く、両者の器物たちが斬り結んでゆく。数と勢い、密度の差は互角。である以上、真に軍配が上がるのは自明の理。ジリジリと拮抗状態は崩れていき、その果てにファンは鴻鈞道人へと切っ先を届かせる。
(認めよう。その威を、武を。だが……私を滅するには些か足りぬ)
 瞬く間に切り刻まれてゆく神仙。しかし、相手が動じた様子は無かった。確かに斬ってはいる。しかし、その端から再生してしまっているのだ。言葉通り、この敵を退けるにはもう一手足りない、が。
「……然らばその一押し、私が担うと致しましょう」
 忘れてはならない。白き仙人とは違い、ファンには頼れる仲間が居るのだ。背後で機を窺っていた狐珀は相手の身動きが封じられた事を確認するや、それまで防御に費やしていた霊力を一転して攻勢用に回し始める。
 少女がそっと手を伸ばした先に在るのは、先ほど白き刃が残していった彼女の現身。触れた指先から流れ込む霊気は、同じ存在を中継地点として戦場を駆け巡ってゆく。
「暴れ狂う紫電は全てを侵す無形の刃。穢れなき純白を伝い走り、全方位を囲め、紫電の雷精よ。我は雷を統べる者。雷を操る術を行使せん」
 交戦の余波で周囲へと飛び散った天華、それらの一つ一つが霊気を増幅させ、戦場全体を覆い尽くしてゆく。肌身で感じるほどに濃密さを増したそれらは、瞬く間に臨界寸前まで到達。正に一瞬即発と化した霊力の渦を前に、月白色の龍はおもむろに鎌首をもたげる。
 それと同時に狐珀は恭しく鉾鈴を頭上へ掲げるや、握る手に力を籠め、そして。
「其は雷、神鳴る力なればこそ……渾沌照らす雷光と化せッ!」
 清らかな鈴の音と仔龍の咆哮。その二つが切っ掛けとなり、戦場に凄まじい雷轟が響き渡る。刹那、遥かなる天上より霹靂が降り注ぐ。一本や二本ではない。豪雨と見紛う程の密度と勢いを以て、稲光が次々と鴻鈞道人を焼き払う。
「確かにかつて、耐えがたい災厄に見舞われたことがあります。ですがその『過去』を教訓として『現在』を懸命に生き、不確かな『未来』へと進み続けているのです。私達はただ闇雲に生きるためだけに、過去を踏みしめていたのではありませんッ!」
 少女の意思を示すかの如く、勢いを増す稲妻が白く暗黒を染め上げてゆく。暴力的なまでの古々しき神威の具現。その輝きの中に神仙の痩躯も塗り潰される。余りの光量に直視すら儘ならなくなった、その果てに。
(ふむ、見事である。お前たちの技量は我が渾沌を滅せずとも凌ぎ得る。それが知れただけでも収穫、か。なれば、そろそろ頃合いだろう。では……)
 ――また逢おう、六番目の猟兵(イェーガー・ゼクス)よ。
 フッ、と。それまで荒れ狂っていた器物と荒魂が掻き消える。同時に空を切った猟兵たちの攻撃も勢いを失い、やがて静寂を取り戻す。先ほどまで鴻鈞道人の居た場所へ視線を向けて見るも、やはりと言うべきか白い痩身は影も形も無かった。
「勝った、のですか……?」
「一応、そうみたいだね。尤も、だいぶ腑に落ちないけれど」
 勝利の余韻と安堵、そしてそれ以上の疑念。十中八九、相手は消滅する事無く退いていったのだろう。結局、その正体を掴むことはついぞ叶わなかった。しかし、何であれ勝ちは勝ちだ。それよりも今はフォーミュラである張角を討たねばならない。
 一抹の懸念を残しながら、白き刃と狐像の少女はこの戦争を終結させるべく、次なる戦場へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月28日


挿絵イラスト