2
殲神封神大戦⑰〜全ての過去を踏み越えて

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑰
🔒
#渾沌氏『鴻鈞道人』


0




●残酷なまでに美しき世界
 とある世界の研究者曰く。
 世界は無限量の液体の中に浮かんでいるという。
 時間とは質量を持つ物質であり、世界から排出された過去の集積体こそがその液体の正体だという。

『骸の海』

 そう呼ばれたそれは今、人の形をとって未来を喰らおうとしていた。

●渾沌氏『鴻鈞道人』
「オブリビオン・フォーミュラへの最後の障害、それは渾沌氏よ」
 集まった猟兵達に対し、グリモア猟兵のイデア・ファンタジア(空想の描き手・f04404)はそう告げた。
「鴻鈞道人とも言うんだってね。どうも彼は普通のオブリビオンとは違うらしいの」
 骸の海を自称する謎の敵、渾沌氏。その真偽はグリモアをもってしても不明だが、特殊な能力を持つことは確認できたようだ。
「『再孵化』と言ってね、もう倒したはずの敵、例えば始皇帝とかを再現できちゃうみたい」
 『再孵化』――帝竜ヴァルギリオスが持っていた能力だ。オブリビオン・フォーミュラと同じことが出来るとは、なるほど普通のオブリビオンではない。
 封神台が破壊されることになった元凶との情報もある。とにかく不気味な相手だ。
「ただ、今回の戦いでは使ってこないわ。それが良いこととは限らないんだけど」

 結論として、グリモアの予知は正しく機能しなかった。
「使ってくるユーベルコードがね、一部はちゃんと見えたの。だけど残りの部分が見えない、いいえ、『見え過ぎた』の」
 例えば、対象を燃やす能力を持っていることは確認できた。しかしどうやって燃やすかは不明だというのだ。
 普通に炎を放つかもしれないし、視線だけで燃やせるかもしれない。炎自体に特殊な効果があるかもしれないし、燃やす以外の行動も行うかもしれない。
 実際に戦うまで詳細は分からない。なによりそれらは――戦う度に変化する。
 不明にして不定。名付けるならば『渾沌の諸相』。
「分からない物に備えろって、無茶を言ってるとは思うけど……気を付けてね」


渡来あん
 初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
 本シナリオはルールが特殊です。以下を必ずお読みください。

●特殊ルール
 本シナリオでは敵が先制攻撃してくるため、これに対処する必要があります。
 ですが、敵の能力は実際に戦ってみるまで詳細不明です。不明のまま、何とか活路を開かないといけません。

 プレイングボーナス……鴻鈞道人の「詳細不明な先制攻撃」に対処する。

 注意1:能力は予め決定済みです。
 注意2:能力は同じ能力値であっても毎回変化します。

 それでは、ご参加をお待ちしております。
37




第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』undefined』

POW   :    渾沌災炎 undefined inferno
【undefined】が命中した対象を燃やす。放たれた【undefined】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    渾沌解放 undefined infinity
【undefined】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    渾沌収束 undefined gravity
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【undefined】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●銀河帝国攻略戦
(define:黒騎士アンヘル)
 虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』。スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)は直接相対したことはないが、話には聞いていた。
 かつて猟兵が経験した最初の大規模戦闘。蘇った銀河帝国との決戦において猟兵達を大いに苦しめたユーベルコードと、その持ち主について。
 帝国の二大巨頭。トラウマと共に語り継がれるその記憶。
 そして今、よりによってその力が再現されスフィアを惨殺せんとしていた。

 鴻鈞道人を起点に鏖殺領域が広がる。この地で剣が振るわれたことなどないはずだが、最初からそうであったかのように空間が定義されていく。
 死の予感によって極限まで引き伸ばされた時間はスフィアの目に迫りくる斬撃を捉えることを可能とさせたが、それだけだ。何かできる訳でもなく、彼女はただ死を受け入れることしかできない。
 いや、何もするべきではないのだ。死中に活、死を受け入れて初めて生き延びることができる。彼女の機械人形の体が持つ能力、オペラツィオン・マカブルによって。
 ああ、けれど可能だろうか? チャンスは一度きりなのだ。死の間際に思わず体を強張らせずにリラックスするなど、才能がなければ無理だろう。
 スフィアの脳裏を様々な思い出が走馬灯のように巡る。嬉しかったこと、悲しかったこと、驚いたこと。最後に浮かんだのは彼女の好きな物、お祭りの記憶。ああ楽しかった、そうやってスフィアはフッと笑って。

 ――そして、斬撃が彼女の全身を通り過ぎた。

 深紅の刀を振るう。刀の妖力と、自身の霊力と、食らったばかりの力を乗せて。
 魔を封じ霊を葬る剣技でもって、未明の渾沌を斬り拓く。
「これが私の、全身全霊!」
 まずは一度。過去はここに踏み越えられる。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
あなたが渾沌ならば悪夢の滴たる私は混沌の顕現
そしてあなたを殺し屠り滅ぼすものです
つまらぬ過去を名乗るものよ
過去は過去らしく
誰にも振り向かれることなく死に絶えたままでいることです

何を放ってくるにせよ結局は当たらねばいいだけの話
暗黒の「オーラ」を「範囲攻撃」で全方位に撃ち出し「結界」と為します
刹那の間を稼ぐことができればそれで十分
同時にこの闇は私を包み込み
「闇に紛れる」ことで一瞬だけでも姿を隠すでしょう
結界そのものを叩き潰そうとしてくるのならむしろ思う壺
ええ、そう思うように「誘惑」し「陽動」したのです

あなたが攻撃したのはただの私の「残像」
真なる私は既に……
あなたの真下ですよ、ふふ

ええ、今の一瞬に、私は自ら自分の影に飲みこまれたのです
もちろん自分の身を滅ぼしかねない危うい賭けでした
ですが、くすんで色あせた過去でしかないあなたとは異なり
私には未来があります
命を懸けて掴み取る希望がね
これがその覚悟の違いです
さあ記憶にさえも残らぬ虚無の底へと消えなさい
あなたはもはや過去ですらないのですよ、ふふ……



●バトルオブフラワーズ
(define:ウインドゼファー)
 渾沌の地に暴風が渦を巻く。形も定かでない地形ごと、全てを壊す嵐が吹き荒れる。
「あなたが渾沌だと言うならば――」
 大気と大地の混ざった暴力を前に、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)がとった行動は暗黒のオーラによる結界だった。
「――悪夢の滴たる私は混沌の顕現。そしてあなたを殺し屠り滅ぼすものです」
 魅夜を中心に形成された黒いドーム。禍々しい悪意と呪いの塊が外敵を拒絶する。
(さあ、お前の破滅を見せてくれ)
 けれどそれも一時しのぎにしかならない。風は防げても、砲弾のごとく降り注ぐ瓦礫が次々と結界にヒビを入れ、とうとう轟音と共に突破して――。
 ――そして何もなくなった。

 全てが破壊された戦場。遮る物は何もなく、足場は男の直下を除いて崩れ去り。動く者のいなくなった地で鴻鈞道人は考える。
(手ごたえがない。生きているな)
 黒の結界は鴻鈞道人から魅夜の姿を隠していた。そして壊れた時には彼女の姿はどこにもなかった。ならば生存を前提として備えるべきだ。
 地下か。瓦礫の下で息を潜め、こちらの隙を伺っているに違いない。そこまで思考した男は臨戦態勢を取り警戒する。前後左右、どこから来ても良いように。
 ――その考察はほとんど当たっていた。そして、当たっていたからこそ。
 足元、自身の影から伸びてきた鎖に反応できず、雁字搦めにされたのだった。

「この影は今や虚無へと繋がっています。奈落より深い果てへと溺れなさい」
 男の影がどぷりと波打ち、海から上がるかのように女が姿を現した。魅夜だ。漆黒の翼に仮面を纏い、魔性の女が現世へと帰還した。
(馬鹿な。たった今お前が出てきたではないか。だがお前は滅びていない)
 魅夜が抜けた分を求めるがごとく、鎖が男を引きずり込む。鴻鈞道人も抵抗するがそれこそ時間稼ぎが精一杯。行きつく先は影の破滅。
 そう、破滅だ。今や男の影は全てを無に帰すと、その影に潜んでいた魅夜は言う。
「ええ、もちろん危うい賭けでした。この悪夢の力はよく知っています。……ですが」
 なぜ魅夜は、全て滅ぼす虚無の中で自身を保てたのか。それは、彼女が既に悪夢を踏み越えたからだ。
 絆の力で立ち直り、悪夢を己の物とした。だから滅びない。虚無の中でも未来を創り出すことができる。
「これが覚悟の違いというものです」
 命を懸けて未来を掴む、その覚悟がある限り。悪夢を引き裂き希望を繋ぐ、その意志がある限り。
 黒城・魅夜は砕けない。

 未定義。それは何者にもなれるということ、同時に今は何者でもないということ。
「つまらぬ過去を名乗るものよ。あなたはもはや過去ですらないのですよ、ふふ……」
 渾沌氏は何度でも復活する。だが、彼が未来を得ることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
攻撃の詳細が分からない、って?
現場で何とかしろってのも無茶振りもいい所だね。
いっそ歌でも歌ってみるかぁ?

それでもある程度絞れるなら、やる事をやるだけさ。
実体を伴ってても持ってない概念的なサムシングでも、
飛翔して包囲攻撃してくるなら逃げ続けるだけさ。
カブに『騎乗』して『操縦』しながら、
なるべく弾幕の薄い所を選んで『神罰』の力も少し含めた『衝撃波』
と電撃の『属性攻撃』で進路をこじ開け、走り続ける。

そうして走り回っていれば、反撃の準備も整うだろうさ。
放った電撃で周囲を静電で満たし、【超感覚領域】を創り上げれば。
未定義だろうが何だろうが、鴻鈞道人ごと敵意の数だけ撃ち落とせるだろ!



●エンパイアウォー
(define:上杉謙信)
 かつては12本だったそれらは今や数千本。上空を生き物のように旋回する『毘沙門刀』の群れを見上げながら、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は思わずため息をついた。
「これを現場で何とかしろって、無茶振りもいい所だね」
 それぞれが属性を帯びた神秘の刀。食らえばただ斬られるよりも厄介なことになるのは目に見えている。
 いっそ物語のように、歌で全てが解決したらどんなにいいだろう。そんな軽口を叩きつつも、彼女の両手は愛機のハンドルをしっかりと握りしめていた。
「ま、やることをやるだけさ」

 戦場を一台のカブが駆ける。渾沌の地など何するものぞ、こちらは宇宙の踏破者だ。
 とはいえ予断は許されない。少しでも速度を落とせば、操作を誤れば、あっという間に完全包囲されてしまうだろう。
 まだ多喜が無事なのは、ユーベルコードにも匹敵する彼女の技量あってのもの。そしてそれだけにとどまらず、有言実行、できる全てを行っているからだ。
 一部の刀が進路を塞ぐ。『炎』『水』『風』等々、様々な属性が多喜を待ち構える。
 ああ、けれど。
「属性ならこっちも負けてないんだよ!」
 『雷』だけは多喜の物だ。電撃こそ彼女の十八番。敵の刀も司ってはいるが、12分の1など役者不足も甚だしい。
 放電で刀を弾き進路をこじ開け、走り続けて幾ばくか。
 不意に急ブレーキ。トラブルではない、逃げる必要がなくなったのだ。
 エンジン音が消えた代わりに微かな音が耳に入る。パリパリというそれは、空間自体が発する反撃の予兆。
 定義は上書きされた。最早ここは渾沌の地にあらず。静電満ちるここは、そう――。
「アタシのテリトリーに入ったのがアンタの運の尽きさ!」
 電影が空を駆け、万雷が地を走り、渾沌とその根源を貫いた!

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●アースクライシス2019
(define:スカムキング)
 綺麗な物。可愛い物。それらを愛するネイル――仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の別人格――にとって、鴻鈞道人の行いは認めがたいものだった。
 無秩序に撒き散らされる汚染物質。周囲一帯を毒沼とする所業には優雅の欠片もありはしない。
「バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!」
 耳はなくとも聞こえているはずなのに、敵はピクリとも反応しない。糠に釘でも打っている気分だ。
 しかし実際どうしたものか。ネイルは接近戦より距離を取った方が得意だが、それも中距離、常識的な範囲の話。相手の射程距離は数百メートルはありそうだ。
 時間は敵である。戦場が完全に汚染されれば詰みだ、抗う術はなくなる。
「速攻で決めるしかなさそうね!」

 汚染物質は無秩序に撒き散らされ、だからこそ、まだ無事な場所が点在する。
 毒沼という海の中、島のようなそれらを軽やかなステップで伝っていくネイル。踏み外せば一巻の終わりだが、緊張感を表に出すようなことはしない。華麗さを保つことも、ネイルにとって命を懸けるに値するのだ。
(そこか)
 だがその時、無反応だったはずの鴻鈞道人が左目でネイルを捉えた。同時に毒の放射がにわかに秩序立つ、まさかこれまで全て罠だったというのか。
 安全地帯から飛び立った影を汚染物質のシャワーが穿った。押し流される黄砂色の外套――本体がいない。
「やっと隙を見せてくれたわね」
 彼女は飛び立っていなかった。罠を読んでいたのだ。
 神速の投擲。右手で三本、左手で三本。計六本のダガーが渾沌氏に迫る。

 神話に曰く。渾沌は目、鼻、耳、口の七孔なき怪物だという。そして七孔を開けられた途端に死んでしまったとも。
 一孔は既に開いている。残り六孔は今から開く。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はっはっは、正体不明系の巨悪、実にカッコ良い!
邪神たる妾と相対するに相応しい! 素晴らしきバトルを繰り広げようではないか!

ガードのために、邪神オーラを全身を覆うように纏おう
包囲攻撃となると、逆に一点集中にはならんということであろう?
更に尾や左腕で頭部や心臓をガード、急所さえ防御できれば問題ない!

右手を上げ、指を鳴らし、スピーカー! カモン!
はーっはっはっは! 妾もお主の流儀に乗ってやろう!
極まった大きさの音は衝撃波となる! 妾のイケてる高笑いによる、超爆音の衝撃波を浴びて消し飛ぶがよい!
それと防御は続けるが、幾つかのスピーカーは身を護るために自身の周辺を飛ばしておくぞ



●アルダワ魔王戦争
(define:ウームー・ダブルートゥ)
 白く細長い何かが空を舞う。未だ攻撃の正体は掴めないが、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は意に介さず高笑いをあげていた。
「はっはっは、正体不明系の巨悪、実にカッコ良い! 邪神たる妾と相対するに相応しい!」
 邪神。猟兵の中には本当に居ても不思議ではないが、少なくとも菘は違う。動画配信者としてのキャラ作りだ。鴻鈞道人との戦いは彼女の手で生配信されていた。
「素晴らしきバトルを繰り広げようではないか! さあ、来るがよい!」
 殺到する『何か』に対する菘の作戦はシンプルだ。急所さえ守れば即死はしない、これに尽きる。
 作戦自体におかしな所はない。しかし。
 べちゃり。ガードする尾に次々と貼り付いていく『何か』――それが粘ついた糸だと理解すると同時、菘を突如として不調が襲ったではないか。
 力が抜ける。視線が低くなる。自慢の尾が縮んでいく。
「ま……まさかこれは! この『糸』はッ!」
 それはかつて大魔王が放った呪い。触れた者を急速に若返らせるホープテイカー。
「『産み直しの繭』かァーッ!!」

 徐々に形成されゆく繭が閉じる。中では若返りも進行し続けているだろう。
「ええいやめい! カッコ良い妾が愛らしくなってしまうでないか!」
 割と洒落にならない事態なのだが、キャラは意地でも崩さない。配信者の鑑である。
「――仕方ない。スピーカー! カモン!」
 とそこで、空からスピーカーが降ってきて。
『はーっはっはっは!!!』
 そこから響く高笑いという名の超爆音。天地が震え繭が弾ける。孵化するように中から現れる邪神(幼女)。
「お主の流儀に乗ってやろう! 特別ステージ、刮目せよ!」
 災い転じて福となす、それが配信者鉄の掟。
 言い換えよう。――放送事故ではない、撮れ高だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​


●帝竜戦役
(define:帝竜ガイオウガ)
 驚天動地。かつて人はその自然災害をこう形容した。
 戦場の只中に突如として隆起、出現した活火山。轟音と共に噴煙が吹き上がり、空が暗雲に覆われる。そして。
「うーん、今日の天気は曇りのち炎……ってとこかな」
 見上げるティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)へと――正確には無作為に――無数の火山弾が降り注ぐ。当たれば当然、ただでは済まない。
「まあ当たらないけど」
 大規模であるがゆえに予兆は分かりやすい。猟兵の能力なら回避に専念すればさほどの脅威ではない。
 そう思っていたのだが。
『グルルルル!!』
「わっ!? 何だこいつ、燃えてる……獣?」
 死角から襲いかかってきた敵を咄嗟にかわせたのは第六感か、それとも負傷を恐れるが故か。ヤドリガミの、猟兵の耐久性が意識から抜け落ちているティモシーにとって、戦場はいつも危険で溢れている。
 ゆえに彼は常に戦場の観察を怠らず、結果として獣の素性を素早く看破した。
「これ、落ちた炎が変化したものだね。……二段構えかぁ」
 降り注ぐ火山弾は命中したものを燃やし、外れても『炎の獣』が生み出される。生きとし生けるもの全てを燃やし尽くさんとする大地の意志、それが此度の定義だった。
「どうすればいいか占ってみよう。……見えた、今日の運勢は曇りのち炎、のち雨!」
 おもむろに水晶玉を取り出し占いはじめたティモシー。極めて適当な手順だが、問題はない。
 なぜなら彼の占いは当たる。理屈も因果も飛び越えて。渾沌氏が現実を定義するならば、ティモシーは現実を捻じ曲げる。相性の問題だ。
 降るはずもなかった雨が降る。炎の獣が消火される。
「それともう一つ。――頭上注意だって、気を付けてね?」
 噴火は未だ続く。
アリス・ラーヴァ(サポート)
凡そステレオタイプなパニックホラーやSFホラーの蟲型クリーチャーに優しい少女の心を持たせた生物です
無邪気で心優しく、皆と幸せに共存できたら良いと思っています

方針は、人々と世界を守る事を第一とし次に本能としての食べる事と様々な世界で増える事

純真で他者の指示に素直に従いますが、敵対存在は有機物無機物問わず全て捕食対象の雑食系女子

硬い甲殻に守られ大抵の物を切り裂く爪と牙を持っている為生命体として極めて強靭ですが逆を言えばその程度
物理的な手段しか採れません

全ての行動は、数に物を言わせたごり押し戦法
知能は年齢相応の人間並みです
群体という特性上自分達の損害には無頓着、やられ役や引き立て役にどうぞ



●迷宮災厄戦
(define:オウガ・オリジン)
 口を持たない鴻鈞道人は思念で会話をするが、それは男だけの専売特許ではない。
(わ~きれい~)
 周囲を飛び交う鏡の破片を瞳に映し、声なき声に感嘆を乗せる少女。アリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)もまたテレパスの使い手である。
 ギチギチと顎を鳴らす蜘蛛型バイオモンスター。その姿を恐ろしく思う者もいるかもしれない。しかし二言三言言葉を交わせば、内に秘めた優しい心に気付けるだろう。
 人の似姿をしたヒトならざる者と、人ならざる姿をしたヒト。鴻鈞道人とは真逆の存在がアリスという猟兵なのだ。
 戦闘に戻ろう。
 鏡の破片は当然尖っており、アリスを害そうとつむじを巻きながら襲いかかる。だが、彼女の表皮は銃弾さえ跳ね返す。この程度ではかすり傷一つ付かない。
(ならば、出でよ『鏡の国の女王』)
(――!)
 そこで鴻鈞道人はさらに命じる。かつてオウガ・オリジンがそうしたように、鏡の中の存在を支配する。――一際大きな破片から女の腕がずるりと這い出る。禍々しい器具をその手にして。
 だが。
(――!?)
 女の腕は困惑したようにジタバタともがいた。なぜならば、『こちら側』へ出てきた途端に絡めとられたからだ。何に? ――アリスの巣に。
 アリスは蜘蛛型のバイオモンスターだと述べた。であるから当然、蜘蛛の巣を貼る位は普通にできる。飛び交っていた破片達は最早、巣に囚われた哀れな獲物に過ぎない。
(みんな~ごはんだよ~)
 そしてアリスは心優しい少女であるから、獲物を独り占めなんてことは決してしない。呼び寄せた妹達に分けてあげる、家族思いのお姉ちゃんだ。
 絵面がパニックホラーな件については見ない物とする。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアータ・ベルトット(サポート)
ベアータ・ベルトットよ

改造手術を受けて、体のあちこちを機械化してるわ
ウェポンは手足の捕食機能とか、体内に仕込んである刀爪や吸血破壊光線。それから、眼帯の下のとっておきの一撃…機脚の加速機能や光の翼を活かした機動的な戦い方が性に合ってるわね

厄介なのは…エネルギーの核になってる餓獣機関の動力が、生物の新鮮な血肉だって事。燃料切れしない為にも、捕食できる敵が相手だと助かるわ
食べられないなら仕方ない。腹いせも兼ねて、徹底的にぶっ潰してやるまでね

…こほんっ。そうね、血の気が多いのは生れつきよ
大抵何かしらに苛々してると思うけど、仕事はなるべく冷静にこなすように努めるわ

人手が要るならいつでも呼んでちょうだい



●羅針盤戦争
(define:ネルソン提督)
 ずらりと整列する天使の大軍。あらゆる方向から槍の穂先を向けられて、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は震えていた。もしや恐怖しているのだろうか。
「ふ、ふふっ……!」
 いや違う、歓喜だ。彼女は笑いをこらえている。ぽつりぽつりと零すベアータ。
「正直ね、悩んでたのよ。食べられないんだろうなって」
 彼女の四肢は機械仕掛け、けれど同時に飢えた獣。全力駆動には新鮮な血肉を補給し続ける必要がある。
 だが鴻鈞道人は渾沌氏だ。見た目こそ男のそれだが、中身がまともでないことは容易に想像がつく。生物ですらないだろう。
 だというのに天使を召喚するとは、よりによってベアータと戦う時に! 未定義のままであれば、せめて武器だけであれば、まだ勝負は分からなかっただろうに。
「こんなの……こんなの……食べ放題じゃないの!」

 餓獣機関が唸りをあげる。放たれた光線は血に飢えた獣の牙だ。一体、二体、三体、纏めて貫かれた天使達が爆発に飲み込まれる。
 飛び散った血は光線の主の元へ。鮮血を浴びれば浴びるほど餓獣はより獰猛となる。
 投擲された槍を躱し、高く跳躍して天使を爪で切り裂く。四肢の機能で直に喰らうのはいつも気持ちがいい。機構もより活性化して、ほら、今度は飛べるようになった。
 ――ああ、いけない。思いがけない獲物につい昂ぶってしまった。軽く咳払いし思考をヒト側へと傾ける。
 これは仕事だ。ヒトは生きるためには仕事をするのだ。血の気を抑え、冷静にこなさなくては。
「さあ、いつまで見ているつもり? アンタも私と踊ってみなさいな」
 鴻鈞道人を右手で手招き。まあ、その手は血に塗れた鉤爪だけれども。
 手を取れるものなら取ってみろ――。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴィアン・フォンテーヌ
アドリブ歓迎

渾沌氏『鴻鈞道人』、骸の海そのもの……ですか
それが本当ならば、今まで敵とは桁違いの相手ですね

先制攻撃には何が来るか分からないですが、ともかく私が作り出してきた無数の失敗作の聖剣達の『無銘の聖剣』を盾にします
失敗作とはいえ無数の聖剣を盾にすれば、きっと耐えられるはずですっ
耐えきれれば反撃です
骸の海を称するアナタには『聖剣クロノカリバー』でどうです!
これは質量を持つ物質である「時間」を集め鍛えた聖剣にして魔剣。剣の形をした時の集積体。いわばもう一つの骸の海
汝は時間という物質を鍛えたるモノ、もう一つの時の集積体。汝の一端を此処に示せ!【疑似真名解放・時の聖魔剣】クロス、カリバァァァァ!!



●大祓百鬼夜行
(define:大祓骸魂)
 飛来する無数の刃を、同じく無数の剣が迎え撃つ。相討ちとなり散っていく聖剣達を、創り出したリヴィアン・フォンテーヌ(湖の乙女・f28102)は静かに見送った。
 無銘とはいえ、失敗作とはいえ、剣としての本懐を果たせず砕ける彼らに対する感傷はある。
 けれど仕方がない、真っ当な手段で防ぎきることはできないのだ。敵は神代の盾さえも殺しうる懐刀――『生と死を繋ぐもの』なのだから。
「あの刀をこうも容易く再現、複製しますか。骸の海そのもの……今までとは桁違いの相手ですね」
 剣を創り授ける者として分かる敵の強大さ。けれど臆するわけにはいかない。この戦いには世界の命運がかかっている。まだ見ぬ担い手と出会うため、過去は踏み越えねばならないのだ。

 剣よ、剣よ。清らかにして邪たる一振りよ。
「汝は時間という物質を鍛えたるモノ、もう一つの時の集積体」
 担い手は此処に居らず、されど振るわれるべき機会あり。
 創造者特権にて命ず。今一度、仮初の目覚めにて――。
「汝の一端を此処に示せ! クロス、カリバァァァァ!!」

 『疑似真名解放・時の聖魔剣』。リヴィアンが振り抜いた剣から衝撃波が迸る。その正体は解放された時間質量だ、一直線に鴻鈞道人へと飛んでゆき――激突する。
(質量で私に対抗するか、愚かな。骸の海は無限量だ)
「違う! 今ここに居るアナタはその一部にすぎません!」
 オブリビオンとは受肉した過去だ。過去とは世界に流入した時間質量だ。オブリビオンではない渾沌氏といえど、その原則に違いはない。
 そして、たった今リヴィアンが解放した時間質量は、自然法則に従い世界の外へと排出される。すぐそばの、もう一つの時間質量を道連れにして。
 流入量を流出量が上回る。

 過去を排出し、世界は先へと進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミュー・ティフィア(サポート)
困ってそうですね。少しお手伝いしましょうか?

口調 (私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、でしょうか?)

基本的に誰に対しても友好的です。

時々うん、と相槌をしたり、敬語はやや崩れちゃったりします。

好きなものは紅茶です。
余裕があったら飲みたいです。

なるべくなら助けられる人は助けます。
復興のお手伝いとかは積極的に頑張っちゃいます!
現地の人達との交流やケアもしていきたいです。

もちろんオブリビオンや悪人には容赦なしです!
相手次第では手加減するかもしれないですけど。

ユーベルコードやアイテムは何でも使います。

いかなる場合でも公序良俗に反する事には関わりません。

不明点や細かい部分はお任せします。



●アポカリプス・ランページ
(define:マザー・コンピュータ)
 とある世界の研究者――マザー曰く、時間とは質量を持つ物質である。
 であるがゆえに、オブリビオンは自身を構成する時間質量を放出することで身軽となる。攻撃と防御を兼ね備えた技だ。
 骸の海そのものを自称する渾沌氏ともなれば、その威力は計り知れない。
「覚悟は出来てます。でも、世界を救うためですから」
 その奔流に身を投げ出したのはミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)という少女。彼女は大きく息を吸うと、目を閉じて歌い出した。
「Lalalaー……」

 力の奔流に真正面から耐えつつも歌い続けるミューは神々しく、歌姫と呼ばれるに相応しい姿だった。だがそれが分からない者もいる。
(防御のみで何が変えられる。歌い終わった時がお前の絶望である)
 時間質量の解放は自傷技ではあるが、身軽になるという副作用は残る。限界まで身を削り神速となった鴻鈞道人は誰にも止められなくなるだろう。
 耐えられないはずの攻撃に耐えるミューは素晴らしいが、その先に未来はないように思われた。――だが。
(――何だ、身体が崩れる!?)
 鴻鈞道人の体が、渾沌の諸相が散り始めたではないか。自傷技の使い過ぎ――男が初歩的なミスをしたことは明らかだった。
(私が限界を見誤ったというのか。何故――!)

 ユーベルコードは因果を超える。だがそれは因果が軽んじられることを意味しない。
 過去は未来の礎だ。時は絶えず運び、つまりは繋がり続けている。
 だからこれは必然でもあった。直前の戦いで減った流入量は回復していなかった。
 誰かが言った。歌で全てが解決すれば、と。

 奇跡はここに成る。

「Lalalaー……Laー……Laー……」
 歌姫が歌い終えたその時、渾沌は消滅寸前だった――。

●殲神封神大戦
(ここまでか)
(しかし私は骸の海)
(押し寄せる波を幾度防ごうと、海は変わらず在り続ける)
(いずれ再びまみえよう)
 その思念を最後に男の姿は掻き消えた。

 猟兵は渾沌氏に勝利した。少なくとも、今は。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月29日


挿絵イラスト