2
殲神封神大戦⑰〜出でよ水銀の亡者

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』 #始皇帝

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑰
🔒
#渾沌氏『鴻鈞道人』
🔒
#始皇帝


0




●増殖する水銀
 痩せこけた頬を覚えている者はいるか。
 宙舞う汞の色を覚えている者はいるか。
 其は潰えることなく、巡り、巡る。
 輪廻は未だ断たれていないのだ――。

●混沌の地にて
「恐ろしい敵が現れてしまいましたね……最早これが最終決戦でもいい気がしますけど、これすら一柱に過ぎないとなると……いえ、先のことは考えず、今すべきことに集中しましょう!」
 猟兵達が相対するは骸の海を名乗る者。ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)とて驚愕していないわけではないが、案内役を務めるにあたり、努めて平静を保とうとしている。
「というわけで、渾沌氏『鴻鈞道人』との戦いになるのですが、その能力『再孵化』は、これまでに倒したはずのオブリビオンや、まだ戦場に残っているオブリビオンさえも作り出してしまうという凶悪なものでした! これにより今、『始皇帝』と戦った『阿房宮』が再現されようとしています! 鴻鈞道人自体は混沌の地と融合して阿房宮となっているため直接攻撃はできませんが、再孵化した始皇帝を使って攻撃を仕掛けてくるため、これを倒さなければなりません! 阿房宮については戦われた皆さんならわかると思いますが、猛毒の水銀蒸気に満たされている宮殿になります! その猛毒は吸い込めば私達猟兵といえど無事ではすまないもの……なので出来得る限りの対策を取って、再孵化で生み出された始皇帝を討ち取りましょう! そして今回、始皇帝は知性を失くしているため、以前のように『愚かさを利用する』ことができなくなっています! なので純粋に力の勝負で倒していくしかないというわけですね!」
 そして、鴻鈞道人は現状、滅ぼす手段が判明していない。始皇帝やその他のオブリビオンを何度も何度も倒し続けて、ようやく「撤退」させることしかできないのだ。
 それでも戦わなければならないことは、ロザリアを始め、この場に集まった猟兵達誰しもが感じていること。
「であれば、やってやるまでです! 鴻鈞道人を退け、張角を打ち倒し、封神武侠界に平和を齎しましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 いやあ凄いことになってきましたね。というわけでこちらは始皇帝をお届けしていきます。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『『始皇帝』』
 水銀蒸気に対抗するのは以前の戦場の始皇帝と同じですね。
 知性は失われていて猟兵の皆さんを見つけると猛然と襲い掛かってきますので、愚かさを利用することはできなくなっています。
 なので倒しましょう。ここに尽きますよほんと。
112




第1章 ボス戦 『『始皇帝』』

POW   :    変幻自在水銀剣
【自在に変形する水銀の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    辰砂兵馬俑親衛隊
自身の【操る水銀】を代償に、1〜12体の【自在に変形する液体金属の兵馬俑】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    万里水銀陣
戦場全体に【水銀の大渦】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【覇者の気を帯びた水銀】による攻撃力と防御力の強化を与える。

イラスト:さとをみどり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラウラ・クラリモンド
「相手は再孵化した『始皇帝』ですか。」「今回初めて戦いますけど、全力でいきましょう。」
水銀蒸気に関しては、【オーラ防御】に【毒耐性】を組み合わせて可能な限る対策します。
【SPD】で攻撃します。
攻撃は、【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【貫通攻撃】と【鎧無視攻撃】の【飢鴉】を【範囲攻撃】にして、『『始皇帝』』と召喚された者達を纏めてを【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「私の役目は、少しでもダメージを与える事。そして、次の方に繋げることです。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●阿房宮水銀共
 戦う日々も三週間が過ぎ、かつてない強大な敵が現れたことを猟兵達は知る。
 骸の海――全ての過去が襲い来る。
(始皇帝……相見えるのは初めてですけど、全力でいきましょう)
 水銀蒸気の中を駆けていくのはラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)だ。オーラを張り、自らの毒耐性を高めて、初にして最強格の始皇帝に挑む。水銀蒸気の対策は可能な限りと臨んだラウラだが、活動限界がそう長くないことを瞬時に悟り、始皇帝の待つ最奥へと全速力で向かっていた。
「…………!」
 果たして始皇帝は阿房宮に存在した。横柄な態度は微塵も見せず――しかしそれは人の知性を失っていることを意味している。撒き散らした水銀を消費して召喚した液体金属の兵馬俑は6体、その後に始皇帝自身も続いて猛然と突っ込んでくる。
「偽りの快楽を得て、永劫の紅き闇に落ちよ」
 詠唱、後に巨大化した血染めの鎌を手にラウラは衝突を図る――が、それはフェイク。兵馬俑達が剣を振りかざした先でラウラは細かくステップして右に身を翻すと、残像を斬った兵馬俑達を始皇帝諸共薙ぎ払った。
 一振りが全てを刈るかに見えたが、増殖する水銀たる始皇帝は分裂した上半身と下半身を融合させて復活する。兵馬俑達は斬られた1体を代償に残りが再生し、再びラウラへと襲い掛かった。袈裟斬りの一閃、これはオーラに阻まれ弾かれる。すると別の兵馬俑が突きを繰り出しオーラを貫きにかかった。
 破られれば兵馬俑の攻撃よりも水銀蒸気をまともに吸い込んで終わりだ。兵馬俑達の攻撃は回避の一手に切り替えてラウラは再び残像を生み出す高速移動で回り込み、反撃の鎌を振り下ろす。
 断つ。しかし水銀共は復活してくる。時間がない。ラウラは断って断って断って断って、兵馬俑が全滅したところでタイムリミット。
 始皇帝を残し引き返す。追い縋ろうとしていた始皇帝だったがラウラの猛攻が効いていたのか、出会った時ほどの執念は見せていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜刀神・鏡介
復活しては倒され、王翦が復活を企み、そして鴻鈞道人によって蘇るとは……始皇帝も中々面倒な状態になってるな
尤も、どうあっても倒すだけ……一度戦った相手だ。油断はしないが、勝機は十分にあるだろう

黎の型【纏耀】を発動、真の姿に変化して戦闘力を強化しつつ、浄化と破魔の力で水銀の毒を無効化
敵の体捌きなどから水銀剣の動きを見極めて、神刀で受け流し、切り払う
斬撃と共に浄化の力で水銀を祓う事で、剣の力を弱めつつ、隙を作って始皇帝に斬撃を食らわせていこう

……無駄だと分かってるが、阿房宮そのものにも一撃、攻撃を叩き込んでいくか
鴻鈞道人……奴が何を考えているのか、そして何者なのか。謎は深まるばかりだな



●滅ぼす術無くも、気持ちは強く
 始皇帝の遍歴は複雑怪奇。オブリビオンとして復活したかと思えば張角の手駒となって猟兵達と戦い、敗れはしたが王翦大将軍が復活を企て、そして実際には鴻鈞道人なる謎の存在が復活させた。始皇帝の尊厳などあったものではない。
(……尤も、今はどうあっても倒すだけ……一度戦った相手だ。油断はしない。勝機だって十分にあるだろう)
 阿房宮最奥に立つ夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、ユーベルコード「黎の型【纏耀】」を発動し、神気を纏って真なる姿への変身を遂げていた。黒髪黒眼は様変わりして、左腕は人のそれではない。これに浄化と破魔の力を加えて水銀蒸気の猛毒を無効化し、始皇帝と斬り合おうというわけだ。
 始皇帝の元へ辿り着くまでに身体への影響は無し。無効化はしっかり働いている。
「…………」
 今し方、一つの斬り合いを終えたであろう始皇帝の双眸は窪んで虚ろだ。水銀の影響と思われたかつてと然して変わらないようにも見えたが、無感情であればあるほど刃は獰猛に研ぎ澄まされる。
 波寄せる水銀の中より取り出した自在の水銀剣。鏡介目掛けて猛進する姿は皇帝の面影なく四足の獣にも似る。背を曲げ低姿勢での斬り上げに鏡介は肩の動きで反応し、退きながら神刀【無仭】を払って受け流すと刃を翻して斬り返す。
 獰猛は無防備の裏返しか、鏡介の斬撃は鮮やかに始皇帝の脇から懐を斬り裂く。だが血の一滴も滴ることがなければ、断面は磨き上げたような光沢を放ち、ずぶずぶと端から塞がり始めていく。
「こいつは、底無しかっ!?」
 腹に傷を負った状態にもかかわらず、始皇帝は身を捩りながら鏡介を追って斬らんとする。右からの薙ぎ払いに鏡介は神刀を垂直に構えて受け、刃の軌道を下に逸らしながら今度は水銀剣を手にする左腕、肩口をばさり。落としてやったように見えたのも束の間、断たれた左腕は引き合う磁石の如く断面が密着し接合した。
 増殖する水銀の恐怖。しかし接合部の完全修復の速度は腹の傷より遅く、ダメージは蓄積されているようである。
「とにかく……斬り続けるしかないってわけか」
 始皇帝の左腕の反応が鈍っている間に二閃、交差斬撃で追撃して水銀諸共胴を斬って祓い、刀傷の交差点に切っ先を突き込んだ。抵抗はあるところからふっと緩まり貫いたが、始皇帝が右腕で鏡介の頭を掴もうとしたため退きながら神刀を抜き、最後に始皇帝の追い討ちの斬撃を打ち返す。弱った水銀は弾け散って始皇帝の周囲に溜まりを作った。
(……無駄とはわかってるが……)
 烈風の如き連続攻撃で始皇帝が怯んでいる隙に、鏡介は阿房宮の床へ神刀を突き下ろした。切っ先の接触と同時、与えた力はそのまま手元に跳ね返ってきて、床は髪の毛一本ほどの傷もつかない。
 鴻鈞道人、その者は何を考え、何を為そうとしているのか。誰も分からぬまま、戦いだけが過ぎていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧崎・紫苑
この水銀蒸気の中では、サイボーグの俺でも行動できる時間は限られるな
ならば、1分半での短期決戦だ
『対BCM兵器用防護服』の【毒耐性】で水銀蒸気に耐えつつ、始皇帝を発見と同時にUCを発動

これで戦場内のオブリビオンが持つ超常の力は、UCを含めて全て無力化される
始皇帝は水銀の大渦を起こせないどころか、もはや人の姿さえ維持できず、水銀の塊に成り果てるだろう

そのまま『武装医療鞄』から炸裂弾を発射して、木っ端微塵にしてやろう
「毒を以て毒を制するのが俺のやり方だ。知性のない鉱物如きが、秦代の皇帝を真似ようなどおこがましい

UC発動から1分30秒経過で撤退だ
生憎、こんな場所で死ぬつもりはないのでな



●ブラスト&アウェイ
 阿房宮の水銀蒸気は異次元の猛毒であった。種族の別なく、あらゆる存在に猛毒を齎す。故に、霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)はサイボーグであったが、対BCM兵器用防護服を身に付けることで水銀蒸気の猛毒に抗っていた。
(これでもそう長くは持たんな……往復がギリギリってところか。ならば戦闘時間は――)
 と、紫苑が駆け抜けつつ時間の目途をつけているところに、蠢く始皇帝が見えてくる。
 再現された阿房宮に居座る始皇帝は、その本性が「増殖する水銀」であることを晒していた。傷口より染み出すも水銀、その身に纏うも水銀。虚ろな瞳もこけた頬も、結局何もかもが水銀でしかない。
 紫苑は始皇帝と相対するや、起動。秒も惜しい今この時、知性無き相手にはくれてやる言葉も感情もありやしない。
「エネルギー反転……一分半だ。制限時間内にケリをつける!」
 始皇帝の周囲には床を這う水銀による激流が発生し、荒れ狂う大渦に変わろうとしていた。それを紫苑は反転、自身の動力炉であるヤルダバオート・コアから「アンチ・オブリビオンストーム」を放出する。オブリビオンの超常の力を無効化する嵐は、今の紫苑なら百秒未満に抑えなければならない。
 一分半とは紫苑が最大限譲歩できる時間だった。そして以降は猛毒があるために完全撤退を余儀なくされる。遺憾なく吹き飛ばすためには、何もかもを最速でこなしていかなければならない。
 水銀の大渦が逆流していく。始皇帝がわなわなと震えて天を仰ぐ。水銀が完全に始皇帝へと吸い込まれてしまうと、その身は皇帝どころか人の形を失ってメタリックな水泡状球体に変わり果ててしまう。
 そこへ紫苑が向けたのは武装医療鞄。緊急用の医療具一式を格納しているが、金属球に必要なのは治療ではなく制裁だ。
「毒を以て毒を制するのが俺のやり方だ。知性のない鉱物如きが、秦代の皇帝を真似ようなどおこがましい」
 開いた砲口から発射された炸裂弾が一発、二発、三発と空間を一直線に抜けて金属球へと着弾、爆破し飛散させた。赤黒く燃え上がった水銀が破片のように周囲へ飛び散り、黒煙の中からどろどろと黒ずんだ流体が落ちてくる。
 人に例えれば体力と呼ばれるものが相当削られたであろう。あともう一、二発――と、ここで、
「……時間切れか。生憎、こんな場所で共倒れする気はないのでな」
 紫苑は後の者に託し、戦場から撤退する。同時に水銀はもぞもぞと動き始めてまた始皇帝の姿を作っていくが、肌の色は金属から戻らず不安定極まりない存在となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久留米・圓太郎
■WIZ
魔法使い、てのは世が世なら薬を使いこなす職種だった、と師匠に教わったな。
水銀をこれだけ盛大につかってタダで済むわけはないし、オレはキマイラだけに体質が人間とも違うはずだから、どうオレの身体に悪さするかわかったもんじゃない。

ならば、やることは一緒だ!

[毒耐性、オーラ防御]は必須だな。

この水銀にフタをしてやる!(UC発動)
凍結した地面も同然にして奴の渦もかなり減殺させる。

[地形の利用]で始皇帝の攻撃をさけ、オレが攻撃を出す際に有利な場所を取ってから、[高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、2回攻撃、援護射撃]で一気に決めてしまおう!

とっとと「歴史書」に帰りやがれ!

※連携・アドリブ共歓迎


キーヴィット・フィールヘクセ
今までに打倒したオブリビオンを呼び戻すのか。多少劣化はしているようだけれど……。


身体に彫り込んだ「術式陣」による冷気の術(【属性攻撃】)で水銀蒸気を液体の状態に戻し、術による防御膜(【オーラ防御】)で水銀が身体に付着しないよう防御。


始皇帝のUCに対してはこちらもUCを発動し、時間が逆行する空間によって召喚された液体金属の兵馬俑を元の金属へと戻そうとする作用を生み出し、機能不全を狙う。
始皇帝がそのままUCの制御に躍起になってくれれば儲けもの。切り替えて水銀そのままで攻撃してくるにしても、一瞬の隙は出来るだろう。
水銀の守りが薄くなったタイミングを狙って、「アセイミーブルーム」を呼んで突撃させる。



●始皇帝の陰に魔法使いはいたか?
 一説には、始皇帝は水銀を不老不死の薬として服用していた、とも。結果はご覧の有様で、今や面影も怪しい。
 そして薬とは多量に摂取すれば毒となる。水銀尽くしの阿房宮は当然ながら猛毒地帯で、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)とキーヴィット・フィールヘクセ(修行中の身・f36065)はそれぞれ毒への抵抗、オーラの防御膜、水銀蒸気の液体化といった防毒態勢をとりながら始皇帝の元まで辿り着いていた。
 対策は概ね効果を発揮しているようで、二人ともここまで体調に異常はない。とは言え長居は無用なのは言わずもがなであり、始皇帝も蓄積したダメージでほとんど水銀が人形を保っているだけの状態のため、撃破するなら迅速一気。二人の連携にかかっていた。
 始皇帝の周囲の水銀が渦を作り始める。始皇帝が右腕を覚束なくも二人へと差し向けると、水銀の渦は急成長して二人の元まで――。
「させるかよっ! この水銀にフタをしてやる!」
 圓太郎が右腕を高々掲げると、氷雪が吹き荒れ床一面が凍り付いていき、二人の正面で水銀の渦と凍結が激突。両者の覇権を争う戦いが繰り広げられる。勢力は拮抗、始皇帝もまだ戦うだけの力を残している。
「…………」
 水銀の瞳に行く末を見て、始皇帝は自らを成す水銀の一部を捨て去った。それによりさらに現れるのは液体金属の兵馬俑。一体、また一体と増えていき、氷雪の中に特攻を仕掛けていく。
「まずいぜ! 増援が!」
「わかっている。僕に任せてくれ。術式展開――其は逆しまに流る時の巡り」
 キーヴィットが仕掛ける「遡行術式・還(オムヒュケールト)」が戦場の時を支配する。氷雪はそのまま拡大する威力を維持しながら、始皇帝の放つ水銀には時間逆行の効果を与えた。兵馬俑は後退し水銀へ戻り――始皇帝が代償とした体の水銀も戻ってしまうが、効果は水銀の大渦にも働いてその勢力を弱めていく。
 広がる環境は凍結した地面と同じもの。圓太郎の舞台だ。始皇帝は不安定な足場の上に自らも不安定な状態で水銀剣を薙ぎ払ってくる。自在剣――しかし自在の度合いが違う。圓太郎は氷の道を軽々抜けて、キーヴィットが恩恵に預かり後に続く。
 無理な動きでぐしゃり、と始皇帝が片足を崩した。今しかない、とは二人とも感じていたこと。
「アセイミーブルーム! 突撃だ!」
「とっとと『歴史書』に帰りやがれ!」
 キーヴィットの声に阿房宮外から一瞬にして水銀蒸気の中を跳び抜けてきたアセイミーブルームが始皇帝へと突っ込んでいく。その横から圓太郎が両手を広げ、二条のどでかい魔法光線を撃ち放った。
 光の中で人形を貫く影があり、やがて雪解けのように消えてなくなる。光が消えるとただアセイミーブルームだけがキーヴィットの手元に舞い戻ってきた。
(多少劣化はしているようだけれど……これが鴻鈞道人との戦いなんだな……)

 強敵を下したが、今はまだ先が見通せず、猟兵達は戦い続けるしかないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月23日


挿絵イラスト