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殲神封神大戦⑯〜料理は愛、中華は火力!

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 そこにあるのは消えぬ炎、固まらぬ泥。
 まさに地獄、そう形容するのが相応しいものに満たされた場所。
 そこは訪れたものを閉じ込め、ただ一つの要件を満たさぬ限り決して解放することはない。
 ここより抜け出す、そのために満たさねばならぬその条件とは……


「みなさん、中華料理食べに行きましょう!」
 グリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が勢いよく叫ぶ。まあこんなことを叫んでいるので、当然というか何と言うか、ボディは花園・桃姫である。
「三皇女媧の塒、そこは「消えることのない炎」と「固まることのない泥」で満たされており、訪れたものをそれによって閉じ込めてしまうそうです。中国における最高神の一柱とも言える神の祠なだけあり、力ずくで突破するのはどんな力があっても不可能だそうです」
 オブリビオン・フォーミュラ張角に直接つながる戦場であり、ここは何としても押さえなければならない場所だ。だがそれと中華料理とどういう関係があるのか。
「ここに閉じ込められたとき脱出する方法はただ一つ。閉じ込められると同時に現れる天地開闢の炎のような、凄まじい火力を持つ「炎のかまど」を持って美味しい料理を作り、食べること。これ以外にここを脱出する方法はありません!」
 猟兵でも突破できない炎使ってやることがそれかい。一気に場の空気が砕けるが、桃姫のヒートアップは止まらない。
「封神殲神大戦終了まであと10日を切りました。最早一日の猶予もありません! このような場所、一刻も早く突破しなければ!」
 言ってることはまともなんだが何故だろう、全くもって真面目に聞く気になれない。
「竈の炎はまさに原初の炎。ヒーローズアースで神が管理するそれと同等といって過言ではありません。これを用いれば彼の不死の怪物すら美味しい料理の食材でしかないかも!」
 最近別ボディがヒーローズアースに通い詰めていた故の発想かもしれないが、神とアカリに怒られそうな発言である。
「さらに食材は泥の中から何でもいくらでも湧いてきます。もちろんこだわりの食材があるなら自分で持ち込みも可! どんな料理でも作ることができるでしょう。ただ一つ!」
 桃姫の目がぎらりと光る。
「ここを突破する条件は美味しい料理を『作って食べる』こと! いいですか。作るだけじゃダメなんです。食べるまでがワンセット! 作ったものを食べきって初めて脱出が許されます!」
 うん、まあ、料理は食べるためのものだよね。注意点としては間違ってないよね。
「ただ自分のための料理だとどうしても身が入らない方もいるかと思います。あるいは一人前のみ作るのが難しい料理もあるかと。そういうときは!」
 ずいっと前に出る桃姫。
「私が! この私が! 皆さんのために女媧の塒までご一緒します! ええ、この場初を突破するため、封神武侠界全てのため! この身をどうにでもお使いください!」
 ん? 今どうにでもって言ったよね? などと返す余裕も与えぬ程の迫真の圧迫。迫る勢いでいろんな肉がふるふる揺れてるが、こいつ10日前に肉依頼でキレ散らかしてたのもう忘れたのか。
「さあ、行きましょう! 世界のため、勝利のため! 美味しい料理を作りに!」
 多分完全に自分の意思のみでここまで喋っていただろう桃姫は、力強くグリモアを起動し猟兵をその中へ投げ込むのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。今回のコミカル担当は女媧姉貴?
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……かまどでおいしい料理を作って食べる』

 消えない炎たぎる竈で美味しい料理を作って食べることで、この戦場を突破できます。
 食材は周囲の泥の中からいくらでも出てきますが、持ち込みも可です。こだわりの食材がある方はどうぞ。
 注意点としましては、オープニングで言った通り食べるまでが依頼の内なことと、『竈の炎を必ず使う必要がある』ということです。
 そのため料理の種類が若干限定され、大火力を使う中華料理が最も向いています。もちろん竈さえ使えば他の料理でも可。使い方も焼く煮る蒸す炙る炒めるその他自由自在。

 食べるのは自分でも同行者と一緒にでもどうぞ。美味しければ美味しいほどステージ突破力が高まります。楽しく食べるのも美味しさのうち。

 お声掛けいただければ食べ役としてミルケンがご同行します。ボディもご指名可ですが桃姫がめっちゃ行く気満々です。オープニングでは何でもするって言ってますが食べる以外何もしません。食べさせる相手がいない場合にどうぞ。

 全体的にゆるく行きたいと思います。最終決戦前の腹ごしらえにどうぞ。

 それでは、大火力なプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『炎のかまどで食い尽くせ!』

POW   :    豪快な料理を作る

SPD   :    手早く料理を作る

WIZ   :    じっくり料理を作る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
面白いエリアですねぇ。
楽しんで参りましょう。

桃姫さんをお誘いしますねぇ。
完成までの間、瑶暖さんに色々お話して頂けると有難いですぅ。

皆さん食べる量が凄いので、大量に作れる品が良いですねぇ。
【豊饒佳饌】を発動し[料理]と[グルメ知識]を強化、大量の『炒飯』と様々な味付けの『中華風焼肉』を御用意、焼きながら頂くことにしましょう。
その他、ご希望の品があればお作り致しますぅ。

準備が出来たら、お食事ですねぇ。
同様に強化した[大食い]に、てこのさんの【徹食界】も有りますので、幾らでも食べられますぅ。
遠慮せず頂ける環境ですから、有難く全力で食べることにしますねぇ。


豊雛院・叶葉
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
興味深い場所に御座いますね。
色々と参考になるやもしれませぬ。

中華料理とのことです故、主となる料理は夢ヶ枝様にお願いしましょう。
【醒倆】を発動し『首輪型祭器』を着用、[料理]を強化し、補佐に入らせていただきます。
相当な量が必要と思われます故、補佐とは言え大変に御座いますね。

無事に準備が出来ましたら、頂きましょう。
【醒倆】で[大食い]も可能となっております上、甘露島様の【徹食界】も御座いますから、私でも相当な量が食べられますね。
途中、お料理が不足する様であれば、追加を御用意致します。

皆、様々な意味で『豊饒の加護』が得られることになりそうに御座いますね。


鞠丘・麻陽
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
嬉しい場所なんだよ。
思いっきり食べるんだよ。

ますは準備だけど、お料理自体はるこるさんにお願いした方が美味しいから、私と月麻ちゃんで『材料』や『飲物』なんかを集めてくるんだよ。
メインは『中華風焼肉』らしいから、他に『手を加えなくても一緒に焼けば良い品』や『果物』も準備しておくといいかな、だよ?
リクエストもOKらしいから、『揚げ物系』も幾つかお願い出来ると有難いんだよ。

後はお食事なんだよ。
【豊饒発現】を使って[大食い]を強化、てこのさんの【徹食界】も併せて全力で食べるんだよ。

無事に突破出来る状態になった後も、出来るだけお土産に持って帰れないかな、だよ?


鞠丘・月麻
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
素敵な場所が有りますね。
とても楽しみです。

私は麻陽ちゃんと一緒に『材料や飲物の確保』に回りますね。
幾らでも出て来るとは言っても、『料理し易い場所』に集めておいた方がやり易い筈です。
『調味料』等も必要ですね。
リクエストもOKとのことですから、『麻婆』や『餃子』、『焼売』みたいな『定番中華』も食べたいです。

後はお食事ですね。
【豊饒発現】を使用して[大食い]を強化、てこのさんの【徹食界】も併せれば、本当に幾らでも食べられる気がします。

テイクアウトも出来たら有難いです。
いらしていないボディのお二方用に、『中華弁当』等をお土産に出来れば良いかもしれませんね。


艶守・娃羽
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
凄い場所ですわね。
色々と応用が出来そうですし、原理が気になりますわ。

私もるこるさんの補助に入りましょう。
【継巧】を発動して『神霊』を降ろし、[料理]を含むスキルを強化しますわね。
『時間の掛かりそうな品』があれば、其方の担当を引き継ぐ形が良いですかしら?
人数とそれぞれの食べる量を考えますと、相当途轍もない量が必要になりますものね。

お食事になりましたら、同様に【継巧】で強化した[大食い]に、てこのさんの【徹食界】を併せて頂きますわ。
私でも相当な量を食べられるようになりますから、有難いですわね。
途中でお料理が不足しそうなら、追加を御用意しに参りますわね。


甘露島・てこの
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
凄くいい場所だねぇ。
張り切っていこうかぁ。

支度だけど、『中華風焼肉』がメインらしいから、『竈』の上に『網』を乗せて使えそうな良い場所を探してみるねぇ。
場所が決まったら、食器や椅子の準備をしておくよぉ。

あ、『甘味』をお願い出来る?
『杏仁豆腐』とか『胡麻団子』とか、中華には美味しい『甘味』が沢山有るんだよぉ。

お食事になったら【徹食界】を発動するねぇ。
全員の『食事量』『[大食い]Lv』『食欲』が合体した上で『人数倍』になるから、皆凄い量が食べられるようになるし、食欲も幾らでも湧いてくるんだよぉ。
カロリーとか大変かもしれないけど、桃姫さんも参加するかなぁ?


絢潟・瑶暖
■方針
・同行:【豊饒の使徒】
・アド/絡◎

■行動
こんな場所も有るんですの?
本当に、色々な世界が有りますの。

桃姫さん、初めましてですの。
猟兵になってから日が浅いですから、体型的に『使徒』に近くて話し易い桃姫さんに、過去のお話や、ご希望のお料理が有ればリクエストを尋ねておいて欲しいと言われましたの。
自己紹介した上で、てこのさんの『場所の準備』をお手伝いしつつお話してみますの。

お料理が出来ましたら、【豊饒憑霊】を発動し[大食い]を強化、てこのさんの【徹食界】の支援も受けて頂きますの。
元々量を食べる方という自覚は有りましたが、明らかにそれ以上の量とペースで食べられますの。
限界目指して、頑張ってみますの。



 三皇女媧の塒。消えることない炎と固まることのない泥に埋め尽くされたその場所は、中華における人類創造の神たる彼女の所業を彷彿とさせる場所。
 だが、今その泥と炎は一度足を踏み入れたものを逃がさぬ巌の檻として猟兵たちの前に立ちふさがっていた。
 そしてその塒の中。そこは今まさに圧巻の肉の宴と化していた。
「面白いエリアですねぇ。楽しんで参りましょう」
 その肉の中の一人、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は泥と炎に埋め尽くされた周囲を見て、全く怖じる様子もなくそう呟いた。
 彼女だけではない。他の肉……もとい圧倒的肉体を持つ女性たちも、誰一人として緊張や恐怖に支配された様子はなかった。
 それもそのはず。彼女たちがこの場所に集った目的とは。
「支度だけど、『中華風焼肉』がメインらしいから、『竈』の上に『網』を乗せて使えそうな良い場所を探してみるねぇ」
 甘露島・てこの(豊饒の使徒・甘・f24503)の言通り、まさに『焼肉』をすることにあったのだ。
 もちろん行楽に来たわけではない。これも封神武侠界の大事、殲神封神大戦の一環である。この三皇女媧の塒でうまい料理を作って食らう。それが今回猟兵に課された使命であった。まあ料理下手な者や食事というものに興味がない者にとっては下手なオブリビオンより面倒な相手になるのかもしれないが、ここに集った者たちは一切そんなことはない。
 何しろ彼女たちは『豊饒の使徒』の一団。食べ、育まれる事こそがその存在意義とすら言える者たちなのだ。
「凄くいい場所だねぇ。張り切っていこうかぁ」
 てこのはせっせと竈を選定、道具を設置し準備を整えていく。
「興味深い場所に御座いますね。色々と参考になるやもしれませぬ」
 その準備が整う間に、一段のリーダー格である豊雛院・叶葉(豊饒の使徒・叶・f05905)が今後の活動にも活かせるものもあるのではとこの戦場を検めて検分する。
「中華料理とのことです故、主となる料理は夢ヶ枝様にお願いしましょう」
 まずメインに事に当たるのは、猟兵としても飛びぬけて高いレベルを持つるこる。その指示を受け、るこるは自身の力を解放する。
「大いなる豊饒の女神、豊かなる恵みを齎す叡智をお貸しくださいませ」
 【豊乳女神の加護・豊饒佳饌】を発動し強化するのは、グルメ知識と料理の技術。料理は愛だとは言うが、その愛を入れる料理を作るのは確かな知識と高い技術。そしてそれに答える食材はというと。
「素敵な場所が有りますね。とても楽しみです」
「嬉しい場所なんだよ。思いっきり食べるんだよ」
 鞠丘・月麻(豊饒の使徒・月・f13599)と鞠丘・麻陽(豊饒の使徒・陽・f13598)が泥の中に手を突っ込んで探していた。そして現れるのは身の詰まった野菜……のみならず、きめ細やかな差しの入った肉にたっぷりの米、さらには中国茶やジュースなど飲み物類までが泥の中から大量に出てきた。
 月麻がそれをるこるがつかう竈の近くへと纏めて運んでいく。
「幾らでも出て来るとは言っても、『料理し易い場所』に集めておいた方がやり易い筈です」
 料理とは実はかなり効率を追求する必要がある作業だ。大人数分を作るのならなおのことである。一品作ってまた一品……などというのんびりしたことをやっている暇などなく、一つの品の待ち時間の間に別の品を作り、それを置いておく時間ができたらまた別作業にと流れるように動いていかなければならない。その為には、食材の置き場所というのは実は極めて大事な要素でもあるのだ。
「メインは『中華風焼肉』らしいから、他に『手を加えなくても一緒に焼けば良い品』や『果物』も準備しておくといいかな、だよ?」
 そして麻陽はメインとなる食材の他、主に果実類を中心とした品を泥の中から引っ張り出す。シュラスコでの焼きパイナップルの美味さは味わったものなら知るところ。他にも熱を加えて甘みの増す果実類はいくつもあるし、なんならそのまま齧ったっていい。竈を使わない料理は攻略には関係ないので、丸かじりは本来は無意味に腹を膨らませてしまう悪手なのだが、ここに集まった者の前ではそんな話は関係ない。リンゴの一つや二つで満たされるようなやわな腹をしているものなどこの場には一人もいないのだ。
「ありがとうございますぅ。折角なのでリクエストなどありましたら」
「『麻婆』や『餃子』、『焼売』みたいな『定番中華』も食べたいです」
「『揚げ物系』も幾つかお願い出来ると有難いんだよ」
 聞いてみれば即座に飛ぶ二人からのリクエスト。これまたいずれもハイカロリーな品だがそれの調理を早速すすめていく。
 メイン外のサブ料理を主に担当するのは補佐役の叶葉、そしてもう一人。
「凄い場所ですわね。色々と応用が出来そうですし、原理が気になりますわ」
 艶守・娃羽(豊饒の使徒・娃・f22781)も共にるこるのサポートとして調理補助に入っていた。何でも出てくる泥というのは凄いものだが、女媧は泥をこねて人間を作ったという。その辺りに何か秘密があるのかもしれない。もしオブリビオンとして相対することとなったら、締め上げて吐かせてみるのもいいだろう。妲己のような善人系だった時が問題ではあるが。
「不思今日 豊乳女神の大広前を通行奉れば 甚畏くも叩頭奉り 拝礼奉る此状を」
「大いなる豊饒の女神の使徒の名の元に、嘗て女神に仕えし御業の担い手よ、その力を携え我が身に宿りなさい」
 叶葉と娃羽はそれぞれ【豊乳女神の神勅・醒倆】と【豊乳女神の印形・継巧】を発動し、自分の料理スキルを強化した。
 一口に料理といっても用いる技術は多岐にわたる。まず叶葉が主に担当するのは、皮むきや殻割りのような下ごしらえ系。
「相当な量が必要と思われます故、補佐とは言え大変に御座いますね」
 何しろ適当に竈に放り込んではいおしまいとはいかないのだ。料理するためには当然それ相応の準備というものが必要である。メインの料理人がそれに集中するためにも、雑事とも言えることは他人の手で行っておいた方がいい。リーダー自らの下ごしらえされた食材がるこるの手元に渡っていく。
 一方娃羽が行うのは、時間のかかりそうな品の作成。
「人数とそれぞれの食べる量を考えますと、相当途轍もない量が必要になりますものね」
 おかわりの注文が入ってから作ったのでは間が開いてしまう品は、別ラインで専門に作っておいたほうが良い。このあたりは実際の飲食業や加工業でも行われているやり方なだけあり、個人レベルに収まらない大量作成にはとみに効果的だ。
 そうした数々のサポートを受け、真打ちるこるがメインの作成を行う。作るのは大量の炒飯と、中華風焼肉。
 たかが炒飯と侮るなかれ、真の中華料理人はどんな料理よりも炒飯を作らされることを恐れるという。それは一切誤魔化しのきかない、腕が如実に出る料理だから。一粒一粒が火の上を通り、しかして油によって米が守られ焼け焦げることはない。具材にもきっちり火が通り、それぞれの味を最高まで引き出されて米の海に沈んでいる。
 そして焼肉は、甘辛いタレで炒めたまさに中華風といった感じのものを初め、より甘みの強いハチミツやスパイシーな唐辛子、和風醤油やホースラディッシュのあう西洋風タレまで様々な味付けの者が用意されている。しかしてベースとなるタレをオイスターソースや甜麺醤といった中華の基本となるもの主体にすれば、他国風でありながら中華風焼肉となるまさに中国四千年の神秘、中華料理の懐の深さが垣間見える焼肉が出来上がる。
「その他、ご希望の品があればお作り致しますぅ」
「あ、『甘味』をお願い出来る? 『杏仁豆腐』とか『胡麻団子』とか、中華には美味しい『甘味』が沢山有るんだよぉ」
 味見……と言うには少々多すぎる量をつまみながらるこるが言うと、即座にてこのが返事を返す。もちろん彼女も何もしていないわけではなく、食卓の設営など料理以外の部分での手伝いを今は主にしていた。
 そんな風に全員体勢で料理している中で、あまり手を動かしていない者が二人。
「こんな場所も有るんですの? 本当に、色々な世界が有りますの」
 ここが一応は敵地だということも忘れ物珍しそうにあたりを見回す絢潟・瑶暖(豊饒の使徒・瑶・f36018)。彼女は女神の使途としても、また猟兵としても駆け出しであり、封神武侠界に来るのは今回が初めてであった。
「桃姫さん、初めましてですの」
 そんな彼女が挨拶するのはもう一人の働いてない猟兵。この依頼を紹介したグリモア猟兵ミルケン・ピーチのボディ花園・桃姫であった。
「はい、初めまして。よろしくお願いします」
 挨拶を返す桃姫。二人は決して怠慢で働いていないわけではなく、猟兵として経験の少ない瑶暖に体型的に『使徒』に近く話し易い桃姫から過去の話やリクエストを聞くという、いわば食事がてらのティーチングを行うことを主眼に置いていたのであった。
 実際瑶暖の方は多少なりとてこのを手伝い、食卓の準備を行っている。一方桃姫は、自身の経験を思い出しながら話をしているためか手はほとんど動いていない。
「そうですね、不思議の国にあったいくら食べても太らないダイエットリンゴに肥え太ったオウガ、カクリヨファンタズムでは肉の概念のないものまで肉まみれになり、アポカリプスヘルでは狂気に陥った人を助けるために食事を……」
 自分の予知した事件を主体に話しているが、内容がかなり偏っている。あるいはそれこそが豊穣の使徒たちから桃姫がご指名を受けた理由なのかもしれない。その話を、瑶暖は真剣に聞いていた。ちなみに桃姫のリクエストは『おいしいお肉』。ざっくりしすぎているがある意味簡単である。
 そうして各々が役目に邁進し、やがて。
「完成ですぅ」
 ついに超特盛の中華焼肉定食(炒飯付き)が完成した。肉の茶色と炒飯の黄金のコントラストが目に眩しい、正に大衆中華の極みがそこにあった。
 そしてみんなでいただきます。のその前に。
「大いなる豊饒の女神様、貴女の僕達に豊饒を体現する力をお与え下さい」
 てこのが【豊乳女神の恵賜・徹食界】全員の食欲と食事量を合体、強化させた。ユーベルコードで強化されただけあり全員の食欲はまさに無尽蔵に膨れ上がる。これ戦闘で使いどころあるの? とか思ってはいけない。ユーベルコードはどこまでも自由なのだ。
「カロリーとか大変かもしれないけど、桃姫さんも参加するかなぁ?」
 肉依頼紹介時にはミルケンが洗脳する必要があるほどブチ切れていた桃姫。果たして今は。
「お肉おいしい! お肉おいしい!」
 何の心配もなかった。もしかしたらボディどころか黍団号乗員で一番意思が弱いのがこいつなのかもしれない。
「私でも相当な量を食べられるようになりますから、有難いですわね」
「私でも相当な量が食べられますね」
 『自称』小食な娃羽と叶葉も、全員分の食欲が合わさったことでやっぱり無限おかわり可能に。あくまで自称であり相対評価なので、普段の絶対値が如何程かは定かではない。もちろん足りなくなれば二人とも即座に追加補充に回るつもりである。
「大いなる豊饒の女神、《楽園の地》より紅鏡へと、その御力をお貸し下さい」
「大いなる豊饒の女神、《楽園の地》より水鏡へと、その御力をお貸し下さい」
 麻陽、月麻の二人も己がユーベルコードを使い、食べる量を強化する。乗算で増していく食欲は留まることを知らないが、それでも二人は他者への気遣いを忘れない。
「無事に突破出来る状態になった後も、出来るだけお土産に持って帰れないかな、だよ?」
「テイクアウトも出来たら有難いです。いらしていないボディのお二方用に、『中華弁当』等をお土産に出来れば良いかもしれませんね」
 この場に来ていないミルケンのボディである二人にもお土産を渡せれば。方や乳と尻以外は未就学児レベルの超乳幼女、方や筋肉質なスポーツギャルと少々この場にいる者とは年齢、肉質が異なるが、仲間であることに変わりはない。
 そうして各々パワー全開になっていくのを見て、次は自分の番だと瑶暖が力を入れる。
「大いなる豊饒の女神様、貴女の使徒を熟達せし技巧へとお導き下さい」
 【豊乳女神の神告・豊饒憑霊】で大食い技能を強化、先達に負けじと勢いよく食べ始めた。
「元々量を食べる方という自覚は有りましたが、明らかにそれ以上の量とペースで食べられますの」
 後ろにはてこののユーベルコードによる支えもあり、実力以上の力が溢れていることを自覚する。あるいは仲間との支え合いこそ猟兵最大の力、それを今身を持って体験しているのかもしれない。
「限界目指して、頑張ってみますの」
 果たしてその限界はどれほど遠くにあるのか。少なくとも、この場の誰一人一切ペースが落ちる様子がないことからそう近い場所ではないだろう。
「遠慮せず頂ける環境ですから、有難く全力で食べることにしますねぇ」
 もちろん作ったるこる自身だって大量に頂いている。食べれば食べる程、依頼としては成功に近づくのだ。何一つ遠慮することなく、心行くまで食べればいい。
「ああ、おいしい……予知してよかった……!」
 職権乱用じみた台詞を吐きながら、桃姫もその大食いの輪の一部となる。でもまた肉依頼予知したらキレ散らすんだろうなこいつ。
「皆、様々な意味で『豊饒の加護』が得られることになりそうに御座いますね」
 その光景に、叶葉が巫女代表として喜ぶように言う。豊かに実った肉が8つ……あるいは16房揺れ回るその空間は、まさに豊穣の宴の場。
 その結果がどこにどれほど実るのか……それは帰ってからのお楽しみとして、文字通りの肉林の宴がいつ終わるともなく続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
よっしゃ! 料理人見習いとしては見逃せないな!

俺が【料理】するのは海鮮あんかけ炒飯。
これだけの大火力が用意してあるんだからな。
鍋を振って飯を強火に直接くぐらせて余分な水分と油を飛ばしてご飯をパラっとさせ、同時に米粒の表面を油でコーティングする事で時間が経っても餡がご飯に沁みてふやけない様にする。
具材は「焼く」んじゃなくアヒージョみたいに「揚げる」感じで調理。
手間はかかるが美味さを追求するためだからな。

出来上がったら、シャーリーと一緒に「いただきます」!
日頃つきあってもらってる慰労も兼ねて。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ボクの仕事はウィーリィくんの作った料理を美味しく食べる事!
うん、楽だねっ!

では、いっただっきまーす☆
(もぐもぐ)
すごい!
ご飯がパラっとしていて口の中でほぐれるよ!
ボクの作るチャーハンとは大違いだ!
具のエビや牡蠣も味が濃厚だし!ただ焼いただけじゃこの味は出せないよ!

ごちそうさまでしたっ☆
美味しかったよ!
シェフを呼べっ!



 この三皇女媧の塒はいかなる剛力、いかなる知略をもってしても突破することは出来ない。ここを押し通るために必要なのは竈の炎を用い美味なる料理を作る技量、そしてそれを味わい頂く舌と胃袋である。
 そこに己の全てを捧げた者こそ、この地に名乗りを上げるに相応しい無双の戦士であった。
「よっしゃ! 料理人見習いとしては見逃せないな!」
 ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はまさにそれそのもの。見習いと自称してはいるが、数多の世界を渡り料理にて数々の実績を上げた彼は既に鉄人と呼ばれるに相応しいもの。直近も、自らがブレンドした茶で妲己の魅了を破り、彼女の願いを叶えてきたばかりだ。
 消えぬ炎滾る竈の前で、それにも負けぬほどの意欲を燃やすウィーリィ。その彼を隣で応援する者が一人。
「ボクの仕事はウィーリィくんの作った料理を美味しく食べる事! うん、楽だねっ!」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は悪びれることなるそう言った。だが、ウィーリィもそれを咎めるようなことはない。
「待ってろよ。俺が【料理】するのは海鮮あんかけ炒飯。これだけの大火力が用意してあるんだからな」
 今日のメニューを告げ、勇んで料理にかかる。
 鍋を振って飯を強火に直接くぐらせ、余分な水分と油を飛ばしてご飯をパラっとさせる。同時に米粒の表面を油でコーティングする事で時間が経っても餡がご飯に沁みてふやけない様にする。これがいわゆるパラっと系炒飯の作り方だが、その極意は水分と油分の絶妙な加減にあるのだ。油が多ければくどくなるし、水が多ければべたついてしまう。かといって鍋の中で無駄にかき回しているだけでは一部は焦げ、一部は水も油も残ったままの失敗作となってしまう。炒飯を作る時に米を津波の如く巻き上げているのはただのパフォーマンスなどではなく、しっかりと意味がある行為なのだ。
「具材は「焼く」んじゃなくアヒージョみたいに「揚げる」感じで調理。手間はかかるが美味さを追求するためだからな」
 具材の方も油の中で踊らせるかの如く素揚げのように熱を入れる。良い油を使うことでその香りがつき、炒めた飯と互いを引き立てあう味になるのだ。当然それを行うためには繊細な温度管理や揚がり具合を見極めが必要。楽な作業ではないが、かけた手間の分だけ料理は答えてくれる。
 そうして出来上がった炒飯を、自分とシャーリー、二人分に分けて互いの前に置く。そして二人一緒に。
「では、いっただっきまーす☆」
「いただきます、だ」
 早速一口いただくシャーリー。
「すごい! ご飯がパラっとしていて口の中でほぐれるよ! ボクの作るチャーハンとは大違いだ!」
 満面の笑顔でべた褒めし、凄い勢いで食べていく。
「具のエビや牡蠣も味が濃厚だし! ただ焼いただけじゃこの味は出せないよ!」
 たとえ自分で作る技術はなくとも、食べれば違いは分かるもの。愛と技のたっぷり詰まったその料理は、シャーリーに至福の時を与えていく。
 それを見ながら、ウィーリィも自分の作った炒飯を口に運ぶ。我ながらうまくいったと思える味だが、きっとそのうまさの半分は一緒に食べる相手がくれたもの。日頃つきあってもらってる慰労も兼ねての一緒の食事が、ここが戦場であることを忘れさせていく。
 楽しい時間は短いもの。二人の皿は瞬く間に空となり、食事の時間は終わりを告げる。
「ごちそうさまでしたっ☆ 美味しかったよ! シェフを呼べっ!」
 冗談めかして言うシャーリー。
「ずっとここにいるっての」
 それにウィーリィは苦笑しながら答える。
 そう、ずっといる。今までも、そしてこれからも。
 そんな『ごちそうさま』な空気が、三皇女媧の塒を満たしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

死絡・送
POW
アドリブOK共闘OK
桃姫さんを連れて行く、現地で食材を手に入れたら料理を行う。
「この竈ならピザも焼けるな」
下拵えをしてサラミの代わりにステーキ肉を使い竈の火を使いピザを焼く。
「まずはステーキピザだ、皆で食おうぜ♪」
と出来たら桃姫さんや仲間に振舞い自分も食べる。
「お次は炒飯だ、ふかひれとカニの炒飯を作るぜ」
と言い下拵えをしてから火炎耐性と料理を組み合わせて鍋を振るい
炒飯を作って振舞う。
「ラストは火鍋だ、こいつは辛いが今まで食った分のカロリーを消耗する位
の物を作るぜ」
 とラストに火鍋を作って振舞う。



 いっぱい食べても、腹はいずれ減る。寝だめ食いだめは出来ないのだ。その理に従ってか、死絡・送(ノーブルバット・f00528)の誘いにも桃姫は快く答えていた。あれだけ食べた後でまた食べるのかとも思えるが、基本的に桃姫は誘惑に弱いのである。
 消えない炎滾る竈。そこで作るのは中華料理を勧められてはいたが、せっかくこれだけの火力である。それしか作らないのももったいないというものだ。
「この竈ならピザも焼けるな」
 何しろ竈さえ使えば料理法は自由自在。竈の形も色々あり、中に物を入れて焼くことに向いたものだってあるのだ。そう言った竈を選定し、送は泥の中から食材を取り出す。
 封神武侠界故に洋食向きの食材があるか少々不安があったが、問題なく目的のものは取り出せた。ピザ生地を練り、上にチーズをのせる。今回はソースレスのピザだ。
「お肉はありますか?」
 厚かましく聞く桃姫。それに対して送が待ってましたとばかりに取り出した肉。それは分厚いステーキ肉だった。それを大きめに切り、竈の中に入れる。
 そして待つことしばし。
「まずはステーキピザだ、皆で食おうぜ♪」
 ジューシーなステーキの乗ったピザ。具材が濃いので生地はソースレスの薄味な反面、たっぷりかかったチーズがステーキに絡み好相性。
 これだけでも十分ではあるが、せっかくの封神武侠界なので中華も作っておきたい。
「お次は炒飯だ、ふかひれとカニの炒飯を作るぜ」
 次に作るのは高級食材ダブル盛りの炒飯。もちろん春雨やカニカマのような代用品ではない本物を泥から取り出し、強火の火力で炒める。
 迂闊に素人が火の前に立つと大火傷しかねないが、そこは猟兵特権として自身に耐性をつけて我慢だ。これなら多少の無茶もきく。
 そうして出来上がった炒飯は、蟹とフカヒレに埋め尽くされた特盛炒飯。店で注文したらいくらになるか分からないこれをただで食べられるのも、猟兵の特権と言っていいだろう。
「すごい! いっぱい入ってます!」
 そして遠慮なくそれを食べる桃姫。その勢いで彼女の豊かな胸がぶるんぶるん揺れ送も思わずそれを見てしまうが、乳が跳ね上がった時だけちらりと見える腹部が目に入るとさらにもう一品作り出す。
「ラストは火鍋だ、こいつは辛いが今まで食った分のカロリーを消耗する位の物を作るぜ」
 唐辛子のカプサイシンは摂取するだけでカロリーを減らすという実は何気に凄い物質だ。それのたっぷり入った火鍋を提供し、彼女が少しでも悩みから解放されれば。
「火鍋ですか? 辛そうですね……あ、でも意外と……」
 見た目に一瞬躊躇するが、中に入っている羊肉などを勇んで食べていく桃姫。その勢いに送は自分の経験を思い出しとめようとするが。
「……辛い~~~~~!!」
 遅かった。これは最初の一口だけはそこまででもないが、後が本当に辛いのだ。そもそも送自身がその罠にはまった火鍋を参考に作ったのだから、そういう味になるのもむべなるかな。まあ転がってるから余計にカロリー消費するかもしれないし、その勢いでまた色々とぶるんぶるんしてるので視覚的には良しとしておく。
 その後もお互い涙目になりながら火鍋を完食。落ち着いてあたりを見回せば、いつの間にか泥と炎の封鎖は解け、自由に出入りできる状態になっていた。
「ごちそうさまでした。それでは帰りましょう。その内女媧も出てくるかもしれませんし、それを捕まえるためにも殲神封神大戦に勝利しましょう!」
 こいつ女媧を業務用スーパーか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。だが実際に殲神封神大戦の終結まであと少し。ここで得たエネルギーを使い尽くし、何とでも勝利を掴まねばならない。
 残された時間は少ない。戦え、猟兵よ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月27日


挿絵イラスト