銀河帝国攻略戦⑲~奇跡という名の努力
「皆様の活躍により帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が判明しました」
猟兵たちを呼び出したアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)はいつもと変わらぬ冷たい表情に見えるがほんの少しだけ嬉しそうな口ぶりで話始めた。
「ですが猟兵達の行く手には、ドクター・オロチが率いる艦隊が立ちふさがっています。今回、皆様にはドクター・オロチ配下のオロチウイルスを満載した突撃艇群のワープを阻止して撃破していただきます。オロチウイルス突撃艇群は、戦闘機程度の大きさの、多数の突撃艇からなる敵集団です。直接的な戦闘力には乏しいのですが、ドクター・オロチが開発した殺人ウイルス『オロチウイルス』を満載しています。解放軍船へ一斉ワープさせた突撃艇を自爆させ、ウイルスで解放軍を抹殺しようというのがドクター・オロチの作戦なのです。これを皆様に止めていただきたいのです」
しかしそれには越えなければいけない問題があるとアマータは続ける。
「存在を隠蔽され、各所に散ったオロチウイルス突撃艇群全てを発見、撃破するのは不可能ですし、ワープしてくる敵を予測して、その全てを撃破する事も現状では不可能です」
しかし、希望はあるとアマータは力強く宣言する。
「エンペラーズマインド・コアのコアマシンルームに踏み込んだ、猟兵達が『オロチウイルス』のサンプルを持ち帰ることに成功したのです。現在、ワープドライブの使い手であるミディア・スターゲイザーは、ヘロドトスの戦いで発見された『古代遺跡船』に、スペースシップワールドの科学技術の粋を結集し、抗体作成の研究を進めています。ですが、『古代遺跡船』と『スペースシップワールドの科学の粋』の総力をあげても、通常の方法で、オロチウイルスの抗体を短期間に完成させる事は『奇跡でも無い限り』不可能な事でしょう」
だからこそ猟兵たちの力が必要なのです。そうアマータは告げる。
「当機たち猟兵には奇跡を宿す力があります。そう『ユーベルコード』です。皆様自身の手で『奇跡』を起こしましょう。そしてこの悪辣な作戦を阻止するのです。抗体さえ完成させてしまえばこの作戦は意味をなさなくなります」
どうか皆様の手で数多の命をお救いください。アマータは深々と頭を下げた。
灰色幽霊
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも灰色幽霊です。
5作目の戦争シナリオですね。
今回はオロチウィルスの抗体を作成していただきます。
皆様のかっこいいプレイングをお待ちしています。
古代遺跡船の研究施設は、スペースシップワールドの多くの船から持ち込まれた多種多様な機材が運ばれており、広大な研究エリアが発生しています。そのため、各々の担当する修復地点には、他のシナリオの参加者はいません。
ミディアは、作業する猟兵の間を走り回っているので、必要があれば登場させてOKです。
第1章 冒険
『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』
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POW : オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます
SPD : 圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します
WIZ : 集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナハト・ダァト
【WIZ判定】
病カ。でハ、医者の私の出番だネ
武器改造、八ノ叡智で召喚した触手をウイルスを取り込める形状に変化
医術、世界知識、情報収集
今まで治療、研究したあらゆる世界、伝承の毒と比較して近いものを抽出
取り込める限界までウイルスを取り込み、まずは無作為に研究を行う
弊害は、毒耐性、激痛耐性、呪詛耐性
一ノ叡智を防御にすべて振り、補えない痛みは生まれながらの光で自己治癒
疲弊が研究に支障を及ぼさない程度にペース配分を行う
協力できる人員が要れば、解析中の回復、支援を行ってもらう
※アドリブ歓迎
●医師としての矜持
「ここハ医者の私の出番だネ」
ナハト・ダァト(聖泥・f01760)は八ノ叡智・栄光により深淵より召喚した100を優に超える触腕たちを変形させてウイルスの培養を始める。
「私ノこれまでの経験ヲ活かす時が来タ」
数多の世界を巡ってきたナハト。その身には廻った世界の数だけ知識と経験が刻まれている。今まで治療した患者が患っていた毒。その世界にしか存在せず研究し尽くした毒。伝承に語られる幻想の毒。ナハトはそれら統べての記憶を呼び起こしオロチ・ウイルスと比較検討する。その触腕に限界までウイルスを取り込んで。
ウイルスが触腕から浸食しナハトの身体を蝕んでいく。しかしその痛みも苦しみも一ノ叡智・王冠をその身に宿し耐え忍ぶ。それでも機能を失っていく自身の肉体は聖者としての生まれながらの光で照らし続け、代償に疲労を重ねながらも浸食と治療のサイクルを続ける。それもすべてまだ見ぬ患者を救うため。異形の医師はその身を犠牲に未来を探す。
耐え忍ぶこと数刻。それぞれにナハトの有する毒への対抗措置を宿した触腕は当初の100を超える数から既に両の手で数えられるほどまでに数を減らしていた。ナハト自身もまた休息を挟み疲労を回復していたがすでに限界が見えてきていた。
「あと少シ……」
この状況でまだその形を保っている触腕はオロチ・ウイルスに対する何らかの対抗措置を有していると考えられる。であればそれをミディアに伝えることで抗体の開発へと繋がる足がかりになるはず。ナハトは残った触腕のデータを早急にまとめる。
「そうカ、オロチ・ウイルスとハ―――」
データをまとめていたナハトの脳裏にある仮説が浮かぶ。医師として数多の毒に触れそれを治療してきた医師としての勘。まとめられたデータの最後にその仮説を付け加えナハトはそれをミディアに託した。数多の命を救う礎として。
成功
🔵🔵🔴
望月・鼎
【アドリブ可】
ふっふっふ……ウイルスの摂取と言う荒業、普通なら出来ませんがUCの力で強引に解決して見せましょう!
私が取る手段とは!
イラナイツの皆さんに一人ずつウイルスを摂取して頂き、そのデータを取ってもらうのです!
専門的な事は解りませんが、データが多く取れればそれだけ抗体の完成には近付く筈です!
……まぁ、無事に抗体の開発が終わったらイラナイツの皆さんを労って打ち上げでもしますか。(鬼畜巫女)
後は【影の追跡者の召喚】で生み出した私の影を使うと言う手段もありますね。
五感は繋がってますが私自身が感染する訳ではないですし、危ういと判断したら中止すれば如何にかなりますからね!
●目覚めよ巫女パワー
本来であればウイルスを接種するという荒業はあり得ない。しかしその荒業をなし得る手段を持った者たちがいる。それは猟兵。望月・鼎(宵闇の寵児・f02401)もまたその一人だった。
「お仕事ですよ!おいでませイラナイツ!」
鼎の呼び声に従い現れたのは総勢17名に及ぶちらりと見えるセクシーなうなじに1と刻印された戦闘用ユニット、イラナイツ。
「はいはい、こちらですよー」
入手したオロチウイルスのサンプルを片手にイラナイツたちを整列させる鼎。そして先頭から順番にサンプルを彼女たちに打ち込んでいく。被験者サンプルとして活用するために。
仮にもユーベルコードで生み出された存在であるイラナイツ。彼女たちもそう簡単にウイルスに負けはしない。その症状は一体ごとに異なる進行を見せウイルスの苦しみに悶えながらも貴重な被験者データを蓄積させていく。
「イラナイツばかりに辛い思いはさせてられませんね」
さらに鼎は自身の影から追跡者を召喚する。本来であれば標的の追跡に用いるユーベルコードだが今回、鼎が影の追跡者を呼び出したのには理由がある。
「自分にお注射するみたいで変な感じですね」
影の追跡者にもサンプルを打ち込む鼎。それと同時に鼎の身体にも変化が現れる。絶え間なく襲ってくる身体中の痛みと苦しみ。五感を共有することによりウイルスに侵されることなくその効果を実感するという荒業を用いるために鼎は影の追跡者を呼び出したのだ。
「うぐぅ…こ、これは結構きついですねぇ……無事に抗体の開発が終わったら打ち上げでもしてあげますからイラナイツの皆さんも頑張ってくださいね」
症状の辛さから少しでも気を紛らわせるためなのか鼎はいつものように明るくふるまう。イラナイツたちはそんなことよりこのウイルスをどうにかしてくれと言いたげだったが
感染はしていないとはいえその症状は実際の物。鼎とイラナイツたちの気力と体力を着実に、確実に奪っていく。だがそれと同時に着々と被験者データもまた集まっていく。
鼎とイラナイツの献身的活躍により集められミディアに託された臨床データ。これにより抗体の開発はまた一歩前進した。
成功
🔵🔵🔴
蒼慧・楓奏
【ニーベルングの指環】の力を使って抗体作成に協力します。
ニーベルングの指環なら電子データを物質化することが出来るのでワクチンを実際に精製する必要がなく抗体試験の効率を上げることが出来るはず。
銃士型戦騎ジークリンデの弾丸内にオロチウイルスを仕込み、他の猟兵さんが考案した抗体を騎士型戦騎ブリュンヒルデに適用して、ジークリンデにブリュンヒルデを撃たせることでブリュンヒルデの変化やウイルスと抗体の反応などのデータを収集して猟兵さん達にフィードバックします。
「ごめんなさい。ブリュンヒルデ、ジークリンデ」
戦騎の犠牲は楓奏にとってその身を削るに等しい想い、けれど多くの人を救うため彼女は試験を繰り返します。
●戦乙女が守りたいもの
ミディアから現状の抗体データを渡されたのは蒼慧・楓奏(雪花・f05136)。猟兵たちの活躍によりサンプルデータは数多く集められたが未だ抗体の試作品は時間が足りずカタチになってはいなかった。しかし楓奏はそれを承知でデータを受け取った。それは楓奏の持つ【ニーベルングの指輪】の力を信じていたからだ。
「この指輪ならデータからワクチンの試作品を作り出せる……。指環の所有者権限において、戦術戦闘機構ワルキューレを起動、戦騎を戦闘モードでリアライズ」
楓奏の声に従い現れる騎士型戦騎ブリュンヒルデと銃士型戦騎ジークリンデ。二人の戦乙女たる戦騎であればデータから抗体を精製することができる。オロチウイルスのデータをジークリンデにアップロード。同じく現状の試作抗体データの一つをブリュンヒルデにアップロード。
「……やって、ジークリンデ」
ジークリンデの銃口がブリュンヒルデを捉える。所有者の命に抗うことなく放たれたウイルスの弾丸は正確無比にブリュンヒルデの胸を貫く。
ウイルスの浸食により声にならない声を上げるブリュンヒルデ。この抗体データでは効果が薄いらしい。楓奏は一度ブリュンヒルデを戻し再度呼び出した。次なる抗体データを内包させ。
ブリュンヒルデの運動機能低下、失敗。リロード。ブリュンヒルデの内臓機能低下、失敗。リロード。リロード、リロード、リロード―――。
繰り返される投薬試験。楓奏はその身を削るに等しい想いを抱いて、自身の半身たるブリュンヒルデを犠牲に楓奏がデータを集める。未来の犠牲を減らすため、多くの人を救うため。戦騎の献身と共に楓奏の集めたデータが抗体の完成を進めていく。
成功
🔵🔵🔴
甲斐・ツカサ
『奇跡でもない限り』不可能?
だったら、奇跡を起こせばいいだけさ!
奇跡なんて、この世界には幾つだって起きて来た
だってそういう奇跡の話を冒険譚って言うんだからね!
この世界の科学の力で敵わないなら、他の世界での奇跡の話をしよう
夜と闇の世界で死と病を振り撒く神々を倒す狩人の話
狂気に冒されながらもそれを乗り越えて邪神を追い払った探索者の話
疫病蔓延る江戸の街で新たな薬を生み出し、人々を救った医師達の話
それ以外にも、幾らでも
オレ達の世界には、死や絶望に抗いながらも生き延びて勝利した人々の話が
星の数ほどある!
そんな冒険譚を研究エリアに流して、みんなのウイルスと戦う力を強めて、ウイルスに打ち勝とう!
●SaGa
研究エリアの片隅、放送用の機材が置かれたブースに現れた甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)ツカサは機材の電源を入れ研究エリア各所へ放送を開始した。
『抗体の開発は『奇跡でもない限り』不可能?だったら、奇跡を起こせばいいだけさ!奇跡なんて、この世界には幾つだって起きて来た。だってそういう奇跡の話を冒険譚って言うんだからね!』
冒険に憧れ、冒険に駆け出した少年は果てなき冒険がもたらす奇跡という名の力を信じていた。いや、知っていた。
『これは昔々に始まって、そして今日も続いている、明日へと続く夢と希望に満ちた冒険の話さ!』
この世界の科学の力が及ばないなら、数多ある世界で繰り広げられた奇跡の話をしよう。その物語をツカサは知っている。少年はいつだって荒野を目指すものだから。
『知ってるかい?夜と闇の世界で死と病を振り撒く神々を倒す狩人の話を』
最後の最後まで諦めなかった。
『狂気に冒されながらもそれを乗り越えて邪神を追い払った探索者がいたんだ』
それはきっと誰かのためで。
『今のオレ達みたいに疫病蔓延る江戸の街で新たな薬を生み出し、人々を救った医師達もいる』
誰かを救いたいという気持ちをその胸に。
『それ以外にも、幾らでもオレ達の世界には、死や絶望に抗いながらも生き延びて勝利した人々の話が星の数ほどある!』
だからオレ達もオロチウイルスなんかに負けるわけがない。そんなツカサの熱い想いの籠った放送が研究エリアに風を生む。それはまるで暁を運ぶ風のようで―――。
「私もがんばらなくては!」
ミディアや他の猟兵たちもツカサの想いに感化され無意識の内に作業効率が上がっていく。少年の想いは明日への道を切り開いていく。
成功
🔵🔵🔴
エルス・クロウディス
●POW
「あ~…………しんどい」
いや、しんどいの一言で済ませていいもんじゃないけどさぁ。
きついよこれは、これはきつい。
<激痛耐性>あるけどさー、あれだ、死ぬほど痛いぞってやつ。
かっこよく?
「むっり無理無理…………っ」
元々そういう性質じゃないんだよ俺はさー。
久々に外出て落ち着いてたけど、以外とすーぐ戻ってくるわ、この感じ。
は――――……でも、泣き言言ってやめるわけにはいかないし?
何か掴めるなら、皆が助かるならって思うとさー。
ついやっちゃったよね、摂取量限界ギリギリ。
「用法容量を守って正しくー……いや違うなこれ」
あー誰とは言わんから甲斐甲斐しく看病されてー。
世迷言ぉー。
……ま、頑張るぞーいっと。
●弱くも確かな心
「あ~…………しんどい」
エルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)は研究エリアの片隅で独り、出来上がったばかりの抗体の試作品を自身に打ち込んでウイルスと闘い続けていた。所詮は試作品、しかも出来上がったばかりのこの薬に劇的な効果など望めるはずもなくエルスの身体は着実にウイルスに侵されていた。
「きっついよこれは、これはきつい」
愚痴をこぼしながらエルスは身体中を襲う痛みに耐え続ける。そのために周囲に誰もいないこの片隅までやって来たのだ。こんなかっこ悪い姿は誰にも見せられない。
「むっり無理無理…………っ」
しかし口から出て来る悲観的な言葉とは裏腹にエルスは消して諦めようとしなかった。痛みに耐えながら額に嫌な汗をかき、それでもまだ続ける。自分がかっこよく誰かを救うような人間じゃないことはエルス自身が一番よくわかっている。それでも―――【信じ頼る脆き心】が発動している限りせめて手の届くすべてを守りたいという意志は潰えない。これでなにか掴めるなら、皆が助かるというのならエルスは愚痴でもなんでも零しながら限界までその身を犠牲にし続ける。
「用法容量を守って正しくー……いや違うなこれ」
摂取量限界ギリギリまで投与されたウイルスがエルスの身体を蹂躙する。【信じ頼る脆き心】のより増大された回復力がなければ抗体があったとしてもエルスの身はここまで保てなかっただろう。
「……ま、頑張るぞーいっと」
エルスは意識を失う直前に偶然通りかかったミディアに自身の身を犠牲に得た抗体のデータを託し眠るように式を失った。
こうして一人の青年の献身的な活躍により貴重な抗体の臨床データを得ることに成功。抗体の開発がまた進む。
成功
🔵🔵🔴
月鴉・湊
ふむ、抗体ねぇ……おじさんいいとこ見せようかと思ってきたけど完全に専門外だわ。
という訳で専門家を呼びましょうかね。餅は餅屋ってところだな。
UC【咎人達の贖罪】を使用すればこの状況に相応しい者が現れる。
ヤバい薬に手を出した医者や、娘を蘇らせようとして最悪なヤツを呼び出した研究者とか俺が葬ってきた奴等の中でもそういうやつが来るだろう。
ちょいと精神や見た目がアレだが腕は確かだ。
そしてこの世界の研究者や医者が持っていない知識を持っている。
ここで役にたって罪を晴らすがいい。
これで俺が色んなところで仕事してきた証明になるかな?
●烏合の衆
「ふむ、抗体ねぇ……おじさんいいとこ見せようかと思ってきたけど完全に専門外だわ。ごめんね」
研究エリアにやってきた月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)は開口一番にそう言い放った。周囲の者たちが呆れる中、できることがないのなら、と湊は独り研究エリアから立ち去ろうとする。
だがその足は人目に付くことがない研究エリアの奥で止まる。これから起こる出来事は自慢することでもないし誰かに見せるものでもない。結果さえあればいい。
「俺は確かに専門外だができそうな奴らの心当たりはいくつかある。という訳で専門家を呼びましょうかね。餅は餅屋ってところだな」
手に持つ煙管を吹かしながら湊はユーベルコードを発動し自身が今まで殺めてきた咎人たちの中で今の状況に相応しい者たちを冥府より呼び戻す。
「さて、ここで罪を償うチャンスを与えよう。殺した数より多くの人を救え。そうすりゃ罪も少しは軽くなる」
それは不老不死を目指し数多の患者を犠牲にしてきた医者。
それは娘を蘇らせるために邪神に縋った研究者。
それは薬により人間という種を超えようとした精神異常者。
精神や容姿が多少変貌していても腕は確かな様々な者たちが呼び出され生前の知識と経験を活かしウイルスの解析、研究に取り組み始める。過去の罪を清算するために。
あるものは知識の中の毒物たちと照らし合わせウイルスの解析を。またあるものはウイルスを取り込み抗体の作成を。数多の世界の罪人たちがこの世界の研究者や医者が持っていない知識を最大限に発揮し研究を加速させる。
「これで俺が色んなところで仕事してきた証明になるかな?」
―――染物屋の「カラス」は独り笑う。
「あ、ミディア君。おじさん迷子になっちゃった。出口どこ?」
「えーっと……あっちです」
「おお、ありがとう。おじさん助かったよ。お礼と言ってはなんだけど拾ったからこれあげるね」
ふらふらと研究エリアを歩き回っていた湊は研究エリアを駆けまわっていたミディアとばったり遭遇する。自称迷子の湊は出口を教えてくれたミディアにお礼と称して小さなメモリを手渡した。それは咎人たちが集めた抗体とウイルスに関するデータたち。
「……これは?」
「さぁ?おじさん機械はてんで駄目だから。でもミディア君ならわかるでしょ?」
それじゃあね、とだけ言い残し湊は教えられた出口へと歩き始めた。
ミディアへと託されたデータは抗体とウイルスの研究を飛躍的に加速させる。
―――こうして染物屋の「カラス」は仕事を終えた。
成功
🔵🔵🔴
ナノ・クロムウェル
…奇跡ですか。
そんな大それた力は私にはありませんが…お手伝いしましょう。
今回私の取る手段は…あえてオロチウイルスを摂取し耐え抜いて見せましょう。
未完成の抗体を使いつつ「激痛耐性」を持って耐え抜きます。
その間私自身の「医術」で分析をします。
それでヒントを手に入れなければ賭けに出ます。
ユーベルコード「翠炎悪魔」で超耐久力を得てひたすら耐え抜きます。
…使用前には他の人の安全を確保しなくてはいけませんね…。
他の人がいない所…あるいは動かないでいて貰うことがベストでしょうか。
…幸か不幸か私は昔病弱だったので病気には慣れています。
それに…生きる渇望とでもいいましょうか?
それにはとても自信があるのですよ。
●機工少女は傷つかない
ここまでのデータから作り上げられた未完成の試作抗体。ナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)はそれを自身に投与しオロチウイルスとの戦いに臨む。奇跡ではなく技術により生を永らえたナノは自分にできることをする。病弱だった過去のナノ、それ故に病への耐性は人一倍あるという自負がある。そんなルナだからこそ誰よりも生への渇望が強い。ナノはそんな自分の渇望を信じていた。
「……だめです」
しかしウイルスの浸食による痛みに耐えながら試みた解析でもナノにはウイルスについて新しい情報は得られなかった。
―――ならば奥の手を使うまで。
研究エリアに用意してもらった隔離部屋。外からしか開けられず中からの攻撃はシャットアウトする。こんな部屋を用意してもらったのはもちろん理由がある。
「私がこの部屋に入ったら誰も入らないでください。約束の時間まで扉を開けてもいけません」
ナノはそう周囲に宣言して隔離部屋へと入っていった。誰も傷つけないために。
「ここでならこれが使える」
隔離部屋の扉が閉められナノの視界には誰一人として映らない。オロチウイルスの追加過剰投与と同時にナノの全身が機械化しその身体は緑の炎を噴出する悪魔へと変貌を遂げる。
「――――――」
音すら遮断された隔離部屋から誰にも聞こえぬ叫びをあげウイルスの激痛に【翠炎悪魔】由来の超耐久力でひたすら耐えるナノ。理性もとうに失われ身体中の痛みで隔離部屋を暴れまわる。しかしその扉は閉じられたまま。約束の時間まで1時間。
常人では耐えることができない1時間にも及ぶ耐久試験。そこから得られたデータは抗体を作るうえで貴重なサンプルとなった。ナノの献身が数多の船民たちを救う礎となった。
成功
🔵🔵🔴
弥久・銀花
【POW】
抗体とオロチウィルスを何時も持ち歩いているオカカおにぎりに乗せて経口摂取します。
あれ? オロチウィルスは~味。(~には何か食べ物の名称を入れて下さい、銀花に好き嫌いはありません)
ふぅ、効いて来るまでどのくらいでしょうか?
体を動かしてる方がウィルスが体に回る時間が早まりそうですね。
でも動き回ると居場所が分からなくなったら危ないです……。
ちょっと適当な道具でベンチプレスしてましょう。
・
・
・
うぐぅっ! ウィルスが、回ってきました……。
だ、ダンベルが重い……、ミディアさん、ちょっと助けて下さい……!
ぜぇぜぇ……、ユーベルコードの不死身の人狼発動!
後は耐えるだけです、死んだりなんてしませんよ。
●おにぎりとウイルス
「……」
弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)は抗体とオロチウイルスを両手に持ち何やら思案中だった。
「!」
なにを思いついたのか抗体の入った注射器を置き徐にお母さんの作ってくれた大きなお握りを取り出した。醤油を馴染ませたおかかを混ぜたご飯で出来ている。銀花は大好物のお握りにウイルスと抗体をふりかけ大きな一口で頬張った。
「あれ?オロチウイルスは梅みたいな味」
ウイルスと抗体を身体に取り込む方法を考えていた。その結果がお握りにふりかけての経口摂取だった。なんだかいつもより酸味を感じつつ銀花はお握りを完食した。
「ふぅ、効いて来るまでどのくらいでしょうか?」
ウイルスと抗体を同時に摂取したせいなのか経口摂取のせいなのか、銀花の身体に変化はすぐには現れなかった。どうしたものかと考えた銀花はなんだか身体を動かした方がウイルスも早く回りそうだと考え適当な道具でベンチプレスをしようと辺りを物色し始めた。あまり動き回ると迷子になりそうなので近場で。
廃材でベンチプレスを続けていた銀花の身体に異変は唐突に訪れた。腕に力が入らなくなり持ち上げていた廃材をだんだんと支えられなくなってきた。
「うぐぅっ! ウイルスが、回ってきました……。お、重い……、ミディアさん、ちょっと助けて下さい……!」
どうにもこうにもいかなくなった銀花は周囲を忙しなく駆け回るミディアへと助けを求めた。
「な、なにをやっているんですか!」
すぐに駆け付けたミディアにより事なきを得たが銀花の身体は確実にウイルスに侵されていた。
「ぜぇぜぇ……どんな攻撃にも負けません。さあ、掛かって来なさい。(痛くても気合で痩せ我慢!)」
すでに掛かって来られているが銀花は気合を入れ直しユーベルコード【不死身の人狼】を発動。その全身の細胞を活性化させ超再生状態へと移行する。ここからが本番だ。
銀花の身体を張った実験により抗体のデータがまた一つ集まった。これできっと救われる者もまた増える。おにぎりと少女が皆を救う。
●苦しみと活躍を超えて
「みなさん、ありがとうございました!」
猟兵たちの献身と活躍によりウイルスの研究と抗体の開発は順調に進む。その成果をミディアに託し猟兵たちは戦場へ戻る。
この戦争を終わらせるために。
成功
🔵🔵🔴