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殲神封神大戦⑯〜本格中華ダイニング『女媧塒』

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●原初の火
 三皇『女媧』。封神武侠界の人類の祖とされる偉大なる神は、幸いながらオブリビオンとして蘇る事はなかったようだ。しかしその神威の影響は、女媧たるこの祠に色濃く現れていた。
 天地開闢を思わせる凄まじい火力を放つ「消えることのない炎」と、「固まることのない泥」。恐ろしい魔力で満ちたこの空間は、まるで生まれたばかりの惑星のよう。

「さすがは神の領域、と言ったところかな?」
 これから猟兵が直面する状況を説明し、グリモア猟兵、八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)はそう続ける。
「突破するにしても、此処をこのまま放っておくわけにはいかない。……諸君らも、そうは思わないかね?」
 放置しておけばここから何が生まれるのか、そしてどこに悪影響が出るのか予想もつかない。ここに充満した魔力と、消えない炎、これらを浄化する必要があるだろう。そのためには。

「私達の手で、おいしい料理にしてしまおう」

 溢れる魔力を調理という形で昇華し、食事という形で消費する――とか理由を付けられなくも無いのだが、とにかく。
 この凄まじい火力の『炎のかまど』、猟兵達の前にいくつも現れるであろうそれを使い、おいしい料理を作って食べることが、この空間の浄化に繋がるらしい。
「何故か食材は泥の中からどんどん湧いてくるようだから心配はいらない。とはいえ、勿論オススメの食材があるなら持ち込んでも構わないよ。料理の種類も問わないから、やりやすいようにしてくれたまえ」
 焼肉が良いかな。鍋なんかも良いな。火力が強いから中華料理もおすすめだよ、などと付け加えながら彼女は言う。
 作った上で食べなければ浄化には至らないが、勿論作る専門で他の者においしく食べてもらう形でも問題はない。逆もまた然り。それもうただのお食事会では? というような気もするが、ここは「崇高な使命のため」と言っておこう。
「では諸君、たらふく! 力いっぱい! 食べにいこうではないか!!」
 口元の涎を拭いながら、くくりは一同を舞台へと導いた。


つじ
 どうも、つじです。こちらは殲神封神大戦の⑯、一章構成の戦争シナリオになります。

 内容はOPに書いた通り。
 タイトルは中華になっていますが、とにかくいっぱい食べたら大成功です。かたい事は言いませんので、おいしく楽しく過ごしていただければと思います。

●プレイングボーナス
 かまどでおいしい料理を作って食べる。

 それでは、皆さんのご参加お待ちしています。
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第1章 日常 『炎のかまどで食い尽くせ!』

POW   :    豪快な料理を作る

SPD   :    手早く料理を作る

WIZ   :    じっくり料理を作る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エドガー・ブライトマン
ごらんレディ、オスカー!何て凄まじい炎だろう
一瞬でこんがりと焼かれてしまいそう
キミもそうおもわない?オスカー

こんな火力といえば、そう。料理だね

手記を見るに、私は案外料理ができるらしい
華麗にやってみせるさ、なぜなら私は王子だから!

まずはやはり材料の声を聞こう《動物と話す》
今回の話し相手はこの泥から採れたてのエビ君さ
ごきげんよう、キミはどんな料理になりたいかな
残念ながら、海には戻れないんだ……
いいよ、中華炒めにしてあげよう

泥から出てきた卵と何かの葉を、
中華味の便利な粉末と一緒に炒めて完成さ!
そして仕上げは忘れず
これは威令だ――おいしくなあれ!

ウンウン、とても美味しく出来ているね!
オスカーも食べる?



●大海の声
 三皇『女媧』の祠。仙界内でも神の領域たるここは、やはり少なからず特別な場所なのだろうか。顕現までは至らなかったものの、その神威によって、この地には固まらぬ泥と、絶えぬ炎で満ちていた。様々な世界を旅した彼にとっても、この光景は珍しいもののようで。
「ごらんレディ、オスカー! 何て凄まじい炎だろう」
 噴き上がる炎を見上げて、エドガー・ブライトマン(“運命“・f21503)はそう声を上げる。薔薇にしてもツバメにしても、炎とは相性が悪そうだが。
「一瞬でこんがりと焼かれてしまいそうだね。キミもそうおもわない?」
 つまりは焼き鳥と言いたいのか。オスカーがそんな冷たい視線を返しているような気もするが、とにかく。激しい炎による十分な火力――これはとても料理向け、のはずである。
「まあ、私は案外料理が出来るみたいだからね」
 手記に残した記録によれば、それでどこかの大ボスを唸らせたことがあるとかないとか。
「料理のコツは、材料の声を聞くことだ……と誰かが言っていたような気がするよ」
 というわけで、彼は早速食材が無限湧きする泥の中へと手を伸ばす。肉や野菜のそれとは違う、硬い感触を摘まみ、持ち上げれば、泥の中からエビが採れた。
 色々と疑問が生じる光景だが、アリスラビリンス経験者はこういうのに強い。
「ごきげんよう、エビ君。キミはどんな料理になりたいかな?」
 わあ、ぴちぴちしていて元気だね。でもごめんよ、残念ながらキミは海には戻れないんだ……。などと切ないやり取りが交わされる。しかしよく考えるとキミ今ここの泥から生まれなかった? 海って見たことある?
 流れで思ったよりも話が弾んでしまったが、その甲斐もあってか、エビ君はエドガーに気を許したようだ。
「よし、いいよ、中華炒めにしてあげよう」
 自己犠牲精神に溢れたエビ君の希望に応えて、エドガーは他の食材を泥から取り上げ、腕によりを振るうことにした。
 先述の通り十分な火力の中、捌いたエビ君が赤くなるまでさっと炒める。泥の中から卵と……良い感じの歯応えがしそうな葉っぱをチョイスし、一緒に合わせて軽く火を通す。そこまで来たら竈から離して、何でも中華味になりそうな便利粉末を馴染ませれば、海老とレタスと玉子の中華炒めの出来上がりだ。
「おっと、仕上げは忘れないようにしないとね」
 食欲をそそる香りを感じつつ、お皿に盛り付けたところで、王子の威令をここに下す。そう――おいしくなあれ!
 すると薄紅に染まったエビ君が、瑞々しい輝きを放った……ように見えた。冷めないうちにいただきます、と口に運べば、香ばしい香りと食感が舌の上で踊る。
「ウンウン、とても美味しく出来ているね!」
 オスカーも食べる? 肩の上のツバメとも分け合いながら、エドガーはゆっくりと食事を楽しんだ。
 エビ君もきっと喜んでいるよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【煌歌】
かまどかぁ…
同時に複数使えるのかな

品数準備できるまでの繋ぎに焼肉用意
すぐ出来るからちょっと待っててね

器用な手先でピザとか
ご飯は待ち時間を生かしやすいから
その間に春巻きやポトフなんかも作れるかな
春巻きの中身は定番からチーズ、お肉など遊び心を
食べてからのお楽しみ
中華なら…麻婆豆腐とか
デザートはスイートポテト辺りは簡単で量産しやすいかも

僕1人じゃ大変なので【指定UC】発動
分身達にも協力して手伝わせる事で手数を増やし
【料理】スキルを活かして時間の許す限りあらゆる食事を準備
相手がミラさんだからね
中華にこだわるよりは質と量を重視で

ふふ、どう?美味しい?
僕は食べてもらう方が好きかな
喜ぶ顔が見たいから


ミラ・パーチェ
【煌歌】
アドリブ歓迎

栗花落さん謹製の
美味しい御飯が食べ放題って聞いたの!
食べることが【浄化】に繋がるなら
私は全力で食べて、食べて、食べ尽くすわね……!

ひたすら焼肉をもぐもぐ
手際の良さに感心している内
ピザの良い匂いがして、食欲をそそられちゃう!

もぐもぐ、もぐもぐ
春巻きにポトフに麻婆豆腐、スイートポテトまで!?
分身さん達の助けもあるとはいえ
栗花落さん、料理が上手過ぎて……す、すごい……!

ええ、本当に美味しい
お腹を空かせて来て良かったわ
満足感に浸りつつ、スイートポテトを一つ差し出し
折角の機会だもの
少しだけでも美味しいを分かち合えたら嬉しい

あ、栗花落さん
春巻きのお代わりをお願いしても良いかしら……?



●笑顔のスパイス
 栗花落さん謹製の、美味しい御飯が食べ放題。そんなフレーズに惹かれたわけでは……いや、八割くらいはそれが理由かも知れないけれど……とにかく、料理を食べることが、この祠に満ちる魔力を浄化することに繋がるのなら。
「私は全力で食べて、食べて、食べ尽くすわね……!」
「う、うん……」
 ミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)の語る意気込みに、すごい気合だなあと頷いて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は周囲の様子を窺う。ここ、三皇『女媧』の祠では、固まる事なき泥が蠢き、あちこちから噴きあがる炎が、消えない火の竈を形作っている。
「同時に複数使っても、大丈夫そうかな……?」
 付近の竈のいくつかを確保した澪は、とりあえず焼肉の用意を始めた。目の前で焼いて、焼けたものから食べる、そんな焼肉は他の料理が出揃うまでの繋ぎに丁度良いだろう。
「すぐ出来るからちょっと待っててね」
「はい!」
 待つ、という行為すら食事なのはどうかと思うが、とにかくミラはじゅうじゅうとお肉を焼き始めた。
 彼女がひたすらもぐもぐと焼肉をつついている間に、澪は他の料理に取り掛かる。お手伝い役に小さな自分の分身達を生み出して、手始めに準備をするのはご飯とピザ。炊いて焼いて、火にかければ待ち時間が生じるので、その合間を縫って隣の竈で別の一品を――。
「この匂いは……ピザ!?」
 焼肉からようやく顔を上げたミラは、もぐもぐと良い感じに焼けた肉を頬張りながら、澪の仕事振りを眺める。
「さすが、手際が良い……」
 料理が上手過ぎてすごい、などと感心している内に、出来上がったものからミラの前へと運ばれていく。春巻きにポトフ、麻婆豆腐と次々現れる美味しい料理の波状攻撃に、ミラは舌鼓を打った。
「こ、この春巻きの中身は!」
「うん、定番のものの他に、チーズやお肉のもあるからね」
 何が当たるかはお楽しみに、と趣向を凝らしたものもあり、自然と食も進んで行く。
「デザートにはスイートポテトを用意したんだけど、まだ早いかな?」
「そんなものまで!?」
 今すぐ食べたい、という求めに応じて、大振りなそれが運ばれる。質を落とさぬようにしつつ、この場に相応しく量も意識した逸品だ。
「ふふ、どう? 美味しい?」
「ええ、本当に美味しい。お腹を空かせて来て良かったわ」
 満足気なミラの言葉に、澪は「それは何より」と笑みを浮かべる。
「僕は食べてもらう方が好きかな」
「そうなの? でも――」
 人の喜ぶ顔が見たいから。そう語る澪へ、ミラはスイートポテトを一つ差し出す。
 気持ちは嬉しい。美味しい料理もとっても嬉しい。けれど、折角の機会なのだから、その美味しさを少しでも分かち合えたなら、きっともっと楽しいはずだから。
「お一つどうぞ?」
「うん、ありがとう」
 甘いそれを口に運んで、格別な味を分かち合って……でも、それはそれとして、まだちょっと物足りない、とミラのお腹が言っている。
「あ、栗花落さん。春巻きのお代わりをお願いしても良いかしら……?」
 はいはい、と微笑んで、澪はリクエストにお応えするために竈へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
【旅神】
うーん、料理を作りまくって、それを食いまくって浄化なぁ。
わかりやすいし戦うよりはずっと楽だけど、なんか勿体無えって気もする。複雑なモンだ。

えーと、おれも手伝おう、か?
(やる気満々で張り切ってる詩乃の姿に圧倒される)
……邪魔しちゃ悪ィかな。大人しく座って待ってるか。
それとも腹空かすために、なんか運動でもしてきた方がイイかな?
え、おれの好きな料理? んー、ありきたりだけど水餃子。

(次々に出てくる中華料理の数々)
満漢全席気分だなこりゃ。せっかく作ってもらったんだし、味わっていただきますか。
うん、美味ぇ。やっぱ美味い料理を振舞ってもらえるってのはいいモンだ。

ところで、詩乃もちょっとは食わねえ?


大町・詩乃
【旅神】

おいしい料理を作って食べるのなら平和で良いですよね~。
でも自分で作って自分で食べるだけは寂しいので、嵐さんに食べて頂きます。

チャイナドレスの上にエプロン着用して、中華料理に挑戦です。
道具や調味料などは家から持ってきましたし、食材は此処で調達できますから、頑張って作りますよ。

フライパンで野菜たっぷり八宝菜や紅焼肉やチャーハンを作ったり、蒸し器で肉饅頭や点心を作ったり、鍋に各種中華素材を入れてスープを作ったり、と色々と【料理】します。
嵐さんからリクエストあれば勿論作りますよ~♪

出来上がった順に嵐さんにお出しします。
(嵐さんの反応に笑顔で)はい、私も食べますね♪
と仲良く一緒に食べるのでした。



●神の食卓
「うーん、料理を作りまくって、それを食いまくって浄化なぁ」
 敵の居ない祠の中、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)を待ち受けていたのは、消えぬ炎と固まらぬ泥による、不可思議な光景だった。どこか複雑そうな表情を見せる彼に、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は柔らかく微笑んで見せた。
「おいしい料理を作って食べるのなら平和で良いですよね~」
「わかりやすいし戦うよりはずっと楽だけど、なんか勿体無えって気もするんだよな……」
 そういうものですか、と相槌を打ちつつ、詩乃はチャイナドレスの上にエプロンを身につけた。
「私が料理を作りますので、嵐さんはそれを食べていただけますか?」
「ああ、それは構わないけど……」
 頑張って作りますよ、と持ち込んだ器具や調味料を広げる詩乃の様子に、落ち着かな気な様子で嵐が問う。
「えーと、おれも手伝おう、か?」
「大丈夫です。嵐さんは座って待っていてください」
 なるほど、確かに邪魔すると悪い。上げかけた腰を下ろして、彼は大人しく待つことにした。
 そんな嵐に美味しい料理を提供するべく、詩乃は早速取り掛かる。やたらと火力の強い竈にフライパンを置いて、野菜たっぷりの八宝菜に紅焼肉、チャーハンといった炒め物を作る傍ら、別の竈では蒸し器を用いてさらなるメニューの準備をしていく。少しばかり竈から距離を置いて温度を調節、炒め物が揃う頃には、きっと肉饅頭や点心も揃えて出せるだろう。
 次々と用意されていくお皿の数から、出てくる分量を予測して、嵐は詩乃の背へと声をかけた。
「……腹空かすために、なんか運動でもしてきた方がイイかな?」
「もしかして、手持無沙汰……なんですか?」
 まあ、正直に言えばそうだろう。くすりと微笑んだ詩乃は、鍋を用意しながら問いかける。
「聞きそびれていましたが、嵐さんは何かリクエストありますか?」
「んー、好きな料理なら……ありきたりだけど水餃子だな」
「そうなんですね。でしたらそれも作りますよ~」
 それに、もうすぐ最初のお皿が出来ますからね。そう言って彼女は嵐にもう一度座ってもらった。

 お待たせしました、と言い添えて、詩乃は完成したものから嵐の前へと並べていく。
「冷めない内に召し上がってくださいね」
 手際よく竈を複数使いしただけあって、出てきた料理は多岐に及ぶ。様々な料理が渾然一体となった香りに、嵐は感心したように溜息を吐いた。
「満漢全席気分だなこりゃ」
 せっかく作ってもらったんだし、味わっていただきますか。次々と出てくる料理を前に、嵐は八宝菜から順に箸を進めていった。
「うん、美味ぇ。やっぱ美味い料理を振舞ってもらえるってのはいいモンだ」
 そういう反応は、料理を作った側にとっても嬉しいもの。詩乃の口元が自然と綻ぶ。
 けれど、そう。食べるところをじっと見られているのも落ち着かないので。
「ところで、詩乃もちょっとは食わねえ?」
「はい、私も食べますね♪」
 彼の声に応えて、詩乃もまた腰を下ろす。二人仲良く、ゆっくりと、浄化のための食事の時間が流れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イヴォール・ノトス
作って食べる。これで世界が救えるならシンプルでいいな
腹一杯食う事に関しては任せとけ
…とは言え、普段は食う専門だからなァ
料理の腕は人並みって訳で、豪華絢爛とは行かねェから作るなら町中華って所か

尽きない炎と溢れる食材…何でも作れて最高だな!
回鍋肉、油淋鶏、天津飯
魯肉飯…は中華だったか?まぁいいや
白飯が進む料理を大皿に山程作ろう
…親友に野菜も食べなさいって言われそうだな…八宝菜も作るか(でも白米に乗せる)

一通り完成したら、早速いっただっきまーす!
ンンー、自分で作ったにしては上出来なのでは
ガツガツ食べていても、素材の食感、風味、しっかり味わうぜ
作って貰ってばっかだから、今度はアイツにも作ってやろっかな



●手作りの味
「作って食べる。これで世界が救えるならシンプルでいいな……」
 灼熱の炎に、固まらぬ泥。この世の終わりか始まりか、といった光景の終わらせ方が、そんな自然の営みだというのだから可笑しな話だ。しかしながら、そんな単純な話で済むならそれに越した事はない。何しろそういうのは得意だから、とイヴォール・ノトス(暴食・f25687)は頷いてみせる。
 世界の無事を賭けた戦争というこの舞台で、特技を生かせるのだから幸運と言っても良いだろう。
「……とは言え、普段は食う専門だからなァ」
 やけに強い火力のかまどを前に、彼女は顎に手を遣って考える。中華料理がオススメ、というような話は聞いたが、自分の腕では豪華絢爛に、とはいかないだろう。作るのなら、一般大衆向けの中華料理になるか。
「ま、とにかくやってみるかァ」
 気負っても仕方ない、と笑って、イヴォールは調理に取り掛かった。火の番をする必要のない竈に、泥から食材が無限に湧き出る食糧庫、そう考えると環境はすこぶる良い。
「……何でも作れて最高だな!」
 というわけで、彼女は早速思い付くままメニューを選ぶ。回鍋肉、油淋鶏に天津飯、自然と食べ甲斐のあるものばかり挙がっていくが。
「魯肉飯……は中華だったか? まぁいいや」
 全体的に味付けが濃い目、ご飯がやたらと進みそうな料理を次々と大皿に乗っけたところで、ふと彼女の理性が囁いた。
 もしもこれを見たら、果たして親友は何と言うか。まあ、予想はすぐに付く。「野菜も食べなさい」、だ。
「……八宝菜も作るか……」
 アリバイ作りみたいな気持ちで野菜をたっぷり使い、出来上がった八宝菜は、大皿ではなく白米の上に乗せられた。
 何故か中華丼が出来てしまったが、野菜が入っているのは変わらない。大丈夫のはずだ。
「こんなトコかな?」
 一通り思い付いた料理が出来上がったところで、イヴォールは食事に取り掛かった。
「ンンー」
 頬張った回鍋肉の味は悪くない、というか香りがさらなる食欲を煽る。自分で作ったにしては上出来だ、と彼女の箸は淀みなく動く。幸いと言うべきか、「作り過ぎた」とか「食べ切れない」とか、そんな心配はしなくて済みそうだ。
 ……それにしても。
「作って貰ってばっかだから、今度はアイツにも作ってやろっかな」
 自然とそんな考えが頭に浮かんで、イヴォールはふと微笑んだ。だとすると、どんなメニューが良いだろうか。この中華丼――八宝菜にも、改善の余地はあるかも。そうして思考を遊ばせながら、彼女は『消えぬ炎』で作った料理を食べ進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ジャンブルジョルト
ネズミたちに中華料理を作らせるぜ。
中華といえば、青椒肉絲一択。味付けは豆板醤を使って辛み強めで。食材はシンプルに三つだけ。豚肉、タケノコ、そして、ピーマン!

今でこそアルダワきっての食通として尊敬と注目を集めている(あつめてない)俺だが、ガキの頃は偏食家でな。とくにピーマンが大嫌いだった。
だが、しかーし! 青椒肉絲と出会うことによって、ピーマンの美味しさに気付かされたのどぅわー!
……って、誰も聞いてねえか。

完成したら、即食べる!
うまーい! ほっぺた、落ちちゃう~ん!

あー、食った食った。
だが、これで終わりじゃねえ。次は麻婆豆腐だ! 中華といえば、麻婆豆腐一択!


※煮るな焼くなとご自由に扱ってください



●中華と言えば!
「お料理隊、集合!」
 ジャスパー・ジャンブルジョルト(JJ・f08532)の号令に合わせて、エプロンにコック帽姿のネズミ達がびしりと整列する。ジャスパーの従えた彼等は、その名の通りのお料理隊。身体は小さくとも得意な料理で、ジャスパーのことを援護してくれる頼もしい味方だ。
「中華といえば、青椒肉絲一択! ゆえに、オーダーはそいつだ!!」
 取り掛かれ、という命令に従い、ネズミ達は一斉に駆け出した。食材が無限に湧くという泥の中から、豚肉にタケノコ、それからピーマンを取り出して、それらを細かく刻んで行く。
「味付けは豆板醤を使って辛み強めで頼むぞ」
 おー、と追加の条件にも応えて、お料理隊は噴きあがる炎に焼かれないよう気を付けながら、ジャスパーのための料理作成に奮戦していた。その間、当のジャスパーは若干暇そうにしていたが、漂う青椒肉絲の香りが、彼をハッとさせる。
「今でこそアルダワきっての食通として尊敬と注目を集めている俺だが、ガキの頃は偏食家でな。とくにピーマンが大嫌いだった……」
 遠い目になって、ジャスパーはそんな子供の頃の記憶を語り始めた。まあ、『アルダワきっての食通』は大分盛ったが。
「だが、しかーし! 青椒肉絲と出会うことによって、ピーマンの美味しさに気付かされたのどぅわー!」
 その時の衝撃を表すような声音に、手の空いたお料理ネズミ達がわーわーと拍手を送った。
 ジャスパーがうんうんと満足気に頷いたところで、タイミングよく青椒肉絲の皿が彼の前に置かれた。それではすぐに、いただきます。早速彼は、ピーマンの魅力に気付かせてくれた思い出の料理を口に運ぶ。
「うまーい! ほっぺた、落ちちゃう~ん!」
 ぺかーっと輝くような笑顔。劇的な感想に、ネズミ達は「良い汗かいた」と言ったような満足気な笑みを浮かべた。
 そうしている内にも箸は進んで、ジャスパーはあっさりと一皿平らげてしまう。
「あー、食った食った……」
 舌もお腹も満足……と言いたいところだが。
「だが、これで終わりじゃねえ。次は麻婆豆腐だ!」
 えっ。
「中華といえば、麻婆豆腐一択! あれは俺が旅を始めたばかりのことだが――」
 ええっ。
 何やらさっきと似たような話を聞きながら、ネズミ達は慌てて次の注文に取り掛かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルヴィア・ジェノス
はいはーい!ご飯いっぱい作ります食べまーす!私どっちもだーいすき!!
うーんと作ってたらふく食べちゃうんだから!

今回は丼を色々作っちゃう!というわけでまずはご飯をたっくさん炊くわ!かまどで炊くごはん、美味しいに決まっているわ!

甘辛ダレを絡めた鶏もも肉と葱、最後に海苔を散らして焼き鳥丼!
具材たっぷり中華丼!とろとろ卵とサクサク衣のかつ丼!海老やナス、南瓜やししとうの天ぷらをどんと乗せた天丼!親子丼とか牛丼とかも作っちゃえ!それから酢飯を作って、海の幸を贅沢に使った海鮮丼も作るわ!
鮭を焼いて、海苔や葱を散らして、これはお茶漬けにして食べるの!

わーいご飯いっぱい!どれも美味しそう!いっただきまーす!



●丼の海
 固まることなき泥に、終わることなく噴き出る炎。それらを成す恐ろしい魔力は、料理、そして食事という形でも昇華することが出来るらしい。
「はいはーい! ご飯いっぱい作ります食べまーす!」
 まあまあ特殊な状況ではあるが、シルヴィア・ジェノス(月の雫・f00384)にしてみればパーフェクト。作るのも食べるのも大好きとあれば、ここは正に理想的な空間である。
「うーんと作ってたらふく食べちゃうんだから!」
 そういうのはとっても得意、と瞳を輝かせた彼女は、早速でかい羽釜をかまどに乗せた。何をしているのかと問えば、当然「ご飯を炊いている」と答えが返るだろう。竈と言ったら何より米。そしてこれをふんだんに活かすべく彼女が選んだのは、丼ものである。
 炊き上がるまでに準備した食材達を合わせて、シルヴィアは宝石みたいに輝くご飯をどんぶりに盛り付けていく。
 甘辛ダレを絡めた鶏もも肉と葱を乗せ、その上から海苔を散らせば焼き鳥丼の出来上がり。ほかにも熱い餡を絡めた中華丼に、サクサクのかつととろとろの卵を合わせたかつ丼、新鮮な野菜と大振りの海老をさくっと揚げて天丼に。親子丼と牛丼も欠かせない。それから海の幸を贅沢に使って、酢飯に乗せれば豪勢な海鮮丼――。
「うーん、ちょっと箸休めも欲しいかな?」
 そんな要求にも先回りして、ほぐした焼き鮭と、海苔と葱を散らした丼も用意する。ちょっと落ち着きたい時に、お茶漬けにすればきっと良い休憩になるだろう。
「わーいご飯いっぱい! どれも美味しそう!」
 一帯を埋め尽くす丼ぶり。シルヴィアは夢のようなその光景をしばし見入ってから、ああもう我慢できない、と言わんばかりにお箸を伸ばした。
「いっただきまーす!!」
 たくさん用意した分だけ、美味しい時間は長く続く。そしてそれと同様に、空間に満ちる魔力も、しっかり昇華されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菱川・彌三八
江戸じゃそねェな火は使えねェからよ、飯と云っても限られちまう
その大陸の飯っても、勝手が違えば上手くもやれねえ
ってェと此れよ
斬って混ぜて焼くだけ、量も味も上々
"鉄板焼"?"お好み焼き"?ってェ云うらしいぜ
すまほは何でも分かるのさ

柏手二つで呼び出したるは鉄の板
序でに丸くくり貫かれた板も
こっちは蛸(好物)を調べた時に出てきた奴で、"蛸焼き"って云うんだと
使う物も殆ど同じだってんだから楽で好いやな
しかも此奴で祭りになるってんだから景気が良いやな
いざ

混ぜて焼くだけ…と思いきや、案外上手くいかねェもんだ
見目が悪くとも旨いんだが、どうせなら綺麗に返したい
食って焼いて、慣れた頃にゃ丁度良い頃合いだろう



●意外とコツが要る
 三皇『女媧』の祠に存在する、消えぬ炎の竈は、菱川・彌三八(彌栄・f12195)の見慣れたそれとは大きく違うものだった。言う間でもなく、決定的なのはその火力。泥の海を割って噴き上がるそれは、離れていても秘めた熱気を感じさせる。
「江戸じゃここまでの火は使えねェからなァ……」
 少なくともご家庭で何とかできるものではない。ゆえに彌三八馴染みの料理は今回の場合『向いていない』ということになるだろうか。かと言って、オススメと言われていた大陸の料理も、ぶっつけ本番で上手くやれる保証はない。
 ……その辺りの事を鑑みて、彌三八が選んだ料理が、これだ。
「そんじゃ早速やってみるかァ」
 柏手を二つ打てば、この場に役立つガジェットの登場である。現れた大きな鉄の板――平らなものと、丸くくりぬかれたものの二種類が、炎の上に設置された。
「"鉄板焼"? いや、"お好み焼き"だったか?」
 『すまほ』で見つけたその名を口にして、彌三八は首を傾げる。料理の流れは切って混ぜて焼くだけ、これならば素人でもそう差は出ないはずだし、これで量も味も上々となれば言う事なしだ。
「"蛸焼き"って云うのも気になるんだよな……」
 何しろタコは彼の好物、きっと外れはないだろう。幸いどちらも材料は似たようなものだという。まとめて用意をしてやろう、と彌三八は材料の調達にかかった。

「――ははァ」
 半面の焼けたお好み焼きが、べしゃ、と鉄板の上に落ちる。折り畳むような形に崩れたそれを、彌三八は生意気な小僧と向かい合うような気持ちで見下ろした。
 調理の工程は混ぜて焼くだけ。そう、混ぜて焼くだけなのだが、そこに曲者が紛れ込んでいた。「形が崩れようが味には関係ねェ」と開き直っても良い。というか実際それでも旨いのだ。
 焼き上がったそれを頬張りながら、彌三八は少しばかり渋い顔をする。どうせなら綺麗に作りたい、と思うのは自然な流れだろう。しかしながら現実として、たこ焼きの方もうまいこと引っくり返らないという厳しい事態に陥っていた。これらの料理は世界によっては祭で振る舞われるというのだから、それなりの技術が必要なのかも知れない。
「よーし、次だ、次!」
 材料ならばまだまだある。腹だってまだ全然満ちてはいない。負けず嫌いの性分を覗かせながら、彌三八は続けて鉄板に挑んでいった。
 絵筆の代わりに握った串が、半球のたこ焼きをくるりと返す――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
【モノクロブラザーズ】

(あのお料理BGMと割烹着姿で登場)
確かに…マスターも仰ってました。
食べるってすごいことだと。
自分でないものを体に入れて
自分の力に変えてしまうんだからって

炒飯に回鍋肉とくれば、汁物が一品ほしいところ…
俺は卵スープを作りますよ!
まずは鶏ガラスープを…(検索)
よしっ──出でよ、鶏ガラスープのもと!
…この泥持って帰ってはいけませんか?駄目?

トヲルくんの手際がよくて、新たな一面を見つけた心持ち。
スーくんすごい、重いお鍋が手に吸い付いてるみたいです!
俺もお鍋を火にかけ…いやー!
(勢いに逃げていく)
(二人の協力を得てふわふわ玉子スープも完成!)

わぁ…これはちょっとした定食の出来では?


茜崎・トヲル
【モノクロブラザーズ】
むかしはさー、『食べる』ってしんせーな行為で。
自分に取り込む、自分にするって、だからやっぱりすごいことなんだよね。きっと。

まーそんなむずかしーことはいーのだ!(ねこさんエプロンを装備!)
おいしく作っておいしく食べよー!あっ、あーさんかっこいいね!すたいりっしゅ!
材料を切ってー(しゅたたたた)
泥から生まれた調味料をまぜてー……この泥ほしい……
いえーい強火ー!豚バラ炒めて野菜入れて調味料ばーってやって、さくっと炒めてでーきた!

あっ兄ちゃん!(がしっとつかまえ)
だいじょぶだよ、おれとあーさんが手伝うから!(いっしょにまぜる!)

かんせー!おいしそー!
みんなでー……いただきまーす!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロブラザーズ】

"食べる"って不思議な行為ですよね
それだけで力が湧いて元気が出るんですもの

(黒エプロン装着
今日はね、炒飯を作ろうと思います(某先生の真似
あ、もうトーさんは隙あらば褒める……(照れ
一度やってみたかったんです、中華鍋でパラパラ炒飯!
お肉を多めに入れて食べ応え抜群の炒飯を作りますね

食材を下ごしらえして
鍋に油を入れて加熱して……
確かにこの泥便利ですよね……一家に一泥……

ヨシ、それではっ
(包帯の下を怪奇に変化させて中華鍋エイサーッ

ウワーッ大丈夫ですか雲珠さん!
後ろで支えてますので一緒に混ぜましょう!

回鍋肉も卵スープもお店で出せるレベルの出来栄えですね……!
それでは、いただきます!



●中華の定食
 この祠に満ちた魔性――尽きる事無く燃える炎は、それを使って調理し、食べることで浄化することが可能となる。『享受し、食べる』、そんな人の行いを、ここではことさら意識してしまうもので、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)もまた、しみじみとそれに思いを馳せる。
「考えてみると、"食べる"って不思議な行為ですよね。それだけで力が湧いて元気が出るんですもの」
 生物の在り方のみを考えるなら、それはただの栄養補給だ。しかしながら、それでは終わらない側面もあるのではないか。彼のそんな言葉に、茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)はうんうんと頷いて。
「むかしはさー、『食べる』ってしんせーな行為で。自分に取り込む、自分にするって、だからやっぱりすごいことなんだよね。きっと」
「なるほど……」
 何か割烹着付けてきたら真面目な話になっている。若干面食らった部分はあるが、雨野・雲珠(慚愧・f22865)もまた、かつて聞いた言葉を思い出していた。
「確かに…マスターも仰ってました。食べるってすごいことだと」
 自分でないものを体に入れて、自分の力に変えてしまうんだから、と。
 改めて言葉にすれば大げさに聞こえるが、実のところ人は皆、本能的に『食事』の勝ちを理解しているのではあるまいか。
「まーそんなむずかしーことはいーのだ!」
「そうですね!」
 と、どんどん深みにはまっていきそうな思考を切って捨て、トヲルは雲珠に倣ってねこさん柄のエプロンに袖を通した。スキアファールもまた、黒いエプロンを装着、気を取り直して料理に――。
「あっ、あーさんかっこいいね! すたいりっしゅ!」
「あ、もうトーさんは隙あらば褒める……」
 ふふ、と照れ笑いを浮かべてから、今度こそ気を取り直して、スキアファールはテレビに出てくる料理の先生みたいな顔をした。
「今日はね、炒飯を作ろうと思います。一度やってみたかったんです、中華鍋でパラパラ炒飯!」
「良いね、それじゃおれは、アレを作ろうかな」
「アレですか?」
「そう、アレ、えーっと……」
 豚バラと野菜を刻んで炒めて、味噌風味の味付けにするやつ。
「回鍋肉?」
「そうそれ!」
「炒飯に回鍋肉とくれば、汁物が一品ほしいところ……」
 ふむ、と少しばかり考えて、雲珠は卵スープを作る事にする。三品セットで並べれば、何倍も美味しく頂けるだろう。皆で一緒に食べるそれを想像しながら、三人はそれぞれの料理に取り掛かった。
「おいしく作っておいしく食べよー!」
 ということで、炒飯担当のスキアファールは、食べ応えを求めて肉を多めに取り、材料の下拵えを開始する。その隣ではトヲルもまた、揃えた材料に包丁を入れ始めていた。
 しゅたたたた、と小気味良い音を立てて材料を刻んで行く様子に、スキアファールと雲珠が感嘆のこえを上げた。
「手際が良い……!」
 新たな一面を見つけた心持ちで驚く彼等を他所に、トヲルは良い感じの調味料を求めて、固まらぬ泥の方へと目を向けた。
 そして一方、雲珠も卵スープの方に取り掛かる。まずは初手として、ベースとなる鶏ガラスープがほしいところ。鶏の旨味をしっかりと引き出すため、鶏ガラをじっくりことこと煮込んで……とかやっていると日が暮れてしまう。となれば。
「──出でよ、鶏ガラスープのもと!」
 そんなのあり? と思わないでもないが、無限に食料の湧く泥の中からは実際そういうものも手に入ってしまった。
「……この泥持って帰ってはいけませんか?」
「おれもほしい……」
「確かにこの泥便利ですよね……」
 一家に一泥あれば買出しからも食糧難からも解放されるのだけど。思わずじっと見てしまうが、多分ここの浄化が終わったら固まってしまうのだろう、と結論付けて、三人はついに今回の任務のメイン、『消えない炎』を使う工程に入った。
「いえーい強火ー!」
 激しく燃え上がるそれを活かして、トヲルが豚バラと野菜をまとめて炒める。火力も十分な事だし、味がなじむように混ぜながら、手早くさくっと仕上げてみせた。やはり手際の良いその動きを見て、スキアファールも気合を入れて。
「エイサーッ」
 包帯に覆われた腕を少しばかり『影』として扱ってやれば、重い炒飯入り中華鍋だって自由自在である。
「スーくんすごい、重いお鍋が手に吸い付いてるみたいです!」
「ふふ、そうでしょう」
 実際半分手に吸いついているようなものだが。雲珠の言葉に、彼は若干誇らしげにそう返した。さて、回鍋肉の炒飯ときたので、後は卵スープだ。
「俺もお鍋を火にかけ……」
 具材を入れた鶏ガラスープを竈に置こうとしたところで、炎が一度激しく燃え上がる。
「いやーッ!」
「あっお兄ちゃん!?」
「ウワーッ大丈夫ですか雲珠さん!」
 桜の精には刺激が強い、というか普通に命の危険を感じさせる熱気に、思わず雲珠は飛び退いていた。
「だいじょぶだよ、おれとあーさんが手伝うから!」
「後ろで支えてますので一緒に混ぜましょう!」
「あ、ありがとうございます……!」
 それならば、退いてなどいられない。二人に背中を支えられながら炎と向き合った雲珠は、うおお、と気合を入れて、スープに卵を溶き入れていった。

 そうしてふわふわの玉子スープが出来上がり、三品目が三人の前に並べられた。
「おいしそー!」
「わぁ……これはちょっとした定食の出来では?」
「回鍋肉も卵スープもお店で出せるレベルの出来栄えですね……!」
 三人で作ったそれらの料理は、頑張った甲斐もあって、どれも輝いて見えるほど。
「それじゃみんなでー……いただきまーす!」
 いただきます、と手を合わせて、三人はあたたかなご飯を食していった。
 自分にないものを取り入れて、自分に変えて行く。食事を摂って元気が出る理由は、きっとそれだけでもないのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

海藤・ミモザ
夜澄ちゃん(f18329)と

本当、便利だよねー
好きなだけ作って食べられちゃう…!

やったー!
夜澄ちゃんのパン、食べてみたかったんだよー
簡単な事しかできないけど、私も手伝うね

焼餅?そんなパンが…!
そっか、パンケーキもパンだね!(目から鱗
棒に巻きつけるのも面白そう
じゃあ焼餅から作ってみよう!
後はお腹と相談で(笑

できたー!早速1口いただきまーす♪
ふぁっ、胡麻の香ばしさがたまらない…!美味しー!
パンケーキも、夜澄ちゃんのお手製は全然違う
ふわっとしてて蕩けそう~!
直火焼きのパンも、こんなに美味しいんだね
んー、幸せ!

あ、もしかしてフォカッチャも作れる?
故郷の味なんだ
それも食べてみたい!
どんどん焼いちゃおー♪


猫実・夜澄
ミモザさん(f34789)とご一緒します。
消えない炎と食材がどんどん出てくる泥ですか…。凄いですね、この祠、うちにも欲しいです!

お任せ下さい!
美味しいパンを焼きます!(腕捲り)

中華料理がお勧めでしたら、焼餅(シャオピン)は如何でしょうか。中華風のパンで胡麻の風味が美味しいです。
あとはパンケーキなど無発酵のパンならすぐ作れますし、棒に生地を巻き付けて直火で焼いても美味しいパンが出来ますよ。

という訳で早速作って食べましょう!
(出来立てをぱくり)やはり焼立てのパンは最高です…(幸せ

フォカッチャも作れますよ!
今迄のはフライパンで作れますが、フォカッチャはダッチオーブンに入れ上下を火にかければ作れます。



●美味しいパンをつくろう
 固まらぬ泥に消えぬ炎、一見すれば地獄のような光景ではあるのだが、見方を変えれば話は変わる。例えば、パン屋を営む猫実・夜澄(きつねのパン屋さん・f18329)から見れば。
「凄いですね、この祠、うちにも欲しいです!」
 何しろ光熱費のかからない竈がいくらでもあるのだ。しかも材料はタダでいくらでも湧いてくる。
「本当、便利だよねー、好きなだけ作って食べられちゃう……!」
 海藤・ミモザ(millefiori・f34789)もそれに同意する。その上、今回のテーマはお料理、となれば……。
「夜澄ちゃんのパンが食べ放題ってこと……?」
 前から一度食べてみたかった、そんな期待を込めた眼差しに、夜澄は力強く頷いて返した。
「お任せ下さい! 美味しいパンを焼きます!」
「やったー! 簡単な事しかできないけど、私も手伝うね!」
 早速付近の竈を確かめた夜澄は、何から取りかかろうか、と今日のお客様と向き合う。
「中華料理がお勧めでしたら、焼餅(シャオピン)は如何でしょうか」
「焼餅?」
「中華風のパンで胡麻の風味が美味しいです」
 へー、そんなのもあるんだね、と興味津々な様子のミモザに、夜澄は次々とメニューを提案していく。
「あとはパンケーキなど無発酵のパンならすぐ作れますし、棒に生地を巻き付けて直火で焼いても美味しいパンが出来ますよ」
「そっか、パンケーキもパンだったね!」
 何となく別物のような認識でいたけれど、そういえばそうだね。感心しつつもミモザの頭は「棒に巻き付けるのも面白そう」と興味に合わせて移ろっていく。
 続々と美味しそうなものが挙がるのは流石プロ、と頷いて、ミモザは頭を悩ませる。とはいえ、結論はすぐに出た。
「じゃあ焼餅から作ってみよう! 後はお腹と相談して決めるね!」
 自由にして素直な回答。腕捲りをした夜澄は、笑みを返して頷いた。
「でしたら早速作って食べましょう! まずは――」
 せっかくお手伝いを申し出てもらったことだし、出来るところは一緒に。というわけで、二人は共に調理にかかった。

 二人での時間は大変だけれどあっという間。しばしの後には、消えぬ炎の上で焼き上げたパンが、二人の前に並んでいた。
「それじゃ早速! いただきまーす!」
 約束通り焼餅から、二人は出来立てのそれに齧りつく。
「ふぁっ、胡麻の香ばしさがたまらない……! 美味しー!」
「やはり焼立てのパンは最高です……」
 じんわり口の中に広がる味と香り。夜澄としても満足の行く出来だったのだろう、彼女もまた相好を崩す。
「パンケーキも、夜澄ちゃんのお手製は全然違うよ……」
 こちらは見知ったそれよりもふわふわで、とろけそうな感触。間近で見ていたのにどうやったのかわからない……と感動するミモザにコツを教えて、二人はお喋りを楽しみながらそれぞれのパンを味わっていった。
 「直火焼きのパンも、こんなに美味しいんだね」と新たな発見を積み重ねていたミモザが、ふと思いついたそれを口にする。
「あ、もしかしてフォカッチャも作れる?」
 あれ故郷の味なんだよね、と続ける彼女に、夜澄は「勿論作れますよ」と請け負った。
「今迄のはフライパンで作れますが、フォカッチャはダッチオーブンに入れ上下を火にかければ作れます」
「本当? それも食べてみたいなー」
「続きはお腹と相談、ということでしたけど……」
 そういえばそんな話だった。夜澄の言葉に、ミモザは笑顔で応じる。こんなに美味しいのだから、行かない理由はないだろう。
「どんどん焼いちゃおー♪」
 三皇の祠で開催されたパン祭は、まだまだ終わらないようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
【ねぐら】
え、コメント?えっと、がんばりまーす!
レシピ本めくれば、変わった料理が目に飛び込み。
鯉の丸揚げ。私、これやってみる!

まずは鯉を……ぎゃー!暴れる!
リオンさん押さえるの手伝って!
(リオンさんの頭もガッてしつつ鯉をガンッて失神させ)
鱗を頑張って剥が……大きい!
捌いてワタとってよく洗い、身が開くよう両側に切れ目を入れ。
塩、酒、醤油を馴染ませて衣をつけ、煮えたぎる油の中へ!

身を反らせてじゅーじゅー唐揚げにした後、
大蒜生姜、葱に砂糖に豆板醤で甘酢あんを作って。
か、完成……手間暇かかる大作だったわ!

お味の方は、うん。普通においしい白身魚ね!
リオンさんもどうぞ!
大事な命。ひとつも残さずいただくわ!


リオン・リエーブル
【ねぐら】
さあ始まりました「女媧の塒・お料理編」
司会は私リオン・リエーブル
挑戦するのはリグさんだ!
リグさん意気込みを一言(マイク差し出し

司会しながら手伝うのがお約束
ってリグさんその鯉大きすぎ!
跳ねてる跳ねてるめっちゃ跳ねてる!
押さえるから頭をガッ…っておにーさんの頭じゃないからね!?
鱗剥がしにペンチがいるとかすごいね
鯉を捌くのはリグさんにお任せ
その間に薬味刻んで調味料合わせて
大鍋に油を入れてあっためておこう
美味しい素材は美味しい料理にしないとね!
ついでに副菜のさっぱりサラダをご用意
切って混ぜて簡単簡単

完成したらいただきます!
んー美味しい!さすがはリグさん
舌鼓を打ちながら美味し楽しい宴を楽しむよ



●お料理番組
 さあ始まりました『女媧の塒・お料理編』、視界は私、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)でお送りします!
 今回挑戦するのは皆さんお馴染み、リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)さんだ! 早速ですが意気込みを一言お願いします!
「え、コメント? えっと、がんばりまーす!」
 んー、緊張されてるのかまだ表情が固い気がしますねー。是非頑張っていただきたいところです!
 ――などとやっている内に、レシピ本を捲っていたリグはあるページで手を止めた。
「私、これやってみる!」
「ははあ、鯉の丸揚げ」
 普段見たことが無いのと、何より見た目のインパクトがすごい。食材も自在なところを活かし、リグは早速それに取り掛かった。
「まずは鯉を……ぎゃー! 暴れる!」
「ってリグさんその鯉大きすぎ! 跳ねてる跳ねてるめっちゃ跳ねてる!」
「リオンさん、ちょっと押さえるの手伝って!」
「押さえるから頭をガッ……ってそれおにーさんの頭だけど!?」
 そっちの頭はガンッてしないように。そんなこんなでわーわーどたばたとやった末、リグは鯉に一撃加えて失神させることに成功した。
「強敵だったね……」
「活きが良すぎたかも……?」
 きっとその分、味にも期待が出来るでしょうとまとめて、文字通りまな板の上の鯉へと向かう。
「鱗を頑張って剥が……大きい!」
「鱗剥がしにペンチがいるとかすごいね……」
 どうやら、まだまだ戦いは続きそうである。

 どうにかこうにか鱗を剥がせばようやく包丁の出番、捌いてワタを取ってよく洗い、身を開いていく。下味を付けて、衣を付ければ油に投入する準備は完了だ。鍋の方は、アシスタントに回ったリオンがしっかり温めておいてある。
「それでは早速!」
「お鍋に投下ですね!」
 熱した鍋に鯉が入れられ、盛大に音を立てて油が跳ねる。
「鍋に……収まる??」
「こうすれば何とかなりそうよ!」
 身を反らして油に収めて、衣が黄金色に染まり行くのを見守る。良い感じの唐揚げが食べられるまで、あと少し――。
 ということで、仕上げに作った甘酢あんをかけ、副菜にリオンの用意したサラダを添えれば出来上がりである。
「か、完成……!」
「リグさんおつかれさまー」
 大皿に乗せられたそれを、リオンがパチパチと拍手で迎える。
「すごい迫力だね」
「手間暇かかる大作だったわ!」
 でも、それだけの甲斐はあっただろうか、少なくともこの時点で動画映えしそうな絵面にはなっていた。そうなるとやはり、気になるのは味の方だが……。
「リオンさんもどうぞ!」
「それじゃいただきます!」
 箸先で衣を割れば、湯気と共に食欲をそそる香りが漂う。
「んー美味しい! さすがはリグさん」
「うん。普通においしい白身魚ね!」
 舌鼓を打つリオンの言葉に、リグが頷いて返す。
 食するとは命を頂くという事。この場に満ちた魔性の炎を昇華するのと同じく、その命を糧としていこう。
 ――ということで。
「リオンさんもまだまだ食べられるわよね!」
「うん、残さずいただこうね」
 豪快な一品が綺麗に姿を消すまで、宴は続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
クロト(f00472)と

料理は苦手なのじゃが
ごはんはクロトが作ってくれるが
任せきりでは負担が積もり積もってある日三行半を突き付けられる恐れがある
なのでこの機に腕を磨こう

温かい品がいいな。クロトがぽかぽかするのがいい
よし肉じゃがを作ろう、さあ教えてくれ

具材はどのくらいの大きさが好き?
彼の好みを聞いて、刻んで
負傷した指をUCで治して
困難極まる野菜の皮剥きや肉の切り難さに挫けかけて
こんな大変なことをクロトは…と玉葱刻みながら涙して
受け取った液体を投入して炎にかける

肉じゃがが何故ビーフシチューに!?敵の攻撃か!?
う、うん、美味しそう…(押し切られ
いただきまーす
おいしい。パン最高
これが私達の家庭の味かな


クロト・ラトキエ
千之助(f00454)のリクエストは肉じゃが…
いえ、僕は作るの苦じゃないですが。
(かまどを二度見
(焦げそう…

折角、彼が「作りたい」と仰るのに、心苦しいですが…
今回は嘘も方便という事で。

具材はあくまでベーシック。
ジャガイモは小ぶりのを洗い芽を取るだけ。
玉葱は可食部を残して八等分。
人参は皮を剥き一口大。
肉もブロック一口大に。
理由は――好きだから?うん、それで。
横目に見つつ、口頭で伝えて。
怪我には慌てて、気を付けてと笑って。
その間に、味付け用の…デミグラスをソロっと作って渡して。

かまどで焼き立てパン最高。
それから…
ビーフシチューが…
美味しそうだヨ!
味付け違うだけだし!

食らえー、ならぬ、
いただきます!



●お料理体験
 人間誰しも得意不得意はある。適材適所という言葉通り、それによって役割を分担することもあるだろう。佐那・千之助(火輪・f00454)とクロト・ラトキエ(TTX・f00472)の場合、料理はクロトが受け持つようになっていたが。
「任せきりでは負担が積もり積もって、ある日三行半を突き付けられる恐れがある……」
 どこかでそんな話を聞いたのか、千之助が呟く。そんな恐れを払拭するためにも、この機に腕を磨くべきではあるまいか。
「いえ、僕は作るのは苦じゃないですが……」
 そんな事で別れ話になる気はしないが、今それを言っても無理な気遣いのように聞こえるだろうか。とにかく「作りたい」と言うのだから、それを無下にするのもどうかと考え、クロトは共に料理に勤しむことにした。
「それでは、何を作りましょうか」
「温かい品がいいな。クロトがぽかぽかするのがいい」
 ふむ、と少しばかり考えて、千之助は寒い冬場に嬉しい煮込み料理を挙げた。
「よし肉じゃがを作ろう」
「わかりました、肉じゃがですね……」
 にこやかに返しつつ、クロトはこれから挑む竈へと視線を移す。そこでは地面から噴き出す消えない炎が、周辺を赤々と照らしていた。
 ――初心者にこの火力は酷では?

 ともあれ、クロトによるお料理教室が幕を開けた。
「ちなみに、具材はどのくらいの大きさが好き?」
「え? あー、そうですね……」
 ジャガイモは小ぶりのを洗い芽を取るだけ。玉葱は可食部を残して八等分。人参は皮を剥き一口大――と細かに指定を加えていく。好みと言いつつやりやすいようベーシックなサイズを指定して、クロトは千之助の工程を横から見守る。
「小さいとはいえ刃物は刃物ですから、包丁の扱いには気を付けてくださいね」
「心得た、次からは気を付けよう」
「もう……怪我を……!?」
 早々に切った指をUCで治療していた千之助は、しみじみとそれに頷いた。その後も彼は野菜の皮剥きや、中々切り離せない肉に苦戦しながらも調理を進めていく。
「いつも、こんな大変なことをクロトは……っ」
 思わず、涙ながらにそんな言葉が零れる。玉葱を刻むのはやはり大変なようで。
「そんな大層なものではありませんよ……」
 横からそう謙遜しつつ、クロトは味付け用の液体を渡して、「それでは火にかけてみましょう」と次の作業へと誘導した。
 めちゃめちゃに火力の高い炎から、距離を調節しながら煮込むこと暫し。良い頃合いでしょうというクロトの言葉に従って、千之助は湯気を立たせる鍋を火から上げた。
「ついに完成か……!」
 長かった、そして辛かった道のりを思い、しみじみと千之助が呟く。
「ええ、きっとその分美味しいですよ」
 言いつつ、クロトは竈で焼いていたパンを皿に乗せて、鍋の蓋を開けた。
「焼き立てのパンも良い匂いがしていますし……その……このビーフシチューも……」
「……うん?」
 素直に頷き返していた千之助だったが、その違和感にはさすがに気付いたようで。
「肉じゃがが何故ビーフシチューに!?」
 敵か? 敵の攻撃を受けているのか? 慌てる彼の様子に、クロトはそっと目を逸らした。煮込む工程の前に、作っておいたデミグラスを手渡したのは、他でもないクロトである。慣れぬ料理とは言え楽しんでもらえるように、よかれと思って。うん。
「いや、でも美味しそうだヨ!」
「う、うん!?」
「ほら、肉じゃがとは味付け違うだけだし!」
「ま、まあ……美味しそうなのは……」
 力業で押し切って、クロトはビーフシチューとパンのセットを彼の前に置いた。
「いただきます!」「いただきまーす」
 そんな一悶着があったけれど、とにかく美味しそうな匂いはそれら全てを平定した。パンにシチューの組み合わせは、それだけ強いとも言う。
「これが私達の家庭の味かな」
 そんなことを言い合って、二人は朗らかな笑みを交わした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼
不思議なかまどに無限に出てくる食材
何だか童話の世界みたいね

そういえばもうすぐバレンタイン
せっかくだから、チョコレートを使った料理はどうかしら

だけど甘いお菓子ばかりじゃ飽きてしまうかも
炒めた玉葱に赤ワインにスパイス
そこへ隠し味のチョコレートを入れて煮込めば
甘さとコクとほろ苦さを兼ね備えた
チョコレートソースの出来上がり

ヴォルフはそっちでお肉を焼くのを手伝って

焼きあがったステーキにさっきのチョコレートソースをかけて
焼き立てのパン、ポタージュと一緒にいただきます
そしてデザートには定番のチョコタルト

二人で一緒に作って、食べて
あなたと共に過ごす安らかで満ち足りたこの時間
ああ、なんて幸せなひととき


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼
ふむ…言われてみればこの状況は
アリスラビリンスのどこかにあってもおかしくないな
ともあれ、腹が減っては戦は出来ぬ、とも言うからな
折角の神の恩寵、ありがたく利用させてもらおう

甘味以外にも、チョコにはこんな使い方があるのか
なるほど、奥が深い

ああ、俺も手伝おう。何でも言ってくれ
それにしても凄まじい火力だ
さすがは原初の神の炎
ヘルガも火傷しないよう気をつけてな

焼き立てのパンにチョコソースを添えたステーキ
デザートに至るまで、チョコ尽くしのディナーを共に味わう
料理を作る時、食べる時のヘルガの幸せそうな笑顔を見ていると
俺の中にも力が満ちてくる
この力の源は女媧の炎か、それとも…

ごちそうさま
ああ、俺も幸せだ



●chocolate
「不思議なかまどに無限に出てくる食材……何だか童話の世界みたいね」
 三皇の祠に広がる光景を見渡して、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)はそう口にする。伴侶の告げる新たな見方に、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は「ふむ」と頷いて見せた。
「言われてみれば、この状況はアリスラビリンスのどこかにあってもおかしくないな」
 名付けるならば、『揺らめく炎と泥の国』といった形になるのだろうか。ともあれ、ここを成すのは不思議の国ではなく女媧の神威だと思われる。ならばその恩寵をありがたく利用させてもらおうと、ヴォルフガングは泥から湧く食材をその手で掬った。なるほど、種類は色々とあるようだが。
「せっかくだから、チョコレートを使った料理はどうかしら」
 何を作るか悩む彼に、もうすぐバレンタインだからとヘルガがそう提案する。しかしチョコレートとなると、甘いものばかりになってしまうが……。
「お菓子ばかりじゃ飽きてしまうでしょうけど――」
 それに先回りして、彼女は安心させるようにそう続けた。
 炒めた玉葱に赤ワインにスパイス、そこへ隠し味のチョコレートを入れて煮込めば、甘いばかりではなくコクとほろ苦さを備えたチョコレートソースの出来上がりである。
「甘味以外にも、チョコにはこんな使い方があるのか」
 なるほど、やはりその辺りは彼女に任せてしまって良いだろう、とヴォルフガングは納得した旨を告げる。
「手伝えることがあるなら、何でも言ってくれ」
「それなら、ヴォルフはそっちでお肉を焼いてくれる?」
 手頃な肉を二枚用意し、ヴォルフガングは言われた通りに竈へ向かう。後は火にかけた鉄板の上に、それを落としてやるだけだが。
「凄まじい火力だな……」
 近づくだけでも激しいまでの熱気を感じる。
「ヘルガも火傷しないよう気をつけてな」
「ええ、ヴォルフも」
 言われた傍から傷を負わないように気を遣いながら、彼は消えない炎でステーキを焼き始めた。
 その間に、ヘルガは手際よくパンを焼き、ポタージュの鍋を別の竈に乗せていく。勿論チョコレートをメインに据えたからには、ソースだけでなく甘味も。定番のチョコタルトを用意した。

「それじゃ、いただきましょうか」
「ああ、いただきます」
 程よく焼けたステーキに先程のチョコレートソースをかけて、二人はチョコ尽くしのディナーを共に味わう。たとえ戦争の合間であっても、この安らかな時間は何者にも代え難いと、ヘルガは花が綻ぶような表情で彼を見つめる。
 ああ、なんて幸せなひととき。そんな思いを感じ取って、ヴォルフガングも笑みで応える。彼女の笑顔を見ていると、身体の中に力が満ちていくようで。
「ああ、俺も幸せだ」
 心からの言葉で、ヘルガに感謝を伝えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
沢山料理作って美味しく食べればいいんだね。
どこに悪影響出るか分からないなら全力投球しないとね。
さー何を作ろっかなー。
これだけのいいかまど活かさないと勿体ないし!(わくわく)

本場という事で中華に挑戦。
湧いてくる食材から牛脂とかいい油採って豪快に強火で青椒肉絲とか炒飯とかまず挑戦。
辛さは沢山食べる事踏まえて程々に。
かまどの癖を掴めてきたら焼売とか焼き餃子とかを包んで焼いてみたり。
外側からぎゅっと内側に味を封じ込めるイメージでやるといい感じかなー。
十分作ったら実食。
大食いはそれなりに得意だしやっぱり料理は食べてこそだよねー。
たらふく食べて気力も魔力も充実させて、ご馳走様でした!

※アドリブ絡み等お任せ



●パワーアップ
 消えぬ炎と固まらぬ泥、留まることなく変化し続ける祠内部の光景に、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はその目を細める。漂う熱気に限らず、満ちた魔力がどう作用するか分からない――とのことだが。
「とにかく、沢山料理作って美味しく食べればいいんだね」
 使命感と同時にこの場を楽しむ意志を以て、彼はこの場に挑むことにした。
「これだけのいいかまど、活かさないと勿体ないし!」
 噴き上がる魔性の炎によって、竈あ十分温まっている。その激しい火力から中華がオススメなどと言われていたが、そもそもここは封神武侠界、その地の味を食べるという意味でも中華料理がベストだろう。
 ということで、泥から生じる食材の中で、最初に見出したのは牛脂である。もちろん直接食べるわけではなく、鉄鍋の中でその力を発揮してもらうのがその役割だ。燃え滾る炎の上で脂を溶かし、青椒肉絲や炒飯、炒め物に取り掛かる。強火の炎でそれらをさっと仕上げる内に、ヴィクトルもその竈の火力を体で掴んで行った。
 はねる油と、共に広がる食用をそそる香りをしばし味わい、かまどの癖を掴めて来たところで、焼売に餃子といった蒸し物にも挑戦していく。先程までと同じ要領では火力が強すぎる、適切に距離を置いて。
「外側からぎゅっと内側に味を封じ込めるイメージで……」
 しばし待つ。そうして出来上がった料理を、ヴィクトルは順に皿の上へと並べていった。
 作って提供する、というのも勿論悪くはない。けれど。
「やっぱり料理は食べてこそだよねー」
 今回ばかりは皿の上に乗った全てが自分用である。熱い湯気を纏ったそれを、順に口へと運んでいけば、豊かな味わいが舌の上へと広がっていく。
「辛さを控えめにしておいて正解だったかな?」
 刺激が少々物足りないが、その分食べやすい。たっぷり用意した料理も、これなら残さず平らげることが出来るだろう。
 腹一杯食べたなら、炎の浄化と共に、気力体力もその身に満ちる。佳境を迎えた戦争に挑む力を得たような思いで、ヴィクトルはぐっと伸びを打った。
「ご馳走様でした!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【盛】
ウン、ホンッットずっっと活き活きしてるよネ、キミら(食い気しかない狐組を前に今日も遠い目)
ハイハイオッケー、煮るなり焼くなりお好きに――なワケないだろ!
炎の扱いはお前の十八番だろ!今日は作るトコからオシゴトデス!

ソレ摘まみ食いで半分以上持ってかれるヤツじゃんか!

全く!ともあれ、こりゃまた豪勢な宴になりそーだな
(炒飯や回鍋肉等の定番に、珍味用いたスープや火鍋、それから――と、ちょっと考えてる隙に!)
おいコラ、ホントに味見という名の摘まみ食いだけでどんどん減ってるじゃんかー!

(何とか作り上げ一息)
よし、頑張った甲斐あった!頂きマース!

っておかわり早!
おたまもそれ以上丸くなってどーすんだー!


千家・菊里
【盛】お供のおたまも共に
炎に御馳走――ふふふ、宴に続き此程お誂え向きな戦場があるとは、俺のやる気も燃え上がるというものです
という訳で、伊織が作る、俺とおたまが食べるという完璧な連携作戦で良いですか?
仕方ないですねぇ
では伊織が作る、俺とおたまが味見して盛る、そして皆で食べる作戦にて(きりっ)

烤、爆、燻、炒、炸――いやぁ、作り放題食べ放題とは最高ですねぇ
立ち上る音や香だけでも何と美味しそうな
折角なので満漢全席を目指しましょう
(何だかんだで火加減には一家言あるのか
自らもうきうき作り
…つつ遠慮なく味見しまくっている!)

ふ、流石の火力です
力作が揃いましたね

これはおかわりも楽しみです
(もりもりもぐもぐ!)



●本領発揮
 消えることなき炎、固まることなき泥、そしてその中から湧き出す無限の食材。女媧の塒にある祠の中は、ある種特徴的な空間となっていた。しかしながらこの状況は、千家・菊里(隠逸花・f02716)にとっては理想的な場でもある。
「炎に御馳走――ふふふ、宴に続き此程お誂え向きな戦場があるとは、俺のやる気も燃え上がるというものです」
「ウン、ホンッットずっっと活き活きしてるよネ、キミら」
 もはや何度目か分からぬ呆れ声で、呉羽・伊織(翳・f03578)がそう返す。戦争の度にその手の機会は訪れるが、何故か今回は食欲に物を言わせるタイプが続いている。菊里とそのお供のおたまが元気なのは別に良いのだけど。
「という訳で、伊織が作る、俺とおたまが食べるという完璧な連携作戦で良いですか?」
「ハイハイオッケー、煮るなり焼くなりお好きに――なワケないだろ!!」
 何故ですか、適材適所ですよ、みたいな顔をしている菊里に、伊織は正論を重ねて言い募る。
「炎の扱いはお前の十八番だろ! 今日は作るトコからオシゴトデス!」
「仕方ありませんね……」
 どうやら納得はしてくれたようだ。肩で息をする伊織に、菊里はきりっとした顔で譲歩案を提出した。
「では伊織が作る、俺とおたまが味見して盛る、そして皆で食べる作戦にて」
「ソレ摘まみ食いで半分以上持ってかれるヤツじゃんか!」
 さっきとあんまり変わって無い気もするが、少なくとも伊織も食事に混ぜてもらえる保証は取れたようで。「これ以上やりあってもしょうがない」と判断したか、彼はその布陣で戦場に挑むことにした。
「全く! ……ともあれ、こりゃまた豪勢な宴になりそーだな」
「楽しみですねぇ、伊織の用意してくれる満漢全席」
 などと言いつつ、菊里も竈の一つへ歩を進めている。先程伊織の言った通り、炎の扱い――火加減には彼も一家言ある身だ。見ているだけで済ませるよりは、こちらの方が。
「だったら最初からそう言えよな……」
「――いやぁ、作り放題食べ放題とは最高ですねぇ」
 文句の声を華麗にスルーし、食材を集め始めた菊里を見て、伊織も自分の料理に取り掛かった。

 満漢全席などという単語が出たように、一皿二皿で満足するような手合いとは話が違う。炒飯や回鍋肉等、定番の炒め物を仕上げたところで、次は何を作ろうか、と伊織は頭を悩ませる。
「順調ですか、伊織?」
「ああ、次は何を作ろうかと思ってな」
 手を止めて様子を見に来た菊里に、そう応じると。
「俺はスープが欲しいですね。フカヒレか燕の巣が良いです」
「お前……何しに来たのかと思えば……」
 リクエストのタイミングを窺っていたのか? 伊織のそんな疑いに、菊里は笑顔で首を横に振った。
「いえ、俺はただ伊織がちゃんとやっているか確認に来ただけですよ」
 中々良いお味でした、と続けられた言葉に、伊織が「ん?」と首を傾げる。後ろを振り返れば、そこには先程盛り付けたばかりの料理達が――。
「おいコラ、ホントに味見という名の摘まみ食いだけでどんどん減ってるじゃんかー!」

 そんなこんなで減っていく料理に苦戦しながら、どうにか予定していた料理が一式完成した。疲労混じりに呟く伊織の横で、菊里が満足気に頷く。
「ようやく一段落か……」
「ふ、流石の火力です。力作が揃いましたね」
 さて、ここからはようやく食事のターンだ。「頂きマース!」と待ち侘びた言葉を口にし、二人は料理に箸を伸ばした。特殊な炎によるもの……というより空腹感のためもあるだろう、舌の上に広がる豊かな味わいに、伊織はしみじみと溜息を吐いた。
「ああ、頑張った甲斐があった!」
 ええ、本当に。一切箸の動きを緩めないまま、菊里がそう頷いて応える。
「これはおかわりも楽しみです」
「っておかわり早! おたまもそれ以上丸くなってどーすんだー!」
「おや、伊織。早く食べないと無くなりますよ?」
 続く無慈悲な問いに、もう一度伊織の悲鳴が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
この食材、大丈夫なの?
けど泥から無限に出てくるなんでめちゃくちゃ便利だな!
持って帰りた……や、しないけど。ホント

でっかい中華鍋を用意してと
ご米と玉子と、ナルトとチャーシューだしてくれ!
うわ本当に出てきた
しかも確りご飯炊けた状態で出てきたぞ

よーしやるかあ
お鍋に油をひいて、みじん切りしたネギと溶き卵を一気に!
こんなに卵使ってゴウカだな!
少し火が通った所で米を投入
卵と米が混ざったら塩コショウと細かく切った具を入れ
更に炒める……すると何という事でしょう
炒飯の完成だ!

おー、パラパラじゃん
続いて麻婆豆腐も作っちゃおう
ちょっとした定食だね
へっへっへ、この前食堂で見てから食べたかったんだよな
いただきまーす!



●街の中華屋の定食
 大きな中華鍋を前にして、九之矢・透(赤鼠・f02203)は考える。
 料理をする必要があることはわかっている。そのための献立だって考えてきた。材料であるご飯と卵とナルトとチャーシューは揃ったけれど、でも。
「この食材、大丈夫なの……?」
 そう問われると「多分大丈夫」としか言いようが無い。まあ確かに、泥から炊き立てのご飯が湧いてくるシーンはちょっとしたホラー映像だったけれど、女媧の神威とか何とかその説明で納得して欲しい。実際問題、そこにさえ目を瞑れば無限に食材が湧いてくるという超便利な状況なのだから。
「持って帰りた……いや、んー……」
 色々と悩ましい部分は残っているし、ここで消化してしまうのが一番だろう。ということで気を取り直して、透は鍋に向き直った。
「よーし、やるかあ」
 黒く輝く鍋に油を引いたら、みじん切りにしたネギと溶き卵を一気に投入する。無限湧きする事もあって、卵は思い切って大量に使った。彼女にしてみれば贅沢なそれは、すぐに音を立てて固まり始めた。
「おっと、流石に火力が強いな……!」
 竈の下で燃える炎は、焚き火のそれや食堂の調理場で見るものに比べて、明らかに強い熱を放っている。中華鍋を火から浮かせて距離を取りながら、慌ててご飯を投入する。一気に重量を増した中華鍋を頑張って振り回し、ご飯と玉子を混ぜていく。素早く混ぜ合わせることで米粒が玉子にコーティングされたようになる……というような話を聞いたことがあるものの、じゅうじゅうと香ばしい湯気が立ってよく見えない。というか火の傍に居るだけでもまあまあ辛いのだが。
「絶対に落ちるなよお前達……!」
 ポケットと帽子の中に向けてそんな声をかけながら、透は続けて刻んだ具を投入した。それから塩コショウを振りかけて、軽く全体を炒め合わせれば、あつあつの炒飯の完成である。
「おー、良い感じじゃん?」
 おたまで掬って炒飯のパラパラ具合を確かめて、「苦労した甲斐があった」と汗を拭う。でもちょっと、これだけでは物足りないので。
「もうひと頑張りするかー」
 次は豆腐と挽肉。麻婆豆腐だ! と意気込んで、透は再度泥から湧く食材を求めた。

 完成したそれもお皿に乗せて、二つ並べれば、麻婆豆腐と炒飯の中華定食の出来上がり。
「へっへっへ、この前食堂で見てから食べたかったんだよなー」
 いただきまーす! と元気よく言って、まだ熱いそれをスプーンで口に運ぶ。
 自分で作った料理というものは、それだけ特別な味がするもの。適度な辛味も濃い味付けも、疲れた身体に丁度良い。
 自然と彼女の食も進んで、魔性の炎はその分だけ浄化されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
食材って屠殺するところから始めるの? 違う?
ふぅん……変なの。生きてた時のないお肉だなんて!

それはさておき
えぇ、この前の船では運んでばかりの働きづめで
おあずけされて食べる暇なんてなかったんだもの
メアリもおいしいものが食べたいわ

とは言ってもメアリはお料理なんてできないから
ここは【見えざる友人】たちにお願いを
用意された調理道具たちが擬人化されて
(そう見えるのはメアリにだけみたいだけれど)
メアリ、お肉や甘い物がいいわとリクエストすれば
お料理のリクエストが受理されましたと動き出す!

そうして待つことしばしお腹はぐぅぐぅ
かまどを使ってできたのは
お肉を包んだ叉焼包! 桃を象る寿桃包!
熱々のうちにかぶりつく!



●今度は食べる番
「食材って、屠殺するところから始めるんじゃないの?」
 お肉を食べたいのならば、まずはお肉を獲るべきなのでは? メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は狩猟者の観点からそう述べるが、この場所ではどうやら勝手が違う。女媧の影響下にあるのだろうか、固まらない不可思議な泥からは、新鮮な肉が捌かれた状態で湧いてきていた。
「ふぅん……変なの。生きてた時のないお肉だなんて!」
 これでは何の肉だか分かりやしない。彼女にとっては馴染みのない状況だが、これは童話ではなく神話の領分、仕方のないことかもしれない。
 ともあれ、それはそれとして、美味しいものが食べたいという欲求はある。
「この前の船では運んでばかりで、食べる暇なんてなかったもの」
 もうお預けはごめんだと膨れてみせて、メアリーは『見えざる友人』達にお願いをすることにした。
 刈り取る者、メアリーには料理が出来ない。それ故に、彼等に代わりを務めてもらうのだ。
「メアリ、お肉や甘い物がいいわ」
 彼女のリクエストに、愉快な仲間達――用意されていた調理器具にしか見えないそれらが、ガチャガチャと音を立てながら頷いた。
 メアリーの見ている仲間達は一度こうべを垂れてから、きびきびとした動きで泥の中から目当ての食材を探し始め――彼女の瞳の外では、ひとりでに動いた包丁が、おたまが、肉を突き刺し蜂蜜を掬う。親切で、忠実な彼等は、メアリーが腰掛けて足をぶらぶらさせている内に、せっせと働いてリクエストに応えてくれた。
 かまどを炙る激しい炎の輝きを背景に、彼女の元へと蒸籠が届けられる。蓋を開ければ叉焼包の香ばしい匂いと、寿桃包の甘い香りが豊かに広がった。
「あの食堂で見た時から、食べてみたいと思っていたの」
 『友人達』にお礼を言って、メアリーは自分のために運ばれてきたそれにかぶりついた。炎の熱気の残るそれは、熱いけれど柔らかく、彼女の舌を楽しませる。
 生きた事の無い肉は、どことなく物足りないような気持ちにさせるが。
「次は何にしようかしら」
 そんな風に思いを巡らせながら、次は桃によく似たそれを齧った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アン・カルド
【書庫組】

ここにいると安心するよ…なにせ僕を含めて皆、料理に自信がない組だからね!
先が思いやられるなぁ…

なるほど中華…場にあった選択で悪くないんじゃあないかな。

ふむ…皆、手が使いにくいと…そうなれば僕の役割は、包丁だね。
皮むきにみじん切りに…あまり上手じゃないけど切るぐらいなら僕にだってできるさ。
…だけどこの量はちょっと厳しいかも。
となれば…【忍者】。
忍者君は忍者だし刃物の扱いは慣れてるだろう、手伝ってくれよ?
僕の倍…いや、5倍は早いね…しかも飾り切り。
…まぁ一緒くたに炒めるから関係ないんだけど。

後は皆に任せて揺れる大鍋でも眺めていよう。

うん、意外とおいしくできたんじゃあないかな?


アウラ・ウェネーフィカ
【書庫組】
調理の経験など、肉を焼いた事ぐらいしか無いが……
いや、参加するからには出来る限り頑張らねばな

作る料理は――中華か
ふむ……では、私は炒飯を作るとしよう(用意されたレシピで、比較的簡単そうな物を選ぶ)
【UC】で自我を持たせた大鍋に、アンさん達が用意してくれた具材を投入
ロランさんに火加減などを見るのを手伝ってもらいながら、大鍋に指示を出して調理を行い……ふぅ
しかし、熱い……複雑な動きをさせる為に忙しなく指示を送るのもあって、中々に疲れるな

――これで完成か
炒飯に生春巻き、ふふ、どちらも中々に良い出来ではないだろうか
……えーと、いただきます?
うむうむ、皆で作った料理だ。非常に美味に感じられるな


ロラン・ヒュッテンブレナー
【書庫組】で、チャレンジクッキングなの

いつもは、じぃやとマリア(従者な執事とメイドNPC)に、
任せちゃってるから、お料理は得意じゃないけど…
こんな時くらい、ぼくもお料理がんばるの

作るお料理は、中華にしよっか?
レシピは、マリアにもらってきたの
お料理苦手なメンバーだけど、分担してがんばろ?

ぼくの手は獣化してて握力が低いから、
狼の嗅覚と聴覚【聞き耳】を使って、
食材選びや味付けの確認とか、
音で火加減とか火の通り具合とか見るの
他にも何か、お手伝いするよ

ふぅ、なんとか、できたね?
みんなでがんばったもん、きっとおいしいの
いただきます

みんなと一緒だから、やっぱりおいしいの
小食なんだけど、いっぱい食べられるの


ストレゴーネ・ランナー
【書庫組】
●アドリブ・連携〇

さて、料理を作るとなると
まずは私は犬だから手は使えないわ
なので、アイテム「武霊・ウェポンマスター」の手を借りることにするわ。
私が作るのは生春巻きにするわね
「式神使い」を使ってウェポンマスターの包丁さばきで具材を切って、柔らかい春巻きの生地で具材を巻いてあとは盛りつけをするだけね。



●チャレンジクッキング
 三皇『女媧』の祠、この場に満ちる魔性を浄化するには、炎を使った料理が必要――ということでアルダワの書庫から出向いてきた面々だが。
「調理の経験など、肉を焼いた事ぐらいしか無いが……?」
「ぼくも、いつもはじぃやとマリアに任せちゃってるから、得意じゃないけど……」
 アウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)とロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)がそう申告すると、ストレゴーネ・ランナー(知識を探求する淑女・f32984)もそれに続く。
「私はそもそも手が使えないわ」
 中々の事態に、アン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)はへらっと力無い笑みを浮かべた。
「ここにいると安心するよ……なにせ僕を含めて皆、料理に自信がない組だからね!」
 妙な負い目を感じなくて済むのはありがたい。強いて言うなら完成品がどうなるか読めないのが玉に瑕か。
「先が思いやられるなぁ……」
 自然と遠い目になりかけるのを、ロランが何とか引き留める。こんな時くらい、いや、こんな時だからこそ、頑張らなくては。
「お料理苦手なメンバーだけど、分担してがんばろ?」
「ああ、参加するからには出来る限り頑張ろう」
 だが、何から取り掛かるべきか。首を傾げるアウラの前に、ロランが持参したメモを広げてみせる。
「この時のために、マリアからレシピを預かって来たの。作るお料理は、中華にしない?」
「なるほど中華…場にあった選択で悪くないんじゃあないかな」
 アンもそう頷いて、皆と一緒にそのレシピを覗き込む。そこにはロランのためにと、色々な食材に対応できるようたくさんのメニューが並んでいた。
「これなんか良いんじゃないかな。美味しそう」
「でも……誰か蒸籠の使い方知ってる……?」
 えっ、何となくしかわからない。そうして色々と悩んだ末に、アウラがメニューの一つを指し示した。
「この……炒飯でどうだろうか」
 自分達でも作れそう、という妥当な判断である。じゃあそれにしよう、と決まったところで、ロランが最初の仕事を申し出る。
「えっと、それじゃあぼくが食材を集めて来るね」
「私も一緒に行くわ。生春巻きくらいなら作れそうだし」
 ストレゴーネもその後に続いて、二人は揺蕩う泥の方へと向かっていった。人狼であるロラン、そして犬のストレゴーネは共に鼻が利く。優れた嗅覚で以て、無数の食材の湧く泥の中から目的のものを探り当てていった。
「チャーシュー……?」
 レシピの中にあったその文言に、ロランの足が止まる。いくら食材が湧いてくるとはいえ、加工済みのお肉なんてものが――。
「あったわよ」
「あるんだ……」
 結果的には順調にいったと言えるだろう、そうして集めてきた食材を、ロランはアンへと手渡した。
「僕が切るの?」
 と最初はそんな話になったが、ロランが獣化した手を、アウラが梟の翼を示したところで、包丁担当は決定した。
「まあ、任せてよ。あまり上手じゃないけど、切るぐらいなら僕にだってできるさ」
 ぎこちない手つきながら、レタスをざくざくと刻んで、チャーシューはみじん切りに。炒飯というメニュー選択が幸いして、食材の種類は多くない。ただちょっと、今回のは具沢山レシピだったようで。
「この分量は厳しくない……?」
 ロラン達の食材調達が上手くいき過ぎたせいもあるだろうか。とにかくこの状況を打破するべく、アンはレシピの代わりに魔導書を捲り、『不可視の忍者』を召喚した。
「忍者君は忍者だし刃物の扱いは慣れてるだろう、手伝ってくれよ?」
 彼女の言葉に応じ、一陣の風が駆け抜けると、塊状態だったチャーシューが刻まれ、ばらばらと崩れ始めた。
「仕事が早い……」
 でもなんで飾り切りにしたの? 自慢? まあいいけどさ。
 そんなことを言いつつ、アンが残りの野菜を切っている間に、ストレゴーネもまた武霊を召喚し、具材を刻むのを担当させていた。武器の代わりに包丁を使った武霊の成果を、春巻きの生地で巻いて、盛り付けを行えば、シンプルなサイドメニューの出来上がりである。
「向こうは順調かしら……?」
 そっと竈の方を探り見ると、アウラが丁度大鍋に材料を投入するところだった。
「――今、我が名に於いて汝らに偽りの生命を授けん」
 詠唱と共に、竈の上の鍋が命と自我を与えられ、「熱っつ!!!!」みたいな感じでひとつ脈打つ。
「熱さに弱いのかな……」
「そんなことは無いと思うが……」
「すぐに慣れるんじゃない? 鍋だし」
 アンの洞察通り大人しくなった大鍋に、早速アウラが指示を出し、消えぬ炎で炒め物を開始する。
「中身を混ぜろ……いや、混ざるように体を揺すれ」
 ちなみに彼女が指令担当、感覚の鋭いロランがその助手、アンは見物係である。
「アウラさん、もうちょっと強く混ぜた方が良いかも」
「ああ、わかった――複雑な動きは指示が難しいな」
 左右に揺すれ、上下に跳ねろ、その場で回転、などと試行錯誤を繰り返している内に、激しい火力で鍋の中はすっかり仕上がってきていた。
「しかし、熱い……」
「もうそろそろ、火から上げて良さそうだよ」
「よ、よーし」
 もうひと頑張りだと息を吐いて、汗を拭いながらアウラが最後の指示を出す。
 いや、出そうとしたが。
「飛べ――いや、飛ばしたら中身も飛び散るか?」
 もしや、最後は自分達の手で上げなくてはならないのでは?
「こ、焦げ付いちゃう、アンおねえさんも手伝って!」
「え、僕も?」
 頬杖ついて眺めていたアンも加わって、彼女等はわあわあしながら大鍋を回収した。

「そう……大変だったのね」
 どことなく苦労を滲ませる出来栄えの炒飯を前に、生春巻きを並べたストレゴーネがしみじみと呟く。疲労を滲ませてそれに頷いた三人も、ようやく席に着いて。
「しかし苦労の甲斐はあった……中々に、良い出来ではないだろうか?」
「みんなでがんばったもん、きっとおいしいの」
 贔屓目もあるかもしれないが、お皿に盛られた完成品は、輝いて見える気がする。
 アウラの言葉に頷いてから、ロランが「いただきます」と一言。食欲をそそる香りの炒飯を、皆一緒に口に運ぶ。
「――うん、意外とおいしくできたんじゃあないかな?」
 意外、とアンが正直な感想を口にすれば、他のメンバーもそれに同意した。
「みんなと一緒だから、やっぱりおいしいの」
「皆で作った料理だ。非常に美味に感じられるな」
 うむうむと頷いて、アウラがもう一口それを味わう。普段は小食のロランも、今日はたくさん食べられそうな、そんな気がした。

●炎の浄化
 揺らめく炎、消える事なきその熱気は、猟兵達の料理と食事を通して少しずつ収まっていく。
 三皇『女媧』の祠には、やがて元の静寂が訪れるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月28日


挿絵イラスト