殲神封神大戦⑯〜仙界のどっかで愛を叫んでみる
「心の赴くままに愛を語ってくると良いわ!!!」
アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)は開口一番そう告げる。
「何かをしないと出られない部屋って、二次創作のネタでしか見た事無かったけど……いやぁ世界って広いのねぇ」
と、地球文化に妙に詳しいエルフは目を輝かせて説明を開始する。
封神武侠界における人類の祖神――それが三皇が一『女媧』。
幸いにも女媧は神農の様にオブリビオンとして蘇ってはいないものの、彼女の祠は「消えることのない炎」と「固まることのない泥」で満ち、恐ろしい魔力に満ちている。
その魔力は浄化せねばならぬのだが、まぁ簡単に済む話では無い。
「この塒に入るとね、その『固まることのない泥』が周りを囲んじゃうのよ。で、あっという間に固まって部屋になる訳。勿論、四方に出口なんて無いわ」
美しき彫刻の壁の密閉空間――それこそ『愛を語らないと出られない部屋』!!
アルゲディは、キャッとか頬を赤らめてはにかむ。女子には堪らないシチュエーションって奴……らしい。
「閉じ込められた人が脱出するには、愛するものについて真摯に語れば、魔力が浄化されて泥壁が消えて出られるって訳。簡単よね?」
簡単だけど、場合によっては難しいし小っ恥ずかしい。
愛するもの……は、『者』でも『物』でもどちらでも良い。
大好物のどら焼きについて語るとか、スマホゲーの推しについて熱く語るとか、趣味である麻雀の奥深さを延々語るとか。
「ま、要は貴方達の『好き!』を語って来て頂戴! どさくさに紛れて告白しに行ったって良いわよ!!」
一緒に行く時点で下手したらバレバレかも知れないと言う事実はさておき。
「私はみんなを塒の外まで送り届けて、ついでに耳傾け……げふんごふん」
――エルフの耳は地獄耳、らしい。
「んじゃ、愛を語りたい人は来て頂戴ね♪」
天宮朱那
天宮です。
愛は用法用量を正しく守って叫びたい。
プレイングボーナス→「誰か(あるいは何か)への愛を語る」
同性でも異性でも、恋人でもママでもパパでも兄弟姉妹でも、ペットでも。
もしくは二次元三次元問わずに推しでも構わない。
好きな物でも事象でも趣味でも問題はなし。
汝の心の赴くままに愛を語れ!! 300字(450字)以内で!!!
愛の方向性で齟齬が生じないように、キャラ口調がオススメ。
ただただキャラの好きなものを熱籠めてプレゼンしてくれても良し。
複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。
失効日がずれるので送信日もなるべく合わせて頂けると有り難く。
ソロ参加、あるいはペア参加推奨。
公開と同時にプレイングは受付開始。
マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)などでも随時告知をしますので確認頂けますと幸い。
適度に人数集まったら〆切目安の告知予定です。
第1章 日常
『愛を語らないと出られない部屋』
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POW : 情熱的に愛を語る
SPD : 淀みなく愛を語る
WIZ : 語彙を尽くして愛を語る
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雨倉・桜木
SPD/暴走気味
愛を語れと言われたらぼくは愛猫くんたちへの愛を狂気的に語るしかない。それでは早速(深呼吸
※以下ノンブレス※
キュウダイくんは召喚の度に容姿が変わるから鼻の色味も変わるんだ。どれも堪らなく可愛いのだけれどやっぱりピンクが愛らしい!めちゃくちゃ目つき悪いのに鼻がピンクであるだけで鋭い眼光も鼻を引き立たせるチャームポイントにしかならない!ああ、最高だね、ピンクのお鼻。匂いを嗅ぐときの動きも堪らないよね、一生懸命に嗅いでます!と言った具合にヒクヒクするの。ぼくずっと見ていられる!!指を向けたときについ匂いを嗅ぐとこも本当に可愛いったぁあ!?(当猫による額の一本角で軽く刺されて強制終了)
その青年のテンションは最初からクライマックスであった。
「愛を語れと言われたら、ぼくは愛猫くんたちへの愛を狂気的に語るしかない」
雨倉・桜木(愛猫狂・f35324)が女媧の塒に足を踏み入れれば、泥の壁にその周囲を取り囲まれてあっと言う間に密室に閉じ込められる。しかし慌てる素振りは微塵も見せる事はしないのだ。
そう、彼は知っている。愛を語れば良いのだろうと。むしろ語らせろと言わんばかりに三味線の弦を弾き奏でる。
「おいで……! ぼくの愛する可愛い可愛いキュウダイくん……!!」
にゃおん、と召喚されたのは一角猫のキュウダイ。ただの猫では無い。一応れっきとした悪魔なのだが、その見た目はイエネコにユニコーンの様な角が生えただけに過ぎないとっても可愛いものなのだ。
え、何ここ?と四方を囲まれた空間に喚び出され、キョロキョロと周囲を見渡すキュウダイに対し、テンション爆上がりの桜木はゴホンと一つ咳払い。
「それでは早速――」
「キュウダイくんはしょうかんのたびにようしがかわるからはなのいろみもかわるんだどれもたまらなくかわいいのだけどやっぱりピンクがあいらしい!めちゃくちゃめつきわるいのにはながピンクであるだけでするどいがんこうもはなをひきたたせるチャームポイントにしかならない!ああさいこうだねピンクのおはなにおいをかぐときのうごきもたまらないよねいっしょうけんめいにかいでます!といったぐあいにヒクヒクするのぼくずっとみていられる!!ゆびをむけたときについにおいをかぐとこもほんとうにかわ――」
ぶすっ。
「いったぁ!?」
ノンブレスにて恐ろしく早口でまくし立てた結果、当のキュウダイご自慢の一本角に刺されて強制終了。
正直、余りに早く言ったんで本猫ですら聞き取るのがやっとだと言うのに、気が付けば彼らの周りの壁は綺麗さっぱり消え失せていたのだから、きっと愛が伝わったんだと思われる。
「うん、やっぱりぼくとキュウダイくんの愛に敵うものなんて――」
思わず抱きしめようと桜木が両手を伸ばすものの。
ぐさ。
「ったぁぁ!!??」
さっきより強めに刺された。これは突っ込みか照れ隠しか――猫のみぞ知る。
大成功
🔵🔵🔵
ルクアス・サラザール
陛下ーーー!!(鳴き声)
まず何を置いても陛下は可愛いんですよ
やることなすこと全てが可愛いに満たされている
魔王なのにこんなことってあります?
あの禍々しい下半身すら陛下の愛らしさを象徴しているんです
嬉しいことがあるとちょっと浮くんですよ
ぴょんって。ほんのちょっと。あの小さい羽根で!
そんな無邪気な姿を見せるのに、魔王の顔もちゃんとするんです
背筋を伸ばして王笏を翳して命令する姿と言ったら、もう!
あぁ陛下、俺の全てで貴方をお支えします!
何なら物理で支えますとも!陛下なら抱えられますよ俺は!
きっと羽のように軽いんでしょうね陛下ですから
淑女でもありますから恥じらうかも…
え、早くないです?まだ序の口ですよ??
泥と熱に覆われし女媧の塒。
膨大な力に溢れたそこに足を踏み入れれば、泥の壁が突如として周りに迫り上がり、四方を美しき彫刻描かれし部屋に閉じ込められる。
だが、ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)は落ち着いた微笑を浮かべたまま、モノクルの位置を直して周囲を見回した。
愛を語れ、と聞いてきている。ならば簡単な事。軽く咳払いしルクアスは――
「陛下ぁぁぁぁーーーーーーーーっっっ!!」
鳴 い た。
これ、叫びじゃ無いわよね、鳴き声よね、と塒の外から聞いていたエルフの女は後に述懐したと言う。
「まず何を置いても陛下は可愛いんですよ」
脳裏に思い浮かべるのは、彼が陛下と慕い仕える少女の姿。いや、少女という形容すらも恐れ多き至高なる存在。
「陛下のやることなすこと、全てが可愛いに満たされている――嗚呼、魔王なのにこんなことってあります?」
大仰に両手を広げながら振り返って問いかけるルクアス。だがここは密室。頷く者も居なければツッコミを入れてくれる者も不在。しかし構わず彼は続けるのだ。
「あの禍々しい下半身すら陛下の愛らしさを象徴しているんです」
思い浮かべるのは禍々しくも、もっふもふなあのラスボスらしい下半身。大きなお口がキュートで堪らない上に、だ。
「嬉しいことがあるとちょっと浮くんですよ……ぴょんって」
ぴょん。彼の手も言葉に合わせてぴょん、と上に掲げられる。
「ほんの……! ちょっと……! あの! 小さい! 羽根で!!」
興奮気味に告げるルクアス。部屋の主もそろそろ落ち着けと思う頃。
「そんな無邪気な姿を見せるのに、魔王の顔もちゃんとするんです」
目を閉じれば瞼の裏に思い浮かぶ――背筋を伸ばし、王笏を翳して命令する陛下の可愛くも凜々しい立派なお姿と言ったら、もう!
「嗚呼、ああああぁぁぁぁ!! へいかぁぁぁぁ!!」
ごろんごろんごろん。思い出すだけでいてもたってもいられない。早く愛しの陛下の所に行きたい、馳せ参じたい、でもって色々命じて欲しい!!
「あぁ陛下、俺の全てで貴方をお支えします! 何なら物理で支えますとも! 陛下なら抱えられますよ俺は!」
下半身は大きいけど、その上半身は謂わば幼い少女なのだから。魔王だけど姫抱っこだって出来る筈だ、多分、恐らく。
「きっと羽のように軽いんでしょうね陛下ですから。淑女でもありますから恥じらうかも……ふふ」
想像に浸りきっているルクアス。そんな彼をじっと離れた場所より見つめる視線が一つ。
「……ねぇ、いい加減出て来なさいよ、そこのヤンデレ勇者」
塒の入り口から覗きこんだエルフの冷たい視線。気が付いたら周囲を囲んでいた壁はすっかり消滅した後だった。
「え、早くないです? まだ序の口ですよ??」
「続きは次に取っておくと良いわよ、うん」
多分、聞いてた女媧もお腹いっぱいだろうから。首を傾げるルクアスはまだ語りたそうな表情のまま、泥の塒を後にしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
サリー・オーガスティン
■SPD
愛を叫べ、だね。それじゃちょっと驚かすかもしれないけど、いってくるよ、アルゲティさん
(扉の向こう側へ)
(一回大きく息を吸って吐き出し。[コミュ力]併用)
それじゃ語るから、笑わずにしかと聴いていただきたく>女媧
なんといっても、ボクの思いを受け止めてくれる最高の相手さ。
ボクが真っ向に素直に「意志」を伝えればそれに答えてくれるし、大事にすればなおのこと、さ。
なんといっても、その「鼓動」と「吐息」ほどボクを夢中にするものは無いからね。
ボディもスリムだけどそこがいい!艶はもうたまらないし!
(UC発動)
さぁおいで!ボクの愛車、ジェイク
……オチが読めてたかな?ひょっとして
※アドリブ歓迎
「……愛を叫べ、だね」
サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)はジョカの塒を前に、これから成すべき事を反復し、確認すれば。彼をここまで転送したエルフの女はその問いに小さく頷いた。
「思いっきり心の滾るままに行けば良いと思うわよ?」
「成る程ね。それじゃちょっと驚かすかもしれないけど……」
行ってくるよ、と柔和な笑みを浮かべて彼は泥と熱気に充満した塒へと向かう。
周囲を覆うは迫り上がった泥によって作り上げられた壁。四方を囲まれたその空間を軽くぐるりと見渡して、サリーは大きく息を吸って、吐く。
「それじゃ語るから――」
恐らくこの塒で眠りについているのであろう神仙に向け、告げる。
「笑わずにしかと聞いていただきたく」
無論、ジョカの返事は無いが。何かを愛する気持ちを笑う者などいようか。
「なんといっても、ボクの思いを受け止めてくれる最高の相手さ」
真っ向に素直に『意志』を伝えればそれに答えてくれる。
大事にすればなおのこと。
そしてなんといっても――
「その『鼓動』と『吐息』ほど……ボクを夢中にするものは無いからね」
ぎゅっとその場にいない、愛する対象を抱きしめる様に手を伸ばす。どこかうっとりとした表情をしているのは否めないが、誰も見ていないから大丈夫だ、多分。
「ボディもスリムだけどそこがいい……! 艶はもうたまらないし……!」
ああ、もういてもたってもいられない!!
「さぁおいで!! ボクの愛車――ジェイク!!」
ばごぉっっ!! 土壁をぶち破り、崩しながら颯爽と彼の前に駆けつけたのはサリーの愛車たる宇宙バイク……その名もジェイク。
エメラルドグリーンの流線型ボディの美しさは機能的でありデザイン性も優れ――何より、スターライダーたる彼にとっては欠かす事の出来ぬ武器であり相棒である。愛情を、愛着を持たぬ筈がなかろう。
無論、部屋の壁は最早サリーの語った愛を認めていたので消滅する寸前ではあったのだが。壊せぬはずの壁を破ってきたのもまた、物言わぬジェイクからの愛……かも知れない。
「……オチが読めてたかな? ひょっとして」
「ふふ、そのうちヤドリガミになりそうね、そのバイク」
大成功
🔵🔵🔵
五十嵐・右京
俺の奥さんと娘は宇宙一可愛い!(声でか
結婚して4年目だけどな
もううちの奥さんの可愛さがとどまるところ知らな過ぎてやばい
ちょっと家事苦手なのもすげー可愛いし
何より頑張り屋さんで、年上だけどほんと可愛い…
俺が家事得意だから全部しても全然いいんだけど
でも一生懸命で負けず嫌いなところあるのとかも尊可愛い…
俺の料理を美味しいって沢山食べてくれるとこも超大好きだ…!
そんな激かわ奥さんとイケてる俺の娘とか
超絶可愛いに決まってるだろ!
パパ~とか1歳で言った(気がした)とか大天才!
何より美少女すぎてつらい…美少女天使が爆誕してしまったな…(顔を覆う
それで奥さんとの出会いは…
あっ、まだ全然語り足りねーんだけど!?
「「 俺 の 奥 さ ん と 娘 は !! 宇 宙 一 可 愛 い っ !!! 」」
100dB(デシベル)を越えるクソでかい声は、女媧の塒の奥から聞こえた。
そう、つい先程に五十嵐・右京(紅い火狐・f35357)が意気揚々と向かい、話に聞いた通りに泥の壁に囲まれ、あっと言う間に四方を閉じ込められたと言うのに、だ。
愛を語れと、叫べと言う話だった。ならばたっぷり伝えようでは無いかと上げた第一声がアレである。既に愛のカロリーが半端無く高いが、これで壁が破れる様では簡単過ぎる。女神ももうちょい聞かせろと仰せになっている……のだろう、多分。
「結婚して4年目だけどな……もう、もう、うちの奥さんの可愛さが、とどまるところ知らな過ぎて――やばい」
すっかり自分の世界に入り込んでいる右京もなかなかやばいがそれはそれ。
「ちょっと家事苦手なのもすげー可愛いし……何より頑張り屋さんで、年上だけどほんと可愛い……」
デレている。物凄いデレている。奥さんの可愛い笑顔を思い出すだけで表情筋が緩みまくって切れ長の涼しい目をしたイケメンが恐ろしい程台無しである。
「俺が家事得意だから全部しても全然いいんだけど」
甘やかしてるとは云うなかれ。愛だよ、これが愛なんだよ!!
「でも一生懸命で負けず嫌いなところあるのとかも尊可愛い……」
膝を付いて天を仰ぐ。両手の拳が高く掲げられる。
「俺の料理を美味しいって、沢山食べてくれるとこも超大好きだ……っっ!!」
心の絶叫。今度は50dBくらいに収まるも、想いはさっきの数倍はあるだろう。
そんな右京の愛語りを受け、周囲の壁が崩れかけた――その時。
「――そんな激かわ奥さんとイケてる俺の娘とか超絶可愛いに決まってるだろ!」
(…………!?)
ぴたっ。壁の崩壊が止まる。声なき声が「え、まだ続くの!?」と困惑の意思を示した様な感じがしたのは気のせいだろうか。
構わず右京は続ける。振り返り、立ち上がり、大仰なまでに手を広げて彼は朗々と語って聞かせるのだ。
「何せ、パパ~とか言ってくれたんだ! 一歳で! 何と言う大天才!」
実際そう言ったかは解らない。だが、右京の耳には確かにそう聞こえた。聞こえたと感じたなら娘はパパと呼んでくれたに違いないと彼は確信していた。
「何より美少女すぎてつらい……美少女天使が爆誕してしまったな……」
顔を覆いながら、世紀の美少女(一歳)の顔を思い浮かべる。ああ、マイエンジェル。パパは娘の為なら幾らでも軽率に死ねる。
「それで奥さんとの出会いは……」
「……ねぇ、ちょっと聞いてるーっ!? 後がつかえてるんだけど!?」
更に語ろうとした右京を遮る声が聞こえた。気が付けば、周囲を塞いでいた壁は消え去り、此処に彼を導いたエルフの女が呆れた声で呼んでいた。
「あっ、まだ全然語り足りねーんだけど!?」
「もう充分らしいから出てらっしゃいよ。続きは家でしなさい、家で」
「そんな、家で本人に聞かれたら恥ずかし――」
出て来て顔を覆う右京であったが、彼は知らない――クソでかすぎる彼の愛の叫びは、泥壁も何もかも突き抜けて塒の外に全部丸聞こえだった、と言う事を。
――余談。
崩壊した泥壁はさらさらの砂になっていたと言う。何故だろう何故かしら。
大成功
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四辻・鏡
は?愛?なんでもいいの?
んなこと言ったら私は酒に決まってんだろ(めっちゃドヤ顔)
そうだな、何から始めるか…
春は花見。少しずつ花開く桜を愛でながら煽るも良し、騒いでいる人から少し外れてのんびりやるのもいいな
夏はビール。暑い日にキンキンに冷えたビールをグイっとやるとマジで生きてて良かったって感じ。まだ蒸し暑い夜に外で一杯ってのもまた乙なもんさ
秋はひやおろし。季節限定酒って弱いんだよ。普段とは違うフレッシュな一面に出会えるし、旨い。あと食いもん自体が上手くなるから酒がもう止まらない
冬は熱燗。寒い日に屋台の赤提灯を見るとホイホイされる。熱々のおでんと一緒に暖められた酒を一杯とやるともう旨いんだよこれ。あ、でも冷めた山盛りのおでんはマジ勘弁
酒は人生を豊かにする…味がいいし、楽しくなるし、うん、めっちゃ好き
ほら、酒とゲームさえあればいいって言うだろ?
あ、言わない?今私が言ったからいいんだよ
…あ、もういいの?
…まぁ、最近は付き合ってくれる奴がいるともう少し、旨くなったりで好きだったりするんだけど、な?
「は? 愛? なんでもいいの?」
愛を、語れと。四辻・鏡(ウツセミ・f15406)は此度の行き先で成すべき使命を聞くと、改めて確認する様に問うた。
「んなこと言ったら私は――」
めっちゃドヤぁっと自信たっぷりな表情で彼女は告げるのだ。
「酒に決まってんだろ」
語りながら呑むつもりか。その手には一升瓶が抱え込まれていた。
「そうだな、何から始めるか……」
周りを泥で囲まれ、四方を壁で覆われて部屋に閉じ込められた鏡は全く以て動じる気配も無く、その場にどかりと腰を下ろし片膝立てた。
「――春は花見」
盃に満たした酒を回す様に傾ければ、仄かに感じられる香気。脳裏に浮かぶ薄紅色の花咲く木々を思い浮かべれば、今にも液面に花弁がひらりと落ちてくる気がして。
「少しずつ……花開く桜を愛でながら煽るも良し」
まずは一口。花見と言えば宴会ではある。人と楽しく呑むのも良いが、風情と言うモノにはちと欠ける。喧噪から少し外れ、のんびりやるのも良いのだ。
「夏はビール」
暑い日に、キンキンに冷えたそれをグイっと喉に流しこむ感覚を思い出すだけで堪らない。あの、マジで生きてて良かったと言う感じ――もうそれだけでヤドリガミになれて良かったと思うくらい。
日が暮れてもまだ尚蒸し暑い夜に、外で温い風に当たりながら一杯ってのもまた乙である。空に大輪の花火が咲いているのを眺めれば、夏の花見と言っても良いくらいなのだ。
「秋はひやおろし」
季節限定酒って弱いんだよ……と再び盃より口に含みつつ彼女は語る。普段とは違うフレッシュな一面に出会える楽しみもまた一興。何より旨い。
それに秋であれば、食べ物自体が最高に美味しい時期。サンマの塩焼きにカツオの叩き。アサリの酒蒸しにイカの造りも酒のアテに丁度良い。ツマミが美味けりゃ酒が止まる筈が無いのだ。
「冬は熱燗」
息吐けば白く濁る寒い日に、街角に灯る屋台の赤提灯を見つければ、ふらふらとそっちに足が向く。ホイホイされている自覚はある。
出汁に浸かった熱々のおでん。一緒に温められた酒を一杯。旨し。透き通った大根に色が変わるまで煮詰められたコンニャクに、クタクタになるまで煮込んだちくわ。ちくわぶは有りか無しか、議論が分かれるがそれはそれ。
「あ、でも冷めた山盛りのおでんはマジ勘弁」
何があったの何か冷めたおでんに嫌な記憶でもあるのだろうか、そんな事を付け足して。
枕草子の如く、四季それぞれの良き酒を一通り語った鏡。かの清少納言も、この語りを聞けば感心するか思い切り呆れるに違いない。
「酒は人生を豊かにする……なんたって味がいいし、楽しくなるし、うん、めっちゃ好き――」
うっとりと告げる。気が付いたら一升瓶の半分まで減っている。
「ほら、酒とゲームさえあればいいって言うだろ?」
…………特に返事は聞こえない。女神は返事が出来ないのか呆れてるのかは知れないが。
「あ、言わない? 今、私が言ったからいいんだよ」
「――と言うか、鏡がお酒を愛しているってのは十二分に伝わったんじゃない?」
遠くから声がする。周囲の壁は最早消え去り、祠の入り口から顔を覗かせるエルフの女が見えていた。
「……あ、もういいの?」
「壁消えてるし良いんでしょ、多分」
むしろ、壁が消えてから随分時間も経っていたらしい。促されて外に出た鏡の呼気はもまた、既に十二分に酒気を帯びていた。
「本当に好きなのね、お酒。ずっと好きなの?」
呆れた様に首を傾げたエルフの女に、鏡はああ、と今更ながら照れ臭そうにはにかんで見せた。
「……まぁ、最近は付き合ってくれる奴がいると……もう少し、旨くなったりで好きだったりするんだけど、な?」
「じゃあ、今度誘って頂戴な。知り合いに声かけたりもするし……皆に教えてあげると良いわ、貴方の大好きなお酒のこと」
愛するものを皆が愛したら、それはきっと幸せなことだから。
すっかり浄化された祠。眠る女神もきっと感謝してくれている事だろう――。
大成功
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