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銀河帝国攻略戦⑰~キックアウト・サイコ・ブレイン

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「さーて、良い感じになってきましたねー」
 そう言って、シーカー・ワンダーは顔にVTRを映し出した。
 難攻不落の大要塞エンペラーズマインドを突破した『解放軍』の次なる目的は、帝国旗艦『インペリウム』。その前哨戦として、今回は黒騎士アンヘル配下の『アゴニーフェイス』艦隊の撃破を依頼したい。
 精神破壊兵器『アゴニーフェイス』は特殊加工したサイキッカーの脳を入れて作動させることで、強大な『テレパシーの悲鳴』を放ち、人の精神を破壊する能力を持つ。その威力は宇宙戦艦一隻丸ごと無力化するほどのパワーで、解放軍が受ければひとたまりもないだろう。
 『アゴニーフェイス』の外観は、『苦痛に喘ぐ人間の顔のような形をした金属の塊』で、通常の戦闘力は皆無。その為、『アゴニーフェイス』を中心とした艦隊は、『アゴニーフェイス』で無力化した敵をひとりひとり殺して行くのが基本戦法として確立している。
 解放軍の艦隊には『アゴニーフェイス』の攻撃を防ぐ方法が無いため、一度食らえば撃破は必至。サイキッカーの脳にも限界がある以上、解放軍を全滅させることは出来ないが、それでも多大な被害を出せるだろう。
 皆には、この『アゴニーフェイス』艦隊が解放軍の艦隊とぶつかる前に、『アゴニーフェイス』を破壊してほしいのだ。
 『アゴニーフェイス』艦隊は、戦艦を持っているわけではない。あるのは最低限の護衛と、残敵掃討のための戦力。どうやら隠密主体の艦隊のようだ。

 猟兵の襲撃を受けた帝国軍は、猟兵に向けて『アゴニーフェイス』を発射する。 『アゴニーフェイス』の精神破壊攻撃は猟兵にも効果を及ぼしますが、その効果は『理性を失わせ、その姿を強制的に真の姿とする』ものとなるようだ。そのため、『アゴニーフェイス』の影響下では、猟兵は真の姿をさらすこととなる。この効果は、『アゴニーフェイス』を破壊するか、戦場から撤退するまで持続する。
 また、『アゴニーフェイス』の副作用故か、真の姿が通常の姿から大きく外れていればいるほど、より強力な戦闘力を発揮する事ができるようだ。


鹿崎シーカー
 アドリブ・連携OKの場合は一人称・二人称・三人称を記載して頂ければとても助かります。具体的に言うと、会話文が作りやすくなります。なお、強制ではありません。

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 集団戦 『デルタ・ファイター』

POW   :    増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【増援飛行隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    帝国軍の栄光のために!
【制御不能の高速航行モード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    対宙銃撃
レベル×5本の【貫通 】属性の【機銃弾】を放つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フロッシュ・フェローチェス
真の姿を……アタシ自身もまだ知らない、数多に変わるモノ――不安だけどやってやる。
『アゴニーフェイス』を利用するしか無いのなら。
来た……!避けるな、受け止めろ――。

・真の姿
片方が銃を、片方が剣を模した機械の腕2本が出現し、
頭の右側から角が生え、下半身が化物の四脚となる人馬型。

・行動
兎に角駆け周りながら蹂躙する。
得意の早業での連続技や、ダッシュでの攪乱が行使可能か不安だけれど、やるしかないね。
仲間の存在が気がかりだけど、乱戦ならば【選択したUC】が良いね。その間を避けつつ逃れた敵を斬り裂いて、また遠間から撃ち抜いていく。
――暴れろ、兎に角暴れるんだ。
【ナーガ・ヴァイパー】で踏み潰せ。

※アドリブOK


セシル・バーナード
真の姿
金の毛皮の、鳥の翼を持った巨大な妖狐。狐火を口元からちろちろと漏らしている。尻尾は九本。

なんとも悪趣味な兵器だね。人の脳が『弾薬』か。反吐が出そうだ。
く……? これが『アゴニーフェイス』の精神攻撃?
姿が、変わる……。

ああ、この声の元を壊さなければ! 不快だ不快だ不快だ!
フォックスファイアで手近な艦の装甲を打ち抜いて侵入。
内部の帝国兵を噛み千切り、焼き払いつつ奥へと進んで、不快感の源『アゴニーフェイス』装置を破壊する。

……うー、なんだか悪い夢を見ていたみたいだ。もうあの声は聞こえない。
皆は大丈夫? 余裕があればシンフォニック・キュアで回復するよ。

この艦のコアマシンも潰して、確実に沈めよう。


竹城・落葉
 戦況は新しい局面を迎えたようだな!
 しかし、新しい敵か……、中々に手強そうだが、手堅く行くとしよう。
 我は名物竹城を手に『支柱一閃』で攻撃をする。相手の攻撃は【残像】で避け、【早業】と【2回攻撃】で素早く確実に切り伏せるぞ。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で攻撃をしよう。
 我の真の姿は、濃い緑色のオーラを身に纏い、体の至るところから流血し、髪も落武者の如くボサボサで、顔は冷酷を凝縮した無表情になるぞ。
 と、一人称・二人称・三人称を記載すると有難いのか。なら、記しておこう。ふむ、どうなるか楽しみだな。
 一人称:我
 二人称:お主
 三人称:皆の者、諸君


亜儀流野・珠
サイキッカーの脳とは…悪趣味な兵器を作るものだ!
皆の為にも、その脳の為にも。破壊させて貰うぞアゴニーフェイス!

真の姿…背は伸び、髪も伸び。忘れはしない懐かしい姿だ。
はは、これで16歳は通らんな!
できれば隠しておきたい姿だが言ってる場合ではないな!
せめてさっさと破壊して止めるぞ!

その為にもこいつらさっさと倒すぞ!
フォックスファイア…狐火を近くの奴優先でひたすら撃ち込む!多数の敵には多数の狐火で対抗だ!
装置の影響で火加減が難しいが…お前らのせいだからな!責任取って燃え尽きろ!

障害は取り除いてさっさと進むぞ!16歳の俺として、な!


トルメンタ・アンゲルス
一:俺
二:~さん
三:貴方



所謂、暗殺部隊とでも言ったところですか。
そんなので、俺達をどうにかできるとでも?

行くぞNoChaser!変身!
『MaximumEngine――Mode:Formula』(ベルトの音声)



先ず、アクセルユニゾン使用。
宇宙バイクを攻撃力重視の装甲として変身合体。


真の姿は、体内に仕込まれた、超弩級戦艦すら十二分に動かせる出力の、コアマシンの全開状態。
展開した装甲から、溢れるパワーが薄緑の光として放たれる。
更に出力を上げる、『Code:Seraphim』の発動。
まるで宇宙に羽ばたく、鋼の天使の様に。

「音」を遥かに超えた、埒外の速さの世界で、プラズマブレードや跳び蹴りで攻撃します。


六島・椋
エスタ(f01818)と
文句なら敵とここを選んだくじ結果に言うといい
アゴニなんとかを壊せばいいのか
忘れそうだから君覚えといてくれ

ヨハに乗り基本【目立たない】動き
攻撃は【フェイント】を混ぜつつオボロとダガーで【怪力】【二回攻撃】
機械だろうが耐久あろうが弱点はあるだろ
関節や配線とかな
敵攻撃には絶望の福音
ようノーコン、迎えの祝砲か何かか
ついでに他の敵に流れ弾が当たるよう立ち回る
アゴニなんとかを見たら真先に攻撃
友人が機嫌悪いからな

・真の姿
闇よりなお暗い靄じみたもの
中から絶えず無数の骨がぶつかるような音
時折何かの骨が現れ沈む

誰が罪人だ
名前からして無垢だろ自分

一人称:自分
二人称:君
三人称:奴
アドリブ連携可


エスタシュ・ロックドア
椋(f01816)に引っ張られなきゃ誰がこんなとこ来るか
真の姿とか勘弁してくれ
悪ぃが、今回は俺も覚えてられるかどうか分かんねぇわ

真の姿
地獄の獄卒
人体が半ば大鴉に変形したような外見
背には黒翼、手足は鉤爪
顔には「鴉」と筆書きされた布面

宇宙じゃ羽ばたいても意味ねぇからな
予め『ブレイズフレイム』でスカーレット・フレアドレスに点火
シンディーちゃんに跨らず足の鉤爪で引っ掴まる感じで行動するわ
『ゴッドスピードライド』【操縦】【空中戦】【ダッシュ】で敵に吶喊
敵は獄卒として苛むべき罪人と見て業火で焼くべく襲い掛かるぜ

おい椋、そんな姿じゃ罪人と間違えちまうだろ

一人称:俺
二人称:お前
三人称:あいつ、奴
アドリブ連携可



 宇宙空間を駆ける小型宇宙巡洋艦五機の後ろを、超巨大ルービックキューブめいた物体が追随していく。キューブ型艦内部のコックピットに収まる帝国兵の視界に、解放軍の戦艦を映したウィンドウがいくつか出現。コンソールを叩いた直後、前を行く小型艦三機が爆炎を噴いた! そのうち一機の壁をぶち抜いたトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は、艦内に響くBEEP音を聞きながら呟く。
「速度重視の小型戦艦が五つだけ。所謂、暗殺部隊とでも言ったところですか」
「加えて、戦艦ひとつ落とせるレベルの精神破壊兵器と来た」
 戦艦内に降り立った竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)がバールめいた物体を手に取る。同時に通路の左右から、二人を挟むようにデルタ・ファイターの群れが現れた。背中合わせに立ったトルメンタと落葉は身構える!
「中々、手ごわそうじゃないか?」
「ええ。ですが帝国軍……そんなので、俺達をどうにかできるとでも!? 行くぞNoChaser! 変身ッ!」
 トルメンタがベルトを叩いた瞬間、バックルから薄緑をした光の渦が噴出し、彼の全身を包み込んだ。ベルトから飛び出した宇宙バイクが空中分解! 三角形の装甲を開き機銃を露出するデルタ・ファイター達の前で、バックルが機械音声を放つ。
『MaximumEngine――Mode:Formula』
 光の渦がバイクのパーツを取り込んで爆散! パーツを装甲としてまとったトルメンタはダッシュ体勢を取って声を張った。
「竹城さん! 後ろは任せます!」
「任された。しかし本命は別にあるんだ。お主、ここでガス欠なぞしてくれるなよ?」
「わかってますって!」
 直後、デルタ・ファイターの群れが機銃を掃射し二人が飛び出す! 落葉は緑の残像を引いて弾丸の雨を掻い潜り肉迫。表情を消し、冷酷な瞳でバールを横薙ぎに振りきった。緑の剣閃が二度宙を走り、デルタ・ファイター複数機を一瞬で割断! 一方トルメンタは走りながらの拳のラッシュで飛び交う弾丸を撃ち払い、手近な一機にダッシュストレートを叩き込む!
「ぜあッ!」
 鉄拳が天球儀めいた中央パーツを粉砕! その頃別の艦では、黒い大型バイクを駆るエスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)と白骨馬にまたがった六島・椋(ナチュラルボーンラヴァー・f01816)が並走していた。エスタシュが小さく舌打ちしてぼやく。
「ッたく……なんでこんなとこ来なきゃいけねえんだよ……」
「文句なら、敵とここを選んだくじ結果に言うといい。あるいは、君自身の不運にね。それで、えーと……」
 椋が鳥脚の骨めいた右手で頭を押さえた。焦げ茶の瞳が右斜め上を向く。
「アゴニ、なんとかを壊せばいいのか。君、忘れそうだから覚えておいてくれ」
「悪ぃが、今回は俺も覚えてられる自信ねえわ。まぁ……」
 バイクの後部座席に乗せた、岩塊じみた大剣を持ち上げた。目前から飛来するデルタ・ファイターズ!
「要は、全員折檻してやりゃいいんだろ?」
「それもそうか」
 バイクがエンジンを轟かせ、白骨化した馬がいななく。デルタ・ファイター各部を縁取る青い光が赤く変色! 凄まじい速度で突貫してくる!
「行くぜ」
「ああ」
 急加速する二人を機銃の弾幕が迎え撃つ! 椋は骨馬を操って全弾回避し、指輪をはめた左手五指を細かく動かす。彼女の隣に両目を包帯で覆った人体骨格が現れ、古びたダガーを片手に突撃! ガタガタと顎を鳴らしながら弾幕を滑るように回避し、接近した一体に刃を振り上げる。次の瞬間、骨人形の周囲を取り囲んだデルタ・ファイター達が全方位から射撃! 骨人形は黒い外套を翻して回転し、弾丸を次から次へと回避していく。そして流れ弾を食らい揺らぐ包囲の隙間にダガーを投げた。包囲のすぐ外側に跳躍した椋はそれをキャッチ!
「ようノーコン。迎えの祝砲か何かか」
 骨人形を包囲するデルタ・ファイターの群れに高速でダガーが振るわれ、刃が配線や関節部を全切断! 瞬時に解体されたデルタ・ファイター達が球体各部のライトを点滅させると共に、エスタシュがバイクのハンドルをひねる!
「頭下げてろ!」
 振り返り屈む椋の頭上をジャンプしたバイクが通過する。エスタシュの背中を裂いて噴き出した炎がバイクのエンジンに燃え移り、排気筒からアフターバーナーじみて爆炎を放射! ロケットの如く飛翔したエスタシュは、奥から飛来してきた超小型戦闘機隊のレーザーバルカンを燃える大剣のひと振りで消し飛ばす! そのまま隊列に突っ込んで前輪で押し潰し、大剣を振り下ろした。CABOOOOM! 通路の奥で紅蓮の炎が爆裂! その様子を網膜ディスプレイで確認したキューブの帝国兵は、コンソールを素早く叩いた。
『猟兵の襲撃を確認。アゴニーフェイスの起動を要請』
『許可する』
 返信を見た帝国兵は凄まじい速度でコンソールをタイピング。無数の文字列が流れ、箱型戦艦が六倍速ルービックキューブめいて高速回転し始める! 宇宙空間にバチバチと稲光が飛び、回転が停止。左右に開いたキューブ前面に収まっていたのは、苦悶を叫ぶ人の顔じみた金属塊・アゴニーフェイス! 前に迫り出したアゴニーフェイスの両目が脈動するように点滅。帝国兵は握ったレバーの先を親指で弾いて開き、中のボタンを押し込んだ。
「アゴニーフェイス、起動!」
『GYA―――――――ARRRRRRRRRGGGGHHHHHHH!』
 テレパシーの悲鳴が付近の空域に響き渡った! デルタ・ファイターズと交戦していたセシル・バーナード(セイレーン・f01207)がふらつき、膝をついて頭を押さえる。
「ぐぅっ、くっ……!?」
 セシルの口の端に青白い火の粉がゆらめく。彼の肩や尻尾、背中などに狐火が灯り、少しずつ火の手を上げていく。
「これが、アゴニーフェイスの攻撃……? 頭が……くあぁっ!」
 セシルを青白い爆炎が包み込み、金色に変色。爆発的に膨張する炎にあぶられながら、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は横壁に背中を預けて頭を抱えた。
「真の姿……アタシ自身も知らないアタシ、数多に変わるモノ……これを、利用するしか、無いのなら……!」
 見開いた右目が翡翠色の輝きを放つ。
(来た……! 避けるな、受け止めろ…………飲み込めッ!)
 右目から湧き上がる緑のオーラがフロッシュを呑む。直後、金色の焔が小型艦の上部をふっ飛ばした! 金の爆炎を振り払って現れたのは鳥の翼を持つ巨大な九尾の妖狐! 星空に咆哮する妖狐の足元、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)は落ちていた硝子の破片を拾い上げる。映った自分の像は、ふくらはぎまで伸びた銀髪をなびかせた長身の美女。大人びた顔立ちを見返し、珠は両目を細めた。
「懐かしい姿だ。……はは、これで16歳は通らんな!」
 硝子片を捨てた珠はフロッシュの方を見やる。熾火めいたオーラの残滓を灯した彼女は、四ツ腕四脚のケンタウロスじみたシルエット。四本腕のうち二本は機械腕で、先端はそれぞれ銃と剣の形状。珠は問いかけた。
「平気か?」
「………………」
 フロッシュは自分の四本腕と獣の下半身を見下ろし、元からあった両手を握る。続いて右側頭部の角に触れ、呟いた。
「……ああ、うん。大丈夫そう」
 その時、再度吠えた妖狐の周囲に金色の炎塊が複数出現! 四方八方に飛んだ炎弾は飛び交うデルタ・ファイターズを複数機まとめて撃ち落とす!
「不快だ不快だ不快だ! うあああああああッ!」
 妖狐の足元から金色の火柱が噴き出した! 珠は朱色の炎現る両手を握り、空を飛び交う敵機を見上げる。
「では参ろうか! 全部壊して早く止めるぞ! 俺も、あまり人に見せたい姿ではないからな!」
「わかった」
 BBBBBBOOOOOOM! 空域に連鎖爆発が起こる一方、別の艦が爆発炎上して轟沈。艦の外壁を貫通して飛び出したるは黒い大型バイクと、それをサーファーめいて乗りこなす大鴉の如き人の影! 黒翼を背負い、『鴉』と筆書きされた布面を被ったエスタシュは爆散する小型艦を振り返った。飛び散る炎と鉄片を押しのけて宇宙に拡散する深黒の靄。絶えず何かの衝突音を響かせ、水泡のように何かの骨が浮かんでは沈む闇に向かって、エスタシュは軽口をかけた。
「おい椋……なんだお前その格好。そんな姿じゃ罪人と間違えちまうだろ」
 黒い靄が歪みまくった椋の声。
『誰が罪人だ。名前からして無垢だろ、自分。第一、君だって似たようなものじゃないか』
「誰が罪人だ、誰が。俺は……」
 言葉を切り、エスタシュは首を振ってアゴニーフェイスに視線を向ける。
「いや、俺のこたぁいい。それよりアレだ。アレ潰しゃあいいんだろ」
『ん? ああ、そうだったっけ。じゃあ、やろうか』
 次の瞬間、靄からダガーを持った腕の骨が無数に出現し、アゴニーフェイスへ一斉投擲! 横殴りの雨じみて飛翔する無数のダガーが機械の顔面に突き刺さる寸前、割り込みをかけた小型艦が横腹で全弾を防御。同時に放たれた大量のデルタ・ファイターが赤い光を帯びた直後、薄緑色の光が空間もろともデルタ・ファイターズを斬り刻む! 全機まとめて爆発四散! 花火の如く輝く爆炎を見上げ、無数のダガー突き刺さった小型艦を足蹴にした落葉がボサボサになった前髪をかき上げる。両目と口から血を流し、毒々しい濃緑色のオーラをまとった彼女は、辺りを見回して小さく零した。
「……速いな、お主」
 落葉の背後にまばゆい薄緑の光を放つトルメンタ! 展開した肩甲骨の装甲から巨大な光の翼を広げた彼は、右手にプラズマブレードを伸ばす。
「Code:Seraphim。まだまだ加速出来そうです」
「そうか」
 直後、二人の周囲をデルタ・ファイターズが完全包囲して機銃をぶっ放す! が、目を見開いたトルメンタの視界で全てが一時停止された動画のように制止した。トルメンタは右手のプラズマブレードを素早く振るい、機体と弾丸を全て斬り裂く。そして時は動き出す! デルタ・ファイターズ爆散!
「雑魚を片付けてきます!」
 トルメンタが姿を消し、落葉はバールにまとわせたオーラで刀を作る。宙域を見回せば、凄まじい速度で集るデルタ・ファイターズを金色の炎で焼き飛ばすセシル! アゴニーフェイスをめがける彼に飛翔する第二波デルタ・ファイターズの外側、超高速で駆けるフロッシュが居並ぶ機体に四ツ足の蹴りをマシンガンめいて叩き込んでいき蹂躙していく。離れた群れには機械腕の銃口を突きつけて速射、蜂の巣に変えた。セシルの背に乗った珠が右手を振り上げ、朱色の火柱を上げる!
「火加減が難しい……けど、それもこれもお前らのせいだからな! 責任取って燃え尽きろ!」
 巨大な火柱を剣めいて薙ぎ払い、新手の戦力を右から左へ灰塵と帰す! セシルは狐火を零す口から息を吸いこみ、まだ無事な小型艦へ炎を放った。艦の上部に風穴を空け、中へ突撃! 金の炎をまとったセシルは中の隔壁や積載デルタ・ファイターを噛み砕いて焼き払って進み、船尾を貫く! 背後で爆散撃沈する小型艦から飛び出す残党デルタ・ファイターズに、高速で肉迫したフロッシュが銃と剣を振り回して落とし、踏み砕いて殲滅。
「物の怪絵巻のようだな、皆の者」
 バール持つ手が無造作に振られ、濃緑色の光が小型艦を縦一直線に割った。SLASH! 両断され断面を晒す艦の中央部、半分になったコアマシンが閃光を上げて大爆発! 落葉は顔色ひとつ変えずバールを引き戻し、上段から一閃する。オーラ刃が伸びる先はアゴニーフェイス! 後退した金属の顔を、閉じるキューブ艦の前面が防護。濃緑色の光がその表面をX字に斬り裂いた。だが破壊に及ばず! エスタシュは鉄塊剣を肩に担いで旗艦を見やる。
「さーて……耐えてくれよ、シンディーちゃん!」
 黒いバイクのエンジンが赤いドレスじみたアフターバーナーを噴射して急加速! 行先はキューブ艦に入った切り傷の中央部分! 頭上で回転させた鉄塊剣が燃え上がり、煉獄めいた業火を噴いた。X字の交差部分に炎のバイクが直撃し、エスタシュが鉄塊剣を叩き込む!
「オラアアアアアアッ!」
 刃が突き立ち、切り傷を紅蓮の爆炎がなぞる。次いでドーム状に爆発が膨れ上がり、キューブ外壁を引っぺがしながら拡散! 取り払われた外壁と炎の奥、アゴニーフェイスが露出する。黒い砂嵐の如く飛来した靄から椋の声!
『エスタ、危ない。斜めに飛んでくれ』
「無茶な言いやがる……」
 エスタが足の爪でつかんだバイクを引き上げ、マフラーが放つジェット噴射で斜めに離脱。同時に巨大な靄となった椋から飛び出した骸骨の巨人が巨大な骨剣を振りかぶり、金属の顔を十字に斬り裂く! 猟兵達の脳裏に響く甲高い断末魔!
『KyyyyyyYAAAAAAAARRRRRRRRRRRGH!』
『ッ!』
「ぐがッ……!」
 黒い靄が悶絶めいて激しく蠢き、頭を抱えたエスタシュの体の各所に炎が噴き出す。崩れ落ちる小型艦の欠片の上で、落葉が膝を突いて血を吐いた。全身を金の炎に焼かれながら飛翔するセシル! 束ねた九尾の先に灯る金の焔が太陽の如く巨大な炎球を生み出した。珠も片手で頭をつかみ、苦悶の表情を浮かべつつも逆の手で大炎塊を作り出す!
「止まれええええッ!」
「ぜああああああッ!」
 投擲された金と朱の太陽がアゴニーフェイスの顔面に叩きつけられた! KRA-TOOOOOM! キューブ艦の前半分を二色のビッグバンが飲み込む。フロッシュは右目を見開き、爆炎の奥、砕け散ったアゴニーフェイスの眉間深くにある水槽入りの脳を捉えた。
「それかっ!」
 四本脚で宙を蹴り、火の中へダイブ。その隣に並んだトルメンタが、翼を広げる!
「フロッシュさん、道開けます!」
 トルメンタの腕が薄緑にフラッシュした。一瞬で細切れになり千々になって消えるビッグバン! 細かな二色の火の粉が舞う中、フロッシュは両前脚を振り上げ、落ちていく水槽の脳に急降下キックを繰り出した! 粉砕され、内容液と一緒にまき散らされるガラス片。大気にさらされた脳が潰れ、血煙と化した。フロッシュ、落葉の全身を緑色のオーラが。エスタシュ、セシル、珠を三者三色の炎が包む。五人に加え、霧散した靄から弾きだされた椋が半壊したキューブ艦の内部に墜落。フロッシュとセシル、珠を受け止めたトルメンタは勢いを殺して着地した。
「だ、大丈夫ですか! うっ……!」
 展開していたトルメンタの装甲が閉じ、光の翼が消滅。同時に全身が蒸気を噴いた。片膝をつき、動かなくなる彼を横目に、落葉は立ち上がった。口元を濡らす血の泡を拭いとる。
「……無事か? 諸君」
 人間大に縮んだ金の炎が青白く変色し、鎮火する。床に力なく横たわったセシルは、頭を抱えて寝返りを打った。
「声が、止んだ……なんだか、悪い夢を……はぁっ、見ていたみたいだ。うーっ……」
 一方、フロッシュを包んでいた翡翠色のオーラが余さず彼女の右目に収束。ドバッと血涙を流す右目を押さえてうずくまるフロッシュを見た椋は、落葉に視線を投げる。
「君ら、目は大丈夫? なんか、血が出てるけど」
「我は問題ない。お主こそ、相方はどうした」
「奴か……」
 椋がエスタシュを見た。鳥の羽根型をした火の粉を上げる彼は、仰向けになって顔の布面を剥ぎ取る。握られた面は燃え、灰も残さずに消えた。
「多分、問題ない」
「大アリだってんだよ……クッソ。お前に引っ張られてなきゃ来てねえよ、こんなとこ……」
 ぼやくエスタシュ。ふらつきながらも立ち上がった珠は、覚束ない両脚を踏みしめる。長かった銀髪が桜の花弁めいて散り、肩甲骨ほどになる。背丈は大きく縮んでいた。
「と、とにかく、さっさと進もう。障害も無くなったことだしな」
「あー、待って……」
 セシルが横たわったままマイクを掲げてスイッチを入れる。流れ出すのはスローテンポなバラード。
「この艦の、コアマシンも潰して、確実に沈めよう……きっと、その方がいいから……」
 七人はしばらく、流れる歌に聞き入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト