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薔薇園乙女

#ダークセイヴァー #【Q】 #月光城 #月の眼の紋章

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 グリモアベースで、一人の翼を持つ少年が、一心不乱に絵を描いていた。猟兵達に気付くと、少年は描いていた絵から顔を上げる。夜の帳を思わせる、漆黒の髪の下から、大きな銀色の瞳が瞬く。グリモアベースではあまり見かけたことのない、美しい少年だった。
 ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)――と名乗った少年は、先ほどまで描いていた絵を指差し、ぼそぼそと呟く。
「僕の……絵を、見て、欲しい」
 ……力作を披露したいのだろうか? 何もグリモアベースでやらなくても、と思いつつ、猟兵達は絵を覗き込む。そこには、美しい薔薇の庭園と白く輝く城壁、それに……少女、なのだろうか? なんかカクカクした、平べったい人間らしきものが幾人も茨に絡みつかれている姿が描かれていた。正直、絵の良し悪しはよく分からない。この絵から何を読み取ればいいのか。首を捻りながら眺めている猟兵達に、ロビンは再びぼそぼそと告げる。
「それは……僕が、予知で……見た、光景」
 猟兵達は驚きに振り向く。それを先に言ってくれ!! ……しかしそう言われても、これだけじゃ何がなんだか分からない。そもそも茨に絡みつかれているのが人間かどうかもよく分からない。絵に描くより、最初から口で説明した方が早いのでは……という猟兵達の気持ちを読み取ったのか、ロビンはポツポツと語り始めた。
「……ダークセイヴァーの……地下都市、に……『月光城』って呼ばれてる……城塞が、幾つかある」
 その城塞は、共通して「月の満ち欠けに呼応して輝く」という特性を持っている。その特性だけでも不思議な話だがそもそも、ダークセイヴァーは地下世界のはず。夜空に月が輝いているという時点で既におかしいのだ。なぜなのか? 手がかりとしては弱いが、月光城を調査することで何か分かるかもしれない――と、これまでに幾人もの猟兵達が調査に赴いている。此度の一件も、どうやらその一環らしい。だが、これまでの調査に参加したことのある猟兵は分かっていた。全ての月光城には、『月光城の主』と呼ばれる強大なオブリビオンが君臨しており、あらゆる存在の侵入を遮断しているということを。今回も例に漏れず、だ。ただ、月光城に突撃したからといってすぐに主と戦えるわけではない。ロビンはぼそぼそと呟くように、口を開く。
「……月光城に、入ると……まず……上から、ギロチンの刃が、降って……くる」
 ギロチン、という単語を口にした瞬間、無表情な少年の頬に微かな赤みが差したのは、気のせいだろうか。なんにしても、物騒な出迎えだ。だが、これは侵入者撃退用の自動的な罠。刃は一定の時間間隔で落ちてくる。タイミングさえ掴めれば、避けるのはそう難しくない。問題なのは罠より、主の配下である強化オブリビオンだ。
「……内部には、ひどくガリガリなことを除けば……一見普通の人に見える、強化オブリビオンが、いる」
 城内を徘徊しているそれらは、猟兵を見つければ、自分達こそがこの月光城に捕らわれた哀れな犠牲者である、助けてくれと訴えてくるだろう。だが、同情して隙を見せたが最後。その正体は圧政の果てに餓死して、オブリビオンと化した人々のなれの果て。満たされることのない飢えに、猟兵を食糧にしようと襲いかかってくる。なんなら降ってくるギロチンの刃を使って、獲物を「調理」しようとする知恵もある。だが、逆にいえばこちらが降ってくる刃を利用して彼らを罠にはめることも可能ということだ。むしろそれぐらいしないと、この強化オブリビオンの群れに対処することは難しいかもしれない。
「かわいそう、だけど……もう、助けることは、できないから」
 倒して欲しいとロビンは言う。猟兵達も神妙に頷いた。
「それで……強化オブリビオンの群れを、倒した先には……中庭が、ある」
 それがこの絵の景色、と絵を指差すロビン。冒頭の絵が、ようやくここで繋がった。その中庭は、月光に薔薇の夜露が煌めく、美しい薔薇の庭園。だが、そこには。
「……女の子達が、生きながら茨に捕らわれてる」
 ――やはり。あの絵に描いてあったの人間……というか少女で合ってたのか。彼女達こそが、真に月光城に捕らわれた犠牲者であり、助けるべき存在。だが、助けるのも一筋縄ではいかない。
「……庭園は、迷宮みたいになってる、上に……危険生物も、放たれてるから」
 危険生物。その響きに、猟兵達はゴクリ唾を飲み込む。
「危険生物って……ど、どんなやつなんだ?」
 おそるおそる尋ねる猟兵に、ロビンは答えた。
「獰猛な……ドーベルマン」
「ド、ドーベルマン??」
 答えを聞いた猟兵達は思わず脱力する。どんなに獰猛な犬であろうと、オブリビオンでない以上、猟兵の敵にはならないだろう。とはいえ、か弱い少女達には十分な脅威だ。それに、吠えられたり救出を邪魔されたりすると面倒だ。こちらへの対処も必要かもしれない。
「助けられたら……ひとまず、安全なところに、隠れてもらって……月光城の主を、倒して欲しい」
 その言葉に、猟兵達の顔が引き締まる。そうだ。少女達を攫い、生きながら薔薇園に閉じ込めた元凶がいるはずだ。それが、この月光城の主――。
「……蒐集公、アヴィス」
 ロビンが元凶の名を告げる。蒐集公アヴィス。魔術書の蒐集に狂い、力への希求に溺れた、吸血鬼のネクロマンサー。その腕には、かつての妻の亡骸が抱かれている。その、妻は。
「……たぶん、捕らえた少女のうちの、ひとり……だと思う」
 ……ロリコン? と思わず突っ込みたくなった。まあ、捕らえているのも女の子ばかりだし、少女趣味……なのかもしれない。尤も、彼は魔術書の蒐集に狂った吸血鬼だ。別に少女趣味でもなんでもなく、たまたまなのかもしれない。真相は分からない。そんなことより重要なのは、彼の力だ。
「彼は……眼球と満月を組み合わせたような、『月の眼の紋章』を……体のどこかに、宿している」
 その戦闘力、実に66倍。とても敵う相手ではないが、実はこの紋章、捕らえられた人間をエネルギー源にしている。ということはつまり――。
「……薔薇の庭園から、女の子を助ければ助けるほど……弱体化する」
 ……ということだ。捕らえられた少女の半分も救出すれば、紋章は完全に効果を失うだろう。尤も、その状態でさえ、通常の攻撃の他に「月の眼の紋章から飛び出す棘鞭」による攻撃をしてくる。油断は禁物だ。
 ロビンがぎゅっと、手にした巨大絵筆の持ち手を握る。その手が、微かに震えている。
「……僕、も……ヴァンパイアに、ずっと……閉じ込められてた……から……」
 放っておけないのだと、呟く。しかし、彼がこの事件を予知した以上、彼にはグリモア猟兵としてこの地に猟兵達を転送する義務がある。一緒には行けない。だから――。
「代わりに……倒して、きて」
 願いを猟兵達に託し、ロビンは六角柱の青い水晶の形をしたグリモアを閃かせた。


ライ麦
 ライ麦です。ロビンのグリモア猟兵としてのデビュー戦です。よろしくお願いいたします。

 さて、月光城です。
 第一章では、上から降ってくるギロチンの刃に対処しつつ、満たされることは無い飢餓者と戦ってもらいます(集団戦)。罠をうまく利用したプレイングにはプレイングボーナスがつきます。
 第二章では、薔薇の迷宮庭園に捕らわれた少女達の救出。少女達は茨に絡みつかれて動けなかったり、茨でできた檻に閉じ込められていたりします。また、見張りとして獰猛なドーベルマンが数匹放たれています。猟兵の敵ではありませんが、少女達には脅威である上、救出も邪魔してくるので、こちらに対処する方法も考えてください(プレイングボーナスがつきます)。なお、ドーベルマンは基本月光城の主の命令しか聞きません。
 第三章は月光城の主、『蒐集公アヴィス』との戦いです。『月の眼の紋章』をその身に宿しており、そのままではとても敵う相手ではありませんが、第二章で少女を助ければ助けるほど弱体化します。捕らえられた少女の半分も助けられれば、紋章の効果は完全に失われ、対等に戦うことができます。ただし、その状態でも通常の攻撃の他に「月の眼の紋章から飛び出す棘鞭」の攻撃がありますので、それに対処する必要があります(プレイングボーナスがつきます)。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
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第1章 集団戦 『満たされることは無い飢餓者』

POW   :    分解作業
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    捕縛行動
【獲物を押えつける為の死角からの攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    共食い
戦闘中に食べた【死体の肉】の量と質に応じて【さらに上質な肉を求め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御門・勇護
親友の時人さん(f35294)と参戦
ようやくあの時の約束が果たせますね。
時人さんとならどんな困難であっても乗り越えられると信じています。

「共に戦場に立つことができて光栄です。さぁ、悲劇を打ち砕きに参りましょうか。」

トラップがあることは事前にわかっているので警戒しつつ侵入しましょう。
強化オブリビオンとの相対時に顔をしかめつつ独白。
「何とも惨い事です……。」

ギロチンに警戒しつつ【指定UC】を使用
強化オブリビオンを指定UCの効果で麻痺させつつ、トラップのギロチンを利用してその首を落としていきます

また【誘導弾】【援護射撃】【弾幕】を駆使し時人さんの行動をサポートします


葛城・時人
親友の御門(f35310)と

銀の雨降る世界から俺なんかと笑顔でずっと
一緒にいてくれた親友
宇宙から戻ってきて再会して
二人で依頼行くのはあの頃からの約束
「一緒に来てくれてありがと、だよ。頑張ろ!」

これ元は被害にあった人たちなんだね
惨状に顔が本当に強張るよ
対全部倒してせめて瞑らせてあげたい

「…ちょっと我慢できない…。全力で行く」

ギロチンは空中機動や装備の大鎌での跳ね上げ
​|白燐蟲《ククルカン》の突進等でも回避しつつ
UC白燐大拡散砲詠唱

要らないはずの裂帛の気合をそれでも必ず
「消えて!無くなれ!」

助けられないならせめて凡ての破壊を
受傷があっても御門だけじゃなく猟兵全員癒せるしね
「全部倒して先へ往こう!」



「一緒に来てくれてありがと、だよ。頑張ろ!」
「ええ、共に戦場に立つことができて光栄です。さぁ、悲劇を打ち砕きに参りましょうか」
 月のように淡く輝く月光城の前で、葛城・時人(光望護花・f35294)と御門・勇護(求道者・f35310)は固く握手を交わす。二人は銀の雨降る時代からの親友。次の宇宙に飛び立ち、道が別れてしまっても、「二人で依頼に行く」という約束をずっと覚えていた。ようやくあの時の約束が果たせる。勇護はすっと面を上げ、月光城の扉を開いた。親友と共に一歩踏み込んだ、途端に天井から音を立てて、鈍く光るギロチンの刃が落ちてくる。知らなかったら驚きに足を取られていたかもしれない。だが、罠があることは事前に分かっている。警戒していた勇護はなんなく避け、時人は|黒い刃を持つ長柄の大鎌《黒月》で刃を跳ね上げ、回避する。物騒な出迎えを乗り越えた二人はしかし、油断なく広間の奥を見つめた。もっと厄介なものが、この先に待ち構えている。やがて、奥から不気味な呻き声が聞こえてきた。
「助け……助けてくれ……」
「誰か……誰か食糧を……」
 弱々しく声を上げながら、闇の中からまるでゾンビのように、幾つもの人影が這い出てくる。纏った服はボロボロで、伸ばしてくる腕は骨に皮が被さったよう。見るだけで哀れを誘うその姿に、思わず時人の顔が強張る。
「……これ元は被害にあった人たちなんだね」
「何とも惨い事です……」
 勇護も顔をしかめつつ独白した。彼らもまた、圧政の果てに餓死した被害者、のはずだった。――かつては。今は、口々に救いを求めて時人と勇護に群がりつつ、その実目の奥で虎視眈々と獲物を狙っている。彼らにとっては、もはや目に映るもの全てが食糧。時人と勇護も例外ではない。同情に気を許せば、たちまち肉を断ち切られ、骨までしゃぶられるだろう。時人はグッと白羽蟲笛を握りしめた。
「……ちょっと我慢できない…。全力で行く」
 助けられないならせめて凡ての破壊を。飢餓者達を真っすぐに見据え、もはや要らなくなったはずの裂帛の気合と共に、|白燐蟲《ククルカン》を解き放つ。
「消えて! 無くなれ!」
 瞬間、天の川を地上に引き下ろしたかのような白燐蟲の大群が出現する。純白の羽毛と翼持つ蛇の形をした蟲達は、時人と勇護の肉を狙う飢餓者達の肉を逆に食い荒らし、体に穴を開けていく。
「ウギャアアアアア!」
「なぜ……なぜ……」
 悲痛な叫び声を上げ、恨めしそうに時人を睨む飢餓者達はしかし、もはや騙せないと悟ったらしい。本性を露わにし、四方八方から、彼を押さえつけようと飛び掛かる。
「させませんよ!」
 すかさず勇護が、誘導弾と弾幕を放つ。明滅する誘導弾に気をとられた飢餓者はその動きを止め、弾幕が時人の姿を覆い隠す。目標を見失った飢餓者は唸り声を上げ、今度は遮二無二勇護に飛び掛かってきた。ひらり身をかわし、攻撃を受け流す勇護だが、飢餓者の隠し持っていた鉈が僅かに腕をかすり、破れた袖から血が滲む。しかし、そこに集まってきた|白燐蟲《ククルカン》の放つ温かな光が触れると、瞬く間に傷は塞がった。
「ありがとうございます」
「どういたしまして! さあ、全部倒して先へ往こう!」
「はい!」
 礼を述べる勇護の背に寄り添い、護るように立つ時人に、微かに勇護の口元が綻ぶ。彼となら、どんな困難であっても乗り越えられる気がする。背中合わせで立つ二人に、もはや死角はない。勇護は蠢く飢餓者達をスッと鋭い眼光で睨みつけた。
「トモヤ……貴方の力を解放しましょう、どうか力を貸しておくれ」
 その言葉と同時に、勇護の隣に立つ、汎用人型兵器『フランケン』の掌が掲げられる。その正体は、義弟の遺骸を流用し作られた禁忌の兵器。その掌に刻まれた聖痕から、戦場全体に強烈な電撃が放たれる。ありもしない死角を探して、勇護の周囲を右往左往していた飢餓者達は電撃に打たれ、次々に麻痺して倒れていく。その首を、再び落ちてきたギロチンの刃が斬り落としていく。電撃を逃れた飢餓者も、|白燐蟲《ククルカン》の餌食になるだけだ。飢餓者達がもの言わぬ死骸に還るのに、そう時間はかからなかった。
 やがて、あらかた敵を葬った二人は暫し目を閉じ、かつての犠牲者達に短い祈りを捧げると、再び前を見据える。この先にまだ、救うべき未来があるから。二人は頷きあい、駆け出した。美しい薔薇の花咲く、庭園へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザイーシャ・ヤコヴレフ
●WIZ

まぁ、お上手♪
これが薔薇の庭園でこれが囚われの人達なのね
想像するだけでも胸がワクワクしちゃうわ♪

だけど、ギロチンだなんて意地悪な城主様
でも、こうすれば問題ないよね?

【ガラスのラビリンス】で薔薇の庭園まで続く透明なトンネルを作るわ
これならギロチンの刃が落ちても弾かれるし、スリル満点で下から見上げれるね
だけど、ガラスの迷宮に入っちゃったガリガリなおじさん達が邪魔よね…
そうだわ、良い事思いついちゃった♪

まずひとり見つけたら後ろからサクッとヤッちゃうの
それを【解体】すればお腹を空かせてるから血の匂いに誘われて集まって食べるでしょ?
そこでガラスのラビリンスを解除すれば、ギロチンでザックザクだよ♪



「まぁ、お上手♪ これが薔薇の庭園でこれが囚われの人達なのね。想像するだけでも胸がワクワクしちゃうわ♪」
 ――なんて、ザイーシャ・ヤコヴレフ(|Кролик-убийца《殺人バニーのアリス》・f21663)がロビンの描いたよく分からない絵に胸をときめかせていたのは転送前の話。転送された後、彼女は目の前に落ちてきたギロチンの刃に頬を膨らませていた。
「ギロチンだなんて意地悪な城主様! これじゃあの絵の庭園に行けないわ。……でも、こうすれば問題ないよね?」
 不機嫌は一瞬のこと。すぐに口角を上げると、ザイーシャはパチリと指を鳴らす。瞬間、庭園に続く広間全体がガラスの迷宮に覆われる。この迷路はかなりの硬度を持っている。再び上からザイーシャめがけて落ちてきたギロチンの刃は、大きな音を立てて弾かれた。
「ふふ、スリル満点ね♪」
 下から余裕綽々で落ちてくる刃を眺めていた彼女はしかし、視界の隅に蠢く飢餓者の影を認めると僅かに鼻白んだ。ここは硬質なガラスで出来た迷路、ザイーシャという新鮮な肉の存在が見えていても、固い迷宮の壁と迷路に阻まれた飢餓者達は中々彼女にまで辿り着けずに右往左往している。ゆえにすぐに襲われる心配はないのだが、庭園に向かうに邪魔だ。暫し思案したザイーシャは、ニマリと口角をつり上げた。
「そうだわ、良い事思いついちゃった♪」
 思い立てば即行。忍び足で自分の前方にいた飢餓者の背後に近づくと、ザイーシャはその背を思いきり魔法のナイフが変化した三日月斧で斬りつけた。不意をつかれた飢餓者は声もなく前のめりに倒れ、再び物言わぬ死骸と化す。その死骸を、彼女は魔法のナイフで手際よく解体した。解体時に流れる血もあえてそのまま、解体後の死骸をきちんと並べ、さっと距離をとって眺める。餓えているがゆえに、匂いには敏感なのか。迷路に惑っていた飢餓者達は、その血と肉の匂いを辿って続々と群がってきた。
「肉……肉だ……」
「ああ、でもこれは……仲間の死体……」
「関係ない……食べられさえすればなんでもいい……」
 ちょうどおあつらえ向きに、丁寧に解体までされている。その死骸を飢餓者達は無遠慮に掴み、無造作に口に運んでいく。クチャクチャ、バリバリと僅かな肉を頬張り、細い骨を噛み砕き、音を立てて臓物を啜る。共食いのおぞましい光景が繰り広げられる中、ザイーシャはタイミングを見計らってガラスの迷宮を解除した。途端に、仲間の遺骸に群がっていた飢餓者達の頭上にギロチンの刃が落ちてくる。食事に夢中になっていた彼らに、避けるという選択肢がありようもない。成すすべもなくギロチンの刃に切り刻まれていく飢餓者を笑みを浮かべて眺めた後、ザイーシャはくるり背を向けて駆け出した。今のうちに急がねば。あの絵画に描かれた、美しい薔薇と少女の庭園へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七瀬・永見
まあ…説明の方法は人それぞれですから…
俺としてはこうして図解で説明された方が分かりやすいんですがね
了解、この条件で請け負います

ギロチンで斬首されるなんて絶対御免だ…
動体軌道予測システムを使って確実に避けよう
少なくとも迂闊に突っ走るような真似はしない

強敵との戦闘が控えているから弾は温存しておきたい
折角強力な罠があるならこれを活用しよう
ギロチンが落下する地点のすぐそばで敵を待ち構えよう

戦闘力が増した強化オブリビオンの攻撃を防ぎきれるように超剛性化現象をウルフエンドに使う
ウルフエンドで攻撃を受け止めて飢餓者をギロチンに切断させよう
情けを掛けるつもりなどない
人は散々殺してきた
脅威は排除する
それだけだ



「まあ……説明の方法は人それぞれですから……俺としてはこうして図解で説明された方が分かりやすいんですがね。了解、この条件で請け負います」
 ロビンの描いた不可思議な絵に頷き、七瀬・永見(名無しの傭兵・f29237)は現場に転送される。月光城の広間に到着した彼を待ち受けていたのは、飢餓者の群れと上空より降り注ぐギロチンの刃だった。無論、それらの条件は事前に聞いて呑んでいる。だが、いざ鋭く冴える刃を目の前にすると思わず身震いしてしまう。
「ギロチンで斬首されるなんて絶対御免だ……」
 呟き、永見は自身の目に手をやって動体軌道予測システムを起動させる。瞳に埋め込まれたそれは、動体の軌道を予測し可視化する義眼。降ってくるギロチンの刃の動きを自動で捕捉し、解析する。表示されたデータを見ていれば、おのずと刃の軌道や落ちてくるタイミングは掴めるというもの。そこからギロチンの刃を避けて進めるルートを割り出し、素早く駆け出した。だが、現れた新鮮な肉を見逃す飢餓者達ではない。
「ああ! お助け! お助けを!!」
 などと、いかにもこの城に捕らわれた犠牲者らしく、哀れっぽく叫びながら、手を伸ばして永見に殺到する。その目は訪れた獲物に爛々と輝いていた。当然、おとなしく狩られる気などない。だが、振り切って進むには数が多すぎる。どうしようかと瞬時に考えを巡らせる。この後には強敵との戦いが控えている。弾は温存しておきたい。ならば、とチラリ天井に光るギロチンの刃に目を走らせた。せっかく強力な罠があるなら、これを活用しない手はない。刃の軌道や降ってくるタイミングは動体軌道予測システムで把握済みだ。永見は一度足を止め、ギロチンの落下地点のすぐそばで敵を待ち構えた。追っている間にも飢餓感に耐えかね、事切れた仲間の遺骸を食らった飢餓者達が、さらに上質な肉を求めて永見に襲いかかってくる。もはや本性を隠す気もないらしい。勢いよく振り下ろされた鉈を、永見は超剛性材質に変えた|重く強靭な大剣《ウルフエンド》の刃の隙間で受け止めた。【超剛性化現象(スーパーハードフェノメノン)】を施された大剣は、あらゆる物質より硬く、刃の隙間にガッチリと挟まれた鉈は、飢餓者がどんなに振ってもびくともしない。武器を挟まれ、動けずにいるうちに、頭上から降ってきたギロチンの刃が、無慈悲にその首を斬り落とした。吹き出す血の雨を浴びながらも、永見の表情は変わることはない。傭兵として、人は散々殺してきた。戦場では一瞬の迷いが命取りだ。脅威は排除するだけ。情けを掛けるつもりなどない。
 後続の飢餓者がうろたえ、まごついているうちに、永見は大剣に挟まった鉈を捨て、再び駆け出す。背後では、再度のギロチンに飢餓者達がグシャリと押し潰される音が響いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『ヴァンパイアの国のアリス』

POW   :    薔薇の生け垣をなぎ倒して迷宮庭園を進み、女の子を助ける

SPD   :    危険生物を素早くかわして女の子を助ける

WIZ   :    迷宮庭園の構造を調べて、抜け道や隠し通路を駆使して女の子を助ける

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 危険なギロチンの罠と飢餓者達がうごめく広間を突破し、中庭に辿り着いた猟兵達。そこは、グリモア猟兵が絵に描いた通りの、美しい庭園だった。背の高い生垣には真紅の薔薇が咲き誇り、月の光に照らされて夜露がきらめく。庭園を囲う城壁も月と同じように白く淡く輝き、幻想的な雰囲気を醸し出していた。絵に描きたくなるのも納得の景色だ。だが、耳をすませてみれば。あちこちから少女のすすり泣きが響き、それに交じって犬の遠吠えや唸り声が聞こえてくる。美しい庭に隠された異常の気配に、背筋がこわばる。さらに、よく見れば薔薇の生垣に囲まれた通路は複雑に入り組み、まるで迷路のような様相を呈していた。捕らわれた少女達を救出しつつ、この迷路を突破しなければ、月光城の主に挑むこともおぼつかない。しかも、この庭園に放たれた危険生物(ドーベルマンだが……)に対処する必要もある。ここは月光城、強大なオブリビオンが支配する城塞。やはり一筋縄ではいかない。だが、攻略の糸口はあるはずだ。猟兵達は油断なく、美しい薔薇咲く園を見据えた。

※マスターより
お待たせしました、第2章開始です!
第2章では、捕らわれた少女達を助け、庭に放たれたドーベルマンの妨害を除けつつ、薔薇の迷路を突破してもらいます。少女達を助ければ助けるほど、後のボス戦の難易度が下がります。
少女達は茨に捕らわれており、動けない状態です。普通に茨を切れば救出できますが、何も対処しない限りドーベルマンの妨害は必ず入ると考えてください。
邪魔だから殺してしまうという手もなくはないですが、ドーベルマンはオブリビオンではないため、殺してしまうと後味が悪くなります(マスターの心証も悪くなります)。
できれば殺す以外の対処法でお願いします。
薔薇の迷路を形作っている生け垣の背は高く、先を見通すことはできません。ですがバカ正直に迷路に挑む必要はないため、生け垣に穴を開けたり、生け垣をなぎ倒したりして進むとかはアリです。(燃やすのは……火事になるかもしれないので、プレイング次第です)
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
御門・勇護
親友の時人さん(f35294)と参戦
周囲を警戒しつつ囚われた少女達を探します。
「たしかに、散らせるには惜しい程に美しい庭園ですね」
追跡・索敵を使用し庭園を調査、少女達が囚われている場所を特定します。
少女達を見つけたら安心させるように声をかけておきます
「良く頑張りましたね。大丈夫、今からは私達が貴女達をお守りします」
柔らかく笑みを浮かべ、そのように声をかけておきましょうか。
犬への対応ですが無理に命を奪う必要もないですし指定UCと共に結界術・索敵・悪路走破などで戦闘を避け少女達には『鼓舞』などで心が折れないように気を付けておきましょう。
頼りになる親友が隣にいるのです、今回の依頼も必ず成功します。


葛城・時人
親友の御門(f35310)と

乙女の生贄なんて絶対に許さないよ
助ける

初手御門と自分に白燐奏甲
視覚阻害付で隠密行動にうってつけだよ

迷路庭園を歩みつつ
「出来れば薔薇は散らしたくないからね…」
外道が主でも花は花だから

「敵も乙女達に薔薇を見せたいはず」
一際美しい薔薇の傍に乙女を飾ると推察し
重点的に調べる

犬は蟲笛からの​|白燐蟲《ククルカン》を
鼻面から茂みへ逃亡させ追わせる事で追い払う
その間に素早く助ける
「大丈夫…もう怖くないよ」

救出の都度白燐奏甲を彼女達に掛け説明もして安全確保
可能な限り多数を助けたいな
御門の城壁でも護れるし安心してかくまえるね

「がんばろ、御門」
頼もしい親友とだからやり遂げられるよ、絶対



「乙女の生贄なんて絶対に許さないよ。助ける」
 葛城・時人(光望護花・f35294)はぎゅっと拳を握りしめ、自身と親友に白燐奏甲を施す。この白燐奏甲には光る白燐蟲の乱舞で視覚阻害を誘発する効果がある。隠密行動にはうってつけだ。その状態でも、二人は警戒を怠らずに迷宮庭園の中、歩みを進めていく。冷たい夜風が、サァッと咲き誇る真紅の薔薇を揺らしていく。月光に冴える薔薇は、たとえ主が少女を捕らえて庭園に閉じ込める外道であっても、変わらぬ美しさを誇っていた。それを見ながら、時人は呟く。
「出来れば薔薇は散らしたくないからね……」
 この迷宮庭園を、薔薇の生垣をなぎ倒しながら進むという選択肢もあった。その方が、早いは早いだろう。だが、時人はそれを良しとしなかった。彼の親友たる御門・勇護(求道者・f35310)も周囲を見回して頷く。
「たしかに、散らせるには惜しい程に美しい庭園ですね」
 周囲は背の高い生垣に覆われ、隣の道すら見えない。だがその生垣いっぱいに咲く薔薇は艶やかで、甘い香りを漂わせており、自然と目と心を奪われる。時人はつと閃いた。
「敵も乙女達に薔薇を見せたいんじゃないか? だとしたら、一際美しい薔薇の傍に乙女を飾るはず……」
「なるほど。その可能性はありますね」
 友の推察に勇護も頷き、技能も使いながら二人で庭園を調査する。果たして、推測は当たっていた。無数の薔薇が咲き誇る中でも一際目立つ、大輪の薔薇の傍で。まるでオブジェのように茨に手足を絡めとられた少女達が、力なく首を垂れていた。
「うぅ……」
 呻く少女達の肌には、茨から抜け出そうともがいた際にできたのであろう赤い線がいくつも走っている。これだけ傷を作っても逃げられないとなれば、自力での脱出は無理だと悟って心が折れてしまうのも無理はない。そんな彼女達を安心させるように、勇護は柔らかく笑みを浮かべて声をかけた。
「良く頑張りましたね。大丈夫、今からは私達が貴女達をお守りします」
「だ、だれ……?」
 うっすらと目を開け、やっとの思いで面を上げた少女達の耳に、夜を引き裂く獣の声が響く。たちまち少女達の顔は恐怖に歪んだ。彼女達の体に走る無数の傷跡は、茨のみならず、この庭園に放たれた獰猛な犬によってもつけられたのかもしれない。間を置かず、何体ものドーベルマンが吠えながらこちらに駆けてきた。ここから抜け出すことは許さないというように。少女達を守るように、時人と勇護はその前に立つ。構わずに飛び掛かってきたドーベルマンに、勇護はすっと掌を掲げて詠唱した。
「薙ぐ風よ聳えよ。其は不可視にして不壊、厄災を防ぎ絶望を退ける最後の砦。故に私は汝に命ず……強き風よ起て、無辜の民を護る為に。」
 放たれた聳え立つ風の壁。それに結界術が、犬の行動を阻害する。その間に、時人は白羽蟲笛を風に鳴らした。瞬間、現れた無数の|純白の羽毛と翼持つ蛇の形をした蟲《ククルカン》が犬達の鼻先に付き纏う。うざったそうに頭を振った犬達は、|白燐蟲《ククルカン》が茂みに逃亡するや否や、吠えながらその後を追って茂みに飛び込んだ。番犬として、動くものから優先的に攻撃するのかもしれない。その隙に、時人と勇護は素早く茨を切り、少女達を救出する。
「大丈夫……もう怖くないよ」
 優しく声をかけながら、時人は都度白燐奏甲を彼女達に掛け、説明もして安心感を与えていく。装甲を強化し、敵対者からの認識を阻害する白燐蟲は、必ずや少女達の助けになるだろう。勇護の城壁もある。安心してかくまえる。時人は汗を拭いつつ、勇護に微笑みかけた。
「がんばろ、御門」
 頼もしい親友とだからやり遂げられる、絶対に。その想いは勇護も同じだ。少女達の心が折れぬよう鼓舞しながら、彼も微笑む。
「ええ。頼りになる親友が隣にいるのです、今回の依頼も必ず成功します」
 いや、必ず成功させてみせる。大輪の薔薇の傍に捕らわれていた少女達をあらかた救出しおえた彼らは、さらに多くを救うべく、前を見据えて再び歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

七瀬・永見
とりあえずここまでの道程は特段問題無し
次は薔薇の迷路と猟犬、そして救出か…
その肝心の救出対象はどこにいるものやら

啜り泣く声を頼りに要救助者の元へ進もう
だが素直に道順を辿れば罠が仕掛けてあるかも知れないし、侵入者の方向感覚を狂わせる作りになっているかも知れない
生垣をウルフエンドで切り倒しながら道を作り直線に進もう
猟犬が襲撃してくるなら超過放電で感電させよう
要救助者を見つけた後で安全に逃す為にも電流で気絶させておいた方がいいだろう
どこまで訓練されているかにもよるが、仮に気絶させられなかったとしても俺に近寄れば痛い目に遭うという教訓は与えられる
要救助者の元に辿り着いたらウルフエンドで拘束を除去しよう



「とりあえずここまでの道程は特段問題無し。次は薔薇の迷路と猟犬、そして救出か……」
 その肝心の救出対象はどこにいるものやら、と七瀬・永見(名無しの傭兵・f29237)は庭園を見回した。薔薇の生垣の背は高く、捕らわれているという少女達の姿は見えない。頼りになるのは、すすり泣く彼女達の声だけだ。耳をすませて声の元を辿りつつ、永見は考える。ここは薔薇の迷宮。素直に道順を辿れば罠が仕掛けてあるかもしれないし、侵入者の方向感覚を狂わせる作りになっているかもしれない。ならばと、永見は|重く強靭な大剣《ウルフエンド》を掲げ、生垣を切り倒した。素直に道に従う必要などない。生垣を切り倒して道を切り開き、真っすぐに進んでいく。最短距離を行く彼は、おそらく誰よりも早くこの迷路を突破できるだろう。だが、生垣を切り倒せば当然音も響くし、目立つ。進み始めて幾ばくか。やはり、音を聞きつけた何匹ものドーベルマンが、けたたましい吠え声を上げながら駆けつけてきた。唸り声を上げ、一斉に飛び掛かってくる犬達の前で、永見はウルフエンドを構える。
「止まれ!」
 瞬間、大剣から電流が迸り、ドーベルマン達に命中する。「キャイン!」と声を上げ、その場に崩れ落ちた犬達は白目を剥いてピクピクと体を震わせていた。遅れて駆けつけてきた犬達も、仲間の惨状を見て恐れをなしたように後ずさりしている。感電した彼らは、起き上がって行動することもままならない。少女達を救出した後で安全に逃がす上でも、この方が都合がいいだろう。永見は息をつき、再びウルフエンドで生垣を切り倒しながらすすり泣く少女達の声の元へと歩みを進める。邪魔者がいなくなった分、進みも早い。先ほど感電させた犬達がこの庭園に放たれている全てではないだろうが、そこは訓練された番犬のこと。仲間の惨状から、彼に近寄れば痛い目に遭うという教訓を学んだのだろう。やがて、要救助者の元に辿り着いた永見はウルフエンドを振るい、茨を切り払って捕らわれの少女達を助け出す。自身は傭兵。ただ、請け負った仕事をこなすだけだ。少女達のお礼の声を聞きながら、永見は次の要救助者に向けて歩を進めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『蒐集公アヴィス』

POW   :    我が力を見よ
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD   :    貴様に罰を与えよう
【魔術書のページを捲ること 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【不可視の斬撃波】で攻撃する。
WIZ   :    ネクロ・ロマンス
【妻の亡骸 】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、妻の亡骸 から何度でも発動できる。

イラスト:タニモト。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は神埜・常盤です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 救出した少女達をひとまず安全な場所に匿い、薔薇の迷宮庭園を突破した猟兵達。この先に月光城の主がいるはずだ。注意深く城の探索を進める。しかし、庭園を抜けた先はほぼ一本道で、拍子抜けするほどになんの罠も見張りもなかった。おそらく、あのギロチンと飢餓者の群れが潜む広間と、薔薇の迷宮を抜けてここまで来られる輩などいないと踏んでいるのだろう。実際、グリモア猟兵の予知で罠を知っている猟兵でもなければ、ここまで来ることは困難に違いない。
 やがて、猟兵達は白い石造りの塔に辿り着く。猟兵達の勘が、ここに主がいると告げている。重い扉を開き、白い螺旋階段を上って行った先には、膨大な数の書が収められている書庫があった。壁一面が本棚となっており、そこに隙間なく書物が並べられている。圧倒されるほどの蔵書量だ。呆然と眺めていると、
「何奴だ?」
 と低い声が響いた。見ると、うず高く積もれた本の隙間から、一人の男が眼光鋭くこちらを睨めつけていた。その腕には、骨だけの体に成り果てた少女の亡骸が抱かれている。
「誰であれ……我が研究を邪魔する者は容赦しない」
 そう言い放った男がマントを翻した、瞬間その左腰から棘鞭が飛び出す。からくも避けた猟兵達は息を呑んだ。あれが、グリモア猟兵の言っていた月の眼の紋章から飛び出す棘鞭……!
 本来であれば、その紋章によって彼の戦闘力は大幅に強化されているはずだ。だが、先ほどの一撃にそこまでの力は感じられない。おそらく、庭園で多くの少女を助けた分、紋章による戦闘力強化の効果は失われているのだろう。だが、強敵には違いない。猟兵達は油断なくかの敵――蒐集公アヴィスを睨みつけた。

※マスターより
 いよいよ月光城の主との戦いです!
 第2章で捕らわれていた少女の半分以上を救出できた判定なので、月の眼の紋章によるボスの強化はありません。ですが、この状態でも通常の攻撃に加え、「月の眼の紋章から飛び出す棘鞭」による攻撃をしてきますので、ご注意ください。棘鞭による攻撃に対処するプレイングにはプレイングボーナスがつきます。
 なお、月の眼の紋章を狙う等の部位狙いは特に有利な効果を及ぼさないものとします。
 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
七瀬・永見
紋章の力が衰えてもこれほどとは…手強いな…
だが!

あの棘鞭は厄介だな…
どんなタイミングで打ってくるか分かったもんじゃない
もし自在に動かせるなら、武器を絡め取られる可能性もある
まずは迂闊に近付かずに様子を見よう
イーグルアイを起動
棘鞭の攻撃軌道を可視化し、避けられるものは避け、そうでないならウルフエンドで切り払おう
だが全部を処理し切れるとは限らない
超剛性化現象をアサルトスーツに使って防御力を高めておこう
自己強化系のUCならあの亡骸に模倣される心配も少ない
間合いが開いているならベオウルフで、至近距離ならウルフエンドで反撃していこう
長期戦になるかも知れない
強化した防御力を頼りに焦らず粘り強く戦おう


御門・勇護
親友の時人さん(f35294)と参戦
これで最後です、さぁ気を引き締めて参りましょうか。

開戦後、即座に指定UCを発動。
強敵を相手にするのです、人数は多い方が良いでしょう。
「友哉、前衛は任せます。時人さんと私を守ってくださいね」

攻撃は時人さんと友哉に任せ私は彼らの援護に徹しましょう。
「誘導弾」「掩護射撃」「弾幕」を駆使し相手の攻撃と棘鞭に対処します。また可能であれば棘鞭を撃ち返し反撃します。
また、自身への攻撃は「受け流し」「結界術」「オーラ防御」を使い対処します。

私の親友は本当に頼りになる方です。今後も恥じる事無く彼の隣に立てるように。精進を続けなければ行けませんね。


葛城・時人
親友の御門(f35310)と戦う

人を悪辣な目的に使い捨てる奴を
絶対に許せる訳ない
此処で終らせる

親友の厳しい顔をみて頷き一つ
即時合わせ真っ直ぐ蒐集公を指し
UC『天より来る百億の光使』詠唱

直ぐ鞭も攻撃もくるだろうけど
全技能で躱しククルカンの乱舞でも視界を奪いつつ
「残念だね」
これは回避不可能だから、ね
仮に直撃喰らっても怯むものか

御門の大切な友哉さん、俺は初めて見る…
写し身と解っていても怪我なんて絶対させたくない
勿論御門はもっと
「二人を護れ!ククルカン!」
蟲笛から蟲を呼び出し指示し通常攻撃でも弾く

親友が此処まで俺なんかと一緒に来てくれた
その信頼に応えたい
惨い屍に安らぎを非道な敵には鉄槌を!
「堕ちろ!」



「人を悪辣な目的に使い捨てる奴を絶対に許せる訳ない。此処で終らせる……!」
 葛城・時人(光望護花・f35294)は蒐集公アヴィスを睨みつけ、親友と目を合わせて頷きあう。
「これで最後です、さぁ気を引き締めて参りましょうか」
「ああ!」
 時人は天に向けた指を、真っすぐ蒐集公アヴィスに突きつけ、詠唱した。
「光使となりて来い! ククルカン!」
 その詠唱に、一瞬何が来るのかと身構えるアヴィス。……だが、何も起こらなかった。少なくとも、表面上は。アヴィスはあざけるように笑う。
「ふははは! どうやら貴様の魔術は失敗したようだな。お手本に、我が力を見せてやろう!」
 魔導書を片手に、掌を掲げて詠唱するアヴィス。すると、部屋全体の温度が急激に下がり、漂った冷気と共に、パキパキと音を立てて形成された巨大な氷の波が猟兵達に襲い掛かる!
「紋章の力が衰えてもこれほどとは……手強いな……!」
 迂闊に近付かずに様子を見ていた七瀬・永見(名無しの傭兵・f29237)が腕をかざし、険しい顔で呟く。幸い、|超剛性化現象《スーパーハードフェノメノン》で自身のアサルトスーツの防御力は高めてある。たとえ直撃しようと、大ダメージは避けられるだろう。……だが。
 氷の波の隙間を縫うように、棘鞭がひゅん、と音を立てて飛んできた。永見が警戒していたのは、敵のユーベルコードよりむしろ月の眼の紋章から伸びるかの棘鞭の方だ。どんなタイミングで打ってくるか分かったものじゃないし、自在に動かせるのであれば、武器を絡め取られる可能性もある。厄介だな、と永見は自身の眼に手をやり、イーグルアイを起動させる。この|義眼《サイバーアイ》で棘鞭の攻撃軌道を可視化し、予測して避け、あるいは切り払いながら、攻撃のタイミングを伺う。御門・勇護(求道者・f35310)もまた、氷の津波を結界術とオーラ防御で受け流し、誘導弾や弾幕で敵の目をくらましながら、掩護射撃ついでに棘鞭を撃ち返す。そうしてできた隙に、彼もまた詠唱した。
「血に染まり、事切れた貴方を見た。凍えた体、開かぬ瞳、放たれぬ声、これこそが我が絶望……故に、私は否定する」
 瞬間、汎用人型兵器『フランケン』こと【トモヤ】の姿が、生前の友哉の姿に変わる。ククルカンの乱舞で敵の視界を奪い、技能の全てを駆使して次々に襲い来る氷の津波や棘鞭を躱していた時人も、その姿に目を見張った。
「御門の大切な友哉さん、俺は初めて見る……」
「強敵を相手にするのです、人数は多い方が良いでしょうから」
 時人に頷き、勇護は『友哉』に声をかける。
「友哉、前衛は任せます。時人さんと私を守ってくださいね」
 頷いた『友哉』が、炎の闘気を纏い空中高く舞い上がる。敵めがけて急降下した彼は、燃え盛る炎の蹴りを連続してアヴィスに叩き込んだ。
「くっ……なめるな!」
 炎の熱さと痛みに顔をしかめつつ、アヴィスは反撃とばかりに今度は魔導書から炎の竜巻を放ち、棘鞭をしならせる。すかさず時人は、蟲笛から|蟲《ククルカン》を呼び出し指示した。
「二人を護れ! ククルカン!」
 たとえかの『友哉』が、親友の大切な人の写し身に過ぎないと分かっていても。怪我なんて絶対させたくない。親友はなおのこと。現れた純白の羽毛と翼持つ蛇の形をした蟲が乱舞し、敵を惑わし、攻撃を弾く。その時人の姿に、勇護は内心感嘆のため息をついた。
(「私の親友は本当に頼りになる方です。今後も恥じる事無く彼の隣に立てるように。精進を続けなければいけませんね」)
 そう、親友を見つめる勇護。だが、時人も想いは同じだ。
(「親友が此処まで俺なんかと一緒に来てくれた。その信頼に応えたい」)
 そのためにも、惨い屍に安らぎを、非道な敵には鉄槌を! 時人は叫んだ。
「堕ちろ!」
「バカな、先ほど術に失敗した貴様に何ができると?」
 アヴィスが鼻で笑う。だが、彼は知らない。先ほどの詠唱は、決して失敗ではないのだ。その証拠に、時人が叫んだ直後。天より何体もの白く光り輝く、疑似的に翼人化した白燐蟲が舞い降りた。その数はゆうに100を超えている。囲まれたアヴィスは息を呑んだ。
「まさか……先ほどの詠唱はこのためだったというのか!?」
「残念だね。これは回避不可能だから、ね」
 時人が蟲笛片手に言う。驚愕に動きを止める蒐集公に、断罪の光の剣や光魔法が次々に放たれた。四方八方から襲い来る、100を超える翼人化した白燐蟲からの攻撃を防ぐなど、到底不可能だ。うずくまるアヴィス。イーグルアイでその姿を捉えた永見は、すかさず|ベオウルフ《異形を屠る為の50口径短機関銃》を構え、引き金を引いた。強化した防御力を頼りに、決して焦らず、粘り強く戦っていた彼だからこそ掴めたチャンス。放たれた弾丸は、確実にかの敵を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザイーシャ・ヤコヴレフ
●SPD

御機嫌よう、月光城の主様
楽しい楽しい趣向と出迎えの数々…楽しませて頂きました
アリスクロスを純白の吸血鬼なような衣装に代えて、マントの両端を上げながらの【礼儀作法】でまずはご挨拶

──さ、遊びましょ?
魔法のナイフをウィップソードに代えて、飛び出す棘鞭を捌いていくわ
だけど、そうすると撓る鞭剣の刃で書庫ごと切り裂いて悪いご本はバラバラだよ?
燭台があれば落とした蝋燭の炎でも燃やせるかもね

くすくす、ほぉら逆上してUCを使おうとしてる
でもお忘れかしら
月光を浴びで強くなるのは月の目の紋章を持つ吸血鬼だけじゃないのよ?
月明かりを取るための天窓から差し込むお月様の光に照らされながら『ルナティック・マグネット』を使うね
不可視の刃と空飛ぶ月光の刃、お互いに相殺するでしょうけど、おじ様の魔力は私達が庭園で助けた女の子が居なくなったお陰で…続くかしら?
本来だと私のように全身から月光の魔力を放ちながら時間制限無しに強化できただろうでしょうけど…|Мне жаль《残念でした》♪
紋章ごとバラバラにしてあげるね♪



「御機嫌よう、月光城の主様。楽しい楽しい趣向と出迎えの数々……楽しませて頂きました」
 アリスクロスを純白の吸血鬼なような衣装に代え、マントの両端を摘み上げたザイーシャ・ヤコヴレフ(|Кролик-убийца《殺人バニーのアリス》)が恭しく挨拶する。口角を上げ、ザイーシャはアヴィスを見上げた。
「──さ、遊びましょ?」
 魔法のウィップソードに変化させたナイフを、鞭のようにしならせるザイーシャ。アヴィスは、そんな彼女を睨みつけて吐き捨てる。
「くだらぬ。子供の遊びに付き合っている暇はない」
 そして、月の眼の紋章から棘鞭を放つ! ……これは完全に余談だが、白き髪に赤い瞳が映える、少なくとも見た目は麗しい美少女たるザイーシャを前にしてこの反応、どうも|少女趣味《ロリコン》ってわけではないっぽい。確かに腕には少女の亡骸が抱かれているが。少女ばかりを集めていたのは、単純に力の弱いものに目をつけただけか、あるいは研究のためか。こう、処女の生き血が魔力を高める的な、よくある|言い伝え《迷信》でも魔術書に書いてあったのかもしれない。それはともかく、飛び出す棘鞭をウィップソードで捌いていくザイーシャ。撓る鞭剣の刃が、収められた本棚ごと魔術書を斬り裂き、ついでに落とした燭台の蝋燭の火が、床に積まれた書に燃え移ってメラメラと燃え上がる。魔術書の蒐集に狂ったアヴィスに、この仕打ちが耐えられようはずもない。
「貴様……! 我がコレクションになんてことを! 許さぬ……!!」
 ギリッと歯噛みしたアヴィスは、憎悪の籠った瞳で彼女を睨みつけ、手にした魔術書のページを捲る。放たれる不可視の斬撃波。だが、それは予測していたこと。ザイーシャはくすくす笑って口を開く。
「お忘れかしら。月光を浴びて強くなるのは、月の目の紋章を持つ吸血鬼だけじゃないのよ?」
 涼しい顔で両手を広げ、天を仰ぐザイーシャ。月明りを取るためなのだろう、設置された天窓から差し込む月の光を浴びた彼女の体が、淡く光り輝く。それは月光の魔力。全能力を倍増し、空飛ぶ月光の刃による攻撃を可能にする。それは飛んできた不可視の斬撃波とぶつかり合い、相殺した。これだけ見れば互角に見えるかもしれない。だが、捕らえていた少女達の大多数が解放された今、相手に月の眼の紋章による強化の恩恵は既にない。対するザイーシャは、月さえ出ていれば時間制限なしで全能力を倍増できる。どちらが有利かは明白。頼みの紋章から飛び出す棘鞭さえも、うかつに使えばザイーシャのウィップソードで魔術書ごと斬り裂かれてしまう。
「くそ……くそぉっ!!」
 頭を掻きむしり、ただ闇雲に魔術書を捲り続けるアヴィス。次々に不可視の斬撃波が放たれるも、ザイーシャを守るように飛ぶ月光の刃がそれらを全て打ち消す。やがて、ついに捲るページすらなくなった。
「そんな……バカな……」
 呆然と呟くアヴィスに、月光の刃が襲いかかる。ザイーシャは嗜虐の笑みを浮かべた。
「Мне жаль……残念でした♪」
 無慈悲な月の刃が、紋章ごとアヴィスの体を斬り裂く。音を立てて、白骨化した少女の骸が床に転がった。崩れ落ちていく彼が、恨めしそうに月に向かって手を伸ばす。
「おのれ……いずれ、全ての魔術書を我が手に収める、はずが……」
 妄執に満ちた言葉だけを遺して、月光城の主は塵と化して消えていった。

 ──その後、猟兵達は手分けして、捕らえられていた少女を全て月光城から解放。白骨化した少女の遺体は、薔薇の庭園に埋葬することにした。たとえ主が外道だったとして、花に罪はないのだから。
 埋葬を終えた猟兵達は、改めて庭園を眺める。月光に照らされ、真紅の薔薇はますます美しく咲き誇っていた。
 主を失った月光城は、いずれ朽ちていくのかもしれない。だが、そうなってもきっと、この薔薇は気高く咲き続けることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年11月28日


挿絵イラスト