殲神封神大戦⑭~封神仙女『妲己』
●封神武侠界
(私は、何故……生きているのでしょう。確かに、あの時……死んだはずなのに……それなのに、生きている。その上、自ら命を断つ事が出来ないなんて……。これは私に課せられた罰なのでしょうか? 例え、私自身が死を望んだとしても、私の離反を恐れた仙翁達に、かつて移植されたユーベルコードが自動的に発動し、それを拒んでしまうのですから、私にはどうしようも出来ません。ただ何もせず、死ぬ事を待っていたとしても、ユーベルコードの発動を止める事なんて出来ないのですから……)
封神仙女『妲己』は山岳武侠要塞『梁山泊』にいた。
だが、自分の身を守るつもりは微塵もなく、ただ何もせず、座っているだけだった。
●ガジルからの依頼
「妲己さんは死ぬ事を望んでいるんだよ」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が猟兵達を前にして、複雑な気持ちになりつつ、今回の依頼を説明した。
今回の目的は、封神仙女『妲己』の撃破。
ただし、妲己は自ら死を望んでおり、何の抵抗もする気がないようだ。
そのため、妲己を撃破するのは、難しくないように思えるのだが、実際にはそう簡単でもないらしい。
妲己には、自動発動型のユーベルコードが移植されており、身の危険を感じると、彼女の意思に関係なく、攻撃を仕掛けてくるようである。
その上、妲己がいる梁山泊内部の玄室は、彼女の香気でむせかえり、あらゆる者を狂わせる『酒池肉林の宴の間』と化しているようだ。
この場所では、無骨な要塞の壁さえも、魅了されて輝く宝石と化し、仙界の美しい羽衣人達が誘われ、正気を失い踊り狂ってしまうらしい。
そのため、美しい宴に魅了されないように心を強く保ちつつ、妲己の意思に関係なく攻撃してくるユーベルコードに対処しなければ勝ち目がないため、くれぐれも気をつけてほしいという事だった。
ゆうきつかさ
この依頼は、戦争シナリオです。
基本的には、羽衣人達の誘惑と戦いながら、妲己と戦う事になります。
羽衣人達は老若マッチョ様々で、みんな美しい姿をしています。
第1章 ボス戦
『封神仙女『妲己』』
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POW : 殺生狐理精(せっしょうこりせい)
対象に【殺戮と欲情を煽る「殺生狐理精」】を憑依させる。対象は攻撃力が5倍になる代わり、攻撃の度に生命力を30%失うようになる。
SPD : 流星胡蝶剣(りゅうせいこちょうけん)
レベル×5km/hで飛翔しながら、【武林の秘宝「流星胡蝶剣」】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
WIZ : 傾世元禳(けいせいげんじょう)
【万物を魅了する妲己の香気】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:碧川沙奈
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
阿紫花・スミコ(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒。暗い過去を持ちつつも性格は明るい。自信家で挑発的な一面がある。力があれば何をしてもいいというようなダークセイバーの領主達を心底嫌っている。機械系に強く様々な世界の機械知識を広く持ち自作ガジェットの研究・開発を行っている。
からくり人形「ダグザ」:巨大な棍棒で敵を粉砕する。
精霊銃「アヴェンジングフレイム」:黄金に輝くリボルバー。弾丸には炎が宿る。
ワイヤーギア:射出したワイヤーを引っかけ、巻き取りと、蒸気噴出で推進力を得る。
「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう?…お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」
(エロやグロに巻き込まれなければどんな展開でも大丈夫です)
ヴェルンド・ラスリス(サポート)
ダンピールのブレイズキャリバー×魔剣士、30歳の男。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」
口数が少なく、普段は積極的に他人とコミュニーケーションは取りません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、四肢の切断程度の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。
氷咲・雪菜(サポート)
人間のサイキッカー×文豪、15歳の女です。
普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
西院鬼・織久(サポート)
※過度なギャグ、性的な要素のあるシナリオはNG
【行動】
オブリビオン狩が最優先
口調等ステータス参照
五感と第六感+野生の勘で状況を把握し敵行動を予測
罠や逃走する敵の追跡などは戦闘知識の応用で対処する
「闇器」を場面に応じて使い分ける
武器は怨念の炎(呪詛+生命力吸収)を纏い継続ダメージ付与
先制攻撃を仕掛け狭い場所でも縦横無尽に動き回り死角から攻撃
殺気を抑え暗殺を行う事もできるが、大抵は特攻紛いの攻撃特化
集団にはUCやなぎ払いを範囲攻撃に広げるか、単体を夜砥やUCで拘束して振り回して周囲をなぎ払うなどで攻撃
敵の攻撃は残像などのフェイントや武器受けで受け流しカウンターを行う等全ての行動を攻撃に繋げる
尾守・夜野(サポート)
共通:
出身はUDCアースという事にしてる
現ダクセ在住
MSの数だけ人格はある
宿敵の影響で敵・環境の炎は苦手
味方のは平気
人格毎にUC・技能傾向は違うけどやれない訳じゃない
普段の人格(俺):
刹那主義
破滅願望
だが思考は割とまとも
自分だけ生き残った事に負い目
攻撃は致命傷はアイテムで防ぐ
それ以外は無視
大事な物は守りたい
オールラウンダー
女性人格な私:
大事な物は壊される前に壊したい
人は駄目だから敵を愛する
ドS
毒/意識操作等を好む
近接戦闘は苦手
ボク:
大事な物は作りたくない
腹黒
ドジを装う
情報収集担当
僕:
臆病
人嫌い
今のままがいい
でも知らないのは怖いから情報は集める
和服・式を好む
情報収集/解析担当
俺様:荒事担当
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
単純戦闘の場合
強力な一撃を叩き出せそうなUCか、形勢逆転が狙えそうなUCを
味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを
戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動(所持アイテム等を駆使し攪乱や敵の隙をつくる等)
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
地形の利用
世界知識
咄嗟の一撃
情報収集
早業
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗
七星・彩華(サポート)
羅刹の妖剣士×宿星武侠の女です。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
普段の口調は「我が道を行く姐さん(私、お前、呼び捨て、言い捨て)」「仲間にはフレンドリーな姐さん(私、お前、呼び捨て、言い捨て)」
自身が支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂、頭脳派で行動に穴があるようで抜け目が無い。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と娘がいる。
ユーベルコードは指定した物を使用、怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはお任せ。よろしくお願いします!
エウトティア・ナトゥア(サポート)
※アドリブ・連携歓迎
負け描写、引き立て役OK
キャラを一言で言えば、なんちゃって部族じゃよ。
精霊と祖霊を信仰する部族の巫女をしておる。
自然が好きなお転婆娘じゃ。
あとお肉が大好きじゃよ
活発で単純な性格で事の善悪にはあまり興味はないのう。
自分とその周囲の安寧の為、オブリビオンが害になるから戦っておる。
専ら【巨狼マニトゥ】に騎乗していて、移動や回避・近接戦闘等は狼任せじゃよ。
ボス戦時は、動物や精霊を召喚しての行動(実は未熟ゆえ精霊や動物たちにフォローされている)で数で対抗しつつ、自身は後方で弓矢や術で援護するスタイルじゃ。
カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」
神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能
接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による【2回攻撃】がメイン。
遠距離戦では宇宙バイク内臓のビーム砲で【薙ぎ払い】
その他状況によって【属性攻撃】や【破魔】等使用。
猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。
高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
柊・りりあん(サポート)
人間のサバイバルガンナー×戦場傭兵、27歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、異性の前では「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
深影・アシッドドロップ(サポート)
貴種ヴァンパイアの霊媒士×妖剣士、12歳の女です。
普段の口調は「とても冷めてる(わし、呼び捨て、言い捨て)
家族には 冷たい(わし、貴様、言い捨て)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPDの方がクリアしやすいと判断したら、そちらを使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使う形です。
主に銃撃UCやヴァリアブル~を使う雰囲気です。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
他人の事は気にしない素振りを見せますが、基本、不器用なので、どう接したらいいのかわからない感じです。
ですが、合せるところは合せたり、守ってあげたりしています。
特に女性は家族の事もあり、守ってあげたい意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
●
「はぁ……、死にたい。早く……死にたい……。いますぐ……死にたい……。誰か殺して……。この私を……今すぐに……」
山岳武侠要塞『梁山泊』の中で、封神仙女『妲己』が呪文の如く呟いた。
どんなに死にたいと思っても、自分の意思では死ぬ事が出来ない。
それを阻むようにして、自動的にユーベルコードが発動するため、自分で命を断つ事が出来なかった。
そんな妲己を嘲笑うようにして、老若マッチョの美しい羽衣人達が、まわりを飛び回っていた。
「えーっと、この場合は笑うべきなのか、それともツッコミを入れるべきなのか……どっちだろ?」
阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)が複雑な気持ちになりつつ、乾いた笑いを響かせた。
妲己が、どんよりとした空気を漂わせ、酷く落ち込んでいるせいで、余計にシュールな感じがするものの、反応に困る状況である事は間違いなかった。
だからと言って、そんな状況を妲己が望んだ訳では無い。
……あくまで事故。
こんな状況下であれば、死にたくなるのも、無理はない。
「どうやら困っているようだな。手が足りないなら、力を貸すぞ……」
そんな中、アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)が現れ、妲己をジロリと睨みつけた。
妲己は死ぬ事を強く望んでいるものの、行く手を差限るようにして、羽衣人達が周囲を飛び回っていた。
「まあ、みんな斬ってしまえばいいだろう」
ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)が、『黒撫』(黒い長剣)を握り締め、羽衣人達を斬り捨てようとした。
「怖い、怖い」
「まさか、俺達をやろうとするなんて……」
「……筋肉か? この筋肉が妬ましいのか?」
羽衣人達が怯えた様子で、ヴェルンドから遠ざかった。
「そんな事をしたら、駄目です……! 羽衣人達も、被害者です」
その事に危機感を覚えた氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)が、羽衣人達を守るようにして陣取った。
「そうそう、俺達は被害者」
「本当は、こんな事をしたくないんだ」
「でも、このニオイのせいで……むうううううううん!」
羽衣人達が一斉にポージングを繰り出し、ナイスな笑顔を浮かべた。
それとは対照的に、妲己はズーンとしており、そのまま地の底まで沈んでいきそうな勢いだった。
「いや、嘘だろ。だったら、なんでそんなに乗り気なんだよ。まるで、この状況を楽しいんでいるみたいじゃないか」
尾守・夜野(墓守・f05352)が、羽衣人達にツッコミを入れた。
「いや、そんな事はないぞ」
「……私達は苦しんでいるっ!」
「その証拠に、むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」
羽衣人達が鬼のような形相を浮かべ、一斉にポージングを繰り出した。
その事が原因なのか、妲己が頭を抱えているものの、羽衣人達はノリノリだった。
「いや、楽しんでいるじゃねーか!」
夜野が羽衣人達をジロリと睨みつけ、躊躇う事なくツッコミを入れた。
「そ、そんな訳ないだろ!」
「オレ達は苦しんでいるっ!」
「そうじゃ、そうじゃ、ワシらの気も知らず」
「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」
羽衣人達が苦悶の表情を浮かべ、再びポージングを繰り出した。
「あいつら、この状況を楽しんでいるな」
大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)が、羽衣人達に生暖かい視線を送った。
どうやら、羽衣人達は妲己の身体から漂う香気の影響を受け、正気を失っているようだが、元の彼らを知らないため、これが普通に見えてきた。
だが、実際には礼儀を重んじる真面目タイプである可能性も高いため、キッパリと断言する事も出来なかった。
「だったら、いないものとして考えればいい」
西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)がまったく興味がない様子で、軽く流した。
その間も、羽衣人達がまわりを飛び回っていたが、完全に『いないもの』として扱っているため、背景と同じ扱いになっていた。
「正義のヒーローの登場っすよ~」
そんな中、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)が、妲己達の前に現れた。
「……あら? ひょっとして、あなたも私を殺してくれる人?」
妲己が期待に満ちた様子で、リカルドに視線を送り、グイッと顔を近づけた。
「……って、いきなりっすね。まあ、倒しに来たのは、間違いないんっすけど……。そんなに目をキラキラさせて、迫られると、正直……困るっす」
リカルドが反応に困った様子で、妲己から逃げるようにして仰け反った。
「僕の神様は言ったよ。信じていれば、必ず願いが叶うって……」
それとは対照的に、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)が真っ直ぐ妲己を見つめ、躊躇う事無く答えを返した。
「それなら、私は死ぬ事が出来るのですね。ようやく、その願いが叶うのですね」
妲己が薄っすらと涙を浮かべ、幸せそうな笑みを浮かべた。
おそらく、彼女にとって、大切なのは、死ぬ事なのだろう。
本当に嬉しそうな表情を浮かべているため、嘘はついていないようである。
「何と言うか……反応に困りますね、この空気……」
高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)が、気まずい様子で汗を流した。
この場合、ノリノリで妲己を殺すのが正解なのか、それとも激しく胸を痛めながら、妲己を倒すのが正解なのか、よく分からなかった。
「さあ、早く私を殺してください! さあ、さあ、さあ!」
妲己が興奮した様子で、猟兵達に迫っていった。
「それは……駄目だァ!」
次の瞬間、殺戮と欲情を煽る『殺生狐理精』が、羽衣人達の身体に憑依した。
「キエエエエエエエエエエエエエエエエ!」
その影響を受けた羽衣人達が、両目を血走らせながら、興奮した様子でポージングを繰り出した。
「さすがに、いないものとして、扱う訳にはいかないか」
織久が落ち着いた様子で、羽衣人達の攻撃を避け、深い溜息を洩らした。
出来る事なら、このまま斬り捨てたいところだが、そんな事をすれば一大事。
あくまで羽衣人達は被害者なのだから、どんな事があっても、命を奪う訳には行かなかった。
「こ、これは俺達の意思じゃない」
「お、俺達だって、こんな事をしたくないんだ」
「でも、身体が勝手に……! うぐがががァァァァァァ!」
その間も、羽衣人達が自分の意思に関係なく、猟兵達に襲いかかっていた。
「僕の神様から賜りし水の権能、その一つ。僕と似た者達を、ここに……」
すぐさま、カツミが【水の権能、二『似姿』(ニスガタ)】を発動させ、水で出来た自分ソックリな球体関節人形達を111体召喚した。
召喚された球体関節人形達は、羽衣人達の攻撃を防ぎながら、猟兵達を守る壁になった。
「か、身体が勝手に……」
「うぎゃああああああっ!」
「だ、誰か、止めてくれぇ!」
その間も、羽衣人達が体当たりを仕掛けてきたものの、球体関節人形達を破壊する事が出来ず、次々と返り討ちに遭って気絶した。
「……早く私を殺してください! 御願いしますっ!」
そんな中、妲己が祈るような表情を浮かべ、猟兵達に迫っていった。
それと同時に、武林の秘宝『流星胡蝶剣』が、妲己の意思に反して、猟兵達に襲いかかってきた。
「それが人にモノを頼む態度か?」
その事に苛立ちを覚えながら、柊・りりあん(人間のサバイバルガンナー・f35996)が、流星胡蝶剣の攻撃を避け、アサルトウェポンを妲己に向けた。
しかし、流星胡蝶剣が不規則に宙を舞っているせいで、狙いを定める事が出来ず、なかなか弾丸を撃ち込む事が出来なかった。
「ほ、本当に死ぬ気なんですか?」
その事に危機感を覚えた雪菜が【絶零氷柱(アイシクル・ミサイル)】で、絶対零度の氷柱を出現させた。
次の瞬間、流星胡蝶剣が氷柱を木っ端微塵に砕き、再び猟兵達に襲いかかってきた。
「ご、ごめんなさい。これは私の意思じゃないんです! 私は死にたいのに……。本当に死にたいんです! 嘘じゃありません!」
妲己が涙目になりながら、自ら死を望んでいる事を訴えた。
それとは対照的に、流星胡蝶剣がヤル気満々に様子で、猟兵達を襲いかかっているため、説得力はゼロに近かった。
「自分の意思に関係なく……か」
零児が【人狼咆哮】で激しい咆哮を放ち、流星胡蝶剣を攻撃し、一時的に動きを封じ込めようとした。
だが、流星胡蝶剣の動きは止まる事なく、すべてを切り裂く勢いで、零児に襲いかかってきた。
「……クッ!」
その攻撃を第六感と野生の勘を駆使して見切り、地形を利用しながら咄嗟の一撃を繰り出し、妖刀「魂喰」で流星胡蝶剣を傷つけた。
それでも、流星胡蝶剣の攻撃が止まる事なく、舞い踊るようにしながら宙を舞い、再び猟兵達に攻撃を仕掛けてきた。
「その言葉が本当なら、厄介だねぇ」
七星・彩華(狂い咲く呪詛の華・f32940)が警戒した様子で間合いを取りながら、流星胡蝶剣に攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
しかし、流星胡蝶剣に隙はなく、次の攻撃を予想するのも難しかった。
「それでも、やるべき事は変わらない」
アスが仲間達と連携を取りながら、フォースセイバーで流星胡蝶剣を弾き飛ばした。
「だったら、コイツを引きつけておくっすね」
それに合わせて、リカルドが【ゴッドスピードライド】で宇宙バイクを変形させて騎乗し、流星胡蝶剣を迎え撃った。
流星胡蝶剣の攻撃は激しかったものの、宇宙バイクを破壊するほどの破壊力はなかった。
その事を流星胡蝶剣も理解したのか、徐々にスピードを上げていき、宇宙バイクを傷つけるだけの破壊力を得た。
「……やるしかないか」
そんな中、深影・アシッドドロップ(影に立つ狂信者・f36021)が覚悟を決めた様子で、流星胡蝶剣の死角に回り込もうとした。
その事に気づいた流星胡蝶剣が、自らの死角を無くすようにして、クルクルと回転し始めた。
それでも怯む事なく、アシッドドロップが間合いを詰め、六ノ刻「紅光」で斬りつけ、流星胡蝶剣を弾いた。
そこに追い打ちをかけるようにして、彩華が呪詛刀・魂喰を握り締め、流星胡蝶剣の死角に回り込むようにして斬りつけた。
だが、流星胡蝶剣を傷つける事は難しく、まるで見えないオーラに包まれているのではないかと思ってしまうほど丈夫であった。
「……もう少し時間を稼ぐか。これで少しでも切れ味が落ちるといいが……」
一方、アシッドドロップは【ヴァンパイアストーム】を発動させ、吸血コウモリの群れを放って、流星胡蝶剣の注意を逸らした。
それを迎え撃つようにして、流星胡蝶剣がクルクルと回り、吸血コウモリの群れを肉の塊に変えていった。
「せっかくだから、しっかりと楽しみな! 毒の味ってヤツを……」
その間に、彩華が【猛呪殺戮劇(ジュノユウギ)】を発動させ、猛毒の呪詛で流星胡蝶剣を攻撃した。
その毒の影響が、多少なりとも出たのか、流星胡蝶剣の動きが先程とは異なり、苦しんでいるような感じになった。
「……少し壊しやすくしておくか」
次の瞬間、アスが【コード:ドライブ・ザ・ヒドゥンパワー】を発動させ、フォースセイバーの効果・威力・射程を3倍に増幅した後、流星胡蝶剣に傷をつけた。
「だったら、このタイミングで!」
それと同時に、りりあんが死角から【ヘッドショット】を仕掛け、流星胡蝶剣を木っ端微塵に破壊した。
「これで、ようやく……。今度こそ、死ぬ事が……」
妲己が瞳を潤ませ、期待に満ちた表情を浮かべた。
次の瞬間、妲己の身体から万物を魅了する香気が漂い、先程まで気絶していた羽衣人達がハイテンションで起き上がった。
「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァ!」
それは、まるでヤク中。
羽衣人達は瞳孔の開いた目をギラつかせ、はち切れんばかりに筋肉を隆起させた。
「……って、またですか!?」
ミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)が、ゲンナリとした表情を浮かべた。
「妲己ちゃんをイジめる奴は許さないっ!」
「妲己様のためなら、何度でも立ち上がる!」
「それが俺達の……むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」
羽衣人達がポージングを繰り出し、ミカティのまわりを飛び回った。
だが、先程と違って攻撃を仕掛けてくる事はなく、様々なアングルから魅惑のボディラインを見せつけ、自己満足の世界に旅立っていた。
「ひょっとして、原因は……このニオイ!?」
その途端、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が巨狼マニトゥに騎乗したまま、動揺した様子で口元を押さえた。
しかし、香気を吸い込んだ影響で、妲己を守りたいという衝動に襲われ、他の事が考えられなくなった。
まわりにいる仲間達も、香気の影響を受けているのか、とても苦しそうだった。
そのため、エウトティアは香気の影響から逃れるため、大好きな肉を思い浮かべた。
最初は、妲己の事ばかり考えてしまったが、連想ゲームの如く気持ちを切り替え、何とか極上の肉を思い浮かべる事に成功した。
その分、腹の虫が大合唱を始めているものの、香気の影響を受けるよりはマシだった。
「とにかく、妲己を倒さないと……」
そんな中、スミコが【ソウル・リンク】を発動させ、人形と操者を魂の操り糸で結び、その機動性を一時的に増強し、全ての能力を6倍にした。
それに合わせて、からくり人形「ダグザ」が巨大な棍棒を振り下ろし、妲己の左肩を叩き潰した。
「……クッ!」
その攻撃を喰らった妲己が痛みに堪えながら、唇をグッと噛み締めた。
しかし、妲己は決して逃げようとしなかった。
そもそも、これは自分自身で、臨んだもの。
例え、痛かろうが、苦しかろうが、耐えるとしかないと思っているのか、その場から妲己が動く事はなかった。
「それじゃ、覚悟してくださいね」
そんな空気を察した茉莉が【ウィザード・ミサイル】を発動させ、炎属性の魔法の矢を雨の如く降らせた。
「ええ、もちろん……!」
その矢をシャワーの如く浴びながら、妲己が幸せそうな表情を浮かべた。
「出番ですよ、ひつじさん」
続いて、ミスティが【サモン・シープ】を発動させ、デフォルメ調の白羊の姿の霊を召喚した。
召喚された白羊の霊は妲己に体当たりを食らわせ、稲妻の如く電撃を放った。
「ああ、これです! これなのです!」
その一撃を喰らった妲己が、恍惚とした表情を浮かべた。
「……悪いが、腹の虫が騒がしいのでのう。速攻で終わられるから、覚悟するのじゃ」
それと同時に、エウトティア・ナトゥアが【天穹貫く緋色の光条(ソラヲツラヌクヒイロノコウジョウ)】を発動させ、精霊光を集束させた紅く輝く破壊属性の砲撃を放った。
その砲撃が次々と放たれる中、妲己は悲鳴を上げる事なく、全身血塗れになりながら、その場に立っていた。
「……安心しろ。もうすぐ、その苦しみからも、解放される」
そこに追い打ちをかけるようにして、ヴェルンドが【怨嗟の血杭(ヴァンパイア・ブラッドパイル)】を発動させ、獄炎属性の発火する血の杭を雨の如く降らせた。
「うくっ!」
その攻撃を喰らっても、妲己は決して逃げようとしなかった。
全身がチリチリと焼け、焦げたニオイが辺りに漂っても、妲己は決して動かなかった。
「何だか可哀想な気もするが、恨みっこなしだ」
夜野が【クリエイト・ゴーレム】を発動させ、刻印で取りこんだ肉片をもとに作ったゴーレムを召喚した。
それに合わせて、ゴーレムが妲己をブン殴り、プシャッと返り血を浴びた。
「こ、これは……」
「……大変だァ!」
「早く傷を癒さないと……!」
その事に危機感を覚えた羽衣人達がハッと我に返って、妲己の身体に薬を塗りたくった。
その薬には、特別な力が宿っているのか、妲己が先程よりも、マッチョになった。
成功
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栗花落・澪
死にたいのに死ねないのは、確かに罰とも言えるけど
倒してそれだけで救いになるのかと言われたら…僕には、わからない
だって、それじゃあ彼女に許しが無い
僕自身が元々持つ【誘惑】を香気への耐性代わりに
【高速詠唱、多重詠唱】で【オーラ防御】に【浄化】の光と風魔法
そして【狂気耐性】を混ぜ込んで一時的でも香気を遮断
攻撃は翼の【空中戦】で回避を重視しつつ
防ぎきれなかった分も風の反発とオーラ防御で緩和狙い
どんな罪人にも許しは必要だ
彼女はもう充分苦しんでる
それなら…償う時間くらいはあげたい
犠牲者達の為に祈って、妲己さん
僕が貴方の為に祈るから
【祈り】で【指定UC】発動
羽衣人達には害の無い
【破魔】の浄化で攻撃
●
「死にたいのに、死ねないのは、確かに罰かも知れない。だからと言って、倒す事で救いになるのか、僕には分からないけど……」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は複雑な気持ちになりつつ、妲己に視線を送った。
妲己の身体は筋肉質になっていたものの、死を望んでいる事に変わりはなく、まったく抵抗していなかった。
だが、その気持ちに反して、妲己の身体からは香気が漂っており、少し吸い込んだだけでも頭がクラクラした。
その事に危機感を覚えた澪が、高速多重詠唱でオーラ防御を展開し、浄化の力が宿った光と風の魔法で、辺りに漂う香気を吹き飛ばした。
「さあ、早く……私を殺してください」
妲己が祈るような表情を浮かべ、澪に迫っていった。
次の瞬間、武林の秘宝『流星胡蝶剣』が出現し、妲己の意思に反して、澪に斬りかかった。
「どんな罪人にも許しは必要だ。あなたは、もう充分苦しんでる。だから、犠牲者達の為に祈って、妲己さん。僕が貴方の為に祈るから……」
その攻撃をギリギリのところで避けながら、澪は立ち止まる事なく【Fiat lux(フィーアト・ルクス)】を発動させた。
それと同時に、澪の全身から魔を浄化する光が放出され、妲己の身体を包み込んだ。
その邪魔をするようにして、流星胡蝶剣が澪に斬りかかってきたものの、浄化の力には抵抗する事が出来ず、跡形もなく消滅した。
「これで……ようやく……私も……死ねる……」
そして、妲己も浄化の光に包まれ、眠るようにして消滅した。
大成功
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