殲神封神大戦⑭〜Killing me fiercely
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かつて、女は全てを意のままにした。
賢帝を暴君に堕とし、その庇護の下贅の限りを尽くし、国を乱し、人心を荒廃させ、それでも他者を省みることなく己が享楽のみに耽った。
最期に正義の導師に己が乱した国諸共滅ぼされるその時まで、彼女が望んで叶わなかったことは一つとしてなかった。
そして今、甦りし女はたった一つの我が儘を強請る。
「どうか、私を、殺してください」
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「あなたのメルでございます。本日も殲神封神大戦の依頼にございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵に牛ほほ肉の赤ワイン煮を配る。
「今回の敵は『妲己』。封神仙女という肩書の通り封神演義の妲己ちゃんでございます」
傾国の美女の代名詞であり、歴史に名を残す稀代の悪女、封神演義の大ボスとして有名な彼女は、ネームバリユーだけで言えば張角よりもよほどオブリビオン・フォーミュラに相応しいと言えるかもしれない。
だが、その実情は伝承とはまるで違った。
「彼女は自らが汚れることによって生まれる香気を持ってオブリビオンを完全封印するため、自らを贄としてあえて外道に落ち世界を乱して悪女として君臨したそうで。その罪自体を許せとも言わず未来永劫悪として語り継がれるつもりだったそうですが、彼女の犠牲によってできた封神台も壊され彼女自身も異門同胞によってオブリビオン化、一切全て踏みにじられてしまったようです」
永遠に悪となる覚悟を持っての所業すら容易く反故にされる。これでは気を確かに持てと言う方が無理であろう。
「彼女は山岳武侠要塞「梁山泊」の玄室にて自らを殺してくれるものを待っています。ですが、ただ存在するだけで彼女は全てを魅了し、武骨な要塞であった梁山泊は宝石の壁に黄金の床、無限に供され続ける美酒美食、季節など関係なしにあらゆる花が咲き誇り常にむせ返るほどの甘い匂いが漂う享楽の園と化してしまっています。ここには香りに狂った羽衣人達が集って舞い踊り、妲己や来訪者に享楽を捧げようとしています」
羽衣人たちは享楽を貪ること以外何も考えられず、たとえ危険が迫っても自ら逃げることはしないという。
「さらに、猟兵が近づけば即座に彼女のユーベルコードが先制で襲ってきます。彼女のユーベルコードは彼女の離反を恐れた仙翁たちによって植え付けられたものだそうで、彼女の遺志に関係なく発動してしまいます」
妲己自身には気高い意思があれど、彼女を利用した仙翁たちはそうは思っていなかったのだろうか。あるいは封神演義の話自体が人を利用した仙人同士の代理戦争という一面を持っていた。仙人とは、人が思っているよりずっと生々しい存在なのかもしれない。
「ですので、魅了と彼女の先制攻撃、両方を躱した上で妲己を殺してあげてください。また周囲の羽衣人達は一般人な上快楽に狂っているので全く戦闘力はないですが、平気で射線上に飛び出してきたりするので傷つけないよう気を付けてください」
妲己が死ねば酒池肉林が終わることは分かっているのだろう、ぼやけた頭で出鱈目に邪魔しようとしてくるようだ。最も羽衣人もまた魅了に取り込まれているだけ、決して本意の行動ではあるまい。
「先制攻撃はいつもの事ですが、魅了につきましては『紫霄宫』にて宝貝を作っている場合はそれを用いるのが効果的です。宝貝の形状は皆様違うでしょうから、どう使うかは個々人で考えてください。持っていない場合は、他の技能や装備で工夫してください。ユーベルコードを用いて抑え込むこともできますが、その場合は必然的に魅了をまともに受けながら先制攻撃へ対処することになります。UC一本頼みはかなりリスキーな手段と言わざるを得ないでしょう」
例え妲己にその気がなくても、襲ってくるユーベルコードは幹部クラスの威力がある。まともに食らってしまえば歴戦の猟兵でも無事では済まないだろう。
「これらすべてを潜り抜け妲己の元にたどり着ければ、晴れて彼女を殺せます。一切抵抗はしませんので、一思いにやってあげてください」
自死すらできぬ彼女の命を止めることができるのは猟兵だけだ。その願い、聞き届けてやるべきだろう。
「全ての強敵が死なねば張角への道を開くことはできません。その意味でも、彼女には死んでもらわねばならないのです。どうか彼女のお願い、聞いてあげてきてください」
そう言ってメルはグリモアを起動し、酒池肉林の宴の中へ猟兵を送り込むのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。まさかの妲己ちゃん善人設定。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……「酒池肉林の宴」の魅了に耐えつつ、妲己の先制攻撃に対処する』
いつもの先制攻撃に加え、戦場となる玄室内に籠った魅了の力が酒池肉林の宴を催し猟兵を誘惑してきます。供されるのは食欲や性欲、金銀財宝や煌びやかな衣装など即物的な快楽が多く、例えそう言ったものに一切関心や欲求がなくても無理矢理それへの興味を植え付けてきます。
⑬桃月桃源郷⛺破魔の霊花にて宝貝を作っている場合、それを用いて対処ができます。使い方は宝貝ごとにお任せ。作ったシナリオを確認したいのでステータスから見られるようにしておいていただけると嬉しいです。
持っていないor使わない場合は通常の戦場ギミックと同じく、技能や装備を使って何とかしてください。UCも使えますが使えるのは敵先制の後となりますので、魅了状態で先制に対処する必要が出てきます。
戦場には魅了状態の羽衣人が多数おり酒池肉林の宴に興じています。魅了状態なので弱いですがまとわりついて邪魔してくる他敵POW技の対象にされる場合もあります。なるべく傷つけないようあしらってください。
障害を全て潜り抜ければ妲己は逃亡も抵抗もしません。お好きなように殺してあげてください。
それでは、姫のお願いを叶えるプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『封神仙女『妲己』』
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POW : 殺生狐理精(せっしょうこりせい)
対象に【殺戮と欲情を煽る「殺生狐理精」】を憑依させる。対象は攻撃力が5倍になる代わり、攻撃の度に生命力を30%失うようになる。
SPD : 流星胡蝶剣(りゅうせいこちょうけん)
レベル×5km/hで飛翔しながら、【武林の秘宝「流星胡蝶剣」】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
WIZ : 傾世元禳(けいせいげんじょう)
【万物を魅了する妲己の香気】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:碧川沙奈
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ええ、何とかやってみましょう。
『祭器兼宝貝:FXS』の結界を展開し『香気』を防御、一番強い『食欲』は『帰還後に満たす意識』を追加で。
『狐理精』を私に憑けるなら『ダメージ』は『FXS』の『治癒』で回復、『香気』に近い性質の『衝動』は[結界術]で『FXS』の結界を更に強化し対処しましょう。
羽衣人さん達は『FMS』の障壁と『FGS』の重力波で妨害に対処、其方に『憑依』するなら『FAS』『FSS』も守りに使い【UC】発動まで時間を稼ぎますぅ。
可能になり次第【万華】を発動、全身を『雷』に変換しますねぇ。
後は『雷速』で妨害を回避し『隙間に入り込む能力』で突破、妲己さんを狙いますぅ。
山岳武侠要塞「梁山泊」、武侠を移し控えさせるためのその要塞は、今は宝石に彩られた酒池肉林の宴の場と化していた。
それを成したは一人の女。今、彼女は宴の中心にてただ時を待ち続けていた。
「だれか、私を……」
その願いを聞き届けるため、猟兵たちはやって来た。
「ええ、何とかやってみましょう」
まずは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が彼女の座す玄室へと乗り込んでいく。それと同時に甘い匂いが彼女を包み、その身体、脳、魂さえも侵し、魅了の底に沈めんとした。
天地万物、それこそ無機物や自然現象まで籠絡するその魅了。如何な猟兵の身であっても耐えられるものではない。それに対抗するため、猟兵たちはいにしえの仙界『紫霄宫』で宝貝を作ってきたのだ。
るこるが作ったのは『FXS』。精神干渉を遮断する花びら型の宝貝だ。改良を重ね、オブリビオンとの戦いに実戦レベルで投入できるに至ったそれは周囲を取り巻く妲己の魅了の香気を遮断し、浄化していく。
「いらっしゃいお客さん。あなたは何が好き?」
「ここは妲己様の酒池肉林。あなたもここを飾る肉の花になりませ」
妲己を取り巻いていた羽衣人たちが、るこるを享楽の仲間に入れようと浮き上がり縋りついてきた。体形を見てか、その手には中華の美食が山ほどに盛られた皿を持ち、それを差し出してくる。
妲己の魅了は本来ない欲求ですら強引に湧き上がらせてくる。ならばもともと強い欲を刺激されればどうなるか。その料理に一瞬目を奪われるが、期間後にその欲を満たすことを考え我慢するるこる。ここで迂闊に誘惑に乗ってしまえば、帰った後で多方面からお預けを言い渡されかねない。
無論、我慢するだけでも辛いこと。それを終わらせるには、本来の役目を早々に終わらせなければいけない。その為に妲己の方を見やると、その殺意を察したか、妲己の周囲からより強い魅了の香りが漂い出した。
「こう言えば、貴女は私を殺してくれますか……? 『この者たちの命が惜しくなければ、存分におやりなさい』」
憎しみを煽り、罪人の名を不動のものとするかのような言葉と共に放たれる【殺生狐理精】の力。その魅了が取り巻くのはるこるの前を塞ぐ羽衣人たち。彼女たちは持っていた料理を投げ捨て、その目を獣のようにぎらつかせるこるに迫る。
「妲己様は我らがお守りします」
「その肉を花に、血を酒に!」
「宴の添え物となりなさい!」
殺戮と情欲に満たされた羽衣人たち。遮二無二るこるの肉を引き裂こうとその身に群がるが、所詮は一般人、その動きは決して見切れないほどではない。
彼女たちに防御や拘束の力を持つ祭器をありったけ差し向け、その動きを封じ込める。磨かれた爪や酒の香りを漂わせる犬歯、懐に飲んでいた短刀などを振り回し襲い掛かろうとするがそれらは全てバリアや盾に阻まれ、その体は重力波に抑えつけられ金の床に伏した。
その状態でも強引に藻掻き、拘束を破ろうとする羽衣人たち。妲己のユーベルコードの力か、その体は本来生物にかかっているリミッターを全て外されており、藻掻くだけでその負担で腱や肉が切れていく。その姿を痛まし気に、だが決して目を逸らさず見る妲己の胸中はいかばかりか。
やがて羽衣人達は血を吐いて動かなくなる。まさに瀕死。なれど、その命はまだ尽きていない。攻撃の度に生命力の三割を失う彼女たちだが、割合ということは決して0にはならない。自ら殺傷力のある攻撃をしなければ、命を奪わずに済むのだ。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
妨害は消えた。ならば次が来る前にと【豊乳女神の加護・万華】でその身を雷に変じさせ、一直線に妲己へ突撃するるこる。
雷の速さは他の羽衣人たちでは反応することができず、あるいはそれも能うだろう妲己も決して自らは動かない。
「『壁にもなれないなんて、この役立たずめ』……感謝します」
取り巻きを使い捨てる悪女はここだ、殺しに参れ。己が願いがため精一杯悪たらんとする女を、浄化の雷撃が撃ち抜いた。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
む、これは……ううむ、殺生狐狸精を私に憑依させてくるとは、これは下手に動けないわね。うっかりすれば羽衣人を殺しかねないし、生命力を確定で30%もってかれるのもまずい。割合ダメージって軽減出来なくて厄介よね。
幸い香気は破魔の霊花の宝具で防げてるけど、念の為化術で性質を変化させておきましょうか。ああ、そう、化術があったわね、空気に化ければ羽衣人を避けて移動出来るわ。
さて、時間さえ稼げれば殺生狐狸精も化術肉体改造で融合してフロンティア・ラインで取り込んで無効化出来るわ。生命力を9割ももっていかれたけど、ここまでくればもう問題はない。
ああ、妲己。せめて苦しまないように逝かせてあげる。化術肉体改造で融合して私の中に取り込んでイく。それをフロンティア・ラインで幸福と感じるようにして、と。腰が抜け(マヒ攻撃)気を失う程の快楽(気絶攻撃)で私の中で果てなさい(息止め)。ようこそ、私の文明へ。天国に道案内してあげるわ♪
えっちなのうみそおしいです♥(悪のカリスマ)
敵襲、そして傷を負った妲己。それは彼女にとっては望んだものであったが、その身に宿したユーベルコードはそれを拒み、何としても彼女を生かそうとする。
「む、これは……ううむ、殺生狐狸精を私に憑依させてくるとは、これは下手に動けないわね」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)は玄室内へ進入して早くも敵のユーベルコードの対象となっていた。先に使われた時は羽衣人を使い捨ての肉壁にするように用いられた【殺生狐狸精】は、今度はアリスを対象として憑依させられていた。
憑依した者を大きく強化する代わりに殺戮と欲情を煽り、その情動に従えば生命力の30%を消滅させる敵味方双方にとっての諸刃の剣。それを宿され、だがアリスは自身の状況を『まずい』と判断するだけの余力があった。
「うっかりすれば羽衣人を殺しかねないし、生命力を確定で30%もってかれるのもまずい。割合ダメージって軽減出来なくて厄介よね」
何がどう不味いのか、それさえも判断できる理性。その理由の一つは、彼女の持つ破魔の霊花。そしてもう一つは、彼女の力そのものにあった。
「どうかその溢れる力で、私を殺してください」
妲己の言葉通り、今のアリスからは常の猟兵を超える力が溢れ出していた。オーバーロード、先のアポカリプス・ランページから得た新たな力であり、元々が常識の外にある猟兵にさらに埒外の力を齎す反則中の反則。
「幸い香気は破魔の霊花の宝具で防げてるけど、念の為化術で性質を変化させておきましょうか。ああ、そう、化術があったわね、空気に化ければ羽衣人を避けて移動出来るわ」
アリスはそう言って、自身の体を気体に化けさせた。本来化術とは化けるだけ、その力はあくまで見た目を変えるだけであり本質は変わらない。そのはずなのだが、本当に気体になったかのように羽衣人達の前から消え失せ、その間にアリスは自分の身をねじ入れた。
あくまで酒池肉林を続けることが目的の羽衣人たちは、直接邪魔するような存在が見えなければ動かない。相手が消えた、それだけを見て再び宴に戻る羽衣人たちの間を、アリスは悠々と抜けていく。
「さぁ、私のモノになりなさい♡」
羽衣人を突破した後、アリスは【模倣結界術『フロンティア・ライン』】で攻撃を始める。まず最初の対象は、自身に取り付いた『殺生狐理精』。
その名の通り狐狸の精。存在しているなら攻撃できるはず。ユーベルコードを攻撃する、その無茶もまたオーバーロードならではか。形なき精さえも自らの体に取り込み、アリスはなおも進む。
一見すれば無敵の行軍。なれど、その身は決して無傷ではない。
「生命力を9割ももっていかれたけど、ここまでくればもう問題はない」
オーバーロードで全ての力が上がっている。それは生命力もまた。そして割合で受けるダメージは、能力が上がるほどに受ける絶対値もまた上がる。
たった三回の攻撃で抜けた生命力は、常の状態ならばとっくに命尽きているほどのもの。それを失えど欲しいもののため、アリスは残る命をも削ってそれの元まで向かう。
「ああ、妲己。せめて苦しまないように逝かせてあげる」
どのような形であれ、殺されるのならば妲己は逃げない。動かぬその体を自分の体の中に沈め、侵略竜を模した洗脳でその意識を快楽に染め上げる。
「腰が抜け気を失う程の快楽で私の中で果てなさい。ようこそ、私の文明へ。天国に道案内してあげるわ♪」
ゆっくりと息の根を止めるように、その肺の奥まで自身で満たす。大義のために悪たらんとした女を、淫靡な快楽の為正義に与する己に取り込む悪行。
殺してくれるのならどんな無残な最期であっても喜んで受け入れようとする妲己を、己の享楽に染め上げ無痛に堕としていくアリス。
「えっちなのうみそおしいです♥」
悪の支配する世界で悪たれと、偽りの悪女を真の悪として飲み込んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK
※戦場⑬で入手した宝貝【魔符桃香】という闘気を持参
今までも、香りで幻覚を見せたりする罠やUCも、あったけど、
ここのは一際、すごいね…
(内ポケットのサシェに触れて)
桃の精さん、力を、貸してね?
桃色の温かくて気が鎮まる闘気を纏うよ(【狂気耐性・呪詛・落ち着き・ジャミング】)
桃の闘気に魔力を乗せて、強力になった【オーラ防御】の【結界術】で守りを固めるの
妲己さん?
泣いてるの?
苦しいよね…
終わりにしたいなんて、悲しいね…
でも、これ以上苦しまないでいいなら、ぼくも、力を貸すの
限界が来る前に走り寄って、手を伸ばしながらUC発動
【浄化】される事を【祈り】つつ【全力魔術】なの
届いて、ぼくの手!
本人が望んで事ではなくとも、妲己は上級のオブリビオンである。その生命力は桁違いに高く、本人が死を望みそれに答えて猟兵が全力の一撃を放っても、命尽きることなく周囲に魅了の香りを撒き続けていた。
その香りに満ちた玄室に踏み込んだロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は、思わず口と鼻を抑える。
「今までも、香りで幻覚を見せたりする罠やUCも、あったけど、ここのは一際、すごいね……」
人狼である彼には強すぎる匂いは特に応える。しかもただの匂いではなく、あらゆるものを堕落させる魅了の香りだ。
それに負けぬ様にと、ロランは内ポケットに手を入れる。
「桃の精さん、力を、貸してね?」
そこにあるのはサシェ、いわゆる香り袋だ。もちろんただの装飾品ではない。紫霄宫の破魔の桃花で作った宝貝【魔符桃香】。その香りはただの破魔に留まらず、己の病までも抑える浄化と癒しの力として闘気の域にまで至ったもの。この場を支配する香りに立ち向かう、心を守る強く優しい闘気だ。
その温かく気が静まる桃色の闘気を纏い、ロランは妲己へと向かう。縋りつく羽衣人たちを押しのける彼を、より一層強い香気が包み込んだ。
「傾世元禳、耐えきってみてください……」
挑発のように言う心からの言葉。妲己のユーベルコード【傾世元禳】は生物のみならず全てを魅了する香気。それはつまり、この玄室を満たしているものと同じ。それがより高濃度に、指向性を持って放たれてロランを襲ったのだ。
それは僅かに触れるだけでその心と体、さらには破魔の力を込めた宝貝さえも魅了し、その前に平伏させようとしてしまう程。あるいはこの力を持って、幼少より神童と謳われた名君を歴史に残る邪知暴虐の王と堕としたのか。
だが、本質的に魅了の香気と同じものなのだとしたら同じ方法で対処ができる。自身を守る桃の闘気にオーラと魔力を乗せて、桃を自分と一つとすることで一歩一歩魅了の渦の中を進んでいく。
「妲己さん? 泣いてるの?」
魅了の根源にて、ただ座してその時を待つ妲己。その顔に享楽の悪女の面影など微塵もなく、自身の覚悟と罪、そしてその全てを踏みにじられた哀しみだけが満ちていた。
「苦しいよね……終わりにしたいなんて、悲しいね……」
かつては悪たる為に考え得るあらゆる我が儘、贅沢を振りまき人を苦しめた妲己は、今はただ一つ、己の死だけを望んでいる。それが世界を、そして自分を救う唯一の手段だと分かっているから。だが、その我が儘を叶えるために、またも多くの猟兵が自分の力によって傷つき、苦しんでいる。その事実がまた妲己の心を引き裂き、哀しみに染め上げているのだ。
その悲劇の輪廻を断ち切るため、止まろうとする足をロランは叱咤し、動かす。限界は近い。だから、その前に。
「地に福音を刻み、空に柱となれ。清浄なる風を呼び、浄化の炎を灯さん。ヒュッテンブレナー式破邪結界、飛翔」
手を伸ばして、少しでも近く、彼女の元へ届くように。
その苦しみが、永遠に被り続ける悪の仮面が浄化されるように祈りながら。
「届いて、ぼくの手!」
指先から放たれる魔や邪を滅する聖なる光が、善なる悪女、邪なる聖女を包み込んだ。
妲己は伸ばされたその手を取らない。まるで自らにその資格はないとでもいうかのように。ただ、邪に堕ちたその身を焼かれる美しき顔は、どこまでも穏やかであった。
大成功
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岩倉・鈴音
妲己よ助けに来たぞ。蒼ざめた馬にのる鋼鉄の騎士がな。
魅了対策は宝貝「マイク破魔」の浄化と呪詛によるマイクパフォーマンス。「物欲に溺れし者共ォ!宴は終わりダァ。オレが掟ダァ!」羽衣人は優しくケツ叩いて移動させる。
本来サイボーグには酒池肉林など不要!目の毒ゆえ毒耐性で耐えてみせよう。
妲己のUC対策も毒耐性狂気耐性、見切りながらのダッシュ回避をしながら宝貝の浄化しながら憑かれないよう抵抗して逃げる。狐に憑かれるとキツイねー、と呪詛攻撃していく。
妲己の唇まで触れるくらい近づく。普通は王子のキスで目覚めるモンだがあいにく死の騎士なんでな。抱きゅしながらのファイナルキャノンで永遠のお別れさ。
妲己にとって死は救いであり、解放である。悪として穢れ、滅びることで大義を成した彼女は蘇らされその全てを踏みにじられたのだ。あるいは死神こそ、彼女が最も誘惑したいものなのかもしれない。
「妲己よ助けに来たぞ。蒼ざめた馬にのる鋼鉄の騎士がな」
岩倉・鈴音(【機械天使12番】JKハングマン・f09514)は黙示録の死の騎士を名乗り、彼女が最も欲するところを与えんとその前に立った。
だが次に取り出したのは大鎌ではなく、手にちょうどいいサイズのハンディマイク。まさかこの酒池肉林の宴にカラオケで参加でもするつもりなのか。誰かがそう突っ込むより早く、鈴音はそのマイクを口元にやり、大声で歌い始めた。
「物欲に溺れし者共ォ! 宴は終わりダァ。オレが掟ダァ!」
美味いとか下手とかそういう次元ではない大声での一喝。もちろんそんなもので妲己の魅了に狂わされた羽衣人たちが正気に返るわけがない……はずなのに、なぜかぽかんとして踊り、歌うのをやめてしまっている。
「はいはいお楽しみは終わり! さっさと帰った帰った!」
その羽衣人たちの後ろに回り、マイクで優しく尻を叩いて玄室から追い出していく鈴音。そのマイクは妙に重く、もし全力でフルスイングしたら割と洒落にならない致命傷を与えられそうな程だ。
もちろんこれには理由がある。このマイクは破魔の花びらを凝縮し、浄化と破魔の力をその中に込めて作った宝貝『マイク破魔』。ハードボイルドなその声は下らぬ魅了などに屈せぬとばかりに魅了の香りさえその音圧で切り裂き、無効化させた。
そしてこれも目的のためあえてしているものであろう妲己の艶めかしい恰好も目の毒、生理的欲求が薄いサイボーグの心さえ侵してくるその魅了を懸命に耐え進む鈴音に次の手が飛ぶ。
「どうか耐えきってください……」
取りつかせるのは殺戮と欲情を煽る【殺生狐理精】。その衝動を懸命に堪えようとするが、最終目標が妲己の殺害というだけあって完全に耐えきるのは難しい。
裁くのは俺だとばかりに押し付けられる感情を跳ね除け、完全に憑依され切ることを耐える鈴音。
だが、それでも狐狸精も諦めない。無理にでも鈴音の中に入り込み、高い攻撃力とそれに伴う生命力消失をその体に与えた。
力と衝動が鈴音の中に満ちる。その衝動のままに、鈴音はマイク破魔を口に元に当てた。そして一言。
「狐に憑かれるとキツイねー」
静寂。そして一瞬後、鈴音の口から大量の血が吐き出された。行ったのはただの駄洒落ではない。自らのうちに向けた呪詛の一撃。攻撃をした以上生命力の30%は失われるが、元より宝貝によって増幅された呪詛をさらに5倍にして放ったのだ。鈴音に取り付いた狐狸精は自らが与えた力によって消し飛ばされた。
そうして血にまみれながら、正に死そのものを連想させるような姿で妲己の前に立つ鈴音。その姿を妲己は痛まし気にみるが、鈴音はそれに笑顔で返す。
「普通は王子のキスで目覚めるモンだがあいにく死の騎士なんでな」
唇が触れそうなほどに近づき、その体を自らの胸に抱く。そして合わさった胸から鈴音は【ファイナルキャノン】を放った。
妲己を抱きゅしたい、この一撃を放って永遠のお別れをするために。妲己のお願いの代償に、鈴音は自らもその願いを叶えたのであった。
大成功
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夜刀神・鏡介
救えるのならば救いたいと思うよ。だが、それが叶わない願いだということは分かっている
ならば……願い通り、殺してやるよ
利剣【清祓】――破魔の宝貝であるそれを引き抜き、精神統一した後に魅了の香気を切り裂くように空を斬る
神刀のそれと違って斬撃波を飛ばせる訳ではないが、下手に飛び出してきた羽衣人を攻撃しないで良いからその方が安全だな
魅了されていなければ先制攻撃への対処も容易い。室内の輝きに目が眩まないよう気を付けつつ、殺生狐理精が近付いてきた所で刀で一閃、切り捨てる
相手が一体だけとは限らないので、警戒は続けたままで妲己の元まで接近
今この場において、かける言葉はない。彼女に対して、一度だけ刀を振るう
妲己は悪行を成し、多くの人々を苦しめた。例え大義があったとしてもその罪を許せと彼女は決して言わない。だが、その罪さえもが徒労と成り果てたと知った時、彼女の心は折れた。
「救えるのならば救いたいと思うよ。だが、それが叶わない願いだということは分かっている」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)も、彼女をその悲愴な運命からできることなら救いたいと思っている。そしてそれ以上に、それは決してできないことだということも。
異門同胞の影響下にある者全てを倒さねば、オブリビオン・フォーミュラである張角の元へはたどり着けない。それは即ち、カタストロフを防げないということ。王翦大将軍や鴻鈞道人の言からすれば張角を倒して全てが終わりとはとても思えないが、例えそうであったとしても彼を倒さねば封神武侠界に未来はないし、それは妲己が己の全てを捨てて守ろうとしたものが壊されるということに他ならない。
「ならば……願い通り、殺してやるよ」
たった一つ己に出来ること。それを成すため、鏡介は刀を抜いた。
刀の名は『利剣【清祓】』。淡紅色の破魔の力溢れるそれは、無銘の鉄刀に己が魂と破魔の花の力を込めた宝貝。
そこに込めた魂を再び己とつなぐかのように精神統一し、一度鋭く空を切る。その動きは、玄室に満ちた魅了の香気をその刃を持って切り裂き、霧散させるかのようである。
否、ようではない。実際にその一振りは周囲を取り巻き、鏡介も籠絡せんとする香気を確かに切り裂いていた。その切り口から裂けていくように、玄室内から魅了の香りが消えていく。
「神刀のそれと違って斬撃波を飛ばせる訳ではないが、下手に飛び出してきた羽衣人を攻撃しないで良いからその方が安全だな」
その言葉通り、刀を抜いた鏡介を邪魔者と見なし、掴みかかって追い出そうとしていた羽衣人たち。目の前の空間を切り裂かれ香りの影響下から外れた彼女たちは、まさにかかっていた靄が晴れたかの如く正気に戻り、自分の置かれた状況にただ困惑するのみとなっていた。
「ああ、我が君も文武に優れた素晴らしい漢でした。それさえ夏桀とした獣精……貴方に抗えますでしょうか」
清廉なる剣士たる鏡介を、血と欲に飢えた狂戦士に変えんと狐狸精が迫る。それに魅入られた果ては、本来容赦なき武の象徴として築かれたはずの宝石の壁、黄金の床が雄弁に物語っていた。
なれど、最初の一度がなければ来るものを切ることは容易い。あくまで憑依し、狂わせることを本分とする狐狸精は動きは機敏とは言い難く、室内の煌めきにさえ気を付ければその動きはまさにただ向かってくるだけの獣に等しかった。
狐狸清が真正面に来た時、清祓を一閃。乱れた殺戮の情欲ではなく、切るべきを見極めた一太刀でそれを切り裂き、己と妲己の間を遮るものはなくなった。
だがこれもまた彼女の意思とは無関係に襲い来るユーベルコード。いつ次陣が来てもおかしくない。
伏兵にも注意を払い、足早に妲己との距離を詰める鏡介。白刃を構える男が前に来た時、妲己は微動だにしなかった。
「跳ね斬る――壱の型【飛燕】」
今この場において、かける言葉はない。彼女に対して、一度だけ刀を振るう。それが鏡介が妲己に出来る全てであった。下段からの斬り上げが、妲己の白肌を深く切り裂いた。その一刀に込められた全てがその身に伝わったと、鏡介は信じたかった。
大成功
🔵🔵🔵
ベアトリス・ミラー
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
相手の攻撃を見切り、反撃の機会を伺う。
疼きは増していき熱くなりながらも何とか抑え込みながら回避をする。
身体が快楽を求めて我慢できなくなり。
(手が……何とかしないといけないのに)
アリス・スラクシナ
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
見切りと第六感で攻撃を回避しつつ距離を取り様子を伺う。
(身体が熱い……否が応でもか)
性欲を刺激されながらも何とか対処していくが。
エイルを呼び出し後を任せて快楽に身を。
「厄介な能力。下手に動けばこちらも」
ホークたちと合流したら羽衣人たちの動きを抑制に動く。
藤宮・華澄
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
見切りと第六感で相手の攻撃を避けつつ距離を取る。
その間も疼きが増していき無意識に手は胸などに。
呑まれる前にラヴェンツァを呼び出し任せることに。
「結界を張ります。ある程度なら耐えられると思いますが」
結界術を展開し、中に浄化作用のある空間を形成する。
羽衣人にはマヒ攻撃で動きを抑制したりする。
「これは……」
身震いするような凍てつく様な狂気を感じ取り、不安に駆られる。
「この異様な感覚は」
それがホークから発せられていると気づく。
エルーゼ・フーシェン
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
野生の勘で見切りながらダンスの要領で動きながら回避を行う。
三人同様に身体に昂ぶりが生じて無意識のうちに手を。
吞まれる前にクロタを呼び出す。
「こうなるか、あとで躾だな」
呆れながらも協力はする姿に(感化されてきたか)と思う。
羽衣人をあしらい無力化を狙う。
「っ!」
寒気を覚えそちらを見ると黒いレインコートの人物が歩いてくる。
「……お前か」
レインコートの姿がいつものホークに変わり幻覚だと分かる。
「……この凍てつく狂気はなんだ」
恐怖を煽ってくる狂気の事を聞きながら戦いを続ける。
ホーク・スターゲイザー
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
遅れて現れる。
軽業、見切り、第六感を駆使して攻撃を回避。
「……そうか」
哪吒の時に渡されたカードを取り出す。
「切り札になる可能性もあるが逆になる可能性もある」
凍てつく様な狂気や闇を放つそれが切り札と言う。
「……後で話す」
複雑な表情を浮かべながらクロタ達に加勢する。
「妲己はオメガ・バハムートに任せる。一番の適任だろう」
属性攻撃による電撃を用いた気絶攻撃を行いサポートに回る。
ジェイク・リー
【トゥットファーレ】
アドリブ・絡みOK
ホークと共に現れる。
「周りは任せるぞ」
見切りながら軽業で避け相手の動きを追いダッシュで迫る。
誘惑には結界術と浄化による対処を行い黒銀の滅牙を抜く。
「……辛かったであろう。よく耐えた」
称賛と労いの言葉をかける。
「ボロボロの心と魂に救いを」
痛みなき慈悲の一撃を繰り出す。
己が望んだことではないとはいえ、妲己は上級のオブリビオンである。ここまで猟兵たちが彼女の願いをかなえるため何度もその身を殺そうとしたが、その生命力は未だ尽きることなく不本意な生の中にあった。
そこに現れたのは四人の女。ここに来るものは妲己を殺そうとする侵入者、それはすでに周知のこととなっているのか、来訪者の姿が見えると同時に妲己の周囲を曲刀が飛び回った。
「流星胡蝶剣……見切ってくださいませ」
怒りを誘う挑発であり、己が願いを伝える懇願。振るってくれるならどちらでもよいと言わんばかりの妲己の言葉に、その剣を女たちは見切って避けようとする。
流星胡蝶剣は使用者の有利を糧に力を増す。ここまで猟兵たちが何度となく彼女を殺すことに全力を注いできたため、その結果として剣の動きはさほど鋭くはない。
(身体が熱い……否が応でもか)
アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は一度目の斬撃を避けながら、己の内から起こる情欲、魅了に耐えていた。
何とか耐えてみようと思ってはいたが、無機物や現象すら魅了する妲己の香気、何とか程度で耐えきれるような生易しいものではない。早々に体から力が抜け、魅了に屈していくアリス。
だが、これでも彼女は四人の中ではまだましな方であった。藤宮・華澄(戦医師・f17614)は距離を取ろうとするもそもそも玄室全てに香気は満ちており、距離を取ってどうなるというものではない。エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)もダンスの動きで剣を回避し、その動きは確かに見事だが、やはり魅了に飲まれて瞬く間に動きは鈍る。
魅了、洗脳を用いる敵と戦うことは初めてではない。だが、今までの敵と妲己は余りにもレベルが違い過ぎた。曲がりなりにも耐える意思のあったアリスはともかく、他の二人は魅了に対してはほとんど無策で乗り込んでしまっている。結果として、剣の初撃を躱すと同時にほぼ完全に魅了に飲まれ、淫らな宴の一員と化してしまっていた。
そして最も悲惨なのがベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)である。彼女に剣は襲い掛かってはいない。その代わりに彼女に取り付いたのは、殺戮と情欲を煽る殺生狐狸精。好奇心の強い彼女のこと、魅了の具合を自分の体で確かめてみたいという興味もあったのかもしれない。見切って避けたうえで少し魅了されてみても、そんな誘惑に駆られたのだろうか。だが、その興味の代償はあまりにも大きすぎた。そも、狐狸精は物理攻撃ではない。見切ると言っても剣のように易々と行くものではないのだ。
(手が……何とかしないといけないのに)
自分の意識を持っていられたのはそこまで。心は瞬く間に狐狸精の齎す欲求に支配され、殺せるなら誰でも良いとばかりに淫らに盛り合う他三人に襲い掛かっていった。
そしてそれと呼応するかの如く、流星胡蝶剣の二撃目が三人に襲い掛かる。最早魅了に堕ちている三人は、避けることもできずにその剣をまともに受けてしまった。
「い、き……」
「おま、えも……」
「……よ……ろ……」
血を流しながら、折り重なって三人が倒れる。そしてその上に、攻撃の代償として生命力を吐き出したベアトリスも崩れ落ちた。
魅了、情欲を扱うとはいえ妲己は最上級のオブリビオン。戦いを蔑ろにして楽しむなどできるはずもない。結果、女たちは妲己が長年にわたり多くのものをそうしたのと同じように、魅了と血に沈んだのであった。
「また……」
幾度となく己の前に繰り返されてきたその光景に、悲し気に目を伏せる妲己。あるいはこれも享楽のうちという姿勢を取らねばならなかった往時に比べれば、悲しみを隠さなくてよいだけまだましというものだろうか。
せめて、彼女たちの命が尽きる前に誰かが自分を殺してくれれば。その願いを聞いたかのように、また二人の猟兵がこの場に現れた。
「遅かったか、また……」
ホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は目の前の惨状を見て歯噛みする。また、という通り彼がやってきたとき知己の女性が敗北していたのは初めてではない。だが前回はまだ冗談で済むような状況だったが、今回はこのまま放っておけば命も危ない。
「周りは任せるぞ」
その状況に彼までもが飲まれてはならぬ。もう一人の男ジェイク・リー(終極の竜器使い・f24231)は努めて冷静にホークに指示を出し、これ以上の損害を出さぬよう妲己へと向き合った。
「何人来ようと無駄……そう言っているこの剣をどうか、黙らせてくださいませ……!」
再び剣が舞い、ホークとジェイクを切り裂こうとする。やはりその動きは決して鋭いとは言えないが、魅了に飲まれればそれでも致命の場所を抉ってくるだろう。その動きを明確に見切り避けるには、自身を明確に保つのが必要。ホークは初撃を躱すが、やはり女たちと同じように魅了に犯され、自ら次の刃を受けるような動きを取りそうになる。
(いかん……!)
ふらつく意識に刃が迫る。そこにジェイクは結界を張り、その中に自分とホークを包み込むことで香気を遮った。
「……すまない」
「礼は後だ。まだ終わっていない」
一人で二人分の結界を張るのは決して楽な作業ではない。内部を浄化の気で満たしホークにも戦線復帰を促すが、剣もそれを待っていてくれるほど悠長ではない。剣が結界諸共二人を切り裂こうとした、その時。
「こうなるか、あとで躾だな」
その剣を、新たな女が弾き飛ばした。また新手の猟兵か。否、彼女はクロタ。倒れたエルーゼが最後の力で呼び出した邪神である。
その口調は傲慢さを装っているが、やはり召喚主が既に倒れているとあっていつ召喚効果が消えてもおかしくはなくどこかその声色に余裕はない。あるいは敗色濃厚なこの戦場などさっさと放棄してしまえば良いはずなのだが、それもしない自分にクロタは内心驚く。
(感化されてきたか)
新たな邪魔者と掴みかかろうとする羽衣人を適当にあしらいながら、クロタはそう思っていた。
「結界を張ります。ある程度なら耐えられると思いますが」
そして二人分だった結界を、さらに別の女……華澄が召喚したラヴェンツァが広げた。メディックである華澄同様、内部を清浄化し癒していくのは彼女も得意とするところ。だがもちろんクロタ同様彼女にだって余裕はない。羽衣人たちに対しては、彼女もマヒ攻撃で無力化して結界内に転がすという荒療治を取らざるを得なかった。
「厄介な能力。下手に動けばこちらも」
この結界はまさに生命線。ここからうかつに出れば今度こそ全滅もあり得る。アリスに召喚されたエイルはこの防御状態を維持したまま戦いを進めねばと、未だ状況が厳しいことを再認識した。
倒れた三人が最後の力で呼び出した女たち。その中で唯一ベアトリスだけは、特に陥った状況の悪さと力の質の違いから最後の力を残すこともできず、完全な戦線離脱を余儀なくされていた。
そうして出す結論は、やはり攻め手を男たちに一任せざるを得ないということ。
羽衣人たちを守りつつ、ラヴェンツァに結界を維持させ召喚主を回収して下がる。それを行おうとした時、クロタは突然寒気を覚えた。
「っ!」
そちらを見ると黒いレインコートの人物が歩いてくる。誰だ、あれは。いや。
「……お前か」
「妲己はオメガ・バハムートに任せる。一番の適任だろう」
ジェイクの今名乗る名を呼び、自分は撤退側に回ったホークがそこにいた。
「……この凍てつく狂気はなんだ」
レインコート姿は幻覚だが、その気配は本物。
「この異様な感覚は」
身震いするような感覚にラヴェンツァも表情をこわばらせる。自分が恐れられていると察したホークはしばし考える様子を見せるが、思い当たったように懐から一枚のカードを取り出す。
「……そうか」
それはオブリビオンマシン、哪吒と戦った時に渡されたカード。その時はその場に相応しいものは別にあると使わなかったが、その力の程は如何程か。
「切り札になる可能性もあるが逆になる可能性もある」
凍てつく様な狂気や闇を放つそれが切り札。だが切り札というのは切り処を間違えれば得てしてそこで負けが決まる。
「……後で話す」
今は時ではない。ただそう言って、抵抗する羽衣人の鎮静化や倒れ動かない仲間たちの運搬などのサポートにホークは徹する。
そしてただ一人、死を望む女に向かい合う男。
「……辛かったであろう。よく耐えた」
その手にあるのは魔を断つ刀『黒銀の滅牙』。しかしてかけるのは称賛と労いの言葉。
「貴方様も……」
この状況で、よく最後まで自分を殺そうとしてくれた。互いに追い詰められたこの状況。行ったのは殺し合いのはずなのに、そこには互いへの慈しみが溢れていた。
「ボロボロの心と魂に救いを」
素早く駆け寄り、軽く、優しく、痛みなき慈悲の一撃にてその胸を抉る。
血に濡れ誰もが傷ついた戦場のそこに、確かなる優しさが花開いていた。
苦戦
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
……行こう。
それが彼女の望みなら。
【覚悟】を胸に、シャーリーと共に妲己を倒す。
大き目のティーポットに宝貝のハーブティーを煎れ、その香りで周囲の空間の魅了の効果を打ち消しながら妲己の元を目指す。
で、決戦の前にシャーリーと一緒に一杯飲みながら、足元にポットを置いて羽衣人達を戦いに巻き込まない様避難させる。
奴のUCの激情を【限界突破】させた【勇気】と【気合い】で制御し、【捨て身の一撃】で【料理の鉄刃】を繰り出して彼女の望みを叶える。
やりきれない思いは胸に秘める。
シャーリーだって、それは同じだろうから。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
オブリビオンを封印するために命も誇りも犠牲になんてボクにはできない
だからせめて、妲己の願いだけは叶えてあげたい
魅了はウィーリィくんの宝貝で打ち消してもらって正気に戻らない羽衣人たちは【罠使い】と【ロープワーク】で足止め
戦う前、ウィーリィくんと【手をつなぐ】事でお互いを【鼓舞】し、妲己を倒す【勇気】をもらう
そして先制攻撃をその【勇気】で抵抗し、ウィーリィくんに続く形で【ワールド・タイフーン】で包囲攻撃
あなたの覚悟、ムダにしないからね
妲己は封神武侠界のオブリビオン全てを封じるため、霊気だけで生きていける体を腥に汚し、人界を乱し悪として君臨し、最後には自らの死を持って封印を完成させた。それが彼女の真の望みだったと知る者は誰もおらず、ただ未来永劫国を滅ぼした罪人として語り継がれる、それを妲己は受け入れていた。
「オブリビオンを封印するために命も誇りも犠牲になんてボクにはできない。だからせめて、妲己の願いだけは叶えてあげたい」
あまりに壮大すぎる志。シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は仮に己がそれをなせる身であったとしても、同じようにしたかと問われれば首を横に振らざるを得ない。そしてそれ故に、今の自分の身で成せることを全力で成したいと願った。
だが、願い、出来ることというのは、その命を絶つということに他ならない。
「……行こう。それが彼女の望みなら」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は、共にそれを成し遂げるべく彼女の手を取り向かう。その胸にあるのは救うために殺すという矛盾を成す覚悟。
だがその覚悟も、妲己の香気は甘く蕩かしないものにしようとする。
「どうか、惑わされませぬよう……」
魅了が誘うは酒池肉林の宴。そこにあるのは愛ではなく欲。贅の限りを尽くした美酒美食を貪らせようとするその香りが二人を誘うが、ウィーリィはその宴に添えるかのように大きめのティーポットに茶を入れる。
ふわりと漂うのは桃の香り。だがそれは玄室に充満する脳を痺れさせるような甘すぎるものではなく、心を落ち着かせるような優しい甘さ。単純な香りの強さでは魅了の香りに及ぶべくもないはずのそれは、まるで充満する香気を塗り替えるかのように玄室に満ちその空気さえ清めていく。
これはただの茶ではない。破魔の霊花を乾燥させたハーブティー、いわば茶の宝貝だ。当然その香りには妲己の魅了を防ぐ力がある。
その茶をカップに二つ注ぎ、一つは自分、もう一つはシャーリーに差し出した。シャーリーはそれを受け取り、一口すする。その香りは心を落ち着かせ、本当に成すべきこと、愛すべき相手を明確にさせる。そしてウィーリィもまた自分で入れた茶を飲み、体の内にその力を取り込んだ。一つの宝貝で二人を守る。いくらでも分けることのできる液体ならではの利用法で、二人は妲己の魅了に耐える力を手に入れた。
だが、このままゆっくり茶を飲んでいる暇はない。少し急いでその一敗を飲み干すと、ウィーリィはポットの蓋を開け、残る茶をその場に置いた。
「さあ、このまま逃げてくれ」
まだ暖かい茶から立ち上る香りが羽衣人たちを正気に戻し、そしてその香りの力が消えないうちにこの場から退避するよう促す。
それでも、その場から少し離れた場所にいる羽衣人には茶の香りは届かず正気に戻らない。そんな者たちはシャーリーがロープで戒め、しばしの間そこで転がっていてもらうことになった。
「強き心よ、どうか……」
そうして向かい合う二人を、今度は妲己のユーベルコードが襲った。ウィーリィに向かうのは殺戮と情欲を煽る殺生狐狸精、そしてシャーリーには魅了の香気をさらに濃縮した傾世元禳。
心をかき乱す二つの力が二人を蝕んでいく。それは宝貝の守りをも乗り越え心を乱していくが、二人は互いの手を固く握り合い、その存在を支えにそれに耐えんとした。
ウィーリィは勇気を限界以上に奮い立たせ、狐狸精の情動に正面から対抗する。今武器を向けるべきは一人。殺すのは衝動でも快楽でもなく、切なる願いのため。そしてそのために、自身に押し付けられたこの力さえも使ってくれようと。
シャーリーもつないだ手から勇気を貰い、より濃くなった魅了に対抗しようとする。隣で大切な人が勇気を胸に戦おうとしているのだ。自分がここで屈してどうする。そして本当に彼女にすべき『友好』とは、それはその命を覚悟と敬意を持って立つべきことなのだと。
二人は互いを鼓舞しあいながら一歩ずつ歩を進める。直接相手を傷つける力は持たないユーベルコードを乗り越えながら来るその歩みを、妲己はただじっと待った。
そして、手を伸ばせば触れる位置まで二人は来た。
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」
生命力を失いながらも、捨て身でそれを受け入れて鋭く【料理の鉄刃】を振るい。
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
それに続いて【ワールド・タイフーン】が妲己の身を喰らった。柔肌が裂け、血があふれ出る凄惨な光景。
「あなたの覚悟、ムダにしないからね」
シャーリーはそれを目を逸らさずじっと見つめた。ウィーリィも隣でただ何も言わず、同じように彼女を見る。
これが本当に正しいのか。正しいとしても喜ぶべきことなのか。そんなやりきれない思いは決して口には出さない。固く手を繋いだ相手もきっと同じだろうから。
妲己の命の火は、あと少しで消える。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メアリー・ベスレム
……あぁ、やっぱり噎せ返ってしまいそう
獣の欲望刺激され、抑えきれずに昂るばかり
アリスを前にした人喰いってこういう気分だったのかしら?
えぇいいわ、愉しく殺してあげr痛ぁい!?
敵の先制攻撃に呑まれかかったところを
自動発動の【桃花臀杖】にお尻を叩かれ
危うく正気を取り戻す
メアリは確かに殺人鬼だけれど、好きなのは復讐で
一方的に殺すのなんて愉しくもなんともないのに!
戦場の香気を吸いすぎないよう
呼吸は最低限に【息止め】て【狂気耐性】で耐えながら
それだけでは対処しきれない敵の憑依は
される度にお尻を叩かれ正気に戻り……
ああもう、お尻を叩かれて感謝するなんて変態みたいじゃない!
復讐する相手のいない痛みなんて、これも愉しくもなんともない
とっとと終わらせてやるんだから、と
【ジャンプ】【軽業】【踏みつけ】て
邪魔するヤツらを跳び越えて
妲己のもとへと跳び込んで
肉切り包丁【重量攻撃】叩き切る!
あなたはまるで「オウガ」になった「アリス」のよう
だったらせめて、ここでお終いにしてあげる
お尻が赤くて痛くて、格好は付かないけれど
妲己が死なぬ限り、その身から香気は無限に溢れ続ける。それは彼女の身がそれだけ穢れたということであり、また負った罪と業の深さも表していた。
「……あぁ、やっぱり噎せ返ってしまいそう」
その罪業の証に満ちた部屋で、メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)が頭を抑える。
「アリスを前にした人喰いってこういう気分だったのかしら?」
獣としての欲望を刺激され、抑えきれずに昂るばかり。殺されるのは妲己自身の望みでもあるが、同時に無用の血に濡れる殺戮を煽るのも妲己に植え付けられた力の一つ。
「えぇいいわ、愉しく殺してあげr痛ぁい!?」
メアリーがそれに飲まれかけた瞬間、その大きな尻が高い音を立てて引っぱたかれた。そのあまりの強さに尻の肉が激しく震え、その勢いで彼女に憑依していた【殺生狐狸精】が飛び出していく。
まさかいくら何でも尻の勢いでユーベルコードが飛んでいくなんて。もちろん普通ならそんなことはあり得ない。今メアリーの尻をひっぱたいたのは、持ち主の状態を把握し自動で動く宝貝『桃花臀杖』。その機能は、所有者が正気を失いそうになった時にその尻をひっぱたいて正気に戻すというものだ。
妲己の魅了を跳ね返す破魔の宝貝の力。メアリー自身がオーバーロードに至ったことで、それは宝貝でありながら一打ちでユーベルコードを叩きだすという強き鞭となった。
「メアリは確かに殺人鬼だけれど、好きなのは復讐で一方的に殺すのなんて愉しくもなんともないのに!」
正気を取り戻したメアリーは、己が本当に成すべき殺生を思い出した。そしてもう正気を失わないように、息を止めて心の内からも狂気を排し、魅了の香気の中を妲己に向けて進んでいく。
一歩一歩その歩みは妲己へと近づいていく。だが一方で一歩ごとに香気は皮膚からまで浸透するかのようにメアリーの体に染み込んでいくし、息だってそういつまでも止めておけるものではない。
少しずつの浸食が再びメアリーを染めていき、やがてその隙に再度殺生狐狸精が取り付く……
「ひゃいぃん!?」
そしてそうなれば桃花臀杖が起動し、大きな尻を容赦なく引っぱたく。痛みに慣れて効果が鈍らないようにとでもいうのか、さっきより心持ち強めの尻叩きだ。これにはたまらず狐狸精もまた飛び出す。
それからも進んでは正気を失い駆け、その度に強烈に尻を叩かれるメアリー。
「ああもう、お尻を叩かれて感謝するなんて変態みたいじゃない!」
涙目で前に進んでいくが、その甲斐あって妲己は最早目前。だが、最後の障害とばかりに羽衣人達がその前に立ちふさがった。
「ああ、妲己様……どうか我らにご褒美の鞭を」
メアリーの様子を見てか、どうやらかなり特殊な嗜好を持つ羽衣人達が妨害に入ってきたようだ。それに合わせ、ならばその者たちを殺してしまえと狐狸精がメアリーに宿り囁く。
「復讐する相手のいない痛みなんて、これも愉しくもなんともない。とっとと終わらせてやるんだから」
最後に一発。とうとうユーベルコードの域にまで達した桃花臀杖のスパンキングが大きな音を立ててメアリーの巨尻に炸裂。それはついに狐狸精を消滅させ、さらにはそれに跳ね飛ばされるかの如くメアリーは一足飛びにジャンプした。さらに羽衣人の頭を踏みつけ兎のようにもう一跳ね。羽衣人を纏めて飛び越え、妲己の頭上にメアリーは舞い上がる。
「あなたはまるで「オウガ」になった「アリス」のよう。だったらせめて、ここでお終いにしてあげる」
悲しみと絶望の果て、己が最も忌んだものへと堕ちたその身。その姿に逃げ惑った挙句に自身を襲い喰らうものへ変じた迷い人をメアリーは思い出す。それを思いながら、散々叩かれ大きく腫れた尻の重さを込めて、手にした巨大な肉切り包丁を妲己の首へ振り下ろした。
「ありがとう……」
まさに滅びた国の悪しき王妃がそうされるかの如く、妲己の細い首が胴から離れ宙を舞った。自らが作り上げた色とりどりの花の中に落ちていくその顔は、今までにないほどに安らかな笑顔を浮かべていた。
その首が花の中に沈むと同時に玄室に満ちていた香気は消え失せ、宝石の壁、黄金の床は武骨な土と石になり、咲き乱れる花は枯れ、美酒と美食も消えていく。そして散りゆく花に混ざるように、妲己の体も桃の花びらとなって舞い散り消えていった。
「お尻が赤くて痛くて、格好は付かないけれど」
それでも、哀れな迷い人をあるべき場所へ送ったのだ。その赤い大きな尻を振りながら、メアリーは玄室を後にした。
宴に狂っていた羽衣人たちももう何も覚えてはいるまい。妲己の名はこれからも傾国の美女、中華最悪の悪女として語り継がれて行くのだ。その内に秘めた悲しき決意は、今はただ猟兵の胸にだけ留められたままで。
大成功
🔵🔵🔵