殲神封神大戦⑪〜星写す覇器は熾天
●異世界街
封神武侠界、人界の果て『楽浪郡』。
そこは神隠しに寄って多くの人々が異世界から飛ばされてくるという不可思議な土地であった。
何故そのようなことになるのかは解明されておらず、異世界よりの漂流者たちは交易や勧誘によって封神武侠界に馴染んで行くものであった。
今や、『楽浪郡』は嘗て始皇帝の配下、その瑞獣であった『王翦大将軍』の支配下に置かれている。
「あちゃ~、へーかがやられちゃった!」
その『王翦大将軍』は、とても困った顔をしていた。
なにせ、彼女は始皇帝の忠実なる瑞獣である。主が猟兵に討たれたのであれば、それは当然、彼女の忠節を傷つけるものであった。
これも全てオブリビオン・フォーミュラ『張角』が彼女と『始皇帝』を遠ざけて配置したためである。
救援に駆けつけることも叶わないほどに遠くに配置されれば、こうなってしまうのは当たり前であった。
「こんな事なら『韓信大将軍』みたいに、『異門同胞』を破って『三国英雄探しの旅』に出ればよかった。有能な奴いっぱいいるらしいじゃん?」
そう、『王翦大将軍』と『韓信大将軍』はユーベルコード『異門同胞』を破れる存在であった。
驚くべき事実である。
しかし、『王翦大将軍』は大したことではないと楽観的であった。
「ま、いっか。過ぎたことだし。それよりも」
彼女が目を向けるのは『異世界街』と呼ばれる『楽浪郡』である。
そこにあるのは、彼女が見たこともないような絡繰を手繰る者たちであった。彼等は当然ながら異世界よりこの地に流れ着いた者たちだ。
どうやら巨大な鉄の船ごと『楽浪郡』に流れ着いたようであり、彼等は鋼鉄の車輪のついた馬を操り、意志を持つ鋼鉄の兵と共に生活している。
もしも、猟兵達がこの地を住まう彼等を見たのならば、銀河の海を征く者たちが住まう世界を思い浮かべたことだろう。
「お、いーね。新しいへーかの『兵馬俑』にぴったりじゃないか。へーかはもう『増殖する水銀』だから、本当は体も思考もいらないけど、天下を治めるには、民草に納得される肉体と脳味噌が必要だもんね」
『王翦大将軍』は、『楽浪郡』にて日々を営む銀河の海を征く者たちを見やる。
彼等が持つ技術があれば、新しい『始皇帝』の肉体を作り出すことも可能であろう。しかし、『王翦大将軍』は知っている。
将の器は簡単に見つかるだろう。しかし、大帝国を統治できる覇王の相とは容易には作れない。
それ以前に彼女が求める覇王の器とは、深謀遠慮なる賢者ではない。
「倫理観が終わってて、断言癖がスゴイやつ! これは急がないといけないね。あっしがちょちょいとやれば、連中をオブリビオン化するなんて簡単なことさ」
『王翦大将軍』は跳躍し、眼下に広がる『異世界街』へと降り立つ。
「だって、もうすぐ猟兵達が来るもんね――!」
●殲神封神大戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。皆さんは人界、『楽浪郡』――通称『異世界街』と呼ばれる場所をご存知でしょうか?」
猟兵達は首をかしげる。
『楽浪郡』とは神隠しによって異世界から人が飛ばされてくるという不思議な土地である。
その『異世界街』がオブリビオン『王翦大将軍』の支配下にあるというのだ。
すでに『王翦大将軍』は『異世界街』の人々を殺しオブリビオン化して配下軍勢としている。
「この『異世界街』の一つは他世界の文明を再現しています……私が予知でみたのは、『スターシップワールド』の文明……宇宙船の内部を模したものであるように思えます」
殺された人々はオブリビオン化しており、『王翦大将軍』を倒せば消滅する。しかし、『王翦大将軍』より力を供給されているがために、強力な存在だ。
中にはスペースノイドだけではなく、ウォーマシンも存在しているようだ。
彼等はオブリビオン化した力で『王翦大将軍』の望む、新たなる『始皇帝』の『兵馬俑』を生み出そうと開発に勤しんでいるようである。
「それは鋼鉄の巨人のような『兵馬俑』のようです。これを完成されてしまえば、『王翦大将軍』が望む新たなる『始皇帝』の器として、再び封神武侠界を混乱に陥れることでしょう。これを阻止するために『王翦大将軍』を討たねばなりません」
難しい戦いになることは言うまでもない。
『王翦大将軍』を取り巻くオブリビオン化した人々を倒しつつ、先制攻撃を仕掛けてくる彼女に対応しなければならないからだ。
「神隠しにより飛ばされてきた人々に罪はありません。しかし、すでに『王翦大将軍』によって殺され、オブリビオン化されてしまった彼等を救うことはできないでしょう。ならばこそ、彼等が『始皇帝』の新たなる肉体を生み出す前に止めることが、最善であるはずなのです……」
ナイアルテは苦々しい思いで言葉を紡いでいる。
『異世界街』の人々を救う手立てはない。
既に失われた生命を取り戻すことはできない。だからこそ、彼女はオブリビオン化した人々に再び死をもたらさなければならないこと、そしてそれを猟兵達に頼まねばならぬことを歯がゆく思っているのだろう。
手を汚させる。
己ではできないからこそ、彼女は頭を下げる。
「どうかお願いいたします。『王翦大将軍』を討ち、オブリビオン化された人々を解放してください」
猟兵達に酷なことを頼んでいることは承知の上である。
それでも為さねばならぬことがあるからこそ、猟兵達は転移していく。そして、彼等の背中をナイアルテは見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『殲神封神大戦』の戦争シナリオとなります。
人界、『楽浪郡』に存在する『異世界街』を支配下に置いた『王翦大将軍』を打倒するシナリオになります。
『王翦大将軍』は皆さんに討たれ、『増殖する水銀』となった『始皇帝』の新たなる肉体たる『兵馬俑』を『異世界街』に存在する『スターシップワールド』の技術でもって生み出そうとしています。
すでに『異世界街』の人々は殺され、オブリビオン化しています。
スペースノイドやウォーマシンが大半のようですが、ブラックタールやクリスタリアなどといった意図びとが存在しています。
彼等は『王翦大将軍』に力を供給されていますが、『王翦大将軍』自体を倒せば、消滅します。
オブリビオン化した人々の攻撃を倒しつつ、『王翦大将軍』の先制攻撃に対処する必要があります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……無数の武器が飛び回る中で、妲己の先制攻撃に対処する。
それでは、新たな『始皇帝』の肉体たる『兵馬俑』の開発を目論む『王翦大将軍』の目論見を打破する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『『王翦大将軍』』
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POW : 王翦異界混成軍
レベル×1体の【異世界オブリビオン兵団】を召喚する。[異世界オブリビオン兵団]は【出身世界】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 王翦奇兵用兵術
いま戦っている対象に有効な【ユーベルコードを使う新たなオブリビオン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 王翦龍神変異軍
召喚したレベル×1体の【オブリビオン軍団】に【龍の角と尾、翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:藤科遥市
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
※追記・訂正
プレイングボーナスが誤って記載してしまいました。申し訳ございません。
正しいプレイングボーナスは下記のとおりです。
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プレイングボーナス……王翦を取り巻く集団敵を倒しつつ、敵の先制攻撃に対処する。
―――――――――――――――
ご迷惑をおかけしました。
よろしくお願いいたします。
楊・宵雪
「一度死んだ人はそのまま眠らせておいてあげることが死者に対する最低限の礼儀だと、わたくしは思うわ
先制は[オーラ防御]と[カウンター][気絶攻撃]をうちこんで耐える
宇宙船の内部…の広さはわからないけれど、屋内での飛翔能力は屋外ほどではないはず
「自分たちの都合のいいお神輿を作ろうなんて醜い行い、見過ごせるわけがないわ
[弾幕]で道を作ってUC射程内に王翦大将軍をとらえ次第UC発動
「んー、いいね、いいね。星の海を征く異邦人の作る躯体。なるほどなー、たしかにこれだけ巨人めいた巨体があれば、覇王の器として申し分なし!」
オブリビオン『王翦大将軍』は『楽浪郡』、『異世界街』と呼ばれる一つの街に座し、その住人たちを皆殺しにした上でオブリビオンとして蘇生し、『増殖する水銀』と成り果てた『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』として、異世界の技術で作られた鋼鉄の巨人を器とすることに決めたのだ。
「そろそろ猟兵達がやってくる頃だろう。作業はそのまま続けて。あっしと共に打って出るって連中はおいで」
『王翦大将軍』の元に集ったのはスペースノイドやウォーマシンといったオブリビオンたちであった。
彼等は一度殺され、オブリビオンとなったが為に強大なオブリビオンである『王翦大将軍』に従う軍勢と成った。
龍の角、翼、そして尾をはやした軍勢は一気に『異世界街』から飛び出し、猟兵を迎え撃つ。
それは死した者を再び戦いに駆り立てるものであり、『王翦大将軍』の身勝手な欲によるために弄ぶことと同義であった。
「一度死んだ人はそのまま眠らせておいてあげることが、死者に対する最低限の礼儀だと、わたくしは思うわ」
楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)は迫りくる軍勢を前につぶやく。
彼等は二度目の生を与えられた者。
されど、過去に歪んだ存在はオブリビオンとなり、存在を許してはならない。存在するだけで『今』を侵食するのがオブリビオンだからだ。
そして、如何に死者の躯体を弄ぶことが彼女の逆鱗に触れるのだとしても、それ以上に死者の体の鞭打つことを彼女は人の生命の尊厳を踏み躙ることだと知る。
「あっはっはっは、そんな礼儀なんていうのは覇王の前には無意味なことさ。強さとは、圧倒的なもの。強さ無き者のいう礼儀なんていうのは、意味をなさない。力ありき。そして次に礼節ってものさ」
『王翦大将軍』と共に飛来するオブリビオンの軍勢。
それは一人の猟兵を相手にするには、あまりにも数が多い。
しかし、宵雪はオーラでもって敵の攻撃を耐える。砕けるオーラの防御を前にして彼女は異世界より漂流してきたと思われる鉄の船……スペースシップワールドより飛来せし、宇宙船の中を飛ぶ。
それはかつて銀河の海を征く人々が大地としていた船を再現したものである。
「宇宙船の内部は、広い……けど、ここが屋内だというのなら、飛翔能力は屋外ほどではないはず」
それを当て込み、宵雪は飛翔しながら彼女を追うオブリビオンの軍勢を躱し、『王翦大将軍』へと迫る。
「自分たちの都合のいいお神輿を作ろうなんて醜い行い、見過ごせるわけがないわ」
「都合がいいと言うより、あっしがへーかのためにしていることだからねー」
笑いながら『王翦大将軍』は偃月刀をふるう。
その一撃は重たく、されど、宵雪のふるう弾幕が宇宙船の内部に撒き散らされる。
「春の陽射しは誰にでも平等に享受できる贅沢なのよ。だから、今は眠りなさい。異世界からの漂流者たち。漂流の果てがこんな結末なのは悲しいけれど」
それでも宵雪の瞳はユーベルコードに輝く。
悲しさだけが人生ではない。
だからこそ、春眠不覚暁(シュンミンアカツキヲオボエズ)。
春の日差しと、暖かい光、そして花の香りがオブリビオンの軍勢を眠りへといざなう。
薄紅色の佩玉より放たれるユーベルコードの光は、彼等に安息を齎すだろう。死してオブリビオンの傀儡になることなく。
その力の源である『王翦大将軍』を穿ち、その暖かな光と花の香りは『異世界街』に充満していく。
「これで終わりにしましょう。死者を弄ぶことは許さない。彼等はもう二度と目覚めない」
せめて死者に安らかな眠りを、と宵雪はユーベルコードの光と共にオブリビオンの軍勢を沈め、『王翦大将軍』を退けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
やるせないですね…。オブリビオンな人々は倒すしかないと。
ですが、その企みを潰し、進むためにも全力で参りましょう。
まずは凌がなければ。集団で来る相手に対しての防御…竜脈使いつつ高速詠唱で七色竜珠の緑を緑玉鳥変換。式神使う要領で操っての飛行。
これでオブリビオンのUCごと避けちゃいましょう!
反撃なんですが。このUC、まあ間合いなんて関係ないのですよ。
七色竜珠の青を蒼紋退魔刀に変換。縮地法で緑玉鳥から王翦大将軍のもとへ向かい、容赦なく斬擊飛ばします!
ええ、これであなたの行動は覚えましたし…離れてもまた縮地で追い付くだけですよ。
「あっはっはっはー! 猟兵というのは面白いものだね。あっしのへーかとは違う。覇王の器じゃあない。兵は数。数は兵。そこに倫理観なんて必要ないのさ」
『楽浪郡』において異世界より流れ着いた鋼鉄の船――宇宙船を模した街を再現した人々を皆殺しにし、己の配下へと変貌させた『王翦大将軍』が笑う。
彼女にとって、その程度のことでしかなかったのだ。
虐殺も、一騎打ちも、何も変わらない。
生命を奪うことに貴賤などないからこそ、彼女は躊躇わずに人々を殺戮し、オブリビオンとして蘇生させ、己の軍勢としたのだ。
「ま、この『異世界街』の連中は人間と同じようだけれどね。それでも、この生きた鋼鉄の兵士はいい。実にいいね。命令一つで従順に従う。一々、倫理観なんて持ち出さないあたりがあっし好み!」
彼女の号令と共にスペースノイドのオブリビオンたちを尖兵に、ウォーマシンのオブリビオンたちが続く。
それは無辜なる生命を矢面に立てるが如き戦法であり、猟兵たちに有効な戦法であったことであろう。
「やるせないですね……」
オブリビオンは倒すしかない。
どれだけ生前に罪なき者達であったとしても、今、目の前に襲い来る『王翦大将軍』の軍勢となった人々は討たねばならない。
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は望まぬ戦いを強いられるオブリビオン化した人々を前に龍脈を用いいて、手にした七色竜珠を緑玉鳥へと変換させ、式神を使う要領で空を飛ぶ。
「まともに戦っては数で押し切られる……わかっていることですが!」
ウォーマシンたちから放たれる弾丸を躱しながら、檬果は『王翦大将軍』を目指す。
「猟兵ってば、こういうのに弱いってあっしは知ってるんだ。やっぱり無用に攻撃しないで、本丸を落とそうって……そうはいかんのよね!」
空を飛ぶ檬果に迫る『王翦大将軍』の偃月刀の一撃を、七色竜珠の青を蒼紋退魔刀へと変換し受け止める。
火花散らす刃と刃。
だが、その一撃の重さに緑玉鳥が高度を保てずに大地へと叩き落される。
土煙が上がり、檬果はその中へと消える。
しかし、その土煙の向こうで輝くのはユーベルコード。
「変幻自在の戦、とくとご覧あれ(イクサバデノウゴキハセンペンニ)!」
その身に宿すのは、万化将『張郃』。
縮地法によって瞬時に『王翦大将軍』へと距離を詰め、手にした退魔刀の一撃を見舞う。
「おっと、猟兵にしとくのが惜しいなー! へーかほどじゃないけど、そっちも力を振るうことに躊躇いはない感じ? でもっ、まだまだあっしのほうが強い!」
放たれる斬撃。
受け止め、受け流す。
大地に再び土煙が上がり、『王翦大将軍』はわずかに違和感を覚える。先程の一撃は確かに檬果を吹き飛ばした。
けれど、今の彼女は違う。
如何に万化将『張郃』を憑依させたとは言え、受け流すことなど出来ぬはずであった。
しかし、現に彼女は『王翦大将軍』の一撃を受け流したのだ。
「まさか、学習したっていうのかい? この僅かな時間で?」
「ええ、これであなたの行動は覚えましたし……」
まずい、と『王翦大将軍』が距離を置こうとしたのは失敗であった。檬果を打倒しようというのならば、即座に攻撃を仕掛け、畳み掛けるべきであったのだ。
縮地法の前に距離は意味をなさない。
「離れてもまた追いつくだけですよ」
一瞬で詰まる距離。
放たれる退魔刀の一撃が『王翦大将軍』の体を切り裂く。血潮が『異世界街』の銀河の海を征く船を模した街並みに降り注ぐ。
「あなたの企みを潰し、進むためにも」
全力でこれを打ち倒す。
その意志に漲る一撃は『王翦大将軍』の体に深々とした傷を負わせ、虐殺された人々の生命を贖わせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
王翦大将軍、統一事業最後の立役者だね。
始皇帝が増殖する水銀と化していたのは意外だが……
主の為に新たな器を作ろうとするのは健気と評価しよう。
まあ、実現はさせてあげれないがね。
先制対策
異世界街の人々、ウォーマシン、そしてPOWUCで呼び出された兵団。
こちらのUC発動までは近接攻撃はオーラセイバーで捌き、時に反撃し(見切り×功夫)遠距離攻撃はオド(オーラ防御)で弾きます。
その後は『アーリマンの降臨』を発動。
破滅を齎す真紅の波動で周囲の敵を死滅せしめて、超音速で王翦へと間合いを詰めて、斬り裂きましょう。
「『王翦大将軍』、統一事業最期の立役者だね」
シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は、『楽浪郡』、『異世界街』の一つをまるごと掌握したオブリビオン『王翦大将軍』の姿を認める。
彼女は『始皇帝』の瑞獣であり、忠実なる部下であった。
その力は言うまでもなく強力なものであり、オブリビオン・フォーミュラ『張角』のユーベルコード『異門同胞』すら破ることが可能であると言わしめたほどだ。
そんな彼女の力は言うまでもなく、数。
『異世界街』に住まう人々を皆殺しにし、オブリビオンとして軍勢に加え、猟兵たちへと差し向けるのだ。
「あっしのことを知っているようだね。そのとおり、あっしこそが『王翦大将軍』! へーかの新たなる『兵馬俑』のために、この街をまるごと頂いたってわけ!」
先行した猟兵の斬撃の一撃を受けて、血を滴らせながら苦もないように闊達に笑う『王翦大将軍』の足元より現れるのは膨大な数のウォーマシンのオブリビオンたち。
彼等はこの地に漂流してきた後、『王翦大将軍』に一度殺戮せしめられた者たちである。
オブリビオンとして蘇生され、『増殖する水銀』となった『始皇帝』の新たなる器である鋼鉄の巨人の建造に携わる者たちでもある。
「ほう、『始皇帝』の新たな器を作ろうとするのは健気と評価しよう」
「そうだろうとも。あっしは忠実なへーかの瑞獣だからね! このくらいはしないとっていうか、覇王の器はそう簡単に見つからないし、作れないものさ。その点、この鋼鉄の巨人はいいよね。あっしの色に染めようと思って、青色にしているのさ!」
『王翦大将軍』が護るのは、この『異世界街』で建造された体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人。
その巨人を器として『増殖する水銀』となった『始皇帝』が宿ればどうなるかなど言うまでもない。
「まあ、実現させてあげられないがね」
シーザーはオーラセイバーをきらめかせ、迫るウォーマシンの兵団と切り結ぶ。
放たれる弾丸をオドで弾きながら、戦場を駆け抜ける紅の美丈夫。
どれだけ数を揃えようとも、此処にあるのは一騎当千の強者である。『王翦大将軍』が軍勢を相手取るシーザーへと迫る。
手にした偃月刀の一撃はオーラセイバーと打ち合い、火花を散らせる。
凄まじい重さに周囲のウォーマシンたちが吹き飛ばされ、その衝撃波が周囲に余波となって荒ぶ。
「中々やるみたいだけどさ! まだまだ!」
打ち込まれる打撃。
いずれも『大将軍』を名乗るにふさわしい一撃であった。足が大地にめり込み、亀裂を走らせる。
オドが軋むのをシーザーは聞いただろう。
「何を勘違いしているのか……さあ、始めようか」
シーザーは不敵に笑い、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
真紅のオーラは輝き、その身に纏う。
一気に膨れ上がる重圧に『王翦大将軍』は距離を置く。だが、それは意味のない行動であった。
「アーリマンの降臨(デウス・マールム)……君は、私を前にどれだけ耐えられるかな」
「見くびってくれちゃってさ! あっしだって『大将軍』、敵を一騎打ちで屠ることこそが、へーかへの手向けさ!」
戦場に迸る真紅の波動。
それは名もなき竜や神ならば即死するほどの力の波動。オブリビオンとなったウォーマシンやスペースノイドならば問題なく消滅する。
それがただの余波である。
シーザーの放つユーベルコードは、ただ、そこに存在しているだけでオブリビオンの軍勢を霧消せしめるのだ。
「あの鋼鉄の巨人……その中身を入れさせるわけにはいかないがね。異世界の技術を貪欲に取り入れようとするのは、君のアイデアかい?」
超音速で迫るシーザーの金色の瞳が軌跡を描き、その手にするオーラセイバーが振るわれる。
見えなかった。
ただの一瞬の交錯。
ただそれだけで刻まれるは深々とした傷。剣閃の一撃は『王翦大将軍』を刻み、血潮を噴出させるのだ。
「あったりまえだろー! へーかの新しい体だぞ! ……がふっ!?」
さらに背に刻まれる一撃に『王翦大将軍』は大地に失墜する。
圧倒的な力を持ち、シーザーは『王翦大将軍』を見下ろす。
「ならば、余計にあれを『始皇帝』として世に放ってはならぬものだね」
シーザーは迸るオーラセイバーの一撃を『王翦大将軍』に叩き込み、爆炎を『楽浪郡』に立ち上らせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
勤勉なことだ
褒美に滅びをやろう
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給
絢爛を起動
目の前の空気を起点に戦域の空間を支配
破壊の原理を刃と変え域内全て同時に隙間なく、目標討滅まで終わりなく斬断
高速詠唱を無限加速し即時起動
『解放』を通じた全力の魔力供給で斬撃の密度と頻度を最大化
因果の原理でオブリビオン以外への影響を回避する
既に終わったものは覆ることはない
速やかに退場しろ
※アドリブ歓迎
爆炎上がる『楽浪郡』、『異世界街』の一つは、スペースシップワールドの宇宙船の内部が如き様相を見せる。
再現されたのは、この地に漂流してきた彼等の世界。
おそらく宇宙船ごと『神隠し』によって漂着したであろう宇宙船は、この封神武侠界において異質であった。
そして、その異世界の技術を持って『増殖する水銀』と化した『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』、器を生み出さんとするのが『王翦大将軍』であった。
「やるね~猟兵はさ! あっしほどじゃないと思っていたけど、これは認識を改めるべきだなー」
彼女は『始皇帝』の忠実なる瑞獣である。
『始皇帝』が猟兵に討たれた今、新たなる器を生み出すことこそが急務。
そのため、目をつけた『異世界街』の技術を持って鋼鉄の巨人を生み出そうとしている。
「勤勉なことだ」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は『王翦大将軍』をそう評した。
街一つを滅ぼし、人々を殺戮せしめた。
オブリビオンとして蘇生された人々は皆、スペースシップワールドに生きていた者たちだ。
スペースノイドやウォーマシン、中にはブラックタールやクリスタリアンも存在している。彼等は皆、竜の角や翼、尾を持ち再現された宇宙船の中を飛ぶ。
「褒美に滅びをやろう」
迫るオブリビオンのグンゼイを前にしてもアルトリウスは躊躇わなかった。
如何に無辜なる人々であろうとも蘇生された以上オブリビオンである。存在しているだけで世界を破滅に導くのがオブリビオンであるというのならば容赦は不要である。
原理を回し、ねじ伏せ得る。
蒼光は乱舞し、己に至ろうとするものたちを尽く断絶し否定するのだ。
「要らぬ余波は、消去する」
「世界の外から組み上げているのかー。でもなーあんまりあっしの好みじゃないな。倫理観なんていらないし、断言癖はいいとは思うけども。でも、深謀遠慮な態度は減点対象だよね」
『王翦大将軍』にとって、覇王の器とはそういうものである。
理由など要らない。
必要なのは他者を屈服させる力のみ。
結局の所、大陸を統一せしめるのは力。
「で、オブリビオンの軍勢を退けてもさ、あっし事態はどうするっていうの!」
放たれる偃月刀の一撃をアルトリウスは見た。
「煌めけ」
ただ一言発する。
その瞳がユーベルコードに輝き、目の前の空気を起点に戦域の空間を支配する。
原理で生み出された刃を領域全てに同時に隙間なく埋め、残断せしめるのだ。
高速詠唱でもって紡がれる無限加速。
「既に終わったものは覆ることはない」
『始皇帝』も、『王翦大将軍』も関係ない。
放たれる原理の刃が偃月刀と打ち合い、火花を散らす。
オブリビオンは過去の化身。
どれだけ過去に強大さを誇ったとしても、一度滅びたものであるというのならば、それは『今』に舞い戻ることなど許されるはずもない。
アルトリウスは己のユーベルコードの煌き、その光が見せる力でもって『王翦大将軍』を退ける。
乱舞する蒼光の斬撃は絶え間なく放たれ続け、『王翦大将軍』を吹き飛ばしていく。
「速やかに退場しろ」
その言葉とともにアルトリウスは『異世界街』に蔓延るオブリビオンの尽くを霧消させ続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
ここは誰…私は何処?
ここは本当に封神武侠界なのでしょうか…
いや、マジでここは何処―――――ッ
始皇帝…扱いが本当に雑で哀れです。
復活はさせません。もう本当に眠らせてあげましょう。
先制攻撃にオブビリオン軍団の召喚…
戦いは数と言いますが、これは圧巻です。
ですが、負けは致しません。『破魔』の『道術』を『範囲攻撃』で軍勢を迎撃しつつ、『結界術』で行動を阻害し、一気に攻めれないようにします。
時間は稼ぎました。宝貝「五火神焔扇」発動いたします。
炎と風の『属性攻撃』でオブリオンの軍勢を焼き払います。
封神武侠界は色々ありますが、こんな世界じゃなかったです。
あるべき世界にもどれーー。いろんな意味でです。
嘗て銀河の海を征く宇宙船を再現した『楽浪郡』、『異世界街』の一つにありて、董・白(尸解仙・f33242)は目が回るような思いであった。
「ここは誰……私は何処?」
言語機能までおかしなことになっている。
それほどまでに白にとって、スペースシップワールドの宇宙船の内部を再現した街並は馴染みのないものであった。
「ここは本当に封神武侠界なのでしょうか……」
瞳を閉じて、彼女が生まれ育った封神武侠界を思い描く。
自然豊かであり、人界と仙界に別れている世界。どちらも自然豊かであり、都に向かえば絢爛なる建築物が連なる。
そんな世界であったのだが、今彼女がいる『異世界街』は違う。
どこもかしこも鉄の壁で区切られ、覆われているのだ。宇宙船だから仕方のないことであるが、他世界を知る猟兵であったから白はまだ平気であった。
「いや、マジでここは何処――ッ」
やっぱりダメであった。
白はあまりにも世界観違いすぎる『異世界街』の様相に目を回しそうであった。
そんな彼女に襲いかかるのは竜の角と翼、尾を備え飛翔するオブリビオンの軍勢。
彼等は皆、この『異世界街』に生き、そして『王翦大将軍』によって皆殺しにされた上でオブリビオンにされた者たちである。
彼等に罪はない。
無辜なる人々と呼んでもいいだろう。だが、今の彼等はオブリビオンである。鋼鉄の肉体を持つウォーマシンが白へと迫る。
「戦いは数とはいいますが、これは圧巻です。ですが、負けは致しません」
破魔の道術でもって白は迫るウォーマシンのオブリビオンたちを迎撃し、結界術でもって彼等の進撃を止める。
見えぬ結界に阻まれたウォーマシンのオブリビオンたちが銃撃で持って壁を破壊しようとするが、破魔の力でもって強化された結界は並のオブリビオンでは破壊できない。
「はっはー! 仙人、ついでにいうと僵尸化した仙人とは珍しいね! おやおや? もしかしてもしかすると、そういう血筋の人かな? でもいらなーい! あっしのへーかの方がいいものね!」
『王翦大将軍』が空中より飛来し、手にした偃月刀でもって白に襲いかかる。
結界が一撃で破壊され、その猛威を前に白はたじろぐ。
しかし、彼女は時間がほしかったのだ。
「あっしのへーかは、すごいぞ。倫理観なんてくそくらえだし、全部断言してくれるからね。やっぱ、覇王の器は、こーでなくっちゃ! 肉体なんてなくっても、これから作る鋼鉄の巨人の体があれば大丈夫っしょ!」
「『始皇帝』……扱いが本当に雑で憐れです。復活はさせません。もう本当に眠らせてあげましょう」
白は、手にした宝貝「五火神焔扇」(パオペエゴカシンエンセン)を扇ぐ。
それは全てを塵に焼き尽くす猛火と狂風を生み出す宝貝である。あらゆる無機物を変換し、操る凄まじき力。
迫るオブリビオンの軍勢を白は薙ぎ払い、そのまま『王翦大将軍』諸共に吹き飛ばすのだ。
「封神武侠界は色々ありますが、こんな世界じゃなかったです」
白は己の知る世界を思い出す。
如何なる理由からか、神隠しに寄って迷い込む存在たちがいる。それが歪であると言えば、そうであるかもしれない。
けれど、彼等とて漂着者。
「徒に死せる運命ではなかったはず!」
「だから、オブリビオンにしてあげたんだってば! それでいいでしょー?」
『王翦大将軍』と白の価値観が交わることはない。
何処まで言っても平行線だ。だからこそ、白は手にした宝貝が巻き起こす猛火と狂風でもって『王翦大将軍』を打倒する。
「そういう理屈は、聞き飽きました。彼等は在るべき世界に戻します!」
色んな意味でもう許容量が一杯なのだ。
放つ炎と風が吹き荒れ、白は『王翦大将軍』の偃月刀を押し返すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
無くした主の容れ物探しか
目を付けられたここの人は無念だったろーな…
SSWの戦法はエンパイアよりずーっと高性能だ
【情報収集/視力/聞き耳/野生の勘】で敵位置や被弾位置を予測
身を躱しながら【念動力】で七分割した七葉隠を中空で回転させ、UC強化へ繋げると同時進行でレーザー以外の実弾や個人騎乗の乗り物などの軌道を阻害
【カウンター】で七葉隠や被弾時の瓦礫などを念動力を駆使し敵へ攻撃【投擲】
SSW軍を凌いだら
瑞獣の大将へは一振りに組んだ七葉隠【念動力】で【追跡/投擲】し追い詰めたら七葉隠を七分割し囲むようにして
手にしたクナイと共に八方向から刺し斬り【串刺し/暗殺】
…楽天的で情が無い
怖い大将だねェ
アドリブ可
猟兵達に攻撃を防がれた『王翦大将軍』は笑う。
彼女が求めるのは覇王の器。
誰もが認める力。それが覇王たる器である。倫理観など必要ない。遠謀深慮なる賢者である必要はなく。
ただ、大陸を統一せしめる力があればいい。
だからこそ、彼女は『楽浪郡』の『異世界街』に目をつけたのだ。
神隠しによって異世界より漂流者が集まる場所であれば、『増殖する水銀』となった『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』すなわち、器が作り出せるからだ。
「そのためにもって思っていたんだけど、思ってた以上に猟兵が強いなー。へーかの器が完成するまで持ちこたえられるか微妙になってきた」
『王翦大将軍』はそれでも笑っていた。
あの鋼鉄の巨人が完成してしまえば、『始皇帝』の器となって猟兵たちを蹴散らすであろうと信じていたからだ。
「なくした主の容れ物探しか。目をつけられた此処の人は無念だったろーな……」
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は迫りくるオブリビオンの軍勢を前にしてつぶやく。
スペースシップワールドより漂着した者たちは、神隠しにあってもなお強く生きていたはずだ。
だというのに、『王翦大将軍』は彼等を皆殺しにし、オブリビオンとして蘇生し、己の軍勢へと組み込んだ。スペースノイドもウォーマシンも関係ない。
オブリビオンへと蘇生された彼等には最早意志はない。
あるのは猟兵を滅ぼさなければならないというオブリビオンとしての性のみ。
放たれるレーザーや銃弾をトーゴは躱しながら、七分割した巨大忍刀を空中で回転させる。
「おや、何かしているようだけど、見え見えだよ」
『王翦大将軍』は即座にトーゴが何をしようとしているのかを理解していた。
それはユーベルコード。
トーゴの力は、予め武器を振り回しておくことで戦闘力を増強するものであった。ただし、動きが見破られやすくなるというデメリットを持っている。
さらにはオブリビオンの軍勢から放たれる弾丸や、宇宙バイクの疾駆を躱さなければならない。
「関係ないのさ、これが!」
煌めくユーベルコードの輝き。己の武器を振り回せば振り回すほどにトーゴの戦闘力は跳ね上がっていく。
ならば、迫る軍勢から放たれる銃弾を躱すことは容易であり、迫る宇宙バイクの追跡もかわし切る。
念動力でもって瓦礫を吹き飛ばし、道を切り拓く。
スペースシップワールドの戦法はサムライエンパイアのそれと比べて高性能である。どうあがいても、戦術という意味では宇宙を征く彼等に分があるだろう。
けれど、トーゴは猟兵である。
他世界を知るからこそ、取れる択がある。
「まあ、いーや。軍勢は減ったら増やせばいいんだから。どっちにしろへーかの器を作らなければこっちの負けだしねー」
振るわれる偃月刀の一撃をトーゴは躱しながら、七分割していた忍者刀を一振りに組み上げ、念動力でもって投擲し距離を離す。
「だーかーらー、見え見えだってば!」
『王翦大将軍』が放たれた忍者刀を弾き飛ばし、トーゴに迫る。
偃月刀の閃きはトーゴめがけて振り下ろされる。
だが、トーゴは忍びである。
欺き、慢心を穿つ者である。ゆえに、彼の弾かれた巨大忍者刀は空中で再び七分割し、『王翦大将軍』を取り囲むのだ。
「……楽天的で情が無い。怖い大将だねェ……だから、読みやすい」
己の生命もまた数字として見ている『王翦大将軍』にとって、生命とは鏖殺するものである。
結局の所、彼女はわかっていなかったのだ。
忍びが如何なるものであるかを。
その力の在り方を。
羅刹旋風の如き七分割された忍者刀はぐるりと『王翦大将軍』を取り囲み、さらにはトーゴが手にしたクナイと共に一瞬の内に打ち込まれる八連撃でもって襲いかかる。
確かに単純な動き。
されど、全方位からの攻撃を全て『王翦大将軍』は躱せない。
何より、目の前に迫るトーゴを斬り殺さんとしている。だからこそ、背後より迫る忍者刀に対処できない。
「将軍ってのは暗殺されることもあるんだぜ」
穿つ一撃は忍びの一刀。
トーゴは『王翦大将軍』の背に癒えぬ傷を追わせ、偃月刀の一撃を躱すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
屍人操りはオブリビオンの得手か。それなら、一人でも多く骸という檻から解放してあげる。
偶神兵装『鎧装豪腕』顕現。「盾受け」よろしく頼むわよ。「受け流し」たり「怪力」で「なぎ払」ってもいいわ。
こちらも術式を仕上げよう。
「結界術」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「仙術」「道術」で紅水陣。
「環境耐性」で自分の身を守りながら、王翦大将軍と使役するオブリビオンを確実に巻き込む。
酸の雨で動きが鈍った配下達を突破して、王翦に薙刀を叩き込むわ。
そちらも長物みたいね。派手に打ち合いましょう。
この環境下ででもないと、まともに打ち合うにはきつい相手ね。
だけどここはあたしの領域。「串刺し」にしてあげる!
『楽浪郡』の『異世界街』の一つ、スペースシップワールドより漂着したであろう宇宙船を再現した街は『王翦大将軍』によって住まう人々全てが鏖殺された。
彼女の目的は唯一。
『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』として、漂着してきていた宇宙船の内部に残された鋼鉄の巨人を用いて覇王の器とすることである。
しかし、その彼女も猟兵たちの攻撃に寄って消耗を強いられている。
「あーもー! 厄介だなー。これだけの数で押してるのに、押し切ってくるなんてさー」
『王翦大将軍』にとって、この戦いは数での勝負以上に時間との勝負でもあった。
彼女が鏖殺したスペースシップワールドよりの漂着者たちは、殆どがスペースノイドとウォーマシンであった。
オブリビオン化し、己の力で強化されているとは言え、雑兵と同じだ。
数で押し切れると思っていたからこそ、鋼鉄の巨人の建造に配下のオブリビオンたちを配置したのがまずかった。
「でもまあ、いっか。どっちにしろ、へーかの器がなければこっちの負けだしね」
楽観的であり、同時に彼我の戦力を正しく認識している。
猟兵達が己を押し切れなければ、こちらの勝ち。そして、敵は少数ときている。ならば、物量で押すのが正解であろう。
「屍人操りはオブリビオンの得手か。それなら、一人でも多く骸という檻から解放して上げる」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は『鎧装豪腕』を顕現させ、迫りくるオブリビオンの軍勢を相手取る。
しかし、数の不利は否めない。
どれだけ言っても猟兵は数に圧されてしまう。ならば、彼女は己の術式を仕上げることに専念し、『鎧装豪腕』によって迫るオブリビオンを薙ぎ払うのだ。
「力押しには力押しってわけかい! いいね、いい感じだ。君等が猟兵でなかったのなら、あっしが拝み倒してへーかの器になってもらうところであったんだけどね!」
放たれる『王翦大将軍』よりの偃月刀の一撃をゆかりは薙刀で受け止める。
奇しくも互いに獲物は長物。
弾き飛ばしながら、ゆかりは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
オブリビオンの軍勢を止めるためには、これしかない。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
煌めくユーベルコードは、紅水陣(コウスイジン)。
戦場と成った『異世界街』が真っ赤な血のような、全てを蝕む強酸性の雨が降りしきる。
あらゆるものを腐食させる赤い靄が満ちて、オブリビオンとなったスペースノイドやウォーマシンが次々と腐食し崩れ落ちていく。
「軍に対するユーベルコードか。これはあっしには部が悪いな! なら、大将首を貰い受ける!」
赤い靄の中を『王翦大将軍』が迫る。
「こちらから行く手間が省けた! 『鎧装豪腕』!」
飛ぶは剛力用いる『鎧装豪腕』。迫る偃月刀の一撃をゆかりは『鎧装豪腕』で受け止める。
軋む『鎧装豪腕』の装甲が破片を撒き散らしながら砕けていく。
けれど、ゆかりはこの『紅水陣』の中に適応した存在である。
酸の雨で鈍った『王翦大将軍』を捉えることなど容易。ゆえに、打ち込まれる薙刀の一撃が『王翦大将軍』へと打ち据えられる。
「この環境下でもないと、まともに打ち合うにはキツイ相手だってわかってる。だけど、ここはあたしの領域」
此の場においてのみ、ゆかりは『王翦大将軍』に勝る。
「それでも、それを踏み越えるのが覇王の器ってね! 瑞獣たるあっしはそういうへーかが大好きだったのさ!」
打ち据える剣戟の音が響き渡る。
腐食させる雨の中でありながら『王翦大将軍』の動きは未だ衰えない。だが、確実に追い込んでいる。
ゆかりは偃月刀の一撃をいなし、紅の雨に濡れる薙刀の紫の刀身をもって、その身を穿つ。
彼女が最も得意とする刺突の一撃。
それは『王翦大将軍』の肩を貫く。どれだけ強大なオブリビオンであっても己の領域に引きずり込んだ方が勝つ。
それこそが戦いであるというようにゆかりは、紅の雨の中、オブリビオンの軍勢を霧消させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
誰よりも始皇帝を倒した猟兵である自負はあります
だからこそ、彼の復活は阻止してみせましょう
……猟兵がオブリビオンに出来ることは1つだけです。
集団で来る『異世界街』の人々と戦いますね
拳に溢れんばかりのオーラを込め、
【なぎ払い】【衝撃波】で吹き飛ばすっ!
攻撃は自慢の【オーラ防御】に各種耐性で凌ぎます
王翦までの道を開けるように叩き込んで、
道が空いたら【ダッシュ】で間合いを詰めますっ!
新たなオブリビオンを召喚するならどうぞ!
この間合いまで詰めた限り、私が勝つっ!
《戦士の手》と共に!
【功夫】を生かした【鎧砕き】の打撃をねじ込み
【怪力】で掴んでは必殺の投げを叩き込みますっ
最後は【限界突破】で倒し切りますよ!
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は『始皇帝』を打倒するために最も戦い続けた猟兵の一人であるという自負が在る。
だからこそ、『楽浪郡』にて『王翦大将軍』が目論む、『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』、その器を作り出さんとしていることが許せなかった。
それ以上に『異世界街』の人々を鏖殺したことが許せない。
彼等は無辜の人々である。
失われるべきではなかった生命だ。
「それを己が欲望のためだけに殺す。それがオブリビオンであるというのならば。私は猟兵として、『始皇帝』の復活は阻止して見せましょう」
勇気が漲る。
迫るオブリビオンの軍勢を前にしても、ユーフィはたじろがなかった。
「そうか、君がへーかを『増殖する水銀』になるまで追い込んだんだね。それはとっても困ることなんだよね。また新しくへーかの器を用意しないとだし」
『王翦大将軍』もまた猟兵達によって追い込まれている。
身に穿たれた傷はどれも浅からぬものばかりであった。だからこそ、オブリビオンと蘇生したスペースシップワールドの人々を差し向けるのだ。
スペースノイドやウォーマシンといった宇宙バイクをもって疾駆する彼等はユーフィを取り囲む。
しかし、ユーフィは無手である。
あるのは溢れんばかりのオーラである。
「……猟兵がオブリビオンに出来ることは一つだけです」
ユーフィは覚悟を決める。
どれだけ元が無辜なる人々出会ったのだとしても、『王翦大将軍』によって鏖殺されたがために意志無きオブリビオンの軍勢へと変えられた彼等を開放することができるのは、彼女の拳だけである。
オーラを込めた拳が解き放たれ、薙ぎ払い、衝撃波でもって彼等を吹き飛ばして『王翦大将軍』への道を拓くのだ。
「問答無用だね! いいよ! そういうのがさ、わかりやすくってあっしは好きなんだよね!」
迫るユーフィへと偃月刀の一撃が繰り出される。
ユーフィの踏み込みは早い。それは対峙する『王翦大将軍』にとってもわかっていたことだった。
こちらの利は数。
だからこそ、ユーフィの拳が軍勢を吹き飛ばしたのを見た時、これを止めねば軍勢に致命的な損害が出ることを彼女は知ったのだ。
「新たなオブリビオンを召喚するならどうぞ! この間合まで詰めた限り、私が――」
振り下ろされる偃月刀の一撃を拳が打ち据える。
鋼の如きオーラが重ねられた拳が火花をちらしながら、偃月刀の一撃を押し返すのだ。
「勝つっ! 戦士の手(センシノテ)と共に!」
練り上げられた功夫。
それはユーフィの拳は鋼よりも強靭なものへと変える。
放たれる一撃は『王翦大将軍』の鎧すら砕き、打撃をねじ込む。
「ぐはっ――!?」
めり込む拳。
凄まじい音が響き渡る。その拳は固く、強大なオブリビオンであったとしても、内臓を打ち据え、痛みを齎すものであった。
鍛え上げられた肉体より放たれる力。
これこそが、彼女の練り上げられた功夫の示す道である。
しかし、ユーフィの本領は此処からである。怪力でもって『王翦大将軍』の鎧を掴み、必殺の投げ技を叩き込む。
彼女の格闘者としての実力は練磨の果てに至るのだ。己の肉体の限界さえも超える力で持って大地に『王翦大将軍』の体を叩きつける。
「これが人の至る道! 覇王の器だかなんだか知りませんが! いつだって暴君は必ず討たれるものです!」
ユーフィは己のオーラを込めた拳を叩きつけ、『王翦大将軍』の歪んだ忠義をこそ打ち砕くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
酷いことをする。だからこそ、悪霊が祟るに相応しい。
先制攻撃を凌ぐには、陰海月に乗りまして。早業による四天霊障の結界術。…それに加えて、武器受けからの流すことに。
ええ、カウンターを陰海月がしてたりしますがね?
反撃は陰海月、任せましたよ。
UCを使用して、範囲ギリギリからの光珠をいくつも撃っていきましょう。
逃げようにも、この光珠は追っていきますからね?
※
陰海月、ぷっぷくぷー!たいへんご立腹である。
許さないので、とても光って張りきるのであった。ぷっきゅ!
オブリビオンに倫理観はない。
あるのは過去に歪み果てた欲望を成すための力だけである。
いつだって犠牲になるのは無辜の人々だ。
何度悪夢を見たかわからない。己達がそうであったように『楽浪郡』の『異世界街』を襲ったのは、そうした理不尽であった。
奪われるだけでしかない。
ゆえに、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)たち、四柱の悪霊たちは呪詛が膨れ上がっていくのを感じたことだろう。
「酷いことをする。だからこそ、悪霊が祟るにふさわしい」
『疾き者』を表層に現出させながら、迫るオブリビオンの軍勢を見やる。
影より現れた巨大な『陰海月』に乗り、霊障による結界を張り巡らせる。
「ぷっきゅ!」
『陰海月』も『王翦大将軍』のもたらした虐殺に立腹である。
膨れ上がるようにして、その体を膨らませながら飛ぶのだ。
「あっはっはっは、怒っているね! でも仕方のないことなんだよ。これは。あっしはへーかの新しい器を作りたい。でも生半可なものでは、へーかの覇王の相は民草に示せないだろう?」
『王翦大将軍』は数多の猟兵たちの攻撃を受けて消耗している。
血だらけになりながら、闊達に笑っているのは驚愕に値するものであったが、彼女の言葉はどれもが勝手な理屈でしかなかった。
溢れるようにして、かつてスペースシップワールドに在りし宇宙船ごと、この世界に漂着した人々を鏖殺した後にオブリビオンへと変貌させた力が軍勢を呼び出す。
「君たちはあっしらを滅ぼしたい。あっしらは君たちを滅ぼして、世界も滅ぼしたい。ま、仕方ないよねー。なら、戦って勝ったほうが主導権を握るなんて当たり前のことなんだしね」
溢れる軍勢を『疾き者』は、騎乗する『陰海月』の体に触れる。
瞬間、ユーベルコードの輝きが満ちる。
四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)。合体することで1680万色に輝く四悪霊の呪詛纏い、放つ光珠。
それもまた1680万色に輝く。
「うっ、ぉ、まぶしっ!」
あまりにも数の多い光。
目がくらむような光景にオブリビオンの軍勢は討滅されていく。
「逃げようにも、この光珠は追っていきますからね?」
そう、逃がすつもりなどないのだ。
『王翦大将軍』の目的は唯一。
『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』、その器を作り出すこと。
鋼鉄の巨人が建造され、その鋼鉄の巨人に『増殖する水銀』が入り込むことによって新たな『始皇帝』が生まれる。
それは謂わば新たなる破滅への一歩でしかない。
ならばこそ、それを止める。オブリビオンの軍勢は『王翦大将軍』の力によって維持されている。
「容赦はしない。私たちの前で虐殺を行ったこと、その意味を此処で知っていただく」
満ちる呪詛。
嘗て在りし虐殺。
失われた生命は戻ることはない。己達が此の姿へと成り果てたのもまたオブリビオンであるというのならば、これは因果である。
光り輝く『陰海月』と共に『疾き者』は光珠の乱舞でもって『王翦大将軍』を打ち据える。
逃さない。
地の果てまで追い詰めても滅ぼす。
その意志が反映したように光り輝く光珠は『王翦大将軍』へと迫り、その体を穿つだろう。
「ぷっきゅ!」
『陰海月』の鳴き声が響く。
戦場にありて、それは理不尽な死をもたらした『王翦大将軍』対する怒り、その意思表示であったことだろう。
まばゆい光は、鏖殺された人々の手向けとなるように、戦場に溢れ、その尽くを霧消させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…貴方達とて、自らの生命を奪った相手に利用されるのは本意では無いはず
…彼らを討つ事が鎮まらぬ魂の慰めとなる。勝手にそう思わせて貰うとするわ
敵兵に変装した残像を自身に被せるよう「写し身の呪詛」に武器改造を施し、
存在感を消して敵軍を倒して回り敵UCにより索敵特化型が召喚された瞬間を見切り、
「呪宝珠弾」を乱れ撃ち同士討ちを誘発して敵軍の体勢を崩しUCを発動
…隠れ潜むのは終わりよ。後は捕捉されようが関係無い速度で突っ切るのみ
…来たれ、時を駆け抜けるⅠの剣
大鎌を時間加速の神剣に変型して自身に行動速度を超加速する時の魔力を溜め、
敵の集団戦術をすり抜ける超高速の早業で切り込み王翦を切断する時属性攻撃行う
強大なオブリビオンに支配されるオブリビオン。
それは神隠しに寄って、この封神武侠界へと漂着したスペースシップワールドの宇宙船の人々であった。
『王翦大将軍』によって鏖殺された彼は、オブリビオンとして蘇生され、彼女の目的である『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』、すなわち覇王の器となるべく宇宙船に残されていた鋼鉄の巨人を完全なるものとして建造するために使役されていた。
そして、今まさに迫る猟兵を打倒するために『王翦大将軍』によって軍勢として駆り立てられている。
「……貴方達とて、自らの生命を奪った相手に利用されるのは本意ではないはず」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の言葉は、オブリビオンの軍勢となったスペースノイドたちには届かなかったかもしれない。
彼女にはわかっていた。
これが自身が勝手に思っているだけのことだと。
オブリビオンとなった彼等を討つことが鎮まらぬ魂の慰めとなる。それが正しいかどうかは、わからない。
けれど、己が信じなくて誰が信じるというのだろうか。
走るは写し身の呪詛。
「へえ、呪術による残像かー。そういう小手先のはあっしの好みじゃないなー。やっぱ戦いっていうのは、力と力のぶつかり合いじゃないとさ!」
『王翦大将軍』はリーヴァルディの残像がオブリビオンの軍勢を翻弄しているのを知るやいなや、己の軍勢を変化させる。
召喚される『王翦大将軍』配下のオブリビオンたちは、ウォーマシン。
全てが熱源による感知を得意とする躯体であった。
必ず『王翦大将軍』はリーヴァルディに対抗できるオブリビオンを召喚する。その瞬間をこそリーヴァルディは狙っていたのだ。
「……隠れ潜むのは終わりよ」
乱れ打たれるのは呪宝珠弾。
敵陣を突き崩す。狙うは『王翦大将軍』のみ。この戦いは大将首である『王翦大将軍』を打倒すれば、鏖殺されオブリビオンとなった人々は霧消していく。
ならばこそ、この瞬間を待っていたのだ。
「……来たれ、時を駆け抜けるⅠの剣」
煌めくはユーベルコード。
己の黒剣が消え失せ、手に在るは時間操作能力を持つ神剣。
Ⅰの剣は、リーヴァルディの行動速度を超加速させる時の魔力を溜め込む。
彼女のユーベルコードに煌めく瞳が見据えるのは『王翦大将軍』のみ。切り裂く。ただ、その一念のみが彼女の中にめぐる。
無辜なる人々の悲哀を彼女はこれまでも聞いてきただろう。
彼女が猟兵として戦うのは、無論、故郷をオブリビオン支配から開放するためである。
だが、それ以上に目の前の生命を脅かされた人々を、そして奪われた生命を贖うための戦いから目をそらすことはできない。
「……名も無き時の支配者、天の獄に座する異端の神の力を此処に」
それは一瞬であった。
踏み込みの瞬間を『王翦大将軍』は捉えることはできなかった。
「はっや……――!」
「……無駄よ」
リーヴァルディは手にした神剣を振るう。如何なる斬撃も『王翦大将軍』は捉えることはできない。
時を手繰る神剣の斬撃は相対するものに、斬撃を悟らせない。
打ち込まれた斬撃は、無辜なる人々の嘆きを代弁するかのように『王翦大将軍』の片腕を切断せしめる。
血潮が噴出し、絶叫が戦場に響き渡る。
それは彼女が奪った生命に贖う痛みである。リーヴァルディは、その鮮血の雨に濡れることなく、神剣を振るう。
彼女はこれこそが失われた生命に対する魂の慰めと思うのだ。
「……灰は灰に。塵は塵に。過去が私の前に立たないで」
過去は己の背後に。
如何なる強大なオブリビオンであったとしても、彼女の目の前に立つことは許さない。
神剣の斬撃の後を背に残しながらリーヴァルディは失われた生命を思うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
見知らぬ世界に飛ばされ、そこで殺されるなど……その気持ちは想像するに余りある
もはや救うことは出来ないなら、せめて安らかに
敵の数と布陣を考えれば、王翦を直接狙うのは困難か
神刀の封印を解き、神気によって身体能力を強化
ダッシュから勢いをつけてジャンプして敢えて敵陣深くに突貫
敵がどれだけ多くとも、一度に近付いてこれる数には限りがある
それに、深く切り込んだことで誤射が起きれば勝手に戦力を削る事が出来るし、それを恐れて攻撃の手が緩まるなら対処がしやすくなる
基本的には斬撃波で敵をなぎ払いつつ王翦に向かって一直線で接近
UCを発動可能になれば、漆の秘剣【蒼鷹閃】にて後方の敵も纏めて倒した上で王翦に斬撃を叩き込む
想像すること。
それが人の特性であるのならば、言葉を変えれば、それは思い遣るということにも通じるものであったことだろう。
銀河の海を往く宇宙船。
還るべき星を失っても続く旅路。
発端が神隠しであったのだとしても、スペースシップワールドに生きた宇宙船に住まう人々は、この封神武侠界において『楽浪郡』という『異世界街』を得て、安住の地を見出したのかも知れない。
けれど、それはオブリビオンによって全てが失われてしまった。
『王翦大将軍』によって鏖殺された人々はオブリビオンへと蘇生され、その力を『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』――すなわち覇王の器を建造するために使われる。
鋼鉄の巨人は未だ器ならず。
だからこそ、『王翦大将軍』は迫る猟兵たちを迎え撃つのだ。
「舐めてたわけじゃないけどさーここまでやるものだとはね」
片腕を失っても尚、とめどなく溢れる血潮を流しながら『王翦大将軍』は笑っていた。無邪気とも取れる言葉に夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、己の想像を絶する光景に喉を鳴らす。
「もはや救うことは出来ないなら、せめて安らかに」
オブリビオンとなった者を開放することは、猟兵の力によって霧消させるのみ。
見知らぬ世界に飛ばされ、そこで殺される。
その無念を鏡介は想像するに余りあるものであると感じていた。だからこそ、迫るオブリビオンの軍勢を見据える。
彼等は皆、『王翦大将軍』より力を与えられている。
ならば、首魁たる『王翦大将軍』さえ倒してしまえば、彼等を縛るものは何もなくなる。
だからこそ、鏡介は神刀の封印をとき、神気によって己の身体能力を強化する。
戦場を走る。
そして、大地を蹴り、敢えて敵陣の最中へと飛び込むのだ。
それを突貫と呼ぶのかもしれない。敵がどれだけ多くとも、己の動きに継いてこれる者は限りがあるはずだ。
「敵陣深くに飛び込めば、一人の敵に射線を集中すればどうなるかなどわかっているはずだ。ならば撃てまい」
誤射が起これば、敵の戦力は削れる。同時にそれを恐れば攻勢は削ぐことができる。
「へー考えたものだね。敵の数が多いのなら飛び込めばいい。あははは、いい具合にぶっ飛んでるじゃんね!」
『王翦大将軍』は己の失った片腕を止血しながら鏡介へと迫る。
溢れるオブリビオンの軍勢は鏡介の突貫によって足止めされる。放たれる斬撃波が軍勢を霧消させながら己へと迫ってくるのだ。
「万全の体制で迎え撃ちたかったけれど、そうも言ってられないのが戦いの楽しいところだ!」
一直線に迫る鏡介の瞳がユーベルコードに輝く。
あれこそが倒すべき敵であると認識した鏡介は、神刀の封印を解き、淀みなく斬撃と斬撃波を放ちながら、オブリビオンの軍勢を霧消させ、その漆の秘剣【蒼鷹閃】(シチノヒケン・ソウヨウセン)の一撃でもって『王翦大将軍』の放つ偃月刀を打ち据えるのだ。
「刃は流れるが如く――漆の秘剣【蒼鷹閃】。何を楽しむ。生命が失われている。お前達オブリビオンはいつだってそうだ」
切り上げる一撃が偃月刀を跳ね上げる。
鏡介の瞳に輝くのは怒りでもなければ、哀しみでもなかった。
心のなかにそれは綯い交ぜになっている。
だからこそ、研ぎ澄まされた斬撃を解き放つ。失われた生命は戻らない。オブリビオンとなった人々は還ってこない。
彼等の失意と絶望を思えば思うほどに胸が締め付けられる。
「他者のことを慮らない。己の欲望ばかりで世界さえ滅ぼそうとする。それを許せないのが猟兵だと知れ」
放つ一撃が『王翦大将軍』の体を袈裟懸けに切り裂く。
絶え間ないよどみ無き斬撃が彼女を襲い続ける。鏖殺せしめた生命に贖う痛みをもたらし、奪われた者たちの悲哀を知らしめるように――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ほほう、深謀遠慮なる賢者を求める大将軍とな?
これは、まさに我がうってつけの人材ではないだろうか?
うむ、そうでないはずがない!」
『いえ、フィア様ほど倫理観が終わってて、断言癖がスゴく、ヤバい方はおられないかと――』
ふむ、なにやら使い魔のフギンが我を褒めておるな?
よいぞ、もっと褒めるがいい。我、褒められて伸びる子だからな!
『伸びるのは鼻だけではないでしょうか?』
なにか言ったか?
『いえ、それより相手は兵団によって鋼鉄の巨人を作ろうとしているようです』
「なに!?
そのような鉄板のできそこない、見過ごせるかーっ!」
『ああっ、フィア様!
遠距離から問答無用で隕石落としとか、なんて慈悲のないことをっ!』
『王翦大将軍』が求めるのは、覇王の器である。
彼女は『始皇帝』の忠実なる瑞獣であり、『増殖する水銀』へと成り果てても、その忠義が揺らぐことはなかった。
ただ、『始皇帝』を高みに導く。
それだけのために彼女は『楽浪郡』の『異世界街』一つを滅ぼした。
異世界から漂着したスペースシップワールドの宇宙船を模した街に生命は最早ない。
在るのはオブリビオンのみ。
異世界の技術を取り込み、『始皇帝』の新たなる『兵馬俑』、器を生み出す。鋼鉄の巨人は今も建造が進んでいる。
「ほほう、深謀遠慮なる賢者を求める大将軍とな? これはまさに我がうってつけの人材ではないだろうか? うむ、そうでないはずがない!」
フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)は『王翦大将軍』が求める覇王の器の条件を都合の良い耳で解釈してうなずいていた。
深謀遠慮なる賢者。
それは正直、いらんと言っているのだが、フィアにとってはそう聞こえなかったようである。
使い魔である鴉の『フギン』がため息を吐き出す。
『いえ、フィア様ほど倫理観が終わってて、断言癖がスゴく、ヤバイ方はおられないかと――』
単純に悪口である。
だが、普段の彼女を知る者であれば、それはそうであるとうなずいたところである。
誰もフォローしないところがフィアらしいといえばフィアらしいのであるが。
しかも、フィアはフィアで『フギン』の言葉に何やら褒められているとテレテレしている始末である。
「よいぞ、もっと褒めるがいい。我、褒められて伸びる子だからな!」
『伸びるのは鼻だけではないでしょうか?』
『フギン』はフィアの言葉にまたため息をつく。
もうため息のバーゲンセールである。
「何か言ったか?」
フィアはこういうところだけ耳ざとい。
『いえ、それより相手は兵団に寄って鋼鉄の巨人を作ろうとしているようです』
『フギン』の言葉通り、フィアが見やる宇宙船を再現した『異世界街』にはオブリビオンが存在し、遠目に見える鋼鉄の巨人はまさに鎧をまとったかのような姿となっている。
それをフィアは見ただろう。
「なに!? あのような鉄板のできそこない、見過ごせるかーっ!」
フィアの瞳がユーベルコードに輝く。
迫るオブリビオンの軍勢などまるで意に介さないかのように見据えるは鋼鉄の巨人のみ。
彼女は目の前の敵を見据えるより早く、鋼鉄の巨人の存在を許せなかったのだ。本能的に悟るのだ。
あれは己の知る鉄板からすると決定的に足りないものがると。
それを言葉にすることは難しかったけれど。それでもフィアは迫るオブリビオンの軍勢と『王翦大将軍』を見据えるのだ。
「天空より来たれ、全てを破壊する一撃よ」
隕石召喚(メテオストライク)。
フィアのユーベルコードであり、招来した隕石をぶつけるという単純明快なもの。
だが、その一撃は凄まじい質量を持つ。
「わーお、周りの被害とか全く考えない質なのかな? そのぶっ飛び具合は嫌いじゃないけどさ!」
『王翦大将軍』は片腕を失っても尚、猟兵達を打倒することを諦めてはいなかった。
落ちる隕石を見上げ、オブリビオンの軍勢を盾にする。
だが、そんな防御など無意味である。オブリビオンの軍勢すら飲み込む一撃は大地を揺るがし、爆煙を立ち上らせる。
『ああっ、フィア様! 遠距離から問答無用で隕石落としとか、なんて慈悲のないことをっ!』
ついでにいうと倫理観ぶっ飛びまくりである。
そんな『フギン』が諌める言葉もどこ吹く風というようにフィアは満足気に隕石の落着を見やるのだ。
「あの鉄板もどきなんぞ、我は認めぬ!」
あの火力。
あの味わい。
忘れるわけがないというようにフィアはうっとりしながら、ねじの外れた倫理観でもって隕石を『王翦大将軍』に叩きつけ、満足気な顔をするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…なんというか、いまいち狙いが判らないな…
…『始皇帝』という存在があってそれに仕える、と言う形さえ取れれば良いのかな…
…取り巻きのSSWの住人は宇宙船の内部構造を把握して分断しつつ各個撃破…
…ウォーマシンや敵の装備を確認しながら…王翦大将軍へと切り込んでいこう…
…将軍が軍団を召喚したら前哨戦で得た情報を元にハッキングを開始…ウォーマシンや敵の電子的な装備を操って同士討ちを誘い混乱させよう…
…これで時間を稼いでいるうちに【その符号、我が書中にあり】を発動…
…流れ弾を封魔の書で受け止めることで軍団を吸収…
…即座に解放して手中に収めた軍団と連携して将軍に攻撃を仕掛けるよ…
…まあ…自業自得という事で…
隕石の一撃が『楽浪郡』に落ち、凄まじい衝撃波を周囲に巻き起こす。
オブリビオンの軍勢が吹き飛びながらも『王翦大将軍』は体制を立て直す。すでに片腕を失っているが、彼女のユーベルコードによって配下オブリビオンたちを呼び出せば事足りることであった。
「まったくもー、こっちはへーかの器を作り出す時間稼ぎだっていうのに、猟兵ってばこっちの首を狙ってくるんだからなー」
楽観的に笑いながら『王翦大将軍』は、目の前に現れる猟兵達の姿に頭を振る。
彼等が猟兵でなかったのならば、拝み倒して器にでもなってもらうところであったが、それどころではない。
新たなる『始皇帝』の『兵馬俑』である覇王の器、鋼鉄の巨人はスペースシップワールドの技術でもって建造されている。
体高5mを超える巨人は鎧をまとったような姿をしている。『増殖する水銀』となった『始皇帝』とこれが合わされば、再び封神武侠界に混乱がもたらされることは言うまでもなかった。
「……なんというか、いまいち狙いが分からないな……『始皇帝』という存在があってそれに仕えるという形さえ取れればいいのかな……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、『王翦大将軍』の在り方について考える。
瑞獣である彼女にとって仕えるべき相手が在ることが重要なのであって、大陸統一や大帝国を築くということは二の次なのだろう。
己が仕える存在がなければ己である意味がないとでもいうのか。
「とは言え……この宇宙船の再現は面倒だな……」
メンカルはオブリビオンの軍勢がひしめく『異世界街』の様相を見やる。
スペースシップワールドの宇宙船そのものだ。こんなものまで封神武侠界には神隠しによって流れ着くのかと思うほどであった。
敵の殆どがスペースノイドとウォーマシンであった。標準的なスペースシップワールドの住人たちの装備ばかりである。
宇宙バイクやブラスター。
そういう武装ばかりであることを確認したメンカルは、ハッキングを開始するウォーマシンならば、電子兵装を用いているだろう。
そこからメンカルはハッキングし、同士討ちを誘いながら混乱を齎すのだ。
「おっと、これはどういうことだい? なんで同士討ちしている?」
『王翦大将軍』にとっては理解し難いことであっただろう。
己が召喚したオブリビオンたち。彼等がどういうわけが互いに打ち合っているのだ。オブリビオンは一枚岩だ。反乱など起こるわけがない。
だというのに、目の前の光景に『王翦大将軍』は混乱するばかりであった。
「これも猟兵の力ってわけ? あーもー! 面倒くさい! これだからさー!」
力で抑えつけることができぬ軍勢ほど統率が取れないものはない。
『王翦大将軍』がそうして混乱している最中、メンカルはその手に封魔の書を手に戦場へと走る。
「……時間稼ぎは出来た……魔を掴む書よ、集め、封じよ、汝は封印、収奪。魔女が望むは写して記す封魔の書」
『王翦大将軍』の配下は彼女のユーベルコードである。
ならば、彼女の手にある封魔の書に彼等を吸収する。自身に攻撃するということは、全てこちらの手の内に吸収されるということである。
「兵を吸収した? どういうこと!?」
「……こういうこと」
メンカルの手にした封魔の書から飛び出すのは、オブリビオン兵士たちである。
それは『王翦大将軍』が放ったオブリビオンであり、メンカルのユーベルコード。
まさに反乱。
その符号、我が書中にあり(ユーベルコード・キャプチャード)と、メンカルはオブリビオンたちを次々と召喚し、『王翦大将軍』の配下たちとぶつけさせるのだ。
兵の質が同じであるというのならば、互いに打ち合い霧消していく。
そして、混乱している将がいるのならば、これを瓦解させることなど容易。
「……まあ、自業自得ということで……」
メンカルは鏖殺の因果を齎す。
『王翦大将軍』が為した虐殺。その応報を今受けるべきだとメンカルは己の手繰るオブリビオン配下たちと共に軍勢を押し返していく。
十字砲火の中、『王翦大将軍』がたまらず退いていくのが見える。
霧消していくオブリビオンたちを見やり、メンカルは息を吐き出す。借用したユーベルコードは戦闘が終われば消える。
異邦より来たりて失われた生命は戻ることはない。けれど、それでもオブリビオンの走狗より開放される。
ただ、それだけを手向けとするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
遠き過去に分かたれたとはいえ、故郷の同胞の子孫の最期がこのような…
これ以上の非道、看過するつもりはありません
スペースシップワールドの主兵装はブラスター
防具改造にて対光線兵器反射処理施された大盾にて盾受け
脚部スラスターの推力移動で敵軍へ切り込み怪力で振るう剣で骸の軍勢を漸減
因果応報にて償って頂きますよ、王翦大将軍
UC起動し鱗粉を散布
生体の兵士には筋肉弛緩として働きますが、機械には制御強奪…ハッキングという形で戦闘力吸収
ウォーマシンの軍勢を丸ごと制御下に
仕える帝も、従える兵も無き将として最期を迎えて頂きます
…撃て!
骸の戦機軍の一斉射で新たな始皇帝の兵馬俑ごと蹂躙
薙刀圧し折る勢いで剣を振り下ろし
スペースシップワールドは、銀河の海を往く宇宙船こそが大地。
安住の地を失い、それでも旅路を続ける彼等の終着が、この封神武侠界であり、そして『王翦大将軍』による虐殺に寄って幕を閉じたことを無念に思う。
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)にとって、目の前の光景はそういうものであった。
「遠き過去に分かたれたとは言え、故郷の同胞の子孫の最期がこのような……」
あまりにも無念であると言わざるを得ない。
還る星を失いながらも、それでも安寧の地を目指す。
見果てぬ大地。
居住可能な惑星。それらを求め、いつ終わるとも知れぬ旅を続けた末路がこれであるというのならば、他世界を知る猟兵であるトリテレイアであるからこそ、無念の極みであった。
「これ以上の非道、看過するつもりはありません」
トリテレイアは戦場と成った『異世界街』、その宇宙船の内部を再現した『楽浪郡』を走る。
対する『王翦大将軍』の配下オブリビオンたちの武装はスペースシップワールド準拠。
ならば、ブラスターや宇宙バイクといったものを使うであろうことは容易に想像ができた。
「ならば、対光線兵器反射処理でもって!」
大盾に施された処理は、光線兵器を反射させる特殊な装甲。それらでブラスターの光線を弾き飛ばしながら、脚部スラスターを全開にしてトリテレイアは軍勢に切り込み、その剣を振るってオブリビオンを蹴散らしていく。
他の猟兵たちの働きによって、軍勢は多くが失われている。
しかし、何処からともなく軍勢を呼び寄せるのが『王翦大将軍』のユーベルコードである。
「あっはっはっは、気持ちいい戦いっぷりだ! その邪魔くさい脳味噌がなければ、拝み倒してるところなんだけどさ!」
『王翦大将軍』を見据える。
すでに片腕を失っていながらも、振るう偃月刀の業は冴え渡る。
彼女の背後に在るのは体高5mほどの鋼鉄の巨人。おそらくスペースシップワールドの宇宙船に残されていた機動兵器の類を改修しているのだろう。
鎧のような装甲が組み付けられ始めているのをトリテレイアはアイセンサーで知る。
「因果応報にて償っていただきますよ、『王翦大将軍』」
しかし、トリテレイアは今は為さねばならぬことを知る。
アイセンサーが煌き、ユーベルコードの輝きがもたらされる。それは飛び交う機械の妖精が放つ特殊な鱗粉。
周囲に襲いかかるウォーマシンたちにそれが触れた瞬間、彼等の機体制御は強奪される。
それがトリテレイアのユーベルコード。
此処にあるのは、鋼の妖精圏(フェアリーランド・オブ・スティール)である。
「ありゃ、鋼鉄の人達の制御が奪われるか。これはまた面倒な。手数がかえってこっちを追い込むかー。奸計の類じゃないのがこれまた面倒な!」
トリテレイアのユーベルコードによって制御を奪われたウォーマシンのオブリビオンたちが次々と『王翦大将軍』へと襲いかかる。
「仕える帝も、従える兵も無き将として最期を迎えて頂きます」
トリテレイアにとって、それこそが因果応報。
己の故郷。名も知らぬ同胞たちを鏖殺し、オブリビオンとして手繰る彼女を赦してはおけなかった。
「……撃て!」
骸の戦機軍。
それこそがトリテレイアが手繰る軍勢。展開されるウォーマシンの砲撃が『王翦大将軍』の背後にある鋼鉄の巨人を巻き込む形で放たれる。
しかし、それらを尽く偃月刀で防ぎ切るのが『王翦大将軍』の凄まじきところであろう。
「へーかの器は傷つけさせないよ!」
「やはり庇いますか、だからこそ! そこに隙が生まれる!」
飛び出すトリテレイアが振るう剣の一撃が偃月刀と打ち合い、火花を散らす。されど、『王翦大将軍』は銃撃から器を守らんとする。
そうなれば、どちらが競り勝つかなどわかりきっていたことだ。
「受けていただきます、報いを!」
放つ斬撃が『王翦大将軍』の体を切り裂き、血を噴出させ、その罪の深さを知らしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
須藤・莉亜
「さてと。ご飯はいっぱいあるし張り切ってぶっ殺しにかかろうか。」
血が流れてなさそうなのもいるけど、まあ良いや。顎の体操にはなるでしょ。
血が流れている敵は吸血で血を奪い尽くして殺しながら僕の回復薬に、血が流れていない敵は身体に出した暴飲暴食で喰らって動きを止める事で先制攻撃を凌いで行く。
「うーん。やっぱし一人だと牙が足りないねェ…。」
ちっとばかし牙を増やすか。
オーバロードで真の姿を解放しからUCを発動。
狼の群れを呼び出し、周りの敵共をぶっ殺すように命令を下す。
好き勝手に暴れるが良いさ。存分に噛み殺せ。
オレは巨大な黒い狼に姿を変え敵の大将を狙う。
空を駆け一気に敵の元へ行き、噛み砕いて血も肉も奪ってやるかな。
敵の元に辿り着くまでに邪魔になりそうな敵は出しっぱだった暴飲暴食で喰いながら行くのも楽しそうだ。
「殺すしかないなら、殺しても問題ねェ。思う存分殺しを楽しませてもらおうか。」
だから死ね。オレが余す事なく喰らって殺るからよ。
「さてと。ご飯はいっぱいあるし、張り切ってぶっ殺しにかかろうか」
オブリビオンの軍勢を見下ろし、須藤・莉亜(ブラッドバラッド・f00277)は己の押さえがたき吸血衝動を開放する。
なにせ、目の前の戦場にはオブリビオンしかいない。
彼が吸血衝動を抑えなくていい相手しか存在していないのならば、もはや、抑えようがないものへと変わる。
『楽浪郡』、『異世界街』は『王翦大将軍』によって鏖殺され、オブリビオンへと蘇生された嘗てのスペースシップワールドの人々が軍勢に加わっている。
スペースノイドにウォーマシン。
一部は莉亜にとって血が流れていないがゆえに興味の対象にはなれなかったかもしれない。
けれど、それでも良いと思えるのだ。
硬そうなオブリビオンであっても、顎の体操にはなるだろうと笑っているのだ。
「わーお、これまたあっしの好みにぴったりきそうな倫理観ぶっとんだ猟兵だ」
片腕を失い、鎧を砕かれてもなお、『王翦大将軍』は笑っていた。
彼女にとって、己の生命はあまり意味がないのかもしれない。
『始皇帝』の瑞獣であった彼女にとって、大切なことは、『始皇帝』の新たなる器を生み出すことのみ。
それがあの鋼鉄の巨人であるというのならば、猟兵はこれを止めねばならない。
けれど、莉亜にとって、それはどうでもいいことであった。
オブリビオンの軍勢を大鎌でもって蹴散らしながら、傷口から血液を奪い尽くしながら、彼は戦場を分断していく。
まるで大海が割れるように戦場を駆け抜ける彼は、まさに暴風そのものであり、暴飲暴食の権化であった。
血が流れていれば、吸い尽くす。
血が流れていなければ、噛み砕いていく。
どちらにせよ、尽くを滅ぼすことに変わりはない。
「うーん。やっぱし、人いだと牙が足りないねェ……」
しかし、その快進撃も止まる。
単騎ではオブリビオンの軍勢の一体一体は問題にならない。けれど、数で圧するのが『王翦大将軍』の戦法である。
ならばこそ、莉亜はこのままでは『王翦大将軍』へと辿り着く事ができないと知る。ゆえに、その瞳が超克に輝く。
オーバーロード。
真の姿を晒してなお、輝く瞳は金色。
吸血鬼としての本来の姿を取り戻した莉亜が咆哮する。
「存分に噛み砕け」
きらめくはユーベルコード。全身を狼の姿へと変貌させ、さらに周囲を狼の群れで覆う。
それはオブリビオンの軍勢に対する答えであった。
敵が数で圧すというのであれば、己もまた数で圧するのだというように血追い群狼(チオイグンロウ)が戦場を疾走る。
凄まじい勢いでオブリビオンの軍勢が霧消していく。
狼の群れは、莉亜の言葉に従うように、爪と牙でもってあらゆる障害を排除していく。
砕かれていくオブリビオンたちの姿を見やり、莉亜は狼の姿でもって戦場を駆け抜け、大将である『王翦大将軍』へと迫るのだ。
空を駆け抜け、一気にその牙を首元に突き立てんとする。
「あっはっはっは、おもしろい! そういうの好きだよ、あっしはね!」
莉亜の咆哮が轟く。
牙と偃月刀がぶつかり、その一撃が周囲に衝撃波となって迸る。
吹き荒れる衝撃波は、オブリビオンも狼の群れすらも巻き込んで荒ぶのだ。
「殺すしかないなら、殺しても問題ねェ。思う存分殺しを楽しませてもらおうか」
「倫理観もぶっ飛んでんだね! 拝み倒していいかな? へーかの器になって欲しいくらいだよ!」
片腕を失いながら、振るわれる膂力は凄まじいものであった。
打ち据え、牙と牙が火花を散らす。
それほどまでの戦いであった。オーバーロードに居たりて、真の姿をさらけ出した莉亜に歯止めはない。
どんなオブリビオンであったとしても、捕食の対象でしかないのだ。
振るう力はいつだって、暴力そのもの。
ならばこそ、そこに理由などただ一つでいいのだ。
「意味がない。だから死ね」
解答は端的であった。
器になるなどまっぴら御免である。オブリビオンをこそ食料としてしか見えない。その器になることはありえない。
己の杯を満たすことができるのがオブリビオンだけ。
ならばこそ、莉亜は獰猛に笑って、その顎に備えられた牙を『王翦大将軍』に突き立てるのだ。
血の味は甘美そのもの。
震えるほどの感激を覚えながら、莉亜は言うのだ。
「オレが余す事なく喰らって殺るからよ」
だから、喰われてしまえと、甘露の如き瑞獣の血を吸い上げる。
多くの猟兵達の猛攻に寄って追い込まれていた『王翦大将軍』には、それに抵抗する術などなかった。
だらりと落ちた腕から偃月刀が滑り落ち、大地に乾いた音を立てた瞬間、莉亜はその血液を全て吸い付くし、陶酔の中で霧消し崩れていく『王翦大将軍』の最期を一蹴するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵