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銀河帝国攻略戦⑰~慟哭に満たされし弾丸

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●この声が届くのならば、誰か救って欲しかった
 銀河帝国の攻略戦を開始し、中盤に差し掛かった頃だろうか。
 『解放軍』の脳に、心に。突如として精神を蝕む邪毒が忍び寄った。
 艦内に響き渡るは悲鳴、絶叫、嗚咽。発生源は分からない。ただ、艦内にいたサイキッカーの数名はこう、感じ取ったと言う。
「……同胞が、死ぬまで『搾取』され、宙域に悲鳴が拡散しているかのような『声』」だった、と。

 これこそが、伝説の『解放軍』をも苦しめた精神破壊兵器……『アゴニーフェイス』。
 捕縛されたサイキッカーの『脳』を使い潰すまで『弾丸』とする、慟哭に塗れた兵器。

●慟哭と悲劇の連鎖を断ち切れ
「……最悪、です」
 ゼルド・シュバイツァー(陽炎の仇刃・f12297)の口から出る言葉は苦々しい。その顔色を隠すかのように鉄仮面が鈍く輝いている。
「ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が分かりました。ですが、ですが同時に……」
 暗い顔を隠すように被られた鉄仮面から、深刻な自体が露見する。
「黒騎士アンヘル直属、『アゴニーフェイス』艦隊の出撃が確認されました。それに伴って『解放軍』に合流した宇宙船の方々が行動不能に陥っています。……艦隊に搭載された兵器の精神攻撃によって」
 『解放軍』の進撃が突如停止したのはこれが原因か、と悟る猟兵達。同時にそれこそが『緊急事態』であると。
「皆様は急ぎこの精神破壊兵器『アゴニーフェイス』破壊に向かって頂きます。のんびりしている場合ではありません。放置すれば援軍が真綿で首を絞められるかのように、苦痛に苛まれて……機能停止します」
 『解放軍』を精神攻撃の苦痛から一刻も早く解放しなければ、攻略戦どころではないだろう。猟兵達にも迅速な行動が求められている。
「通常の生命体ならば甚大な被害を受けますが……貴方達には『真の姿』があります。どうやら精神攻撃が我々の生存本能を刺激し、暴走させてしまうようなのですよ」
 つまり、アゴニーフェイスの『副作用』を利用し、人外の姿にかけ離れていればかけ離れている程、強大な戦力を得られる……らしい。
「相手の精神攻撃を利用するようで癪ですが、上手く利用してみて下さい」

「ところで、貴殿達はこの『アゴニーフェイス』の弾丸。何で出来ているかご存知でしょうか」
 ゼルドが唐突に、思い出したかのように猟兵達に語りかける。その指が指したのは自らの『頭部』。
「――捕縛されたサイキッカー達の『脳』です。『彼ら』の苦しみも、此処で断ち切ってあげて下さい」
 その言葉は重く、晴れないままだったが……確かにあったのは送り出す猟兵達への信頼だった。


逢坂灰斗
 生体パーツを用いた兵器って大体外道の手段。逢坂灰斗です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●重要事項
 「この戦場が攻略可能となってから、制圧するまでの間」、戦力更新ごとに「解放軍に合流した宇宙船」が行動不能に陥り、④⑤⑥の成功シナリオ数が【1】減少し続けます。
 この戦場は㉗「銀河皇帝」に増援を行っている戦場です。
 この戦場では猟兵達は最初から「真の姿」となります。

 先述の通り1フラグメントで完結するシナリオですが、この戦場は未撃破日数に応じて解放軍勢力の減少が発生します。
 また、チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
 では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。……ご武運を。
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第1章 集団戦 『クローン騎兵』

POW   :    ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルトリウス・セレスタイト
やることは同じか

魔眼・掃滅で排除
動きを見切り自身の視界に捉えうる全個体を纏めて消去
行動は最大限高速化して最小時間で対処していくよう心掛ける
味方を巻き込まぬよう注意はする

暴走したとして自分がどうなるやら知らないが、誤射しなければ概ね問題なかろう

※真の姿に近づくほど実体を失い淡青色の粒子で構成された人型になる。本人も知り得ぬこと


フィーア・ストリッツ
フィーアは状況を完全に認識
戦術目標に対して強襲破壊作戦を実施します
…平易な言葉に翻訳すると『胸糞悪いので全部ぶっ壊します』です

(真の姿として『体内のナノマシンが完全活性化し、生体部分が全て機械に置換された戦闘人形に変化する』言動も完全にロボに)
ハルバードで【スピンスラッシュストーム】を使用し
ただの一瞬も停止せず敵を巻き込む回転裁断機と化します
人あらざる膂力の人外と、勢いの付いたポールウェポンの組み合わせ
それが踊るように振り回され、アゴニーフェイスに至るまで絶対に止まらない勢いで突き進む
「敵歩兵集団βを確認。バランサー正常。攻撃プログラム『SSS』展開完了。完全殲滅まで17秒」

【アドリブ歓迎】



●『副作用』がもたらした応報の刃
 アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)はその宙域にありて、まるで涼風を感じているかのごとく平静と。いつものように、其処に立っていた。
「『アゴニーフェイス』の精神攻撃か。原理は分からないが俺達の真の姿を暴き立てたとて、それになんの影響がある?」
 結局の所、いつもとやることは変わらない。つんざくような思考の刃が飛び交っているものの、概ねいつも通りだと。平静を崩さないような顔つきでアルトリウスは敵陣へ歩みを進める。
「おい、お前ら」
 突如、想定していない存在が声を掛けてきたことに動揺が走るクローン兵達。だが、それはもう遅い。その眼が問いかけと共に彼らを『捉える』。
「――『足元は見えているか』?」
 宙域に『足元』は存在しない。だが、今の彼らはそれを見失ったのだろう。飲み込まれるように、視界に収められた集団が『放逐』される。行き先は彼らも、彼も知らない。それを見遣りつつ、味方が収まっていないのを確認したアルトリウスは独りごちる。
「暴走か、知るものか。オレがどうなるかは知らんが、誤射しなければ問題あるまい」
 けれど、彼は気づいていない。今のその身の半分以上は宙域に輝く淡青色の粒子。それがあくまで『人型』を保っているようなものだ。その事実を知らない事が不幸なのかは……今は誰にも分からない。

 一方で、フィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)の眼差しは、何時になく無機質であった。彼女は既に半身が機械に置換された存在である筈だが、今の彼女は紛れもなく『機械』であり、『兵器』であった。
「敵歩兵集団βを確認。バランサー正常。攻撃プログラム『SSS』展開完了。完全殲滅まで17秒。機動補正と友軍の進路確保を行います」
 人の身が機械に変ず。その肢体は生体部分を侵食するかのように全てが金属に置換され、その威容は正しく『人形』と称されるべき姿。『人形』がぐるりぐるりと刃持ち回転を始めると、裁断機と化したフィーアは宙域にて漂う警護のクローン兵の群れに突き進む。想定にない戦力の乱入、消失。敵陣に動揺が走るが、裁断機は止まらない。『アゴニーフェイス』が奏でる悲哀の絶叫の中に、クローン兵の断末魔が交差する。
 
「ば、ばけも……」
 迫りくる2つの『真の姿』に、恐怖を置いてきた筈のクローン兵が口元から心情を吐露する。が、刃は既に目の前で。
「――発言の訂正を求めます。フィーアは『アゴニーフェイス』の影響下に於いて強制的に現形態が発露しているに過ぎません」
 ですので――と、言い終わらない内。回転する刃がクローン兵士の集団を裁断し、鎧の上よりそれを直接肉塊に変換し、塵に還す。
「フィーア達は正常な防衛反応を示しただけに過ぎません」
「そう、お前達の『自業自得』と、言う奴だな」

 必勝の策であった筈の『アゴニーフェイス』のもたらした『副作用』。それが帝国軍の用意した護衛の群れに応報の刃を突きつけていた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オーガスト・メルト
【デイズ】、【ナイツ】、聞こえるだろ?あのおぞましい怨嗟の声が…!
『うきゅるるるる!!』『うにゃがががが!!』
俺たちの真の姿…引き出した事を後悔させてやろう!

【POW】連携・アドリブ歓迎
UC【真竜顕現】でデイズとナイツが代償なしで真の姿の白竜と黒竜に戻る。
俺はナイツに【騎乗】して突撃する。
竜の【なぎ払い】の一撃は【鎧無視攻撃】だ。あらゆる守りは意味をなさない。
宇宙空間だろうがデイズの炎、ナイツの雷光の【属性攻撃】ブレスは敵を焼き尽くす。

お前たちは竜の逆鱗に触れた。だから魂すら残さず消してやろう。


ゲンジロウ・ヨハンソン
真の姿か、このカッコはあんま好きじゃねーんだけどよ。
ま、そうも言ってらんねーか。
んじゃ行くぜ、怨嗟のクソ野郎ども!

○真の姿
全身に恨みがましい表情をした人面のような傷跡が広がり、
そこから紫苑色の炎が吹き出します。
同時に脳内に幾多もの怨嗟の声が脳内に響き渡ります。
その煩さにて精神攻撃どころではなくなります。
声については、慣れてるからおっけー!

○戦闘
精神攻撃さえ凌げは、そこまで怖かないじゃろ。
はじめっからUCを使用して、一気に焼き尽くすぞ。
出会い頭から炎を纏い【捨て身攻撃】の【なぎ払い】を【2回攻撃】じゃ。
【激痛耐性】で敵の攻撃などお構いなしに暴れ、【怪力】で蹂躙しよう。



●怨嗟の声を聞きながら
 なおも宙域には『アゴニーフェイス』の絶叫が響き渡っていた。
 そのテレパスが伝えるは『彼ら』の痛み、嘆き、絶叫、怨嗟。カートリッジという『弾薬』と成り果てても尚、彼らが受け続ける地獄の責め苦。
「――デイズ、ナイツ。聞こえるだろ? あのおぞましい怨嗟の声が……!」
 絶叫の顔面を模したかのような醜悪な兵器を見遣りながら、両肩の子竜達にオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)は語りかける。二匹はその言葉に態度で呼応するかのように、唸り声をあげ、その身を今まさに膨張させ姿を解き放たんとしている。
「だがまぁ、逆に俺みてーに似たようなのは随分と聞き飽きたっちゅー連中も何人かいるかもしれねぇなぁ」
 その様子を見遣りながらゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)は普段の陽気な声色を残しつつも、その先を見据えていた。
「このカッコはまぁあんま好きじゃねーんだけどよ。 ま、そうも言ってらんねーか」
 半ば諦めたかのような口調で語る男が、傍らの二匹の子竜がその身を変じさせたのを見て、覚悟を決めたのかは不明だが……。肉体からは人面を模ったかのような傷跡が湧き上がり、怨嗟を叫ぶかのような紫焔が噴出する。
「――んじゃ行くぜ、怨嗟のクソ野郎ども!」
「俺達の真の姿……引き出した事を後悔させてやろう!」

 クローン兵達の恐慌は止まらない。宙域に紫焔を纏ったヒトガタが突貫してきたのだ。
「!? 敵の新たな増援を確認!!各員直ちにジェノサイドを解除――」
「――してる暇があると思うのか?」
 前線を構築しようとしていたクローン兵の集団が、鎧の上から浴びせられる怨嗟の焔の熱の蹂躙で焼き上がり、致命に至る。ジェノサイドモードを解除し、殺傷力を強化した弾幕がゲンジロウを襲うが、それでも彼を止める痛みになり得ない。
 今の彼の中を巡るのはアゴニーフェイスの叫びだけではない。彼がこの身に成り果ててからずっと抱え込み続けた『怨嗟』。それが彼に痛みを無視させる程に駆け巡っている。もう聞き飽きた。だからこそ、叫びなど関係ない。
「ほら、焼かれたくねーんだろ?」
 集団を薙ぎ払った紫焔のヒトガタに首根っこを掴まれ、『生き残り』が無意味な抵抗を示すが、それも届かない。
「――あの『二匹』の餌にしてやる」

 もう一つの集団はこの宙域には存在しないであろう生命体……竜の蹂躙に晒されていた。対竜装備など通常宇宙空間では想定されない。出来ていても対宇宙怪獣装備だろう。当然そんな武装をこの護衛が持たされている訳はない。
 陽白竜王が尾をもって前線を薙ぐと、一塊が吹き飛び、鎧装は遅れて砕ける。
 月黒竜帝が主を背中に乗せ、突撃するのを阻止しようにも、そもそも『そのような練度』が無いのだから。彼らには止めるには荷が重すぎる。
「――お前達は竜の逆鱗に触れた。だから魂すら残さず消してやろう」
 白と黒の竜の口腔に理力が集まり、惑うクローン兵が対処に追われようとも、それは止まらない。
「無論、餌にすることなんて無い。そんな良い扱いをしてやる必要も無いからな」

 ――宙域に無情にも白炎と雷光が飛び交う。それの前に雑兵は塵と消える。
 『アゴニーフェイス』は、徐々に、徐々に。帝国軍にその牙を剥き始めていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

死之宮・謡
破壊だ殺戮だ、宴だぁ!折角真の姿にしてくれるんだ、楽しまなくちゃ、滅ぼし尽くさなきゃ損だろ?
んー人間そのものを非人道的兵器にする、か…。発想が頭可笑しいよねぇ?私から見て其れって相当だぜ?ま、そんなことは当の昔に解ってたけどさぁ。
早く戦いたいねぇ帝国上位陣…。きっと素晴らしい殺し合いが出来るよ。間違いない、こんなに狂った奴等がまともな戦闘能力な筈無いよねぇ?
さて、壊そう殺そう暴れよう!一人残らず惨殺だ…「呪詛」と「生命吸収」を掛けて「怪力」で「二回攻撃」の「なぎはらい」だ。面白可笑しく死んでくれよ?
天駆けよう【死を招く翼】暴れまわろう【最終血統装具"狂"】展開!


暗峠・マナコ
大丈夫、怖くないですよ
怖いのは、このキレイな世界が消えてしまうこと
それに比べれば私なんてちっぽけなものです
あぁでも、理性が曖昧で、皆さんのキレイな姿をちゃんと見れないのは残念ですね

●真の姿
タール状の身体がみるみる膨らみ一帯を飲み込む程に大きく
服は投げ出され、人のカタチは保っておらず、唯一元の姿と一致するのは金色の傷跡

【星か屑か】で周囲の敵を一斉に包み込み、UCの使用を封じる
傷跡がぐばぁと裂けるように開き、大きな身体で津波のように、捕食するかのように敵を飲み込む
傷の中には広がる宇宙に無数の眼
一定時間経過すると、タール状の身体がドロドロと垂れて相手から剥がれていく

すべてを飲み込んであげましょう



●白と黒が奏でる世界
 それは、一方的な蹂躙であった。白き肌の狂戦士は一人踊り続けている。今の彼女……死之宮・謡(血の王・情緒不安定の狂戦士・f13193)の手を取れるのは同格の存在くらいのみ。
「折角、真ノ姿ニシテ貰エタンダモノ?コンナ破壊ト殺戮ノ時間……」
 ――愉しくて。仕方がないわ。
 それはダークセイヴァーを支配している宵闇の盟主かの如き傲慢さと、暴威さを宙域に撒き散らし、哀れな雑兵達に血色の花束を捧げ続ける踊りだった。

 狂乱の最中にありつつも、彼女は慟哭をもたらす悪趣味な顔面を視界に入れていた。その名が関する通り、その兵器も苦痛を叫ぶような姿を模していた。発想も設計も『悪趣味』だ。
「『ヒト』ソノモノヲ非人道的兵器ニスル、ナンテ……発想ガ頭可笑シイワ?」
 狂った彼女であっても、人間そのものが非人道的兵器になっているなんて、可笑しいのだと、理解している。
「――ケレドモ」
 首根っこを捕まれ。半ばぐったりとしたクローン兵に向け、軽蔑するかのように一撃を放つ。
「貴方達ミタイナ『使イ捨テ』ノ生命ジャア、到底ワカラナイデショウ?」
 宙域に再び惨劇の血風が舞い踊る。だがそれをより強く呼び覚ましたのは他ならぬ帝国軍なのだ。兵達は死の淵で自らの所業を呪う暇など……あっただろうか。

「大丈夫、怖くないですよ」
 アゴニーフェイスの叫びに慈しむような言葉をかけるのは暗峠・マナコ(トコヤミヒトツ・f04241)。彼らはそこにあるのかは分からないが、彼女にはそこにあるように受け答えをしている。そも、今の彼女ははっきりと、視認をしているだろうか?
「怖いのは、このキレイな世界が消えてしまうこと。それに比べれば私なんてちっぽけなものです……」
 浮世離れした受け答えの最中にありながら、その違和は始まった。少しずつ。少しずつ。彼女の身体が、膨張していく。
「あぁでも、理性が曖昧で――」
 ――皆様のキレイな姿が、ちゃんと見えないの。

 膨れる。膨れていく。マナコの纏っていた服が宙空に投げ出され、それすれも見えていないかのように、彼女の身体が膨張し、膨れていく。兵士達はその光景に戦慄を覚えながらも、どのような対処をすべきかすら分からない。火器の弾丸は膨れ上がる黒に呑まれていくのだから。
 そして、金色の傷跡が、まるでジッパーを開くかのように開かれていく。それより来たるは黒い、波。
 星の海よりも昏く、淀み、沈んだ黒色。それが抱擁するかのように兵士達を呑み込んでいく。宙域にありながらその『海』に溺れそうになった兵は、耳許で囁くような声を聞いた。
「『――そうね、きっとこれは、キレイじゃないわ』」
 まるで溺れて意識を手放したかのように宙空に倒れ伏すクローン兵士の群れ。そこからぼとり、ぼとりと。黒い愛が、哀を覚えたかのように剥がれ落ちていく。なにかを直視したかのように痙攣する兵もあれば、ぐったりとして動かなくなった兵もある。
 彼らは、全て『呑み込まれた』のだ。

「ああ、皆さんきっとキレイだわ。けれど、けれど」
 裂けた傷跡から、声のみが聞こえる。黒い波はまだ留まることを知らない。
「今の私には分からないの。どんなにキレイか、なんて」

 ――そも。帝国軍は『アゴニーフェイス』の副作用になど気づけ無いのだ。
 『理を外れた』猟兵達に、事前試験など悠長に出来やしないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミニョン・アンソルスラン
【真の姿】
契約した3体の竜がそれぞれの力を開放。
咆哮する黒槍アンソルスラン、完全なる竜鎧シャルメイル、天翔ける騎竜ダン・タシオン、いずれ行き着くとされる姿へ時限覚醒する。

【戦闘】
すごい……!まるで自分じゃないみたい!
いや、違う……皆が、倒すべき相手がここにいる事を教えてくれているンだ!

まずはここを突破すること、例の兵器を止めれば、相手の目論見は潰せるからネ!
機動力重視でドラゴン・ドライブで能力を更に底上げして、敵を蹴散らしながら、戦線を切り開いていこう!
必要なら、他の人たちの戦線突破の援護で攪乱しながら、防衛網の数を減らしていくのもいいかもネ。

●アドリブ&絡みOK


ベール・ヌイ
「キミ達を鬼と定義しよう…さぁ…鬼退治の始まりだ!!」

真の姿は鬼に特攻するため微妙に弱くなってるヌイです
真の姿の女侍の格好になり、お伴である【護理雷招来】の護理雷と【白狼疾風】の白狼、それに火鳥乱舞で作り出した巨大な火の鳥を突撃さてます
ヌイ自身もお伴たちに「鼓舞」しながら刀に「属性攻撃」で火を纏わせ、「捨て身の一撃」で敵を屠っていきます
相手の攻撃は「激痛耐性」で耐えます
アドリブ等歓迎です



●友と共に歩みて
 ミニョン・アンソルスラン(ドラグーンオンライン・f09768)は契約した3匹の竜の変化に驚いていた。それぞれが将来『至るべき姿』であろう姿へ移り変わる。まさしく『覚醒』したと、言えるその変容に竜騎士は興奮を隠せない。
「すごい……!まるで自分じゃないみたい!」
 これが彼女の真の姿なのだが、まだそういった自覚が浅いようだ。だが少女のような喜びの内に、『彼ら』が真なる敵を示しているのだと、悟る。
「いや、違う……皆が、倒すべき相手がここにいる事を教えてくれているンだ!」
 その先に見つめるのは『アゴニーフェイス』、そして警護の兵。此処を撃滅すれば、『解放軍』の人々は驚異から救われるのだと、3匹が主に伝える。

 そうと決まれば、竜騎士の機動は疾かった。目覚めた竜の三位一体とも言える力は、どのような戦闘艇よりも疾く。クローン兵程度では追いつけぬ程の速度を誇る。敵陣が新たな竜使いの疾駆により翻弄され、陣形が崩れ落ちていく。
「――此処を切り開けば、『アゴニーフェイス』に手が届く!!」
 その為なら、この護りも切り拓ける。今の私達になら。倒すべき相手が、手に取るように解るから。

 ベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)は平時の眠たげな瞳をどこに捨て去ったやら、まっすぐに慟哭の表情と、それを警護しようとする兵の群れを見つめていた。人を使い潰し、人を害させる。それこそまさに『悪鬼』の所業。彼女の姿が怒りか、哀しみか。人々の苦しみを背負った女侍の姿へと移り変わる。
 変じるは御伽噺の桃太郎ならぬ桃姫。鬼を狩るという宿業を携えし鬼殺の剣姫。
「キミ達を鬼と定義しよう…さぁ…鬼退治の始まりだ!!」

 桃太郎はそういえば「犬」「猿」「雉」の筈なのだが……桃姫は一味違っていた。
「白狼」「ゴリラ」「火の鳥」である。強化形態なんだな、と思えば理解は追いつくが、やはり紫電を纏ったゴリラが宙域を闊歩しているというだけでもかなりのインパクトである。桃姫のお供は宙域で惑う『鬼』……もといクローン兵の群れをギタギタに薙ぎ払っている。こんな状況で桃太郎の隠されしあの歌詞が流れてしまわないか不安になるレベルの進撃である。
「鬼が人を苦しめるなら……それを成敗するのがボク達の役目だ」
 痛みを受けながらも、桃姫の進撃は止まらない。もっと先に苦痛を抱え続ける人々が、すぐそこに居るのだから。

 ――ああ、もう少しで、『彼ら』に手が伸びる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャレム・アルカード
ええいまったく、我は慢性的に血が足りんというに!
くうっ、無理やり……真の姿を暴かれるなどっ……たまったものではないな……!

(闇を纏ったような衣装の気品あふれるダンディな吸血鬼に変身)
「随分と久しい感覚だ……またこの姿になるとはな。」

真の姿を晒した今、マントさえあれば武装など必要ない。小さい私からすれば業腹だがな。
魔力硬化させたマントを用いて銃撃を防ぎつつ移動【オーラ防御】【ダッシュ】【空中戦】【盾受け】

刃と変じたマントで阻むモノは全て【なぎ払い】、【吹き飛ばし】てやろう
(【黒衣一閃】使用)

悪意も、嘆きも、苦しみも、全て等しく闇に沈む。
サイキッカー達よ、太陽は沈み、夜は来た。眠れ、安らかに。


アマータ・プリムス
当機の真の姿……久しぶりに全力を出しますよ、ネロ

ネロを呼び出しUCを発動、操作権が入れ替わります
「限定機構解除。『Nox Regina』」
外套をその身に纏い現れるのは夜の女王という名の人形
全身が闇夜に染まり顔を覆う星空のヴェールが現れる
『鎌を貸しなさい、ネロ』
普段はネロが使用している大鎌をその手に【範囲攻撃】で周囲の敵を一掃
頭痛みを感じることもなく一瞬でその命を刈り取ります
指先から伸びる鋼糸を【武器改造】で変形させたトランクに接続
弾丸には弾丸、重火器の弾幕でアゴニーフェイスを打ち落とす
『―――すぐに解放してさしあげます』
それが彼らに対する最大の手向けだと当機は思います
※アドリブ連携歓迎


苧環・つづら
……最低、だわ。
終わりにしましょう。『彼等』も、一緒に。

真の姿……そういえばどうなるかアタシまだ知らな……
……視界が低い。手が、足が、近い。髪が短い、黒い……

――ああ、5歳の“苧環つづら”なのね。一度持ちうる全てを奪われた時の。
家族の沈む血溜まりの中で「誰か助けて」と叫んだ瞬間の――
ストールの色をした翼。宙に浮くアタシ達各々の武器。ええ、戦える。
武器の中に皆の気配がするもの。大丈夫。

全て還す。目の前のクローン兵達も、『彼等』も。
誰一人として逃さないように鎮魂花召喚で包み込んで。
鎧無視攻撃、マヒ攻撃、フェイント、衝撃波、大盤振る舞い。
窮鼠の反撃も見切りと残像で避け切ってしまおう。負けやしない。


シズホ・トヒソズマ
※他猟兵との絡み、連携、アドリブOK

なんて非道な兵器を…許す事はできませんね!解放軍の被害も考えるなら早急になんとかしないと!

より人から外れた姿という事なら、いつもと少し違うやり方で!
UCで機械竜ブラギオスの姿を再現し装着者と合体した後、マスクをプラギオスに装着し紫の装甲を纏い、真の姿とします!
『私も装着者も、犠牲になった人を思うと怒りと悲しみが止まらないので、今日は形振り構わず行きますよ!』

巨体を活かした【ダッシュ】や、長首や尻尾を振り回す【2回攻撃】で敵を殲滅
装着者の記憶からブラスター銃を全身に構築し、【鎧無視攻撃】として周囲敵に発射

『助けられずごめんなさい。もう、苦しみはさせませんから』



●星海に降りし二つの『夜』
「ええいまったく、我は慢性的に血が足りんというに!」
 苦悶の表情を浮かべながらも、シャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)は抗っていた。だが、破壊せねば抗えぬものに、抵抗する術も無く。
「くうっ、無理やり……真の姿を暴かれるなどっ……たまったものではないな……ッ!」
 苦痛に喘ぐ声と共に、小さな肢体がばきり、ごきりと、『成長』していく。血の代わりに不足していたものが『補われる』かのように。その身は言葉だけではなく。正しく『支配者』であった頃へと回帰する。その威厳は、星海の昏さよりもより昏く染まった威容にて示されていた。
「随分と久しい感覚だ……またこの姿になるとはな」
 感触を確かめるように手を動かす大公に、奇襲を仕掛けようとクローン兵が襲いかかるが……。
「武装が無いと、油断したか?今の我には『必要』が無いだけだ」
 身に纏いしマントがそのまま、害敵を切り裂き、鎧ごと血肉を断ち切る。
「……小さき我には業腹のようだが……久方振りの我が力。貴様らで試させて貰おう」
 ――宵闇が、舞い降りた。

 アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)は平時の瀟洒さは崩さずとも、確かな眼差しを敵陣に向けていた。広げるは弟人形のトランク。いつもならば、彼『と』戦うこともあるのだが……。
「当機の真の姿……久し振りに全力を出しますよ、ネロ」
「――限定機構解除。『Nox Regina』」
 制限が解除され、メイド服の代わりに宵闇のような衣装に身を包み。目元を星海かと見紛うようなヴェールを隠すその女王こそが、彼女の真の姿、『夜の女王』。
 その姿を見て、彼女と糸を繋いでいる南瓜頭の弟人形がけらけらと笑う。
「『ったく、俺に『操作』させるってことは相当にキレてんな?良いぜ。暴れて来いよ』」
「ええ、鎌を貸しなさいネロ。……一瞬で刈り取ります」
 夜の女王が、弟人形の動作により、微塵の隙もなく、舞い踊る。ステップを踏む度にクローン兵の首が刎ねられ、宙域の塵へと還っていく。
「痛みは直ぐに終わらせましょう……『彼ら』のような苦しみを味わないのがせめてもの情けと思いなさい」
 ――宙空に、宵色の大公と、夜の女王が舞い踊る。驚愕の内に訪れる『死』は、一瞬とも気づかせずに。

●苦しみを断ち切って
 二つの夜が交差する先を見遣るように、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は苦しみに悶える訳でもなく、ただ、悲しげな表情を浮かべていた。
「なんて非道な兵器を…許す事はできませんね」
 痛みを引き受ける存在故に、シズホはこの反響し続ける『苦しみ』を理解した。自らが引き受けることの出来ぬ、無限の苦しみ。それが延々と人々を苦しめていく。
 その情景を想像した苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)は、『弾丸』とされた彼らの苦しみも、この絶叫に苦しめられる人々も、こんな帝国に『土台』にされてしまうのだと。苦虫を噛み潰したかのような表情で前方にある『悲哀の表情』を見遣った。
「最低だわ、終わりにしましょう。『彼等』も、一緒に」
「ええ、……早急になんとかしないと!」
 
 宙域を痛みを引き受ける者が疾走る。哀しみを携えて。
 シズホも装着者も、犠牲になった人を思うと怒りと悲しみが止まらない。盾になるわけでもなく、今の彼女は敵陣へまっすぐ飛び込んでいった。平時の痛みを引き受ける彼女には非ざる光景だ。まさしく、捨て身。
「――今日は形振り構わず行きますよ!」
 装着者を纏うように形成された帝国の機竜の幻影。今の彼女達の真の姿は、こうなのだ。
 痛みを乗り越え、纏われし機竜の火砲の雨が残り少ない敵陣を穿っていく。
 もう少しで、『彼ら』への道が切り拓かれようと、していた。
 その一方で、つづらの肢体が逆行するかのように縮む。黒い髪。手足も短く、視界もだんだんと低くなっていく。
(――ああ、5歳の“苧環つづら”なのね。一度持ちうる全てを奪われた時の)
 家族の血溜まりの中、叫ぶように。助けを求めるように泣いたあの日。けれども、今はそんな風に無力では、無い。
 少年のような、少女のような姿に変じた彼女が、その幼い顔立ちに反した鋭い眼差しを、決意のように向ける。大丈夫、解るから。皆が側にいるんだって。だから……。
「全て還す。目の前のクローン兵達も、『彼等』も」
 ――宙域に、鎮魂の花束が『咲いた』。

 残った雑兵を鎮魂花の奔流が押し流していく。その奔流が辿り着く先は、『アゴニーフェイス』そのもの。
 霊体化した花びらが、精神攻撃兵器を棺に入れるかのように、敷き詰められていく。だが、まだ彼らの『嘆き』は収まらない。
「まだ、終わらないというの……!?」
「いか……んッ、此の儘では持ち堪えられる!!」
 大公が急ぎ前線に翻りその顔面へとマントの斬撃を与え、崩し続けようとするも、近くであるからこそより強い『声』が聞こえる。『彼ら』は最後の一瞬まで搾り取られようとしている。その光景を哀れに思ったか、夜の女王は鎌を弟人形へと返却した。
「いいえ、これ以上苦しむ必要性を当機は感じません」
 操り糸がトランクに接続され、展開されるは万を持しての大量の重火器。その全てが一糸乱れぬ動きで可動する。
「――すぐに解放してさしあげます」
 夜の女王が、葬送の弾丸を驟雨の如く打ち据える。それでもまだ、悲哀の顔面を止めるに至らない。だが、咄嗟の判断で弾幕の中を泳ぐかのように、シズホが『彼ら』に手を伸ばした。装着者からか、自分からなのか、良く分からない涙を流しながらも、より強い慟哭を身に受けながらも。手を、伸ばした。
「――助けられずごめんなさい。もう、苦しみはさせませんから」
 シズホが花束を捧げられたかのように花に包まれたソレに飛び込んだ時。
 ――絶叫は、止んだ。

●慟哭からの解放
「皆さん、……聞こえましたか?」
 至近距離で『アゴニーフェイス』が機能を失う瞬間を目撃したシズホが戸惑ったかのような表情を見せる。
「ええ、当機にもそう、『聞こえました』。……彼らはきっと救われたのでしょう」
「アタシも感じる。……漸く自由になれたんだって。」
 4人に伝播していたのは悪意ある慟哭のテレパスとはまた違った、別のテレパス。攻撃ではない。穏やかな、けれど悲しげな言葉。
 宵色の大公も全てを理解し、送別の言葉を掛けるようにマントを翻した。
「――悪意も、嘆きも、苦しみも、全て等しく闇に沈む」
 彼らにもようやく、安息の夜は来た。サイキッカー達よ、眠れ、安らかに、と。

 一帯の慟哭は停止した。後に残ったのは悪趣味な悲哀の顔面が塵に帰る光景と、
 ――『ありがとう』 その言葉だけたった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト