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殲神封神大戦③〜玉石混交琵琶の色

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●ニューフェイス兵馬俑
「始皇帝は一体どこまで辰砂兵馬俑を与えていたんでしょう……」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が推察するに、相当量の辰砂兵馬俑が出回り、戦場を荒らしているはずだが――その底は未だ見えない。
「というわけで、また新たな『兵馬俑オブリビオン』が見つかりましたので、倒しに行ってくれる方を募集します! ちなみに兵馬俑オブリビオンというのは『辰砂』という水銀の材料から作られている兵馬俑で武装したオブリビオンのことで、その防御力は皆さんの力ですらほとんど防いでしまうという強力なものなんです。ですが、自在に変形する兵馬俑も、変形の瞬間に少しだけ隙間ができることがあるようなので、そういった隙間からオブリビオンを攻撃することでダメージが通るようになりますね」
 精密行動を可能にするテクニックなどがあれば、より攻撃の効果も出やすいのかもしれない。そんな作業が得意な者達は、きっとロザリアの前に集まっている猟兵の中にもいるはずだ。
「オブリビオン情報ですが、『玉石琵琶精』という名前のオブリビオンで、やはり今回も過去に確認されていない新たなオブリビオンになります。彼女が放つ石琵琶の弦は、繋がってしまうとその両方が同時に死なない限り死なないという性質を持っているため、繋がれないような立ち回り、あるいは繋がれても即座に切る行動が必要になってくるでしょうか。それ以外の攻撃も高威力のものだったり、猛毒を与えるものだったりと強力なものなので注意してください。戦争は折り返しに入ってきました! ですがまだまだこれからという感じもしますので、一つ一つ解決していきましょう! それではどうか、よろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 ボスフラグメントにも眠っているお宝があるような気がしてきましたよ。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『玉石琵琶精』
 単に攻撃するだけだと兵馬俑に守られてしまって相当通りにくいので、上手い具合に隙間を狙うなどしてオブリビオンに攻撃を当てていきましょう。
 あと多分この依頼が出ている頃には始皇帝さんお疲れ様でしたーって感じになっている気がします。
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第1章 ボス戦 『玉石琵琶精』

POW   :    宝貝「三昧真火」
【左手から投げる赤い星】が命中した対象に対し、高威力高命中の【水では消えない炎の滝】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    宝貝「縛妖索」
自身と対象1体を、最大でレベルmまで伸びる【石琵琶の弦】で繋ぐ。繋がれた両者は、同時に死なない限り死なない。
WIZ   :    宝貝「紫綬羽衣」
【毒蛾の絹を織って作った長い布状の宝貝】から、戦場全体に「敵味方を識別する【体が腐れ落ちるほどの強力な毒蛾の粉】」を放ち、ダメージと【猛毒】の状態異常を与える。

イラスト:エンドウフジブチ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は董・白です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
始皇帝をも倒した今、兵馬俑など何するものぞ。と侮るのは危険だが
後顧の憂いを断つ必要もあるし、現れたのなら確実に倒すだけだ……しかし、残り何体くらいいるんだろうな?

奴の必殺技の予兆は左手から飛ばされる星。左手だけに注意するのも危ないが、意識の何割かはそちらに割きつつ、利剣を抜いて敵と相対
まずは防御や回避を優先しながら敵と兵馬俑の動きを見極めていく

どうやら自身の攻撃を邪魔しないように兵馬俑は変形するようだ
攻撃の予兆を見極めて、こちらから切り込んでいく。壱の型【飛燕】――敵が攻撃するより一瞬早くに斬撃を叩き込む
左腕を切り落とすとまではいかなくとも、ダメージを与える事で満足に動かせないようにしてやろう



●予兆の連鎖
 後顧の憂いを断つ。兵馬俑オブリビオンとの戦いはおそらくここに尽きるであろう。始皇帝を打ち倒した今、その配下である兵馬俑オブリビオンなど何するものぞ。
 しかし侮って足を掬われてもなるまい。夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は変わらぬ警戒心を持ち続けながら、玉石琵琶精の確実なる討伐を目指す。人形のような細い体躯の異国風の少女。左手に掲げる星から流れる赤銅色の液体は一切大地に吸収されることなく、地面の微妙な傾斜に沿って広がっていく。
 玉石琵琶精の周囲を漂う辰砂兵馬俑は空を漂う白雲のように大人しい。だが一度攻撃に動けば即座に防御壁へと変形し、攻撃の威力を大幅に殺してくることを鏡介は知っている。
 闇雲に動いてはならない。利剣【清祓】を抜いて相対した鏡介は玉石琵琶精の全貌を捉えながらその左手を注視していた。
 グリモア猟兵が語っていた高威力攻撃の予兆。星が動き出す。
「……死んで」
 か細い声だった。同時に左手が振りかぶられ、やや傾いた角度から星が放たれる。正三角錐を二つ融合させたような形の星は回転しながら直進し、形を変えていた辰砂兵馬俑をすり抜けて鏡介の正面に現れた。
「うぉっ――とぉ」
 星そのものは見切って体を一つ分ずらせば回避できると読んでいたが、赤銅の飛沫は未知数だった。正体不明、だが敵の攻撃に当たって良いことなどあろうか。直前で左方への跳躍へと切り替えたことで若干慌ただしい動きになったが、鏡介は星も飛沫も躱して着地する。
 投擲された星は重力に引かれるまま落下し地面に転がり、その通り抜けた後に炎の滝が虚しく降り注いでいた。残った赤銅の飛沫は長く一続きの液体となって玉石琵琶精の手元に繋がっており、玉石琵琶精が手首をくんと跳ね起こして液体を引くと釣り糸の役目を果たして星を引っ張り戻していく。
(便利な液体だ……と、兵馬俑もあっちの攻撃は妨げないように変形するわけだ)
 宙に弧を描く星を見遣りながら、辰砂兵馬俑の性質も頭に刻む。炎の滝の予兆が星であり、星の予兆が辰砂兵馬俑の動き。鏡介は意識の鉾先を辰砂兵馬俑に切り替えて時を待った。
 玉石琵琶精は星を投げては引くを繰り返す。辰砂兵馬俑の動きを目印にした分だけ回避は容易となったが、その時はなかなか訪れない。
 鏡介の必殺剣「壱の型【飛燕】」は下段からの斬り上げだ。胴体を狙ってくる水平方向の投擲でもまだ高く、鏡介は焦れる心に耐えていた。
 すると――ついに訪れる。玉石琵琶精が鏡介の足を意識して定めた狙いに辰砂兵馬俑が反応して下端を開いた。玉石琵琶精は重心を沈ませて下手での投擲姿勢に入っている。ここしかないというタイミングで鏡介は飛び出し、切っ先が地を掠めるかどうかという最下段から剣を振り上げた。
「――ぅぐうっ!?」
 ガン、と辰砂兵馬俑に剣の軌道が遮られる――がそれより僅か早く、剣は玉石琵琶精の左手を捉えていた。掌を甲の側から斬り裂いて、手の中にあった星を高々と跳ね飛ばす。
「なんて、こと……」
 半分近く割られた掌を右手で包み込むように押さえていたが、それでも震えは止められない。玉石琵琶精が恨めしい視線を向けてきていたが、鏡介は跳躍し退散していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
…いやまったく。どこまで与えてたんですかね、始皇帝は。
しかーし、それでも私は行くのです。

さて、今回は毒蛾の粉…なんですが。ついたら先制攻撃、即UC(攻撃方面)ですよ!
この戦争中に作ったんですが、一番使ってる気がします!

まー、つまりは粉はこっちに来ないんですよ。強烈すぎる風に煽られて。本で読んだ。
しかもです。これって日常でもわかるんですけど…隙間を通る風ってのは凶悪でしてね。押し固めた風は…言わずもがなです。
隙間という通り道を作った時点で、それに襲われますよ?

風占いがどうしてこうなったか。それは私も知りたいです…。



●風の向くまま、矢の向くまま
 始皇帝亡き今、兵馬俑オブリビオンとの戦いは却って暗闇に包まれてしまった。辰砂兵馬俑がどの程度ばら撒かれたかを知る者がいなくなってしまったのだ。
「……いやまったく。どこまで与えてたんですかね、始皇帝は。これではまさに先の見えない戦い……しかーし、それでも私は行くのです」
 先が見えぬから何だと言うのだ。荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は勇ましく戦場に駆けつけるや、辰砂兵馬俑に遮られて玉石琵琶精とのまともな対面も果たさぬままに、
「来ませい! 絶風将『呉範』! この戦争ではなんだかんだ一番働いてもらっちゃってる気がしますね! どうぞ今回も頼みますよー!」
 ともすれば「人権」などとも称されそうな働きぶりの呉範は為すがまま檬果に憑依し力を与える。絶風将の名を与えられているだけあって、その力は風に依るもの。矢を束にして押し固めたかのような風の壁が檬果の背後より後光の如く巻き起こると、戦場に漂い始めていた毒蛾の粉がさっぱり押し流されていく。
「まー、強烈過ぎる風の前には、毒蛾の粉も煽られてこっちに来ないわけですよ。本にもそう記されてます」
 古典的対処法だが、書物は古典にこそ価値がある――さておき、戦場を洗浄した風の効果は檬果を毒蛾の粉から守るばかりではない。
「くっ……うぅっ……!!」
 辰砂兵馬俑は常に完全なる防御ではなく、時と場合で形を自在に変えていく。玉石琵琶精が毒蛾の粉を撒き広げていくためには辰砂兵馬俑にも粉が通り抜けるだけの隙間が必要であり、さらに微細な風であればその隙間を容易に通り抜けていく。
 よって風は刺さる。Q.E.D.
「あぁぅっ!!」
「風占いがどうしてこうなったか。それは私も知りたいです……」
 ガチガチに固まったように見えて隙間だらけの辰砂兵馬俑の向こう側、風に足元を浚われもんどり打って倒れる玉石琵琶精を、檬果は半ば憐れむように見送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

プレゼナ・ハイデッカー
始皇帝は滅びましたが、辰砂兵馬俑は未だ力を保っているようですね。
後顧の憂いを断つ為にも、確実に殲滅致しましょう。

隙を突く為には間合いを詰めることが肝要。
テラーウイングを展開し【空中機動】、魔力弾(【誘導弾】)を放って攻撃を牽制しつつ、足の止まった処で一気に加速し肉薄するとしましょう。
星型宝貝を投げてくることも予想されますので、持つ腕の動作に警戒して投擲のタイミングと角度を【見切り】、身を捻って躱しつつ接近を試みます。

接近後は【功夫】の限りを以て殴る蹴るの肉弾戦を展開。掌打でのかち上げや足払い等で【体勢を崩す】ことで装甲の変形を強いていきます。
変形の瞬間、生じた隙間にUCを叩き込み、爆破します!



●即席爆破で宙の旅
 辰砂兵馬俑は力の拠り所を失ったはずだが、今なお兵馬俑オブリビオンは活動を続けている。観測された脅威は殲滅を以って世界に光を齎すべし――テラーウイングを展開し飛翔してきたプレゼナ・ハイデッカー(ロストエクシード・フェアリーテイル・f32851)が眼下に玉石琵琶精を見たのは、猟兵達がいくらかの攻防を経て戦の天秤を勝利に傾け始めた頃だった。
「……あっては、いけないのよ……こんなこと……!」
 中心まで斬られて裂けた掌に星の棘は毒となる。玉石琵琶精はプレゼナの飛来に気付いてはいたが、星を投げるべき左手は反応が鈍い。辰砂兵馬俑だけが星の通り道となる穴を開けており、プレゼナは玉石琵琶精が陥っている異変に気付くと空から魔力誘導弾を放っていった。
 玉石琵琶精目掛けてカーブしていく魔力誘導弾の数々。そのまま穴を通過して玉石琵琶精へ命中すれば僥倖――だが玉石琵琶精も簡単には土俵を割らない。攻撃意識を封印して辰砂兵馬俑の穴を塞ぎ、矢立の如く降り注いだ魔力誘導弾を強固に受け切っていた。
 それでも、プレゼナの目論見からすれば十分用を成した。玉石琵琶精が釘付けになったのを見てプレゼナは一気に加速、急降下する。辰砂兵馬俑はプレゼナの動きに反応しており、即座に玉石琵琶精の身を包む装甲となっていた。
 こうなれば攻撃もただでは通らないが、プレゼナは構わず肉薄して速度を乗せた掌打のかち上げを放つ。それは辰砂兵馬俑の喉元を捉えるも打ち込んだ手への反動が大きく、中身の玉石琵琶精へは大した衝撃も伝わっていない。起こるべくして起きた結果であるものの、プレゼナは当然知った顔で功夫の技、足払いに動きを繋げた。
 身を落として水平一閃、薙ぎ払われた右足が辰砂兵馬俑の足を掬って宙に傾かせる。落ちていく玉石琵琶精の体の左辺は手負いの掌が枷だった。落下の衝撃を極限まで減らすために辰砂兵馬俑が左辺に偏って、その分目減りした右辺に僅かだが隙間ができた。
『この一撃にて、砕け散りなさい!』
 突き落とした貫手は隙間を抜け、玉石琵琶精の右腕に刺さる。肉の感触を確かめた後に流し込まれた魔力は玉石琵琶精にとって異物そのものであり――。
「いやあぁぁぁっ!!」
 くぐもった悲鳴が爆煙と共に辰砂兵馬俑の内より噴き出して、一度地面に強か叩きつけられた辰砂兵馬俑は隙間から溢れるしかない爆破のエネルギーをジェットエンジン代わりに宙を舞っていく。
 そしてたっぷり遊泳の果てに不時着した辰砂兵馬俑からは、左掌に続き右腕までズタボロにされた玉石琵琶精の姿が発見されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
アドリブや他猟兵との連携歓迎

■心情
兵馬俑を纏ったオブリビオンかぁ、何とも厄介な相手だね。
でも、どんな強硬な防御にも必ず弱点があるはず!

■行動
白狐召還符(UC)を使用して白狐様に騎乗して戦うね。
兵馬俑に対しては、敵の動きの隙を突いて
【瞬間思考力】で変形の瞬間を見定め、【部位破壊】で
その隙間となる場所にドラゴンランス(フローレ)で攻撃するね。

また、縛妖索による石琵琶の弦が繋がらない様に
白狐様を動かしながら立ち回るね。
石琵琶の弦が繋がれたら、その弦を【スナイパー】で狙い
フローレで引きちぎる様にするよ。

「フローレよ、焔に力を貸してね!」



●運命に抗う力
(兵馬俑を纏ったオブリビオン……手強そうだけど、どんな強固な防御にも必ず弱点があるはず!)
 ドラゴンランス【フローレ】を手にした四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は「白狐召還符(サモン・フォックス)」にて召喚した白狐に騎乗し、玉石琵琶精の周囲を駆っていた。
「宝貝『縛妖索』、捕らえて……!」
 右腕は完全に、左腕もまともに働かない玉石琵琶精が頼るのは石琵琶の弦。その身より放たれる弦は鞭の如くしなって焔に向かう。真意は打つことではなく繋ぐこと。繋がる限り一方的に殺されることはなく、焔を運命共同体にできる切り札と言うべき一手。
「白狐様! ジャンプ!」
 焔の掛け声に合わせて白狐は宙を跳ぶ。三メートル弱の巨体が軽やかに伸身する様はそこがあたかも舞台上であるかのように美しく映え、さらに焔を石琵琶の弦より逃がすという実利も備えている。
 白狐は羽が舞い降りるかのように着地すると速度を殺すことなく駆け続ける。それは石琵琶の弦から逃れ続けるためでもあり、攻撃の瞬間を探すための疾駆でもあった。
 辰砂兵馬俑は玉石琵琶精を守護する性能に特化しており、彼女の意識とは無関係に周囲を浮遊し守り続けている。白狐の足にすら追いつく辰砂兵馬俑、打ち破るのは容易ではない。
 常に流動的に在り続ける辰砂兵馬俑の隙。その切欠は掴んでいた。玉石琵琶精が石琵琶の弦を放つ一瞬は焔が玉石琵琶精の表情を覗けるくらいの穴が生じる。苦痛の中でもがく様は――しかし痛ましいとも言っていられない。
「フローレよ、焔に力を貸してね!」
 焔はフローレを天に掲げて叫んだ。意思を汲み取った白狐が急転回して玉石琵琶精に突っ込んでいく。石琵琶の弦を躱し続ける内に掴んだタイミング。次の攻撃は間もなく――。
「運命を、共にするのよ……!」
 辰砂兵馬俑がまたにゅると石琵琶の弦の通り道を開けた。放たれる弦は白狐が玉石琵琶精に接近していたことで槍の如き鋭さを放ち迫ってくる。白狐に騎乗する焔の回避は白狐に委ねられており、白狐にその意志がなければ回避は利かない。焔は腹部に弦を受け、その命が玉石琵琶精と繋がってしまった。
「これで……死ぬことは、ない…………!」
「そうは――いかないよ!」
 焔に弦が繋がったまま、白狐は玉石琵琶精の頭上を越えるように跳躍していた。弦の動きに合わせて辰砂兵馬俑の穴があたかも日が昇るように移動していく。その最中に焔は弦へ狙い定めてフローレを薙ぎ払った。
 ビン、と弦からゴムの張力の感触が跳ね返ってくるが、焔は力を緩めず振り抜こうとする。今の玉石琵琶精には一瞬の油断があった。辰砂兵馬俑の穴の向こう側へ攻撃を届かせるには今しかない。
「――ゃぁあああっ!!」
 根負けしたのは、果たして弦のほうだった。ぶづん、と勢いよく引き千切れた弦の残滓が宙を舞う中、焔は白狐から半身乗り出して、悲愴の海に落下した玉石琵琶精に一突き放り込む。フローレが辰砂兵馬俑の閉じかけの穴へ滑り込むように抜けていき、玉石琵琶精の左肩を穿った。
「ひゃがっ!? な……に、が…………」
 起こったことが信じられないという風に玉石琵琶精は目を見開きながら崩れ落ちていく。焔を道連れにもできずに両腕の自由をほぼ失った玉石琵琶精の命は風前の灯火となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
玉石琵琶精…崑崙で修行中に聞いたことがあります。
このような場所で相まみえようとは…。

崑崙竜吉公主派の仙人が董・白がお相手いたします。

猛毒の宝貝…恐ろしい威力です。
ならば、『道術』で強化した『結界術』を展開します。
阿片の煙と猛毒は換気が重要です。結界で毒を遮り、太極符印で『属性攻撃』風を起こして『吹き飛ばし』ます。
ふう、服毒死は勘弁です。

反撃いたします。
宝貝「五火神焔扇」を発動いたします。
炎と風の『属性攻撃』を『道術』で『破魔』を付与いたしました。
私の全力であなたを焼きつきまします。
玉石琵琶精…御覚悟を。



●眠りし縁を断つ
 玉石琵琶精――その名は崑崙での修業時代に耳にしたことがある。仙人に至ろうと修行の道を歩み出すも、半ばで身を崩し果てたとか。それが董・白(尸解仙・f33242)の目の前に、悠久の時を経て現れた。それも、世界の趨勢を占う重要な戦いの最中に。
「死して尚……いえ、それは私が言えた義理ではありませんね。それよりも……このような場所で相見えたことは、導きがあってのこと。貴女様を止めよ――そう、天は仰っているのでしょう。であれば、崑崙竜吉公主派の仙人が一人、董・白がお相手いたします」
 白が対峙する玉石琵琶精はゼンマイの切れかけた人形のようにガクガクと身を震わせながら立ち上がってくる。両腕は度重なる猟兵達との戦闘の中で潰されて今やゾンビのように垂れ下がっているだけだが、玉石琵琶精が纏う宝貝「紫綬羽衣」は彼女が尽き果てぬ限り毒蛾の粉を放ち続ける。
「嫌なのよ……死ぬのは…………」
「誰しもそうでありましょう。しかし、世界に仇為す者であれば――」
 腐敗の香りに対し、白は道術の有らん限りを籠めた結界を展開した。微粉の一粒さえも通さぬようにと練り固めた結界は毒蛾の粉に呑まれる中でも白を外界より遮断していたが、強烈な腐食作用を持つ毒蛾の粉はその結界までもじわりと侵食し始める。
「――! 結界すら破らんとする威力とは……では、これなら!」
 大気を支配する力は往々にして換気に弱い。別の地にてまさに実践の機会があった手法だ。白は太極符印を正面に掲げて風を巻き起こす。白を中心に渦巻いた風は周辺を激しく掻き乱して空へ昇り、毒蛾の粉を吸い上げ消えていく。
「……っ! そんな……」
「服毒死は望みませぬのでご容赦を。さて、今度はこちらの番です」
 宝貝には宝貝。白が用いたるは果て無く広がる大地を力の根源とし、その上にある一切を焼き尽くす猛火と狂風の輪舞。
「この炎は全てを焼き尽くし、この風は全てを吹き飛ばす。舞い散らんこの世の儚さよ……宝貝『五火神焔扇』」
 発動と同時に風の波紋が地を走る。玉石琵琶精の周囲に展開された辰砂兵馬俑が変形、接地して防ごうとしたが閉じ切る前に波紋は抜けて、足元より立ち上がる猛火の竜巻が玉石琵琶精を呑み込んでいく。
「いやああぁぁぁっ!!」
 如何に辰砂兵馬俑が強力な防御兵装と言えど、零距離からの攻撃は防ぎきれない。猛火の竜巻に揺らめく玉石琵琶精の影は端から徐々に欠けていき、人の形を留めなくなっていく。
「道術を以って破魔を付与いたしました。私の持てる全力で貴女様を滅すことがせめてもの慈悲でありましょう。玉石琵琶精……御覚悟を」
「あ……ぁ…………」
 白は叫び尽くまで猛火の竜巻を静かに見守る。それが玉石琵琶精に最期を齎す者の責務であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月20日
宿敵 『玉石琵琶精』 を撃破!


挿絵イラスト