殲神封神大戦②〜焼かれ石キョンシーズ
●司馬炎さんお元気ですか?
「司馬炎さんも私達と同じようにずっと戦い続けてくれていますから、少しでもお手伝いになるよう加勢しに行きましょう!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)の次なる案内は樊城という名の城であった。晋の皇帝、司馬炎がオブリビオンの軍勢と決戦を繰り広げている戦場は早期より猟兵達の支援を受けて持ち直している。しかし猟兵達の活躍は、どこの戦場であっても巡り巡って張角への道に繋がっていくのであり、援軍が全くの無意味に終わるわけではない。
「戦場についてはご存知の方も多いかと思いますが、司馬炎さんが配下の兵士さん達と共にオブリビオンの軍勢と戦っているお城になります。そこに私達が乱入して少しでもオブリビオンを倒しておけば、司馬炎さんの戦いも楽になるはず! というわけですね。実際はもうそんなに必要ないかもしれないのですが、戦いに乗り遅れちゃった方もいるかもしれませんし、そうでなくても行ってみたいと思う方ももしかしたらいるかもしれませんので、私がご案内したいと思います! なお戦場については、司馬炎さんのユーベルコードの余波で『消えざるシバの炎』というものに包まれていますので、それを利用すればより多くのオブリビオンを倒せるかもしれません。その倒すべきオブリビオンは動く石の屍『ストーンキョンシーズ』といって、石の体をしているようです。重い打撃や石化の状態異常なんかを使ってくるようなので注意が必要ですね。でも皆さんのことですから、きっと大丈夫な気がしています! いつも通りにオブリビオンを倒して、戦争を勝利に導きましょう!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
通常戦場絶賛ツアー中です。
●フラグメント詳細
第1章:集団戦『動く石の屍『ストーンキョンシーズ』』
戦場周辺は「消えざるシバの炎」に包まれており、上手く立ち回ればオブリビオンを突っ込ませたり、逆に炎を煽って浴びせたりしてみる、なんてこともできるかもしれません。
ほのおがいしにこうかいまひとつなんてことはないです。
しっかりダメージが入りますのでよければ有効活用してやってください。
第1章 集団戦
『動く石の屍『ストーンキョンシーズ』』
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POW : 重石重撃
【重い石の拳】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD : 同族支援
【もう一体の同族】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 石化閃光
【両瞳】から【赤い閃光】を放ち、【石化状態】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
荒珠・檬果
樊城と聞いて、私は黙っていられなかった!
(三国志での最推し:于禁)
しかし、考えてみると…司馬炎さんもタフですね…さすが統べる者。
では、七色竜珠を白日珠[方天戟形態]にしてからのUC使用。
基本はUC使用したままの行動ですね。
この状態で、白日珠にて切ったり押したりしていると…『いつの間にか切られて、シバの炎に焼かれている』という恐ろしい事態に相手がなる。
一時間分の記憶がなくなるってのは、こういう戦場だと致命的ですね。
押されたときに反撃しようとも、連続だと『押されたことと方向』を忘れますからね…。
…我ながら、恐ろしいUC作ったなぁ…。
●触れた刹那に全てが終わる
「来ました来ました来ましたよぉーっ! 樊城に私、参、上っ!」
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は紛う事無き乱入者だった。樊城の名を聞いて黙ってはいられない。三国志に依れば名将と名高くも樊城の戦いでは憂き目にあったとされる、于禁が最推しの檬果。推しの所縁の地に危機あらば、駆けつけるのがファンの責務。ちなみにもう何度も他のグリモア猟兵の助けを借りて訪れているので、檬果の声を聞きつけた司馬炎は遠くで笑い声をあげていた。
(しかし、考えてみると……司馬炎さんもタフですね……。さすが統べる者)
檬果が立つ戦場を包み込む「消えざるシバの炎」は司馬炎が戦い続ける限り、勢いすら衰えない。皇帝ではあるが猟兵とは違う、常識の範疇にある者が気炎を吐き続けているのは猟兵という立場から見ても凄みがあった。
(……っと、それよりも)
樊城内部を跋扈していた者達――ストーンキョンシーズが檬果の存在に気付いてぐるりと振り向く。一丁前に封魂符を張りつけた石の屍達だ。キシシ、と擦れるように笑いながら、がたごとと足音大きく迫ってきた。
「では――!」
狼藉者は須らく処すべし。檬果はシバの炎がゆらりと映りこんだ七色竜珠を掲げ白日珠「方天戟形態」に変化させると、その身に湮滅将『宋謙』を憑依させて焔闇オーラを纏った。
「……!?」
闇に浮かぶ篝火のようなオーラは立ちどころに檬果を武装ごとストーンキョンシーズの視聴嗅覚から隠していた。その三感が奪われれば最早触れることでしか檬果の存在を察知できなくなるが、ストーンキョンシーズが檬果の消えた場所に駆け込んでみても塵の一つも残っていない。
全く失われてしまった――そう判断せざるを得ず、釈然としないながらも戦場を後にしようかとまた振り返った、その時だ。
「……!?」
再び得体のしれない現象が、ストーンキョンシーズの一体を襲っていた。目の前が真っ赤に燃えている。それは石の屍のくせにザクロみたいな真っ赤な瞳をしているからではない。シバの炎にくべられている――。
「シ……シィ……」
石の体がボロボロ崩れ、封魂符諸共焼け尽きていく。その者は突然自分が炎の中にワープしてしまった感覚に襲われたことだろう。それもそのはず。
「せいやっ!」
また別の一体を檬果は突いてシバの炎へ押し込んでいく。この瞬間にストーンキョンシーズは焔闇オーラに触れてしまっており、触れる前の記憶を一時間分ごっそり奪われていた。故に、一時間前に居た場所から押し込まれたシバの炎の中へと記憶が無理矢理繋げられてしまったのだ。
傍から見れば、何かの拍子でシバの炎へ転げた者が異常な慌てふためきようを見せて消滅していくばかりで理解不能。その内に順番が回ってくると、自分が理解不能な状況に陥ったことを理解して、やはりそのまま一巻の終わり。抵抗虚しくどころか抵抗の一つもできず、残るストーンキョンシーズは俄かに震え始めていた。
「我ながら、恐ろしいユーベルコードを手にしたなぁ……」
檬果が呟いた所感も勿論、ストーンキョンシーズには聞こえていない。一時間は「あっと言う間」ではなく膨大だ。戦場に於いてその記憶の欠損は致命的で、ストーンキョンシーズは見るも無残。
しかしそれこそが戦場であり戦争。敵にかける情けは一欠片も無く、檬果は斬って押してを繰り返してストーンキョンシーズを減らしていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
それでは蛮勇を振るうといたしましょうか
ユーフィ・バウム、参ります!
ストーンキョンシーズに対しては
拳を見舞われないよう注意しつつ
武器の間合いで複数の的を巻き込むよう
【なぎ払い】【衝撃波】を叩き込み
囲ませないようにしつつ立ち回ります
押し出したところで敵を「消えざるシバの炎」に
突っ込ませるようにすると尚追加ダメージになりますね
武器に風の【属性攻撃】を宿し、炎の方に
吹き飛ばすことも併用しましょう
武器のなぎ払いをかいくぐり
接近戦を許してしまった場合は――
残念ながら、ここも私の「間合い」ですッ
《トランスバスター》をお見舞いしぶっ飛ばしますッ!
少々のダメージを受けても
【オーラ防御】で防ぎつつ殲滅を終えますね
●顔見せがてらの一掃除
身も蓋もなく言ってしまえば、グリモア猟兵の案内は「最近どう?」くらいフランクな挨拶程度のもの。戦場への影響は皆無と言ってよく、これ以上の助け無くとも司馬炎は手勢と共に立派に戦っていただろう。
しかし――しかしだ。ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は戦場にやってきた。
「それでは蛮勇を振るうといたしましょうか」
ユーフィは彼女が言う通りの、是非や損得を度外視して脅威に立ち向かう勇者だった。
眼前に据えた敵はストーンキョンシーズ。笑う者あれば怒る者、悲しむ者、喜ぶ者もあるようでなかなか味わい深い。故に相対する以上、名乗らねばなるまい。
「ユーフィ・バウム、参ります!」
掲げたる武器「ディアボロス」はユーフィの体躯に勝るとも劣らぬ大型武器。それを軽々振り上げてストーンキョンシーズに突っ込んでいく。対しストーンキョンシーズも真っ向から突撃して火花を散らす。腕は細くとも拳は重く、一撃で戦場から離脱させられることも疑いようのない事実であろう。
ストーンキョンシーズの体格は小柄な少女ほどで、単体での間合いはユーフィに分があった。しかしストーンキョンシーズは極限まで密度を高めてユーフィに迫っており、戦線の幅はユーフィの間合いを超えている。
「はあぁっ!」
正面突破の一薙ぎが重く繰り出され、厚い刃はストーンキョンシーズの拳が到達する前にその体を打ち飛ばしていた。斬りつけるよりも叩き割るに近い豪快な一撃に衝撃波と風圧が加わって、巻き込まれた者達が放射状に吹っ飛ばされていく。
「グ――シィ!?」
控える仲間達の頭上も飛び越えて転がった先はシバの炎が燃え盛る。転がる内に亀裂の入った石の体はシバの炎の侵入を許し、内部に燃え広がって破裂した。技能を組み合わせて最大の飛距離を叩き出したユーフィはまず確かな手応えを覚えて次なる脅威に挑む。
薙ぎ払いでは届かなかった両端のストーンキョンシーズはそのまま裾に広がってユーフィを包囲しようとしていた。一度包囲が完成してしまえば後は全員で襲い掛かり、誰でもいいから一発見舞えば勝利となる。囲まれてはいけない、とはユーフィが肝に銘じていたことであり、即座に右端への後退を見せながらディアボロスを遠心力で振り回す。ストーンキョンシーズは逃れる方向へ駆けていたが、竜巻の如き薙ぎ払いに呑まれて宙を舞った。
「シィ!!」
背後に声。ユーフィは吹き飛ばした者達の行く末を見届ける間もなく反射的に振り返る。そこには残した左端のストーンキョンシーズが詰めていた。包囲も間に合わなければ特攻しかないと決め込んだ動きは速く、何体かはディアボロスを振り回しただけでは却って届かぬ懐へ入り込もうとしている。
「思いの外連携は取れているようですが――ここもわたしの『間合い』ですッ!」
大型の得物を振るう上で弱点になりやすい手元を疎かにしたまま戦場に立つはずがなかった。ユーフィは流れるようにディアボロスを片手持ちに変えて空いた拳を握り込むと、その身を傾けて石の拳の軌道を逸れながらクロスに自らの拳を叩き込む。超高速の拳速にストーンキョンシーズは目を見張る暇もなく殴り飛ばされ、立て続けに落下し砕け散っていった。
「さぁ、どんどんかかってきてください!」
来る者拒まず、全て退けるのみ。ユーフィの覇気に圧された者達は悉く刃と拳の餌食になるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アユム・アンウォール
ピースブリンガーシステム、初運用
『戦略級弾道ミサイル型ユーベルコード搭載人型戦車』、弾道ミサイル発射準備完了
スーパー戦車砲、想像具現化工程完了
これより、オブリビオンとの戦闘に入ります
シバの消えざる焔をスーパー戦車砲に装填されている砲弾に付与
強烈な炎属性を砲弾に満たしてから発射していきます
元より、フィールド・オブ・ナイン第七席『スーパー戦車』……オブリビオン・フォーミュラの力を再現するユーベルコード……
並みのオブリビオン相手には充分な戦果を挙げる事でしょう
着弾したスーパー戦車砲より放たれし砲弾がキョンシーを薙ぎ払い、骸の海へと還していきます
●祝え、誕生の瞬間を
構想、開発より幾多の試行実験を経て、三か月強での実戦投入。超弩級のスピードで運用を実現させた技術者達には敬意を表したい。アユム・アンウォール(開発コードネーム【ピースブリンガー】・f36164)が猟兵の一人として殲神封神大戦の地に立つことができたのは、紛れもなく彼らのお陰なのだから。
「ステータス、オールグリーン。これより戦場へ突入します」
司馬炎の象徴たるシバの炎は未だ盛んに燃え立ち上がる。集結するオブリビオン達を一体残らず焼き尽くさんと奮闘する司馬炎の焔の壁だ。アユムが加速して焔を纏い突き抜けていくと、門番の如く待ち構えていたのは石の屍達。
「敵性反応確認――『ストーンキョンシーズ』、事前情報との一致率95%、個体数の予測値を下方修正します」
「シィシシ……」
不気味に笑んでいるストーンキョンシーズを他所にアユムはデータの修正を行い、現状を正しく把握する。他の猟兵達がすでにこの戦場へ乗り込んでいることもあり、アユムの前に現れたストーンキョンシーズは群れを成すもやや小規模だった。
「シィィ!!」
しかしながら威勢は良く、ストーンキョンシーズはどかどかと床を踏み鳴らして迫ってくる。一見さんはお断り、とでも言わんばかりに振り上げられる腕は命中と同時にアユムを戦場外へ弾き出してしまうことだろう。
然して長腕でもないが、間合いへ踏み込みさえすれば必殺の一撃となる。それを掻い潜るのは熟練の猟兵でも容易でなく、初運用のアユムなら尚更。
『ピースブリンガーシステム起動。それは鋼の災厄たる魔砲を再現し己の力とする大地の果てを超える真滅』
故にアユムも、その手に平和を齎す必殺の一撃を。この世で最も純真無垢だった鋼の厄災の砲台を今ここに顕現す――。
「スーパー戦車砲、想像具現化工程完了。これはフィールド・オブ・ナイン第七席『スーパー戦車』……オブリビオン・フォーミュラの力を再現するユーベルコード」
ガチンと歯車の鳴り響くような音と共に砲身はほぼ水平へ。辺りに舞う熱をそのまま砲弾に凝縮し、群れの中央へ照準を合わせる。
「並のオブリビオン相手には十分な戦果を挙げることでしょう」
アユムが信じる限り、スーパー戦車砲は無敵の力を誇る。敗北など有り得ない。人の身を得た戦車として、果たさねばならない使命があるのだから。
「――スーパー戦車砲、発射」
定められたプログラムをなぞるが如く、平坦に発された声に合わせて砲口より放たれたのは灼熱の砲弾。衝撃波を伴って燃え盛る太陽の輝きを放ちながら、ほぼ直線状に飛んでいく。
「シィ!」
迎え撃つは石の拳だ。砲弾すらはね飛ばさんとする勢いで突き出された拳は月の如しで、果たした接触は刹那であった。
甲が砕け、腕が砕け、顔面を圧し潰して砲弾は未だ勢いが留まるところを知らない。先頭の一体を軽く圧殺した砲弾は直線上のストーンキョンシーズを軒並み潰しながら、余波となる衝撃波の熱で指数関数的に撃破数を稼いでいく。砕け散った体はそのままシバの炎へと投下され、燃え尽きた先に広がっていたのは無垢なる戦場。
「ミッション、完了――」
世界の期待に見事に応えたアユムだが、勝利の味に酔いしれるでもなく最後まで淡々とした態度を貫き通していた。
大成功
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夜刀神・鏡介
この辺りを襲撃する敵はかなり始末したと思ったが、まだいたのか
戦況を見る限り任せても問題なさそうだが……万が一がないとも限らないからな。少し手伝いに行くとしようか
神刀の封印を解放、蒼色の神気を纏って漆の秘剣【蒼鷹閃】を発動
遠くの敵には斬撃波、近くの敵には直接の斬撃で纏めてなぎ払っていく
一撃で倒し切るのは難しいだろうから、足元を狙って刈り取ろうかな
体勢を崩す事で炎に突っ込んでくれれば楽に倒せるし、そうでなくとも奴は石の身体だから、転んだら起き上がるのは難しいだろう
囲まれて攻撃を受けたり、或いは吹き飛ばされて炎に突っ込んだりしないように、位置取りには注意して、少しずつ確実に片付けていく
●弛まざる邁進
時に歩んだ我が道を振り返るのも悪くなかろう。夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が訪れたその場所は今も変わらずシバの炎に包まれていたが、蠢く影もまたかつての戦場を思い起こさせるように黒ずんで佇む。
(この辺りを襲撃する敵はかなり始末したと思ったが、まだいたのか)
ストーンキョンシーズ。取りこぼし、あるいは遅れた増援か。いずれにしてもシバの炎の隆盛を見るに、鏡介が手を出さずとも何処かから兵がやってきて討伐しそうに思われたが。
(万が一があっちゃ寝覚めが悪い。ここは少し手伝っておくか)
揺ぎ無き勝利のために。神刀【無仭】に手を掛けて、見据える群れへと一声。
『神刀解放。刃は流れるが如く――漆の秘剣【蒼鷹閃】』
纏う蒼色の神気は不思議と戦場の炎と融和する。ストーンキョンシーズは光に誘引される羽虫の如く寄せてきた。鏡介は露払いの一閃、斬撃波を放ちさらにそれを追う。正面を直進する斬撃波では届かぬ外縁へ刃を届かせるためだ。
「シ――イッ!?」
斬撃波に徒手空拳で挑む者達があった。力に力をぶつけて強引に粉砕を狙っていたが、殴り掛かった拳が途端に裂けて、輪切りのような断面を晒して崩れ落ちていく。
まずは正面に突破口。空いた空間に飛び込んで間合いを作ると左右へ素早く二連の薙ぎ払いを飛ばす。ストーンキョンシーズは拳に全幅の信頼を置く反面、足元が疎かになりがちだった。振り回す腕の下を通り抜けて足を斜に刈られたストーンキョンシーズ。のめった者は虚無の拳で床を打ちながら突っ伏して、仰け反った者は背後に控えたシバの炎へ頭から突っ込んで首無しの像となった。
牽制も兼ねて適度に斬撃波を飛ばしつつ、足元に転がりまだ息のある者へはトドメに切っ先を突き下ろす。立ち位置、間合いの把握を優先しての立ち回りは前進と後退を繰り返すような動作となったが、元より焦る必要のない戦場だ。石の拳が来れば退き、向かい来るところを的確に迎撃する。派手に斬り散らすわけではないが、定めた方針を忠実にこなしていった結果が、首無し、足無し、体無しの石の骸の山だった。
(そろそろ……底が見えてきたか?)
ストーンキョンシーズが発する掠れた笑い声も次第に鳴りを潜め、戦場に空白が目立ってきた。そうなれば斬撃波も各個撃破と変わりなく、鏡介は素早く三方を駆け巡って一太刀の下にストーンキョンシーズの足を刈る。ここまで残っていたストーンキョンシーズはようやく鏡介の斬撃に目が慣れてきたところで腕を振りかぶっていたが、タイミングを上回る薙ぎ下ろしに透かされ、足を奪われて宙を仰いだ。
そして二度目の巡りでは浮いたその身を断つ。足を刈るのと同じだけ水平に刃を払い、ばらんと床に砕け散る音を聞き届けた後、鏡介は刀を収めた。
大成功
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サカマキ・ダブルナイン
石の屍とは厄介な相手じゃ、見るからに固く重そうじゃなー。
しかし司馬炎殿の炎にぶち込めばこうかはばつぐん!とは行かずとも効き目はある筈じゃ!
普通に叩いてもびくともせぬじゃろうが……速度を付けて叩けばどうかのう?
さぁ、実践と行くぞよ!
「炎熱狐」起動……感情プログラムの停止を確認。
『99式完全攻勢』を発動…。当機は高速戦闘モードに移行します。耐用年数の漸減にご注意下さい。
敵対存在の増加を確認……性質も同様と予測されます。
「狐乱丸」の振動機能を停止、脚部機能良好……出力全開、突進を開始。
狐乱丸による【なぎ払い】を実行、打撃による敵対存在の吹き飛ばしを試行。
他敵対存在への玉突きによる損害を期待可能です。
●はがね・かくとう
ストーンキョンシーズは全身重厚な鈍色を漂わせながら、しかし瞳だけは邪悪に赤く色づいていた。封魂符の下で歪めた口は新たな獲物を見つけたサイン。ドドドドと戦場を鳴らし震わせる様は石の屍の名に恥じぬ圧迫感がある。
司馬炎の軍勢は猟兵達の支援を受けて十分に盛り返していたが、樊城には未だ細々とした残存勢力が点在している。その駆逐、手慣らしには丁度良いとサカマキ・ダブルナイン(ロボ巫女きつねのお通りじゃ!!!・f31088)はストーンキョンシーズの前に立ち塞がっていた。
「石の屍とは……見るからに固く重そうで厄介な相手じゃなー。しかし、この場を囲む司馬炎殿の炎――そこにぶち込めば『こうか は ばつぐん!』……とはいかずとも、効き目はある筈じゃ!」
今は共に戦う者の存在が心強い。そしてサカマキの戦いも人界及び仙界を転戦する者達の助けとなっている。一人ではない、との思いはサカマキにとって戦場に立つ原動力の一つであった。
「普通に叩いてもびくともせぬじゃろうが……速度を付けて叩けばどうかのう? さぁ、実践と行くぞよ!」
「シシシ……!」
互いに臨戦態勢。不気味な笑いを浮かべているストーンキョンシーズに対し、無に還っていくサカマキ。クロックアッパー「炎熱狐」は彼女の感情プログラムを一時停止させるプログラムだが、赤い瞳に滾る正義は決して色褪せることはない。
「『99式完全攻勢』を発動……。当機は高速戦闘モードに移行します。耐用年数の漸減にご注意下さい」
サカマキはヴァイブロナギナタ「狐乱丸」を頭上で一回転させて構え、警告を発した後に戦闘態勢に入る。対しストーンキョンシーズは瞳を怪しく輝かせると、自らと同じもう一体を次々に召喚していた。単純に二倍の戦力、サカマキの異変を察知しての行動だ。
「敵対存在の増加を確認……性質も同様と予測されます。『狐乱丸』の振動機能を停止、脚部機能良好……」
狐乱丸は本来、高速振動させることで切れ味を増す。だがストーンキョンシーズ相手ではそもそも斬ることが叶わない可能性が高い。よって振動機能を停止させることで純粋な打撃武器として、ストーンキョンシーズを殴り飛ばすことに特化させた。
「シッシシ……シィ!!」
ストーンキョンシーズがまた、どたどたと駆け出してサカマキへと迫ってくる。頭数に依る単純な戦力差は火を見るより明らか。ストーンキョンシーズが動く度に引き起こされる微震はあったが、サカマキの脚部もそれにうまく適応している。
囲んで叩く――ストーンキョンシーズは集団戦闘の基本に忠実だ。一対一の構図を作らない――だがサカマキの爆発的なスピードはストーンキョンシーズに己の戦場を強いていく。
「出力全開、突進を開始」
言うや突撃。まだ包囲を構築しきれていないストーンキョンシーズの切れ目付近の数体を狙い巻き込むように薙ぎ払った。シバの炎に負けじと咲いた火花は烈火の如し。感触は想定していた通り固く重いものだったが、限界に到達した速度は質量差を凌駕してストーンキョンシーズを跳ね飛ばす。
「シ――ジィッ!?」
自分達の体が紙切れのように吹っ飛ばされることは想定していなかったのだろう。背中から落ちてそのまま後方へ回転したストーンキョンシーズは、ぼぅんとシバの炎に突っ込んで身を焦がす。純粋な炎のダメージも然ることながら、封魂符がめらめらと焼けていくと途端に石の体は脆く崩れていった。
「シィィィィッ!!!」
残ったストーンキョンシーズは警戒レベルを最大に引き上げてサカマキへと総攻撃を仕掛けた。誰でもいい。誰かがサカマキを止めて、その隙にタコ殴る。狙いの雑な我武者羅なぶん回しは冷静に状況判断しても虚を突かれるところだが、サカマキの思考プログラムはストーンキョンシーズの動きを単純な現象の連続と捉え、宛がう攻撃を算出する。
「集団に一定値の『乱雑さ』を確認しました。玉突きによる損害を期待可能――攻撃を続行します」
サカマキはやや手薄な右方向に飛び出すと、ぶん回された石の拳を屈みながら滑り込んで回避、すり抜け様薙ぎ払いを鳩尾に当ててそのまま押し込むように振り切った。半ば投げ飛ばされた格好となったストーンキョンシーズは背後の集団に命中すると扇状に広がるドミノのように手当たり次第に巻き込んで、最後方、安全圏にいたはずのストーンキョンシーズが押し出されてシバの炎に飛び込んでしまう。
「シィ……」
倒れ重なったストーンキョンシーズ。起き上がろうにも重なって倒れている別のストーンキョンシーズが邪魔で動けない。必然、ストーンキョンシーズは前の者から順に立ち上がっていくことになり、そこは一対少数のサカマキにとって有利な戦場。
立ち上がってくる者達から順に吹き飛ばしていけばよい。薙ぎ払いはいよいよ加速し、ストーンキョンシーズはあれよあれよという間にシバの炎へ軒並みくべられ、尽きていく。
「敵対存在の消失を確認しました。耐用年数の減少、測定値は100秒です。早急なメンテナンスにより機能の回復は可能と判断します」
ストーンキョンシーズを倒しきり、高速戦闘モードを解除したサカマキはアラームとタスクを残してその身に感情を呼び戻すのだった。
大成功
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