殲神封神大戦⑩〜オペレーション・ワルツ
●封神武侠界・建業の都
H1:Examine the [Holy Grail] Link System.
H2:Six Arm Unit [RX-A SIX ARM]...OK.
H3:Leg Flight Unit [EP WIND FLAME RINGS]...OK.
H1:Rocket Arm Device「RXS-A THE LOOP OF UNIVERSE」...OK.
H2:Main Scissors Weapon「RX GOLDEN SHAVING SWORD」...OK.
H3:Mass Production「NATA Mod_GROUND M.P.」...OK.
H1:Limited Grail「BS-F NINE DRAGON'S DIVINE CANNON」...Error!
Error Code: 0x0001309 [Energy Empty]
H2:Head1 Head2(left) Head3(right) All Green.
H1:Mission Downloaded...Completed.
Mission:[DESTROY ALL SIXTH JAEGERS WITH NO MERCY].
オブリビオンマシン「哪吒」、起動。
●オペレーション・ワルツ
「ブリーフィングを開始する」
その背に白翼を纏うジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)は、集まる猟兵が驚く中ミッションの説明を開始した。
「作戦目標はオブリビオンマシン『哪吒』の排除だ。現在、敵は建業の都……UDCアースの同一地域の名称で南京と呼ばれる都市を占拠している。市街中心部の広場にて、哪吒は衛星兵器『BS-F九竜神火罩』の打ち上げを企図しているようだ」
背後のスクリーンに映し出された九竜神火罩の映像、そして「衛星兵器」という言葉を聞いて、猟兵たちは驚愕に表情を歪める。そう、それはまさしく。
「高速飛翔体に対する大気圏外からの高出力ビームによる狙撃を行う……しかも、弾数の制限やエネルギー限界が存在しない。そう、殲禍炎剣と同様の大量殺戮兵器だ」
これがもし、打ち上げられてしまえば、封神武侠界の技術力では手出しができなくなる。即ち、カタストロフ。晋による統一政権は崩壊し、世界は春秋戦国時代の状況へと逆行することが想定される。そう、クロムキャバリア世界同様に各国が群雄割拠し、破滅的な戦いを続ける世界へと変貌してしまうのだ。
「なんとしてもこの事態を食い止めなければならない。そのためにも、哪吒は確実な撃破が必須となる。しかし、奴は極めて高いカタログスペックを誇る機体だ。撃破は困難を極める」
哪吒のアビリティレベルがスクリーン上に表示された。装甲、火力、機動力などで細かく区分されているものの、その全てのアビリティレベルが、クロムキャバリア世界で運用されている現行の高性能機を遥かに凌駕する水準で纏まっている。無策での突破は不可能だ。
「幸い、突破口は無いわけではない。九竜神火罩の打ち上げを行うため、哪吒はその防衛を最優先で行動する。何しろ自らを『殲禍炎剣の代行者』と規定している奴だ。九竜神火罩に対する脅威は身を挺してでも阻止するだろう」
そこに勝機がある、とジェイミィは断言した。
「哪吒が九竜神火罩を防衛する行動原理を利用すれば、哪吒を仕留めることは不可能ではない。守備は攻撃以上に労力を使う。九竜神火罩の防衛を優先させたその時、確実に隙が生まれる」
とは言え、その隙を作り出すための策をどうするかが問題だ。並大抵の方法は通らないだろう。
「極めて難度の高いミッションだ。無事では済まない可能性も存在する。だが、しかし、このまま哪吒が自らの目的を達成するのを、黙して見守るべきではない。終わらない戦いの円舞を奏でさせないためにも、確実に哪吒を撃滅してほしい」
哪吒は建業の都の郊外に構築した臨時のロケット発射基地で、九竜神火罩が搭載されたロケットの打ち上げ準備を開始している。万全の体制で待ち構えており、先制攻撃を受けることは必定だ。なんとか哪吒の意識を九竜神火罩の防衛に向けさせる必要があるだろう。
「哪吒は確実に排除しろ。それが我々の最優先任務だ。グリモア、起動。空間座標固定、ポータル展開。これより、オペレーション・ワルツの開始を宣言する!」
終わらない戦いの円舞を止めるための戦いが、まさに始まる。
殲神封神大戦、緊急作戦「オペレーション・ワルツ」、開始。
バートレット
どうも、バートレットです。
哪吒、教えてくれ。俺達はあと何回オープニングを出せばいい? グリモアは何も教えてくれない。……というノリのシナリオとなります。この哪吒、どうしてもナタクと読んでしまう。でもナタクだと変換されないんですよね。哪吒、教えてくれ。俺はあと何回ナタクをナタと打ち直せばいいんだ……!
難度はやや高いですが、皆さんならまぁ何とかするでしょうと信じて。
では、今回のプレイングボーナスです。
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プレイングボーナス……哪吒が九竜神火罩を守護する状況を利用し、哪吒の先制攻撃に対処する。
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哪吒は確実に先手を打ちます。ユーベルコードを1回使用するごとに、哪吒の先制攻撃権も1回増えますので、ご注意ください。また、敵が敵ですので失敗や苦戦もありうること、予めご承知おきいただけますようお願い致します。
ちなみに、今回はキャバリア推奨ですが貸し出しはありません。ご自分のキャバリアを持ち込むか、キャバリアに準ずる装備を持ち込むことをおすすめします。
OP公開後、即座にプレイングの募集開始となります。プレイング募集状況はタグにてお知らせします。また、諸注意につきまして、MSページに記載しておりますので併せてご確認ください。
それでは、皆さんの「任務、了解」をお待ちしております!
第1章 ボス戦
『オブリビオンマシン『哪吒』』
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POW : RX金蛟剪(きんこうせん)
【二刃一対のハサミ型刀剣兵器】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【新型オブリビオンマシン】に変身する。
SPD : EP風火輪(ふうかりん)
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両足の火炎車輪型フロートユニット】から【火炎竜巻】を放つ。
WIZ : RXS-A乾坤圏(けんこんけん)
【腕】を向けた対象に、【空飛ぶロケットパンチ】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ハロ・シエラ
なるほど、つまりはったり勝負ですか。
キャバリアはありませんが、それに匹敵するような脅威である事を示さなければなりませんね。
まず哪吒の事は眼中に無く、狙うは九竜神火罩のみ……と言う風に動きます。
光の【属性攻撃】で輝きを放ち【存在感】を高めましょう。
光による攻撃があたかもこれから放つ攻撃の前触れであるかのように思わせるために【気合い】を込めて。
それを呼び水として敵を【おびき寄せ】ます。
哪吒の方は見ずとも【第六感】で攻撃を察知すればすぐに【スライディング】などの回避行動に移れます。
敵の脚の間でもすり抜けられればチャンスです。
ユーべルコードで一撃、キャバリアにも負けなビームを撃ち込んでやります。
メサイア・エルネイジェ
ヴリちゃん!ゲイルカイゼルで参ります!
先制攻撃される事を承知の上で九竜神火罩に突撃致しますわ
初めからガン狙いですわ
ガンだけにマシンガン連射ですわ
哪吒は身を挺して守るか高速で突っ込んでくるヴリちゃんを攻撃する筈ですわね
切られたら脚のブレードエッジで受けますわ
今のヴリちゃんの弱みは火力不足ですわね
硬くて重い敵は苦手ですわ
哪吒はきっとそのように変化しますわ
反撃にクローで掴み掛かって噛み付きますわ
そして滅亡の瞬光の零距離発射ですわ
超重装甲と言えど直撃されたらたまんねぇですわ!
重装甲化で鈍重になっていれば咄嗟に逃げる事も難しいでしょう
撃ち終わったら哪吒が生きててもお亡くなりになられても任務…完了…ですわ
●滅びの光、2つ輝く
「そちらは大丈夫ですの?」
「えぇ、この勝負、はったりを効かせるべきと判断しました。援護をお願いします」
地を駆けるヴリトラの背に乗るハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。ヴリトラを操るメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)の声に応えると、そのまま哪吒の眼前へと躍り出る。しかし、哪吒には目もくれず、そのまま走り出した。
「脅威度測定完了。優先目標、敵キャバリア。機動力、及び本体馬力の高さは脅威だ。吾の障害は排除させてもらう」
哪吒はそのまま突っ込んでくるヴリトラの迎撃に動いた。
「やってみやがれってんですわ! ヴリちゃん! あの衛星狙いますわよ!」
「返答:了解。推奨:マシンガンの乱射による突撃」
高機動を誇るゲイルカイゼル装備を纏ったヴリトラは、ハロが降りると同時に各部スラスターの推力に任せて強引に突破。同時にマシンガンを乱射する。
「愚かな……! 無策で突っ込むか! しかし九竜神火罩はやらせん!」
「うるせぇですわ! ガンだけにガン狙いですわよ!」
マシンガンの乱発に、防御よりも攻撃に出るべきと判断した哪吒は急速に距離を詰めようとした。しかしその時、レーダーの片隅で、ハロが九竜神火罩を狙って動いていることを見つけてしまう。
「……まさか、貴様は囮、だと」
「肯定:消極的だが認める。推奨:ターゲットの選択。二者択一だ」
ヴリトラが直接哪吒に電気信号で通信を送る。哪吒はより九竜神火罩に接近しているハロにターゲットを移した。
「どうやらこちらに気づきましたね」
ハロの周囲に光が集まり、収束していく。これから極大の攻撃が九竜神火罩に向けて放たれることが予想され、哪吒は阻止のために動く。
「ターゲット優先度変更。RX金蛟剪展開、攻撃開始」
ハロ目掛けて金蛟剪を振るう哪吒。だが、すんでのところで察知したハロはスライディングで回避する。なおもハロを狙うが、その時。
「余所見してんじゃねぇですわよ!」
「同意:脅威度の修正を提案」
割って入るヴリトラが、ブレードエッジによって金蛟剪を受け止めた。
「敵武装の解析完了。なるほど、どうやら火力は少しばかり足りないようだ」
「認めたくありませんがその通りですわね」
メサイアは敵が火力不足という弱点を突く形に形態変化を行う光景を眺めつつも、落ち着き払っている。まるでそれが狙い通りであるかのようだった。装甲の強化による重装形態、それが哪吒の導き出した解答だ。
「ですがお忘れではなくて? その場合……接近戦では不利となることに!」
「……何?」
持ち前の馬力に任せて、ヴリトラはクローで哪吒の機体を高速。口吻部で哪吒の装甲に直接噛み付く。その奥に覗くのは……荷電粒子砲。
「今ですわ、ハロさん! 合わせますわよ!」
「了解しました!」
ハロも至近距離に接敵し、無敵の大口径エネルギービーム砲を生成、哪吒の装甲に砲口を密着させた。
二条の光が、装甲を固めた哪吒に接射される。装甲に直接熱を押し当てられた哪吒は振りほどこうともがくが、その前にエネルギービームと荷電粒子砲が哪吒の装甲を溶かし、躯体を撃ち抜くのであった。
「任務……完了、ですわ」
行動不能に陥ったヴリトラはガクン、と音を立てて崩れ落ちる。しかし、哪吒は装甲に無視できないダメージを負ったことで、一度距離を取らざるを得ない。
これこそが、戦いの号砲。哪吒との死闘の始まりであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
この世界まで、クロムキャバリアと同じにはさせない…!
亡国の主を【操縦】スラスターで九竜神火罩へ飛翔【推力移動】
【瞬間思考力】と人工魔眼の動体【視力】で攻撃を視認!サーベルユニット4基を【念動力】で操り2基で【武器受け】鋏を大質量で止める
…!どこまでも!!邪魔をするなぁあああ!!!
『超機機動』【闘争心】で機体スペック【限界突破】
【残像】ジグザグ飛行で哪吒を越え、残った2基のサーベルユニットで【なぎ払い】九竜神火罩へ攻撃、からの【早業】フォースサーベルによる【切断】攻撃を、サーベルユニットを止めに入った哪吒へ叩き込み【追撃】更に【呪詛ブレス攻撃】を至近距離から、動きの止まった哪吒に放射する!!
中小路・楓椛
ごきげんよう、ダゴン焼き屋です。
キャバリアのクロさんに搭乗。谺を速射散弾砲形態で機動射撃しつつ九竜神火罩へと接近。
ばーざい全技能行使、【神罰・呪詛・封印を解く・限界突破】併用でUC【にとくりす】起動。ロケットを盾としてUCにて相手のロケットパンチの相殺。同時に第六王朝最後のファラオの鏡の伝承を以てUC鏡面を狂気山脈地下の黒き粘液の沼へと接続。
クロさんと再生暴食する黒き不定形の大群の連携を以て哪吒の動きを留め、九竜神火罩と哪吒を隙を突き暴食です。
後々必要になりそうなので九竜神火罩を暴食する際に中枢部を解析できる程度には食べ残す事をお願いしておきましょうか。戦況に余力があれば、の話となりますが。
●炎の終焉を防ぐべく
「この世界を、クロムキャバリアと同じにはさせない!」
「同感です。そんなことされたらダゴン焼き屋として商売上がったりですよ」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)と中小路・楓椛(ダゴン焼き普及委員会会長・f29038)は各々の愛機に乗り込み、哪吒と対峙する。
「敵機、新たに2機を確認」
哪吒は2機に対する有効戦術を瞬時に組み上げた。小枝子の亡国の主は接近してくるためRX金蛟剪での接近戦を選択。一方距離のあるクロさんにはRXS-A乾坤圏を飛ばして撃破を試みる。
「む、こちらにはロケットパンチですか。ばーざい全技能行使、認知調律術式:にとくりす起動」
クロさんから、哪吒のそれと全く同一のRXS-A乾坤圏が放たれた。威力が同一であれば相殺される。その間にも、亡国の主が迫りくる。哪吒も機動力を活かして接近し、RX金蛟剪を振るった。
「……! どこまでも!! 邪魔をするなぁあああ!!!」
コクピット内で小枝子が咆哮し、2基のサーベルユニットをクロスさせて金蛟剪を受け止める。その一方で、残り2基のサーベルユニットが九竜神火罩へと向かう。
「っ、九竜神火罩の防御を優先」
「まぁ、そっち行きますよねぇ」
同様に九竜神火罩へと向かっていたクロさんは、谺を速射散弾砲形態で機動射撃して牽制を行う。さらににとくりすの鏡面を狂気山脈地下の黒き粘液の沼へと接続することで、黒き粘液をこの場に顕現させる。
「……正体不明の攻撃!?」
「これで動けないでしょう。さぁ、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ、小枝子さん。ただし残骸は残しておいてくださいね、調査とか解析とかしなきゃでしょうし」
「了解であります……が、保証はできんでありますよ?」
「できればでいいです、できればで」
小枝子は獰猛な笑みを浮かべ、楓椛に頷いた。その間にも黒き粘液は九竜神火罩と哪吒、それぞれの装甲を溶かして喰らおうとする。
「細切れに……いや、粉砕してやるッ!!」
フォースサーベルを展開、サーベルユニット2基と併せた連撃が哪吒に襲いかかる。避けることすら敵わない状況で、哪吒はただ装甲を切り刻まれ、そして……呪詛ブレス攻撃を至近から叩き込む。
黒い粘液の中心で飲み込まれていく哪吒、咆哮する亡国の主。それはさながら、哪吒が抱いた夢が悪夢へと変わる瞬間の如き光景だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェイ・ランス
【SPD】※アドリブ、連携歓迎
■心情
いやいやいや、ナタちゃんとかいうの過激すぎないかい?
てゆーかオブリビオンマシンなんだ?ちと、本気で殴っておかなきゃかな?
―――Operation:Penetration Lauf.
■行動
"ツェアライセン"に乗って登場。
あらゆる回避運動を試み(残像、迷彩、地形の利用、ジャミング、フェイント、空中戦、ダッシュ、滑空)、敵の先制攻撃に対処します。
相手のUCに対して【カウンター】気味にUCを発動し、九竜神火罩を攻撃するふりをしながら敵機に対して【2回攻撃】します。
……防衛の困難さはよく知っています。故に、そちらはここから離れられないでしょう?
ヴィリー・フランツ
wiz目的:哪吒の攻撃に耐えて反撃する。
理由:おいおい、攻撃衛星打ち上げなんてそりゃチートだろ、それにこれ以上狭苦しい世界が増えてもかなわん、潰すか。
手段:ヘヴィタイフーンに搭乗、増加装甲は爆発反応装甲に変更、シールドも構えた上で乾坤圏とか言うロケットパンチを一発でも防げれば御の字だ、自動騎兵歩槍と電磁機関短銃は予備武装として装甲にマウント。
見事耐えれたらコング重無反動砲、肩のピラニアミサイル、クロコダイル単装電磁速射砲による一斉射を開始、無反動砲が弾が切れたらシールドと無反動砲を棄て、一六式自動騎兵歩槍と電磁機関短銃に持ち替え、スーサイダードローンも全機発進させ火力でねじ伏せる事を試みる。
●ACES
「おいおい、攻撃衛星打ち上げなんてそりゃチートだろ」
「いやいやいや、ナタちゃんとかいうの過激すぎないかい?」
クロムキャバリア世界で数多くの戦いを経験したジェイ・ランス(電脳の黒獅子・f24255)とヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)。その2人が今、哪吒を眼前にして唖然とした表情を見せる。
「ヴィリーちん、どうするよ、アレ」
「決まってんだろうが。これ以上狭っ苦しい世界が増えてもかなわん。潰すぞ」
「同感だわ。ってかアイツ、オブリビオンマシンなんだ?」
「あぁ、それも現行の最新鋭機よりも遥かにカタログスペックが上ときている」
ヴィリーの言葉を受けて、ジェイは盛大に溜息をつく。
「……ちと、本気で殴っておく必要があるなこりゃ」
「あぁ。本気でかからねぇと死が見える」
ジェイはツェアライセンに乗り、哪吒に向かって急速接近する。ヴィリーもまた、愛機ヘヴィタイフーンのエンジンに火を入れた。
◆◆◆
H1:Reboot Sequence Completed.
H2:Check Sequence Completed. Condition Green:89 Condition Yellow:192 Condition Red:97
H3:Continue Mission Y/N? ...Y
H2:Y
H1:Y
H1:Passage Completed. Restart our mission.
先の戦闘で破損した状況から自己修復による再起動を果たした哪吒は、接近する2つの反応をレーダー上に認めた。
「量産型キャバリアとキャバリアに極めて近い反応……? 形状はサーフブレイドに見えるが」
「おいコラァ! ナタちゃんよぉ、何あぶねぇもん打ち上げようとしてんだよ!」
その時、ジェイが接近する。抗議の声に、哪吒は煩わしさを覚えたのかノーモーションで風火輪からの火炎竜巻を浴びせた。
「おわっあっちち……! バーベキューは他所でやれよ!」
「おい、生きてるかランス?」
「生きてるよ! 流石に速攻でお墓行きはゴメンだぜ!」
ヴィリーのヘヴィタイフーンはシールドを構えながら接近する。本体も増加装甲を装着しており、動きこそ鈍重になったがその分並大抵の攻撃は効かない。哪吒がどんな攻撃をしても最悪ヘヴィタイフーンのコクピットブロックは無事なはずだ。
「敵機確認、量産型と判明。吾とのスペック差は歴然である」
RXS-A乾坤圏、射出。それを視認したヴィリーはシールドを全面に構え、防御姿勢を取った。乾坤圏がヘヴィタイフーンの機体を打ち据える。衝撃が機体全体を揺らし、シールドが大きくひしゃげる。爆発反応装甲が弾け飛び、飛んできた拳の勢いを殺すことには成功したもののフレームにもダメージが及び、コンソールが一気に赤く染まる。
「なんだこの出鱈目な威力は!?」
「むしろよく耐えれたなそれ……!?」
使い物にならなくなったシールドを投げ捨てながら、ヴィリーは舌打ちする。装甲自慢のヘヴィタイフーンでもこうもダメージを受けるか、と内心驚愕しながら、ヴィリーは反撃に転じた。コング重無反動砲、肩のピラニアミサイル、クロコダイル単装電磁速射砲による一斉射を開始し、哪吒に火力を集中させる。哪吒は持ち前の機動力で回避するが、弾幕が分厚いこともあり、完全に全てを回避することはできなかった。装甲が徐々に削られていく。
「修理代とシールドの購入費、ついでに弾薬費になってもらうしかねぇな! こいつのデータ、クロムキャバリア世界の研究機関に売りつけるしかねぇ!」
弾丸の切れた無反動砲を捨てつつ、コックピット内でヴィリーは叫ぶ。生還を果たせたとしても、このままでは大赤字が確定だ。
一方ジェイも反撃に転じていた。
「―――Operation:Penetration Lauf」
ツェアライセンと合体し、疑似キャバリアとも呼ぶべき姿に身を変じるジェイ。手にした対艦刀でヘヴィタイフーンからの被弾をものともせず突っ込んできた哪吒を切り払い、振り切ると、そのまま機動力を活かして九竜神火罩の方角に向かう。
「九竜神火罩の破壊に向かうか。だが、させん」
ジェイを追う哪吒。だが、九竜神火罩まであと数mというところで、ジェイは急に振り向いて対艦刀での刺突を見舞う。
「……防衛の困難さはよく知っています。故に、そちらはここから離れられないでしょう?」
「フェイント……!」
一手読み間違えたか、と哪吒は自らの判断ミスを呪う。しかし、最早ことここに至っては九竜神火罩の防衛に徹するしか無い。
「よぉし、いいぞランス! そこに釘付けにしろ! こうなりゃ在庫放出大サービスだ!」
スーサイダードローンを展開し、一六式自動騎兵歩槍と電磁機関短銃に持ち替えたヴィリーは、ターゲットに九竜神火罩も加えてさらなる一斉射。強引に火力でねじ伏せる格好だ。土煙が上がり、視界が遮られ、哪吒も九竜神火罩も大量の銃弾とスーサイダードローンの自爆による爆風をもろに受けていく。あまりの熱量に、熱源感知センサーと光学センサーはこの瞬間、無用の長物と化した。下手に動くのはかえって自らの首を絞めることになる。
「終わりです」
ジェイのツェアライセンは好機とばかりに閃いた。土煙が晴れると、ジェイはツェアライセンを振り払うように動かす。串刺しとなっていた哪吒は、放り捨てられるように九竜神火罩に向かって飛んでいき、激突。力なく墜ちていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
チトセ・シロガネ
ボクは空を奪うそれを許さナイ!
第六感が哪吒の行動原理を耳元で囁く。
九竜神火罩の盾となるなら、利用しない手はないネ。
竜巻となり迫るそれを見据え、ボクは推進力のリミッター解除を行う。空中戦のスピード勝負なら、負けるつもりはないッ!
徐々に迫る哪吒にニッコリと笑い。
コンソールに表示されるUC【軌道舞踏】の発動を承認する。
ギアを上げていくヨ!しっかり付いて来てヨネ!
九竜神火罩へ衝突ギリギリを瞬間思考力で計算し、軽業で軌道を無理矢理変える。
ユー、止まらないとコイツ壊しちゃうネ!
バレルロールで背後をとり、九竜神火罩を巻き込むようにBXSカレイドスコープを構え、レーザー射撃の乱れ撃ちを叩きこむネッ!
●終局は見えた
「ボクは、空を奪うそれを許さナイ! 行くヨ、ヴィクセン!」
チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)は愛機を駆り、哪吒に迫る。すでに他の猟兵によりかなりのダメージを負っているが、それでも彼我のスペック差は大きい。気を抜けば一瞬で撃墜されるだろう。
第六感が囁くのは哪吒の行動原理。そして現在は哪吒が九竜神火罩のすぐ傍にいるという状況。
「利用しない手は無いネ……!」
甚大なダメージから機能を回復させた哪吒は、新手の猟兵の姿を認める。
「敵機接近……機動力重視の機体か。吾に機動力で勝負を挑む無謀を呪うがいい」
火炎竜巻をフロートユニットから放出しながら、哪吒はヴィクセン目掛けて飛ぶ。しかし、九竜神火罩の守りを優先するという思考ロジックが足を引っ張り、あまり遠くへ離れられないというのが実情であった。
「推進力リミッター解除!」
火炎竜巻の中を掻い潜りながら、スラスターの限界を超えた機動を見せるヴィクセン。コンソールに表示されるのは推奨戦術「軌道舞踏」。その発動を承認する。
「ギアを上げていくヨ! しっかり付いて来てヨネ!」
迫りくる哪吒を見てニッコリと笑いながら、さらに複雑な軌道を描いてヴィクセンが飛ぶ。これを追う哪吒だが、不意にその狙いを悟る。
「軌道の複雑さで誤魔化しているが……敵機の狙いは九竜神火罩か!」
その推察通り、ヴィクセンはあわや九竜神火罩に衝突しそうなところを強引にスラスターの噴出方向を変化させることで、ギリギリで回避してみせた。
「ユー、止まらないとコイツ壊しちゃうネ!」
「吾の手で九竜神火罩を破壊させようという目論見か……!」
哪吒は急制動をかけるほかなかった。それがチトセの狙いでもあったのだが。
「ま、止まったら止まったで……ボクが壊すッ!!」
バレルロールで背後を取る。哪吒はこの動きに即応できず、振り向いたときにはもう遅い。すでにBXSカレイドスコープの発射体制が整ってしまっていたのだから。
「FOX2!!」
BXSカレイドスコープの砲口が一斉に煌き、滅びの万華鏡が回転しながら光を放つ。複数の光が、哪吒の四肢を、胸を、そして背後の九竜神火罩すらも貫いていく。くるくると回る死の万華鏡は、滅びを齎す存在を纏めて撃ち抜くのであった──。
大成功
🔵🔵🔵
フォーネリアス・スカーレット
「そうか、知らん。どうでもいい。オブリビオンは皆殺しだ」
どんな相手だろうと、どんな状況だろうとやる事は変わらん。
『ドーモ、オブリビオンスレイヤーです』
強襲に特化した赤黒いキャバリアで打ち上げロケットに一気に向かう。VOBとか言う装備だ。機体ごと使い捨てる装備だが構わん。黙っているならチェーンブレードでロケットをバラバラに切り裂くが、そうはならんだろう。
「それでいい、私はお前を殺しに来た」
VOBの加速度をそのまま哪吒にぶつける。衝突、或いは撃墜寸前で脱出。フックロープを哪吒に巻き付ける。
「結局の所、お前が使えるのは三手だけだ」
一手で五手を叩き込み殺す。それが【盛者必殺】だ。
「金は木を殺し」
【神喰い】を付き立て、
「木は土を殺し」
【不絶驟雨】の樹毒弾を浴びせ、
「土は水を殺し」
【戦略槌】を叩き付け、
「水は火を殺し」
【電磁居合斬り】を水燐で打ち、
「火は金を殺す」
【地獄焼き】の焔繋を付き立てる。
「盛者必殺の理。あらゆる物は必ず殺せる。私は、オブリビオンスレイヤー。オブリビオンは皆殺しだ」
●メカナイズド・カラテ・ウォーフェア
◆執◆しっぴつチームよりお知らせ:オーバーロードによるテキストカラテの高まりを受けて、このセクションのみ文体が変化します。全体的な構成には何も問題がないのでごあんしんだ。いいね。◆筆◆
すでに満身創痍とも言うべき哪吒。だが、未だ稚気じみた宇宙への野望を諦めたわけではない。そう、九竜神火罩は未だ健在なのだ。おぉ、ブッダよ! 貴方は寝ているのですか?
だが、その時である! 哪吒のサウンドセンサが突如として鳴り響く固形燃料式ロケットエンジンの爆音を察知した! その反応は一つである!
「新たな敵機を確認。何人たりとも吾の炎の破滅の邪魔はさせん」
「そうか、知らん。どうでもいい。オブリビオンは皆殺しだ」
哪吒の独白に近い言葉に、ジゴクめいた声が答える! おぉ、イェーガー視力をお持ちの読者諸兄は遠方より超音速で迫りくる赤黒のキャバリアの姿にいち早く気づくことが出来たであろう! あれこそまさにフォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)、通称オブリビオンスレイヤーとその愛機──オブリビオンを殺す者。その肩部装甲に威圧的なフォントでショドーされているのは「昔」「殺」の決断的な二文字! 巨大なロケットブースターを背負い、今まさに殺戮者のエントリーだ!
「ドーモ、哪吒=サン。オブリビオンスレイヤーです」
「ドーモ、オブリビオンスレイヤー=サン。哪吒です。その言葉、そのまま貴様に返そう。猟兵は全て殺す」
高速で彼我の距離が詰まる中、アイサツを交わす両者。その間僅かコンマ2秒。イクサの前のアイサツは神聖な儀式である。アイサツをされれば、返さねばならない。アイサツに続けて、哪吒は威圧的に告げ、激突の瞬間に備えて金蛟剪を振りかざした。
「やってみろ!」
オブリビオンスレイヤーの一喝。荘厳なるロケットの発射台は、壮絶なイクサの開始点と化す!
このまま両者が何もしなければオブリビオンスレイヤーは哪吒を素通りし、そのまま携えたチェーンブレードで九竜神火罩を無慈悲にマグロめいて解体するであろう。もちろん、それを許す哪吒でないことはオブリビオンスレイヤーもわかっている。だからこそ、敵と正面から激突する構えの哪吒同様、オブリビオンスレイヤーも真正面から衝突する! ロケットブースターの加速もそのままに、直前で切り離し離脱! 何たる早業で自らに衝突のダメージを回避するイェーガー状況判断力か! ワザマエ!
「「イヤーッ!」」
両者のカラテシャウトが重なった! 激突のまさにその瞬間、哪吒の金蛟剪はVOBを捉え、真っ向唐竹割りで叩き斬る! すると、金蛟剪は叩き斬ったVOBの残骸を喰らい、高速で迫りくる敵への対処能力を身に着けた……これぞ金蛟剪によるカラテラーニング、インガオホーを相手に叩きつける魔技である!
「それでいい、私はお前を殺しに来た」
「これは……!?」
しかし、オブリビオンスレイヤーは別の手をすでに打っていた。フックロープを射出し、逆に哪吒を拘束してみせる。哪吒はもがいて脱出を試みようとするが、それよりも早くワン・インチ距離にオブリビオンスレイヤーは立ちはだかった!
「結局の所、お前が使えるのは三手だけだ」
オブリビオンスレイヤーは静かに告げながら、自らのカラテを高めていく。同時に展開するのは五行の力を宿す武器……チェーンブレード、驟雨、岩石鎚、水燐、焔繋。
「金は木を殺し、木は土を殺し、土は水を殺し、水は火を殺し、火は金を殺す……これぞ盛者必殺の理なり!」
五行それぞれに対応した五連撃が哪吒へと襲いかかり、哪吒を打ち据えていく!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
絶え間ない五連撃、先に攻撃した属性を超克する一撃を次々と叩き込む秘技。これぞ、オブリビオンスレイヤー必殺のユーベルコード、「盛者必殺」である! 属性付与と超克を繰り返す、五撃を与える一手によって哪吒の装甲は粉砕、衝撃は内部フレームにも達し、背後の九竜神火罩へとその躯体を吹き飛ばした! ゴウランガ、おぉ、ゴウランガ!
「吾をこうも追い詰めるとは……!」
「盛者必殺の理。あらゆる物は必ず殺せる。私は、オブリビオンスレイヤー。オブリビオンは皆殺しだ」
機械仕掛けの神たる哪吒とて、所詮はオブリビオンである。オブリビオンスレイヤーのカラテの前に倒れるは道理。まさに、オブリビオンスレイヤーは今この瞬間のために戦場に現れたのである!
◆OBLIVIONSLAYER◆
大成功
🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
任務、了解
わかるよ…言ってみたくなるよなこのセリフ
けどこの戦いを終わらない円舞曲にはしないぜ
連携アドリブ歓迎
俺の愛機イグニシオンに[騎乗]して空中から[ダッシュ]で接近
最初から全力だ。オーバーロード、イグニシオン・ソーリス!
これまで蓄えた[戦闘知識]と研ぎ澄まされた[視力]からなる観察で
相手が衛星を守護することも念頭に置いて動作予測
こちらを遮り斬りつけてくることを前提に
さらに[第六感]をも加えた心眼で予想外の動きも[見切り]
[残像]を捕らえさせる形で敵の先制攻撃を回避する
あの鋏を受けるわけにはいかない
新型への変形を防ぐためにも[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁で機体への直撃は避けるぜ
先制攻撃に対応したら高機動形態をとり[空中戦]で反撃だ
機神太刀で哪吒と切り結びながら距離が離れたところで後方のシェルターもとい発射台をめがけて両腕を構え、UCを発射するぜ
哪吒と発射台、衛星まとめて[範囲攻撃]だ
「ケイオスフレアで障害を取り除く…!」
●終わらない円舞曲の終わり
「破壊、闘争、そして超克。この三拍子を繰り返す世界こそ、まさに吾らの生きる世界。破壊をきっかけに闘争が起き、その中で戦士は超克を繰り返す。それこそ理想の世界だと何故わからぬ!」
哪吒はついに己の感情をむき出しにした。それは、プログラムされたものか、それともオブリビオンマシンの思考回路に発生したバグなのか。
「いいや、この戦いを終わらない円舞曲にはしないぜ。哪吒、お前の円舞曲の楽譜には足りないものがある。それは終止記号だ!」
その言葉に真っ向から異を唱えるのは久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)。愛機イグニシオンのスラスターを全開にして、戦いの舞台に向かって空中を疾駆する。
「最初から全力だ。オーバーロード! イグニシオン・ソーリス!」
赤きイグニシオンの炎がより温度を上昇させ、蒼き炎へと変わっていく。これこそがイグニシオンの真の姿にして強化形態、蒼炎の戦騎イグニシオン・ソーリス。
「熱源接近……蒼炎か、面白い。相手にとって不足なし。金蛟剪、起動」
九竜神火罩へと一直線に飛翔するイグニシオンを迎撃すべく、哪吒はRX金蛟剪を振るう。遥翔はフレアライザーとしての戦闘経験と、イグニシオンと共に戦ったこれまでの戦闘経験からその太刀筋を見切るべく、心眼を研ぎ澄ます。
「──すべての可能性から考えれば、『安地』ってのは自ずと見えてくるもんだ」
蒼炎の残像を残して、イグニシオン・ソーリスは急制動をかけつつ空中で右斜め後ろに退く。金蛟剪は蒼炎の幻を虚しく追い、空を斬った……否、刃先はわずかに手応えがあった。それはイグニシオンの防御結界。だが、これを斬ったとしても本体への直接的な有効打を与えることができない。金蛟剪による変形は始まり、イグニシオンの結界を破ることのみに特化した形態へと姿を変える。もちろん、哪吒にとっては不本意な形態変化であった。
「……今の一撃を躱すか」
「その鋏、受けるわけにはいかないんでね」
一度起動した金蛟剪は防御結界を読み取ってしまったことでエネルギーを使い果たした。再起動のためのリチャージが必要だ。その時間を稼ぐべく、三面六臂の他の腕が剣を振るい、再びイグニシオンを捉えようとする。今度は防御結界は通用しない。その意味では、先の戦術は諸刃の剣であった。今度は当たれば少なくとも装甲に損傷が発生する──否、哪吒のここまでの猛威を考えれば間違いなく撃墜される。しかしそのリスクを負ってでも、遥翔は可能性に賭けた。目の前のオブリビオンマシン、哪吒にイグニシオン最大の一手を叩き込むことができる可能性、その一点に全てを賭したのである。
「よし……反撃開始だ!」
空中で剣戟を繰り返すイグニシオンと哪吒。蒼と紅の炎が舞い散り、互いの得物が火花を散らす。十数合にも及ぶ剣と剣のぶつかり合いの末に、イグニシオンの裂帛の打ち込みが哪吒を圧した。蒼炎を纏った機神太刀「迦具土」の一撃が、哪吒の剣を破った瞬間であった。
「ケイオスフレア、最大出力……!」
脳裏に、遥翔が子供の頃に見たロボットアニメの記憶が蘇る。シェルターを破壊するために己の身を散らしながら最大火力を叩き込んだ主人公機。美しく、しかして勇壮なフォルムを誇るロボットが四肢を損壊させ、翼もボロボロの状態で、それでも最後の最後まで乗り手の意思のままに自らの使命を果たしたラスト・シューティング。遥翔はその光景を見て、訳もなく胸が苦しく、しかし熱くなったことを覚えている。その主人公機の姿に、今のイグニシオンが重なった。
「障害を……取り除く……!」
全てを注いだ一撃が、イグニシオンから放たれる。焔黒剣が内包する異界の焔はあまりの高温にプラズマとなり、構えた両手すらも焼き、反動でイグニシオンも木の葉のように吹き飛ぶ。荒れ狂うプラズマの蒼炎は哪吒を、九竜神火罩を、それが据え付けられている発射台すらも焼き尽くしていく。
「任務……完了……ッ!!」
遥翔はコクピットの中で自らの勝利を悟り、笑みを浮かべた。哪吒は断末魔も、辞世の句も発する間もなく、九竜神火罩ごと文字通り蒸発する。コクピットの中はイグニシオンが発した熱で凄まじい温度であったが、遥翔にとって、今のこの熱さは心地よいものですらあった。たしかに今、遥翔はひとつの危機を救うことができ──終わらない円舞曲のテープを断ち切ることに成功したのだから。
殲神封神大戦、緊急作戦「オペレーション・ワルツ」、任務完了。
オブリビオンマシン「哪吒」、及び衛星兵器「九竜神火罩」、完全破壊に成功。
大成功
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