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殲神封神大戦⑩〜世界が静止する日

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑩ #オブリビオンマシン『哪吒』

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#オブリビオンマシン『哪吒』


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●勝利の鐘、未だ響かず
『六番目の猟兵、吾が言葉を聞け』
 その異形の巨人は、この世界に相応しくないノイズ混じりの電子音で宣戦を布告した。
『吾が名は哪吒、自律型オブリビオンマシンにして“殲禍炎剣の代行者”』
 オブリビオンマシン――それは本来“あってはならぬ物”の筈。
『吾はこれより、攻撃衛星『九竜神火罩』を起動し――世界に“炎の破滅”をもたらす』
 そのマシンは一度起動すれば戦争の趨勢も関係無く『全てを終わらせる』と言う。
『止められるか、猟兵よ。建業の都にて待つ』

「――聞いての通り、緊急事態だ。敵は映像にある人型機動兵器『哪吒』」
 グリモアベースの会議室、朱皇・ラヴィニア(骸の虚・f29974)は難しい表情でスクリーン上の敵と、恐るべき状況の説明を続ける。
「これが殲禍炎剣の様な『九竜神火罩』――衛星軌道上から無限にレーザーを放つ衛星兵器を打ち上げようとしてるんだ。これを止めて奴を倒すのが今回のミッション」
 基本的には敵を倒す事が目的。だが、その敵が余りにも強大である事が純粋に問題なのだ、と付け加えて。
「哪吒はとても強い。普通に攻めては先制攻撃で返り討ちに合う。絶対に」
 絶対先制のユーベルコードという、幹部級オブリビオンに相応しい力を誇るのだ。それを打ち破るにはただ一つ……敵の置かれている状況を利用する他無い。
「だからこそ、打ち上げの防衛をしている隙を狙うんだ。チャンスはそこしか無い」
 敵が防衛しているモノ――『BS-F九竜神火罩』はエネルギーチャージが終わり次第に打ち上げられて、直ちに世界を炎に包む。だが、チャージ中の防衛こそが哪吒唯一の弱点だ。
「それと、この世界でキャバリアの貸し出しは出来ない。自前で調達するか――」
 相手は人型機動兵器。可能であればクロムの様に同等の戦力を用意したい所だったが止むを得ない。それでも、と。ラヴィニアはこれまで戦ってきた猟兵の力を信じている。
「皆なら何とかしてくれるって信じてるよ。お願い」
 あの衛星兵器の恐怖を、これ以上拡げない為に。開かれたゲートが戦場の風を運ぶ。
 世界最後の日を迎えない為に、決死の作戦が始まった。


ブラツ
 ブラツです。このシナリオは1フラグメントで完結し、
 「殲神封神大戦」の戦況に影響を及ぼす、
 特殊な戦争シナリオとなります。

 本シナリオは体高5mの自律型オブリビオンマシン『哪吒』の撃破が目的です。
 哪吒は必ず先制攻撃をしてくる上に途轍もない強さを誇りますが、
 九竜神火罩を守るようにして戦っているようです。
 以下の点に注意する事で、非常に有利な状況になります。

●プレイングボーナス……哪吒が九竜神火罩を守護する状況を利用し、哪吒の先制攻撃に対処する。

●今回の注意事項
 プレイングは公開と同時に募集します。
 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。
 募集締切りはタグにて告知いたします。
 採用は稼働時間と体調に合わせ出来る範囲で進めます。
 オーバーロードされた場合は基本後半の返却に回します。
 (但し、戦争の進行次第では採用の確約は出来ません)

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『オブリビオンマシン『哪吒』』

POW   :    RX金蛟剪(きんこうせん)
【二刃一対のハサミ型刀剣兵器】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【新型オブリビオンマシン】に変身する。
SPD   :    EP風火輪(ふうかりん)
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両足の火炎車輪型フロートユニット】から【火炎竜巻】を放つ。
WIZ   :    RXS-A乾坤圏(けんこんけん)
【腕】を向けた対象に、【空飛ぶロケットパンチ】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久遠寺・遥翔
連携アドリブ歓迎
俺の愛機イグニシオンに[騎乗]して戦う
[メカニック]技術で機動力を犠牲に装甲を限界まで増設して出撃する

これまで蓄えた[戦闘知識]と研ぎ澄まされた[視力]からなる観察で
相手が衛星を守護することも念頭に置いて動作予測
わざと攻撃を受けて増設した装甲を食わせる
[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁を内側に展開し本体への直撃は避ける

相手はこちらの動きが遅い弱点をつき命中率を犠牲に分厚い装甲を貫くための形態をとるはず
だからこちらはその変化を確認したらUCを起動し装甲をパージ
装甲を犠牲に移動力…つまり速度を高めた形態をとる
あとは相手の攻撃を[見切り]かわしながら哪吒と発射台に[範囲攻撃]だ


ダビング・レコーズ

目標の先制攻撃に合わせ九竜神火罩をべルリオーズで攻撃
目標が防衛を優先して当機への攻撃阻止行動に出た場合はべルリオーズを犠牲に金蛟剪を防御

べルリオーズが弱点とする対象は貫通力が無意味な程の物理的超重装甲
目標はそれを学習し超高耐久を獲得、代償に劇的な機動力低下が見込まれると推定

目標の変異を確認後近接戦闘の間合いから急速離脱
目標が当機を追撃する必要が無く防衛に徹しているだけで問題ない状況を成立させる
その後九竜神火罩へ攻撃

選択兵装は武装破砕を反映したルナライトのプラズマキャノン
金蛟剪を破壊し目標の攻撃手段を無効化
重装甲化を解けない状態に陥らせ接近戦に移行
関節部やセンサー等非装甲部位をルナライトで溶断



●紅き都、煌々と魂は燃えて
>>H1:Examine the [Holy Grail] Link System.
>>H2:Six Arm Unit「RX-A六臂」……OK.

 風が吹いていた。炎を孕んだ、赤い風が。

>>H3:Leg Flight Unit「EP風火輪」……OK.
>>H1:Rocket Arm Device「RXS-A乾坤圏」……OK.

 懐かしき鋼鉄の戦場。懐かしき灼熱。
 湧き上がる衝動はマシンの本能か――否。

>>H2:Main Scissors Weapon「RX金蛟剪」……OK
>>...Warning! enemy appearance!

 電脳を昂らせる警告音。来たか、第六の猟兵達。
 全行程中断。補助ヘッド立上げ――九竜神火罩、エネルギー注入開始。

 では始めよう。この哪吒、一世一代の闘争を。

 現れたるは白銀の巨兵が二体。久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)の『イグニシオン』とダビング・レコーズ(RS01・f12341)の『アークレイズ』――一騎当千の力を誇るクロムキャバリアは、片や重装歩兵めいた増加装甲を纏って、片や燕の如き俊敏な動きで建業の都に舞い降りた。
『そんな形でどこへ行くつもりだ?』
 不意に歪な電子音が響き渡る。哪吒の声――異形のマシンは真紅の炎をぶち撒いて、音より早く飛翔する。遅れて聞こえた警告音は敵の圧倒的な速度の証左。
「来た! というか……」
「もうここに居るとは。流石の速さ――」
 三面六臂の異形が両者の前に割って入る。その背後には世界を滅ぼす九竜神火罩――殲禍炎剣に等しい悪魔の兵器が、着々と力を貯えて。
『余所見をしている場合か?』
 眼前の“破壊すべき目標”に気を取られた刹那、グンと伸びた巨大な黄金の刃がイグニシオンの正面装甲を深々と抉る。火花が飛び散り、焦げた鋼とイオン混じりの不快な臭いが遥翔の鼻について。咄嗟に結界で本体への直撃を避けるも、悲鳴の様な警報が深刻な状況を言葉なく知らしめる。
「装甲三層まで直撃!? 馬鹿な――」
『柔だな、第六の猟兵』
 言い切るよりも早く哪吒の蹴りが鈍重なイグニシオンを突き飛ばす。その反動で加速した哪吒は次の獲物に狙いを定め――。
『そして、遅すぎる』
「! ベルリオーズが……」
 一心不乱に乱射されたアークレイズのリニアアサルトライフル『ベルリオーズ』の射線を遮り、哪吒が手にした一対の黄金の刃――否、巨大な鋏は頑強なその銃身を喰らう様に圧し折った。そして。
『これがどうした?』
 喰らったベルリオーズの弱点は高速徹甲弾すら貫けぬ超重装甲。そして超常が図らずともイグニシオンが纏った装甲にも似た、まるで鬼瓦を重ねた様な流麗な鎧と化して哪吒を包む。
「俺達を喰らって……変化した、と」
 それこそが哪吒の金蛟剪のユーベルコード――敵の弱点に対応した新たな異形を自らのものとする無敵の技。
『貫けるものならばやってみよ……』
 ニタリと装甲の奥の仮面が歪む。超重の哪吒は自身の声と共に、まるで巨大な竜巻の如き苛烈な破壊を――。
『吾も手伝ってやろう』
 自らを巨大な弾丸と化して、真っ向から猟兵を貫かんと空を裂く!
「何だよアレは! まるで巨大な徹甲弾じゃねえか!」
 全くとんでもないマシンだ……傍らを覗く遥翔の視線の先には、しかしアークレイズの姿は無かった。
「って……早すぎだろ!?」
『賢明だな。ではお前はどうする』
 武装を破壊されたダビングは迷う事無く戦域を離脱。青白い尾を引いて流麗なアークレイズは瞬く間に点となった。本当に……全く。
「どうするって……ハッ!」
 計算通りだ。多少解くのが速い分にゃ、釣りが出ると思って諦めようか!
「こうするのさ!」
『!?』
 SYSTEM-IGNIS、起動。爆音と共に迫る哪吒の眼前、全てを貫く弾頭が触れる瞬間、イグニシオンは光と共に纏った増加装甲の全てを脱ぎ捨てる。予想外の一瞬……その一瞬が、哪吒の判断を致命的に遅らせた。
「判断が遅い、哪吒……」
 ザザ、とノイズ混じりの声が哪吒に届く。それはダビングの声。数多の戦を駆け抜けた、歴戦からの警告。
「その判断で、宇宙は生きられない」
 最初から、得物を喰らわせ誤った判断に導く事がダビングの、そして遥翔の目的だった。その五体から機動性を封じ、装甲を貫く為だけの姿へと変えさせて反撃を封じる事が真の狙いなのだから。
「最も……元居た世界の宇宙がああでは、想像も出来ないでしょうが」
 クロムキャバリアで高高度高速戦闘は御法度だ。それを感知した殲禍炎剣は敵味方の区別なく平等に全てを破壊する。そしてこの世界でもそういったモノは――クロムキャバリアは存在しない。
『させるものか、第六の猟兵!』
「こっちも忘れるんじゃ……ねえ!」
 故に哪吒は誤った。一つ、打って出た迎撃を目的としてしまった事。二つ、それにより九竜神火罩から離れすぎてしまった事、そして三つ――。
『……!!』
 第六の猟兵を侮った事。倒せると慢心してしまった事。今ならばまだ、加速すれば九竜神火罩への直撃は避けられる。だがそれは自身を最大の危険に晒すと同義。
「残念ですが、二度目は喰わせません」
「まとめて焼き尽くしてやるよッ!!」
 炸裂したアークレイズのプラズマキャノン『ルナライト』とイグニシオンの『迦具土』の黒焔が容赦なく哪吒の五体を灼熱に包みこむ。それは超常ごと焼き尽くす、異形のマシンを骸へ導く篝火の如き輝きであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

楊・宵雪

自前のジャイアントなロボ機神『蚩尤』に乗って参戦するわ

開幕[ジャミング]で哪吒の行動を鈍らせる
これで先制に対応しやすくなるはずよ

サポートのほうが得意だから[レーザー射撃]の[弾幕]による[援護射撃]を主な行動とするわ
哪吒を直接叩くより九竜神火罩を狙ったほうが哪吒の動きを制限できるわね

哪吒の攻撃は[空中機動]で避け、[オーラ防御]でダメージ軽減するのと、九竜神火罩を背にすることで攻撃しづらくさせるわ

敵UCを防いだらこちらのUC発動し味方の攻撃のチャンスを作るわ


御形・菘

開戦と同時に、天地(の予備パーツ組み上げ品)を九竜神火罩へと向けて全力投擲!
行け! そのまま全速力で突っ込んでフルバーストだ!
同時に、各種オーラを前方に凝縮させ、全力ガードしつつ突っ込む!

はっはっは、自身が強力な兵装を持つマシンだからこそ、天地を先に墜とさざるをえまい! 妾の渾身の演技付きだしな!
まさか戦場に持ち込んだドローンが、戦闘力の無いただの撮影用とは思うまい
加えて、この身一つで真正面から突っ込んで何ができるのか、とな?

はーっはっはっは! その慢心が命取りだ!
妾には効かんよ、まして二発目など! 喝の一発でロケットパンチなどフッ飛ばす!
そして、偉大なる邪神の左腕の一撃で砕け散るがよい!



●燃える魂、熱き思いと共に
『吾が、侮ったか……クク……』
 炎の中で嗤う哪吒。戦の中で本分を忘れた己を嘲り、されど次は無いと戒める。目的は猟兵の駆逐では無い、九竜神火罩の発動だ――故に。
『ジャミングを感知。だが次こそ、こうはいかぬ』
 センサが捉えた妨害電波を即座に解析し、まるで対レーダーミサイルの如く正確に、哪吒は来たる敵へ向けて己が剛腕を打ち放った。
「って早速打ってきた! 避けて、蚩尤!」
 それは風よりも音よりも早い重量級の一撃。楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)は登場するサイキックキャバリア『蚩尤』に命じ、白い巨体が空を滑って迎撃の一打を寸での所で回避する。その衝撃が宵雪の身体を大きく揺らして。
「避けたのに……何て奴」
 直撃を貰えば戦域外へ吹っ飛ばされるか、あるいは粉々に砕かれていただろう。ジャミングで僅かに狙いを逸らす事が出来なければ、きっと恐ろしい事になっていた。こんなモノ、もう一撃を喰らう訳にはいかない。
「ならばこっちも行け! そのまま全速力で突っ込んでフルバーストだ!」
 途端、戦場に響く御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の発声と共に無数のドローン『天地通眼』が列を成して哪吒の方――九竜神火罩の下へ。ぬらりと巨体を揺らして大地を突き進む菘は仰々しく手を翳し、あたかも地獄の軍団長の如く声を更に張り上げる。
『! ここは抜かさん――』
 これ以上失態を重ねる訳にはいかない。九竜神火罩さえ守れば良い――哪吒が声を上げると共に、もう一つの乾坤圏が爆音と共に飛翔する。左右一対の剛拳は片や宙を舞って蚩尤を追い、片や放たれた菘の天地通眼を薙ぎ倒さんと火を吐いた。
『吾が乾坤の一擲を受けよ!』
 その名の通り最大致命の一撃が殺到したドローンの尽くをぶち抜いて、その衝撃が寸での所で回避出来た残りを続々と地に突き落とす。
「天地が……流石にやりよるわ!」
「って、笑ってる場合じゃないでしょう!」
 ドローンによる総攻撃――そう見えたろう。流石、妾の渾身の演技!
「これが笑わずにおれるか! 敵は超級、機巧の戦人!」
 まさか戦場に持ち込んだドローンが、戦闘力の無いただの撮影用とは思うまい。現に一人騙されておるし。まあ敵を騙すにはまず味方からとも言うからのう。
「背負うは破滅を齎す悪しき炎! この一戦に世界が掛かっておる!」
 こうなれば、この身一つで真正面から突っ込んで何が出来るかなどと高を括っている筈よ。多分。
「盛り上がろうではないか、ええ!」
『然り。只人の分際でその意気や良し!』
 ほら乗ってきた。それでも心の内は顔に出さず、菘は決死の表情を浮かべる。
『止めてみせよ、世界を終らす吾が炎!』
「応! 幾度でも止めてみせようぞ!」
「ええ。潜り抜けた修羅場が伊達では無い事――」
 こっちも乗ってきた。イイ感じで取れ高が溜まってきた……ならばここらで仕上げと参ろう。
「教えてあげるわ! 行きなさい、蚩尤!」
 ガオォォォン! 唸る風を制するは宵雪が駆る機神の雄叫び。鋼の拳が乾坤の一撃をかろうじで受けて、よろめきながら前へと進む!
『神を騙るか小娘が! フンッ!』
 それは古代中国の戦の神――蚩尤の名を冠する機神へ向けて、繰り出されるは火を噴く超常にも等しい哪吒の烈槍。その鋭い穂先を紙一重で躱し、遂に蚩尤は異形の眼前へ。
「この距離ならば、拳は飛ばせませんね!」
『只人が……小癪な!』
 零距離ならば自らを打ちかねない。それでもと威勢よく槍を繰り出す哪吒。その一撃を手にした長槍で往なしつつ、両者はじりじりと間合いを詰める。
「はーっはっはっは! その慢心が命取りだ!」
『何ッ!?』
 更にもう一人――巨体同士の打ち合いの最中、いつの間にかその足元には乾坤圏を肩に担いだ菘の姿があった。
『な、乾坤圏が……!?』
「妾には効かんよ、まして二発目など!」
 喝! 裂帛の気勢と共に手にした異形の拳を投げ返す菘。その超常は相手の力をそのまま返し相殺する権能。宵雪に向けて最初の一撃が放たれた時点で、天地が身を挺して続きを受け止めた時点で、既に勝負は決まったも同然だったのだ。
「それに三発目は……無い!」
 後はそれを最高のタイミングで見せつけてやればいい――放たれた拳はそのまま蚩尤――宵雪の下へ。そして宵雪の超常は。
「我に従い威を落とせ――急急如律令」
 超常を封じる『七星七縛符』――権能を失った必中必殺の拳はガランと地に落ち、その暇に生じた隙を蚩尤が放った無数の光条が豪雨の様に追撃する。
『呪いか……よもや!』
「否!」
 追撃は哪吒を過ぎて背後の九竜神火罩へ。最初から宵雪の狙いは決まっていた――故に。
「最後はやっぱり、これであろう?」
 己か背後か、何を守れば良いのかと逡巡したのが最後、足元より迫る蛇神の――邪神の強烈な左腕が、哪吒の正面を豪快に削ぎ落し、彼方へと吹っ飛ばした。
「後悔、させちゃったかしら?」
 蚩尤の中で宵雪が悪戯っぽく微笑む。神であろうと仙人であろうと、惑わして見せるんだから……悪く思わないでね。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽向・理玖


めっちゃ武装固めてて
まさに哪吒って感じ
滅茶苦茶強そう

だけど
わくわくしてる
って不謹慎か

行こうぜ
スタークドラゴン
お前と俺で負ける訳ねぇ
覚悟決め

一対の鋏って事は
やっぱそういう動き?
分かればある程度対応出来る
動き予測し見切り
UC起動し加速
姿勢低くし衝撃波撒き散らし切っ先ぶらし残像纏いダッシュ
滑り込み足払いし吹き飛ばし
九竜神火罩巻き込む様蹴り飛ばす

仮に多少剥ぎ取られた所で
自己修復出来るしある程度は保つ筈
俺の弱点って事は遠距離攻撃とかか?
この場合は逆効果だろ
常に射線や攻撃受ける位置に注意
九竜神火罩も巻き込むように動く
こうしたら止めるなり何なりするだろ?
敵の勢い利用し受け流しカウンターで投げ
纏めてぶっ壊す


フランツィスカ・リュッツオウ


空を奪われるなど、我が故郷のみで十分だ。
何処から流れてきたかは知らんが、余計な物を持ち込ませる訳にはいかんな。

まずは空に上がらねば始まらん。此方は初めから飛翔状態だ。さぁ、さっさと来るが良い!
私も速度自慢ではあるが、奴の方が速かろう。しかし、九竜神火罩を守らざるを得ないはず。一撃離脱に徹し、火炎旋風から距離を取ろう。
そう、足の使えぬ機動兵器なぞ恐るるに足らん。常に高所を取りつつ、哪吒と九竜を同軸射線上に捉え、着実に損傷を蓄積させる。

相手が業を煮やして白兵戦を挑んで来ればこっちのもの。機関砲を投棄し長剣を抜刀。位置と速度の両エネルギーを破壊力へと転化し、真っ向勝負だ。

空において遅れは取らんッ!



●熱き思いは、蒼穹を越えて
「――めっちゃ武装固めてて、まさに哪吒って感じ」
 瓦礫を払いゆっくりと立ち上がった哪吒を見やり、陽向・理玖(夏疾風・f22773)は『スタークドラゴン』の中で微笑する。ヒーローズアースやUDCアースの伝承にある通り、全身武器庫の出で立ちは矢張り、心に疼くモノがある。
「アレは人型のガンシップみたいなものだ。まさか怖気づいたのか?」
 理玖の声を聞いて、航空戦用キャバリア『シュヴァルベ』を駆るフランツィスカ・リュッツオウ(音速越えの叛逆者・f32438)が苦笑する。旧式と言えどこの世界では十分新型――決して遅れをとる事は無い。
「冗談。むしろわくわくしてる……って不謹慎か」
 二人はそれぞれのマシンで今はまだゆったりと飛んでいた。揺らめく陽炎、風の音、全身で空の気配を感じ取り――。
「いい心掛けだ。こういう時こそ楽しまなくてはな。それに」
 風向きが変わる。途端、眼下の哪吒がけたたましい音と共に火を噴いて飛び上がり、その背後には九竜神火罩――破壊すべき目標がある。それを見やり、フランツィスカは忌々し気に言葉を続けた。
「空を奪われるなど、我が故郷のみで十分だ」
『……ほう、同胞か』
 不意に無線が哪吒の声を運ぶ。同胞だと? あの地獄から抜け出した貴様が、どの口でその言葉を吐くというのだ!
「一緒にするなガラクタめ。何処から流れてきたかは知らんが――」
 そして、地獄の門を再びこの地で開かんとする。そんな事を許せるか? 言うまでも無い――。
「ココに余計な物を持ち込ませる訳にはいかんな」
「ああ。それじゃあ行こうぜ」
 理玖が続いて。そうだ、ここに居る者は――第六の猟兵は、その誰もが何がしか世界の地獄を覗いた者ばかりだ。奴の所業を見逃す訳が無い。
「スタークドラゴン、お前と俺で負ける訳ねぇ」
 変身――爪弾く音色と青き鋼が五体を包み、龍は虹色の光と化す。
「往くぞシュヴァルベ。あの木偶の坊を教育してやろう」
 スロットル全開――垂直に白い尾を引いたマシンが疾風と化す。
『やって見せよ、第六の猟兵達ッ!』
 そして異形は火球と化して――災厄は三度、戦場へ舞い降りた。

「やっぱ、そういう動きかッ……!」
 残像と衝撃を振り撒いて攪乱、今まではそれで良かった。だがこの相手は――哪吒はそれらを纏めて火球で貫き、理玖の軌道を先回りして大太刀の様に黄金の鋏を振り回す。
『流石、吾が動きに付いてこられるとはな』
 アレを喰らえば厄介だ――俺の弱点、格闘戦に特化した戦術の対抗は恐らく。
『だが、遅いィッ!!』
 火花が散って、スタークドラゴンの青い装甲が抉られる。下手したら片腕ごと持っていかれただろう……かろうじで剣先をずらし直撃を回避。それでも左腕の外殻をごっそり持って行かれた。だが。
「抜かせ、貴様もだよ……!」
 こっちは一人じゃない。太陽を背にしたフランツィスカの銃撃が割って入り、寸での所で二の太刀を回避する理玖。銃撃は弧を描いて哪吒を追尾し、遅れて聞こえた爆音がシュヴァルベの獰猛な牙を嫌が応にも知らしめる。
「この世界に長居し過ぎて空の戦い方を忘れたか?」
『そんな豆鉄砲で抜けると思うな――』
 急降下、そして急上昇。時折九竜神火罩へ牽制の銃撃を叩き込み、奴の気を逸らしつつ一撃離脱で着実にダメージを蓄積させる。
「ハッ! だが豆も喰らい過ぎれば腹が膨れてくたばるぞ!」
 挑発を交えて再び哪吒の上を取るシュヴァルベ。徐々に火球の意は削がれ、推進器代わりの風火輪が姿を曝す。相手が大物なら持久戦だ。それが出来ぬ時こそ――。
『ならば……これでまとめて薙ぎ払ってくれよう!』
 ガチャリと、哪吒が携える黄金の鋏が変容する。甲高い音と共に足元の火の粉が吸い寄せられて、巨大な火球が圧縮される形はまるで――キャバリア用の荷電粒子砲。それはスタークドラゴンを喰らい手に入れた力の一端、長距離から敵を撃ち取る超常の武装。
「だと、思ったぜ」
 それを見やり理玖は口元を歪ませた。自身の弱点を攻めるならば、やはりそう来るだろうと踏んでいた。ゆらりと位置を変えた理玖は九竜神火罩の前に陣取って。
「撃ってみろよ。それで全部終わりだ」
(そうか、距離を取れば九竜神火罩を盾に取り……)
 哪吒は思案した。幾ら正確に狙おうとこの兵器の威力ならば貫通して九竜神火罩に被害が出る。しかし威力を絞れば奴に逆襲の切っ掛けを与えてしまう。
(ならば、あの鬱陶しい奴から……!)
 天を仰ぎ飛び回るシュヴァルベを睨む哪吒。だがこの距離で、奴が真っ直ぐ下りればその先には九竜神火罩が……ならば!
『まずは貴様から叩き切ってくれようぞ!』
 満身創痍の青い奴は置いて、頭上の蠅を潰せば良い。黄金の鋏――金蛟剪が閉じられて、炎が長大な刀身と化す。それは哪吒の身の丈を遥かに超えた超常の剛剣。触れれば荷電粒子の威力を喰らいただでは済むまい。だからこそ。
「馬鹿め、空戦の基本も知らんのか!」
 これが勝機だ。上空で反転し太陽を背に急降下。余分な武装は最早いらぬ――五体とこの手の剣があれば良い!
『!?』
 不意に投棄した武装群を目眩ましに、更に加速したシュヴァルベは音速の衝撃を伴って哪吒の頭上擦れ擦れへ。位置と速度の両エネルギーを破壊力へと転化し、真っ向勝負! 空中戦の基本だ。如何に力を貯えようと物理法則さえ通じれば――。
「空において遅れは取らんッ!」
 この刃は必ず届く! シュヴァルベの一閃が金蛟剪を弾いて、その勢いで哪吒諸共地上へ突き落とす!
「いい位置だ……そのままッ!!」
 落ちた哪吒の先にはいつの間にか移動した理玖――スタークドラゴンの姿が。自己再生で身体を動かす事ぐらいは出来る。それに。
「その技、この場合は逆効果だったな……これが一石二鳥って奴だ!」
 グン、と腰を入れたスタークドラゴンが哪吒を放り投げる。腕が六本もあるんだ……投げ易いったらありゃしない。それに落下エネルギーが加わった威力は、如何に頑丈なマシンであろうと絶大なダメージを与えるだろう。
『馬鹿な、そんな……』
 鋼同士がぶつかる轟音が響く。理玖に投げられた先――九竜神火罩に直撃した哪吒はそのダメージを最小に抑えるべく無理な受け身を取って。しかし自身が最強のマシンであるという過信は――最早、粉々に打ち砕かれた。
「いい様だな、え?」
 不気味な方向へ曲がった異形の腕を見やりフランツィスカが口を歪める。
「へッ……ちゃんと稽古しとけよ」
 だらりと腕を伸ばしてスタークドラゴン――理玖が続く。
 戦場で最大の武器は道具では無い。経験と鍛錬に裏打ちされた実力を見せつけて、二体のマシンは雄々しく大地に並び立った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

朱鷺透・小枝子
苦しむぞ!
準備は良いな主よ!!

亡国の主を【操縦】
破魔の鉄大団扇の霊力で【オーラ防御】闘争心で増幅した風のオーラで亡国の主を覆い、あえて火炎竜巻の中に突撃!敵機から自らの姿を隠す!

ああああ、壊す、壊せぇえええ!!

心頭滅却【闘争心】敵への戦意で熱さなど意に介さず『破壊翼』
【継戦能力】亡国の主と融合し霊物質で機体修復、超巨大翼で内側から竜巻を【吹き飛ばし】九竜神火罩を覆うように翼を展開し羽根の放射を狙う

…翼が接触しないようにするなら、内側から押し戻す筈…!

両翼を止める為に内側へ移動してきた哪吒へ、高速【推力移動】崩壊霊物質を纏った足で、高速飛翔からの【解体呪詛、重量攻撃】蹴り穿ち、内部から破壊する!



●蒼穹を貫く意志
『ダメージレベル……許容範囲、内』
 ぐらぐらと揺れる歪な腕。それらを纏めてパージして、哪吒は再び立ち上がる。
『見事な戦いだ、第六の猟兵……』
 途端、濁ったオイルを吐き出して、新たな腕が再生する。オブリビオンマシン哪吒――その本質は、骸の海さえあれば何度でも蘇る異形の機械。

>>Left Arm1 Regeneration
>>Left Arm2 Regeneration
>>Left Arm3 Regeneration

『吾は学習した。そして、次は無い』

>>Right Arm1 Regeneration
>>Right Arm2 Regeneration
>>Right Arm3 Regeneration

>>Condition check All green

『では闘争を再開しよう。覚悟は良いか?』
 その声は、傍で佇む幽鬼の様なジャイアントキャバリア――『亡国の主』に、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に向けられて。
「…………」
『覚悟は良いかと聞いている、第六の猟兵――』
 ざり、と一歩を踏み出した哪吒。両脚の風火輪より灼熱の竜巻を巻き起こし、宙に浮かんで大地を炎で染め上げながら。
『ならば、こちらから参るぞ……!』
 言うまでも無い。そんなモノ、ずっとしている。
『焼き尽くしてくれるッ! 紛い物の巨人がッ!』
「ああああ、壊す、壊せぇえええ!!」
 瞬間、世界が爆ぜた。

 苦しむぞ!
 準備は良いな主よ!!
 これより先、我等は修羅に入る。
 進むも戻るも先は地獄! ただ一つそれを乗り越えるは!
 目の前の奴を屠るのみ!

 心の奥底で吼える小枝子に呼応して、亡国の主は地獄の炎に身を晒す。ユミルの子たるジャイアントキャバリアの肉が焼け焦げる臭い。渦巻く怨嗟と怨念の声。その全てを一身に受けて、マシンの超常は地獄を更なる劫火へ――。
『何だ、これは!?』
 その劫火は炎にして炎に非ず。悪霊を構成し悪霊が操る霊物質。戦場ある限り尽きず、悪霊は幾度でも蘇り、終われない。亡国の主が内に秘めた怨念。戦場に揺蕩う罪無き人々の無念。それらが尽きぬ限り、小枝子の超常は――『破壊翼』は納まらない。
『霊的物質か。いや、それだけでは無い』
 その炎はやがて白き灰と化し、膨れ上がった超常の権能は白き翼となって戦場を九竜神火罩ごと大きく包み込む。翼は、逃れえぬ魂の慟哭と共に哪吒へと襲い掛かって。
『触れれば只では済まぬか……吾の炎と、同じに!』
 そのまま哪吒は地に落ちた。自身の超常すら上回る恐るべき権能――ならば翼が届かぬ最奥へ、かの根源まで近づけば同じ滅びは避けられる筈!
「させ、るかぁぁぁぁッ!!!!」
 びゅんと突風が大地を切り裂く。その風は大地ごと哪吒の五体目掛けて吹き荒び――風を貫き亡国の主の直蹴りが鋼の胸元に届く。
「……吹き飛べ」
 忌まわしき、あの衛星兵器と共に。羽ばたいた亡国の主は空中から強烈な直蹴りをドラムロールの様に左右で繰り返す。
『いか、ん……!!』
 全力を込めた跳び蹴りが異形を吹き飛ばして。内からも外からも破壊の衝撃が、五体を引き裂く様な滅びの意志が哪吒を蝕み、崩していく。
『そうか、第六の猟兵……貴様も』
 世界を超えて人の意思を紡ぐもの。それが破壊であれ、再生であれ。
 だからこそ唯一の、我等と対峙する存在になるという事、か。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK

空から地上を焼く、あの兵器は打ち上げさせたらダメなの
この桃の花と自然の綺麗な世界を、燃やせたりはしないの

アルターギアに自立プログラム(【索敵・空中機動・残像・ダッシュ・属性攻撃・誘導弾】)を作成
魔力弾を撃ちながら飛び回る様にして囮になってもらうの

ぼくはコクピットじゃなくて背面のスタビライザーの1つに、【オーラ防御】の【結界術】で光学迷彩をしつつ、風圧や慣性を緩和して、
隠れながら近づくの

被弾したら、ダメージを装ってスタビライザーと一緒に落下
自立して動き、攻撃を加えるアルターギアに注意を上に引き付けてる間に、
さっきの結界に加えて探知波を魔力で【ジャミング】もしつつ、狼の脚力を活かして、ばれないように一気に近づくね
ごめん、アルターギア…、がんばって

九竜神火罩を盾にできる位置まで走ったら、
【高速詠唱】でUCを【全力魔術】なの
【多重詠唱】で【乱れ撃って】、もろとも、撃ち抜くよ



●その意志は鋼と共に
 マシンの電脳に再び火が灯る。
 被害は甚大。されど九竜神火罩は健在。まだ続ける事が出来る――この世界に炎の破滅を齎す、恐るべき災厄を。
「空から地上を焼く、あの兵器は打ち上げさせたらダメなの」
 だから、止める。この身を賭して。ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は吹き荒ぶ風に身を委ね、祭壇にして愛機たるクロムキャバリア『アルター・ギア』の背に乗って飛翔し、眼下の異形に闘志を燃やす。
『ならば童よ、如何とするか?』
 ぐらりと異形が身を上げる。脚部EP風火輪:修復率55%、第五第六腕部RXS-A乾坤圏:修復率87%――これならば、戦える。
「この桃の花と自然の綺麗な世界を、燃やせたりはしないの」
『その心意気や良し! では止めて見せよ――』
 少年が宣う、振り絞った勇気の答えを。異形が嗤う、幾度と無く繰り返した問答だ――故に。
『この破滅の炎を!』
 爆音が轟いて噴煙と共に拳が音速を超えた。その衝撃が瓦礫を吹き飛ばし、散った灰燼が軌跡を描いて――一直線に、アルター・ギアの下へ。
(来た。回避パターン、プログラムは正常……だけど)
 真正面から飛来した鉄塊を躱さんと身を捩るアルター・ギア。しかし先んじて届いた衝撃が気流を乱し、ごぉんと鉄板を叩き付ける様な大音と共に機体を大きくぐらつかせる。
(残像ごと打ち消した……このままじゃ!)
 予め展開した回避プログラム――牽制の誘導弾を交え残像を展開しこちらの位置を予測させない。それでも尚、哪吒の一撃は凄まじく、たった一打の乾坤圏がそのまやかしを全て掻き消した。そして。
「くっ……やっぱり、凄い威力なの」
 乾坤圏は二つある――もう一方ががら空きになったアルター・ギアの腹部を直撃し、あわやロランごと機体は瓦礫まみれの大地に墜落しかける。
『どうした? 飛び回るだけではこの乾坤圏、止められはせぬぞ!』
「!?」
 辛うじて体勢を立て直し超低空飛行。再びデコイの残像と誘導弾で頭上の乾坤圏を牽制しつつ、アルター・ギアは一直線に哪吒の方へと突き進む。
(ごめん、アルター・ギア……もう少しだけ、がんばって)
 ここまで来れば、後は――歯を食いしばってロランは身を隠し、己の内なる牙を研ぐ。あと少し、奴がアルター・ギアに気を取られている内に。
『かような戯事でこの哪吒の目を誤魔化せると思ったか!』
 再び爆裂した乾坤圏がクンと向きを変え、哪吒へ迫るアルター・ギアを頭上から強襲。それを撃ち落とさんと無数の火線が纏わりつくも、鋼の巨腕はその速度を緩める事は無い。着弾まであと僅か、次を喰らえば如何にアルター・ギアと言えど無事では済まない。
『終いだな。これにて爆ぜよ!!』
「そう、だね……これで、お終いなの」
 その声の主――ロランは哪吒と九竜神火罩の間に立っていた。先の墜落間際に己が身を隠し、人狼の脚力で異形に気取られぬ様その懐へと辿り着いていた。ここからならば、哪吒は咄嗟にロランを撃つ事は出来ない。
『背後だと!? いつの間に――』
 そのロランの後ろには九竜神火罩が――ここで全力の迎撃は行えない。そして乾坤圏は未だ地を駆けるキャバリアを追い続けている。
「対消滅術式、展開――」
 息を切らせて駆け抜けたロランの消耗は激しい。だがここで意志を紡がねば、自分の、そしてアルター・ギアの努力も徒労となる。そんな事、させはしない!
「ターゲットロック、ヒート・コールド、ミキシング。レディ……」
 瞬間、閃光が空間を支配した。その光はロランの左右に展開された白く輝く魔法陣――『狙い定め撃つ破滅の光』の照星に他ならない。
『馬鹿な、やめ――』
「ぼくの、魔術、受けて……みて!」
 照星が空間に溶け消えると同時に、熱波と冷気の破壊消滅の輝きが哪吒と九竜神火罩を襲った。音よりも早い光速の超常は大地を抉る様に広がり、そして。
「もろとも、撃ち抜くよ」
 哪吒の姿は光諸共消え失せて――少年の強き意志は邪悪な異形を貫いたのだ。
 その光は少年の、誇り高き魂の輝きの様であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイミィ・ブラッディバック
●△
(キャバリアに搭乗し、キャバリアごと真の姿となる)
任務了解。
これよりオブリビオンマシン「哪吒」を排除する。

乾坤圏の攻撃はWHITE KNIGHTに見切らせる。その上で、空中機動を行い、常に乾坤圏と自分の間に九竜神火罩が挟まれるように動く。
敵は九竜神火罩への被弾を恐れて乾坤圏の動きに制限がかかるだろう。
九竜神火罩の防衛を念頭に置いた戦術を選ぶべきではなかったな、哪吒。

その上で、YESODよりタキオン粒子を放出。
有効時間113秒の間にケリをつける。
そうだ、状況はこれで完成された。貴様が勝利する可能性は──「ゼロ」だ。

CHESEDとGEVURAHの銃口を九竜神火罩に向け、哪吒を誘い出す。そうだ、私が勝利するという後方因果関係の構築が成立した現在の状況ではそうせざるを得まい。だからこそ……その攻撃手段を奪える!
CHESEDとGEVURAHを撃ち、乾坤圏を全て撃墜。YESODのスラスターを全開にして最大戦速で接敵し、CRESCENT MOONLIGHTで連続斬撃、神罰とする!

任務、完了──!



●鋼の戦神
 戦場に迸るは超常の白光と荒れ狂う紫電。光の奥、対消滅の衝撃で消し炭と化した哪吒を見下ろし、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)はアイセンサを静かに光らせる。
「――任務了解。これよりオブリビオンマシン『哪吒』を排除する」
 奴はまだ生きている。流石のオブリビオンマシン――この世の理から解放された邪悪は、煤けた装甲を吹き飛ばし新たな五体をその場で新生させる。生身ならさぞグロテスクな様相だったろう……だが。
『排除とは大きく出たな、絡繰風情が』
 奴はマシンだ、己と同じ。魂の様なプログラムで破壊活動を行うだけの器に過ぎない。ギラリと双眸に光を滾らせてジェイミィの『CAVALIER TYPE[JM-E]』を見上げ、彼方より舞い戻った鋼の剛腕を空いた六臂のジョイントに接合する哪吒。
『だが吾の乾坤の拳は健在よ。その痩躯で――』
 瞬間、迸る炎がチャージの完了を告げ、そのまま鋼の暴力が轟音と共に放たれて――。
『受けられるかッ!!』
 空を裂く。音よりも早く飛翔する鉄塊はJM-Eをブチ砕かんと、哪吒の気勢が乗り移ったかの様に更に加速する。
<<対象脅威判定:高 回避シーケンスに移行>>
 事象予測AI『WHITE KNIGHT』が淡々と状況を告げ、同時にJM-Eは青白い炎を吐きながら稲妻状の機動を取る。高等技能の空戦回避シーケンス。全方位にベクトルを瞬時に向けて、攪乱と回避、そして迎撃を同時に行うマニューバだ。
<<3657通りの内、3550通りが無効。警告、衝撃に備えよ>>
 既に十分揺れているんだが……内心で舌打ちし、指定された残り107通りの回避パターンから更に絞り込み、分岐が最大のナビゲートに沿ってマニュアルで回避行動。これが一番出口が多い……だが予測通り(それも最悪の)JM-Eは無事では済まなかった。刹那、強烈な振動がジェイミィを襲う。
「流石に、殲禍炎剣の代行者は伊達ではないか。だが」
 乾坤圏は鉄塊のみならず、大気ごと揺らした超音速の衝撃が機体を上下左右に揺さぶる。しかし中のジェイミィはしたり顔でモニタ上の哪吒を睨んだ。
「九竜神火罩の防衛を念頭に置いた戦術を選ぶべきではなかったな、哪吒」
『何だと……?』
 奴は焦っている。先の奇襲で守るべき九竜神火罩もろとも直撃を受けた。間一髪張り巡らせたエネルギーフィールドで全損は避けたものの、今やチャージと同時に修復を行わなければならない状況に陥ったのだ。
<<YESOD/CHESED/GEVURAH/TRIPLE SERAPHIM DRIVE...Full active>>
 続けてAIが『セフィロトウェポン』と『天使核動力』の起動を宣言。途端、白銀の瘦躯は巨大な一対の翼と光輪を背後に展開し、手にした二丁の銃が猛獣の如き嘶きを始めた。
<<START FOMULA: Imperet illi Deus, supplices deprecamur...>>
 そして審判が――絶対勝利の因果を紡ぐ超常が光と共に発せられる。舞い散ったタキオンの青光りを全身に受けて、JM-Eの五体はあたかも宙に浮かぶ死神の如き有様に。否、それは死を告げる天使――。
<<活動限界までカウントスタート。113、112...>>
 無慈悲な宣告はその代償。だが十分だとジェイミィは接続された思考操縦桿を手も振れずにかたりと動かした。
『派手に光りちらした所でどうとなる、第六の猟兵?』
 100秒もあれば十分釣りが出る。請求先は張角あたりか……等と胡乱な思考を掻き消して、告死天使は鮮やかな軌道で哪吒の頭上へ瞬く間に現れた。
「そうだ、状況はこれで完成された――」
 銃口の先は哪吒――ではない。破壊すべきは世界を破滅の炎に包むあの兵器。
「貴様が勝利する可能性は――『ゼロ』だ」
 九竜神火罩、紛い物の衛星兵器に向けて二丁の猛獣はがばりとその咢を大きく開く。牙の様なエネルギー収束器にプラズマ塊が形成されて、その光に照り返された哪吒が忌々し気に声を上げた。
『させるものかよ、そんな虚仮脅し!!』
 未だ乾坤圏は健在。それもJM-Eのすぐ後ろを飛んでいる。ならば、そのプラズマが発されるよりも早く貴様を穿つか――。
(そうだ、私が勝利するという後方因果関係の構築が成立した現在の状況ではそうせざるを得まい。だからこそ……その攻撃手段を奪える!)
 その鉄塊でプラズマの暴威を防げば良い! 数多の戦を駆け抜けたこの宝貝は伊達ではない! 吼える哪吒の威を受けて加速した剛腕が、雷光を背負い一直線!
「虚仮かどうか試してみるか、哪吒」
『――乾坤圏ッ!』
 翼を生やした鋼の拳はプラズマよりも早く、九竜神火罩の前を遮った。その威は削がれず、返す拳でそのまま奴を――。
『なッ!?』
「任務、完了――!」
 電脳が焼き切れた感触……それが、哪吒の最後の記憶となった。
 月光の名を冠する光波剣が哪吒の顔を貫く。光速を超えるタキオンの推力がJM-Eを哪吒の前へと瞬時に運び、その光刃が異形の巨体を真っ二つに両断する。
「これが神罰だ、哪吒」
 神にも等しい超常の御業は悪しき因果を断ち切って――舞い散る白き羽根が落ちるよりも早く、異形のオブリビオンマシンは声も無くその場に崩れ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・つかさ
ふうん、この世界にもオブリビオンマシンが存在したのね。
別世界から落ちてきたのか、それとも元からこの世界にそういうテクノロジーが存在したのか。
興味は尽きない所だけれど、戦争だしね。破壊させてもらうわ。

スルトに搭乗して参戦
当初は真っ向からの近接戦闘を挑む
敵コードは如何にスルトが装甲自慢といっても損傷は免れないはず
でもスルトの機動性じゃ避けきれないので、損傷覚悟で防御
そして陸戦型重装甲格闘機のスルトの弱点は「空中高機動射撃戦」
遠くを飛び回られながら攻撃されたら、手も足も出ない
でも、今回はそれでいい

飛ばれたら、哪吒を無視して一目散に九竜神火罩へ突撃
同時に【究極!電離蹴】発動、一気に加速して強襲をかける
高速で飛来する質量兵器を止めるのに必要なのは単純なパワーと装甲
止めたくば、追いついて正面から受け止める他ないのだけれど
機動性と射程を重視した機体の生半可なパワーでは、最早スルトを止める事は不可能よ

さあ、真っ向勝負と行こうじゃない
我が魂の炎、極限まで高まれば……倒せぬ者など、何もないわ!


グレートスカル・キングヘッド

ギャハハハ!異世界にオブリビオンマシンがいるとはな!
それじゃあグレートな傭兵、グレートスカル・キングヘッド様の相手をしてもらおうか!

ネビロ・サーベラスと合体しサーベラスブレイドを持って突撃!相手も武器が刀剣類なら近接戦闘、こっちに近寄らざるをえないよなぁ!
重い大剣と二刀なら手数は向こうが上、致命傷は剣で受け守勢の剣戟の応酬…
相手が剥ぎ取った部位を食らうならそこで攻撃は緩むはずだ…

その隙にサーベラスブレイドを当たらなくてもBS-F九竜神火罩の方へ投げ
意識を向ける

そのして相手へ取っ組み両手の動きを止め至近距離からの
サーベラス!ブラスター!だぁ!!                                   



●戦神、二人
「ふうん、この世界にもオブリビオンマシンが存在したのね」
 別世界から落ちてきたのか、それとも元からこの世界にそういうテクノロジーが存在したのか――荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)はスーパーロボット『スルト』の中で思案する。以前の戦争でも似たような事例はあった。だが殲禍炎剣紛いの超兵器まで用意するとは尋常では無いと、つかさの歴戦の勘が告げていた。
「興味は尽きない所だけれど、戦争だしね」
 がらりと、剥き出しの筋肉めいた内部構造を露出した哪吒が立ち上がり、眼前に立つスルトを睨み言葉を紡ぐ。
『そうだ、戦争だ。ならばどうする第六の猟兵?』
「当然……破壊させてもらうわ」
 言うよりも早く身の丈に匹敵する超巨大鎖鋸剣『黄昏を灼く焔の巨剣』――レーヴァテインを振りかざし、スルトは全身のスラスターから火を噴いた。同時に哪吒が抜き放った黄金の刃――RX金蛟剪がその威を受けて、飛び散った火花がモニタを白に染め上げる。
「哪吒の名の通り、伊達じゃあないわね」
『金蛟剪の太刀筋を受けるとは、貴様も中々にやる様だ!』
 ぶつかり合う鋼と鋼。だが奴の超常はその刃で相手を喰らい自身を強化する。重装甲格闘機のスルトにとって、変幻自在な哪吒の動きは非常に厄介。この攻防も何時まで続くか――思案した矢先、爆音が戦場に轟いた。
『どうした、凌いでばかりでは――何奴ッ!?』
「ギャハハハ! 異世界にオブリビオンマシンがいるとはな!」
 その爆音は炎を纏ったロボットヘッド――グレートスカル・キングヘッド(地獄の告死骨烏・f33125)そのもの。派手に火の粉を舞い散らかして、火達磨の骸骨はゲタゲタと声を上げて笑う。
『界渡る貴様らがそれを言うか。その首に瓦礫を詰めて黙らせてやろうぞ!!』
「そうかいそうかい。それじゃあグレートな傭兵、グレートスカル・キングヘッド様の相手をしてもらおうか!」
 途端、煤けた空に漆黒の穴が――その虚空より悪魔めいた巨大な鎧が姿を現わし、ずしんと大地にその身を降ろした。
『面妖な、いや……そういう事か!』
「ファイヤー・イン! さあどっからでも掛かってきやがれってんだ!」
 叫ぶ哪吒と同時に、グレートスカルがその鎧の首となる。スーパーロボット『ネビロ・サーベラス』――地獄の炎を動力とした機械の魔神が、その手に武骨な鋼の塊――『サーベラスブレイド』を携えて爆炎と共に哪吒へと突っ込んだ!
『面白い! だが容赦はせぬぞッ!!』
 ガキン! スルトとサーベラスの打ち込みが同時に哪吒を圧し潰す。されど哪吒の手には分かたれた金蛟剪が、それぞれの打ち込みを絶妙な角度で凌いでいた。六臂の内四本の腕を使い、圧倒的なスーパーロボットの威力を受け止めた姿は、哪吒が強大なオブリビオンマシンである事を改めて知らしめる。
「馬鹿な、レーヴァテインと……」
「サーベラスブレイドを……」
 じりじりと火花を散らして、それぞれの刀身の根元を抑える様に金蛟剪が徐々に二体を制していく。
『二刀で来るならばこうすればよい。ヌンッ!』
 そして玄妙な手の内が刹那に二つの剣を跳ね上げて、同時に金蛟剪は再び鋏の姿を取り戻し、強引にスルトとサーベラスの装甲を抉る様に斬り裂いた。
『そしてこうなった吾を、止められるかッ!?』
 つまり、超常の発動条件が揃ったという事――剥き出しの内部構造を隠す様に新たな鎧が形成され、背中に生えた鋼の翼が哪吒へ強烈な飛翔能力を齎す。
「ふふ、フフフ……」
「どうしたお前、何がおかしい」
 空よりジロリと睨みを利かす哪吒を見上げ、つかさは込み上げた思いに耐えきれず笑みをこぼす。その様を見やりグレートスカルは流石に訝しんだ。
「ならば! その速さと硬さごと!」
 そうだ。ここまでは予想通り。速さと硬さを手に入れた奴はスルトが追える相手では無いだろう。だからこそ、奴が来るなら――。
「焼き溶かしてブチ貫くのみッ!!」
「グレート! 乗ったぜその提案!」
 いつも通り、正面から突破するだけの事! それはグレートスカルも同じ!
『ほざけ、たかがマシンが二体程度で!』
 爆炎に包まれた二機を見下ろし、金蛟剪が変化したライフルを乱れ撃つ哪吒。穿たれた大地が砂埃を巻き上げて……されど。
「そんな豆鉄砲――」
「効くわきゃねえだろッ!!」
 自慢の鋼に包まれた二人の猟兵にそんなモノは効かぬ。動きを封じられようと、その装甲を、魂を、貫く事など出来はしない!
「さあ、真っ向勝負と行こうじゃない」
「行くぞサーベラス、フルパワーだッ!」
 雄叫びと共にサーベラスが炎に包まれた鉄塊を――サーベラスブレイドを投げ放つ。狙いは哪吒ではない。その先、必ず破壊しなければならぬ破滅の源。
『そんな棒切れで九竜神火罩を……!』
 その一撃は金蛟剪の一閃で直ちに叩き落とされる。だがそれで十分。二人のマシンが超常のパワーを満たすには、その一瞬で十分だ。
「一つ一つのマシンの火が」
「たとえ貴様に届かなくとも」
 ゴゥン――空が歪んで、スルトの全身に紫電を炎が絡みつく。気合一閃、魂を込めた必殺の煌めき。
「二つの火が重なればそれは、炎!」
「この獄炎で燃え尽きな!」
 ドォン――破裂した大地の奥、炎を纏ったサーベラスが赤く、そして白く灼熱の渦に包まれる。
「サァァァベラスッ! ブラスタァァァァ!! だァァァァッ!!!!」
 跳躍し稲妻の如きプラズマを纏ったスルトの背中を押す様に、サーベラスが放った灼熱の波動が更に威力を重ね――多少の痛みは根性で耐える! そして!
『何だ、これは、ええい……乾坤圏! 風火輪! 金蛟剪!』
 積み上げた鍛錬が、努力の結晶が宿るこのスルトと、地獄の業火を纏ったサーベラスのパワーが合わされば……炎と化したスーパーロボットは無敵ッ!!
 矢継ぎ早に繰り出された猛攻をものともせず、炎は全てを焼き焦がし、遂に九竜神火罩の前に立ち塞がる哪吒の下へ!
「魂の炎を纏った私達は最強無敵、止められるなら止めてみなさいッ!!!!」
   爆
 究  炎
  極  電
   !  離
       蹴
        !!!!!!!!
『……!?!?!?』
 異形を貫き、聳え立つ九竜神火罩を土台ごとブチ貫いた奇跡の一撃は、文字通り跡形も残さず全てを灰燼に帰す。
「我が魂の炎、極限まで高まれば……倒せぬ者など、何もないわ!」
「これがジョーカーって奴よ。ギャハッ!」
 それが第六の猟兵たる者の宿命。舞い散る炎を見下ろして、二つの鋼ががっしりと互いの手を握る。この世界に終焉は、まだ早い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン


剥き身で鉄騎と相対した事は幾度も
されど、桁違いの脅威値です

九竜神火罩へと接近
迎撃のRX金蛟剪…でなく、握る手に対し怪力で大盾を投擲

四肢が削られる程度は許容範囲です…!

衝撃でズレた狙い突き、瞬間思考力にてその間隙見切り脚部スラスターの推力移動で潜り抜け

用途申請、大量破壊兵器発射阻止!

UC解禁

剣に眠る設計図…未完の兵器
敵手と同等の体躯
“騎士に討たれるべき邪竜”の姿へ

住まう星を砕いた愚かな世界…その負の叡智の末裔として地を焼く兵器による滅びなど…

例えこの身が、騎士を模倣する戦闘兵器に過ぎぬとしても!

哪吒、その存在意義、私が見出した存在意義に賭けて砕かせて頂く!

EPDユニットから素粒子●蹂躙する砲撃を戦場に放ち
触れた対象全て創造主が愛した花に変換

…打ち消し!
弱点に対応…同等の能力得ましたか

ですが、我が素粒子干渉の矛先は九竜神火罩
対応用リソースを温存せざるを得ない其方に負けるつもりなど!

砲撃ちらつかせ、超常の力の打ち消し合戦
結実するは単純な剣と竜尾用いた白兵戦

剣突き刺し内部に干渉能力流し込み炸裂



●罪と罰
 崩れ落ちた九竜神火罩は未だその息吹を失ってはいなかった。チャージさえ完了すれば、土台がなければ自らが代わりとなればいい――瓦礫から身を起こした哪吒も満身創痍ながら、未だ潰えぬ破滅への希望に全てを賭けて立ち上がる。
『……して、その形で吾に挑むか』
 そそり立つ異形の前に現れたるは蒼銀の機械騎士。キャバリアも無い、哪吒の半分程度の身の丈ながら、満ちる闘気が全身に紫電を迸らせて。
「剥き身で鉄騎と相対した事は、幾度も」
 ゆっくりと言葉を紡ぐ機械騎士――トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はスラリと直剣を抜いて、悪魔のマシンに敢然と対峙した。
『……舐めた口を』
 重々しく言葉を返す哪吒の圧が、トリテレイアの電脳に数多の戦の記憶を浮かばせる。矢張り桁違いの脅威値です。白騎士とも、終末世界の超兵器とも違う禍々しいマシン。そして、それ以上の脅威――九竜神火罩なるカタストロフの源がここにはある。
「いいえ。だからこそ、この身のまま参ります」
 だからこそ止めなければ……電脳が焼けるように熱い。だがその熱さこそが、己が魂の叫びに他ならない。青白いスラスターの炎が爆音と共にトリテレイアを浮かせた刹那、哪吒の黄金の刃が風を裂いて伸びた。早すぎる、これ程とは――!
『容赦はせんぞ、機人風情が』
 鋭い切っ先が直剣ごと右肩を穿ち、引き抜いた二の太刀がそのまま浮かんだ両脚を薙ぎ払う。目にも止まらぬ連撃は超重のトリテレイアを彼方へ吹き飛ばして、あわやの所で噴射したスラスターが辛うじて姿勢を整える。
「四肢が削られる程度は許容範囲です……!」
 左腕は健在。両脚部損耗率45%。只の一振りでこれだ……だが構うものか。元より狙いは奴ではない。ギラリとモノアイが力強く点灯し、トリテレイアは視線の先の災厄を見据える。
『それで済むと思うなッ!!』
 叫ぶ哪吒の強襲は止まらない。あたかも機関銃の様な乱れ突きが再びトリテレイアの五体を狙う。直線的な刺突の軌道はされど、ウォーマシンたるトリテレイアにしてみれば見切るのは容易。身を守る大盾を怪力で放り投げ、落ちた直剣を左腕で拾い上げ吶喊――僅かでいい、手元が狂えばその隙で十分!
「その鈍らで吾を討ち取ろうなどと!」
 金蛟剪の一突きは大盾を穿てず、止む無く片手を振り回しそれを撥ね退ける哪吒。一瞬だ。その一瞬で間合いを詰めたトリテレイアを、折れた剣で歯向かう蛮勇を嘲笑う。だからこそ――その一瞬が全てを覆す。
「用途申請、大量破壊兵器発射阻止!」
 満身創痍の五体に光が宿る。薄緑の超常の輝き――全てを覆す埒外の切り札。
『いいや、撃たせてもらう! その為の哪吒よ!』
 咆哮一閃、トリテレイアの頭上に稲妻が迸る/紫電一閃、蒼銀の騎士はその身を超越の光と共に――。

>>Exception judgment ... Approval
>>Use judgment ... Approval
>>Ethical judgment ... Approval

 光速の演算が未来を覆す――光と共に新生しつつある騎士は、哪吒の一撃を結晶体の様な防御デバイスで辛くも防ぐ。割れた結晶の破片が飛び散って、更に増殖した煌めきが変異するトリテレイアを守る様に取り囲み――。

>>Applicant execution mechanism …… Confirmation of cancellation
>>All seals released, start Type Alexia

 光が割れて、竜が戦場に姿を現わした。

 蒼銀の優美な装甲は白銀の荒々しい形となって。再生した四肢には薄緑の鋭い爪が、そして竜が如く雄々しく太い尾が、トリテレイアの変容を如実に表す。
「不肖の騎士たる我が責において、貴女が厭うた邪竜を此処に」
 これが、彼女が遺した剣に眠る設計図にして“騎士に討たれるべき邪竜”――未完の兵器『銀河帝国未配備A式形相干渉戦機・騎械竜』の真の姿。
『ハハ! 機人が竜に化けたか! 見事なり!』
 何よりも、尋常ならざる奇跡はトリテレイアの体躯を哪吒同等の巨大なものと化し、うねる尾部に合わせて展開された三対の羽根と浮遊砲門が陽光と爆炎を反射して光を撒き散らす。それは神話の体現――美しくも禍々しいマシンの姿。
『ならば吾も見せてくれようぞ! 全兵装封印解除!』
 故に、哪吒はトリテレイアを真の脅威として、全てを以て倒すべき相手として内なる力を開放した。先に喰らった敵の力を利用するユーベルコードは、即座にその威を哪吒へ齎して――。
 
>>Extend:Sword Weapon「RX陰陽剣」……OK
>>Extend:Sword Weapon「RX斬妖剣」……OK
>>Extend:Sword Weapon「RX砍妖刀」……OK
>>Extend:Hammer Weapon「RX降妖杵」……OK
>>Extend:Beam Wire Weapon「BXS縛妖索」……OK

 抑揚のない電子音と共に、六臂の開いた手が次々と絢爛な武装に埋め尽くされる。神話に語られた宝貝たるそれらは、その一つ一つが超常に匹敵する脅威。
「弱点に対応……同等の能力を得ましたか」
『同等? 否、竜退治など手の物よ――』
 そして哪吒が叫ぶと共に、風火輪が炎を吐いて巨体を空へと浮かばせる。その勢いは哪吒自身を音速の弾丸と化し、音より早い一撃がトリテレイアを急襲する!
『貴様に勝利など、無い!』
「!?」
 手にした宝貝をそのまま、乾坤圏が宙を舞う。音速を重ねた超常の連打は痛烈な竜尾が払い、僅かに触れた切先が白銀の装甲にざっくりと亀裂を走らせた。
「剣を握って乾坤圏を飛ばすとは!」
『それで済むと思うなと……言ったはずだ!』
 くるりと、彼方へ向かった乾坤圏が向きを変える/手にした縛妖索――伸びたビームの縄がトリテレイアの巨体を雁字搦めに縛り付け、がら空きとなった腹部にもう一つの乾坤圏――砍妖刀が再び切先を突き立てる。
『たとえ竜王だろうと吾は止められ……何だと?』
 その切先がトリテレイアに触れる刹那、剣と拳が青紫の花弁と化した。それだけでは無い。全身を縛り付けていた縛妖索も、あっという間に花弁の洪水と化していく。
『馬鹿な、宝貝が……』
 拘束解除完了。EPDユニット、オールグリーン――トリテレイアの周囲に展開していた浮遊砲門を媒介として、超常が悪意を蹂躙していく。
「住まう星を砕いた愚かな世界……その負の叡智の末裔として」
 電脳禁忌剣の素粒子支配能力の媒介として機能するそれらは、トリテレイアに仇為す全てを無垢なる花弁へと変えるのだ。彼女が愛した、あの花へと。
「地を焼く兵器による滅びなど――例えこの身が、騎士を模倣する戦闘兵器に過ぎぬとしても!」
 それは決意。トリテレイアの願いと誓い。それを果たす為ならば、忌まわしき力だろうと使いこなす。目の前の悪魔とは違う事を証明してみせる。
「哪吒、その存在意義、私が見出した存在意義に賭けて砕かせて頂く!」
『応……ならばその意地に応えてくれよう!』
 そして閃光が世界を覆う。光の中、悪魔と竜が踊る。その手には超常の宝貝。その手には壮麗な騎士剣。尋常を砕かんとする超常を決意の竜尾が打ち落として、騎士剣が三振りの剣を払い、往なし、展開した副腕と大盾が追撃を押し返す。
『それで勝てると思うなよッ!』
「対応用リソースを温存せざるを得ない其方に負けるつもりなど!」
 剣戟モーションは解析した。素粒子干渉が浸透する時間も十分。これで――大盾を放り投げて、トリテレイアは両手で騎士剣を構え直す。これで、終わりだ。
『行くぞ第六の猟兵――!』
「参ります、哪吒ッ!」
 裂帛の気勢、そして空が爆ぜる音と共に、二つの巨大な影が重なった。

『戦闘兵器、か……』
 ばらりと、宝貝が花弁に姿を変えていく。残った六臂を竜尾と副腕で塞ぎ込み、逆手に持った騎士剣の切先が哪吒の首筋から火花を散らして。
『その役目を終えた時、貴様が何者になるか……ハハ』
 同時に、浮遊砲門が哪吒の背後で震える九竜神火罩をじわりと、そして剣が哪吒をも青紫の花弁に変えていき、その声もノイズ混じりの弱々しい音となる。
『その存在意義とやら、海の底から、見て……る……』
 届いた声に頷くトリテレイア。ええ、分かっています――。
「哪吒……」
 だから証明し続けましょう、世界が終わるまで。
>>...SYSTEM CRASH
 電子音の断末魔と共に、白銀の竜は星を仰ぎ見た。
 青紫の花弁に溢れる建業の都、戦いは終わった。そして続くのだ。
 我が心の儘に、この誓いと共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月30日


挿絵イラスト