11
骸談巷説~落書きの話~

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




●落書きの噂
「これね、先輩から聞いた話なんだけど――」
「ねぇ知ってる? 友達が聞いたって話なんだけどね――」
「あのね、こんな話聞いたんだけど――」
 噂。噂。噂。
 某県の地方都市S市にて、とある噂が流行っていた。
「「「最近増えてる落書き、あるでしょ?」」」
 その街には落書きが増えていた。
 畑に立つ案山子のような、そんな奇妙な落書きが。
「あれ、本当はおまじないらしいよ」
「あれ、本当は神様の印なんだって」
「あれ、本当はお守りなんだって」
 曰く、曰く、曰く。
 噂とは人の数だけその形を変えるもの。歪曲し、変形し、そうして奇怪な淀みと化す。
 街にはそんな淀みが渦巻いていた。
 幾ら消せども、幾ら上塗りしようとも、次の日にはまた別のところに増えている奇妙な落書きに、街の人々はぞわりとした違和感を覚えていた。
 まるで、自分たちの生活が何者かに侵蝕されていっているような。
 まるで、自分たちの現実が何者かに破壊されていっているような。
「だから触っちゃいけないんだよ」
「だから消しちゃいけないんだよ」
「だから弄っちゃいけないんだよ」
 夜の闇から、自分たちの知らない何か滲み出している。
 路地の隙間の物陰から、自分たちが触れてはいけない何かが現れ始めている。
「「「──祟られるから」」」
 それを『狂気』と呼ぶことに、街の人々の何人が気付いていただろうか?



「噂ってどこにでもありますよねぇ。東西南北、どこにでも」
 グリモアベースにて猟兵達を集めた終里・めあ(のーごっど・f14028)は、最初にそんなことを口にした。
「うふふ、怖いですよねぇ。人の口には戸は立てられませんからぁ、きっと病気みたいに広がってしまうんでしょうねぇ」
 くすくすと笑うめあ。
 どこか楽しんでいる様子でグリモアを操作し、猟兵達にある映像を見せた。
 それはある都市の映像だった。ガードレールの下やコンクリートの上など、さまざまな場所に奇怪な落書きが描かれており、街全体が歪な気配に包まれているのが理解できる。
「お仕事のお話ですよぉ。地方都市S市で、とある噂が流行っているんですぅ。『落書きの噂』なんですけどねぇ、これ、放っておくと面倒なことになっちゃうんですよぉ」
 面倒なこと? と猟兵の一人がめあに聞く。
 そうすれば、彼女はまたくすりと笑って言葉を紡いだ。

「邪神が招来されちゃうんですぅ」

 その言葉に、質問をした猟兵は勿論、他の猟兵達も怪訝な表情を浮かべる。
「うふふ、怖いですよねぇ、怖いですよねぇ。どうしてこんな落書きで邪神が呼び出されてしまうんでしょう? 儀式か何かなんでしょうねぇ。くすくす。私も甚だ疑問なんですけどぉ、でも、『そう』なんですよぉ」
 くるくると回りながらめあは呟く。
「顕現してしまうんですよぉ、邪なる神様が。出現してしまうんですよぉ、意思を持つ災害が。過程はどうあれ結果がそうなんですぅ。だって視たんですからぁ、わたし」
 ぴたり、と止まり、猟兵達を見渡して告げる。
 視た、それはつまり――予知。
「うふふ。今回の依頼は『邪神の招来による被害を阻止すること』ですぅ。おそらくぅ、件の『落書き』が重要な意味を持っていると思うので、そちらの対処もお願いしますぅ」
 にっこりと笑い、めあは猟兵達に資料を渡していく。
 そこにはこれまで落書きが描かれた場所と、その落書きの写真が添付されていた。いずれも案山子のような奇妙ななものばかりだ。よく注視してみれば、僅かに狐の落書きが混じっていることにも気付けるだろう。
 或いは、猟兵達の中には、何か想うものがいたかもしれない。
 一通り資料を配り終えためあは再び猟兵達の前へと戻ってきて、グリモアを操作する。
「儀式を阻止したとしてもぉ、不完全な形で邪神が招来されてしまう可能性が高いですぅ。もしそうなったらぁ、殺しちゃってくださいねぇ」
 神殺し、ですよぉ。とめあが笑えば、彼女のグリモアから一際強い光が放たれた。
 あまりの眩しさに猟兵達は目を閉じる。

 次に彼らが目を開いた時、そこはどこか澱んだ空気の蔓延る地方都市・S市だった。


ヒガキ ミョウリ
●落書きのシナリオです。
 昔やったゲームに落書きの怖い話があったことを思い出しました。
 最近ではすっかり見なくなってしまった落書き。もしも不意に見つけたそれが、ぞわりと背筋を撫でる奇妙さを持っていたら、厭ですね。

●第一章
 『落書き』の調査。
 落書きを行っている人物を見つけることができたら章クリアです。
 記載のある行動以外も受け付けますので、皆さんのキャラクターがどのように調査するのか楽しみにしております。
 ちなみに『落書きの意味』『街自体について』なども調べることができますので、お気軽にプレイングに書いてくださって構いません。

●第二章
 『???』との集団戦。
 もしかしたら何と戦うのかお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが秘密です。
 戦う時には少しばかり工夫が必要かもしれません。

●第三章
 『禍罪・擬狐』とのボス戦。
 呼び出されてしまった不完全な邪神との最終戦闘です。
 こちらは技能として『呪詛50、呪詛耐性50、恐怖を与える30、火炎耐性30、生命力吸収15、範囲攻撃15』を持っておりますので、お気をつけてください。
 ※第一章での行動によっては弱体化できます。色々お試しください。

 以上になります。
 皆さんのご参加、お待ちしております。
51




第1章 冒険 『落書き』

POW   :    清掃ボランティアに扮して落書きを消す

SPD   :    監視カメラや目撃者から落書き犯を特定

WIZ   :    次の落書き場所を予想する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘンペル・トリックボックス
はてさて、これまた妙な具合にウワサが歩いているようで。不安を煽り立てるだけの噂は好きませんねぇ…えぇ、紳士的に。では、こちらも噂で対抗してみるとしましょうか。

噂の広がりやすい学生や子供たちを中心に、【言いくるめ】と少しばかりの【催眠術】を駆使して「例の落書きのテッペン部分にマルを書き足すと、祟りが転じて良いことがある」という噂を流布します。記号と言うものには必ず意味が存在するもの、消しても塗りつぶしても増えていくなら意味合いを変えてしまいましょう。
私自身も目についた落書きにマルを書き足しつつ、シルエットに街中を捜索させて落書きの多いところを割り出してみます。

得た情報は式神で、他の猟兵と共有を。



●奇術箱の烏
 街についたとき、そこに溢れる濁った感情達に紅の紳士は僅かに溜息を漏らした。
「はてさて、これまた妙な具合にウワサが歩いているようで。不安を煽り立てるだけの噂は好きませんねぇ……えぇ、紳士的に」
 彼はヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)。シルクハットにタキシードといった独特な出で立ちの彼は、ふむと顎に手をあてる。
「――では、こちらも噂で対抗してみるとしましょうか」
 目には目を、歯には歯を、噂には噂を。
 そう言うと、ヘンペルは黒壇の杖で地面をトンと叩いて歩き出す。
「いってらっしゃい。あまり巫山戯すぎないように」
 小さく呟くその声は己の影に向けて。そうすれば、ぞわりと影が沸き立ち、ヘンペルとは反対方向滑っていった。

「ご機嫌ようお嬢さん。例の落書きの噂なんですが、ご存知ですか?」
「いい天気ですねお坊ちゃん。こんな話を聞いたことはございますか?」
「あぁ――何も不審なものではありませんよ。えぇ、紳士ですから」
「ですからどうか、私の話を聞いてください。きっと、気にいると思いますよ」
 ヘンペルが取ったのは、『噂を噂で上書きする』という手段だった。
 消しても塗りつぶしても増えるのであれば、落書きの意味そのものを書き換えてしまおうと、彼は己の話術や技術を用いて街の学生や子どもたちに新たな噂を流布した。

「実は、例の落書きのテッペン部分にマルを書き足すと、祟りが転じて良いことがあるのです」

 自分自身も目についた落書きにマルの記号を書き足しながら、そういった話の媒介となりやすい彼らへと言葉を紡いでいく。
 彼が撒いたのもまた根も葉もない、噂。しかし今この街はそういった話には敏感だった。あの不気味な絵画が、少しでも変わるのならば。或いは、たったそれだけの手間で何かが起こるならば。
 彼の言葉を信じた街の人々は、少しずつ、しかし着実に噂を実行していくだろう。

 ――やがて、街中を捜索させていた影の式神が戻ってくる。
 どうやら、落書きは『畑の近くに多い』らしかった。
 ヘンペルは得た情報をそのまま他の猟兵へと渡していく。そんな彼のことを、少しばかり滑稽になった案山子の落書きがじっと見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

花菱・真紀
落書き系の都市伝説だな。
落書きは確かに描いてる人間がいるからな他の都市伝説とは違って『特定』ができるはず…。

まずは【情報収集】で落書きされてる場所を調べて地図にしるしてみるか。あとSNS等で落書きの話をしてる人間にアタック【コミュ力】使用で話を聞き出せたら…【学習力】で次の場所を予想できたらいいが【オルタナティブ・ダブル】でもう一人の自分の有祈と頭をひねってみるか。あいつの方が冷静だから俺とは違う見方もできるだろう。情報は他猟兵と共有。
あと落書きを【第六感】で見てみるか…何か感じるものもあるかもしれない。

アドリブ絡み可



●噂の蒐集者
 ――都市伝説というものは面白い。靄のように掴み所がないくせに、人の恐怖を緩やかに駆り立て、広がり、尽きることはない。
 そんな話、どこから生まれるのだろうか? なぜ、こうも魅力的なのだろうか。
 だからこそ集めてしまう。己の知欲を満たすために、新たな恐怖を遊覧するために。

「落書きは確かに描いてる人間がいるからな。他の都市伝説とは違って『特定』ができるはず……」
 花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)は図書館で落書きの資料と地図を見比べながら地図に印を書いていた。
 一つ目は農業を営む民家の塀に、二つ目は高速道路の壁面に、三つ目は廃墟になったパチンコ屋の中に……。一見不規則なように街全体に描かれているそれらを地図に点として記し、真紀は次の落書きの場所を予想しようと頭を捻る。
「有祈、ちょっと手伝ってくれ」
 一人より二人だ。考える頭は多いに越したことはないと、真紀はユーベルコードを用いてもう一人の自分『有祈』を召喚する。
 彼は自分よりも冷静だ。自分だけでは気付かないことに、きっと気付いてくれる。

 真紀のその考えは間違いなかった。
 程なくして、真紀は有祈からある規則性を知らされた。
 ――曰く、畑の周囲によく見られるのだという。
 有祈はいつの間にか持ってきていた古地図を、隣の主人格へと見せた。
「これって……」
 真紀はハッと目を見開く。落書きのあった場所は確かに畑の近くが多い。他の猟兵からの情報にもあったとおりだ。
 そしてそこを古地図と比べてみれば、どうやらかつて田畑だった場所ばかりなのだ。
 高速道路は数年前まであった畑の上にたっていたし、パチンコ屋は田んぼを埋め立てて作られたもの。農業を営んでいる民家の近くにも、その家が所有していると思われる畑がいくつもあった。

 ぞくり、と。
 不意に有祈の真横に温い空気が蠢く。この街を覆う粘性の空気が形となり、今まさに自分の隣にいるような錯覚に、ふと顔をそちらに向ける。
 そこにはなにもない――なにもない?
 いいや、違う。そこにあったのは先程まで自分が見ていた資料だ。
 白いチョークで書かれた、案山子のような奇妙な落書き。磔にされて晒されている
ような、薄気味悪い絵画。
 『ソレ』がなんだか理解してはいけない気がして、真紀は咄嗟に目を反らした。
 正面では、有祈が他の猟兵たちに情報を送信していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルーク・アルカード
【心情】
お絵かきは好きだけど、描く場所を選ばないとダメだって前に怒られちゃったな。
だから、こういう場所に描いちゃダメなんだよ?

お仕事終わったらお絵かきしようかな。
何描こう?

【行動】
『ダッシュ』で街を駆け回って情報収集。
途中で怪しい人がいたら『追跡』。

地図?に落書きの場所を書いてみようかな。
線とかで繋いだり、○で囲って行けば何か分かるかも。

落書きにイタズラしたら何か起こったりするかな?

【備考】
人見知りなのと、あまりコミュ力はないので聞き込みは苦手です。

走り回ってお腹が空いたら美味しそうな香りとかのお店があれば反応するかもです。



●白狼駆ける
(「お絵かきは好きだけど、描く場所を選ばないとダメだって前に怒られちゃったな」)
 ルーク・アルカード(人狼の咎人殺し・f06946)は街中を駆け抜け、何かめぼしいものは無いかと探しながらそんなことを思う。
 時折見つけた落書きを己のユーベルコードで作り出した血晶刃で削り取ったり傷をつけたりといったイタズラをしてみたが、今の所変化はなかった。
「……もう、こういう場所に描いちゃダメなんだよ?」
 ルークは小さくつぶやきながら、今度は民家の塀に見つけた落書きを消すようにユーベルコードの刃を走らせる。
(「お仕事終わったらお絵描きしようかな。何描こう?」)

 ――その時、不意に。

「…………?」
 違和感を覚えて、ルークは振り返る。
 そこには赤い鳥居があった。手前には石碑があり、何かが刻まれているようだが劣化が激しく詳しくは読めない。鳥居はその先の林の中に続いているようで、まだ昼間だというのに薄暗い雰囲気が漂っていた。
(「いつの間に……こんなところまで来ちゃったのかな」)
 ぼんやりと疑問に思いながらも、何か事件解決のための情報があればとルークはその林の中へと歩みを進めていく。

 木漏れ日も薄い林の中。幾つもの赤鳥居を潜っていけばやがて廃れた神社へと辿り着いた。社を形作っている木々は腐食によりいまにも倒壊しそうで、林の中にあるが故に石畳ではなく土の境内からは雑草が生い茂っていた。手水舎の水は薄く濁っており、御神体があるのであろう本殿へと通づる扉は、僅かに開いていた。
「神社だ……。 でも、すごく古い。あぶないな……」
 警戒しながらルークは本殿への扉へと手を掛ける。その扉は容易く開き、中の光景を彼の赤い瞳へと映した。

「………なにも、ない?」

 あまりのことにきょとんとするルーク。
 中には何もなかった。ここに祀ってあったであろう御神体は影も形も無い。
 すぐさまに地面や床を注視すれば、ごく僅かではあったが人の立ち入った痕跡が見られた。
(「これ、もしかして」)
 ぴくりと耳を動かし、ルークは仲間たちに伝えるべく再び駆ける。
 もちろん、石碑の写真を撮るのも忘れずに。

 ――去っていく彼の姿をじっと見つめていたのは、切り刻まれた案山子の落書きだけだった。
 時は間もなく黄昏へと移る。
 もうすぐ、怪異が犇めく時間がやってくる。

成功 🔵​🔵​🔴​

月隠・三日月
【白石】
同じ旅団のヒトと参加するよ。
一見何でも無いような落書きだけれど……これで邪神を呼び出せるのだから、恐ろしいものだね。
私は目撃者に話を聞いてみるよ。落書きそのものの調査等は任せるね。

落書きがある場所の近くに住んでいるヒトに『落書きを書いている者に心当たりはないか。姿を見たり、物音を聞いたりしていないか』を尋ねてみよう。
場所を移動するときは、エスタシュさん(f01818)にシンディーちゃんの後ろに乗せて貰いたいな。

あとは、『落書きが持つ意味』についても訊いてみたいね。邪神を招来できるのだから、無意味な記号だとは思えないし……もしかしたら、邪神に繋がる情報が得られるかもしれないからね。


エスタシュ・ロックドア
【白石】
同じ旅団の奴と来た

いやこんなん放っといたら絶対ぇ邪神強化される奴だろ
強敵は好物だが面倒見てる奴まで巻き込むつもりはねぇ
俺ぁ落書き消して回るからよ、聞き込みとかは任せるぜ

めあに貰った資料に載ってるのを消して回るか
俺にゃシンディーちゃんがいる、機動力は任せろ
んで、そん時に新しいのを見つけたら記録した後消す
場所に法則性かなんかねぇかぁね

消す時にゃ何で書かれているかとか、
書き方に違いがあるかとか見てみるか
消し方は溶剤使って書いてあるもん全部落とす
万が一溶剤で落ちねぇようなら、焼く
『ブレイズフレイム』で表面だけ焼いて落書きを消す
バレねぇようコッソリと
無理ならスプレー缶で上塗りするしかねぇなぁ



●黄昏に二人
「いや、こんなん放っといたら絶対ぇ邪神強化される奴だろ」
 大型自動二輪に似た愛用の宇宙バイクを走らせながらエスタシュ・ロックドア(ブレイジングオービット・f01818)は呟く。
「強敵は好物だが面倒見てる奴まで巻き込むつもりはねぇ。俺ぁ落書き消して回るからよ、聞き込みとかは任せるぜ」
「わかったよ。私は目撃者に話を聞いてみる。落書きそのものの調査等は任せるね」  バイクの後ろに乗り合わせていた月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)が頷き、そう答える。
 彼らはとあるモーテルで知り合った猟兵同士だ。邪神の招来を阻止するために、今回こうして二人でやって来たのだ。
 その後、彼らは行動を開始した。

 それがついぞ数時間前――。動き始めた時は明るかった空も、今ではもう夕焼けの色に染め上げられていた。
「はーっ、幾ら消したんだ? 俺たち。もうほとんど消したんじゃねぇのか?」
 エスタシュは缶コーヒーを飲みながら溜息を漏らす。
 三日月が聞き込みをしている間にせっせと消した落書きの数は相当なもので、持ってきた溶剤で落としたりユーベルコードでバレないように焼いたりして対処していった。
 資料になかった落書きも追加されており、犯人は現在進行形で活動しているのだろう。
 他の仲間の情報収集のお陰で、ある程度の規則性はつかめたためにそこまで苦労はしなかったが、それでもしっかりと書き込まれた落書きを消すのは相当なものだった。
「他の人たちも落書きへの対処はしてくれてるみたいだからね。結構どうにかできるんじゃないかな」
 ペットボトルの緑茶を口にしながら三日月が答える。
 彼も彼で、『犯人の目撃者がいないか』ということに的を絞って人々に話を聞いていた。姿を見たり、物音を聞いたりしていないか――と。
 そうすれば、幾人かからこんな話を聞くことができた。
『妖しげな白いコートを着た長身の人物を見かけた』。
『夜中に一心不乱に壁に何かしている男? がいた』。
『白コートの男は何人かいるらしい。気持ち悪いから見かけても無視してる』と。
 十中八九、犯人だろう。あとは現場を抑えることができれば、邪神の招来を食い止めることができるはず。
「あとは犯人と直接対峙するだけ。さ、エスタシュさん。もうひと頑張りだよ」
「ま、仕方ねぇな。よっ、と」
 エスタシュはちょうど飲み干した缶コーヒーをゴミ箱に投げ捨てる。
 カラン。と音がして、缶は箱の中に落ちていった。

「もし、そこのお方達。ひょっとして、今日落書きを消して回ってくださっているというのは貴方達ですかな?」
 その時、二人に声を掛ける人物がいた。
「そうだけど……あなたは?」
 濃い白ひげを蓄えた壮年の男性。彼は薄く笑って言葉を続ける。
「私はただの神主です。正確には、『だった』といったほうが正しいですが」
「神主……。もしかして、廃神社の?」
「おや、ご存知ですか。えぇ、そうです。あの神社はもともと稲荷を祀っていたんですが……だんだんと人が途絶え、今ではあのような有様になってしまいました。これも仕方のないこと、なのでしょうかね」
「……それは、ご愁傷さまです。神主さん、だったら――」
 もしかして、と三日月は思う。落書きの中には時折狐のようなものも見受けられた。
 稲荷神社の神主であれば、或いは何か知っているのでは、と。
「落書きについて、何か知っていることはない? 何か意味があったり……」
「ふうむ、そうですなぁ……」
 老人は少し考える素振りを見せ、やがて口を開く。

「あれらはおそらく、豊穣の象徴なのでしょう」

「豊穣……?」
 エスタシュが聞き返す。
「えぇ。このあたりはかつて、一面が畑でした。ですから、昔はより良い作物が穫れるようにとお狐さまを祀り、その恩恵を受けようとしたのです。おそらくは、案山子の絵画を描くことで、この街を畑に見立てているのでしょう」
 あの廃神社は、それの名残なのです。と老人は言う。
「時代と共にお狐さまは忘れ去られ、人は神に頼らず生きていくようになりました。それは良いことです。自分の道を、自分で切り開けるようになったということですから。ですが――中には、それを良しとしないものもいる」
「そうか……だったら、落書きの犯人がしようとしているのは……」
「お狐さまの復活、か?」
 三日月とエスタシュは互いに顔を見合わせ、これはまずいと猟兵達に情報を共有するべく急いでバイクへと乗り込む。
「神主のじーさん! ありがとよ!」
 去り際にエスタシュがそう言えば、老人は手を振って二人を見おくった。

 ――黄昏は終わり、そうして闇夜がやってくる。
 悪意が、狂気が、邪悪が、滲み出ようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

阿紫花・スミコ
昼は清掃ボランティアとして落書きを消しまくり、夜には落書き犯を調査する。
具体的には、サーマルスキャナ(熱分布を表示するゴーグル型ガジェット)をつけて、街の中をフックと蒸気の力で飛び回り(スリーディメンジョンモビリティ)、捜索。熱源を観察しながら、夜に出歩いている人をしらみつぶしに調査。

「落書きを完成させるのにそれなりの時間がかかるはずだ。なら、ここはスピード勝負。落書きが終わるまでに見つけてやるよ!」

落書きは消せば別の場所に増えるって話だから、昼間の落書き消し作業も重要だ。たくさん消せば、それだけ、犯人の動きも活発になり、こちらの網にかかるに違いない!

(暗視、掃除、追跡、ダッシュ、ジャンプ)



●闇夜を越えて
 そうして夜はやってくる。
 暗がりがざわざわと脈動し、夜の闇がじわりとその狂気を広げていく。
 自分たちに残された時間はあまり多くないということに、阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)は気付いていた。
(「昼間の間はたくさん落書きを消しまくったし、たぶん犯人の動きは活発になるはず」)
 熱分布を表示するゴーグル型ガジェットのサーマルスキャナを装着し、スミコは夜の街をワイヤーと蒸気の力で飛び回る。
 他の猟兵達からの情報共有のお陰で虱潰しに調査する必要はなくなった。
 『白いコートの長身の人物』。それを探し出せばそれでいい。

 白コートの人物を捜索しながら、ふとスミコは思う。
(「確か、今回この街にはそれなりの数の猟兵が来て調査をしてたはず。ボクみたいに落書きを消したり、落書きに手を加えたりした人たちもいたみたいだから、もしかすると……」)
 自分たちの存在が、相手側にも感知されている可能性が高い。
 であれば、彼らもそれなりの対処をしてくるはずだ。
 昼間よりも濃度を増したこの昏い空気が、おそらくその証明。
「落書きを完成させるのにそれなりの時間がかかるはずだ。なら、ここはスピード勝負。落書きが終わるまでに見つけてやるよ!」
 ならば、相手が手順を踏み終えるまでに特定し、阻止すればいい。
 スミコは蒸気の出力を上げ、より疾く街中を飛空する。

 ――そうしてから間もなく、スミコの瞳は標的を捉えた。
 そこは、丁度開けた公園だった。
 周囲には幾つもの水辺や田んぼがあり、芝生の上には何らかの塗料で半分ほどまで描かれた絵画。
 磔にされた囚人のような幾つもの白い案山子。それらがたつ金色の稲穂の園。そこに降り立とうとしている、狐の姿をした『なにか』。そしてそれを描いている、数多の白コートを来た人物達。
 絵画を見た瞬間、スミコは直感する。これらは、昼間に自分が消した落書きの集合なのだと。
 彼らは時間かけ、この絵画と街を同化させようとしていたのだろう。そうして絵画が完全に完成した時、この街は文字通り『神のもの』になる。

「ッ……!」
 まるで幾つもの蛆虫が背中を這い回るような気味の悪さがスミコの肌を撫でる。
 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
 ただの絵画のはずなのに、気持ちが悪くて仕方がない!
 これが神を呼ぼうとしている儀式、その片鱗なのかと思考する。だがそんな暇はないとすぐさま彼女は他の猟兵へと連絡を回した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『『都市伝説』くねくね』

POW   :    アナタも「くねくね」
【自分を視界に捉え、疑問】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【クネクネした物体】から、高命中力の【相手の身体に侵入して、発芽する自分の種】を飛ばす。
SPD   :    ワタシも「くねくね」
【自分と同じユーベルコードを使用する分身体】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    キミも「くねくね」
【自分の身体をクネクネさせる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【目標に、その眼前に自身をワープさせて触手】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●畝の上にて蠢くものたち
 連絡によって集まってきた猟兵達は、すぐさま視界に広がる異貌の絵画を目にすることになる。
 しかし、その全貌は把握しきれない。なぜなら絵画が大きすぎるのだ。故に絵画全体を直視した時ほどの恐怖には襲われることはなかったが、それでも、全身を粘り気のある濁った空気が撫でていくのを感じる。

 白いコートの人物たちは猟兵達の姿を見ると、ゆっくりと体を向ける。
 一人、二人、三人、四人、五人……最早数えることは無意味だと思えるほどの人数が、猟兵達の前に広がっている。
 これほどまでの数がいったいどこに潜んでいたのだろうか?
 あるいはもしかして、昼間話を聞いた者の中にいたのだろうか?
 いいやそもそも――彼らは、人なのだろうか。

 そんな疑問を抱いた猟兵がいるかもしれない。
 あの時喋った住民の顔はどんな風だったか? あの時笑った誰かはどんな目をしていたか? 疑問は疑念となり、それはいずれ恐怖へと変わる。
 この空間にはそんな恐怖が席巻していた。故に、誰も逃れることはできない。
 この場に来てしまった以上、己等が死ぬか、相手が死ぬかの二択のみ。

 ふいに、ぐにゃりと白コート達の体がねじれる。

 まるで溶けた飴のようにどろりととろけ、しかし、その体は狂信に満ちた意思で動き始める。白コートが肉体と同化し、腕が枝のように分岐していく。
 両腕をだらりと垂れ下がされば、やがてぐねぐねと気味の悪い動きへと変わっていく。頭がぐらりと下に向けば、ぶつぶつとなにかを呟き始める。
 程なくして彼らの体はぶよぶよとした下劣な脂肪へとなり、右に左にと揺れ動きながら猟兵達へと迫ってきた。

 ――曰く、『ソレ』がなんだか理解してはいけない。
 ――曰く、『ソレ』を理解すれば、精神が破壊される。
 ――曰く、『ソレ』は案山子として扱われた憐れな人間だという。

 放つ意思は怨念。渦巻く意図は過去への回帰。
 かつてあった豊穣を取り戻すべく、人であったであろう者達は、人ならざるものへと身を落とした。
 その怪異の名を知るものは、即座に目前の彼が何に変わったのか分かるだろう。

 人々の間を流れ行く都市伝説の一つ。
 街談巷説として語り継がれた奇怪なる存在。
 「くねくね」だと。
ルーク・アルカード
【心情】
……なんだか首の周りの毛がゾワゾワする?
ずっと昔のお仕事で危ない時に感じたのと同じ感覚。

なんでクネクネ踊ってるんだろう?
楽しいのかな?……楽しいってあんまりよくわからないや。

踊ってるだけだけど全部斬った方がいいんだよね?
たくさん斬れば褒めてもらえるかな?

【戦闘】
血晶刀に血を注いで『生命力吸収』させ『武器改造』(形状はお任せします)する。
『ダッシュ』で近づき『早業』で『2回攻撃』。
敵の攻撃を『見切り』、致命傷は避け『捨て身の一撃』を常に心がける。

【備考】
ごめんねとか謝りながら攻撃してますが、本人はこれっぽっちも悪い事だとは思ってないし、何も感じてたりしてません。



●告死の牙
 ――首の回りの毛がぞわりと総毛立っている。
 これは既知の感覚だとルークは思う。
 ずっと昔、受け渡された暗殺の仕事で危険な状況に陥った時に感じたものと同じだ。
 それは即ち、今この状況が紛れもなく危機であることを物語っていた。
(「楽しいのかな? ……あんまりよくわからないや」)
 けれど、たとえここがどのような状況であろうと己がやることは変わりない。
 目前で蠢く白いモノたちの動きに意味はあるのだろうか。分からない。されど殺す。
「たくさん斬れば、褒めてもらえるかな?」
 思い浮かべるのは己を保護した彼の姿。彼に頭を撫でてもらえるならば、あぁ――それは、悪くない。
 そして、その疑問の感情を察知したくねくねは、ルークへと発芽を促す己の種を射出する。

「………ごめんね?」
 対して呟く言葉に意思はない。謝罪も、憐憫も、憎悪も、悪意も、何もない。
 含まれる感情は空虚。こんな時はこういうのだろうと、ルークはぼんやりと言葉を紡いだ。
 同時。
「『告死・奪命乃誅戮(モータル・エクスキューショナー)』」
 己の中に在った希薄だった感情がより薄くなっていくのを感じる。
 それは手にする血晶刀へと吸い込まれ、金盞花の花を開かせる養分となる。鮮血よりも鮮やかな光が刀身を包み込めば、刃は数多の牙へと変容し、柄はルークの白い腕ど同化していく。
「ごめんね」
 酷く、酷く、無感情な言葉だった。
 ルークは向かってくる種を薙ぎ払い、そのまま地面を蹴りあげ疾駆した。
 最早感情を極限まで希薄した彼は、幾ら目前の怪異達を見ようとも何も思うことはない。近くにやってきた羽虫を払うように、ただただ無為に刃を奔らせる。
 赤の血牙は白を飲み込み、飲み込むように奪命した。
「――ごめんね」
 振り返り、背後の敵へと意思を向ける。
 此処には一つ、ルーク・アルカードという名の殺戮があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

阿紫花・スミコ
「おいおいおいおい!なんだよこれ!!」

ガンハイダー(ガンベルト)の光学迷彩を解いて、精霊銃「アヴェンジング・フレイム」を引き抜く。
ワイヤーギヤからワイヤーを射出し、木々や建物などにフックをかけ、ワイヤーの巻き取りと蒸気の力で空中を移動しながら、敵の攻撃を回避する。
チャンスがあれば、精霊銃より炎を帯びた弾丸を打ち込む。
(属性攻撃、援護射撃、空中戦、ダッシュ、ジャンプ)

「実態があればなんとかなる!・・・なる・・・よね?・・・とにかく攻撃の手を休めるな!」



●Golden Ballet
「おいおいおいおい! なんだよこれ!!」
 一つ、また一つと増殖していくくねくね達から放たれた触手が頬を掠める。
 周囲の木々に引っ掛けたワイヤーによってスミコの肉体が強い力で引っ張られれば、それを追うように白き悪意が群れを成した。
 形成されるのは槍。数百の白は飛び回る蝶を穿つべく形作られ、少女を墜とし、己等の列に加えんと熱望する。
「クッ……! しつこいな!」
 スミコの肉体が再び別方向へと飛翔する。
 だが、白の悪意達も追跡をやめることはない。
 このまま逃げているだけでは、いずれ身を貫かれるだろう。それは自明の理。現状こうしている間にもくねくね達は増殖を繰り返している。現れたくねくねが更に新たなくねくねを呼びだし、呼び出されたくねくねはスミコを追う刺客の一人となる。
 故に。
「ッ!!」
 くるりと体を反転させて、白槍へと意思を向ける。
 理解など必要ない。思考など邪魔なだけ。そんなものをしていれば、直ぐ様狂人の仲間入り。そんなものは、例え死んでも御免だった。
「燃えろッ――!!」
 手にした黄金の精霊銃から焔が咲く。
 復讐の炎は何よりも熱く、何よりも激しく撃ち出された弾丸を包み込む。膨大な熱量を帯びるソレは金色に輝く槍と化し、かつての豊穣を願う者達を否定する。
 刹那、スミコの放った炎の弾丸と、くねくね達が触手で形成した槍が衝突した。
 轟音と衝撃が巻き起これば、くねくね達は焦がされ、飛散し燃え滓となっていった。どうやら炎は有効らしい。
 だが、くねくね達の総数からしてみればまだ僅かな量の損失にすぎない。残っている彼らは触手をうねらせると、再びスミコや他の猟兵たちに向けて悪意を放つ。
「実態があればなんとかなる! ……なる……よね? ……とにかく攻撃の手を休めるな!」
 目前に広がる膨大な量のくねくね達にすこしばかり動揺する。しかし、自分たちには戦うしか術はない。さもなくば、自分たちもこうなってしまうのだから。
 不安な気持ちを打ち消すように大きく声を上げれば、彼女は再び宙を翔けた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​



 落ちた実りは地へと還り、命の連鎖は止まることはない。
 脈動するのは彼方の神威。鳴動するのは此方の祝詞。
ヘンペル・トリックボックス
『くねくね』──数年前までは、取るに足らないネットロアだったハズですが...いやはや、具現化できる程に畏れを蓄えていたとは。早急に焼き払うとしましょう──えぇ、紳士的に...!

火属性の呪符を連続展開、木属性の呪符で威力を相乗し、【範囲攻撃】化して片っ端から焼き滅ぼします。
目の前に転移された時が厄介ですので、自分の足下にも【目立たない】ように呪符を展開。一斉掃射を潜り抜け反撃してくる敵は、足下からの【騙し討ち】で仕留めるとしましょう。

他の猟兵と連携する場合は、誤射に注意しつつ死角の敵を優先的に狙い、味方の攻撃の起点を作るように立ち回ります。



●穂群灼く焔
 円を以て星を記し、線を以て辰を成す。
 紡ぎ作られるのは五芒星の呪印。放たれるのは討魔の檻。
「対象認識。解析開始。属性定義。弱点把握。霊符連続展開完了───」
 同時、ヘンペルを中心として螺旋を描くように霊符が展開される。それはヘンペルの周囲のくねくね達を囲むように列を成し、淡く光を放ち始めた。
 記されるのは歳星と熒惑の祝詞。種々の災魔を祓い給え、清め給えと願い乞われた破魔の文言だ。
「『くねくね』。いやはや、具現化できる程に畏れを蓄えていたとは。早急に焼き払うとしましょう――えぇ、紳士的に……!」
 刹那、爆音と共に浄滅の火柱が上がる。
 一つ、二つ、三つ? 否、その数百と十五。
 火は木を飲み込み拡大し、木は輝となって火の成長を助く。
 これ即ち森羅相克――『霊符展開・森羅相剋一斉掃射(コードフルオープン・ウィークネスクロスモア)』。
「炎による浄化です。あなた方には、さぞよく効くでしょう」
 彼らは元と言えば案山子が転じ生まれた存在。それ故に火による攻撃は天敵と言える。その証拠に、火柱に包まれたくねくね達は次々と灰燼と化していった。
 彼らが己の体をワープさせ火柱から逃れようとも、それを見越していないヘンペルではない。目前にやってきた彼らに、足元に設置しておいた霊符を見舞えば、豪炎が立ち上った。
「さて、これで幾ばくか数を減らせたでしょうかね」
 燃え滓が中を舞っていく。ふわりと地面に落ちたそれを靴底で踏み潰し、ヘンペルは他の猟兵達のもとへと向かう。
 ――全滅まで、残り半分。

大成功 🔵​🔵​🔵​




 焼かれた身体は何処へ行く? 溶かされ焦がされ輪廻の果てに。
 焦がされた魂は何処へ行く? 彷徨い誘われ神の身許へ。
 豊穣は間もなく、されど虚ろなり。

花菱・真紀
あー…これはなかなか有名な都市伝説のやつだな。だからこそ対処方が少しはわかるんだが果たして実際に有効かはやってみないとわからん。とりあえず直視するのは良くないだろうから眼鏡は外させてもらうぜ。
【バトルキャラクターズ】使用。遠距離攻撃は目を集中して使うから避けるとして。キャラクターを近距離格闘タイプに【だまし討ち】や【見切り】を使いつつ殴ったり蹴ったり。俺への精神的な攻撃は【第六感】で注意する。



●武道二十一派
 『くねくね』。理解したものの理性を奪い去る都市伝説がひとつ。
 当然、識っている。これまで幾つのフォークロアを蒐集したと思ってるんだ?
 畑や水辺にたつ白くうねる正体不明の何者か。ソレが今、目前で蠢いている。

「対処法は少しはわかる。けれど」
 真紀は眼鏡を外しながら呟く。
 あの怪物を直視してはいけない。もしも万が一理解しようと、疑問を抱こうものならば、直ぐ様餌食に成り下がってしまう。
「実際に有効かは、やってみないとわからん」
 同時、真紀の手にしたゲームデバイスが青白い光を帯びる。
 そこから0と1の羅列が溢れ出せば、二十一の肉体を形づくった。額にⅠの数字を浮かばせる彼らは、真紀の異能によって具現化したゲームキャラクター達。いずれも筋骨隆々としており、その装いも相まって格闘ゲームを彷彿とさせる。
 彼の取った対処は即ち――理解をする前に打倒すること。
「さーて、いくぜおまえたち。バトル・スタートだ!」
 そうして開戦が告げられれば、キャラクター達は一斉に周囲のくねくね達へと肉薄した。鉄槌を下すのは鍛えられた拳と脚。元が人間であるが故に僅かに残った人としての残滓へと、彼らは的確に撃を与えていく。
 ゼラチン質の肉体に穿たれるのは掌打による一撃。生じた隙に肉体を掴み、思考よりも先に別の個体へと投げ飛ばされる。
 くねくねが分身体を出すのであれば、それごと拳で貫く。異なるキャラクター達同士は互いに共闘しあいながら、召喚主である真紀からくねくねを遠ざけるように。
 ある者はテコンドー、ある者は空手、またある者はプロレス。更には相撲やムエタイなど、二十一の武道による襲撃は嵐のようにくねくね達を乱打していった。
「あんたらがなんなのかはこの際どうでもいい。俺はただ、猟兵としてするべきことをするだけだ」
 ニィ、と笑い真紀は呟く。
「――なんてな」
 しかし、そのあとすぐにすこしばかり恥ずかしそうに顔をくしゃりと歪ませるのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​




 夫神は唯一にして御形なし。虚にして霊有。
 天に次玉。地に次玉。人に次玉。
 夜の守。日の守。大成哉。賢成哉。
 高空の玉、神狐の神に聞食せと恐み恐み申す。

エスタシュ・ロックドア
【白石】
引き続き同じ旅団の奴と来た

はっ、そんな事言うたぁさてはお前の方がビビってんな、三日月?
敵も恐怖も、焼いて斬っちまえば解決だ
俺ぁ焼き払う、運よく逃れやがった奴ぁ任すぜ

【騎乗】【操縦】でシンディーちゃんに跨り『ブレイズフレイム』
スカーレット・フレアドレスに点火して火炎弾になりつつ【ダッシュ】して【範囲攻撃】だ
フリントもぶん回して【なぎ払い】【吹き飛ばし】てやるか
炎は敵だけを焼くようにするわ

攻撃喰らったら【カウンター】
至近距離で焼く
背中にゃ似たようなもん(羅刹紋・荊蔓)がもう入ってんだ
テメェらの入る余地はねぇよ!

ああ、煩ぇ、煩ぇ
恐怖だ疑念だと知った事か
まとめて束ねて粗朶にしてやらぁ!


月隠・三日月
【白石】
引き続き同じ旅団のヒトと参戦するよ。
『豊穣の象徴』とはよく言ったものだね。直視するのすら恐ろしい相手だとしても、実りを願う気持ちを現わすモノには違いない。
「さすがのエスタシュさんも、あれを相手取るのは怖いんじゃないかい?」

いやあ、派手にやるねエスタシュさん。あいわかった、逃げた輩は私に任せてよ。
【妖刀解放・大太刀】で大太刀に変化させた《妖刀》で、手近な敵から叩き斬るよ。相手は怪異、《護符》で<破魔>の力を上乗せして攻撃しよう。
あれらについては深く考えない方がよさそうだ。ユーベルコードの代償として私の精神力を《妖刀》に喰わせれば、余計なことを考えるだけの余裕もなくなるから一石二鳥、だね。



●駆ける獄炎、閃く妖刀
 豊穣を願う狂信達の数は明らかに減ってきていた。
 幾ら分身を作ろうとも即座に燃やされ、潰され、断ち切られていればいずれ力も底をつく。過去の産物であれど、その持てる力は無限ではない。
 さてあと一息。犇めく残党を断ち切るのは、彼らだった。
 
 ――『豊穣の象徴』とはよく言ったものだと、三日月は想う。
 あのようにおぞましく踊り狂う者達に繁栄を祈るなど。或いは、あんな直視するのも忌むべき存在だからこそ、実りを願われ具現化したのかもしれないが。
「さすがのエスタシュさんも、あれを相手取るのは怖いんじゃないかい?」
 軽い調子で口ずさめば、隣に立つエスタシュが鼻で笑う。
「はっ、そんな事言うたぁさてはお前の方がビビってんな、三日月?」
「ふふ……まさか。相手がなんであろうと、オブリビオンである以上断ち切るだけだよ」
「そうかよ。ま、敵も恐怖も、焼いて斬っちまえば解決だ。俺ぁ焼き払う、運よく逃れやがった奴ぁ任すぜ」
「あいわかった。逃げた輩は私に任せてよ」
「おっし、それじゃあ行くぜ? シンディーちゃん。バケモノ共とダンスパーティーだ! 思いっきり踊ろうじゃねぇか!」
 ブルルン! と愛用のバイクが唸りを上げると同時、エスタシュの肉体に亀裂が走り、そこから紅蓮の炎が溢れ出した。それは地獄に渦巻く断罪の火炎。やがてそれがジェットエンジンに点火すれば、彼は巨大な火炎弾と化す。
「――ああ、煩ぇ、煩ぇ。まとめて束ねて粗朶にしてやらぁ!」
 恐怖だの疑念だのと喧しい。そんなもんはどうでもいいんだ。俺には効かねぇ知ったことじゃねぇ!
 轟!! と灼熱が疾走る。焔の塊はくねくね達をなぎ払い、吹き飛ばし、地獄の業火は彼らのみを灼いていく。
 そこにくねくね達への疑問が入る予知などない。故に――ユーベルコードは不発だ。ならば必然、鏖殺される以外に道はない。
 再び火炎が荒れ狂えば、焦熱地獄が出来上がった。

「……いやあ、派手にやるねエスタシュさん」
 遠目に同僚の姿を見つめながら、三日月は唇に薄く笑みを浮かべる。
「そして、あなたたちは随分惨めだね」
 細めた冷たい瞳を向けるのは、エスタシュの業火から逃げ出し、戦場から離脱しようとしている残党達。
「けれど、あまり深くは考えないほうが良さそうだ」
 呟いたと同時に、三日月は抜刀する。普段であれば腰に下げるほどの大きさの太刀だった妖刀は、いつの間にか大太刀へと変化していた。
「―――死んでもらうよ」
 爽やかな声だった。見つけた紙くずをゴミ箱に捨てるかのような軽さで、三日月は言い放つ。精神力を妖刀に食わせている以上、余計なことは考えていられない。
 一閃。瞬きをすれば白の肉塊は二つに分たれた。ぼとりと地面に落ちたそれは、しばらくうぞうぞと蠢いていたが、すぐさまぱたりと絶命した。
「邪魔だね」
 二閃。少し踏み込んで腕を振るえば、数多の白が両断された。刃に纏う破魔の力は、彼らの存命を許さない。傷口から焼けるように煙があがれば、彼らはのたうち周り動かなくなっていった。



 そうして彼らの活躍によって、くねくねへと変貌した狂信者らは打ち倒された。
 だが―――。
 それは同時に、深淵に眠る災禍の呼び水となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『禍罪・擬狐』

POW   :    恐レヨ。
【燃え盛る前肢】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    惧レヨ。
【長い尾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    畏レヨ。
【炎の尾から青い狐火】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は榛・琴莉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●禍津に飲まれし豊穣の骸
 大気が渦巻く。街全体に蔓延していた淀みが、この場所に集結していた。
 信者達が描いていた絵画がぞわりと蠢く。戦闘によって幾分も消えかかってはいたが、残っていた僅かな光景が邪気を帯びる。
 空間が歪曲し、極大の悪意が顕現する。

 金色の稲穂の園。そこに降り立つのは偉大なる豊穣の神。
 その、はずだった。
「兇レヨ」
 現れたのは生気を感じさせない肉体をした歪なる妖狐。注連縄は忘却により絞殺されたものの印、背中から突き出る青い光はこの地で死んだ者達の妄念。そして肉体は――かつてこの地を栄えさせた天狐の骸。

 猟兵達はひと目で理解できるだろう。
 これは、既に神ではないと。
 これは、既に堕ちているのだと。
 裡側に潜むのは邪悪なる意思。神の肉体を利用する過去の亡霊たち。目前に現れたものは豊穣をもたらすものなどではない。
 死と災厄を撒き散らす――タタリに等しい存在だ。

 狂信者たちの肉体と魂を贄として今此処に降臨したソレは、ゆっくりと猟兵達を見遣る。渦巻く呪怨の色彩を瞳に湛えながら、呪いの矛先が向けられた。



 ※皆さんの第一章での行動によって弱体化が発生しました!
 技能のレベルが『呪詛30、呪詛耐性30、恐怖を与える15、火炎耐性15、生命力吸収5、範囲攻撃5』まで減少したことにより、PC達に補正値が入ります!
月隠・三日月
【白石】
引き続き同じ旅団のヒトと参戦するよ。
豊穣を願って祀られたお狐さまというのは、最早過去の話か。今となってはただのオブリビオンだね。
早いところ、斬って捨てて終わらせよう。今を生きるモノのためにもね。

エスタシュさんが敵の気を引いてくれているから、私はその隙に敵の背後から一撃入れようか。<暗殺>の技能を使って、後ろから《妖刀》でズドンとやってやるよ。

相手は強力なオブリビオンのようだ、【降魔化身法】で自身を強化して対抗しよう。先程あの白いのを倒したばかりだからね、強化に使う悪鬼だの幽鬼だのは辺りに十二分漂ってるだろう。強化した分の代償はあるけれど、これで敵が倒せるなら安いものだよ。


エスタシュ・ロックドア
【白石】
引き続き以下略

随分と落ちぶれちまったなぁ、お狐サマよ
そこまで行ったら六道最下、地獄道まで堕ちて来い!

【存在感】で敵の気を引き付けるぜ
加えてさっきと同じく『ブレイズフレイム』
【騎乗】【操縦】でシンディーちゃんを駆りS・フレアドレスに点火して火炎弾になりつつ【ダッシュ】して【範囲攻撃】
今度は周囲の可燃物ごと焼く
味方は焼かねぇようするが
そんで【怪力】でフリントをぶち込んでは走り去るヒットアンドアウェイ
炎に耐性があるのは知ってらぁ
これは目晦ましだぜ
業火すら照らさねぇ影から三日月が昇るのさ

敵が与えてくる恐怖には【勇気】で対抗
技能レベルに不安はあるが無いよりゃマシだ

味方が危なけりゃ【かばう】



●焦土より月昇る
 狐神の骸に渦巻く呪詛は嵐のように吹きすさぶ。すぐ足元の草木は枯れ落ち、威圧を伴って猟兵達の間を通り抜けていく。
 堕落した神威に立ち向かうのは、二人の鬼。
「随分と落ちぶれちまったなぁ、お狐サマよ」
 跨る愛車を嘶かせ、エスタシュはかつて神であった骸に語りかける。
 それに続くのはこれまで共に行動してきた三日月だ。
「豊穣を願って祀られたお狐さまというのは、最早過去の話か。今となってはただのオブリビオンだね」
 そう、此処は過去が現実を喰らう残酷なる世界。忘却され、消費された神性は海に沈んで魔性となる。
「早いところ、斬って捨てて終わらせよう。今を生きるモノのためにもね」
「あぁ。そこまで行ったら六道最下、地獄道まで堕ちて来い!」
 三日月が無銘の妖刀を抜き、エスタシュがその身に再び地獄の業火を灯す。
 二人が互いに頷き合えば、先に動いたのはエスタシュだった。
 愛車のジェットエンジンである『スカーレット・フレアドレス』が豪炎を巻き上げれば、彼の肉体が纏う業火と交わり灼熱と化す。
「行くぜシンディーちゃん。ぶっ飛ばす――ッ!!」
 それは先程くねくね達を焼き焦がした火炎弾の再現。否、先程よりも遥かに激しく、その存在感は何よりも強い。
 疾走。周囲の可燃物を焼き払いながら火炎弾が擬狐へと肉薄すれば、ギャルルル!! と炎を纏ったフリントが狐の肉体を削る。
 だが――。
「恐レヨ」
 その効きめは薄く、僅かに毛が焦げた程度。
 そのまま振り上げられた燃え盛る前肢による一撃をハンドルを切ることで回避すれば、再び焔が駆ける。ヒットアンドアウェイで繰り出される赤き焔の連撃と、それを撃ち落とすべく下される蒼き焔の一撃。
 最早、狐の意識は目前の火炎弾に集中していた。
(「はっ。炎に耐性があるのは知ってらぁ」)
 獄卒の口元に僅かに笑みが浮かぶ。目前の狐が火炎に強いことなど勿論理解している。故にこれは余興、これまでの派手な攻撃は目眩ましであり、本命は別。
「――貰った」
 刹那、業火すら照らさぬ影より三日月が昇る。
 降魔化身法により幽鬼を宿した瞳が殺意に光れば、狐の背後から神討つ刃が振り降ろされる。目前の焔に意識を奪われていた狐はそれに対応することなどできずに、縦一文字に背中が分たれた。迸る怨念の叫び、噴き出る漆黒の血液。
 肉を断つ確かな手応えが三日月の手に伝わるが、まだ奪命には至っていない。
 その証拠に、狐の標的はエスタシュから彼へと移っていた。
「やっぱり、そう簡単にはいかないか」
「惧レヨ」
 恨みの籠もった御言が響けば、その心臓を穿つべく狐の尾が放たれる。
「ッ――!」
 一撃は刀でいなし、二撃目は躱し、しかし三撃目に肉体を捉えられようとした時。
「っぶねェ!!」
 地獄の焔が月を攫う。
 間一髪。エスタシュのバイクが間に合ったことで三日月は尾による刺殺を逃れた。
「悪いね、エスタシュさん」
「気にすんな。それより離れるぞ。またアレが飛んできたらめんどくせェ」
 そうしてそのまま距離を取り体勢を立て直した二人は、再び擬狐へと挑むのだった。
 ――狐狩りはまだ、はじまったばかり。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花菱・真紀
眼鏡再装備、と。
真の姿解放。瞳の色が赤く変わる。この姿になると頭いてーから好きじゃないんだけど出し惜しみしてる場合じゃないからな…。もとは豊穣を司る存在への敬意だと思いな。

【バトルキャラクターズ】を使用レベルは下げたくないから2体使用。一体は【援護射撃】および【スナイパー】で援護。一体は格闘戦だ。【第六感】【見切り】を使いつつ攻撃を回避。最後は2体を1体にして【だまし討ち】だ。



●爆裂拳
 呪詛を撒き散らしながら荒れ狂う擬狐を双眸に映しながら、真紀は外したスクエアグラスを装着する。
「再装備、と」
 その瞳は先程までの日本人然とした漆黒ではなかった。
 滴る血のように爛々と輝く真紅。それはヒトならざるものへと通ずる瞳。即ち彼の内包する埒外の力の片鱗。
(「っ、やっぱいてーな……」)
 ずきりと頭が軋む。真の姿を解放したことによる負荷がのし掛かり、真紀の顔が僅かに痛苦に歪んだ。
 しかし出し惜しみしている場合ではない。相手は既に骸となったとはいえ、かつて豊穣を司った神だ。その力は本来であれば果てしなく強大。僅かな油断をすればその瞬間に首が飛ぶ。
「まぁ、あんたへの敬意だと思いな」
 その不遜なる声に、擬狐の瞳が真紀を映した。
「愚カ」
 刹那、瞬く間に真紀の目前へと姿を現した狐が呪詛の息吹を放った。
「ッ、あぶねぇっ!」
 咄嗟に地面を蹴り上げ距離を取ることにより回避。真紀を捉えることのできなかった息吹が通り抜ければ、大地は腐り枯れ果てた。
 もしもアレをまともに食らっていたら――そう思うと真紀の背中にぞわりと悪寒が走る。今眼前で起こっていることが、紛れもない現実なのだと改めて理解する。
「ひゅう……肝が冷えたぜ。じゃ、次はこっちの番だ……ッ!」
 真紀が手を振るえば、虚空より二体の戦士が召喚される。片方は銃を持つ兵隊のような姿、もう片方は拳を携えた格闘家のような姿。
 彼らはそのまま狐へと突撃すると、連撃を放った。銃と拳による遠距離と近距離のダブルアタック。そのままの勢いで二人は一人の勇士となり、爆裂する拳によって擬狐の不意を突いた。
 硝煙を上がり、それを切り裂いて擬狐が姿をあらわす。
「愚、カ」
 背後の傷からばしゃりと黒血が落ちる。その身に帯びる炎への耐性は健在であったが、どうやら衝撃を伴った拳撃は確かに通ったようだった。
 ――だが、それでもまだ足りない。
 擬狐はその四足で地面を踏みしめると激しい咆哮をあげ、戦闘を続行する。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘンペル・トリックボックス
や、どうやらあの妙な落書きに一手加えたのは、間違いではなかったご様子。不完全な召喚で弱体化しているうちに、骸の海へお帰り願うとしましょうか......!

水行符による【属性攻撃】を浴びせ、敵の焔の更なる弱体化を狙います。同時に全身を汲まなく水気で浸し、UCによる雷の感電効果を最大まで引き出せるように立ち回り。準備が調い次第、【破魔】の力を【全力魔法】で強化した極大のUCを叩き込むとしましょう。

──古来よりは天上の神威を示した『神鳴り』、そして豊穣をもたらすとされた『稲妻』です。『本物』の一撃、その身をもってご理解ください。



●インドラの槍
 爆発した呪詛の咆哮は木々を蝕み、その生命を奪っていく。
 不可視の生気が擬狐へと集っていけば、僅かに焦げた肉体が修復されていった。しかし背後の傷は癒えることはない。
 もしもこれが完全体として招来されていたらかなりの苦戦を強いられていただろう。そうヘンペルは思考する。
「や、どうやらあの妙な落書きに一手加えたのは、間違いではなかったご様子」
 にこりと掴みどころのない微笑みを浮かべ、冷却と浄化の理を示す霊符を展開する。
「不完全な召喚で弱体化しているうちに、骸の海へお帰り願うとしましょうか……!」
 声に力を込め、霊符を操れば水弾が射出される。炎を鎮め身を清める聖水の殺到に、擬狐は蒼い狐火で応戦する。火と水が弾け、狐火を躱した水弾が擬狐の肉体へと、水弾を躱した狐火がヘンペルへと向かう。
「ふっ……!」
「ガァッ……!」
 ヘンペルは軽やかな動きで狐火を回避。
 しかし、背中に大きな傷を受けた擬狐は僅かに間に合わずに被弾した。命中した部位からは肉が焦げるような音とともに煙があがり、炎の勢いが僅かに弱まる。
「おっと、まだ終わっていませんよ」
 その隙を逃すまいと、ヘンペルは霊符より再び水弾を炸裂させる。それはマシンガンのように無数に発射され、狐火の合間を縫って擬狐の肉体を濡らしていく。
「畏レヨ」
 忌々しそうに擬狐が歯を鳴らせば、再び狐火がヘンペルへと襲来した。
「いいえ、私はあなたを畏れない。紳士、ですから」
 対するヘンペルが浮かべたのは――微笑み。
 同時、霊符が黄金の輝きを放つ。先程まで水符であったそれは、いつのまにか赤の呪符へと変容していた。光を纏い空気を震わせ、魔滅を成そうとするそれは、即ち雷。
「遍く帝釈天に帰命し支え奉る! 其の権威を以て悪しきを尽く焼き滅ぼしたまへ!」
 即座に口ずさまれる祝詞が響き渡れば、障碍を打ち砕く雷火が落ちた。
 膨大な破魔の力を内包する光にその身を貫かれれば、擬狐とて無傷ではいられなかった。惨痛の絶叫を上げると共に、その身がぐらりと揺らぐ。
 ヘンペルと向かおうとしていた狐火はコントロールを失い、非ぬ方角へと飛んでいった。
「──古来よりは天上の神威を示した『神鳴り』、そして豊穣をもたらすとされた『稲妻』です。『本物』の一撃、その身をもってご理解ください」
 手にした水符で狐火を打ち消しながら、ヘンペルは怜悧に告げた。

 ――狐の骸を討つまで、あと僅か。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

阿紫花・スミコ
「次から次へと・・・」

アヴェンジングフレイムでけん制するが、たぶん効果は薄いだろう。

「炎は効かないか・・・なら・・・。」

巨大な革張りのスーツを解き放つ、中から出てくるのは巨大な棍棒を持ったからくり人形「ダグザ」。

ヒットアンドウェイを基本に。敵の間合いにはなるべく入らないように、ダグザのリーチを生かしながら、攻撃を積み重ねていく。他の猟兵達も協力しながら、攻撃のチャンスをうかがう。

「ここだ!」

両手を引き上げるように操り糸を引き上げると、ダグザの腰部の歯車が軋みをあげて回転し始める。高速回転したダグザの上半身は、棍棒を持ったまま回転し、敵を巻き込む!

スピニングスイーブ・・・これでどうだぁ!


ルーク・アルカード
【心情】
かみさま?
かみさまってよくわからないけれど、皆を救ってくれるヒトなんだってね。
じゃあ、これは違う?

【戦闘】
血晶刀に血を注いで『生命力吸収』させ『武器改造』する。
『ダッシュ』で近づき『早業』で『2回攻撃』。
敵の攻撃を『見切り』、致命傷は避け『捨て身の一撃』を常に心がける。

ここぞという一撃にユーベルコードを使用し全周囲攻撃。

【戦後】
お腹空いちゃった……。
美味しいお肉とチーズ食べたいな。
あまーいデザートっていうんだっけ?それも欲しいかも。

……帰ったら、今日会ったこと教えて、いっぱい褒めてもらおう。

【備考】
格好可愛いい描写期待してます。



●絡繰る善神、骸討つ血刃
 雷の後に残ったのは、その身体を焦がされた八尾の怨霊。
 滴る鮮血のような赫の瞳が猟兵達を憎々しげに睨めば、その呪詛はより強大なものとなって拡大する。
 擬狐を中心として周囲の生命が壊死していく。己の欠けた部分を補うように、己が失った部分を取り戻すように、いのちの力が吸収されていく。
 しかし――獣の傷が治ることはない。
「かみさまって」
 その様を見ていたルークがぽそりと呟く。
「よくわからないけれど、皆を救ってくれるヒトなんだってね」
 通常形態へと戻った金盞花を携えながら、ぼんやりとした瞳を向ける。
「じゃあ、これは違う?」
「あぁ、きっと違う。こいつはもう、神様なんかじゃないよ」
 ルークの疑問に答えたのは、丁度側で擬狐と相対していたスミコだった。
「まったく次から次へと……。来い!!」
 迸る呪詛の風に眉をひそめながら、スミコはスーツケースの封を解く。その中からはスミコの身長の倍以上はあるであろう、棍棒を手にした巨人が現れた。
 其は神話に語られる豊穣神の一柱。『善き神』の名を持つ神格――『ダグザ』。それを模した絡繰り人形だ。
 そのままスミコはダグザと共に擬狐へと駆ける。できるだけ相手の間合いに入らないように。巨人の体躯を活かすように。
「――そう」
 それを見て、合点がいったようにルークが零す。
「なら、殺すね」
 無機質に空気を震わせれば、白狼が駆けた。
 金盞花は、収穫を成す大鎌の如き形へと変貌していた。

「はっ!」
 指から伸びる糸を手繰り、スミコは擬狐との攻防を繰り返していた。擬狐の長尾による一撃を棍棒で受け流し、その隙に巨人の脚が擬狐の鳩尾を抉る。痛みに悶える隙に距離を起き、再び別方向から殴りつける。
「――」
 そして、それに合わせるようにルークの刃が振るわれる。瞬速の技術を以てして振るわれるのは二閃。擬狐の前肢による圧し潰しを軽やかに避けながら、己の身を顧みずに捨て身の一撃を放ち続ける。
「憎イ、憎イ、憎イ」
 苦しげに口の端から黒血を垂らし、擬狐は恨み節を口にする。本来であればそれは猟兵達の肉体を蝕む負毒となったのだろうが、既に消耗しきった擬狐にそれほどの力はなかった。
「等シク、滅セヨ」
 最後の抵抗とばかりに、己の全力を用いてこの場の猟兵総てへと絶大なる呪いの焔を吹きかけようと怒りに任せ大きく顎を開き、狐火の尾を展開。
「ッ――ここだ!」
「……!!」
 だが、それが擬狐にとって致命の隙となった。
 刹那、ダグザの腰部の歯車が軋みをあげて回転し始める。そのまま高速回転したダグザの上半身は棍棒を持ったまま回転し、擬狐を巻き込み乱打を浴びせる。
 加えて、金盞花より百の血晶刃が巻き上がった。
 斬撃と打撃の嵐は擬狐の肉体を穿ち、抉り、切り裂く。
 トドメと言わんばかりに一体と一人の撃が交差すれば、擬狐は断末魔の叫びをあげてその場へと倒れ伏したのだった。

 同時に、ぐぅ~と鳴ったお腹を抑えながら、ルークは思う。
(「お腹空いちゃった……。帰ったら、今日あったこと教えて、いっぱい褒めてもらおう」)
 その音を聞いてか聞かずか、スミコがクスリと微笑んだ。

 ――こうして、祟りとなった神の骸は討伐された。
 狐は忘却の果ての海に再び沈み、現在の安寧は保たれた。
 もうこの街に、神はいない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月27日
宿敵 『禍罪・擬狐』 を撃破!


挿絵イラスト