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殲神封神大戦⑧〜九龍城塞黑社會賭場

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑧ #コンキスタドール『編笠』

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#コンキスタドール『編笠』


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「やれやれ、私も人のことは言えないがやつらも相当な悪だよね」
 編笠は面白がるように笑い、銃の手入れを急いだ。ここは複数のマフィアが支配権を争い合う抗争地帯。その一角に豪奢な賭場場が商いをしているのだった。
「商いといっても、イカサマ上等。金がなくなりゃ自分の体を切り売りすることだって日常茶飯事さ。それでもここには客が絶えない。さ、君はいったい何を賭けるんだい? 金か命か、それとも――」

「要はカジノだね」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)はふたつのサイコロを卓に振り出した。ルーレットにトランプ、それにダイスゲーム。各種テーブルゲームには担当のディーラーが付いて魔窟の猛者どもをもてなしているようだ。
「しかも牛耳っているのはこのあたりの地区を支配しているマフィアの連中ときたもんだ。治安の悪さで言えば折り紙付きの場所だね。ぼんやりしてると抗争に巻き込まれて、あれよという間に蜂の巣だ」

 編笠がこの場所を選んだのは、そんなマフィア同士の争いに乗じて自分の気配を消そうという魂胆もあるのだろう。
 カジノでは日常茶飯事的に諍いが発生し、身包み剝がされた客が命乞いする悲鳴が頻繁に聞こえてくるらしい。
「九龍城塞じゃ、そこに住む人の素性はまるで問題にされない。人だろうが仙人だろうが羽衣人、オブリビオンなんだって歓迎される。ただし、彼らとよそ者の間には決定的な違いがあってね。それが住民のみが纏う共通の雰囲気……霊気みたいなもの、といえばいいかな。編笠はその有無で猟兵を見分け、奇襲をかけようと手ぐすね引いて待っている」

 というわけで、と嵐は手を打ち鳴らした。
「戦いを挑む前に住民たちの生活に溶け込んで、彼らと同じ霊気を纏ってしまおうというわけだ。カジノの客でもいいし、マフィアのふりをして潜り込むのでも構わない。なにしろ複数のマフィアが入り乱れる抗争地帯だ。多少顔に覚えのない構成員がいたって気にするやつなんかいやしないさ。あるいはディーラーやスタッフ側で働くという手もあるね。他にも溶け込む方法はいくらでもあるだろうから、皆の好きにやってくれて構わないよ。香港租界を代表する大魔窟に潜り込む機会なんてそうそうないからね。せっかくだから、心置きなく楽しんでおいで」


ツヅキ
 プレイング受付期間:OP公開時~フォーム締切or完結する迄。

 連携無し、順次リプレイをお返ししていきます。プレイングが送れる間は受付中ですが、執筆のタイミングによっては早めに完結する場合があります。

●第1章
 住民のみが特殊な霊気を纏う九龍城塞にて、編笠が猟兵の迎撃態勢を整えています。住民の生活に馴染み、その霊気を纏うことで先制ユーベルコードを躱すことでプレイングボーナスが得られます。
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第1章 ボス戦 『『編笠』in九龍』

POW   :    編笠暗殺術
自身と武装を【編笠から落ちる影】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[編笠から落ちる影]に触れた敵からは【平衡感覚】を奪う。
SPD   :    九龍乱戦遊戯
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【代用武器とした、九龍城砦の全ての人・物品】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ   :    ドラゴンズ・ドリーム
【煙管の煙から具現化した「紫煙龍」】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【袋小路への迷い込み】を誘発する効果」を付与する。

イラスト:稲咲

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

比良坂・彷
アングラ・流血描写大歓迎

常に喫煙
こりゃァいい死に場だね
客としてルーレット
フリなんてしねェよ俺は博徒なんだから

大負けしてる客へ
俺が肩代わりしてやろっか?
…0以下からのスタートのが燃えるのよ
猟兵で稼いだ札束投げて
足りねェ分は此から博打で
さァ遊びましょ

胴元が儲かるようにできてんだ、まぁ吸い取られるよね
編笠が来たらUC起動、運を奪い取る
ディーラーも同卓の客も敵

ねぇ、人が持つ“運”って定量だって知ってる?
ギャンブルってそれを取り合うの…

編笠へは麻雀牌をぶちまけ威圧射撃、攻撃させない
場の人間の運は、全部俺のものアンタにゃ使えねェよ

ルーレットは9の一点駆けが当たり±0
オジサンの負け分の分+だし、上出来でしょ



「おい、どこ見て――」
 それは賭場入口での出来事だった。中に入ろうとしていた比良坂・彷(冥酊・f32708)に肩をぶつけた男が因縁をつけようと凄みかけ、皆まで言えずに打ち切った。骨の髄まで染み付いた煙草の匂いと底の見えない瞳にうっかりと呑まれかけたのである。
「あんた、ここの常連?」
「え、あ……ああ……」
 彷は賭場に向かいつつ、肩越しに男を振り返って嘯いた。
「なかなかいい死に場だ。こりゃァ来た甲斐があったってもんさ」
 さっそくルーレットを選んで台の前に腰かける。フリなんかじゃない。これはとある博徒による日常茶飯事的な振る舞いのひとつに過ぎなかった。チップを求め、爪の先を使うようにして枚数を数えると、隣の男をちらと見る。
「なァ、ちょっとヤバいんじゃない? 大負けしてるみたいだけど」
 いまにも死にそうな顔をした隣の客が、「え?」と聞き返した。
「俺が肩代わりしてやろっか、って言ったの」
 頬杖をつき、捉えどころのない素振りの彷である。客はやはり意味が理解できなかったようで、もう一度「え?」と呟いた。
「悪い、お前が俺の負け分を肩代わりしてくれるって聞こえたんだが、そんなわけないよな」
「いいやそれで合ってるよ。俺ね、0以下からのスタートのが燃えるのよ。そら、ひとまず有り金全部くれてやるよ」
 卓に投げ出された札束の厚みに賭場の空気が変わる。客はごくりと喉を鳴らし、ディーラーも金と彷の顔を交互に見やった。いったい何で稼いだ金なのかとその目が口ほどに物を言っている。
「出所ははっきりしてる金さ。仕事の対価ってやつ。さァ、ゲームを始めましょ? 足りねェ分は此から稼ぐのさ」
 粋な計らいに賭場が沸き立った。
 ――うまい。
 賭け事とは流れだ。
 こいつに勝って欲しい、応援したい。そんな空気感を作り上げることのできる者なんてそうはいない。 
(「そんなだから、負けんだよ」)
 賭場で自分以外の誰かを応援するだって? 愚の骨頂。だって人が持つ“運”の定量は決まっているのだから。誰かにそれをやってしまったら己の分が目減りする。ギャンブルってね、それを取り合う遊びなんだよ……。
「9の一点賭け」
 周囲がどよめいた。
「やけに盛り上がってるね」
 あまりにも騒然となっているので、興味を惹かれた編笠までもが顔を見せる。この時、場を支配するほどに馴染んだ彷の霊気は彼女にも見分けられない水準に達していた。
「ルーレットの一点賭けだって? 強気なやつがいたもの――」
 編笠の、黒眼鏡越しの瞳が彷のそれと出会った。
 コンキスタドールである彼女にはしっかりと見えたはずだ。命知らずの狂気を解き放つ彷の元へと、この場に同席した全ての者――当然、そこには編笠も含まれている――から収奪され集う“運”の流れを。
「お前、猟兵? その霊気はいったいどうやって?」
 答えてやる義理なんかなかったので、彷は手持ちの鞄ごと中身をぶちまける。点棒が弾幕みたいに編笠の顔面を強かに打ち、先制の気を削いだ。
「麻雀牌……!?」
 己を穿つ正体を知った編笠の叫びに観客の歓声が被さった。慌ててテーブルを振り返れば、ちょうどルーレットが止まった直後。
 ――9。
「さすが香港租界の主たるコンキスタドール殿。“運”の持ち合わせも半端じゃございませんね……」
 頬杖をついたまま、彷はくすりと笑んだ。
「これでようやく±0。オジサンの負け分の分+だし、上出来でしょ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
周囲に溶け込んでから奇襲を掛けろって言う事だね……
…それじゃ【想い交わる幻硬貨】を貼り付けてからカジノに行こうか……

…さーて、それじゃ暫くカジノを楽しむとしようか…
…まずは見に回るけど…うーん…どこもある程度勝つとイカサマ仕掛けて負けを取り戻そうとしてくるな…
…プロっぽい奴はそれを察知して場を変える…って言うところかな…
…それに習って色んなカジノで儲けながら賭場を渡り歩くついでに編笠を探すとするかな…
…充分に霊気を纏ったら編み笠に近寄り……術式装填銃【アヌエヌエ】の銃弾を叩き込んだ後に雑踏に紛れて心理隠密術式【シュレディンガー】を起動…姿を見失わせて攻撃を回避しよう…



「アンタ、今日はついてるねェ」
「それほどでも……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は積み上がったチップを数え、そろそろかなと席を立つ。
「もうやめるのかい? せっかく当たってるのに」
「……いろいろ回ってみたいし……お勧めとか……ある……?」
「どうやらルーレットが盛り上がってるみたいだぜ」
 さっきから常連客が気さくに話しかけてくるのには理由があって、メンカルの髪にかくれた額に貼りつけた一枚の硬貨による友好催眠が効いているのだ。
 カードで稼いだチップを手にメンカルは賭場内を見て回る。ある程度勝つとイカサマで取り戻そうとしてくることに気が付いてから小まめにゲームの種類を変えるようにしたのだ。
「まったく、さっきは酷い目にあったよ」
 なんて、ぼやいている編笠を視界の隅に入れながらルーレットの目を選んでチップを賭ける。他の客の様子を見ていてわかったのだが、手慣れた風情の者は皆、適当なところでゲームを切り上げて席を替えるのだった。
(「……なにせ、マフィア直営のカジノだからね……まともにやってると思う方が間違いってことか……」)
 からくりも見抜いてしまえば、手持ちのチップが緩やかに増え始める。メンカルはコツコツと増やしたチップを換金するついでに次の段階へ作戦を進めることにした。
 そろそろ場に馴染んできた頃合いでもある。もうひとつの目的を果たすためにゆっくりとその人物に近づき、音もなく抜いた銃を構えた。
「それにしても、猟兵はいったいどこであの霊気を……」
 独り言を続ける編笠の背後に突きつけた装填銃の引き金を引き絞る。高らかに鳴る銃声とほぼ同時、驚いて振り返る編笠には構わずメンカルはすぐさま周囲の雑踏に紛れ込んだ。
「どこから?」
 密かに発動した術式がメンカルの存在を編笠に確信させない。当てずっぽうに乱舞するチップの嵐から慌てて逃げまどう客を後目に、メンカルはそっと編笠から距離を取った。
「猟兵はどこだい?」
 どうやら、相手は焦っているようだ。
「……気長にいこう……」
 ルーレットの席にいったん戻ってさっき賭けた結果を確かめる。当たりだ。増えたチップを積み上げ、メンカルは再び次の機会を待って装填銃を構えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飛・千雨
SPD アドリブ連携歓迎

コンキスタドール…!
許せない悪党共ですが、潜入する必要があるというならば、怒りを抑えましょう。
網を張る策士の裏をかければ、痛打を与えることもできるでしょう。

霊気を纏うために、彼らの身内として紛れ込むことにします。
スタッフ側の衣装を拝借してUCで着替えます。
……バニースーツ、ですか(アルバイト制服による情報収集)。
これもコンキスタドールを討つ為! 恥じらいは、耐え忍びます!

職務を遂行したり、同じように潜入した猟兵の方を補助したり、
編笠が利用しようとする九龍城砦の地形を調べて、武器となりそうなものを目立たない位置へ動かし、抜け道を開けたり閉めたりして。
暗躍させてもらいます。



「始まったようですね……」
 どうやらルーレット場の方が騒がしいことを知った飛・千雨(偽神宝貝の使い手・f32933)がそちらを振り返ると、頭につけた長い耳がぴょこっと揺れた。腰にはぽんぽんみたいな白くて丸い尻尾。
 どこから見ても立派なバニーガールが、カクテルを乗せたお盆を手にフロアを歩き回っている。

「これを……着るのですか」
「うん、そう」
 ホール担当者が頷いた。賭場に潜入するため、千雨がここで働きたいと交渉した時のやり取りである。
「他には……」
「いま募集してるのは、バニーガール要員だけ」
 お決まりのバニースーツを受け取り、千雨は観念した。着替えるのに有した時間はわずか0.05秒。なるほど、こういう時にこの技はとても重宝するらしい。

 恥じらいは捨てた、と千雨はこの状況を耐え忍ぶ。
(「コンキスタドール……! その悪事、必ずや暴いてみせましょう」)
 なにしろ、九龍城塞内にある賭場で働くスタッフの衣装である。これを纏っている限り、編笠の眼力をもってしても他の住民たちと見分けるのは至難の業だ。
「こちらの椅子、使われていないようなので片付けさせていただきますね。あっ、そちらの扉が開いていると寒いので締め切ります」
 てきぱきと、千雨は戦いで編笠が有利になりそうな要素をしらみつぶしに排除していった。コンキスタドールへの湧き起こる怒りを抑え込むにはこうして体を動かしているのが一番でもあった。
 相手が策士だと言うのなら、こうして千雨が暗躍する甲斐があるというもの。
「そこのバニーガール、こっちに猟兵が来なかったか?」
 そのうち、背中に銃創を負った編笠が千雨を呼び止めた。
「いいえ、それらしい人は見ておりません」
「ならいい。おっと――」
 どうやら猟兵に追われているようだ。死角から狙撃を受けた編笠は急いで武器を探すが、さっき千雨が片付けてしまったので手ごろなものが見当たらない。
「どうしてこんなに片づけてあるのさ、椅子や灰皿のひとつもありゃしない」
「恐れ入ります」
 千雨は礼儀正しく頭を下げた。最後までこちらが猟兵だと気づかなかった編笠がどこかにいってしまってからも、引き続き仲間たちの支援を行うために千雨は相変わらず長い耳を揺らしながらホール業務に戻るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノア・クレムリィ
 ここは暗黒街、イカサマも暴力も何でもあり。ならば、こちらもそのように振舞いましょう。海賊流の荒業で臨みます。黒いドレスにマティーニ、側に〈召喚術〉で呼んだ黒スーツの野郎共。このくらいやればマフィアの女に見えるでしょうか。

 ルーレットのテーブルにつき、ボールを投げる際のディーラーの癖を〈瞬間思考力〉で〈見切り〉ましょう。赤の27に5000ドル、勝たせてもらいます。
 編笠が私に近づくか同じテーブルについたら攻撃開始です。テーブル下に隠しておいたカービンを〈クイックドロー〉し、彼女の乱戦遊戯を〈威嚇射撃〉で押しとどめます。

 先制UCを躱したら【UC:軍龍戦術】(SPD)を発動。野郎共と〈集団戦術〉で攻撃しましょう。少々酔っていますが戦闘に支障はありません。行くぞ野郎共、怯むな、前進。隙をついて〈スライディング〉し急接近、〈零距離射撃〉で銃弾を確実に叩き込みます。

 ルーレットでは派手に勝たせて貰った。この勢いのまま、押し切るぞ。ショータイムだ!

(アドリブ等々全て歓迎です)



 どのような喧騒も日常茶飯事として片づけられてしまう黒社会の賭場においてすらノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)の存在は耳目を集め、ちょっとした噂になるほどであった。
「ありゃあ、誰の女だ? すげえ貫禄だな……」
「初めて見たが、馴染み過ぎて新顔とは思えねえ。どっかのマフィアが囲ってる秘蔵っ子のお披露目でもするつもりなのか」
 黒いドレスの裾から伸びるすらりと長い脚を組み、ノアは黒スーツの子分から受け取ったマティーニのグラスを手のひらで回した。
「ふふ」
 噂に違わぬ賭場の様子に笑みが零れる。さっきも身包み剥がされた客が屈強な男たちに羽交い絞めにされ、裏に運ばれていったばかりだ。最初の数ゲームは見に徹し、ディーラーの動きをつぶさに観察した。見切った癖とパターンを瞬間思考で組み立て、もっとも確率の高い目を弾き出す。
「赤の27に5000ドル」
 大勝負に客たちも興奮を抑えきれない。しかも、ノアはこの一点勝負をぴたりと当てたのである。大量のチップが運ばれ、山のように積み上がった。
「景気がいいようだね?」
 編笠は誰かを探している素振りでテーブルに近づき、ノアに尋ねる。まるで正体を疑っていない口ぶりであった。
「さっきまで、ここに猟兵がいたはずなんだが。心当たりは?」
「ありますよ」
「本当かい? いったいどこに」
「私がそうです」
 ノアはテーブルの下に隠していたカービンで早撃ちし、編笠に先制攻撃のチャンスを与えなかった。威嚇射撃を繰り返し、周囲の物品にまるで手を出させない。
「猟兵? やれやれ、どこから見てもマフィアの女じゃないか」
 アクロバティックにテーブルの上を跳びながら後退し、距離を取ろうとする編笠を海賊兵士の幽霊たちが取り囲んだ。
「! こいつらは――」
「ひっく」
 赤ら顔で片手に酒瓶を引っ掴んだまま、海賊刃を振り回す荒くれものたちである。とにかく数が多く、逃げ場を失った編笠が辟易した様子で呻いた。
「後から後から、きりがありゃしない」
 ノアはカービンを片手に席を蹴り立ち、海賊たちをけしかける。
「行くぞ野郎共、怯むな、前進ッ」
「あいあいさ!」
 ――まさしくショータイム。
 テーブルを足場に跳び回って逃げる編笠を海賊幽霊がわらわらと襲いかかって徐々に追い詰める。編笠に踏んづけられたカードが舞い、もう少しで大勝ちできるはずだった客の悲鳴に紛れてノアはテーブルの真下をスライディングで滑り抜けた。
「!?」
「止めです」
 突如、足元から現れたノアに編笠の反応が間に合わない。相手に直接触れる距離で突き付けた銃口が火を噴き、ついに編笠を仕留めるに至る。
 まさか、とその場にいた誰もが思った。香港租界を束ねる編笠が猟兵に破られた瞬間に彼らは居合わせたのである。
 ふっ、と銃口にわだかまる硝煙を吹き消して、ノア曰く。
「私たちの方が上手でしたね。ああ、皆さんお騒がせいたしました。どうぞ、ゲームの続きを」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月16日


挿絵イラスト