殲神封神大戦⑬〜毒酒は藹々にして隠れ潜む
●紫霄宫(しあいきゅう)
いにしえの仙界、『紫霄宫(しあいきゅう)』内部、その入り口にある仙界随一の『枯れない桃花』に彩られるのが桃源郷である。
この里の仙人たちは皆、酒に酔っていた。
「良い気分じゃ。善き酒気である。これぞまさに宴の花よ」
「まことに。この銘酒を皆と楽しめることができることこそ、善きことなり」
「おもしろきかな。なんとも、酔える君らは、我が友として頼もしきこと」
「さあさ、こちらもどうぞ一献」
「おっと、すまぬすまぬ。零しては申し訳が経たぬ。いただくとしよう」
盛大な宴。
仙人たちは皆、思い思いに酒や豪勢な料理に手を伸ばし、赤ら顔で笑いあっている。
彼等は飲んだくれているわけではない。
この宴には陽の気が満ちている。これは仙界に座すオブリビオンの妖力を少しでも打ち消すことを試みているからだ。
「歌え、踊れ、皆々。我等が陽の気でもって、陰の気を持つ妖力を打ち消さんとしよう」
彼等は皆、真剣である。
真剣に酔っ払っている。質が悪いなどとはどうか言わないでほしい。
これでも殲神封神大戦を戦う猟兵たちの為になればと真面目なのである。
けど、本当にそうかなぁって思わないでもない。
宴のための理由にこじつけてない? 本当にぃ? と問うものが居たとしても、仙人たちは赤ら顔で大爆笑するのだ。
「ガハハハ! 確かに!」
「然り! 我等は五老図に描かれし宴に笑う仙人であればこそ!」
「歌い、踊り、笑う。ただこれだけが陰の気を打ち払う術ならばこそ」
「愉快愉快。何を言われても愉快なことなり」
「ウムウム。生に苦しみは必須。ならばこそ、楽しき時に笑わないでいかがする。さあ、お主もどうぞどうぞ」
「え、なになに? 未成年だから飲めないと申されるか。致し方なし。ならばこちらを」
仙人たちは、笑い合う。
桃源郷を訪れた者たち全てに分け隔てなく振る舞う姿は確かに陽の気に満ちていた。陰の気が入り込む余地など何処にもない。
されど、この宴に入り込む間者がいる。
陽気にまぎれて蠢く存在は、次々と料理や飲み物に毒を盛り始めるのだ――。
●殲神封神大戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。封神武侠界、その仙界内部、その入口にある桃源郷において仙人の皆さんがオブリビオンの妖力を少しでも打ち消さんと試みているのですが……」
ナイアルテは少し困った顔をしていた。
なんと言っていいのかわからないという雰囲気であったが、しかし彼女は意を決して言うのだ。
「宴会にご参加ください」
なんで?
説明は簡単であった。仙人たちが行っている宴は陽気をまして、オブリビオンの持つ妖力を少しでも打ち消さんとするものである。
そのために必要であったのが宴である。
「仙人の皆さんはすでに出来上がっていらっしゃるのですが……どうやら敵のアンジャが入り込み、宴の料理や飲み物に毒を盛り、仙人の皆さんを滅ぼそうとしているのです」
猟兵たちの助力になればと仙人たちは己達ができることはなんでもやろうという気概があるのだ。
しかし、このままでは毒に気がつけず仙人たちが徒に死してしまう。
それを防ぐために仙界の宴に赴き、危険な料理を見つけ出す必要があるのだ。
「しかし、この宴を中断しては陽気が散ってしまうことでしょう。どうか仙人の方々にさとられずに平和に宴を成功させて頂きたいのです」
ナイアルテの言葉はよくわかった。
しかし、猟兵たちはたじろぐだろう。危険な料理や飲み物。すなわち、毒が盛られたものである。これをどうやって排除すればいいのか。
猟兵たちもすでに理解していたことだろう。
嫌な予感がしていたのだ。
「はい、幸いなことに皆さんには問題ない程度の毒なのです。ですから……」
すなわち、己たちの頑強さに任せ、毒入りの料理や飲み物を何食わぬ顔で食せというのだ。
「もしくは、仙人の皆さんの前に並んだ毒入り料理を無害なものにすり替えるですとか……もしくは、仙術や霊薬……皆さんのユーベルコードで毒の作用を中和しながら食べるなど……えっと、その……」
ナイアルテは猟兵たちの視線が痛いのか、誤魔化すように微笑んだ。
如何に盛られた毒が猟兵達にとって死ぬほどの毒ではないのだとしても、わかっていて毒を飲み干すというのは勇気が要ることである。
しかし、料理に毒が入っているなどと宴にケチが付いてしまえば、せっかく集まった陽気は霧散霧消してしまうだろう。そうなっては全てが水泡に帰す。
「……お願いいたします。皆さんしか頼ることができないのです。がんばれっ、がんばれっ、です、よ?」
微笑むナイアルテの頬が若干引きつっている。
何故かボンボン持ってる。それ多分意味合い違うと思うし、なんか微妙である。誰かに入れ知恵されたのかもしれない。
しかしながら、猟兵たちは宴に旅立つことだろう。
自分たちが毒を喰らわば、仙人たちの宴は守られ、陽気が妖力を打ち消すであろう。
封神武侠界を救うための戦いは中盤へと差し掛かる。
オブリビオンを打倒するための力は少しでも多い方がいい。猟兵たちは腹を決めて転移するのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『殲神封神大戦』の戦争シナリオとなります。
いにしえの仙界において催される宴。
それは敵の妖力を打ち消すために陽気を蓄えるための儀式と言っても過言ではないでしょう。過言かもしれませんが、気にしてはいけません。
この宴に集められた料理や飲み物は様々です。
しかし、この料理や飲み物に敵の間者が毒を盛ってしまったため、皆さんは平和に宴を終わらせるために、仙人たちが毒入りの料理や食べ物を食べてしまう前に先回りしてこれを平らげてしまいましょう。
つまるところ、毒なんてなかったぜ! という顔をして宴を楽しむシナリオになります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……毒入りの料理を見つけ出し、何食わぬ顔で食べる。
それでは、陰気払う陽気満ちる宴に潜む毒入り料理を平らげ、悟られぬままに平和な宴を成功させるために奔走する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『毒酒の宴』
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POW : 頑健さに任せ、多くの毒入り料理を食べる。
SPD : 仙人達の前に並んだ毒入り料理を無害なものにすり替える。
WIZ : 仙術や霊薬で毒の作用を中和しながら料理を食べる。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カノン・カノーネ
要するに宴を楽しんでしまえばいいってコト!? そういうことなら任せて、毒のひとつやふたつ、わたしが綺麗に平らげちゃうよ!
まずは〈元気〉に挨拶から! 突然失礼します! みんなに混ざって飲み食いしに来ました、カノンです! ここ座らせてもらうね! さっそく乾杯しよう!
【POW:頑健さに任せ、多くの毒入り料理を食べる】よ! 乾杯! わーはっはっは、麦茶だコレ! 未成年はお酒飲んじゃだめだもんね、代わりにソフトドリンク飲んで雰囲気に酔うよ! 悪魔は頑丈で〈毒耐性〉あるから〈大食い〉だって余裕だよ!
せっかくのパーティなんだから、楽しまなきゃ損だよね!! もう一杯!!
(アドリブ連携等々全て歓迎です)
小難しいことをどれだけ並べられたって、結局の所、宴は飲めや歌えやの大騒ぎである。どったんばったん、細かいことは気にしない。
それはカノン・カノーネ(ウルトラボンバー!・f35172)の言うところの『芸術は爆発』というものに通じるものがあったことだろう。本当に?
砲弾の悪魔たる彼女はド派手である。
炸裂爆裂暴発に。
それが彼女を砲弾の悪魔たらしめるアイデンティティのようなものであったからだ。
「突然失礼します!」
拱手でもって挨拶をするカノンに宴を先立って始めていた赤ら顔の仙人達が出迎える。
「これは丁寧にどうもどうも、駆けつけ一杯どうじゃ」
「おいこれこれ、あの方はどうやら未成年のようじゃぞ」
仙人たちはカノンに酒を進める。
しかしながら、カノンは未成年。残念。お酒はまだ早い。だが、カノンはにっこり笑ってビールっぽい飲み物が入ったピッチャーを手に取る。
あ、と誰もが思う暇もなかった。
ごっ、ごっ、ごっ、と非常に良い喉が鳴る音が響き渡る。あれだけの巨大なピッチャーをカノンは一気に飲み干してしまう。
この宴に紛れ込んだ間者が毒を盛っていることはカノンにはすでにお見通しであった。
宴を平和に終わらせるためには、毒が盛られていたという事実をひた隠しにし、盛られた飲み物や料理を尽く自分たちで処理してしまわなければならない。
毒の一つや二つ、猟兵でありあくまで在るカノンにはまったく効果がない。彼女はなんていったって砲弾の悪魔である。
爆発は芸術。芸術は爆発を地で行く彼女にとって毒など道を阻む障害ですらないのだ。
「わーはっはっは、麦茶だコレ!」
ぷはー! と息を吐きだし、とても良い麦茶の飲みっぷりを示したカノンに仙人たちは大変にごきげんである。
そう、彼女が飲んだのは麦茶。麦酒ではない。年のために。
しかしながら、カノンの顔は赤い。
おかしい。アルコールなど一滴も入っていないというのに……もしや、これば噂に聞く場酔いというやつであろうか。
「大した飲みっぷりじゃ! 気に入ったぞい! もっと持ってくるのじゃ!」
仙人たちは大喜びでカノンの前に料理や飲物やらを持ってくる。
ソフトドリンクを飲み干し、目の前の料理を次々と平らげていくカノン。朗らかな笑顔は、周囲に陽気をもたらすことだろう。
カノンが笑えば仙人たちも笑う。笑顔と笑顔が数珠つなぎになっていく感覚。
「もう一杯! わーはっはっは! 乾杯!」
「ワハハハ! 乾杯じゃー!」
「こっちもどうぞじゃ、あれもこれも絶品珍味であるから、どんどん行くとよい!」
せっかくのパーティだからとカノンのテンションもマックスである。
アルコール入っていないのに、ここまで場に酔うことができるのは仙人たちの人柄もあるのだろうが、それ以上にカノンが良い子であるからだろう。
悪魔という種族は基本的に良い子なのである。
ワルにあこがれてしまうのは、デビルキング法があるから。そして、何よりも彼女には約束がある。
空の世界で空を飛ぶ鎧をくれた優しいお兄さんとの約束。
『誰かを笑顔にする』という約束こそが、カノンを突き動かす原動力だ。
「もっと、もってこーい!」
笑顔振り撒くカノンは、ドカンとド派手に料理や食べ物を平らげていく。お腹がパンパンになっても全然へっちゃら。
なんたって彼女は砲弾の悪魔、カノン・カノーネなのだから――!
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
夜「は? 宴の料理に毒?」
軍犬「まあ、犯人は後で
地獄の底まで追いつめて分らせるとして…」
まず、毒入りの料理を解毒しちまうか
…ん? どうやってって?
そこら中に妲己の力すら払う桃の花
破魔の霊花(食材)があるじゃろ?
あと、花がずっと枯れない場所なら
当然、桃の実…仙桃ってやつもずっと実ってるよね?
これで、各料理に合わせた解毒調味料とか作れば良くね?
(料理+医術+浄化)
夜「ついでに、桃酒も仕込むのであーる!」
超級料理人だから
少々若い(熟成してない)事に目を瞑ればすぐに飲めるのである!
え? 年齢?
私、精霊だから分かんな~いのであ~る
そんな事より酒飲みの仙人共も我々と
一緒に飲むのであーる! わーはっはっは!
桃源郷における仙人たちの宴は盛り上がりを見せている。
盛り上がれば盛り上がるほどに陽気はまして行き、オブリビオンの妖力を打ち消す力となる。
しかし、オブリビオンの間者によって宴の料理や飲み物に毒が盛られているのだという。
魁! 超級料理塾一号生『星月 夜』(チョウキュウリョウリニンミナライホシヅキヨル)と秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)は、その事実に肩を震わせ怒りに染まった瞳でもってブチ切れていた。
「は? 宴の料理に毒?」
「まあ、犯人は後で地獄の底まで追い詰めてわからせるとして……」
軍犬と夜はひとまず宴に用意された毒入り料理を解毒しようと試みる。
それはとても難しいことのように思えたが、ここには妲己の力すら払う桃の花……すなわち破魔の霊花が存在している。
桃源郷は常に花が咲き誇り、当然のことながら桃の実……仙桃と呼ばれる果実もずっと実っているはずだ。
「これで、各閭里に合わせた解毒調味料とか作ればよくね?」
軍犬は桃をもいで、状態を確かめる。
桃源郷と言う言葉に偽りはない。花が咲き乱れ、実が結ぶ。
ここは確かに楽園と呼ぶに相応しい場所であった。
桃は邪気を払う。
ゆえに軍犬は熱い友情で結ばれた友達がいる闇の精霊少女にして、超級料理人である夜と共に解毒調味料の作成に取り掛かるのだ。
「桃のソースだとか、他にも色々作れるだろうしな」
「ついでに桃酒も仕込むのであーる!」
夜の言葉に軍犬は頷く。
熟成するには時間が足りないが、そこにさえ目を瞑れば、すぐに飲めるはずだ。
「しかし、見た目年齢が……」
軍犬は桃酒を飲む気満々の夜の姿を見やり、やや心配げに言う。
アルコールはちゃんと飲める適齢になってから。
当たり前であるが、超級料理人と言えど、そういうのはご法度である。しかしながら、この宴の楽しげな雰囲気を知れば、うずうずとしてしまうのもまた理解できるところである。
「私、精霊だからわかんな~いのであ~る」
えーどっちだ、と軍犬は渋い顔をする。
自分であれば、しっかりと成人済みである。アルコールも食事の友であるからして、やぶさかではない。
そんな軍犬達を見た仙人達が赤ら顔で笑いかける。
「おや、そちらでこそこそしていないで、こっちに来給えよ、こちらで飲もうじゃあないか」
「そうだそうだ。そんな端っこに居ては楽しむものも楽しめない」
仙人達が手招きしながら近づいていくる。
軍犬たちはすでに解毒調味料を作り終えた後である。夜はしっかりと桃酒を抱えている。もうどうにでもな~れという気持ちで軍犬は仙人たちの宴に加わる。
「こちらにあるのは桃のソースっすよ! お食事の際はこれをどうぞっす! あと、こっちの桃酒は超級料理塾生の夜が作ったものっすよ!」
どうぞどうぞと軍犬は毒の盛られたであろう料理に桃のソースをかけていく。
随分と甘そうなと思う仙人たちであったが、桃の香りが食欲を誘ってくれる。甘やかで居て、同時に料理されたものの味を引き出すことに気がつく。
「ほほう、これが! なるほどなるほど。あの名高い超級料理塾の塾生じゃったとは……」
「そんなことより、我々と一緒に飲むのであーる! わーはっはっは!」
夜は特に気にした様子もなく、軍犬の心配をよそにすでに飲んだくれている。
仙人達と肩を組み、笑い合っている姿をみれば、軍犬は自分も楽しまねば損であるというように杯を掲げる。
「それじゃあ、乾杯といくっすよ!」
その号令と共に軍犬や夜、そして仙人達は楽しい宴の中でしこたまに食べて飲んでを繰り返すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
「…破邪・禍祓陣。」
宴に水を差さない為、見つからないように宴の外側四方を囲むように矢を射り、禍祓陣を発動するぜ。
こいつは呪詛や毒素などを浄化するUC、最早料理や酒に入った毒も意味をなさないって訳よ。
「…これで仙人の方々が毒を口に入れても大丈夫でしょう。お邪魔にならないように私達は退散しますか。」
おいおい、何言ってんだ相棒。
万が一禍祓陣が発動してなかったら不味いだろ。念のため俺達も参加して毒が入ってた料理や酒を排除しねえと。
…うへへ、桃源郷の銘酒、楽しみだな。
ようアンタら、俺達も混ぜてくれよッ!先ずは豪快に駆けつけ一杯ッ!
っかーッ!最高だなッ!このままジャンジャン呑んでくぜッ!
【アドリブ歓迎】
仙人たちの宴は陽気に満ちている。
誰もが笑い合っている。そりゃあ、馬鹿話ばかりみたいな他愛もない話であったが、大変に盛り上がっていた。
きっと酒の席というのは、そういうものであるのだろうと神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の相棒である桜は思った。
そんな陽気満ちる席にあってオブリビオンの間者は毒を盛り、彼等を全滅させようとしている。
謂わば水を差すような行いである。
陽気でもって陰気――すなわちオブリビオンの妖力を打ち消そう、共に在ろうとしてくれている仙人たちを失うわけにはいかない。
「……破邪・禍祓陣(ハジャ・マガバライジン)」
破魔弓を引き絞り、至宝に祈りを込めた矢を降らせる。
宴に水をささぬために見つからぬように矢を射る桜は、ユーベルコードによってもたらされた呪詛や狂気、毒素などを浄化し遮断する聖域に宴を変える。
これで今ある料理や飲物から毒素は浄化されただろう。
「……これで仙人の方々が毒を口に入れても大丈夫でしょう。お邪魔にならないように私達は退散しますか」
桜は仙人たちの赤ら顔を見やり、微笑む。
彼が陽気であればあるほどにオブリビオンの妖力は打ち消されることだろう。
ならばこそ、自分たちは自分たちの成すべきことをなさなければならない。戦場にあるのが己たちの役目であるのならばこそ、此処にとどまる理由はもうないのだから。
しかし、鬼面の凶津がカタカタと歯を鳴らして桜を止める。
『おいおい、何言ってんだ相棒』
凶津の鬼面がにんまりと笑っているのを見て、桜は嫌な予感がした。
こういう時の彼は理由を作るのが上手だと知っている。そして、桜自身がそれにうなずけるところがあるのが質が悪いとも理解していた。
『万が一、禍祓陣が発動していなかったら不味いだろ。それに此処にある料理や飲み物の浄化が終わっても、間者がまた追加してきたらどうする?』
「それは……」
確かにそうである。
間者が毒が浄化されたことに気がつけば、毒を追加することもうなずけた。
『念の為俺たちも参加して毒が入ってた料理や酒を排除しねえと』
凶つのことばは尤もであった。だからこそ桜は仕方ないとうなずいて仙人たちの宴に加わるのだ。
しかし、凶津の顔は相棒である桜を丸め込んだことに笑みを浮かべていた。
ここ桃源郷と言えば銘酒がたくさんあることでも知られている。ならばこそ、凶津はこのご相伴に与ろうと笑うのだ。
タダ酒ほど美味いものもあるまい。
『ようアンタら、俺たちも混ぜてくれよッ!』
「おほー、これはまた珍しい客人であるな! さあ、どうぞどうぞ」
「いやいや、こちらの銘酒から是非ご賞味くだされ」
仙人達が集まってきて、凶津は念動力で杯を受け取ると、その鬼面の中に駆けつけ一杯とばかりに飲み干すのだ。
見事な飲みっぷりである。
『っかーッ! 最高だなッ!』
「……凶津、あんまり飲みすぎないで、この後も戦いはあるんですから」
桜の心配する言葉も虚しく、仙人たちは凶津の飲みっぷりに感心するように次々と杯を手渡していく。
『ジャンジャン呑んでいくぜッ!』
もっともってこーい! とばかりに凶津と仙人たちの宴は続く。
桜は息を吐き出しながら、桃の花びらが舞い散る桃源郷で料理に舌鼓を打つ。どれもこれも美味しいものばかりである。
己のユーベルコードが効果を発揮していることを確認し、凶津のもともと赤い顔がさらに赤くなっていくのを見やりながら、たまにはこんな日があってもいいかと桜は微笑む。
風が頬を撫でる。
凶津のあの楽しそうな姿に当てられたかのように、桜は己の頬に手を当て、もう暫くは一時の休息を楽しませてあげようと麗らかな日差しに瞳を閉じるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
うん。仙界ではよくある光景。
よくありすぎる光景です。
先輩仙人からの絡み酒や無茶ぶり一発芸とか…UDCアースでいうセクハラやモロハラな宴からみはよくある光景です。
毒のはいったお酒も…わりと結構…。
はい。
毒入料理は慣れと諦めと妥協です。
バレないようにこっそり『道術』で対毒と『情報収集』の術を発動して、笑顔で食事いたします。
大皿に毒入り料理を回収していきます。
セクハラとモロハラな仙人には笑顔と拳で相手しつつ、毒料理を食べそうな仙人には普通の料理をお勧めして飲食を回避させますね。
あ、あの…すみません。ちょっとお花を摘みに…(限界に至って厠にダッシュして宝貝「霧露乾坤網」で回復中)
桃源郷で催されている仙人たちの宴。
その光景を董・白(尸解仙・f33242)はよく見知っていた。
どちらかというとよくある光景である。いや、ありすぎる光景である。
「先輩仙人からの絡み酒や無茶振り一発芸……」
ぶるりと白は震える肩を抱く。
思い出しただけで、げんなりしてしまう。如何に僵尸として蘇ったからと言っても、色々限度があると思うのだ。
仙人として至る己であっても、あの宴会は未だ苦手であるのだろう。
別世界であるところのいわゆるセクハラやモラハラはよくあることなのだろう。白の苦労が忍ばれる。
しかしながら、目の前の宴にオブリビオンの間者が紛れ込み、毒を仕込んでいるということならば致し方ない。
「慣れと諦めと妥協です」
その瞳は諦観にまみれていた。仙人たちは、目ざとく白を見つけるとにこやかな顔でこちらにおいでと手招いている。
にこやかに見えるのは上辺だけだと白は知っている。
彼等は猟兵には寛容というか、わりと敬意を持って接してくれている。
しかしながら、白が仙人であり、彼等よりも年若い存在であるとわかればまた話は別である。
楽しい酒の席であるのだが、それはそれ。これはこれ。
「さあ、こちらに。まあまあどうぞどうぞ」
「こちらの料理もいかがかな。未だ若い御身。どんどん食して行かれよ」
仙人たちの欲求は唯一である。
若者に美味しいものたくさん食べさせたい欲、ただ一つ。
そう、彼等は伊達に年をとっていないのである。
おじさんたちはみんなそうなのである。若者を見れば、美味しいものを食べさせたい。美味しい酒を呑ませたい。
ただそれだけが彼等の楽しみなのである。
若人にとっては、それがありがた迷惑なのかもしれないが、残念なことに月日が経てばみんなこうなるのである。
笑うな来た道。笑うな行く道である。
「あはは……」
白は自分の先輩仙人たちとは毛色が違っても、やっぱり先達である仙人たちの強引さに若干辟易する。
毒が盛られた料理を回収したことで、仙人たちは大喜びしている。
自分から率先してたくさん食べる若者を老いた仙人たちは好む。じゃあ、これも、あれも、こっちもと頼んでも居ないのに白の目の前に山盛りにしていくのだ。
「これは去る大陸の向こう側から取り寄せた一品でな!」
「なんの、こちらは大層珍しい珍獣から取れるごく僅かな希少部位!」
わーわー、あれやこれやと白の目の前に盛っていくのだ。毒が盛られてないものまで盛られている。
絶対これは全部食べ終わるまで帰らせてもらえないパターンである。
しかし、白も宴会に関しては百戦錬磨である。
これまで多くの先輩仙人達に無理難題を告げられてきたのだ。躱す方法などいくらでもある。しかしながら、限度というものあるのだ。
「あ、あの……すみません。ちょっとお花を摘みに……」
白は胃袋が限界であった。
体よく毒の入った料理だけは完食することができたが、もうだめである。このままでは乙女がやってはならんことをやってしまいそうであったからだ。
即座に厠へと走った白は、清らかな水の結界で己を覆う。
宝貝「霧露乾坤網」(パオペエムロケンコンモウ)である。きっと厠から戻ったらまた山盛りの料理が待っているのだ。
ここで回復していかねばならない。
「ううぅ、先輩たちより善意にあふれているから断りづらいです……」
白はしかしながら、己の責務を果たすべく宴という名の戦場に戻る。
そこにはキラキラした目の仙人たちがいる。
若者に美味しいもの食べさせたい欲を刺激された彼等との飽くなき宴が今再び幕を切って落とされた――!
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
浄化の技能を極める事で、解毒を行うことも可能よね?
そう言って宴の会場内の調理物全てに浄化を行い、解毒を行っていくわ
一応、アルコール類以外は毒の入っていた料理を中心として食べていくわね
……アルコールかぁ、どんな味なのかしらね?
このチャーシュー美味しいわね……(元毒入りだけど)
そう言いながら宴の料理を平らげ、箸を進めていく
後、芸で場を温めるのも宴には必要なことよね?
UCで極まった払いの呪詛、浄化、除霊、神罰、破魔の力と電脳精霊術に現実改変の力を以て、桃の花弁を使い宝貝を大量に作り出していくわね
これが私の魔術……もとい仙術の力よ
お気に召したかしら?
「わはは! 愉快愉快! 猟兵の皆さんはよく食べ、呑んでくださる!」
「見事な食べっぷりと飲みっぷりであるな。我等も宴を開いた甲斐があったというもの!」
「しかしながら、何か忘れとりゃせんかのー」
仙人たちは宴を楽しめるだけ楽しんでいる。
誰も彼もが赤ら顔のまま笑い合って、酒を注ぎ、飲み、また注いでを繰り返す。
もう何度目だっけ? 何杯目だっけ? と彼等はもう正体もわからぬ、いー感じになっている。
「……アルコールかぁ、どんな味なのかしらね?」
シャルロット・シフファート(異界展開式現実改変猟兵『アリス・オリジン』・f23708)は残念ながら未だ成人していない。
ゆえに酒の席であるが、アルコールを勧められることはなかった。飲むつもりもなかったものであるが、仙人達があれだけ楽しげにしていると興味がでてくるのも致し方ないことであっただろう。
すでに宴に追加された飲み物や料理に盛られた毒素は彼女のユーベルコードに寄って浄化されている。
祓いと呪いの極み、人の理のまま深化すれば(ツァラトゥストラ・ザ・エクソシズム)、それすなわちユーベルコードにまで昇華するものである。
「このチャーシュー美味しいわね……」
元毒入りであるがシャルロットは陽気満ちる宴に参加し、仙人たちの赤ら顔を見やる。陽気によって陰気、すなわちオブリビオンの手繰る陰気を打ち消す。
そのために猟兵達は皆宴に参加し、陽気を高めている。
シャルロットに出来ることは料理を食すだけであった。しかしながら、シャルロットはそれだけでいいのかと自問自答する。
確かに毒素は打ち払った。
陽気を高めるという試みをしている以上、これを成功させたいと思うのもまた事実。
ならば、と彼女は高まったユーベルコードの力と電脳精霊術によって現実改変の力と合わせて、桃の花弁を使い宝貝を大量に作り出していく。
「おほーなんじゃこりゃ」
「宝貝か、こんなに沢山作って……これまたたまげた」
仙人たちもびっくりである。
突如として大量に作られた宝貝に目を丸くしている。しかし、すでに、いー感じに出来上がっている仙人たちは驚きと共に大笑いしている。
だって、宝貝ってそんな簡単に出来るものだっけ? とこれが夢か現か幻か理解していない様子である。
「これが私の魔術……もとい仙術の力よ。お気に召したかしら?」
シャルロットの言葉に仙人たちは拍手でもって出迎える。
「いや大したものである!」
「うむうむ。おひねりを……と、何もないのー……」
「宝貝をあげよう。そうしよう。こんなに沢山あるんじゃし」
シャルロットによって生み出された宝貝を仙人たちは、手にとってまるで弟子たちに与えるように彼女へと手渡すのだ。
いや、生み出したのはシャルロットだし、別にそれを渡されても困るのだが、彼等は酔っている。
もうどーしようもないほどに酔っ払っているのだ。
現にろれつはまわっていないし、目の前のシャルロットだって5人くらいに見えている。
出来上がりに出来上がった仙人たちのおかしな様子にシャルロットは微笑むだろうか、それともアルコールが人をダメにするのを見て、将来自分はこうはならないようにしようと決意を新たにするだろうか。
どちらにせよ、シャルロットは仙人たちの赤ら顔と宴に満ちる陽気の暖かさにほほえみ、仕方ないですわね、とつぶやいて桃源郷での休息を得て、再び新たなる戦場へと旅立つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
単純に休息する事で体力や士気の回復などの利点が見込めるし、今回は陽の気を高める効果があるとなれば、宴会をするのも大いにありだ……が、敵が入り込むとはね
まあ、これも仕事と言えば仕事だ。どうにかやってみるとしよう
という訳で現地にて。体力、そして気合いでひたすら飯を食べる。あ、未成年なので酒はなしで
む、舌が痺れる……いや、これは元々そういう料理か。辛いが美味いな
って、この辺り辛い料理が多くないか?いや、辛いのは結構いける方だがこれだけの量は毒とか関係なしに厳しいものがある
だが、辛味の違いもあって……食べれば食べるだけ箸が進む。これはひょっとして危ないのでは?
……ご馳走様でした。当分辛味はいらないかな
「単純に休息することで体力や士気の回復などの利点が見込めるし、今回は陽気を高める効果があるとなれば、宴会をするのも大いにありだ……」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は桃源郷で行われている仙人たちの宴会を目の当たりにして、その意義を再確認していた。
場には陽気が満ちている。
この陽気でもってオブリビオンの妖力を打ち消さんとする試みはきっと成功するだろう。そう予見させるものであった。
だからこそ、この場にオブリビオンの間者が入り込み、その試みを御破算にしようとしていることもうなずけるものであった。
「まあ、これも仕事だと言えば仕事だ。どうにかやってみるとしよう」
鏡介は息を吐き出す。
どうにもこうにも、こういったことは不慣れであるのだろう。
毒入りの料理を仙人達に気取られぬままに食さねばならぬという風変わりな戦い。その戦場ともいえる宴に若人たる鏡介が参加すれば、仙人たちの目が輝くのもまた道理であったのだ。
「やや、これは猟兵殿。こちらの品をどうぞ! 絶品でありますぞ!」
「酒を飲めぬ年齢であるのが惜しいですな。飲める年の頃になったのならば、是非酒坏を交わしましょうぞ」
「小難しいことはいいのだ。とにかく、これも、あれももってこーい!」
仙人たちは年若い鏡介に美味しいものを食べさせたくて仕方ないのだ。
酒が飲めぬからこそ、料理でもってもてなそうと必死である。次々と運ばれてくる料理を前に鏡介は恐縮しながらも、平らげていく。
体力、気合。
ただそれだけが鏡介の武器であった。
ひたすらに。
ただひたすらに目の前に運ばれてくる料理を食べ進めていく。その光景に仙人たちは赤ら顔のまま大喜びである。
「む、舌が痺れる……いや、これは元々そういう料理か。辛いが上手いな」
「さよう! こちらは麻辣坦々麺! こちらは麻辣よだれ鶏! さあさあ、こちらもどうぞ!」
仙人たちは甲斐甲斐しく鏡介に料理を持ってくる。
なんか全般的に辛いの多くない? と鏡介は訝しんだ。毒が入っているかどうかもよくわからんことになっている。
「いや、辛いのは結構行ける方だが、これだけの量は……」
そう、もう毒とか関係ない。
辛いのが行けるクチであると知ると仙人たちは、そればっかり持ってくるのだ。酔っ払っているから、そろそろ別のやつをとかいう加減はない。持てる料理をありったけ。きっと鏡介が気に入ってくれていると思っているのだ。
「だが、辛味の違いもあって……うん、箸が進むな」
しかし、鏡介はこれはこれでひょっとして危ないかもしれないと別の意味で汗が吹き出す。
このままではずっと辛味ばっかりになってしまう。
「おお、違いがわかりますか!」
「お若いのに、この違いに気が付かれるとはさすがである! さ、こちらも一風変わっておりますぞ!」
また一段と盛り付けられる辛い料理。
鏡介はオブリビオンよりも仙人たちの厚意の方が断りづらく、強敵難敵に思えたことであろう。
しかし、彼は食べきった。
しこたま食べた。もう当分は辛味は遠慮したい、そう思いながら鏡介は辛味に寄って音鳴る腹部をさすりながら、激戦を制して次なる戦場へと向かうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
宴を楽しむ!簡単なことではないですか
学んだ【世界知識】での礼儀に
【コミュ力】も生かし終始にこやかに
ご馳走をいただきますね。
【野生の勘】が示して毒入り料理が
分かる気もしますが、
【毒耐性】のある体です。
いざ!【勇気】を以て【気合い】十分に
【大食い】らしい食べっぷりを見せつけましょう
私、いくら食べても高性能な筋肉に変わるんですよ
お酒を嗜むことは出来ませんが、お茶と合わせて
どんどん持ってきてくださいっ
多少体がおかしいかな?と思っても
大丈夫、私は頑丈!【限界突破】して食べ進めますよ!
それにしてもこの世界の料理のなんておいしいことでしょう
私達猟兵が必ず守ってみせますからね、ご安心を
※アドリブ・連携歓迎です
宴に酒と美味しい料理は付きものである。
むしろ、それがなければ宴であるとは言えないことだろう。
封神武侠界の仙界、その桃源郷にて行われる宴は陽気に満ちていた。仙人達を見れば、みんな赤ら顔である。
すでに大分出来上がっている様子。
「うぃ~……良い気分じゃわい! 酒が進むわい!」
「ガハハハ! まだまだ飲めるぞい!」
「うーむ、こちらの珍味も中々……これは一体何の肉じゃったかの?」
皆、思い思いに宴を楽しんでいる。この陽気こそがオブリビオンの妖力を打ち消さんとする試みであった。
これから強大なオブリビオンとの戦いに赴く猟兵達に少しでも助けにならんと仙人達が催した宴は、その目的を酔いが進むにつれて忘れてるんじゃないかなって思うほどの盛り上がりを見せていた。
「ああ、これは本当に美味しいですね! 何の肉かはわかりませんが! とっても美味しいです!」
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)はごく自然に宴の中に混ざっていた。
彼女自身は未成年であるがゆえにまだお酒は遠慮しないといけないが、沢山に盛られた料理は別である。
持ち前のコミュ力でもって仙人たちの輪の中に入って、にこやかに食事を続ける。
彼女がこの場に射るのには理由がある。
仙人達が陰気、妖力を打ち消さんと宴をひらいたはいいが、ここにオブリビオンの間者が毒をもるために紛れ込んでいるのだという。
毒が料理に紛れ込んでいるとなれば、せっかくの陽気は冷水を浴びせられたかのように萎縮してしまう。
だからこそ、毒に耐性を持つユーフィたち、猟兵の出番というわけである。
「しかし、よく食べてくれるの。用意したこちらとしても嬉しい限りじゃわい」
「私、いくら食べても高性能な筋肉に変わるんですよ。お酒は嗜む事はできませんが、お茶と合わせてどんどん持ってきてくださいっ」
ユーフィの食べっぷりは惚れ惚れするものであり、同時気持ちいいものであった。
仙人達は気をよくして、次々とユーフィの目の前に料理を運んでくる。
それをユーフィが次々と平らげていく。
時にはなんか毒っぽいなと勘付いても関係などなかった。大丈夫、ユーフィは頑丈なのである。どんな毒だってあっさり胃袋に収めてしまえば、こちらのもんである。
「それにしてもこの世界の料理のなんておいしいことでしょう!」
おかわり! と元気よく空の器を差し出すユーフィに仙人たちの顔はほころぶ。
こんなにも美味しそうに食べてくるのならば、仙人たちはいくらでも料理を用意してくれるだろう。
孫かな?
そう思えるくらいに仙人たちはあれもこれもそれもと言う具合にユーフィに料理を振る舞う。
ユーフィはその度に嬉しそうな顔をして料理に舌鼓をうつ。
こんな楽しい戦いがあるのならば、これからずっとこれでいいのにと思わないでもない。
しかしながら、敵は未だ強大な存在を含めて多数が存在している。
「私達猟兵が必ず守ってみせますからね、ご安心をっ」
その笑顔に宴の陽気が高まっていく。
楽しげな宴は、きっと陰気満ちる妖力を打ち払うことだろう。仙人達が設け、猟兵達と共に楽しむ。
それがきっと明日を戦う力に変わる。
ユーフィはまた空になった器をおいて微笑む。
おかわり、なんて嬉しい響きだろうか。世界を救う戦いだけではない。こうした些細なことであっても、世界に感謝を感じるユーフィに恐れるものなど何一つ無い。
どれだけ強大なオブリビオンであっても恐れるにはたりない。
己の勇気を後押しする人々の思いがあるからこそ、彼女は戦い続けることができるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ふむ、仙界の宴とな!
これは仙人に近い存在たる不老不死の漆黒の魔女である我も参加するしかあるまい!
いやむしろ我が宴会の主役と言っても過言ではなかろう!」
仙界にある様々な料理を食べ尽くす絶好の機会!
このチャンスを逃すことができるであろうか?いやない!
「ふははは!酒を持てい!
え、不老不死でも外見が未成年だと飲めない?
なら桃ジュースでもよい、持ってまいれ!」
ほほう、ここに集いし仙人は、五老図に描かれし宴に笑う仙人か――。いや、知らんが!
「さあ、どんどん料理と飲み物を持ってくるのだー!
老人どもに食われる前に我が食ってくれよう!」
はて、ここに来る前に菜医愛流帝に何か言われたような気もしたが、まあいいか。
桃源郷における陽気満ちる宴は長らく続く。
そろそろお開きに、なんて野暮なことを言う仙人は一人もいなかった。皆、例外なく赤ら顔で笑い合っている。
酒は進むし、料理だってどんどん運ばれてくる。
ここにオブリビオンの間者が潜み、料理に毒を持っているということさえなければ、仙人達が催した宴でもって陽気は満ちて、オブリビオンの妖力を打ち消すという試みは、きっと成功していたことだろう。
しかしながら、その間者の目論見を打破するのが猟兵である。
彼等は皆、盛られた毒が猟兵にとってはさほど強いものではないことをいいことに、無理矢理、毒入りの料理や酒を仙人達に食される前に飲み干していくのだ。
となれば、フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)の独壇場でもあったことだろう。
「ふむ、仙界の宴とな! これは仙人に近い存在たる不老不死の漆黒の魔女である我も参加するしかあるまい! いやむしろ我が宴会の主役と言っても過言ではなかろう!」
まあ、そうかも。
事実、フィアの胃袋があれば毒入りの料理などお茶の子さいさいである。余裕のよっちゃんイカってもんである。
「よく参られた漆黒の、えっと、漆黒のなんじゃっけ?」
「魔女じゃ魔女!」
「邪魔とはなんじゃ!」
「ガハハハ!」
仙人たちはひとりでにダジャレっぽくなったことに上機嫌でフィアを招く。彼女の前には様々な料理が並び、そこに杯が置かれる。
「ふははは! 酒を持てい!」
「いや、流石に娘っ子にはちょっと酒はのー」
このご時世である。そういうのちょっと厳しんじゃとフィアの目の前に置かれた杯に注がれたの桃源郷のピーチジュースである。
濃厚な味のそれは、まあ、酒が飲めぬ代わりにしゃーなしであるとフィアを納得させるには十分な味であった。
そんな杯を即座に空かせば、また注がれるピーチジュース。
うんまい。とんでもなく美味い。そして、フィアは料理に手をつける。そのどれもが美味い。これまた美味い。なんかどこかでこの光景を見た弟子が居たのならば、とんでもなく病みそうな気配がしているが、そのときはその時である。どうにかなる。たぶん。
「ほほう、ここに集いし専任は五老図に描かれし宴に笑う仙人か――いや知らんが!」
「え、知らん? ワシら知らん?」
「結構有名じゃと思っていたんじゃが」
「知らんものは仕方ない。さあ、どんどん料理と飲み物を持ってくるのだー! 老人共に食われる前に我が食ってくれよう!」
フィアの傍若無人な振る舞いは、平時であれば失礼に当たるものであっただろう。けれど、ここは酒の席。いわゆる無礼講ってやつであるし、仙人たちも見た目若人なフィアの振る舞いに気を良くしている。
こういう時に細かいことを言うのはいいっこなしなのだ。
「よく食べるんじゃぞ。大きくなるようにの~」
少しフィア的にはカチンと来る物言いであったが、目の前に料理が運ばれてくれば、ご機嫌そのもの。
ただで料理が食べられる。
こんなにうれしいこともないだろう。
お腹が膨れていく。それでもフィアは止まらない。この宴の食材全てを食べきるまで帰らないというほどの気迫である。
しかし、彼女はふと我に変える。
なんか『菜医愛流帝』に言われた気がしたのだが、なんであったかと首をひねる。ていうか、それは異名になっているのだろうか。
えーと、なんだっけなーとフィアはポクポクと考えるが、答えはでない。
「まあ、どうにでもなるだろう。それはそうと、それは我の小籠包!」
フィアは食欲の赴くままに料理をかっこんでいく。
それは毒入り料理など感じさせぬ見事な食べっぷりであり、仙人達が毒入料理に手をつける暇すら与えず、ひたすらに胃袋へと流し込んでいくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
……うわっ、酒くさ
…こほん、失敬。あまりこの手の騒々し…もとい宴には縁がなかった物で
…リーヴァルディ・カーライルよ。ここでの挨拶は、こうで良かったかしら?
右拳を左手で包み込む拱手を行い仙人達に挨拶をした後、宴会に参加する
事前にUCの魔法陣を口内の奥歯に仕込んでおき、
毒の有無に関わらず食べるふりをして食物を常夜の城に転送する
…アルコールは遠慮するわ。未成年だし、この後の戦いもあるからね
…だけどその分、出された物は何でもいただくわ
さあ、どんどん持ってきてちょうだい
…これぞ、こことは異なる世界にて培われた暴食の御業(適当)
…私の口は異空間に繋がっているの。種も仕掛けもありはしないわ
酒気煙る宴はいよいよもって陽気に満ちていく。
しかしながら、普段からアルコールに慣れ親しんでいない者にとっては、この蒸せるような酒気は耐え難いものであったことだろう。
「……うわっ、酒くさ」
そう、臭いと思ってしまうのだ。
言い換えれば、その者が未だ成人ならざる未成年であるが証でもあるだろう。
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は未だ酒類を飲むに適した年齢ではない猟兵であったからこそ、思わず口に出してしまっていた。
「……こほん」
咳払い一つ。
それでもってリーヴァルディは仕切り直す。
せっかくの宴である。如何に自身が酒類を嗜まぬ身であるからといって、宴を楽しんでいる者たちに水を差す必要はないだろう。
「失敬。あまりこの手の騒々し……もとい宴には縁がなかったもので。リーヴァルディ・カーライルよ。ここでの挨拶はこうで良かったかしら?」
右拳を左手で包み込む拱手の挨拶。それがこの封神武侠界における最低限の礼節である。
ならばこそ、仙人たちはリーヴァルディの挨拶に朗らかに笑う。
すでに出来上がっているから、余計に気にした様子もない。
「よいよい、無礼講であるから。どうぞどうぞ」
「そこに掛けるがよいよ。酒が楽しめなくても桃の果実を絞ったものもあるでの」
仙人たちは皆々一様に赤ら顔でリーヴァルディに飲み物や料理を振る舞う。
ここにオブリビオンの間者が紛れ込んで毒を持っているという事実さえなければ、リーヴァルディは立ち寄ることもなかったかもしれない。
だからこそ、彼女は己の奥歯に常夜の鍵(ブラッドゲート)による魔法陣を仕込み、毒の有無に関わらz宇陀ベルふりをして食べ物の全てを常夜の城に転送するのだ。
「……だけどその分、出された物はなんでもいただくわ。さあ、どんどん持ってきてちょうだい」
リーヴァルディの言葉に仙人たちは喜ぶ。
こんなに小さいのにたくさん食べる。それが嬉しくて仕方ないのだろう。これもあれもどれもそれも、と言った具合にリーヴァルディの前に並ぶ豪勢な料理の数々。
あまりの量に一瞬面食らったが、それでもリーヴァルディの口の中は異空間につながっている。
「……これぞ、こことは異なる世界にて培われた暴食の御業」
適当である。
完全にとってつけたようなセリフであったが、その言葉に仙人たちは湧きに湧くのだ。
これが異界の暴食。
あれだけ小さな体の何処にあれだけの料理が消えるのか。
仙術か秘術か。そのたぐいを使っているのかもしれないと仙人たちは驚愕するだろう。しかし、リーヴァルディもまた種明かしをするつもりはなかったのだ。
この宴の雰囲気に少し流されていたのかもしれない。
「すごいのう。どうなってるんじゃ……」
「これはまたたまげたの。猟兵とは。女子の方が沢山食べてはいないだろうか」
そんな言葉に彼女は言う。
「……私の口は異空間につながってるの。種も仕掛けもありはしないわ」
いや、ユーベルコードという仕掛けはあるのだが、それを暴こうとする野暮はいない。
仙人達との宴は陽気に満ちて、リーヴァルディは常夜の城へと転送された食料をこの後どうしようかと考える。
美味い利用方法があればいいが、毒入り料理もあることを考えると下手なことはできない。
別の意味で頭を悩ませつつ、リーヴァルディは目の前に置かれ続ける料理をひたすらに異空間へと送り込み続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
毒を混ぜるなぞ許すまじ。食は美味しくいただくものですよ!?
密かにUC使って、華佗殿を憑依させて…。
突然すいません(拱手)。いやー、戦いまくりでお腹空いてたんですよね!っていいながら混じりましょう。
毒入りの見分け方は、その華佗殿からのアドバイスもこっそり受けていきますよ。
あ、私は下戸なので…お茶いただきますね(酔って間違えてはダメですし)
そして、食べる!毒は竜脈使った浄化で片っ端から中和!中和タイミングも華佗殿アドバイスでバッチリ!
お腹空いてるのも本当なので、もりもり食べますよ!
こうして敵の思惑阻害するのもよいですね。
私、この世界が大好きですから。
仙人たちの宴は未だ桃源郷において行われている。
彼等の目的は宴を楽しむこと。すなわち、陽気でもって敵の妖力を打ち消さんとしているのだ。
しかし、敵もそれには気がついているのだろう。
だからこそ、間者でもって宴に忍び込み、提供される酒や料理に毒を盛るのだ。
そうすれば邪魔な仙人たちは排除でき、桃源郷には陽気ではなく陰気がはびこり、猟兵たちを苦しめる要因となるだろう。
それをさせぬと意気込むのは荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)である。
「毒を混ぜるなぞ許すまじ。食は美味しくいただくものですよ!?」
彼女の言葉は尤もであった。
食事とは生きることに必要不可欠であり、同時に楽しみでもある。
ただ食事をするだけでいいのならば、人間築いてきた食文化は意味を為さない。より良く、より美味しく。
その願望を叶えるために、人々は創意工夫を凝らして食物を調理してきたのだ。
それに毒を混ぜるなど言語道断であったのだ。
「三国志の医と言えば! 神医、ここに甦り(シンイココニアリ)」
檬果は神医将『華陀』を憑依させる。
密かにそれを行った彼女は仙人たちの宴へと参加する。仙人たちはもうすっかり出来上がっていて、赤ら顔で彼女を迎えるのだ。
「これまた不思議な御方だ。初めて見る」
「確かに。ただならぬ雰囲気。さぞ名のある御方なのだろう」
そんな彼等に檬果は拱手でもって挨拶をする。礼を失することは、この封神武侠界においては最もしてはならぬことだからだ。
「突然すいません。いやー、戦いまくりでお腹吸いてたんですよね!」
「それはよかった。まだまだ料理は沢山あるでの」
「これもどれも美味しいものばかりであるから、どうか遠慮なされるな」
そう言って檬果の前に置かれていく料理の数々。
それは凄まじい量であったけれど、好都合であった。毒入りの料理を憑依した『華陀』の目利きに寄って判別し、食べるのだ。
「酒はどうするね。お湯割りだろうか、それとも冷すかね?」
その言葉に彼女は頭を振る。流石に酔えば、目利きもアドバイスもあったものではないからだ。
この宴をしっかりと成功させるためには、酔うことは避けなければならないと彼女は考えていた。申し訳ないがお茶をもらいながら、檬果は次々と毒入り料理を平らげていく。
如何に猟兵には死に至らぬ程度の毒とは言え、龍脈を使った浄化で持って片っ端から中和し、『華陀』のアドバイスでばっちりと胃の中で昇華されていく。
「いやー、本当に美味しいですね! びっくりしました!」
それはよかった、と仙人たちも赤ら顔で笑っている。
戦い続きでお腹が空いていたこともあるが、それにしたって桃源郷の料理は美味しいものばかりである。
毒入りでなければ、本当にどんなによかったことだろうか。
しかしながら、これもまた敵の目論見を打破するために必要なことである。どんなにオブリビオンが罠を張り巡らせようとも、それらの尽くを討滅してみせる。
そうすることで世界は救われるし、何よりも檬果はこの世界のことが大好きなのだ。
憧れの武将、知将、君主が生きた世界。
それは他の世界でも変わらぬことであったのかもしれない。けれど、長きにわたる歴史の中で、間近に感じることができるのは、この封神武侠界である。
「さあ、この世界を救うためにモリモリ食べますよ!」
この世界を守るためなら、毒入り料理なんて怖くもなんともない。
檬果は、『華陀』と共に一切の毒入り料理を仙人達の口に運ばせることなく、綺麗に平らげていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
些か俺向きでない気もするが
気にせず働くとする
幸い毒やらをどうこうする方法には事欠かぬ身
ナイアルテのあれは恐らく励ましていたのだろうし、期待に答えようか
騒ぐには向かぬので芸を披露する体で
煌皇を適度に励起
光の粒子を集めたり、飛ばしたり、回したり
目を引くように振る舞いつつ天光で毒入りのものを把握
さり気なく自分でそれを頂き、毒は破壊の原理で排除
芸に見せかけて能力行使していれば目の前でも容易に行える
届かず誰か食してしまいそうなものがあれば破壊の原理で毒だけ排除
とりあえず良しと言える程度済んだら宴会芸に徹して盛り上げておく
封神武侠界、その仙界にある桃源郷において行われている宴にオブリビオンの間者が入り込み、料理や飲物に毒を盛り、仙人たちを全滅させんとする計略が動いている。
それは猟兵たちにとっては損失と成り得る事態であった。
仙人たちの宴は猟兵たちの敵であるオブリビオンの持つ妖力を打ち消すための方策であるのだ。
陽気でもって妖力を打ち消す。
それは此処仙界においては、宴のような楽しげな雰囲気でもって成すことができる。
もしも、毒を盛られた料理を仙人達が食せば、陽気は霧散し陰気が満ちることだろう。
陰気はオブリビオンの力となって間者の目論見通りに事が運ぶことになる。
「些か俺向きでない気もするが」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は、それでも気にした様子もなく宴へと赴く。
騒々しいことこの上ないほどの馬鹿騒ぎである。
しかし、仙人たちは皆赤ら顔でありながらも、楽しそうである。その陽気が満ちることこそが、この宴の真の目的だ。
幸いにして毒をどうこうする方法には事欠かぬアルトリウスは、送り出したグリモア猟兵のことを思い出す。
あれはなんていうか、誰かにそそのかされたあれであるが、きっとあれもまた陽気なのだろうとアルトリウスは感じたことだろう。
「おや、これはまた珍しい御方であるな」
「さあ、こちらは。酒は何を呑まれる。お食事はもうお済みかな?」
「まあ、ともかくこっちへ、ほれ、席は空いておるから」
仙人たちは目ざとくアルトリウスを見つけると宴の席へと引っ張り込む。やはり、こういう場は苦手なのかもしれないアルトリウスは食事や酒といったものに溺れることはない。
しかし、何もしないというのも宴の場を盛り下げることになるだろう。
「ああ、いや……。そうだな。一芸を披露しようと思う」
アルトリウスは騒ぐには向かぬ者であるがゆえに芸を披露する体で蒼き光を放つ原理を持って一芸として披露する。
光の粒子を集め、飛ばし、回す。
その光景は舞い散る桃源郷の桃の花びらと相まって幻想的な光景となっただろう。
仙人たちはその光景に目を奪われている。
美しい光景に人はいつだって無警戒になる。それは仙人であっても変わらぬことであっただろう。
その一瞬にアルトリウスは毒入りの料理を把握し、さり気なく自分でそれを食しつつ、排除するのだ。
「……うまいな」
毒入りであるということを差し引いても、すでに毒事態を破壊しているから元の料理の味になっている。
口に含んだ料理は中華料理のような味付けであるが、酒の席特有の濃すぎる味付けではなかった。それでいて酒にも合うように工夫がされている。
芸に見せかけて毒を排除して回っていたアルトリウスであるが、仙人たちが齎す陽気は誰かのためにという思いに溢れている事をしる。
此度の宴は猟兵のために。
自分たちのためのように見えるかもしれないが、全ては殲神封神大戦を戦い抜く猟兵のために用意されたものだ。
「……ありがたく」
アルトリウスは宴の中に存在する毒を排除し、とりあえずは良しとするのだ。
「アルトリウス殿、こちらじゃこちら! もっとあの芸を見せておくれ」
仙人達が囃し立てる。
仕方ないとアルトリウスは頭を振って蒼光を灯す。
それは悪意を退ける光であると知らしめる。
どれだけ陽気を侵す陰気があるのだとしても、この光灯る限りは場に満ちるものが霧散霧消することはないと知らしめるように輝き続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
この身に備えたコミュニケーション用の疑似飲食機能の出番ですね
なにせこの機能は“舌”の機能を果たすのみ
実際に食物を“摂取”している訳ではないのですから、容量一杯まで毒料理を処理できるというものです
(口部装甲が開いた奥…“穴”に箸を運んで料理を納め)
ああ、この料理が特に私好みですね
頂いてしまっても良いでしょうか?
(センサーでの情報収集で毒などの刺激物を検知し、ヒョイと取り上げつつ)
感謝致します、皆様方
お礼として、余興では御座いますが私の操る絡繰りによる舞を披露させて頂きます
どうぞ、酒の肴にごゆるりとお楽しみください
(宴盛り上げ陽の気を更に高め)
さて、今のうちに毒殺者との暗闘を制すといたしましょう
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は言うまでもなく機械騎士である。
ウォーマシンたる躯体には食事は必要としない。
しかしながら、トリテレイアの躯体に備えたコミュニケーション用の疑似飲食機能は、此処ぞとばかりに輝く。
「飲みニケーションというものでございますね。なにせこの機能は“舌”の機能を果たすのみ」
実際に食物を摂取しているわけではないことから、躯体の容量いっぱいまで毒料理を処理できるのだ。
桃源郷の宴に紛れ込んだ間者。
それが料理や飲物に毒物を盛り込んだというのならば、トリテレイアはそれらを尽く排除するために宴へと足を踏み込む。
「よくおいでくださいましたな。さあ、こちらを」
「なに、こちらのほうも! 銘酒でありますからな!」
「それにしても鎧を着込んだ武将はさすがでございます。この素晴らしき肉体、仙術の粋を集めたかのようでありますよ!」
仙人たちは皆赤ら顔である。
完全にできあがっている。トリテレイアは完全に包囲されてしまった。こうなるともう年少者は逃げられない。
しかしながら、トリテレイアは臆することはなかった。
「ああ、この料理が特に私好みですね。頂いてしまって良いでしょうか?」
次々と運ばれてくる料理にセンサーアイで成分情報を精査していく。
毒入り料理を見定め、頭部に備えられた口部に当たる装甲を排し、箸を進めていく。
その食べっぷりに気を良くしたのは仙人たちである。
あれもこれもと、次々にトリテレイアに賞味してもらおうと運んでくるのだ。
それはいうなれば若者に美味しいものをたくさん食べさせたい年配者の欲求というものであったことだろう。
「感謝致します、皆様方」
トリテレイアはあまりに攻勢にたじろぐことだろう。
如何に飲みニケーションと言えど、これは想定外であったかもしれない。あんまりにもあんまりな山盛りドカ盛りである。
アイセンサーで毒入りのものだけを選んでいたが、これはいよいよもって容量の空きが足りなくなってしまうかもしれないと判断し、トリテレイアは宴会芸を見せることに決める。
もとよりそのつもりであったが、仙人たちは大喜びである。
「お礼として、余興ではございますが……」
自律式妖精型ロボ 格納・コントロールユニット(スティールフェアリーズ・ネスト)が飛び出す。
御伽噺の騎士に導き手である妖精はつきものである。
例え偽物であったとしても、複数の妖精型偵察ロボは舞を披露するだろう。
「これは見事!」
「宝貝とは異なるものであろうか……」
「いやはや、なんとも小さくとも精微なこと!」
仙人たちは妖精ロボの舞を見やり、その頬をほころばせる。それは陽気が宴に満ちることを示していた。
「どうぞ、酒の肴にごゆるりとお楽しみください」
トリテレイアは宴の陽気をさらに高めていく。
この宴に入り込んだオブリビオンの間者はすでに己たちの目論見の失敗を悟ったことであろう。
すでにこの場から離れている。
しかし、戦いはまだ終わっていないのだ。殲神封神大戦は中盤に差し掛かっている。
これより見えるオブリビオンはどれも強大な存在。
されど恐れることはない。この世界の人々、仙人たちは猟兵の背中を後押ししてくれている。
今日という宴がそうであったように、トリテレイアはその陽気を背に受けている限り何も恐れることはないと、赤ら顔の仙人達の穏やかなる宴を後にするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
宴会で合法的に食べ物をたくさん食べれる……これは逃さない手は無いね……
……ひとまず【闇夜見通す梟の目】を発動…毒の解析・分析ガジェットを1つだけ召喚…
これに現影投射術式【ファンタズマゴリア】で梟の幻影を被せて使い魔のように見せて肩にとまらせておこう…
…あとはガジェットからのデータ計測結果を確認して毒入り食料を捜索…
見つけたらこっそり浄化復元術式【ハラエド】で毒を浄化してして食べるとしよう…
…毒が入ってなければ美味しいのだけどな…これは毒を入れるような奴は後々懲らしめてやるべきだな…
(なおこっそり浄化するなら自分が食べる必要は無いはずだが美味しいものを食べたいからね。不可抗力という奴である。)
桃源郷とは言葉通りの意味である。
人界ならざる仙界。その仙境たる場にありて、桃の花は常に咲き誇る。風光明媚と呼ばれる景色があるのだとすれば、この場所のようなことを言うのだと知るだろう。
そんな桃の花びらが舞い散る中にありて赤ら顔でごきげんなのが仙人たちである。
彼等は無目的に酒を呑んで宴を開いているわけではない。
宴に満ちる陽気でもってオブリビオンの妖力を打ち消さんと試みているのだ。猟兵たちの戦いを支援するためである。決して呑んだり食ったりをしたいわけではない。多分。
そんな彼等を見やり、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は小さくうなずいた。
「宴会で合法的に食べ物をたくさん食べられる……これは逃さない手はないね……」
度重なる戦いで疲労も溜まっているだろう。
それに如何に猟兵と言えど、お腹は空くものである。
「賢き眼よ、出でよ、視よ。汝は検分、汝は助力。魔女が望むは黄昏飛び立つ森の知者」
メンカルは闇夜見通す梟の目(オウル・オブ・ミネルヴァ)を召喚し、梟の幻影をかぶせたガジェットと共に宴へと参加する。
使い魔のような見た目となったガジェットは謂わばメンカルを一角の魔女であることの証明でも在った。
「これはよくおいでくださいましたな。どうぞこちらへ」
「呑んで食べて楽しんでいってくだされ」
仙人たちは赤ら顔のままメンカルを出迎える。
拱手でもって礼を失することのないように挨拶をしてから席に座ると即座に料理や飲み物が提供される。
未成年にはお酒ではなくピーチジュース。
料理は様々なものがある。基本的に中華な雰囲気の物が多いが、香辛料やらをふんだんに使っているおかげで食欲が刺激される。
しかし、この中には宴をぶち壊そうとするオブリビオンの間者が盛り込んだ毒が潜んでいる。
彼女の肩にとまったガジェットは分析、解析用のガジェットなのだ。
これを使えば、毒の盛られた料理を見つけ出すことなど造作もない。猟兵たちにはこの毒は大したものではないが、仙人達にとっては死に至らしめるものである。
「あれとこれと、あとあっちもか……」
メンカルはふつふつと怒りがこみ上げてくる。
目の前の料理はどれも仙人達が用意したものであろう。
自分たち猟兵のために見た目は宴でどんちゃん騒ぎしているだけであるが、陽気でもって陰気たる妖力を打ち消さんと試みてくれている。それを間者は利用して仙人達を殺そうとしているのだ。
「……毒が入ってなければ美味しいのだけどな……これは毒を入れるようなやつは後々懲らしめてやるべきだな……」
メンカルは浄化復元術式『ハラエド』でもって毒を浄化し、料理に舌鼓をうつ。
どれもこれも美味しい。
本当に悔しいぐらい美味しい。普段食べ慣れぬ世界の料理であるからなおさらであろう。
「……でも、これレシピも知りたいな……」
料理から得られる新たな知識もあるだろう。
しかしながら、こっそり浄化していくのならば、自分が食べる必要はない。しかしながら、美味しいものを食べたいという欲求は生き物として自然なことであろう。
不可抗力不可抗力とメンカルは頷きながら浄化された料理を口に運ぶ。
普段あまり変わらぬ表情が明るいものとなる。
料理とはすなわち、そのような力もあるのだ。これが陽気であるというのならば、メンカルは浄化した料理を味わい、その奥深さ、封神武侠界の歴史の紡ぐ軌跡の一端を知ることになっただろう。
メンカルの表情を見た仙人たちも同様である。
若者に美味しいものを食べさせたい欲。それは年経た者であれば、当然のことであっただろう。
さあ、次はこれをとメンカルは頼んでもいないのに次々と料理を目の前に運んでくる仙人たちに料理の感想を告げ、お腹いっぱいになる。
お腹がいっぱいになるということは、幸せいっぱいになるということだ。
これより迫るオブリビオンの危機を打倒するため、その陽気を纏ったメンカルは次なる戦場へと踏み出すのであった――。
大成功
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