4
殲神封神大戦④〜戦を制す、その一手

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦④

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦④


0




●封神武侠界、人界南部
 都市部は現在、脅威にさらされていた。
 耳を劈く銃声が轟けば、人が倒れる。黒き靄から狙撃されれば、一発必中。
 掠めた弾丸は、死んだほうがましとも思える痛みでその身を蝕み続ける。
 空を震わす砲弾が着弾すればさらなる瓦礫が大地に積まれる。
 引き攣ったかのような嗤い声。
「ひぇひぇ、儂の手で世界を阿鼻叫喚へと塗り替えてゆく。その心地良さよ」
 濁業仙人たちがひぇひぇふぉふぉふぉと嗤う。
 ――この地には南方の『香港租界』からコンキスタドールの大群が押し寄せていた。


「新年早々やってくれるじゃないの! 皆さんも忙しい最中だとは思うけれど、手が空いた人から封神武侠界へと向かってくれるかしら?」
 グリモアベースへとやってきた猟兵に、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)が声を掛ける。
「現在、人界南部有数の大都市に、南方の『香港租界』から、コンキスタドールの大群が押し寄せているの。コンキスタドール……オブリビオンたちは銃器や義手砲といったコンキスタドールの武装を身に着けて、街中でそれらを撃ちまくって暴れているわ」
 逃げ惑う人々は多く、現場は混乱状態となっていることだろう。
「逃げる人の退路確保も兼ねて、皆さんには襲撃しているオブリビオンの撃破を頼みたいわ。射撃や、敵限定への範囲攻撃が得意な方はいらっしゃるかしら?」
 人々の避難の邪魔をするわけにはいかない。
 敵の遠距離攻撃に対して有効なのは、こちらも遠距離で応戦することだ。
「撃ち合いを制す。皆さんが相手する多くの敵は『濁業仙人』となるわ。仙人と呼ぶことも憚られる悪業を尽くす敵なのだけれども……。
 『仙人』は理性を代償に一撃の威力を高めたり、漆黒の瘴気を自陣に撒き狙撃の精度と幸運による回避を高めていたり、そしてひとたび着弾すれば激痛を放ち続ける弾丸といった攻撃をしてくるわね。できるならばこっちも遠距離攻撃で対抗して撃ち合いを制したいところね。もちろん、接敵して屠ってもいいわ」
 ただし容易に近付けば別の敵の的になるのは確かだ。
「少しずつ勝利を重ねて、最終的には大賢良師『張角』のもとへ。頑張っていきましょう」
 そう言ってポノは猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 オブリビオンも大忙しですね。
 ねこあじです。
 一章のみの戦争シナリオとなっています。

 プレイングボーナスは『敵の射撃や砲撃に遠距離攻撃で対抗する』こと。
 でももちろん近接戦に挑んでも構いません。

 👑成功率を目処に、採用不採用が出ます。
 それではよろしくお願いします。
158




第1章 集団戦 『濁業仙人』

POW   :    業雷衝
自身の【理性】を代償に、【業(カルマ)】を籠めた一撃を放つ。自分にとって理性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    業濁瘴
【漆黒の瘴気】を解放し、戦場の敵全員の【生命力】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    呪仙痕
攻撃が命中した対象に【激痛を与える呪詛の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【刻印の拡大】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

菫宮・理緒
そっちが銃火器で来るなら、こっちも遠慮はしないよ。

『希』ちゃん、【ネルトリンゲン】発進。
射程5倍、移動力を半分にして、空中砲台として敵を近づけないように攻撃していこう。

【M.P.M.S】はガトリングモードに設定。地上を面攻撃で【制圧射撃】していくことにしよう。
ポイントの指示は出すから火器管制よろしくね。

最初は相手からの攻撃をなるべく受けないように、
射程範囲外……できれば上空から撃ち込んでいくことを基本に動いていこう。

相手の数が減ってきたら、突撃をかけて近接戦闘で殲滅モード。
そのときは相手の攻撃は装甲の厚さで防いでいくことにするよ。

意味のない殺戮を許してあげるほど、わたしは優しくないからね!



 場を揺るがす爆発がひとつ上がれば何かが瓦解する音。
 硝煙と血臭、粉塵に満ちた場所に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)がミネルヴァ級戦闘空母・ネルトリンゲンと共にやってくる。
 周囲をひと目にし、琥珀色の瞳が眇められる。
 外部を映しだす画面は悲惨な光景ばかり――。理緒は唇を引き結んだ。
(「相手が銃火器で来るのなら、こっちも遠慮はしないよ」)
「『希』ちゃん、ネルトリンゲン発進」
 理緒のサポートAI、M.A.R.Eがシステム開始となる文字の羅列を走らせる様がタブレットの画面に流れ出す。
「火器官制、よろしくね『希』ちゃん」
 そう言って索敵を開始する。
 破壊に至った射線を起点に向かって辿れば濁業仙人は直ぐに見つかった。
 高度はこちらにある。
 モーフィング換装によって伸びた射程は、敵の射程を基準にすれば遥かに勝っている。否、追随をゆるさない。
 敵を見つけ出した理緒が次々とポイントを挙げていく、同時に画面には波紋のような羅列。
『M.P.M.S発射します』
 行動宣言をするAIの声。
 ガトリングモードにしたミサイルランチャーが数多の敵へと同時に向かっていった。
 なぎ払うように遠くで次々と上がる粉塵、礫。
 守りの一刀を払うように、理緒が攻撃を向けた一方向の濁業仙人たちを沈黙させていく。
 一撃で仕留められずとも、第二、第三のミサイルを着弾させた。
 相手の攻撃など寄せ付けぬ制圧射撃、圧倒的戦力。
 地上の、すでに都市に侵入し蹂躙を尽くさんとする濁業仙人は仲間に任せて、理緒は絶え間なく波のように寄せてくるコンキスタドールへと狙いを定めた。
「これ以上は侵入させないよ」
 戦闘空母を低空飛行モードとし、刹那に物理的な障壁・要塞として、封神武侠界の都市を守る。
 デカブツを相手に理性を捨てて業雷衝を放ってくる濁業仙人。呪詛の込められた攻撃にM.A.R.Eがシステムエラーを知らせてくる。
「大丈夫」
 空母の装甲は厚い。
 かつ空母の旋回はそれだけで敵の動きを阻害する。
 蹂躙を尽くしてきた敵に、蹂躙が返される。
「意味のない殺戮を許してあげるほど、わたしは優しくないからね!」
 再びミサイルの一斉掃射。
 数多のコンキスタドールが骸の海へと還った瞬間となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
基本方針:相手の射程外から一方的に遠距離攻撃を仕掛ける

わたしのユーベルコードの射程距離はレベルの二乗。すなわち

116×116=13456m

約13.5km。
こんなに遠くまで届く銃や大砲はない。なので相手の射程外から一方的に攻撃する。ただしわたしの視認範囲もあるので13.5kmはさすがに無理があるが、そこは思いっきり高い所、例えば塔あるいは山頂をとり、ゴーグルで視力を増強して視認距離をのばす。そして遠距離からスナイピング。仮に相手の銃の射程距離に入ってるとしても、素人に遠距離スナイプは到底無理だろう、たぶん。

剣は銃よりも強し
ンッン~
名言だな
これは

くらえ!秘技!月牙!!(中国風の世界なので現地語で)



 封神武侠界。
 南部のある都市を見渡すことのできる山壁がある。
 崖に張り出した木々の幹に自身を預ける大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)が目を眇めた。
 眼下にはいくつもの黒煙が上がる、放っておけば壊滅となるであろう都市。
 照準器と共有するサバイバルゴーグルが遠方となる都市の様子を、より間近として麗刃に提供する。
 少し身体の向きを変えれば視野が移る。上々だ。
 外部から波の如く、間断なく現われるコンキスタドールたちの姿がそこにはあった。
(「今のわたしのユーベルコードの射程距離は――」)
 13456m。約13.5km。
 思いっきり射程を利用するなら、裸眼だと視認などできぬであろう距離だった。
 だが高度に身を置いて、視力はゴーグルで補強すれば何とかなるのでは、と考えていた麗刃は結果を得て「うむ」と満足気にひとつ頷いた。
「こんなに遠くまで届く銃や大砲はない。相手の射程外から一方的に攻撃するにはうってつけだな!」
 張った声も届かない。なんて素晴らしい。
 手にするはサムライブレイド。携行する照準器が敵を捉えた。
 摺る足で足場を確かめて、一歩踏み込むようにして麗刃が剣を振るった。
「くらえ! 秘技! 月牙!!」
 一度視認してしまえば、己の攻撃を到達させることなど容易きこと。
 現地に合わせる言語で放った三日月型の衝撃波が、刹那のタイムラグ後に濁業仙人を斬り裂いた。

 ――!
 ――!?

 正体見えぬ斬撃にうろたえているような濁業仙人の姿。
 振り向いた仙人の目と、麗刃の目が合うことはない。
 再び振るった剣が彼我の距離間にて三日月の波を立たせた。
 命が刈り取られ、新たな濁業仙人たちが骸の海へと沈みゆく。
 よし、と心の中でガッツポーズをする麗刃。
「剣は銃よりも強し! ――ンッン~? 名言だな、これは」
 我ながら素晴らしいことを言った。
 そして繰り出した三刀目が敵を屠っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【激痛耐性、呪詛耐性】の魔力を編み込んだ【オーラ防御】を纏い
翼の【空中戦】で敵集団から常に一定以上の距離を保ちながら戦うね

【破魔】を乗せた光魔法の【属性攻撃】を【高速詠唱】で射出
光は実体が無いから簡単には防げない
遠距離から連射しなるべく隙を与えないように

これはお互い様だけど…
遠距離攻撃は互いの距離が離れるほど回避も容易になる
【聞き耳】で音を聞き分け空に地にと素早く移動しつつ
お返しに【催眠術】を乗せた【歌唱】で判断力を奪い
1人でも多くを射程内に誘い込んで【指定UC】

無差別技だけれどあくまで破魔だから
一般人には効かないよ
ほんの少し眩しいだけだから
逃げ道を与えぬ輝きの【範囲攻撃】で【浄化】します



 パンッ!
 耳を劈く銃声は軽く空を叩くように――けれども鋭い着弾に石壁が穿たれた。
 あちこちに火が立ち、燻り、硝煙と血臭に満ちた戦場。
 悲鳴や呻き声が少し遠くに。
(「どうか逃げ切って……」)
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が願う。生きるために逃げなければ。命を繋ぐために。
 タンッ!
 今度は音が近い。
 そして装填から発射までさほど時は置かれていない。
 滑るように移動した澪が瓦礫を踏み台に跳躍した。
「ひぇひぇひぇ、鳥が飛び立ちよったぞ」
「狙え狙い」
「この周辺もそろそろ終いだろうて」
 漆黒の瘴気が薄霧のようになっていて見通しは悪い。だが敵は周囲を視認できているようだ。
 そう判断した澪は自身の翼を動かした。ふわりとした浮遊にVenti Alaが補助し軽やかな方向転換。
 澪の動きによって敵の瘴気が払われてゆく。自身のオーラに織地のように編みこんだ呪詛や痛みに耐える力、そして澪から滲み出るような破魔の力によって。
 新たな銃声が届き、澪が舞うようにくるりと回った。動きはダンスのそれだ。手に持ったStaff of Mariaから光が射出され、射撃の起点にいた濁業仙人に到達する。
 すぐに身を翻し、澪は姿を消した。
「追え追え!」
 仙人たちが瘴気を纏い、飛ぶように移動する――空に地にと踊るようにステップを踏んで先を行く澪。
 ステップに合わせて紡いだ音は、口ずさむものとなりやがて天使の歌声に。
 誘いをかける柔らかな声に、弾んだ音は活きの良い獲物のようにぴょんぴょんと。
 麗しき鳥は儂のものだ、あれを狩れ、とばかりに複数の濁業仙人が澪を追う。
 その数を視認する澪。
 琥珀色の瞳が麗らを宿したその時、
「――全ての者に光あれ」
 慈悲に満ちた声に導かれ、Fiat luxが発動する。澪の全身から魔を浄化する光が放たれたのだ。
「なっ、なんじゃあ……!」
 光に触れた瞬間、漆黒の瘴気が掻き消え、露わになった濁業仙人の身がぼろりと崩れ始めた。
「あああぁぁ」
「全き光……!」
「相容れぬ、相容れぬ」
 仙人たちが唸り、嘆き、拒絶する。だが光は平等に降り注ぐもの。
 隠れていた都市住人のひとりだろうか。一般人が飛び出して走り出したのを、澪が視界の端に捉えた。
 濁業仙人には逃げ道を与えぬ輝き。
 破魔を宿す光が一筋、敵を貫けば崩壊へと導く。
 けれども魔を宿さない人々には、先への道を照らし出すもの。そして見えない明日を。希望へと導くものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
この弾幕に対して真正面から近付くのはどう考えても自殺行為……と、誰だって思うだろう
いや、俺だってそう思う。普通なら近付こうとは思わないだが、だからこそ挑む価値があるってものだ

神刀を抜き、合の型【澄心】を発動して、視聴嗅覚による探知から逃れる
無論これは探知されないだけなので撃たれればダメージを受ける
だが、見られていなければ弾幕の薄い箇所を狙って進む事も容易だろう
下手に攻撃を防ぐと、そこから違和感を持たれる可能性がある。出来るだけ回避して接近しよう

十分近付いたなら、姿を隠したまま不意打ちで仙人達を仕留めていく
敵陣深くで孤立するのは危険なので、此処でも見つからない事を意識してやろう



 オブリビオンが侵入した場所は火が立ち、燻り、硝煙と血臭に満ちていた。
 濁業仙人は跳躍し、漆黒の瘴気を纏い飛び――止まない銃声と下卑た嗤い。彼らが通った場所は焦土となってゆく。
 パンッ!
 空気が破裂したかのような軽やかな音。
 けれども石壁が穿たれ、侵食する瘴気が建物を瓦解させている。
 パンッ、パン! タンッ!
 間断なき銃声は、連射するものではないが、装填から発射までの時間は短い。
 遮蔽物に身を潜め夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は呼気を薄くしていく。気を鎮め、己の気配を凪に。
 音なく鞘から滑り出る刀身。神刀・無仭。
(「我が心は静にして無。合の型、澄心――」)
 発露する神気が周囲へ溶け込んだ。少しずつ、少しずつ、馴染ませていく。
 タン、タン!
 少しずつ迫る銃声と、そして変化しゆく空気――肌を嬲る漆黒。常に瘴気纏う濁業仙人が近付いているのだ。
 射線とその起点を読み切って、やはり音なき摺り足からそのまま駆けへと移行する鏡介。
 空を揺らすことなく、水面をも立たせぬ動き。
(「あの弾幕に対して真正面から近付くのはどう考えても自殺行為……と、誰だって思うだろう」)
 否、自身すらそう思うのだ。普通ならば近づこうなど思わない。
 けれども、だからこそ挑む価値があるというものだ。
 相手は悪業に染まった仙人。飛翔能力を持ち、神通力を持ち、理想とされ、今は堕ちきった神的存在。
 霞のような存在が鏡介の接近に気付かない。
 神力に浸透した彼こそが手練れというものなのだろう。
 刀を振るう。
「……ぐっ……!?」
 流れるような斬り上げは、刃を翻して直下に落された。敵を地面へと斬り倒すものだ。
 ずしゃりと仙人が倒れ伏す音――だが霧散する瘴気が音を散らし、さらには銃声が掻き消した。
 既に鏡介の姿はここに無く。
 一体、また一体。
 冴え冴えとした神刀が敵を斬っていく――。

 遠くの濁業仙人が事態に気付く頃には、既に鏡介は場を後にしていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隠神・華蘭
射撃ですか、まぁなんとかがんばってみましょう。
……正直逃げてる人間のほうはどうでもいいんですけどそうは言えませんからね。

さてはて、UCを使って炎の弓をこしらえまして。
【逃げ足】を駆使して駆け回りながら仙人達へ【挑発】ついでに適当な質問飛ばしつつ炎の矢を補充します。
それと平行して町中に転がるがらくたをわたくしの姿に次々【化術】で変化させ【念動力】でそれっぽく動かし囮にしましょう。

向こうが呪詛を使ってくるならこちらも【呪詛】返ししてあげましょう。
囮に気をとられている隙に呪詛を込めた炎の矢を撃ち込んであげます!
【だまし討ち】上等です、じゃんじゃんいきますよぉ!



 引き攣った悲鳴、呼吸。
 逃げていく人間の足取りは不安定に、物陰に潜む人間の息遣いは震えている。
 そんな彼らの音を狸耳で捉えながら隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)は駆けた。
「正月早々、駆け回されるこっちの身にもなってほしいですね」
 年明けて直ぐに封神武侠界での戦が勃発した。ゆるりと過ごすどころか、相変わらずの戦働きとなる猟兵たち。
 崩れた瓦礫の端々に火が燻っている。
 耳を劈く銃声が響き、僅かなタイムラグののち近くの石壁が穿たれた。銃痕を目にしたのは一瞬だけであった。濁業仙人の呪詛により、侵食された建物が瓦解する。
「……まあ、退路の確保ぐらいは流れ上、してあげましょう」
 正直、逃げていく人間のことなどどうでも良いけれども。
 あらゆるものを脅かす呪詛の攻撃は侮れない。回り回って自然界をも滅ぼしていくものだ。
 華蘭が虚空を指で切るように繰れば纏う妖力炎・狸火が変化していく。
「願わくばこの矢、外させ給うな――です」
 青白い炎が弓となればすぐさまに弦を引き絞り炎の矢を一射。銃弾が飛んできた方向――起点へと向かって。
 刹那の射撃体勢から再び駆けだす華蘭。
「ひぇひぇひぇ、狸ぞ狸、仕留めりゃ」
「そう簡単には仕留められませんよ。それでは化かし合い、射撃勝負といきましょうか?」
 新たな炎の矢を飛ばし、同時に辺りに転がるがらくたを念動力で動かす。
 桶や鍋といったものを叩き音を立て、荷車が虚空を走り出し藁束がダンスする。
「ヌ!?」
 動く的が一気に増えて戸惑ったのか濁業仙人の攻撃が『囮』を撃ち貫いた。
「ふぉふぉふぉ。はずれたのぅ」
「狸はどこじゃ」
 囮を撃ち落としていく濁業仙人たちの射線がバラバラになる。
「引っ掛かりましたね!」
 華蘭の声と共に新たな炎の矢が飛んできて仙人を射貫いた。
「!?」
 怨みを宿す青白い炎の矢。
 続き、二の矢、三の矢が次々と仙人たちを射貫く扇の的射る怨弓の射線は、迷いなき怨嗟。
「呪詛の味はいかがです?」
 華蘭がそう言えば新たな矢が補充される。
 踊る藁束を空高くで散らせて降雨のように。大きな物を動かしての目くらまし。
(「だまし討ち上等です、じゃんじゃんいきますよぉ!」)
 念動力で思いのままに動かす華蘭の視界は移動する仙人の姿を容易に捉えた。
 それはあぶり出しの如く。
 濁業仙人を一体、また一体と、華蘭は仕留めていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
千里眼で街中一帯をざっと把握する
なるほど、こりゃ趣味のわりィ手合いだなァ

これだけの出力の呪いが使えるなら、“苦しめる”んじゃなくて“ぶっ殺す”ことだってできるだろうに
それを敢えてしないのは――士気を下げるためとか、死者よりは負傷者のほうが足を引っ張れるとか、いろいろ言い訳はあるだろうが――一番大きいのは、たぶん連中の趣味、つまりは嫌がらせだろうよ

さて、アタシぁ弓矢も鉄砲も持っちゃいないが
(UC:敵の遠距離攻撃を反射)

飛び道具なら“こういうの”もあらァな

ま、フツーに術とか使って攻撃してもイイんだけどよ
得意ンなってるやつに嫌がらせするなら、こっちのほうが効くだろ?



 濁業仙人が侵攻する場所は火が立ち、燻り、硝煙と血臭に満ちていた。
 仙人たちは跳躍し、漆黒の瘴気を纏い飛び――止まない銃声と下卑た嗤いが響く。
 人々は逃げていく者、または隠れて場をやり過ごすもの――もっともこちらは呪詛による建物崩壊が時間差でやってくる。瓦礫の間には燻る火と乾きゆく血だまり。
 コンキスタドールが通り屠った場所は焦土となってゆく。
「なるほど、こりゃ趣味のわりィ手合いだなァ」
 琥珀色の瞳を白銀に変えて、周囲を見回し見通していた玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が呟いた。
 狐の尾が思考に伴い一度揺れる。
(「これだけの出力の呪いが使えるなら、“苦しめる”んじゃなくて“ぶっ殺す”ことだってできるだろうに」)
 漂う瘴気は肌を嬲るもの。
 うっとうしげに狐狛は手を振った。
 一瞬にして殺すことを敢えてしないのは――、
「士気を下げるためとか、死者よりは負傷者のほうが足を引っ張れるとか、いろいろ言い訳はあるだろうが……一番大きいのは、たぶん連中の趣味――つまりは嫌がらせだろうよ」
 下卑た連中だ。
 こういった手合いを裏社会ではよく見てきた。もっとも小ものは力あるものに一瞬にして滅ぼされる命運であったが、大ものがやらかすと延々と続く。タチが悪い。
「まァ、場は違えど同じことだ」
 制す。
 そう言った狐狛へと被せるように、やってきた濁業仙人が遠くで嗤う。
「おお、狐じゃ、狐じゃ」
「仕留めりゃ」
「ひぇひぇひぇ」
 同時に耳を劈く銃声が複数。
「おっと」
 銃に狙われることが何でもないかのように狐狛はゆるりと反応した。――ように、ではない、実際にものともしないのだ。
 高らかな音が鳴り、「ぎゃあ」と仙人が仰け反り倒れる。まるで狙撃されたみたいに。
「手元にゃァ気をつけな」
 数多の神器「照魔鏡」が狐狛を護るように出現していて、敵の銃弾を跳ね返したのだ。
 漂う漆黒の瘴気、敵の業濁瘴も扇で煽るようにして返してやる。
「得意になってるとこ悪ィが目には目を、歯には歯をってヤツでね」
 ――狩らせてもらうぜ?
 生命力を奪う濁業仙人の瘴気。場に漂う全て――照魔鏡に映った瞬間に翻される一手。
 多くの者へ伸びんとしていた瘴気がひっくり返され、一気に仙人たちを襲い彼らの生命力を奪い取っていく。
 なんてことよ。
 ひゅうひゅうとした息遣いに潰された声。
 狐耳をぴくりと動かして狐狛は微笑んだ。
「嫌がらせするなら、こっちのほうが効くだろう? さァ還った還った」
 言い聞かせるようにゆっくりと、狐狛は言うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アモン・スメラギ
ここが封神武侠界ね、噂通り中華風な世界じゃねーの。さて、どんな敵が待ってるのかな…ってちょい待ち!なんで仙人が銃持ってるワケ!?世界観的におかしいだろ!こうなったら…

叡智の杖から氷河期の記憶を紐解き、《高速詠唱》《全力魔法》で敵のユーベルコードより先手を打って【アイスエイジ】発動!範囲内の奴らを凍結させてから、ソーシャルレーザーで撃ち抜いていくぜ。相手からの攻撃は《薬品調合》して成分調整した殲術試薬を地面に投げ、音と煙を発生させてカムフラージュを試みる。相手が発見に手間取っている隙に素早く遮蔽物へ移動し、次は《念動力》で魔鍵を投擲。鍵の刺さった相手に《精神攻撃》をかけて無力化させるぜ。



 防御壁には数多の旗がはためいており、端末で写真を撮ってみたり。
「ここが封神武侠界ね、噂通り中華風な世界じゃねーの」
 見張らせる建物に降り立ったアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)が額に手を翳し、遠くを見るように。
 だが今の空気の嗅ぎ慣れたものだと直ぐに気付いた。
 石の組まれた防護壁。
 火の手があがり櫓や家屋は焼け落ちていく惨状。
 規模の大きな都市の一部は迷路のようになっていて、人々が逃げ惑う。
「平和なら散策してみたいところだけど……さて、どんな敵が――って」
 周囲を見回し、アモンが目にしたのは漆黒の瘴気を纏い侵攻してくる濁業仙人であった。
「ちょい待ち! なんで仙人が銃持ってるワケ!?」
 進む際、霞のように軽やかに飛ぶのはまあ仙人なので分かる。だが彼らは杖とかそーゆーレトロなものを持っていない。持っているのはコンキスタドールらしく銃であった。
「世界観的におかしいだろ!」
 アモンのツッコミはもっともなものだ。
「ひぇひぇひぇ、死ね死ね」
「あの獲物は儂が仕留めりゃ」
 そうしている間にも仙人たちの侵攻が進む。
 銃弾を撃ちこんだ建物が彼らの呪詛に侵食され崩れ落ちた。
「あー、もう!」
 呻いてアモンが手にしたのは叡智の杖。遥かな太古より存在する杖自身が持っている氷河期の記憶。紐解けば、アモンの力によって世界へと顕現される。
「お前ら全員、凍っちまえ!」
 そう言ってアイスエイジを発動させた瞬間――冬が訪れた。否、瞬時に凍結させた濁業仙人から冷気が放たれており、場の空気が一気に冷え込んだのだ。
 その予想される数にアモンは眉を顰めた。
「って、俺が一番仙人ぽいじゃん!」
 何さそれ! と杖を握りしめるアモン。
 ツッコミしないと生きていけないお年頃なのだろう。けれどしっかりと次の手は既に打っていて。
 ソーシャル・レーザーで放つ攻撃が雨のように降り注ぐ。
 凍った仙人たちを砕き倒せば、遠方から銃声。精度は良く無いようで近くの建物が穿たれただけだった。
 だが新手だ。
「小僧じゃ小僧がいるぞ」
 地面へと軽やかに降りたアモンが路地を駆ける。
「こいつの出番かな」
 フラスコベルトから一つの試験管を手に取ったアモンが路地後方に向かって投げつけた。
 壁に叩きつけられ容易く割れた試験管から爆破音。瞬時に上昇しない厚い煙が発生し、濁業仙人の視界を奪い足を鈍らせる。
「こしゃくな」
 瘴気がぶわっと拡がる――仙人の魔の手。その様子が、再び建物の上へと移動したアモンには良く見えた。
「これでチェックメイトってな」
 虚空に駒を置くように。キー・オブ・キングダムを濁業仙人に向けて翳せばそのまま放たれる魔鍵。
 加速故に先端は鋭利同等となり濁業仙人へと突き刺さった。仙人の内にある際限なき業を開かせるように、魔鍵は仙人を『開く』。
「……ガァ……ァッ」
「何が見えてるんだろうね?」
 アモンが歌うように呟く。
 漆黒の瘴気よりも禍々しいどろりとした黒が仙人の身から流れ出す――敵の目にはそう映っていた――己の悪にまみれ、濁業仙人は骸の海へと還っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
仙人も魔女も集団で人里を襲うとこうなります。
一人で引き籠っている方がまだマシというものです。
……他意はありませんよ。ええ、本当に。

後衛ですが……少し開けた場所に陣取ります。
杖から雷防壁を展開し、攻撃を引き受け味方の被害を減らしましょう。
遠距離攻撃は杖から放つ雷を使います。
弱った仙人の止めには《魔女の瞳》の呪詛も良いでしょう。

私を狙う敵が増えて来たら魔導書を開いてUCを発動します。
発動する属性は闇で、状態異常は『暗闇』。
遠距離からの狙撃は難しくなる筈です。
自然現象はお任せ。
戦場の地形に合わせて、より多くの敵を巻き込めるものを選びましょう。

敵UCには2種の耐性で我慢してみます。



 長く、様々な物を見てきたが故の衝動と結託による高揚だ。
「ひぇひぇひぇ」
 と引き攣ったように嗤う濁業仙人たちとその所業。
 銃弾と砲弾が都市を壊し、人を恐れさせ、それらの音楽に酔いしれる。クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)は静かに彼らを見遣った。
 仙人も魔女も集団で人里を襲うとこうなる――在野の魔女、クララの橙色の瞳が僅かに深い色合いを宿す。
(「一人で引き籠っている方がまだマシというものです……」)
 他意はない。本当に――つくづくとそう思っただけのこと。
 人との関わりを断ち、研究に没頭する。それはいずれ歪んだ精神性へと導くものなのかもしれない。仙人であるから、魔女であるから。
「まあ、仕事をしましょうか」
 ふっと息を吐き、少し微笑むようにしてクララは呟いた。

 猟兵たちが戦っている。
 雷の杖を地に着け、構えれば空気の震えが伝わってきた。賦活の力で生命を癒しもする杖は常も細やかに、微弱な力を読み取る。
 大きな繭のように雷の防壁を発生させれば濁業仙人が反応する。
 ほとんどの猟兵は付近の仙人たちを各個撃破するように動いており、大胆に明らかな脅威を示してきたのは二人。
 そのうちの一人であるクララへ――生身が視認できている彼女へと仙人たちが攻撃を仕掛けるのも道理というものだろう。
「如何なる力か」
「撃て、撃て」
 銃弾と砲弾を雷の防壁が捕らえその場で弾く。衝突の力は直ぐに荷電粒子となり取り込まれた。
 射線と起点が読み切れた時はクララが杖から雷を放ち、一撃を返す。
「目には目を、というものですね」
 呪詛を籠めた銃弾を扱う仙人たちに、クララもまた継続する呪いを。
 そうしてしばらく敵の気を惹きつけて過ごす――だが敵の侵攻は続く。さほど射程もない銃を手にした彼らがクララの元へ到達するのは直ぐであった。
「…………」
 魔導書を開く。
「効かぬか。どう引きずりだしてやろうか……」
「ひぇひぇひぇ、巣穴におる獲物は」
「誘き出したいところじゃがのぅ」
 だが動かぬであろう。
 仙人たちの判断は言葉なく、一斉に銃口を向けられることで示された。
 ――クララが静かに呼気を吐く――すぐに崩れる睨み合いだ。
 その時、戦闘空母の制圧射撃が遠くで始まった。それが時を進める合図となったのか。
 漆黒の瘴気を纏う濁業仙人たちが引鉄を弾く前に、大地が割れた。
「地震かッ!?」
「否や!」
 いや、割れたかのように見えた。
 敵が見たのは揺れる大地から放たれる漆黒。その黒は仙人と仙人の瘴気を飲みこみ、彼らを暗闇の世界へと誘うもの。
「私と一緒に、明けない夜を迎えましょう」
 敵にとっては雷の閃光すら見えない闇。
 クララの雷撃、猟兵たちの攻撃に濁業仙人たちは次々と撃破されていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
なんという非道でしょうか
皆さんをお助けしましょう

竪琴を奏でて魔力を紡いで矢と為し放ちます
まずや矢雨として
撃破しながら牽制も兼ねて動きを封じ
皆さんが逃げる時間を少しでも稼ぎます

物騒な音や悲しみや痛みに苦しむ声はいりません
仙人さんたち、どうぞ音楽を楽しんでくださいね

仙人さんたちやその武器を狙い撃ち
燃やし
押し流し
吹き飛ばします

貴方方もオブリビオンとして甦り
歪んでしまわれたのでしょうね
かつては高尚で清廉な仙人さまだったのでしょうか
お可哀そうに
海へと導きましょう

終幕
犠牲者の方や仙人さん方へ鎮魂の調べ
海でどうぞ静かな眠りを

逃げ遅れたり
助けが必要な方がいないか
一通り見回ってから去ります



 火の手があがり家屋が焼け落ちていく。
 あちこちに黒煙が立ち、場を染め上げていく。
 悲鳴は近く、遠く、呪詛の銃弾によって建物が脆く崩れ落ちる音もまた箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)には悲鳴に聞こえた。
「なんという非道でしょうか……」
 猫のヒゲも尻尾も力なく垂れてしまったが、惨状からは目を逸らさない。大きな瞳に映りこむ何ものからにも。それは仄々の強さであった。
「ひぇひぇひぇ」
「仕留めりゃ、仕留めりゃ……!」
「!」
 逃げ惑う人々の退路を確保する。
 それは銃弾なき道を作るということ。
 竪琴の形となったカッツェンリート、その弦を仄々が爪弾く。耳慣れた琴の音はこの戦場において異様な響きとして渡った。
 音色と共に翠の魔力が流れ出し、風の矢となって濁業仙人を射貫く。
 矢を番うように一際高いピンとした音。
「物騒な音や、悲しみや、痛みに苦しむ声はいりません」
 銃声には押し流す水の魔力矢を雨のように降らせて。
 人々の痛みに苦しむ声は再生の炎を巡らせて、非道な声を炎矢で掻き消す。空を焼くぼうぼうとした音が場に飽和した。
「仙人さんたち、どうぞ音楽を楽しんでくださいね」
 そう言って仄々が竪琴を奏でる。
「生意気な獣め」
 濁業仙人が呪詛のこもった一撃を放てば、攻撃を受けながらも仄々の矢が銃を狙い撃ちにする。
「貴方がたもオブリビオンとして甦り、歪んでしまわれたのでしょうね……かつては高尚で清廉な仙人さまだったのでしょうか」
「止めぬか」
「悪行こそが儂らの美徳」
「人の生を断った儂らが到達した頂よ」
 仙人に至ったであろう悟りは、何とも――仄々にとって哀れに映るものであった。
「……お可哀そうに」
 ポロン。
 この音がオブリビオンではない、彼ら自身が生きてきた時間に届くように。
 海の漣のように絶え間なく。
 心を込めて仄々は奏で続けるのであった。


 ――すすり泣きが聞こえる。
 同時に安堵の声が聞こえる。
 濁業仙人たちを倒し、都市への侵攻は止まった。だがその被害は甚大だ。
(「慰みとなるかは分かりませんが……」)
 だが悲しい気持ちで弾いてはいけない。仄々はぐっと唇を引き結んで、心を穏やかにして、鎮魂の曲を奏で始める。
「海でどうぞ静かな眠りを……」
 犠牲となった人々も、仙人も――今の時を海へ――そこが穏やかであることを願いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月07日


挿絵イラスト