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殲神封神大戦④〜現と幻の狭間にて

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●グリモアベースにて
「あけましておめでとうございます、さて戦争のお時間です」
 グリモア猟兵ヒュー・アズライトは本当に? といった表情を浮かべながらあなたを見ていた。
「こまかい話はさておき。人界の南部有数の大都市に、『香港租界』という場所からコンキスタドールの大群が押し寄せています」
 コンキスタドールが持ち込んだ、幻覚をもたらす『阿片の煙』が街中に広がり住民たちの正気を奪っている、というのが現地の状況らしい。
「住民たちは操られていて猟兵に攻撃を仕掛けてきますが、しょせん一般人です。猟兵なら容易く制圧できるでしょう」
 無力化するにとどめ殺さないでくださいとグリモア猟兵は告げた。
「あなたに依頼したいのは、【阿片の煙が炊かれている場所の特定や煙を止める事】です。どこか一ヶ所で構いません。街の複数の場所にあるようで、俺が予知した範囲では、東側の井戸近く、南北の見張り台付近でしょうか」
 他の場所にもあるはずですと告げて、グリモア猟兵は転移ゲートを用意しはじめた。
「ちなみに、ここを制圧すると南蛮門にいけるらしく、仙界側にもアタックできるようです。新年早々ですががんばりましょう」

 皆様の無事を祈りますと、あなたの背に声がかけられた。

●夢と現の狭間にて
 街中に広がる煙は、人々に多様な幻覚を見せるらしい。
 猟兵を敵だと認識する者にとっては目に映る全てが『敵』に見えているのだろう。刃物や何かを振り回し彼らはあなたを攻撃するかもしれない。
 でも、彼らは弱い一般人であり、生命の埒外にある猟兵ならば簡単に無力化できる。
 忘れないで。
 グリモア猟兵は『殺さないで』と言っていたことを。あなたの腕なら手刀一発でそれこそ無力化できるはずだ。住民と遭遇しないように、裏道や屋根を駆け回っても良いだろう。
 とにかく、幻覚を見せる元凶を突き止める必要がある。
 阿片の煙の発生箇所を見つけ、煙が出ないように水でも土でもかけて良いだろう。

 夢と現を彷徨う狭間にて、あなたはどうしますか?


いつき
 あけましておめでとうございます!
 朝4時半に起きましたが戦争!?しましたね。ただいま5:46です。本年もよろしくお願いします。
 いつも通り、連携アドリブok認識なのでNGのみ記載してください。

●本シナリオは1章構成の「戦争シナリオ」です。断章追加はありませんのでプレイングはお好きなタイミングで。

●目的
 煙の発生地点をなんとかしてください。
 OP以外にプレイングで指定した場所にきっとあります。

●プレイングボーナス
 ・煙のもたらす幻覚に耐える
 ・住民達を傷付けず無力化する
 上記2点どちらかを達成でボーナスです。
 幻覚を見る→幻覚に抗う も可能です。
 幻覚見たい人は希望ください、見るけど最後に抗いましたパターンになります。倫理的にNGなものはだめです。

●補足
 私(いつき)は中国文学とかに疎いので(水滸伝・封神演義が少し)ゆるふわシナリオになります。同じ方、ゆるふわっと楽しみましょう!

 それでは良い旅を!
 
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第1章 冒険 『幻惑の煙』

POW   :    気合と体力で煙に耐える

SPD   :    煙の濃い方向へ素早く進む

WIZ   :    魔術や薬品で煙の効果を弱める

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

李・玉明
WIZ

妾も加勢するのじゃー!
アヘンが悪いものだって聞いたので、容赦なく消し飛ばしてやるのじゃ!
街の人とぶつからないように屋根の上を空中浮遊で移動して、パタパタと芭蕉扇で風を仰いで、煙を散らして進むのじゃ!

煙の発生源を発見したら、すぐに消すのじゃ!
芭蕉扇で雨を呼んで、すすっと降らしてのぅ! あとは煙を霧散させるべく、風を舞い呼ぶのじゃ!

夢幻は心地良くて気持ちいいものじゃけれど、こういうお薬で無理矢理というのはよろしくないと思うのじゃ。
どうしても夢を見たければ、妾たちが魅せてあげるのじゃ♪



「妾も加勢するのじゃー!」
 そう言って街へ乗り込んできたのは、桃から産まれた羽衣人たる李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)そのひとだった。
 ぱたぱたと芭蕉の葉に似た美しい扇を扇ぎながら、彼女は屋根の上を通ることを選んだのだ。人々は頭上にまで注意は向いていない様子で、上手く戦闘を避けられそうである。
 玉明の芭蕉扇から生み出される風は阿片の煙を散らしていくけれど、地上では街の至る所に煙が立ちこめているのがその青い瞳にうつるだろう。
 阿片が悪いものだということを玉明は聞いて知っている。上手く使えば薬にもなるらしいけれど、その存在が戦を招いたことがあるとも聞いたことがあった。
「夢幻は心地良くて気持ちいいものじゃけれど」
 街を俯瞰するように風に乗り、玉明は小さく呟いた。
 遠くで煙が濃く立ち上っている場所を見つけ、空を駆ける速度を上げる。
 この状況を見過ごすことは出来なかった。現に今、人々は幻覚に捕らわれている。
「こういうお薬で無理矢理というのはよろしくないと思うのじゃ」
 辛いときに幸せな夢見ることはその人にとって救いとなるかもしれない。けれど過去、戦を招いたというソレはきっと人々を蝕み、依存させ、破滅へ導く。
 たった一度の夢幻ですむはずもないのだ。
 風はいつだって玉明の味方で、空に彼女の行く手を阻むものはなにもない。視界を遮る煙は、芭蕉扇で盛大に吹き飛ばして発生源を確認する。
「すぐに消すのじゃ!」
 火元は煙で見えなかったけれど、芭蕉扇を扇いで雨雲を呼び寄せる。
「こうやってすすっと降らしてのぅ!」
 招いた雨がぽつぽつと大地を濡らしていく様に、もう一度玉明は芭蕉扇を扇いだ。
 雨粒は少しずつ大きく、増えていく。もう数分すれば煙の発生源はこの雨に鎮圧されるに違いない。だから、この立ちこめる煙を霧散させるべく、風を舞い呼ぶのだ。

「どうしても夢を見たければ、妾たちが魅せてあげるのじゃ♪」
 こんな薬に頼らずとも、もっと心地の良いものをみせてやれる。
 寵姫たる玉明は蠱惑的に微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モスキノフ・スティンガー
アドリブ歓迎だぜェ

煙くて視界が悪ィったらありゃしねェ
これが殺虫剤だったら俺は間違いなくお陀仏だァ

なるべく住民と遭遇したくねェが無理だったみてェだなァ
腕っぷしの強そうな野郎だが一般人には変わりねェ

説得は無理くせェが、かなり強い幻覚を見ているようだなァ
煙の発生源近くに居たって事じゃねェのかァ?
悪ィが教えて貰うぜェ…!

襲いかかってくる住民を逆に拘束して吸血するぜェ
安心しなァ、ついさっきの事ならすぐに分かるからよォ
負担をかけないように少しずつ吸血を進めれば、それらしき場所が浮かんでくるはずだぜェ

ありがとよォ、それじゃここで休んでてくれよなァ…!
住民を軽く気絶させて無力化し、煙の出処へ向かうぜェ



「煙くて視界が悪ィったらありゃしねェ」
 モスキノフ・スティンガー(迫りくる吸血刺咬・f35105)はそう口にして街中を注意深く歩いていた。
 これが殺虫剤だったら俺は間違いなくお陀仏だと、そう思う程度に周囲に煙が立ちこめている。自身に影響が及ぶ前に、あるいはこれ以上被害が拡大し面倒なことにならないためにも、速やかに発生源へ辿り着かねばと考えていた。
 けれど、あいにく、そうコトは上手く進まないらしい。
 モスキノフの前に、ふらりと人影がひとつ現れた。
「はァ。なるべく住民と遭遇したくねェが無理だったみてェだなァ」
 彼の前にやって来たのは腕っ節の強そうな男だった。が、何かの幻覚を見ているのだろう。しきりに何かを喚いているが、所詮は一般人に過ぎない。
「説得は無理くせェが」
 一目見るだけで様子がおかしいことはわかる。視線は虚ろで瞳孔も拡大している。
 喚いている内容は支離滅裂で、ただモスキノフを敵対的な『何か』に見えていることくらいしかわからない。
 逆に言えば。
 男はかなり強い幻覚を見ている、そうモスキノフは推測した。
「こいつは好都合だなァ」
 強い幻覚を見ているということは、煙の影響を強く受けているということだ。
 即ち。この男が煙の発生源近くに居た可能性が高い。
「悪ィが教えて貰うぜェ……!」
 奇声をあげて襲いかかってくる男を軽く躱し、その腕を押さえて拘束する。猟兵と一般人という違いもさることながら、モスキノフの強靱な肉体ではまず太刀打ちできないだろう。
「安心しなァ、ついさっきの事ならすぐに分かるからよォ」
 意思疎通が出来ない以上この手段が最適なのだ。口吻を伸ばして、負担をかけないように少しずつ吸血を進めていく。次第に抵抗が薄くなり男の記憶が流れ込んでくる。彼が『モスキノフ』を認識したその瞬間から、吸い過ぎないように注意して遡って行く。
「見つけたぜェ」
 男の記憶が正しければそう離れていない路地裏に香炉が設置されていた。
 怪しい煙がたちのぼる光景を確認して、モスキノフは吸血を止めて、男を軽く気絶させた。
「ありがとよォ、それじゃここで休んでてくれよなァ……!」
 人の気配がしない建物の中へ気を失った男を運び込み安全を確認すると、モスキノフは香炉を始末するためその場を後にし歩き出したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
まーた厄介なモンが住民たちにばらまかれてやがる!さっさと撤去しねえと……ったく、これだから戦争は嫌いなんだよ!

【指定UC】で姿を隠して住民たちには気取られにくくしておくぜ。ついでに『穢れを喰らう黒き竜性』で住民たちから穢れを喰って、少しは楽になれるようにしてやっとく。
この手の幻覚とかは【狂気耐性】の延長で耐えられるハズだ。
ぶっちゃけユーベルコードで見せられるエグいのより大分マシだし……

とりあえず煙が特に濃いところってのが大体発生元だからな。グリモア猟兵の予知で言われた場所を片っ端から洗ってみるわ。
見つけたら念には念をってことで水でぶっかけた上に土も盛って徹底的に煙を処す。



「まーた厄介なモンが住民たちにばらまかれてやがる! さっさと撤去しねえと」
 新年早々に戦争に駆り出された地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は現地の想像以上の様子に思わず呟いていた。
 常でさえやっかいなオブリビオンたちが、あの手この手で仕掛けてくる『戦争』は負ければ世界が滅ぶ代償を伴う上に、今回はタイミングが悪かった。戦争開始の一報を耳にした猟兵の半分くらいは「今!?」と思ったかもしれない。多分おそらくきっと。
 遠くで銃声や怒号が飛び交うのを耳にしながら、凌牙は注意深く街中を進んでいく。事前に発動させたユーベルコードが自身を黒き淀みで覆い隠す上、相手から少しばかりの運を奪うので凌牙の存在が見咎められることはまずないはずだ。けれどそれを上回る『不運』というものはいつだって彼に付き纏ってしまうので警戒は怠れない。
「とりあえず煙が特に濃いところってのが大体発生元だからな」
 すでに他の猟兵の手によっていくつもの元凶が破壊されてはいるが、一向に騒動は鎮まる様子がない。思い返せば出立前に、今回の騒動の大元であろう場所をいくつか聞いていた。
(まずはそこから潰すか?)
 煙で視界が悪い中、アテもなく彷徨うよりは確実だとおよその現在地を推定し、凌牙は足取りを早める。ついでに、すれちがう住民から『穢れを喰らう黒き竜性』を用いて穢れを喰らってやる。彼らを苛むであろう阿片の影響を『穢れ』として取り除いてやれば、きっと少しは楽になるはずだから。
「…………ッ」
 けれど効果には代償が伴う。彼らのかわりに取り込んだ穢れは、周囲の煙と合わさって凌牙に幻覚を見せるのだ。
 見たくないもの、見たかったもの。様々なものが視界の隅に見えるけれど、凌牙にとってそれらは意味をなさない。
「ぶっちゃけユーベルコードで見せられるエグいのより大分マシだし……」
 敵に見せられた凌牙がエグいと称した記憶と比べれば。これが幻覚だとわかっていれば、現と幻の狭間だって歩いて行ける。そこに生まれる感情は彼の心を波立たせるけれど。

 南側の城門、それから東側の井戸近くの影と情報通りに煙の発生源を制圧した凌牙は、最後に北側の香炉の前に立っていた。巧妙に隠された薄緑色の香炉から立ち上る煙は、中身が阿片でさえなければきっと心安らぐひとときをもたらすものだったかもしれない。今は災厄ともいえるものを振りまいているが。
 凌牙は無言で香炉を壊すとたっぷりの水をぶちまけて、念には念をと最後に土を盛り付ける。
 煙が完全に消えたことを確認すると、
「……ったく、これだから戦争は嫌いなんだよ!」
 様々な感情をたっぷり込めて凌牙はパンパンと手についた土を払い落としたのだ。


 封神武侠界の存亡を賭けた戦争はまだはじまったばかりだ。
 全貌は未だ秘匿されているけれど、その一歩は着実に前へ向かっている。
 猟兵の活躍により次第に薄れ行く煙の影響下、現と幻の狭間を抜け出して、訪れた彼らは元の世界へ帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月03日


挿絵イラスト