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殲神封神大戦④〜小人のパレード

作者：にゃあら

●雲の上のおはなし
　かるく舐るだけで世界が上へ上へと昇るならば、嗚呼、人が抗う術など何処に有ろう。ましてや世界は混沌の底、現実逃避しなければ生きてもいられない。同じ盲目ならやった方が得なのだ。もうもうと漂う煙に身を巻かれ、彼も彼女も幻想の中――まるで飛び跳ねる死体だ、とても愉しそうに揺れている。あっちの水は甘いぞ、こっちの辛いのは飲んじゃダメ。
　吸わなきゃ損だ。啜らなきゃ損だ。お勘定が要らないなら、もう止まらない止められない。無秩序不穏の真ん中で気持ち良くなるのは最高だ――笑いが絶えない戦場だろう？
　お花畑に見えたのはたくさんの蛆だった。すべてが回転してみえる。

●グリモアベース
「あっ。見てくださいよ、あっちに可愛らしい小人達が居ますね……んん。問題ありません、世界は一切が正常です」
　阿片――合法なやつ――をスパスパやりながらグリモア猟兵は君達を見た。目隠しの裏側にはとろんとした目が有るに違いない。
「えーと。でふね――そう。戦争。戦争の話です。なんかコンキスタドールの大群が街に阿片の煙を巻いたそうですよ――合法じゃねぇやつ。はよ如何にかしねぇと大変ですね」
　ふわふわしているグリモア猟兵曰く、幻覚みてる一般人を無力化しつつ焚かれた場を掌握しなければならないようだ。
「んぁー。まあテメェ等なら大丈夫でしょうが。万が一の事を考えて解毒云々も用意しといてくださいね――隣人ちゃんみたいになりますから。おっ。お花畑ぇ」
　グリモアが輝いて。

第1章 冒険 『幻惑の煙』

POW   :    気合と体力で煙に耐える SPD   :    煙の濃い方向へ素早く進む WIZ   :    魔術や薬品で煙の効果を弱める 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　見える。視える。観えた。人々が腕を振り回し涎を撒き散らし一斉に吠え狂う。あの小人はきっと天からの贈り物に違いない。楽しい楽しい、この世を彩る為の🌈なのだと――その幻覚(けむり)は君達の脳(なか)にも這入ってくるだろうか。
　兎に角――この場を如何にか治めなければコンキスタドールの思う壷だ。とてつもないハッピーから逃れなければ成らない。しかし小人達のダンスは魅力的だね！


　のたうつ人類の狭間に顕現（み）せた煌びやか、芋虫に寄生（の）った蜂の如くだと表現可能なのか、喰い散らかした鴉は循環させる。
　焚かれた悪夢（うつつ）の数々に欠片、生き地獄を投擲（な）げ混むならば石だろう。罪と罰の関係性を説いた四文字に果たして名言（ことば）が見出せるのか。礫（けいばつ）の前に屈した免罪（きみ）は札を粘着（つ）ける事も赦されない。
　むせた、刹那（わず）かに幻覚（み）えていた輪郭（かげ）は貌（かたち）もなく、この状況下（カオス）でのオマエは特効薬（さいてきかい）で在るに違いない。そうとも、教導虫（せんせー）がいなかったら今頃、掛け声共々とお友達だったと解せるのだ――得意げな音（ね）が脳内に谺する。薬如きに負けるなどありえないのよ――ホガラカと回転を止めた🌈（いろ）の前でお辞儀。ありがとうございます！　寝言は寝て謂え有象無象（ジャンキー）。衝撃波、煙に巻くのはまだ早いと叩き出せ。
　はらりひらりと蝶（りんぷん）謳い覚醒状態の『あれ』を熟睡（お）とす。するりと呑まれて往った彼等の行き先は幸福（まくらもと）と記せよう。いっそ寝た方がマシってことね――そうですね！　発生源はおそらく『人が集中している』場所だ。おくすりの効果も良質（たか）くトんで阿片（ひ）に入る冬の脳（むし）。
　まずはひとつめ、壺を割るのになんの躊躇が要る？

成功 🔵​🔵​🔴​

　まるで蛆虫の丸焼きを齧り尽くした気分だ、今日は生でいかなかったのにはワケがある。寄生虫が気になったものでね、ほら、今だって視界の隅っこでウゴウゴしていく。嗚呼、まったくハッピーなンは良いこったな！　良い子にも悪い子にもプレゼントを投げたサンタ・クロース何週間前かに聖夜は終わったと教えてくれ――オーケイそういう集まりじゃねェのは知ってんよ。ニュー・イヤーの戯言を聞いた頭ン中開けましておめでとう。摘出された脳味噌（ノーテンキ）は冥王星（カビ）を見失っている。つまり気づかねえくらい飛んでるわけだ。目ん玉突出（と）んだら蜻蛉にだって追いつけやしない――自主的にやるもンだろ、しゃーねェな。それで、阿片（けむり）の渦へと身を投げろ。ホントに？　正気か否かを疑っている場合ではない小人どもが待ち望んでいるのだ。
　数秒で蒼だか緑だか紫だかわけわかんねぇ顔色（つら）に染まった。濁点つけたとして言の葉にしたらスグサマ胃酸と手を繋ぐ事になる。そりゃぁヤベェ奴らのアレコレよりも『おくすり』の方がマシだぜ。だがな――常用してねえよアタシは！　乱用絶対ダメ、小さな羽虫もそう啼いている。さっさと煙の元を探して退散だな。火炙りの刑が嗤っていた。
　パワー系中毒者を抑制（おさ）えるよりは楽だった。遠く、遠くを眺めながら大きなお友達にお注射。我慢あそばしやがれ――うわぁ！　こんなところにハリネズミだ。抱いてくれ抱いてくれ抱っこして――あーーーん？？？？？
　何だこのちっこいヤツ。さっきから踊ったり回ったりで忙しない遅延性、なんで裸体なんだと訊ねたって答えやしない。新年だからって浮かれ過ぎじゃねぇか。ふと頭をあげたら世界転覆――ぐるぐる、ぐるぐる、ぐーるぐる、あそばしやがれ緑色のお花畑。
　き゛も゛ち゛わ゛る゛――もう立ってなんかいられない、這う這うの体で無力化（そ）ぐと好い。最初に治すべきはオマエではないのか？

成功 🔵​🔵​🔴​

　与えられたショックの強さによっては即死、免れないのだろうか。逃れるように駆け混んだ🌈の架け橋、途中で崩れて脳天から真っ逆さまなど実に人類らしい。阿片生産地では毎日のような事柄（えづら）だ、これに慣れると別世界へ飛んだ気分に陥る――素晴らしい植物を燃やすと同時に人生を燃して終うのだ――だが、学者としてトリップするなら薬物によってではなく、発見の喜びに酔っている方が遥かに良い。それじゃあ虚の丹は如何だ、過去の文献（ことがら）を生で啜れるぞ。お断りします。
　魔の手を握り返す事で得られる『祝福（ロゴス）』は数多と記せよう。召喚（よ）ばれたアプサラーは水蒸気（けむり）を手繰り不埒（い）むべき汁気を退けていく。一定範囲内に近付けぬよう慎重派、さっきの誰かさんみたいに中毒起こしたくないのだ。オマエは実に巧みに己が領域へとジャンキーを引っ張った。
　さて、対処療法（はり）の心地は毒気を抜くのだろうか、にわか知識で何処まで『なおせる』のか見物ではある。洗浄すべきは皮ではなく腸、肺と脳のゲーミングにただの一本。理屈としてはこの通りだが、嗚呼、うまくいくか否か……。
　しずかな銀色（いろ）に抱擁された🌈（はし）が薄れていく。時間かけて一人々々、お灸をスえて邪（や）ればさっぱりした覚醒。あとは原因を突き止めて破壊するだけ。残りのお掃除は猟兵（だれ）かに委ねると好い。
　小人はお家に帰った様子だ。
　莫迦騒ぎは視えないところでやってくれ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　煙管に詰め込んだ、女と呼ばれる魅力性。
　埋め込まれた種の名称は頭痛だろう、錠剤を服（の）んだところで治まるとは思えない。根をはった植物の名称は腹痛だろうか、丸薬をころがしたところで治まるとは考えられない。ふーん――いわゆるクスリってやつね。蠢動（うご）く虫達を踏み潰す未知（ジャンキー）との接触、だとしても初歩の初歩、わかりやすい対処法でいけるわ（どうにかなる）。スポーツ・サングラスの真似事を装着（つ）けて薬（なかみ）にお邪魔します、即席な解析（ほど）きだとしても十分だ。判明した※※に対して中和剤※※、名状し難くとも調合は『慣れた』もんよ――アイスにトッピングしたチョコスプレー、お味は如何と全身に問い掛けた。効果は上々、幻覚なんて一切見えないのよ――惚け狂ったりしている暇なんてない、そうでなきゃ「怪盗なんてやってられないわ」――悪魔は翼膜（まく）をあける。
　ひどい眩暈（かさ）増しに苛まれて脳味噌パッパラパー、頭（おつむ）イッちゃってる大きなお友達に催眠（めせん）を投げよう。心理掌握怪盗術（メンタルスティール）、十八番（おとくい）じみて押し付けた抱き枕。今のあなた達は無性に眠くなってくる――小人どものフィーバーは子守歌に変わり、オマエの言霊（こえ）が染み入る。おやすみなさい――ばたり、ばたりと一人また一人、本当の幻想（ゆめ）に喰われて往く。
　装置（つぼ）に添えられた阿片（もと）を撃ち壊せ、此度は一丁だけでも足りていた。華麗に盗み出せよ宙（なないろ）の如く。
　――貫通したのはオクスリか心臓（ハート・マーク）か。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ヤバいですねっ！

　脳内妄想（シナプス）にブチ混まれた🌈のなんたる香草（かお）りだ、目の玉あっちらこっちら忙しなくどーみても正気ではないっぽい。ポイ捨てされたのはおそらくナイフなのだろう、こんな日に限って切り取り線なんて面白くもない――どーやらこの阿片（けむり）が原因なようで。嗚呼、ど真ん中に突っ立っているにも関わらず冷静な埒外（オマエ）がこわい。熟達の忍ならこの程度はどーとゆーことないですが。万が一が有ってはいけないと手招きした箱庭、そこには二羽のニワトリでもいるのだろうか――まだ吸ってはいないのですよ。とんとんと遊ばせたキセル・パイプ、啜るべきは乱用ではなく薬草か。
　ふぅ、と、一息が貌（つら）を濡らした。老若男女（いっさい）を問わずにリリスちゃんの手中（てのなか）、これだけでいいのですとピンクが晴れていく。これで暴れる所以もとろける所以も無くなった、茫然（ほう）けた君に目覚めのかるい頭突き。
　あとは発生源（つぼ）を悉く破壊（わ）るのみ。もくもくと戯れている山椒（スパイス）を塵箱にシュートするのだ。イケルイケル！　誰でも簡単な大掃除だ、年明け前に終得なかったのは何故か――小人達との永久なおわかれ、パレードは骸の海に失せていった。
　お姫様の接吻（キス）で我に返った彼等が羨ましい。
　お花畑の蟾蜍（げろげろ）は脳に滓（のこ）らない。

　――依存症（や）みあがりの人はお大事に。
　その組み立てた椅子に腰かけてくれ。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年01月01日