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ラッキー・ヘヴン

作者：にゃあら

●擁した君は走る事を忘れていた
　ビーチェの戯言を押し切って段を登れば君は縋る事しか出来なかった。決して赦される術のない現実（いま）から逃れる為に棒状のそれらをじゃらじゃら弄ぶ。指し示したのはきっと人間誰しもが求めている強運で在り、一生を賭けても掴めない幸せなのだろう。嗚呼、あの子とその子がくっついて離れようとしてくれない、だったら選択肢はただのひとつだ。たとえ何人で在ろうとも愛し合う肉（こと）になんの罰が科されると謂うのか。
　狂っている、狂っている、世界は固定値（ぜったい）を望み過ぎている。曖昧な言辞（ことば）こそが本当の優しさだと如何して解らないのか。ひどい執着性を見せつけた悪魔（リリス）が微笑んで信者（きみ）の果実をつついてくる。
　それは限度の無い悪夢だった。故にぬくもりのある、真っ暗闇じみた快楽だった。欲しい、欲しい、もっと欲しい――のたうつ君を観察して異たい。

●グリモアベース
「貴様等、ユールを終えて早々だが神曲（よち）だ。銀雨（シルバーレイン）世界にてリリス化オブリビオンが発生したらしい。今回は欲望が欲望なだけに信者も多いと思われる、歴戦の貴様等には容易い案件だろうが『気を付ける』事に越したことはない」
　グリモア猟兵、ロバート・ブレイズは分厚い本をばたんと閉ざした。机の下に仕舞ったらしく君達にはタイトルが読めなかった。
「悪徳――人類は美徳を追うべきだが、時として禍々しさが神の類と扱われる。結局のところは脳味噌の育ち方次第なのだろう。兎も角、まずは此度の『信者がいる場所』、とあるサークルで楽しくやってみると好い。情報を炙り出してオブリビオンの尻尾を掴むのだ。虎穴に入らずんば虎子を得ず、そう思い給えよ……そうだ。貴様等、タロットカードは好きか？　先程かるく戯れてみたのだが」
　恋人（ラバース）の逆位置。
「世の中は『このほう』が吉と解せる。人は伸ばしても人なのだ」
　グリモアが輝いて。

第1章 日常 『流行りの占い』

POW   :    自分が望む結果を強引に引き寄せる SPD   :    科学的に占いの真偽を考察する WIZ   :    占いは占いとして純粋に楽しむ 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

　七を幾等か引いた者は幸せを得る事に違いない。
　腸を弄るかのように文字列（かず）を辿れば好いのだ。
　女の子も男の子も皆が皆、夢中になるのも仕方がない。
　だって世の中は理不尽まみれで不条理に頼る以外に導が視えぬ。
　ぬるりと捲ったタロットを改めると悦ばしい。

　今日はどんな運勢だ。


　頭を垂れた薄赤色（ピンク）が瞳（め）を隠（ごまか）すとは思えなかった、たとえ想像力豊かな人間性（ありかた）でも自らの未来（とき）は読み込めない。混められた脳味噌（おも）いに共鳴するかの如くオマエ、輪（かごめ）の虚へ這入ると謂うのか――愛する人にはいつ出会えますか。愛される日はいつ訪れますか。きらきら甘酸っぱいサクランボがころころ、ころころ戯れている。吹雪（ちら）つくよりも先に占術（けんがく）するのは如何か。今日はお花で視てみましょう――魅せられた人々はもう逃れられない。
　ななつめの花びらで冠を造りましょう、そうやって告げたのはリーダー気質なあの娘だろうか。好きと嫌いの往復が上下の激的（ゆ）れを表現していく。そろそろ最後の一枚だと誰かが唾を呑み込んだ――ごくん。好き。欲望（うらな）いなんてそんなものだ、と雄蕊だって抉っていく――お話に付き合うなら塑れは現しかない。
　楽園（ヘヴン）へ連れて往ってくださいと有象無象（みんな）が々（みんな）地面の下を覗いて異る。きっと死体なんて埋まっていない、発かれるはいとしのザクロなのだ。肉々しい憎々しい、マイナスを何もかも絶頂（いただ）きに放り投げる。
　すぐれた美人（あなた）は注目の的になっていた。八方からの言辞（ワード）に金色（め）の玉をどうこう追わせて対応（こた）える。それじゃあ※※さんは占いが得意な人を知っているんだね――ばらばらとこぼれた細っこい棒が位置を示している。
　ふるく上品な杖（えだ）を揺らして「ありがとう」を唱えよう。
　――とおくを手中におさめたら、はなつ神など居ないだろう。
　少女、煉獄に征く。

成功 🔵​🔵​🔴​

　眼球（キャンディ）を舐るのに躊躇いは要らない、ただ舌を露出（た）らして甘さに奴隷（したが）い、蹂躙されるのを期待（ま）って異れば好いのだ。そんな事を口にしたのはおそらく少女Cなのだろう。きゃっきゃと捲ったベリーなミルク、とろけたほっぺを治す気力（つもり）はない――ころころ可愛いよりだくだく肉厚の方が良いと猟兵（オマエ）は想像していた――兎も角、焼こう。焼いて灼いて妬いて、骨のある明日を視ようじゃないか。
　赤色の先々でギラ憑いていた緑色、彼女等の数字（つみ）を訊ねている場合ではなかった。在れよ厭れよと流される儘にオマエは席、並べられたのは鹿か猪か。じりじりと発生（う）まれる罅のなんとまあ神秘的な現（こと）か――とても過去（オブリビオン）の所業とは思えない！　これは本当に害悪（おおなみ）だと謂えるのか？
　明日は告白する好機だよ、神様（デウス・エクス・マキナ）も腕（カイナ）を挙げている。あの男（こ）のオツムは娘（きみ）の貌でいっぱいさ。貌、貌、貌――おかしい、さっきまでの緑色は何処に失せた。猟兵（オマエ）には彼女等が真っ黒に映った。
　罅割れたハート・マークに突き刺さった鋭利（エモノ）、かえしの所為で外す事も出来ないのか。嫌な予感がする――あるがままを受け入れているのに？
　怖気（けんお）を覚えたのはいつ振りだろうか。わかりもしない『冒涜的』がデータ入力じみて脳内（カラメル）を侵してきた。わしにも占い方教えてくれんかのう。自然体（ナチュラル）な貌（つら）して集めると好い、こっちの水は甘いのだから。
　怠惰（ねむ）りの数は打ち倒された。

成功 🔵​🔵​🔴​

　あの子の話はいつだって絶対だ。
　よくわからないけれど、楽園は数秒後にやってくる。

　18もしくは19世紀を身に纏った姿形（オマエ）自身、這入り込む事に躊躇（あな）はなかった。吸い込まれたかの如くにカレイド・スコープ、明日への星座（ほしぼじ）を真似（も）しているのか。煉獄に中てられて、燃されるような心地が輪っかに延々（ひろ）がって往く――そう、悪いことをしてるのはリリスなんだ。やりすぎもやりなさすぎも身体（すべて）は癌なのだ、そんな当たり前を瞳（ピンク）が称えている。はやく止めてあげないと――オマエのこぼした言辞（ことのは）は誰に向けた慈愛なのだろう。
　強大な力に振り回されるのと占いの映像（いろ）に染まるのと如何『違う』と世は謂うのか。まるで寵愛な粘つく声色（いろ）が一人々々に注がれていく。果たして濯がれたのは美徳なのか悪徳なのか――お得意な『おさかん』とやらを教えてくれ、七つ目のカードが嗤って魅せた――みんな、聞かせて。信じるも信じないも脳味噌次第、それじゃあ『蛋白』が熱を帯びていたら？　直しようがない皴のばしだろう。
　来年の運勢は藻掻いたって大吉なのだ、僕の理想の相手を前に『マイナス』なんて披露（つか）えない。くらくら、ゆらゆら、在り得ないほどの好意（すき）が言動（ぞうふ）を爆弾に変えていく――今から一緒に遊び行かない？　ずるい、この娘は俺の恋人（ラバース）だ。視たい、視たい、視たい、嗚呼、でも、これ以上視ていたら意識が飛んでしまう！

　大丈夫、命を吸ったりなんてしない。
　ナイフとフォークを持たずに仔羊を齧るなんて、はしたない。

　ロリータ・ファッションふわりして香りに包まれた有象無象の寝息（いき）を拭う。聞ける事は全部『聞けた』のだ、あとは枕と毛布の出番だろう――そうっと身を挟ませて惰眠（ひとびと）の隙間を縫って往く。美味しい、美味しい、誰かさんの無差別（ざくろ）が為に。お着替え完了、いつものに。望んでいなくともあまい汁気に毒仕込む。瞼の裏側で大玉ころがし、正体失くても君を覗く。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 冒険 『悪夢への挑戦』

POW   :    自分自身を信じて立ち向かう SPD   :    体が覚えている技量を使って立ち向かう WIZ   :    友情や憧れを思い出して立ち向かう 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　罅割れた骨とおみくじの螺旋、星座の回転（スピン）にすくわれた足裏、爛々暴かれたが故に悪魔（リリス）は猟兵（オマエ）に夢を魅せる。
　脳天から墜落（お）ちて往く先々にはなんとまあ見事な楽園（ヘヴン）だろうか。ゾクゾクと増殖（ふ）える感覚は異常なまでの悦楽。無理だ、抜け出せる気がしない。のたうつカーマからは逃れる術は無い。
　果て、横たわったオマエは如何様な煉獄（なな）をもよおすのか。こんなにも幸運（ラッキー）な現（こと）は今後の人生、絶対に無いだろう。

　それでも――嗚呼。
　地獄へと身を投げると謂うのか。


　エロスの弓矢（えもの）がコンクリートを壊していた、誰を狙っても肉の柔らかさは理解出来ない。出来損ないのガネーシャは下半身をぶん投げられたのか。たくさんの山羊にひっついたスカラベが卵（たいよう）に呆れていた。

　ダンス・マカブルに一直線、七日目の夜に神が『告げた』としても憑き従ってはいけない。正気の演技（ふり）が大得意な仮面（マスク）の裏側、常々と接吻（キス）を狙っている貌（さま）はシツコイ真っ赤っかだ。凄まじい多幸感です。まるで味気の無いガムに着色（どく）を注入（そそ）ぐかの如く。もはや猟兵（オマエ）は『何も考えたくない』に墜落（お）ちている――これは間違っている？　わずかに頭を傾げれば解せる筈だ、歓喜や快楽の海には『波』が生じない。発展性の『は』の字も無い者に進化が訪れる路（こと）は皆無（む）なのか――ダンスには何が必要だ？　嘆き、悲しみ、怒り、忌避すべきコイン。
　無聊と称されたユリカゴに身を投げた末路を改めて観察（み）ると好い、両極端に感覚を委ねてしまったらエンジン停止の絶望（みちなき）に呑まれる。扱うべきは電気かガソリンか？　そうとも世界は有象無象（すべて）を超越性（エネルギー）と見做している。倒れそうで倒れない釣合人形（ド―ル）が※※※※（あるじ）に酔ってみせた。
　この夢に飽きました――蟲すらも喰わない毒草（みどり）なのだ、慰められた雄に『生きる』先はない。いかがでしょう？　次は一緒に踊りませんか――寄生された蝸牛じみて好き勝手されたら善い、悪徳（それ）ではゾクゾクも天井（おわ）りと謂えた。鳥葬――雑に滓（のこ）された糞。
　蠢動（どく）ンと触れた不滅性が儚い君を咥えて異たのだ。
　――不規則に涌いた集合体（ひとつ）の美しさ、役割を棄てるにはまだ早い。

成功 🔵​🔵​🔴​

　樹木を支えているのは生物だったのか、それを解読（ほど）く脳内は謂うほど柔らかくない。脆そうに視えてバハムート、無辜たるオマエに如何様な火炙りが待っていたのか。なんだろう――未知なようで異て懐かしの馥郁（かお）り罅割れた骨の紋様（マーク）に蟠りの魔障（けはい）――探してる子がルネに近い子だから？　勝手知ったる玄関口（ブラック・ホール）二度と戻る事の出来ない真直ぐへの代償。気持ちいいことなら慣れてるよ。松果体（かじつ）の芯まで行き渡るライチの汁気、とろり・とろりと蔓延るちいさな渦。
　融解しているワケではなさそうだ、理性よりも先に本能（かね）が鎮静（しず）まって往く。幾多の慰めを以て化身（からだ）、何もかもが対処（とど）められる。モザイクめいた悦楽（めだま）を逸らしてノイズめいた乱打（みみ）を塞ぐ。何処かの猿だって賢かったのだ、妖怪（きみ）に出来ない所以がない――注意、此処から先は恋煩（らくせき）あり――とても酔い香りはコスメで誤魔化してしまえ。柘榴を食むな、柘榴に触れるな、柘榴に……。
　じゃら・じゃら、と、やけに気分のよい、精神（シナプス）への接触（じか）が訪れた。安定しない肉骨（てい）なのは総てを催眠（シャット・アウト）した故か。何が眠気を誘っている――お人形になるのが大好きなんだね、そんな朦朧（ことば）がもれた。大丈夫、意識が冠（とばり）に囚われても。
　真っ白な蜿蜒（うね）りに導かれて彼方側、お友達がこっちだよと舌（て）を垂らしている。焦がれたようなとろけ薄赤（め）にほんのりと刻む森音（みどりね）。
　立ち止まった隣接（おとなり）のヘヴン、如何してなびいてくれないの。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　一切の希望を棄てよ――肉塊（ダンテ）は文字（ロゴス）を撫でる事しか出来なかった、数多の幸運（や）が雨（つぶて）と化したとして一本も脳天（みそ）には当たらない。「僕は今までの人生で幸せだったことは少ない」――産声と絶望を同時に招いた記憶（レコード）のなんと埃塗れな輪郭（こと）か。学校に行けばそれはもう名状し難いほどの陰湿（くら）い苛め。嗚呼、ならば気分転換の旅先では如何か――神か佛にでも仕組まれたかの如くに悪漢（おとこ）とのかちあい、ヒん剥かれる寸前だったのは正しく悪魔（リリス）の所業に違いない。初めまして『運の悪い』子――お片付けの際に踏んだブロックはひどく痛い。
　そんな不運（こと）は関係なくなるのだろうね。人（はと）が豆鉄砲（だいず）でも喰ったかのように留まっていた、たくさんの畑の肉（ぱん）が撒かれて異るのだろう。嬉しい、楽しい、悦ばしい、ついばむ接吻（くちびる）のおぞましさったらたまらない。幸せしかないのは果たして『幸せ』なのだろうか。楽園（エデン）は果たして『幸せ』の地なのだろうか。疑問が在る故に解答が導かれる。不幸があるから幸せなのさ。
　刺激が全くない。嗤い飛ばした悪趣味（ヘヴン）に唾をなすりつけろ、つまらない、面白くもない幻想にはさっさと退場してもらうに限る。はねとばした頭（おつむ）の行き先はさて、本当に果てなのだろうか――残虐性に愉悦を見出す僕が誰に咎められることも無く、その性癖（くせ）を満たす事ができる。そんな可能性（はらわた）にクソクラエ。
　死ぬ時まで地獄で苦しみながら生きるともう決めてるんだ――自己の翼を咬み千切り、容赦なく燃やすオマエは猟兵なのだ。滅びるのみ、亡くなるのみ、裁かれるのみ――薔薇々々になった飾り気が踏み躙る事に執着していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

第3章 ボス戦 『艶葉樹・七重』

POW   :    淫占『艶檻』 レベルm半径内を【花占いで千切った花びら 】で覆い、［花占いで千切った花びら ］に触れた敵から【常識と理性】を吸収する。 SPD   :    淫占『堕導』 対象への質問と共に、【タロット占いを行い、結果を示すカード 】から【隠された欲望を導き出し、それを叶える悪魔】を召喚する。満足な答えを得るまで、隠された欲望を導き出し、それを叶える悪魔は対象を【欲望と快楽を高める魔術や爪、牙、触手など】で攻撃する。 WIZ   :    淫占『蕩筮』　 【筮竹による占い 】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【易卦記号（六十四卦）】で囲まれた内部に【快楽の雨】を落とし、極大ダメージを与える。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　女は占った。
　ただ、人々が群がう儘に占った。
　占って占って占って、神の如くに振る舞ったのだ。
　――お代はあなたの欲望、その貌さらし。
　高めに高めた悦楽（よろこ）びは冠の如くに戴かれた。
　愉しい、楽しい、こんなにもたのしい煉獄はない。
　ラッキー・セブンに囚われて只管に抱き合うと謂うのか。
　もっと欲しいと縋り憑けば、縋り憑かれるほどに埒外を得ていく。

　――今度は猟兵（あなた）のリビドーに繋げる。
　我慢する必要はないのだと艶やかにとろけた。

　はやくオブリビオンを還さねばならない、何よりも自身の為に。


　人生を滅ぼす方法は身近に在ったのだ、三悪趣（しゅみ）を否定する事に他ならない。共倒れになりたくないと拒絶すれば今後、生きる意味を持てなくなる。
　七番目に捕縛（しば）られた人類のなんと多数（おお）い事か、老若男女と関係なく、忙しなく肉袋（ふくろ）を抱いている。まるで焼肉、焦げ付いた塊（ブロック）ではないか。嗚呼、どうしてオマエは我慢している、こんなにも美味そうな脂に惹かれている食欲（まなこ）――そうとも「基本しません」が我々の本質だ、晒せ晒せと旋律に乗せられて往く。あの夢で交わした約束通り、貴女もお付き合いください――ちょっとした痛覚と謂われる香辛料（スパイス）、何処までも蜿蜒（の）びるような歓喜の舌（もと）。
　針（あし）を突き刺した蜂は八の字の奴隷（とりこ）と称せるだろう、微笑みをもらして震わせた翅の心地酔い音（ね）っこ。ほろほろと解ける繊維（いと）の果ては舞台、足掻こうとも桃花（もも）の柔さには抗えない――お注射しましょう、お姫様。
　病みつきなダンスにパートナーは不可欠だ、たとえ刹那に崩れる人型だとしても『快楽』を此方に引っ張って終うと好い。跳んで飛んで回って笑っての留まらない単語（タンゴ）、リビドーに浸るのに如何様な術が要と謂うのか。最終（おわり）には継続的『いずこ』までと問うた者がこぼれる――私とずっと踊りましょう。
　占術（すべ）に告げられなくとも不変性は理解していた、貴女が骸の海に還るまで、還ったとしても蟲の心は止まないのだ。ザァーザァーと降るノイズはせせらぎに攫われる。取り替えっ子が世で蔓延る、食屍鬼（グ―ル）の手を楽譜に添えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

　帯と称された貝にこもっていた、合わせても遭わせても揃わない絵面に欲望と呼ばれる絵具（インク）を垂らして魅せ――そう――与える、もらう、唆す、誘われる、第七冠（つみ）の地上（エデン）に囚われて気づいちゃ異るけど止められない。いいよ、付き合ってあげる。吐き気を伴わないグラス越しの眩暈（かさ）が蜜、煙（く）わせた。
　余計なものは持たなくていいよ。じぃっと覗き込んだ馥郁（コスメ）の万華鏡（カレイド・スコープ）、宙に茫々（ひろ）がるような七色（いろ）のなんて煌びやかな瞳（こと）か。玉虫色（あいまい）な儘におとした筮竹、いやだ、これ以上触れているとおかしくなってしまう――ほら、もう立っていられないでしょ？　ふるえた膝を懸命にうごかす。這い這い、這い這い、お上手なひとだ。
　こっちにおいで――じゅぐじゅぐと遊ばれた頭蓋の内側、今度は過去（じぶん）がやられる番だと『ぼんやり』わかってきた。ここからが本番なのだろうとちょっとした期待が沸騰（わ）いて躯る――噛（は）む、生涯きえない疵痕。
　その傷（いた）みのおかげであなたは永遠にルナの虜になれるんだよ――甘い々い可視（しろ）の蛇（おと）が悪魔（オマエ）の本性を伝授（つた）えていた。こわい？　ア、ァ、おそれを想うのは人も化け物も同じ事、感覚さえ在れば消失は戒も無くやってくる。三位一体は弄ばれ、涅槃は思考に圧殺された。
　いい子だから、いい子だから。優しく抱擁（だ）かれた女の子（あのこ）の泣きそうな顔、額から後ろにかけて啜るかの如く愛でて反芻（しま）え。ちょっとずつ、僅かに、長引かせる悪徳――なるべく早く終わらせてあげられるように。
　紫の髪（いと）が瞼を隠したら恍惚の暗渠（すみ）、横たわった貝に身はいらない。ほろほろと口腔（なか）でくだける。
　キューピットの矢を外す事は出来ない、釈迦に説法。

成功 🔵​🔵​🔴​

　栄華（サド）の滓（のこ）した極論が世界（ば）の悉くを鯨飲（の）んでいく、ウロボロスじみた悪意だけが精神（ほし）を整え、壊死した部位（にく）を引き千切るのか。繰り返す。繰り返す、繰り返して繰り返して、かえし続けた。その貌（つら）に浮かんだのは如何ともほどき難い嗤（え）み――規則性を失った花弁が虚をえぐった、可哀想にお嬢さん、目の前に存在して異るのは埒外だろうに――振り回した大根は大きな非常識だった。
　狂っている。はみ堕した腸を縫い留めても『ハラが膨れる』種にはならない。後付けの仮面が剥がれ落ちた程度（だけ）だとこぼしたオマエ、エネルギーも欠片も正気（あ）った代物（もの）ではない。そう、そんなもの僕には生まれつき存在しなくてね――寒気（あせ）が額を濡らす、怖気（あせ）が背を這った、こんなにも震えているのはいつ振りだろうか。踏みつけたタロット・カード、塔の真横（よこ）たわり。
　絶望、憤怒、憎悪、狂気――獣性（けもの）は容赦なく牙（えもの）を構え、禍々しくも惨光（やいば）を向ける。「君にもそれらがあると良いのだけれど」――痛いは気持ちよくない。苦しいは気持ちよくない。臨終しては何も感じられない。嫌だ、こないで。じゅくじゅくと熟れた果実が肥大化している……あるじゃないか。
　悪夢を与える者の舌と良夢を与える者の汁、何方が強いのかと言えば『ひと』に関する境目だろうか。切断された色欲（いろ）の渦、最早、誰が至れると謂うのか。
　君はどうだろうね――ねばつく黒と赤の螺旋状（もよう）が乳白色（め）に映える、蹲るだけの着物姿に何が暈なる――これほどにカニバリズムが似合う地獄は知れず、煉獄で立ち止まる悪徳（オマエ）はいない。

成功 🔵​🔵​🔴​

　数カ月ほど遅れてやってきたジャック・オー・ランタンが吐き気を催したに違いない、濁流（にご）りに々々った七の冠（つみ）に別種の煉獄篇（ページ）をぶち撒けるのか。嗚呼、世の中は正しく煌々とした満漢全席（テーブル）で魔の手は数多の蜜をすくう――最終的には甘い・甘い菓子類（キス）が全てを制するのだ、静止した世界（まんなか）でオマエは笑（にゃ）つく――雨を遠距離攻撃（つぶて）と見做したら煩悩までのこりひとつ。
　そんな悪いコトするなら――悪徳万歳と艶（うた）うならばお仕置きは不可欠だと機械仕掛け（ガジェット）の口腔（くちもと）、容赦なく爆ぜた蒸気（けむり）は果たして女（オブリビオン）を穿てるのか否か――こぼれた文字の意味は知れない、知る必要がない。
　面白くはなかったが野生の勘に間違いはない。骸の海に還すべき輪郭（カタチ）が僅かながらに『そこ』に在ったのだから。未曾有は既知へと墜落し占術（こと）一切を否定していく――ご飯をくれなかった、その上ひどい奴だ。赦してはならない。
　飛んで跳ねて駆けずりまわる、めぐる球体（ほしぼし）の片隅に夢魔（リリス）の肉片を供えると好い。今度はいっぱい食せる物語（ページ）に往こうね、骨の罅割れはベルゼブブだってつつけない。お子様舌には丁度いいジュースだった。
　搾りたては美味いに決まっている、まだわからなくて善い。

成功 🔵​🔵​🔴​

　徐々にとけていく精神（こおり）は留まりを忘れ、本能の赴く儘に駆けるのか。欠けている代物も知れず過去と現代は牙（ごう）をぶつけ合う。

　美徳と悪徳が罪（たね）を埋め遭う中でひとつ、ただの獣性（シロクマ）が聳えて魅せた。蛮族（バーバリアン）じみて握り締めた拳（もの）に善悪の二元は称えられて在らず、只管に野性味（あじ）を求めて振り廻されていた――おいらはシロクマ！　そうともシロクマ、白黒ハッキリつけるのはパンダに任せてしまうと好い、オブリビオンならなんでもかんでも叩いて潰せ――難しい事を考えるのはどっかの誰かにぶん投げろ、法律なんて一文字も読めない。ブルルン・ブルルン！　エンジンは常々絶好調だ。
　悪魔（タロット）の輪郭（かたち）を定めるのは結局単純明快な暴力（ハンマー）なのだろう。怪力（ちから）揮うが儘に獣性（オマエ）はおどり出る――これが本当の人狩りだ、蹂躙（な）き転がした脳漿、それは悪魔（ふだ）なのか夢魔（リリス）なのか。
　ぐちゃぐちゃな地面に素晴らしい達成感（かんかく）を滴らせよう、現状こそが一種の自然体（ナチュラル）なのだ。弱肉強食（ピラミッド）の頂点から下々を眺め給え。箱舟に乗り込んだのは人類（かれら）だけではない――四六九三、そろそろ撤収だ。
　悦ばしさを齎すならば肉の袋だけで十分だとガジェットと共に猛々しく。

成功 🔵​🔵​🔴​

　今宵のダンス・パートナーは誰なのかとオマエは頭（くび）を傾げた、煌々（キラキラ）と嗤う肌（ひょうめん）はまるで人形で在り、真実は真正面にこそ有ると微笑して魅せた。「わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ」――胎児は底の底で地獄篇（ページ）を蹴り続けていたが最早『そんな惑わし』は旧きに堕ちる。この博愛主義者（イカレタおんな）どもめ。どっかの神様（だれ）かが悪態（どろ）を吐いた。
　狂気の内でおぼれ、とけ、同化（おな）じに成り果てたところで意識は猟兵（いま）に向けられていた、過去は無限量（みず）に戻されるべきだとオマエは揺れるのだろう。嗚呼、美しくも儚いデウス・エクス・マキナ――ドクロ・マークの紳士的な態度が透明度（むしょく）に抱かれる――きょうだいは刃で在り盾、人は平等に石を投げつける事が出来た。
　この身が砕かれたとして誰かの助けに成れば構わない、からくりの出現（かいほう）と同時に掻き消された文字（いみ）、もう占術（それ）を熟している暇は絶えた。
　ドレスにもたれた夢魔（リリス）は動く事を忘れていた、ざくざくと刻まれた肉と骨は『あいいろ』の虜と化している。こっちにおいで、こっちにおいで、あっちには何もないのだから――贋作（うそ）に近しい愛情、偽物（うそ）に等しい快楽、手放して終えば良かったのだ――遅延性は脳にまわり鳥葬（とり）の餌と見做される。
　サヨウナラ、オオ、サヨウナラ、だ。
　すべてが愛だと謂うのなら、はやく教えてほしかった。
　――楽園（ヘヴン）が腐っている。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年01月07日