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鮮血牧場

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 オブリビオンに支配された世界、ダークセイヴァー。
 その世界の人々は、寂れた村で息を殺すように暮らす。
 しかし、オブリビオンはそんな人々をさらに苦しめるように、娯楽や余興で領民を襲っては戯れに滅ぼされようとしている。
「そんな酷い村の1つが、ここだ」
 グリモアベースにダークセイヴァー世界のとある村を映し出して、九瀬・夏梅(人間のシーフ・f06453)は顔を顰めた。
 その村では領主から充分な食事が与えられ、人々はこの世界にしては珍しい程に穏やかで豊かな生活を送れている。
 だがそれは、いずれ贄として捧げられるため。
 新月の夜を迎える毎に1人、選ばれた者が領主の館に隣接する施設へと連れて行かれ。
 2度と帰ってはこないのだという。
「施設で何が行われているのかは分からんが、領主がヴァンパイアだからな。
 生かされてはいないだろう」
 人々の生活が保障されているのは、より良い血を得るためと推測される。
 言うなれば、この村は人間牧場なのだ。
「このからくりを円滑にするために、村民にも協力者がいる可能性もある。
 全ての人間が最初からこちらの味方とは限らないだろうな」
 恐怖による統治が長く続けば、人が人を裏切っていることもある。
 その危険性も考えるなら、いきなり領主の館に行くよりも、状況を探っておく必要もあると考えられた。
 村民を味方につけることができれば、館に近づくのは容易になるだろうし。
 確実に妖しい、隣接する施設を先に破壊してから、館へ乗り込むのもいいだろう。
 手段は猟兵達に委ねつつも。
「新月が近い。次の犠牲者が出る前に、領主を倒してやってくれ」
 夏梅は、お前らならできるだろ? と確信した笑みを浮かべて見せた。


佐和
 こんにちは。サワです。
 美味しいご飯を食べるための努力……ですかね。

 第1章は村の調査を経て館へ乗り込むまで。
 村民達に敵対されると、後味悪く館へ突入することになるかもしれません。
 第2章では配下のスケルトンがぞろぞろとお出迎えをしてくれて。
 それを倒すと、第3章にて、領主のヴァンパイアが現れます。
 館内に今は人間はいません。

 それでは、鮮血舞う館からの解放を、どうぞ。
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第1章 冒険 『美食倶楽部』

POW   :    片っ端から施設の破壊

SPD   :    先行侵入して街の絡繰を調査

WIZ   :    街の人を説得して逃す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ハロ・シエラ
ダークセイヴァー出身者としては悩ましい話です。
なんせこの世界でそれなりに普通に暮らせるのです。
一人を生け贄にしてでも維持したくなる気持ちも分かりますから。
ですが人として許せる所業ではありません。

と言う事で私は、穏やかで豊かな生活を求めてやって来た子供を演じつつ潜入します。
牧場としては家畜が増えますし、同情も引けるので受け入れられやすいでしょう。
後は村民の中の裏切り者を探します。
一際裕福だとか、家族が誰も連れていかれた事がないとか、声高に吸血鬼への服従を叫ぶとか、その辺りが怪しい。
いないに越した事はありませんが、いればその者を告発し、不平等を叫んで他の村民の協力を得たいと思います。



 その村はとても幸せそうに見えた。
 人々は怯えることなく笑顔で過ごし、服も家も、畑も家畜も、荒れたところがないどころか豊かに満ち足りているようで。
 高い柵で囲われていつつも、見張りに追い返されることもなく、難なく迎え入れられた村の中で、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は胸中で顔を顰めた。
(「ダークセイヴァー出身者としては悩ましい話です」)
 子供達が笑いながら、太った鶏を追いかけている。
 井戸の脇で老婆が腰掛けて、のんびりと手内職をしている。
 畑では大人達が、談笑しながら作業に精を出している。
 それは、ごく当たり前の村の暮らし。
 けれども、この世界では得難い日常。
(「なんせこの世界でそれなりに普通に暮らせるのです。
 1人を生け贄にしてでも維持したくなる気持ちも分かりますから」)
 理解しながらも、ハロは思う。
(「ですが、人として許せる所業ではありません」)
 犠牲の上に成り立つものが、本当の幸せではないのだから。
「……それで、村に住みたいって言うんで、連れてきたんですよ」
 傍らの男の声に、ハロは意識を目の前の状況へと戻した。
 そこは、村の中央にある集会場。
 憩いの場となっているのか、十数人程が思い思いに過ごしているそこへ、ハロは連れられてきていた。
 説明を続けていた男は、村を訪れたハロが最初に出会った相手。
 穏やかで豊かな暮らしを求めて来た、という話を聞くなり、上機嫌でこの状況を作り上げてくれたのだ。
 話の相手である初老の男性は、長、と呼ばれていたか。
「断る理由は何もあるまい。
 しばらくはお前の家ででも面倒を見てやればよい」
 長はにこにこ笑顔で快諾し、男も大きく喜びを見せる。
 子供であるハロは、その容姿で同情も引けて、警戒されることは欠片もなく。
(「牧場としては家畜が増えるのです。受け入れられやすいでしょう」)
 目論見通り、容易に村への潜入は成功したようだった。
 だが。
「駄目よ! すぐにこの村から逃げて!」
 集会所の隅に居た女性が急に立ち上がり、こちらへと詰め寄ってきた。
「帰って来れなくなるわ、貴女も! ルフトと同じように!」
「ルキアさん、落ち着いて」
「抑えるんだ」
 暴れ出した女性を男を始めとした数人が取り押さえるけれども。
「ルフト……ルフトー!」
 狂ったように声を上げ、涙を零しながら女性は崩れ落ちていく。
「長、これでは次は……」
「そうするしかあるまいな」
 こそこそと、ハロの背後で交わされる小声。
 ハロは子供らしくきょとんとして見せながらも、長へと首を傾げた。
「あの人は? ルフトさんという人に何かあったのですか?」
「ああ、お嬢さんが気にすることはない。
 彼女は少し病気でね。村の皆でちゃんと世話をしているから」
 長は変わらぬにこにこ笑顔で、さらりと誤魔化すように答える。
「まずはこの村に慣れてから。全てはそれからだよ」
 優しく迎え入れると共に、まだ話すことではないという雰囲気が伝わってきて。
(「ここで長に逆らっても……ましてや告発などは無理、ですね」)
 ハロはぐっと唇をかむ。
 ふらふらと集会場を出ていく女性を、監視するように見送る男達。
 じっと品定めをするようにハロを見つめる長と、その近くに付き従う者達。
 ここで1人暴れても意味がない、と判断して。
「歓迎しよう、新たな住民よ」
「ありがとうございます」
 従順な少女を演じると、ハロはじっと長を見た。

成功 🔵​🔵​🔴​

カリオン・リヴィエール
許せませんね。確実に、村人の中に裏切り者がいるはずです。特定までは難しいにせよ、当たりをつけておいた方が、後々良さそうですね。
旅をして、訪れた体を装います。他の村と比べて豊かであることを多少大袈裟なくらいに賞賛すれば、裏切り者の警戒も緩むのではないでしょうか。
その上で、連れて行かれた村人の関係者と接触を試みたいと思います。
「あまり笑うのは得意じゃないんだが…」
友好的に、頑張ります。



 カリオン・リヴィエール(石を愛す者・f13723)は旅人として、その村を訪れる。
 高い柵と柵の間にあった村の入り口で、見張りだったのだろか、出会った男は、そのまま村の中央にある集会所へと案内してくれた。
 宿も食堂もない村で、旅人が滞在できる場所となるとここくらいなのだとの説明。
「一晩泊まるくらいなら、ここで何とかなるだろう」
「あらあ、旅人さん? 珍しいわね。
 いいわ、うちの布団、運んできてあげる。女は身体冷やしちゃ駄目よ?」
 皆にお茶を振る舞っていた中年の女性の1人が、そう笑うとぱたぱたと出ていった。
「明日には出るんだろ? じゃあ夕飯と朝飯か」
「俺んちの煮物でよけりゃ、夜に持って来てやるよ」
「朝はうちの卵でどうだ?」
 農作業の合間の休憩か、集まっていた男衆もカリオンへと声をかけていく。
 その様子に、あからさまな警戒や拒絶は見られない。
 だが、長く留まることを良しとしない雰囲気や、集会所に止めておこうとするような思惑も感じられて。
(「もうすぐ新月ですね。今晩ではないですが」)
 月の暦も思い出しながら、カリオンはさり気なく、集会所内だけではあるけれども出来る限りで村民の観察を続けた。
 どうぞ、とお茶を勧められ、お礼を告げてそっと1口。
 特に毒も何も入っていない普通のお茶だと確認しながら、こっそり小さく息を吐く。
(「あまり笑うのは得意ではないのですが……」)
 それでも情報を得るためにはと。
 友好的に友好的に、と呪文のように胸中で繰り返してから、カリオンは口火を切った。
「ここは他の村と比べて豊かだな。
 こんなによくしてもらえるとは、思ってもいなかった」
 頑張って微笑を浮かべながら、いい村だと褒め称えると、男達がちらちらと互いに視線を交し合う。
「ま、まあ、ここは領主様がいいから、な」
「そ、そうそう。そうだな」
 誤魔化すように空笑いを浮かべる男達と、暗い顔を背ける男達とに反応は分かれたけれども、その不自然さに気付かぬフリでカリオンは相槌を打っていた。
 そこに。
「領主様のお話かな?」
「長!」
 初老の男性が3人の男を後ろに連れて現れる。
 3人のうち1人は、カリオンを集会所に案内したあの男だった。
 カリオンが滞在の礼と共に挨拶をするうちに、今まで話していた男衆はさっとその場から離れていき、開いた席へと長達が座る。
「この村は領主様に特に目をかけていただいていての。
 おかげで皆、穏やかな暮らしを送ることができておる」
 にこにこと話す長の様子に、先ほどの男衆のような誤魔化しや戸惑いはない。
 控える3人の男達も同様で。
(「裏切り者はこの長達、ということですね」)
 当たりをつけて、だがそれを表に出さずにカリオンは話に耳を傾ける。
「それにしても、今日は先客万来じゃ。
 先ほど村民が1人、増えたばかりでな」
 機嫌よく長が示した先、集会所の別のテーブルでは、黒髪の少女が男と話していた。
 こちらの視線に気付いた2人は、男が軽く手を挙げて、少女がぺこりと会釈して、それぞれにカリオンへと挨拶の仕草を送る。
 カリオンも応えるように手を振ると、男はまた少女との話に戻り。
 長達もカリオンに向き直って、にこにこと村の話を続けていった。
 そんな話の最中、カリオンはちらりとそれを見る。
 男と2人で話している少女……ハロが、こっそりと長達を指し示すのを。
 長と付き従う3人。そして、ハロと話す男。
 それは、カリオンがつけた『当たり』と全て同じで。
 長達に気付かれないように頷きを返したカリオンは、機会をうかがいながら、話を楽しむ旅人の演技にまた戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。驚くほど穏やかな村ね?
吸血鬼が支配しているとは思えないぐらい…。
でも、私には関係ない話。どれだけ優れた為政者でも、
犠牲になっている者がいるなら私は吸血鬼を狩る。ただそれだけ…。

私は施設で何が行われているのか調べる
事前に防具を改造。自身の存在感を小石のように薄くする呪詛を付与
内部の惨状に動揺しないよう先に自身を鼓舞しておく

暗視を頼りに進み、鍵の類は魔力を溜めた怪力任せに破壊
村人達を説得する際の証拠品にする為に、
施設内の物品(遺体や道具類)を【常夜の鍵】に収納する

施設外に設置していた魔法陣に転移して離脱
ついでに施設を支える柱も何本か収納して破壊する

待っていて。今、貴方達の無念を晴らすから…。



(「驚くほど穏やかな村ね?
 吸血鬼が支配しているとは思えないぐらい……」)
 そんな感想を抱きながら、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)も村へと足を踏み入れる。
 ハロやカリオンと違い、その周囲に村人の姿はない。
 それもそのはず。
 リーヴァルディは目立たないようこっそりと『侵入』していたのだから。
 防具改造までして行った対策の成果か、続く訪問者に見張りの対応が割かれていたからか、リーヴァルディは誰にも気づかれずに村を進んでいった。
 垣間見えるのは穏やかな村の暮らし。
 女性達は食事の支度をしながら、近所同士で穏やかに会話をして。
 家畜を追う農夫の後ろを、仕草を真似しながら子供が追いかける。
 畑から手伝いを求める声がすれば、手の空いた者達がにこやかに集まってきて。
(「でも、私には関係ない話」)
 しかしリーヴァルディは首を横に振る。
(「どれだけ優れた為政者でも、犠牲になっている者がいるなら私は吸血鬼を狩る。
 ただそれだけ……」)
 揺らがぬ信念を抱き、真っ直ぐに前を見て。
 リーヴァルディはその施設へと向かっていった。
 そこは、村の外れ。
 領主のものと思しき館から少し離れてはいるものの、敷地的には隣に位置する。
 ぐるりと周囲を回ってみたが、窓はなく、村へ向いた方に扉が1つ見えるのみ。
 扉に大きな鍵がかけられているのを見て、リーヴァルディは近くに人影がないのをもう1度確認してから、鍵を壊した。
 ふぅ、と1つ息をついて。
 気持ちを落ち着け、気を強く整えてから。
 扉を開け、施設内に足を踏み入れる。
 中は、暗かった。
 窓がない上に、灯りの1つもないのだから当然か。
 火をおこすなりして光源を得ることは容易かったが、リーヴァルディは扉を閉め、しばし暗闇に目を慣らしてから、暗視を頼りに進み始めた。
 外の光が入らないということは、中の光も漏れないということだけれども。
 念には念を入れて。気付かれる要素を排して、施設を探る。
 最初の部屋は、ソファとテーブルがあるだけの狭い1室。
 テーブルの上には燃え残りの蝋燭が小さく置かれていた。
 特に気になるものもなく、奥へと続く扉を開けると。
 広い部屋が、あった。
 中央に大き目のベッドくらいの低く細長い台があり、壁には物置が2つほど。
 奥にはまた扉があり、先にそちらを確認すると、地下へと続く階段があった。
 恐らく、領主の館へと繋がる道なのだろう。
 階段の先から物音がしたり、気配が近づいてきたりしていないことを確認して、リーヴァルディは元の広い部屋へと戻る。
 物置を検めると、大きな鉈や鋸、バケツやロープなどの道具が押し込められていて。
 それらには、暗い闇の中でも黒い汚れが目立った。
 同じ汚れは、部屋の中央にある台や、床にも幾つもついていて。
 吸い込んだ臭気から、それが何なのか、嫌というほど伝わってくる。
 ぐっと唇を噛みしめるリーヴァルディ。
 睨み付けるように部屋を見回して。
 扉から離れた隅に、何かがまとめて置かれているのに気付いた。
 近寄ってしゃがみ込み、手にしてみると、そのほとんどは黒く固まった布。
 元の形もよく分からないその山の中に、幾分汚れの少ないものがあり、リーヴァルディはそれを1つ1つ広げてみる。
 大きく裂かれた古びたストール。
 左胸が破れて着れなくなったベスト。
 荒く削り出された花模様の木製ペンダント。
 小さな靴の片方。
「……開け、常夜の門」
 呟くと、リーヴァルディの血が魔法陣を描き出し、ストールや靴が消えていく。
 そのまま顔を上げつつ立ち上がり、周囲に視線を向ければ。
 柱が1つ、また1つと、魔法陣により消されていく。
「待っていて。今、貴方達の無念を晴らすから……」
 誰にともなくそう宣言して。
 リーヴァルディは1人、施設を後にした。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエラ・アルバスティ
【朧月】

ん……? 村に入ろうとしたらこっちになんか子供が歩いて来る
力? 【風の声】によると嘘はついてないみたい

「私はただのシエラ! 力? 欲しい欲しい! でも可愛い貴女の方が欲しいかな!」

聖剣だ! 早速手に取ってみよう、ブンブン

「凄く強くなった気がする! よし、村に潜入だー!」

ユーシャの聖剣の力の『光のQRコード』を使って自分からの光の反射をゼロにして村に潜入するよ
早速村のからくりを暴こう
あのルキアって人の話は興味あるから聞いておこうかな
長も脅すなり拷問なりして吐かせたい
周囲の見張りは口を塞ぎながら『雷糸』で気絶させよっと

「教えてくれないとみんな死んじゃうよ? 私が殺すからね」


ユーシャ・エクスカリバー
【朧月】

「さて、今日は誰を勇者にして楽すっかなー、お……あいつ強そうじゃね?」

そこで見つけたのが同じ猟兵のシエラ・アルバスティとかいう奴

「私はヤドリガミの猟兵ユーシャ。姉ちゃん力は欲しくないか?」

一瞬で快諾してきたぞ…しかもあたしまで欲しいとかどんだけー…大丈夫かコイツは
まあいいや。お決まりの台詞と共に【聖剣化】するぜ

「使い方はマニュアルで。じゃあ後宜しくー…」

勝手に行動していくぞ? こいつは楽そうだ
……そこから先のシエラの行動は勇者というより魔王だな
なんとなく分かる…こいつは誰も信じてない
判断力はある…何かの能力か?

「おい、殺すとか魔王かよ。だがこの狂犬ならやりかねないぜ、どうする?」



「私はヤドリガミの猟兵ユーシャ。姉ちゃん、力は欲しくないか?」
 村の近くでシエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き人狼・f10505)に声をかけたのは、ユーシャ・エクスカリバー(ヤドリガミのバトルゲーマー・f13466)だった。
 聖剣に宿りし存在であるユーシャは、自身を使って勇者となってくれる相手を探していたのだが。
(「こいつ、強そうだからな。勇者にすれば楽できっかなー」)
 理由は結構ダルいものだったりする。
 そんな思惑を知る由もないシエラは。
「力? 欲しい欲しい! でも可愛い貴女の方が欲しいかな!」
 何も考えてないかのような反射的とも思える早さで快諾し、さらにユーシャの人としての姿も気に入ったらしく、そちらへもアプローチしてきていた。
(「……大丈夫かコイツは」)
 自分で声をかけておきながら、早々に不安が過ぎるユーシャだけれども。
 まあいいや、と悩むことを放棄して、お決まりの台詞を口にする。
「力と剣は己の続きにあるものにすぎない。
 この尋常ならざる我が聖剣……振るうのはあくまで汝の魂と意思。
 さあ勇者よ……決断の時だ!」
「おお、聖剣だ!」
 ユーシャの姿が消えたことも、目の前で唐突に起きた聖剣化すらも気にせず、シエラは躊躇いなく聖剣を手にして、早速振り回し始めた。
「凄く強くなった気がする! よし、村に潜入だー!」
 そして、ずんずんと村の入り口へと進んでいく。
 潜入、と言っておきながらも堂々とした行動に、本当に大丈夫かとユーシャに再び不安が過ぎるけれども。
 シエラはユーシャの道具を上手く発動させ、光を操る力で反射をゼロにすることで自身と聖剣の姿を隠した。
(「おお……意外と使うな。こいつは楽そうだ」)
 感心するユーシャを手に、誰からも見えなくなったシエラは集会所まで辿り着く。
 ひょいと中を覗き込めば、何やら小さな騒ぎが起きていて。
 1人の女性が男達に取り押さえられ、しばしして、ふらふらと外に出ていった。
 それから旅人らしき女性が案内されてきて、集会所の話題がそちらに移っていく。
 じっとそれらの様子を見ていたシエラは。
「……風の声が聴こえる」
 唐突に踵を返し、集会所の外へ、先ほど騒ぎを起こしていた女性を追いかけていった。
 探すほどのこともなく、崩れ泣く女性は、少し大きな木の影で見つかる。
「ルフト……」
 確かに気になる相手だと、ユーシャが納得していると、シエラは唐突に操っていた光を元に戻して姿を現して。
「こんにちは。私はただのシエラ!
 ルフトって人、どうしたんだ?」
 変わらぬ口調で無遠慮に話しかけた。
 驚きと共にまたしても不安を抱きかけたユーシャだが。
「ルフトは殺されたのよ。この村の為に」
 剣を携えた見覚えのない少女、という明らかに部外者な外見のおかげか。
 取り繕うことのない態度が、ユーシャの心配とは逆に好印象となったのか。
 女性はシエラに、涙を交えながら話し始めた。
(「偶然……いや、状況判断力? もしくは、何かの能力か?」)
 シエラのことも気になるユーシャではあったが。
 まずは事件の方をと、女性の話に剣のままで耳を傾ける。
 この村が、領主へ生贄を捧げることで、豊かさを保っていること。
 生贄は、新月の夜が来る毎に1人、村外れの施設へ向かわされること。
 施設の中に入った者は、誰1人として帰ってきていないこと。
 そして。
「最初は、施設へ行く1人は誰でもよかったの。
 老人や家族のいない人が自分から名乗り出て、その中から長が決めていたわ。
 でも……この前の新月は違った。
 領主様が『男の子を』と望んだのだと、長が言ったの」
 女性……ルキアは声を震わせて語る。
「子供達の中から長に選ばれてしまった時、ルフトは素直に頷いていたわ。
 皆の為に僕が行く、と、笑って……でも……」
 そして言葉を詰まらせると、再びルキアは泣き崩れた。
 なるほど、とユーシャが剣の姿のまま納得していると。
「次の新月は、どこの家の子供が指名されるのかな」
 唐突な、あっけらかんとしたシエラの言葉に、ハッとルキアが顔を上げた。
 この前の新月だけが違ったのではなく。
 これからの新月全てが変わるのでは、と思わせる問いかけ。
 ルキアは目を見開いたまま動きを止め、言葉を失う。
 シエラは、しばしルキアの次の反応を待っていたけれども。
 話の続きはなさそうだと判断すると、大きく頷いて。
「よし、次」
 また唐突に踵を返すと、集会所へと戻っていく。
 どうする気なのかと戸惑うユーシャをぶんぶん振りながら、今度は姿を消さぬまま集会所へと乗り込むなり。
「この村のからくり、聞いたんだよ!」
 突然、大きな声を投げかけた。
 集会所内全ての視線が、堂々と立つシエラに集まる。
「もっと詳しく知りたいんだよね。
 ねえ、誰を拷問すれば教えてくれるのかな?」
 問いかけながらも、シエラの瞳は長へと真っ直ぐに向けられていて。
 そのまま地を蹴り駆け出すと、一気に長へと詰め寄った。
 ユーシャの切っ先を老いた首筋に当て、にっこりと笑う。
「お前、何を……」
 傍にいた取り巻きの男の1人が、シエラへ掴みかかろうとしてきた。
 だがそれより先に、シエラが無造作に振った腕を覆う小手から、雷糸が射出される。
 男は、糸に捕えられたと思った刹那、びくりと身体を震わせて倒れた。
「教えてくれないとみんな死んじゃうよ? 私が殺すからね」
 気絶した男を視線で示し、シエラは笑顔で長に告げる。
(「おい、殺すとか、勇者どころか魔王かよ。
 だがこの狂犬ならやりかねないぜ……どうする?」)
 物凄い行動力を見せたシエラに、ユーシャはさすがに焦りを感じたけれども。
 赤い瞳の旅人が、取り巻きの残り2人を倒して抑え。
「領主は吸血鬼だな」
 長い黒髪の少女が、話していた男の椅子を倒し、転んだその腕を捻り上げる。
「村民を裏切ることで、貴方達とその家族は守られているのではないですか?」
 そしてさらに、銀髪の少女が集会所に入ってきて。
 つかつかと長へと近寄ると、その目の前に緋色の魔法陣を生み出した。
 血を思わせる色の淡い輝きの中から現れたのは、ストールやベストやペンダント。
「これ、ラナばあさんのだ……」
「おやじの……」
「私がロゼにあげた……」
 周囲の村人が口ぐちに、その遺品について零し、息を吞む。
 そこに、ズズン……と伝わる、重く低い音。
 何かと騒めく村人達だったが、その答えはすぐにもたらされた。
「長! あの施設が、いきなり崩れた!」
 駆け込んで来た、1人の男の報告によって。
 施設の柱を消した銀髪の少女は、特にそれを語ることもなく、人々の反応を見る。
 困惑。逡巡。混迷。
 そして。
「ルフト!」
 駆け込んで来たルキアが、小さな靴を拾い上げた。
 気まずそうに視線を反らす村人達。
 ルキアは靴を抱くと、涙に濡れた顔を上げて、長へと叫ぶ。
「次はどの子が死ぬの? ルフトの次の子には、誰を選ぶの!?」
 その言葉に、村人達は息を飲み、自然と長へと顔を向けていく。
 旅人・カリオンの、黒髪の少女・ハロの、銀髪の少女・リーヴァルディの。
 そしてシエラと、見えないだろうがユーシャの視線も集めた長は。
「お前さん達は……」
 青い顔でようやくそう呟いた。
 猟兵達は何かを説いたわけではない。
 ただ、目を背けていた真実を、村人達の前に引きずり出しただけ。
 そして、施設の崩壊によって、変革の始まりを告げただけ。
 だがそれらは、言葉以上に村人達の間に広がっていって。
「さあさあ、案内してくれるよね?
 領主の館……吸血鬼の巣窟へ出発だよ!」
 シエラは皆を見回すと、にっこりと笑ってユーシャを掲げ見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 数人の男達に猟兵達が案内されたのは、崩れた施設。
 その瓦礫の下から出て来た地下の階段が、やはり領主の館へ繋がる入口だった。
 村人達の、複雑ながらもどこか希望を込めた見送りを受けて。
 猟兵達は階段を降り、地下道を通り、そして階段を上って。
 領主の館へと足を踏み入れる。
 出迎えたのは、スケルトンの集団だった。
カリオン・リヴィエール
骨の集団ですか。ふと思いましたが、これは誰の骨、なんでしょうね?犠牲となった村人たちではないといいのですが…
ま、戦いは始まったばかりですので、感傷に耽る暇はないですね。骨相手なら、バラバラに破壊するのみです。再生の暇など与えません。切り刻みます。
共闘大歓迎です!


リーヴァルディ・カーライル
…ん。私には貴方達を救うことはできないけど…。
再び、眠らせてあげる事ならできる…。
…待っていて。今、その呪縛から解き放ってあげる。

事前に改造した防具の魔力を維持
存在感を薄くして気配を消して敵の行動を見切り、
【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)
精霊使いの礼儀作法に則り彼らを鼓舞して助力を乞う

…闇の精霊、死の精霊。
魂を縛り、摂理に反するものを喰らう力を…。

吸血鬼化した生命力を吸収させて精霊を誘惑して魔力を溜め、
死者を動かす呪詛を追跡する“闇の雷”で敵をなぎ払う
第六感が危険を感じたら即座にその場から離脱する

…広域攻撃呪法。食い破れ、闇の雷…!

…もう迷い出る事は無い。眠りなさい。安らかに…。



 館の中は薄暗かった。
 燭台の上で蝋燭の炎が揺れているが、強い明かりではない上に、それが設置されている間隔は明らかに長い。
 廊下に敷かれた絨毯も、窓を隠すカーテンも、壁に施された装飾や随所に置かれた美術品の数々も、豪奢で煌びやかではあるのだが。
 薄暗い中で見るそれらは、影を纏い、くすんだ印象を与えていた。
 そんな館内を、スケルトン達はうろうろと徘徊する。
 警備なのか、他に何か目的があるのか、その意図はよく分からないけれども。
 施設に侵入した時と同様、存在感を薄くしたリーヴァルディ・カーライル(f01841)はスケルトンの動きをそっと観察して。
 廊下の角で2体のスケルトンが出会い、足を止めたのを見ると、ユーベルコードを発動させた。
「……限定解放。テンカウント。
 吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
 吸血鬼化した生命力を吸収させ。精霊を誘惑して。
 溜めた魔力が生み出したのは、闇の雷。
「食い破れ……!」
 放たれた雷は、死者を動かす呪詛を追跡してスケルトンを撃ち貫く。
 昏い光の中でスケルトンは崩れ落ち。
 動くもののなくなった廊下を、リーヴァルディは進み行く。
 その先の角を曲がろうとした、刹那。
 後ろに嫌な感覚を得て咄嗟に飛び退き、振り返ると同時、近くの部屋の扉が開く。
 姿を現す新たなスケルトン。
 しかし、リーヴァルディが対処に移るより早く。
「影に紛れし者よ、人知れず朽ち果てし者よ……我が声に応え今甦れ!」
 響いたのはカリオン・リヴィエール(f13723)の声だった。
 スケルトンの向こうに、見覚えのある黒髪と油断なく状況を見据える赤瞳が見える。
 だがすぐに、カリオンの姿を隠すように、その前に人影が現れた。
 短剣を携えた、古代の暗殺者の霊。
 カリオンに召喚された古の殺戮者は、そのままスケルトンへと斬りかかり。
 頭蓋骨を、肋骨を、上腕骨を、椎骨を、大腿骨を。
 次々と叩き折っていく。
 ガラガラと骨を崩しながらも、尚も剣を振るおうとするスケルトンだが。
 殺戮者の短剣も破壊も止まらない。
 その様子を横目に見ながら、カリオンはリーヴァルディと合流した。
「ふと思いましたが」
 言いながら、ちらりとスケルトンを見て。
「これは誰の骨、なんでしょうね?」
 カリオンの問いかけに、リーヴァルディの眉が少しだけ動く。
「犠牲となった村人たちではないといいのですが……」
 あの村を、餌としてだけではなく、手駒としても利用しているのではないか。
 そんな危惧を抱くのも無理からぬこと。
 オブリビオンは骸の海から染み出した過去。
 この骨があの村から消えた者達の過去ではないと言い切れるのだろうか。
「ま、戦いは始まったばかりですので、感傷に耽る暇はないですね」
 だが、言い出したカリオンは、自身でその想像をそっと脇に置く。
 今すべきことは、追悼ではないのだから。
 古の殺戮者は、そんな召喚者の意を酌むかのように短剣を振るい続け。
 骨はもうバラバラになっていた。
 倒せたか、と思った、そこに。
 骸骨の群れが召喚される。
「おや、増援ですか」
 カリオンの声は軽いけれども、すぐに古の殺戮者がその1体に斬りかかっていく。
「……闇の精霊、死の精霊。
 魂を縛り、摂理に反するものを喰らう力を……」
 リーヴァルディも再び闇の雷を生み出そうと、魔力を溜めていった。
(「私には貴方達を救うことはできないけど……。
 再び、眠らせてあげる事ならできる……」)
 スケルトンが誰かの骨であるのなら。
 誰かの想いが欠片でもあるというのなら。
「……もう迷い出る事は無い。眠りなさい。安らかに……」
 呟くように告げるリーヴァルディの言葉は、闇の雷の轟音に消えていったけれども。
「再生の暇など与えません」
 カリオンはスケルトンを切り刻み続ける。
 想いへと終焉を与えようとするように。
 リーヴァルディと祈りを同じくするかのように。
(「……待っていて。今、その呪縛から解き放ってあげる」)
 無表情のままリーヴァルディはその光景を見つめて。
 再び、雷鳴を呼んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シエラ・アルバスティ
【朧月】

「えー、私勇者じゃなくなったの? ざんねーん。あ、今ユーシャちゃん、私が興味無さそうって思ったね? あったりー!」

魔王かー、なるのならそっちの方がいいかな?

「人間なんて頭痛の種でしかないしね、でも純粋な子供は好きだよ」

邪な人間ほど嫌な風を運んで来る、ほんとは駆除したいけど世界はそうは出来てないもんね

「特に幼女は最高だね! 幼女から生まれる愛は世界を救うよ!」



館についたら精霊槍『シルフィード』を構え【クレイジーアトモスフィア】発動
暴風を纏って突進しスケルトンを蹴散らしに行く

「勇者よ、我が絶技について来れるかな!? HAHAHAHA!」

魔王っぽく勇者を挑発してみたり


ユーシャ・エクスカリバー
【朧月】

◇突入前

「おい、そこの村人。こいつの代わりに勇者やってくれ」

人型に戻り村人を勧誘(ルキアがいたら優先)
事の顛末を知る身内がいた方が村にとって今後にいいだろう
勿論名前で呼ぶ事にする、勇者だしな
ていうかシエラの奴、ほんとは勇者とか興味無いだろ
……心を読まれた、こいつはエスパーか

「魔王の方が良かったか? 人嫌いそうだし」

子供は好きなのか。ん? よ、幼女…?
まともだと少し思ったあたしの心を返してくれ…

「悔い改めろ!」



【聖剣化】して新たな勇者に持たせて館のスケルトンを浄化するぜ
マニュアルとかは勿論読ませた後
光操れるのは必殺技とか作りやすい
新しい勇者がどんな発想をするかが毎回楽しみな訳だ



 館の別の廊下を、暴風と共に突進したシエラ・アルバスティ(f10505)は、並び立っていだスケルトンを片っ端から蹴散らしていく。
 その手にしているのは、精霊槍『シルフィード』。風の精霊を纏った巨大な槍だ。
 村で手にしていた勇者の聖剣では、ない。
 その理由は、領主の館に突入する前に遡る。
「おい、そこの村人。こいつの代わりに勇者やってくれ」
 聖剣から元の少女の姿に戻ったユーシャ・エクスカリバー(f13466)は、男衆の1人にそう声をかけていた。
 急に剣の消えた手元を見下ろして、目を瞬かせていたシエラは。
「えー。私、勇者じゃなくなったの? ざんねーん」
 言いながらも全然残念じゃなさそうに笑う。
(「シエラの奴、ほんとは勇者とか興味無いだろ」)
「あ、今ユーシャちゃん、私が興味無さそうって思ったね? あったりー!」
 言い当てられて酷く驚いたユーシャだが、正解を教えてさらに喜ばせてやることもないと、ダルそうな金瞳をシエラに向けた。
「魔王の方が良かったか? 人嫌いそうだし」
「おー、なるのならそっちの方がいいかな?」
 言われてもシエラは朗らかに笑い、そのままにこにこと続ける。
「人間なんて頭痛の種でしかないしね」
 邪な人間ほど嫌な風を運んで来る。
 ほんとは駆除したいけど世界はそうは出来てない。
 そんなことを思いながらも、シエラの笑みは変わらずに。
 聞いたユーシャが顔を顰める。
「でも私、純粋な子供は好きだよ」
 人全てを嫌っていそうに見えたシエラから、そんな少しはまともな意見が続いて。
 どこかほっとしたようにユーシャの表情が緩んだ。
 けれども。
「特に幼女は最高だね! 幼女から生まれる愛は世界を救うよ!」
「悔い改めろ!」
 更なる言葉と、幼女な姿をしたユーシャを見つめてくるキラキラした眼差しに、反射的に叫び返していた。
 ……とまあ余計な部分ばかり回想してしまったけれども、概ねそんな経緯で、ユーシャはシエラの手を離れて。
 幼女の姿のままで、シエラの後をついてきていた。
 勧誘した相手である村人は、鍬や鉈など刃物を扱ったことはあるものの、剣を触るのは初めてで、もちろん戦いの経験など皆無。
 ユーシャとしては、マニュアルを読ませたりしてその辺はフォローできると思っていたのだが、問題は技術よりも心境の方にあったようで。
 戦う、ということそれ自体に、村人達はしり込みしてしまったのだ。
 そもそも、打倒領主! という程、村人達の志気は高くなっていない。
 元々は領主に隷属していた村だ。
 猟兵達の働きから、このままじゃいけない、という問題意識を呼び起こせはしたけれども、それも問題提起だけで留まっており。
 二つ返事で引き受けたのは領主の館の入り口への案内まで。
 その先は猟兵達に丸投げするのに近い感覚で、自分達で領主をどうにかしよう、という気は全く見られなかった。
 実際に身内を奪われた者……ルキアなどは、反領主の意識は強そうではあったが、敵意よりもまだまだ悲哀が強く、戦意を抱くには程遠い。
 そんな中から、ユーシャを使ってくれる『勇者』が現れるはずもなかった。
 仕方なしに、ダルいと思いながらも自分で歩いているユーシャなのだが。
 目の前にスケルトンが現れる度に、シエラはシルフィードを構え、再びクレイジー・アトモスフィアを発動させていく。
 大気の翼が生えた風の衣を纏い、その六枚の翼を飛散させながら、限界を超えた速度で飛んで行くシエラ。
「我が絶技について来れるかな!? HAHAHAHA!」
 笑い声すらも置いていかれるようなそのスピードと衝撃で、スケルトンは次々に、ガラガラと崩れていった。
 しかし、崩れた骨はその場で数を増やしていき。
 増えた脛骨が、鎖骨が、橈骨が、シエラに向かって飛んでいく。
 一見、自爆攻撃のようなそれを、廊下の先に降り立ったシエラは振り返って見据え。
 またすぐにその身が風の衣に覆われた。
「世界が──私に追いついて来ない!」
 三度、風を纏い速度に乗ったシエラは、スケルトン本体だろうと複製の攻撃だろうとお構いなしに突撃して、弾き返しながらまた崩し、さらには折り砕いていく。
 速度を威力にしているとはいえ、単純なぶちかまし。
 その繰り返しでスケルトンは何度も壊れ、そして倒れていった。
「……これはこれで楽だな」
 びゅんびゅんと宙を舞うシエラを眺めながら、ユーシャはぽつりとそう呟き。
 遠目にその姿を追いかけながら、難なく館を進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
なるほど、スケルトン。
レイピアやダガーではやり辛い相手ですが……
今の私は猟兵、いくらでもやり様はあります。
とにかくあの武器に当たる訳には行きません、受けても武器ごと切り裂かれかねませんから。
ここは【見切り】で避けていくべきでしょう。
少々の傷は覚悟の上。
剣士と剣士の戦いである以上は間合いも同じでしょうから。
隙を見て【怪力】を生かした骨盤への突きや、【フェイント】で体勢を崩し、剣刃一閃で一気に斬り倒してしまいます。
如何に脳や筋肉のないアンデッドと言えど、上半身と下半身を切り離してしまえば動きが鈍るはず。
背骨や足腰を切断し、まだ動くようであれば肘を踏み抜いて武器を振るえない様にして差し上げます。


夜刀神・リヨ
【POW】
出遅れましたが、今はそんなこと言ってる場合じゃありませんね。
次の犠牲者を出さない為にも…迅速にスケルトンの集団を殲滅します!!

距離がある程度ある場合は2丁拳銃による射撃で頭部を狙い攻撃(スナイパー、2回攻撃)していきます。
もし接近されたら、拳で(怪力、見切り)同じく頭部を狙って…殴って粉砕します。

心配はしておりませんが、もし攻撃を受けそうだったり危ない場面の味方がいた場合は射撃又は間に入って援護します。(かばう、援護射撃、捨て身の一撃)

骸骨の群れを使いそうな敵がいた場合は優先的に排除を心がけて。
不利になりそうな状況は作らないよう心がけます。

その他絡みやアドリブ等大歓迎です。



「なるほど、スケルトン」
 遭遇したオブリビオンをじっと見据えて、ハロ・シエラ(f13966)はぽつりと呟いた。
 元は洋服だったのだろうか、ボロボロの布切れを所々に絡ませて。
 カタカタと骨同士をぶつけながら、赤黒く錆びた短剣を掲げている。
 瞳のない眼窩には暗い闇が溜まり。
 生命や肉体といった自身が既に失ったものを羨み、望むかのように。
 それを持つハロへと襲い掛かってきた。
 ハロは右手にレイピアを構え、その動きを見切る。
 血色の刃が黒髪の端を掠めたのを感じながらも、すれ違うように交わす動作の流れで細い刀を振り抜いた。
 リトルフォックスの名を冠し、妖狐の霊力を宿したレイピアは、鋭いが細く、突くことを主眼とした武装。
 切り裂ける血肉を持たず、堅く貫き難い骨だけの相手には分が悪い武器だが。
(「今の私は猟兵。いくらでもやり様はあります」)
 剣刃一閃。細い刃は見た目以上の切れ味を生み、椎骨を切断した。
 上半身と下半身を切り離されたスケルトンは、ぐらりとその身体を揺らし。
 不安定に崩れながらもハロへと短剣を振り下ろす。
 だが、そこに銃声が響き渡り、撃ち砕かれた右手根骨と共に赤黒い刃は床へと落ちた。
「出遅れましたが、今はそんなこと言ってる場合じゃありませんね」
 ハロが振り返れば、駆け付けた夜刀神・リヨ(Phantom Uvall・f13429)が二丁一対の漆黒の拳銃を構え、笑みを浮かべて見せる。
「次の犠牲者を出さない為にも……迅速に殲滅します!」
 続く射撃はスケルトンの頭蓋骨を撃ち抜き、粉砕した。
 足を失い、右手を失い、頭を失い。
 それでも尚、スケルトンは左手で短剣を握り、振り上げようとする。
 しかし、近づいたハロが肘関節部分を踏み抜いて。
 無暗にガチャガチャ走り回っていた下半身部分には、リヨのLegionが連射された。
 崩れ落ち、さすがに動かなくなった骨の山を見下ろしてから。
 ハロは顔を上げ、リヨを見据えて1つ頷いて見せる。
 応えるようにリヨはにこりと笑い、銃を掲げて頷き返した。
 そして2人は、館の廊下を進んでいく。
 廊下の先に現れたスケルトンは、リヨが銃撃で牽制し、その隙に間合いを詰めたハロが怪力を生かして骨盤を突き、その動きを鈍らせておいて確実に仕留める。
 部屋の扉を開けて不意に現れたスケルトンには、身を沈めたハロが大腿骨を斬り砕き、大きく後ろへ飛び退いた空間にリヨの射撃武装が一斉に発射された。
 乱戦となれば、ハロはフェイントで相手の体勢を崩すとユーベルコードで一気に斬り伏せて。リヨは錆びた外見以上の切れ味を見せる血色の短剣をかわして拳や拳銃を振るい、頭蓋骨を殴り割る。
 遠距離と近距離。斬撃と射撃。
 それぞれの攻撃特性を組み合わせ、分担し、2人はスケルトンを倒していく。
 だが、それは本当の目的ではない。
 廊下を進み、部屋を検めて。
 目指すのは館の主。領主たる吸血鬼。
 時折、離れた場所から聞こえる戦闘音に、他の猟兵達も同じ目的を探して別の廊下を進んでいると感じながら。
 立ちはだかるスケルトンを、リヨの銃撃が粉砕し、ハロの斬撃が断ち切った。
 そしてまた、動かぬ骨となり果てた敵を踏み砕いて。
 次の相手を探し、リヨが青い瞳で周囲を見回す。
 ある程度は倒し終えたのか、もう新たなスケルトンは現れなかった。
 耳を澄ませてみても、先ほどまで聞こえていた戦闘音すらなくなっていて。
 どうやら粗方、片づけ終わっているようだった。
 ふぅ、と少しだけ息を吐き、だが油断なくハロはレイピアを構えつつ廊下を進んで。
 開けた場所へと出る。
 そこは、踊り場へ続く広い階段があるホールだった。
 踊り場の先は、幾分幅の狭い階段が左右に分かれそれぞれ2階へと伸びている。
 2階は手摺と廊下、そして幾つもの絵画を飾った壁が、ホールを見下ろすかのようにぐるりととり囲んでいて。
 そのさらに上、天井からは、ホールを淡く照らす豪奢なシャンデリアが下がっていた。
 階段と反対側には、両開きの大きく重厚な扉。
 恐らく、閉ざされた扉の向こうは外だろう。
 リヨ達が侵入した地下通路は裏口のようなもので、ここが本来の入り口か。
 そんなことを考えながら、リヨは薄暗くも豪華なホールを見渡して。
 ふと、ハロが階段の上をじっと見据えているのに気付く。
 正確には階段の中ほど。踊り場の部分。
「生きのいい生贄ね」
 傲慢な声を響かせて。
 赤い絨毯を敷き詰めたその場所に、より赤いドレスを纏って。
「まだ新月には早いし、数が多いみたいだけれど……まあ、いいわ」
 血の滴る槍を携え、吸血鬼の少女が立っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『リーシャ・ヴァーミリオン』

POW   :    魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・リヨ
【POW】生贄…か。随分と好き勝手していたようですね。

こんなのと同じような血が…私の中にも流れているなんて…虫唾が走ります。

悪いけど…報いを受けて、とっとと消えてください





最初から全力で、容赦なく躊躇なく行きます。

戦闘スタイルは右手に大剣。左手に拳銃。

戦闘開始と同時に『47番目の悪魔(ウヴァル)』を使用。その後【怪力】【2回攻撃】【残像】を駆使して大剣と銃による攻撃で徹底的にダメージを与えていきます。



今までしてきた報いを受けさせる為に、大剣を突き刺せることが出来たら【生命力吸収】で命を吸わせていただきます。

村の人達の恐怖を、悲しみを、絶望を…その身で味わうと良い。





その他、アドリブや絡み大歓迎です


ハロ・シエラ
現れましたね、吸血鬼。
あなたがいなければあの村の人達は困るかも知れません。
飢え、苦しむでしょう。
それでもやはり、家族と引き離されたり隣人に裏切られたりしながら暮らすよりはいい。

だから、ここであなたを倒します!
こちらもユーベルコードを使用し、高速移動を可能とします。
まずは速さ比べと行きましょう。
どちらが速いか分かりませんが、相手の攻撃はなるべく【見切り】と【第六感】でかわしたいですね。
ですが多少のダメージであれば覚悟の上。
傷付いてもチャンスは逃しません。
そして打ち合う中で【フェイント】をかけ、隙が出来たならダガーで攻撃を加えると共に毒も食らわせてやりましょう。
敵が倒れ、塵に返るまで何度でも!



「現れましたね、吸血鬼」
 ハロ・シエラ(f13966)は、制帽の下から階段の上を睨み据える。
 構えたレイピアの切っ先を向けると、にやりとした笑みが返ってきた。
 挑発とも取れるその表情を、ハロは冷静に見返して。
「まずは速さ比べと行きましょう」
 ディーモナイザーを発動させ、一気に階段を駆け上る。
 忌むべき毒蛇神の呪いを纏い、瞬時に肉薄したハロに、だが吸血鬼も周囲に血の赤を纏わせて鮮血槍を突き出した。
 ハロは咄嗟に穂先を躱し、逆にレイピアで細く鋭く突き返すが、槍を引き戻す動作から柄をかち上げて刃は反らされる。
「速い速い」
 余裕を含む蒼白の美貌で、真っ赤な双眸が歪むように微笑んだ。
 気にせずハロは攻撃を続ける。
 漆黒の髪が躍るように揺れて、レイピアが幾重にも軌跡を刻めば。
 白銀の髪が真紅のリボンと共に舞い、槍が瞳のような赤い石を輝かせる。
 無生物すら冒すナノマシン毒の刃を放てば、血の刃が迎え撃って。
 高速の攻防が続いていった。
 拮抗し、永遠に続くかにも見えた死の舞踊。
 しかしそこに、夜刀神・リヨ(f13429)が飛び込んでいく。
「たとえこの身が朽ち果てようとも、守るべき世界の為に……私はこの命を燃やす!」
 ウヴァルの黒騎士と化したリヨは、右手に携えた大剣を振り下ろした。
 ふわりと後ろに飛び下がり、難なく避けた吸血鬼をすぐさま追いかけ、リヨは左手の拳銃を突き付ける。
「随分と好き勝手していたようですね」
 笑みに歪む赤瞳を、青から白銀へと色を変えた瞳が睨みつけた。
 脳裏を過ぎるのは、館へ向かう途中でちらりと見た村人達の哀しみ。
 それを生み出し、そして愉しんでいる存在が、目の前で嘲笑う。
(「こんなのと同じような血が……私の中にも流れているなんて……」)
 ダンピールである自身すらも忌むように、ぐっと拳銃を握る手に力が籠った。
(「虫唾が走ります」)
「悪いけど……報いを受けて、とっとと消えてください」
 その忌みを振り払うかのように、銃弾は迷いなく吸血鬼の左腕を撃ち抜く。
 槍からだけでなく、舞い散る鮮血。
 しかし、一瞬だけ顔を顰めた吸血鬼はすぐに笑みを取り戻し。
「報い? そんなに悪い事をしたかしら?」
 くすくすとリヨに聞かせるように笑い声を立てた。
「あの村は幸せだったでしょう?
 誰も飢えることなく、笑って過ごしていたでしょう?」
 右の大剣を槍で捌きながら。
 左の銃口からひらりと身を躱しながら。
「それは誰のおかげかしら?」
 惑いを誘うように、リヨへと顔を近づけて、吸血鬼は艶やかに微笑む。
 ぐっと奥歯を噛むリヨ。
 だがその目の前を、鋭く細い煌めきが駆ける。
「あなたがいなければあの村の人達は困るかも知れません。
 飢え、苦しむでしょう」
 レイピアを翻しながら、ハロは少しだけ目を伏せる。
 吸血鬼の庇護があったからこその村の豊かさ。
 僅かな時間とはいえ村人達の中に入り、その身でそれを感じたから。
 村人達の穏やかな笑顔を目の当たりにしていたから。
 もしかしたら、吸血鬼を倒すことで、その豊かさは失われるかもしれない。
「それでも」
 ハロのレイピアは惑わない。
「やはり、家族と引き離されたり隣人に裏切られたりしながら暮らすよりはいい」
 ルキアの嘆きを見た。
 遺品を手に苦い顔を見せた村人達を見た。
「だから、ここであなたを倒します!」
 斬りかかるハロを牽制するように、鮮血槍が横薙ぎに振るわれる。
 しかしハロは足を止めず、槍の一撃を浅く受けながらも飛び込んで、驚きに真紅の瞳を見開いた吸血鬼の腹部を切り裂いた。
 そのまま手を止めずに連撃を繰り出せば、応戦すべく槍が振るわれて。
 無理矢理レイピアを突き出す、と見せた動きをぴたりと止め、ハロは急に大きく後ろへと飛び退く。
 受けようと構えた吸血鬼の槍が少しだけ前に浮いたそこに、振るわれたのは、いつの間にかレイピアとは逆の手に握られたタガー。
 浅くも予想外の一撃に、吸血鬼は、深く動揺を見せて。
 そこにリヨが大剣を突き出した。
「村の人達の恐怖を、悲しみを、絶望を……その身で味わうと良い」
 僅かに身を捻り、吸血鬼は辛うじて串刺しを避けたけれども、大剣は赤いドレスを切り裂き足を深く切り裂いていて。
 そこから47番目の悪魔は生命力を吸収していく。
 さらにハロのナノマシン毒の刃が放たれ、さらにドレスが赤く赤く千切られていき。
 鮮血が赤い布が舞う中で。
 吸血鬼は大きく床を蹴り、階段の下へと逃れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。新月を待つ必要は無い。
今日、贄になるのはお前の方よ、吸血鬼。
今まで犠牲になった人の分までお前に償わせてあげる…。

事前に改造した防具の魔力を変更して第六感を強化し、
攻撃の気配や殺意の存在感を感知する呪詛を付与する。
【吸血鬼狩りの業】を駆使して敵の攻撃を見切り、
怪力任せに大鎌をなぎ払いカウンターを試みる。

…無駄。お前の槍さばきは知っているもの。

敵が隙を晒したら【限定解放・血の聖槍】を発動。
掌打と同時に生命力を吸収する血杭を放った後、
力を溜めた血杭から無数の棘が放たれ傷口を抉る2回攻撃を行う。

…聖槍は反転する。喰い抉れ、血の魔槍…!

…かつてと同じく、滅びの運命を辿るがいい、オブリビオン。


マリア・ハルゼンヌ
【 wiz】を選択

初めまして…
マリアと申します。

この度は、我が欲の為に
人々を苦しめるオブビリオン退治に助力をさせて頂きます。

罪なき人々を
これ以上許せません…!
(静かな怒りを湛え)

私は、後方支援メインに
行動させて頂きます。

味方の猟兵が敵の攻撃を
受けそうになれば
盾となり【かばう】を使い。

オブビリオンの攻撃に剣とメイスを扱いながら【武器受け】で
攻撃を捌きます。

「この痛み…あなたから苦しみを受けた人々の事を考えれば痛みはありません」と睨み。

UC【精霊の讃歌】で
味方の傷を回復致します。



「新月でもない上に、元気過ぎる生贄なんて」
 階段の上に立つ2人を見上げ、吸血鬼は奥歯を噛む。
 でもすぐにその顔には笑みが戻った。
 ゆるりと鮮血槍の柄を右手で掲げ、左手で穂先を抑えるように下げて。
 白い相貌に真紅の瞳を歪ませながら構えて見せるけれども。
「……ん。新月を待つ必要は無い。
 今日、贄になるのはお前の方よ、吸血鬼」
 横手から聞こえた足音と声に振り向けば、リーヴァルディ・カーライル(f01841)が無表情に吸血鬼を見据えていた。
「今まで犠牲になった人の分までお前に償わせてあげる……」
「また増えたわね」
 煩わしそうにそう言い捨てると、吸血鬼は槍の向きをリーヴァルディへと変える。
 床を蹴り翼を羽ばたかせ、自身の体重も槍に乗せて、斬撃を繰り出した。
 力任せに叩きつけられるような槍は、単純だがそれゆえに鋭く、重い。
「大人しく死んでなさい!」
 しかしリーヴァルディは、そんな必殺の一撃をひらりと躱す。
 床が大きく破壊され、重い地響きが館を揺らす。
 身に纏う防具が強化する第六感。
 攻撃の気配や殺意の存在を感知する呪詛。
 吸血鬼の攻撃を予測し避ける代々伝わる秘奥。
 備えたものや受け継いだもの、その全てを以って攻撃を見切ったけれども。
「……無駄。お前の槍さばきは知っているもの」
 一番の力は、リーヴァルディの経験、だったのかもしれない。
 吸血鬼だけを追い、倒してきた数々の戦歴。
 その中に、今相対する吸血鬼……リーシャ・ヴァーミリオンの姿も数多くあった。
 オブリビオンゆえに何度も骸の海から染み出してきて。
 何度も戦い、倒してきた相手。
 それゆえの余裕を滲ませれば、リーシャは不機嫌にリーヴァルディを睨み付ける。
 その機嫌の悪さを晴らすかのように、リーシャは今度は槍を高速で突き出した。
 重さよりも速さを求めた連撃。
 その突きもリーヴァルディは無表情に見切っていくけれども、手数の多さに完全には躱しきれず、細かな傷が次々と刻まれていって。
 無数の線の中で、怪力任せに大鎌を薙ぎ払えば、リーシャが間を取るように下がった。
 そこに歌が響き渡る。
 精霊を讃える歌声は、リーヴァルディを優しく包み込み、傷を癒していく。
 ちらりと視線を向ければ、歌い終えたマリア・ハルゼンヌ(エルフの看護士・f06545)がリーヴァルディへと一礼していた。
「マリアと申します。助力をさせて頂きます」
 きちっとした堅い仕草で、慇懃にそう告げると。
 マリアは床を蹴り、視線がわずかに反れたリーヴァルディを好機と見て鮮血槍を穿ち放とうとしていたリーシャの前へと駆け込む。
 自らを盾として槍を受け、新たな鮮血を舞わせながら。
 しかしマリアは表情1つ変えずにリーシャを見据える。
「この痛み……あなたから苦しみを受けた人々の事を考えれば痛みはありません」
「苦しみ、ねぇ」
 マリアの言葉にリーシャはまた面白くなさそうに顔を歪めて。
 芝居がかった仕草で槍を引き、肩を竦めて見せた。
「私だって苦しんだのよ?
 美味しく育つまで待って、それまでは好みでもない生贄で我慢して。
 やっと……やっと美味しく食べられるようになってきたのに……」
 くるりくるりとその場で回りながら、無造作に槍を振るい。 
「その御馳走を横取りされるなんて!」
 唐突に、穂先がまたマリアを深く貫く。
 けれどもマリアは引かず。
 むしろそのまま槍を掴み、身体全体で捕まえるようにさえして。
「罪なき人々を……これ以上許せません!」
 無表情に強い決意を滲ませて、リーシャを真っ直ぐに見据えた。
 その意思に、捕らえられた槍に、リーシャが一瞬たじろぐ。
 そこへ、リーヴァルディがユーベルコードを発動させる。
「……限定解放。……刺し貫け、血の聖槍……!」
 ダンピールの少女は一瞬だけヴァンパイアと化し、掌打を放つと。
 続けて血杭がリーシャの胸へ打ち込まれた。
「ぐ……っ」
 生命力を吸いながら、杭はリーシャへ埋め込まれるように深く深く押し込まれ。
「……聖槍は反転する。喰い抉れ、血の魔槍……!」
 リーヴァルディの声に応じて、無数の棘を放ち傷口を抉る。
 声にならない悲鳴を上げ、槍を手放して倒れ込むリーシャ。
 マリアは鮮血槍を遠くへ放ってから、真っ赤に染まった吸血鬼を静かに見下ろす。
 ぐぐっ、と顔だけを上げたリーシャは、痛みに歪む顔に、だがまだ笑みを湛えて。
「ふふ……これで、あの村は、誰にも、守られない……終わり、よ……」
 自身の最期すらも愉しむように、嗤う。
「そうでしょうか?」
 だがマリアは表情を変えずに、淡々と問い返した。
 吸血鬼に与えられていたのは庇護だけではない。
 親しい人を理不尽に失う恐怖。
 誰かを犠牲にして生きる罪悪感。
 笑顔の奥で、消えない苦しみが生まれ続けていたのだとマリアも思う。
 それら全てがリーシャと共に滅びるのなら。
 あの村は、きっと。
 その一縷の希望を掴むように、リーヴァルディは強く大鎌を握り締め。
 赤いドレスを切り裂かれ、自身の鮮血にまみれた、真紅の吸血鬼へと振り下ろす。
「……かつてと同じく、滅びの運命を辿るがいい、オブリビオン」

 そして。
 村から領主が、消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月01日


挿絵イラスト