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チャイナって、いいよね。

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●ジャーン、ジャーン、ジャーン
「者共、出会えーいっ!」
 銅鑼の音が鳴り響く中、カメラ頭の怪人が配下を前に仁王立ち。

「この時期、中華街はとても賑わっている……なぜか!」
「サー! それは新年を祝う祭りがあるからであります!」
「そうだ! 新年の祭りは中華街に欠かせないイベントのひとつだな。では、なぜ賑わうのか! 分かる者はいるか! はいそこ早かった!」
「サー! それは新年を祝うからであります!」
「サー! 爆竹を大量に鳴らしたり、獅子舞で踊るからであります!」
「違うだろ!! チャイナだからだろ!!! 可愛いチャイナっ娘が綺麗なチャイナでいっぱい街を歩いてて、俺たちゃそれ見て盛り上がるんだろぉ!!!! 」

 パシャ!と大きめのシャッター音が周囲に響く。すると怪人の目の前に並ぶ配下たちの格好は一瞬にしておめでたい感じの派手なチャイナ服へと変わっていた。だが、怪人はそれを見てなぜか気落ちしたようにしょぼしょぼとシャッターを開閉させている。

「チャイナは最高だけど、可愛い子じゃないから駄目だわ……萎え萎えだわ……」

 とんでもなく自分勝手なことを言っているが、ここにいる配下はみな怪人のチャイナ愛に洗脳されているのでやっぱりか……という空気が自然と出来る。いや、出来るなよ。
 そんな彼らの主張はただひとつ。

『──可愛い子のチャイナコスプレって、いいよね!』

「遅れてすいやせんボスゥ! 今度お向かいのチャイナストリートで春節のお祭りがあるそうで! これはチャイナコスの素晴らしさを広めるビッグチャンスっすね!」

 と、彼らの集会へ遅れてやってきた配下の一人が興奮気味に、端末の画面を怪人へ見せる。黄金色のド派手な龍がページの右から左へ流れ、びかびかと点滅する大きなゴシック体の主張がとても激しいホームページを隅から隅までじっくり眺めてから、怪人は配下たちへ向けて声を張り上げた。

「いくぜ! チャイナを愛する野郎ども!! 宝の海はここにある!!」
「「「「応!!」」」」

●ユーは何しに中華街
「……何をしているのであろうか、こやつらは」

 ぐぬぬ、とすっぱいものを食べた時のような渋い顔で甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)は首を傾げる。彼らの主張にピンとくるものが無いのは、クヌギがチャイナ服と縁遠い世界の出身だからでは無いはず……と、思いたい。和服もチャイナ服も、まず文化あっての伝統衣装だろうに、その衣装のみを尊ぶとはハテ如何に。

「えぇと、事件の起こる場所は、キマイラたちの作ったチャイナストリートである。彼らは昔の風習である春節が派手で騒げて楽しいからと、中華街風のレジャースポットを作り上げて、毎年この季節はそこでお祭りだなんだと盛り上がっているらしいのだな」

 その中華街の大通りに現れるのが、チャイナコスプレを愛する怪人とその手下たちだ。彼らは道行く人々を無理矢理洗脳し、自分たちと同じくチャイナを愛する者にしようと企んでいるらしい。配下となった人々は大きくて奇妙な被り物を被っているので、どこにいるかは一目瞭然。頭を覆うこの被り物が洗脳装置にもなっているので、被り物さえ壊せばこの迷惑者たちの動きも止まるはずだ。

「そうなれば、残るは怪人ひとりである。決して遅れを取るような相手ではあるまい?」

 君たちを信頼しているのだろう、クヌギはヒゲを撫でて猟兵たちの顔を見渡した。

 怪人たちを倒した暁には、皆でしゃぶしゃぶなんてどうだろう。どうも中華街の一角で巨大しゃぶしゃぶ鍋パーティーのイベントが企画されているらしいのだ。
 コンコンすれば食材はなんでも手に入るので、定番の具材に限らず新たな味に挑戦してみるのもいいだろう。もし呼ばれれば、クヌギも顔くらいは出すつもりでいる。

 中華街のキマイラたちが、自由にチャイナ服を着る為に。
 そしておめでたい祝いの場を、個人的な趣味嗜好で染め上げさせない為に。

「何卒、よろしく頼むのである!」


本居凪
 初めての方もそうでない方も、こんにちは。
 チャイナ服が好きです。スリットのあるチャイナドレスもロングもミニも最高ですが、スカートなくパンツスタイルチャイナもスタイリッシュな印象で、クールな美人さんや元気いっぱいのボーイッシュな子なんかにもよく似合うと思いますね!!!袖とかもノースリーブに始まり半袖長袖七分袖、どれも魅力があって更に腕も細く綺麗に見えて最高だと思いますよ!チャイナはいいぞ!!(ノンブレス)ほら男子も女子もオネエも子供もおじいちゃんおばあちゃんもケモノもブラックタールも!レッツチャイナだ!(早口)

●マジメな解説ターン
 戦争の息抜きにコミカル多めでやっていきます。
 無理なキャラ崩壊はさせないです。したい方は言ってもらえれば頑張ります。
 MSはキャラ崩壊してないです。正気です。中華街行ったりしゃぶしゃぶ食べたいです。

●シーン解説
 一章では中華街のメインストリートに現れた配下をお掃除です。仮面を壊せば止まる程度の洗脳なので、カンフーマスター気分で思う存分やっちゃってください。

 二章ではボスである怪人を倒してもらいます。チャイナ大好きな怪人ですが、こいつ可愛い子にしか興味ないそうなので、カッコイイ・チャイナとかシブイ・チャイナとかビレイ・チャイナの魅力を見せつけつつ倒しちゃっていいんじゃないでしょうか。

 三章では、中華街でのしゃぶしゃぶパーティーに参加できます。コンコンすればだいたいの具材は出てくるので、どんなしゃぶしゃぶでも出来ると思います。食べられないものだけは描写できませんので、闇しゃぶする場合は食べられるものだけにしてください。
 グループ参加の方は【グループ名】、ペア参加の方はお互いのお名前とIDをお忘れなく。一人参加の場合は他の方との相席でしゃぶしゃぶすることになります。
 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『大頭頭ズ』

POW   :    x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ホァアチョー!燃えよ猟兵!

 見えるだろうか、あの絢爛なる朱色と金に染まりし大門が。聞こえるだろうか、街中に流れる陽気で軽快なエスニックでエキゾチックなミュージックが。
 東西に伸びるアーケードの軒先には簡体字の看板並び、店頭販売されている饅頭からは蒸したばかりの白い湯気が昇り立つ。そう、ここは中華文化が大好きなキマイラたちのなんちゃって中華街。その名もインヤン・チャイナストリート!

 普段から中華街の映えるスポットや中華料理を目当てにやってくる観光客の活気とざわめきで満ちているはずの通りも、今や混乱の真っ只中。突然現れた謎のコスプレ集団があれよあれよと道行くキマイラたちを襲いはじめたからである。
 かぶり面の集団は口々にチャイナを賛辞しながら、自分たちの被っているものと同じお面を手に逃げるキマイラたちを追いかける。

「イーアル、イーある、イイアルヨー」
「チャイナはいいアル、いーアルヨー」
「「「チャイナ! チャイナ! チャイナ!」」」
片桐・公明
チャイナ服と呼ばれて即参上。これでもルーツの半分は中国にある片桐公明よ。よろしく。
(衣装は青の半袖ロングチャイナ。ズボン無し。生足の脚線美は艶かしい)

【SPD】
蹴撃一閃。不意打ちぎみに決まったハイキックが相手の顎を蹴り抜く
目には目を。拳法には拳法。相手の攻撃にはステゴロで応戦する
空手柔道合気道截拳道。はてはムエタイサバットボクシング。ありとあらゆる格闘術を使用して、相手の攻撃はいなし、自身の攻撃は着実に与えていく。
「型なんて知らないわ。あえて名付けるなら、諸葛流格闘術よ」

「奥義!『鋼鉄拳』」
相手の懐に入り鳩尾狙って正拳突き。僅かにエナジーを纏った一撃は相手を吹き飛ばし星にする

「次は誰かしら?」


マリア・テミルカーノヴァ
チャイナドレス……スリットから見える足が艶やかですよね。

というわけで、チャイナドレスに関するクイズを「賢者の影」を使いながら出してみようと思います。

【問題】
チャイナドレスは、中国の伝統的な服装である。○か×か?

【解答】
残念ながら、元々は北方の騎馬民族の服装なんです。清朝が中国本土に入ってきた際に自分たちの髪型と服装を強制したのがチャイナドレスの由来なのですよ。「旗袍」とは、満州人の服装という意味ですし。

というわけで、怪人が正解すれば攻撃をかわしてカウンター、間違えたらそのままお面を外してあげます。

ちなみに、チャイナドレスはあらかじめ着ておきます。下はいつも通りスクール水着ですけどね。



「お前もチャイナの素晴らしさを、脳のシワ一本にまで刻み付けるアル!」

 アルアルと、甲高い声を発しながら迫る大頭頭ズ。洗脳装置を勢いよくポンと、集団で囲んで捕まえた一人のキマイラの頭へと被せる。

「ウゥ……ちゃ……ちゃい、チャイナァー!!」

 そして洗脳装置を取り付けられて新たに生まれるチャイナの虜、もとい、洗脳された元キマイラの大頭頭。次々に仲間を増やそうとかぶり面を手にメイン通りをうろつく彼らの前へと立ち塞がる影があった。

 それは青いチャイナドレスの片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。己に連なるルーツの半分を中華に持つ彼女の衣装は、眩しい細腕を見せつける半袖に反して裾丈はロング。スリットから覗く生足は魅惑の人魚も負けたと泣くよな艶めかしさで、彼女の脚線美を程よく隠し、程よく見せつけている。
 それを見つけた大頭頭ズ、表情の変わらない仮面を突き合わせて信じられないといった感じで言葉を交わす。

「嘘アル……嘘じゃないアル……? 目の前にチャイナ美少女というリアル」
「しかも眼鏡……眼鏡チャイナ……ちょっとクールそうなのも堪らんアル……」
「あれこそ俺たちとボスの夢見たチャイナ……早速勧誘するアルヨ!」

 感動で震えながら足早に近づいていく一人の大頭頭。震える鼓動が頭のみならず手さえも震わせ、それでも洗脳装置のかぶり面だけは手放さず、公明へとかぶせようと両腕を大きく持ち上げた彼の意識は、スパンと何かを打ち貫くような綺麗な音だけを残して、そこで終わった。

「あぁっ、同士ーー!!」

 公明の放った居合の如き蹴撃は、完全に防御を忘れていた大頭頭の仮面を顎から撃ち砕く。ぱきんと軽い音を立てて、ぼろぼろ崩れ去っていくかぶり面。

「なんてことを! 許さないアル!」

 そう言ってi極拳の構えを見せる大頭頭、膝を曲げて屈伸運動、同時に両手を体の前でクロス、からの──水平に開いた腕から繰り出す手刀の連撃。しかしその攻撃は公明に当たりはしたが、ダメージとしてはやや力不足なものになっていた。
 理由は公明がその手刀を受け流し、いなしたから。先のハイキックが目標へと鋭く正確な動きで当てる空手の型ならば、こちらは受け流した勢いを逆に己の力とする合気道の流れ。そしていなした両手の中へ踏み込み、大頭頭の面を拳で突き砕く。
 ぱりぃん、と砕かれる面、崩れ落ちる大頭頭。

「目には目を。拳法には拳法を、よ」
「ふっ、チャイナっ子は拳法使いというのは王道アル。さぞ名のあるものと見たアルが、どうアルか?」
「型なんて知らないわ。あえて名付けるなら、諸葛流格闘術よ」

「奥義! 『鋼鉄拳』!」
 青い髪をなびかせ、青いチャイナ服姿の公明は舞う。空手柔道、日本の武術からサバットにムエタイとありとあらゆる格闘術の技を駆使し、攻撃をいなしながら飛び込んだ敵の懐、鳩尾を狙って正拳突き。わずかにエナジーの乗ったその一撃は大頭頭を吹き飛ばし、公明の周囲にいる配下たちはその威力に後ずさる。

「さあ、次は誰かしら?」
 
 公明が次々に配下を吹き飛ばしていく一方で、マリア・テミルカーノヴァ(電子の海を彷徨う光・f00043)の周囲は静かなものだった。
 彼女を取り囲む者たちもそろって同じような大頭頭の面を被っているのだが、誰も動かないでいるその光景は異様な雰囲気さえ感じる。その光景を作り出しているのが、マリアの足元で伸びる影。マリアと大頭頭ズを繋げる影は、彼女の質問に真実で応えなければ解けることはない。

「では、問題です。チャイナドレスは、中国の伝統的な服装である。◯か×か?」

 ごく単純な問題だ。しかしそれ故に難問でもあった。そしてそれ以上に、チャイナドレス姿のマリアという存在が、彼らを沈黙させていた。

「おっとり系エルフチャイナ美人……尊い……」

 拝み出す者がいた。

「赤毛ロングであのたわわ……神か……?」

 神の実在を信じる者がいた。

「さっきチラっと見えたんだけどあの下スク水ってまじアルかヨ! チャイナドレスにスクール水着……そういうのもいいアルネ……」

 チャイナとスク水のコラボレーションに新たな世界を見る者がいた。聖者であるマリアの光は、かぶり面越しにも彼らの心に届いたのである。そして浄化されたような顔で彼らは一斉に腕を上げて、頭の上で繋げる。そう、チャイナドレスはこんなに素晴らしいものなのだ。答えは◯に違いない。

「はい、皆さんあげましたね。……残念ながら、皆さんは不正解です」

 マリアの言葉に、あちこちで驚愕の声が上がる。そう、実はチャイナドレスは中国伝統の衣装と思われがちなのだが、意外なことにその原点は騎馬民族の衣装。それがいつしか洋装文化と合わさって改良され、今のデザインへと変わっていった、どちらかと言えば新しいものなのであった。中華といえばチャイナ、と信じ切っていた大頭頭ズはマリアの解説を聞きながらしきりに感心している。

「というわけで、不正解の皆さんのお面を外してあげますね」

 にっこり。天使の笑顔を見せるマリア。うっとり。お姉さん好きの一部の大頭頭が魅入る。ばりばり。賢者の影が「はい」か「いいえ」の二択を間違えた配下たちへとペナルティーのダメージを与える。ぼとぼとと、ダメージに耐えきれなくなったかぶり面が地面へ落ちて、キマイラたちをチャイナ愛の牢獄から解放していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
なんだかよく分かりませんが、私はこの世界が羨ましいです。
この豊かさ故か皆が明るく元気に暮らしている。
これが未来だと言うのなら、私もこう言う時代に生まれてきたかった……

などと考えても仕方ありません。
この世界もオブリビオンの脅威に晒されているのですから。
相手は知らない武術。
レイピアで牽制、ダガーで防御しつつ隙を【見切り】、その上で頭部を攻撃します。
敵の攻撃はかわすか受け流したい所ですね。
可能であれば【怪力】を用いて【盗み攻撃】を行い、彼らを傷付けず洗脳装置を取り除きます。
不可能であれば素早く壊すまで。
頭ごと切らないように、ダガーで慎重に。
身軽さが必要なら上着と帽子くらいは取ってしまいましょう。



●チャイナは一日にして成らず

 チャイナへの愛を叫ぶ大頭頭ズが引き起こす騒動はまだまだ続く。
 東に背の高いお姉さんあれば行ってチャイナを着るのだと迫り。
 西に美少女いれば行ってミニスカチャイナが似合うはずだと迫り。
 抵抗する男がいれば、皆で囲んでチャイナ好きの輪に引きずり込んでやる。

 光の差さぬ暗い闇の世界で幼い頃から戦いの為に剣を学んできたハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)には、その騒々しささえなにやら輝かしいものに見えて、近くにいた大頭頭の仮面を振り下ろした剣で正面から割りつつもその赤い目には憧憬の色が浮かんでいた。

(なんだかよく分かりませんが、私はこの世界が羨ましいです。この豊かさ故か、皆が明るく元気に暮らしている)

 また一体、軍帽被ってきっちりとした黒の軍服を纏うハロへと大頭頭が洗脳装置を手にまっしぐら。どうも彼女のなびく黒髪はそこそこ彼らの目を惹くものらしい。

(これが未来だと言うのなら、私もこう言う時代に生まれてきたかった……)

 晴れた青空のように、明るく活気に満ちた街と人。襲われている状況でもなお強かに逃げ回るキマイラたちの姿を視界の端に捉えながらハロはそう思う。
 細いレイピアで大頭頭の動きを牽制し、突き出された掌底はダガーの腹で受け流す。配下たちの上下する頭はぐらぐらと激しい動きに揺れて、なかなかハロへ一撃を与える隙を見せてはくれない。

「チミ、チミ、可愛い黒髪のお嬢さんー! 堅苦しーい洋服なんて脱いチャイナ! そしてその黒髪に似合う桜色のチャイナを着よう!」

 ぶるんぶるうんと頭を揺らして大頭頭が迫り来る。

「……そうですね、これは今の私には、少し邪魔なものでした」
「えっ……!!」

 何を考えたか、ハロへと期待に満ちた目を向ける大頭頭。ハロが軍帽と上着を脱ぐと、更に胸を抑えて何やら詰まった音をかぶり面の奥から発している。
 だが、それこそが勝利への一手。上着と帽子を脱ぎさり、身軽になったハロのダガーがその頭へとストトトン、と突き刺さる。
 中の人の頭を傷つけないようにと配慮したハロの【シーブズ・ギャンビット】の一撃は、慎重かつ精密に、そのかぶり面を壊すことに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヨシュカ・グナイゼナウ
チャイナストリートでお祭が開催されていると聞いて足を運びましたのに…!この惨状は許せません。
ヨシュカは表情にはあまり出てはいないが、激怒していた。初めて訪れるキマイラフューチャー、楽しみにしていたチャイナストリート、ふかふかの桃まんや小籠包、全て台無しである。許さん。
そっと、取り出したるは打ち刀「空切」。フェイント特化のこの刀で、撹乱しながら面を割ります。中の人には当らぬ様気をつけて。当てるのが難しいようでしたらucで少し止まって頂きます。
それにしても、只の民族衣装に何故あれ程の執着を?年若いヨシュカには、まだ彼らの情念は理解しがたいものだった。(アドリブ歓迎です)



●チャイナ・ハッスル!

 ヨシュカ・グナイゼナウ(鍵の壊れた鳥籠の・f10678)は静かに激怒した。ヨシュカはまだ世間を知らぬ。十と二年ばかりの稼働年数のミレナリィドールである。家だって静かな森の中、ひとりと一匹の慎ましい暮らしの日々である。だからこそ、ヨシュカにとって今日はトクベツな日であったのに。

「チャイナストリートでお祭が開催されていると聞いて足を運びましたのに……!」

 なんという惨状だろう。許せん。初めて訪れるキマイラフューチャーの、楽しみにしていたチャイナストリート。今やその往来は不気味な大頭頭ズの仮面で溢れ、ふかふかの桃まんも小籠包も、売っていたのだろう屋台と中身を残して放置された蒸し器だけ、店の中も誰一人として残っていない。これではもはやお祭りどころか、全てが台無しである。
 許さん。怒りに滾る心の熱は決してヨシュカの顔には出なくとも、その金色の瞳には静かな炎が宿り。その腕に抱えられた髭のような柄のついた灰色の猫、ヴィルヘルムがにゃあと鳴けば、猫の声を耳聡く聞きつけた大頭頭の一人がヨシュカを見つけて、かぶり面を手に迫り来る。わりと素早い動きで、ぐらぐら揺れる頭が不気味だ。

「おおおっ、そこの可愛いガール……いや、ボーイ? まあどっちでもいいアルアル、ユーもチャイナになっちゃいなアルヨー!」

 そんな迫る大頭頭に対し、ヨシュカが取り出したるは「空切」の銘を持つ打ち刀。からきり、の名のごとく、一瞬、翻る刃が何も無い空を切りつける。

「んんん? いったいなにをして──ハッ!!?」

 まるで西瓜割りのように、ぱかんと綺麗に一刀両断。一手遅れて届いた斬撃は、かぶり面を見事に断ち割る。ちゃんと気を付けているので、中の人は勿論無事だ。
 その合間にも、ヨシュカは両掌の亀裂から揮発性の液体を放つ。

「はっ、あんなところにメガネなチャイナっ!!」
「なに!!けもみみでチャイナだと!!」

 チャイナを推そうとやってくる彼らの目の前に次々現れる理想のチャイナっ子。しかしそれはヨシュカの見せる幻覚で、その幸せな幻覚を断ち切るようにつぎつぎヨシュカは大頭頭の面を割っていく。
 その流れるような刀捌き、倒した大頭頭のヒット数もうなぎ登りだ!

「……それにしても、只の民族衣装に何故あれ程の執着を?」

 不思議ですよね。不思議ですが、誰も分からないほどにどうしようもないほどの想いが胸からあふれそうであふれそうで、実際あふれてこうなるのです。
 そしてまた一体、幸福そうな大頭頭の面が割られる。どうしようもないほどにチャイナを愛する彼らの並々ならぬ情念は、まだ年若いヨシュカの目には理解しがたいものとして映っていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パティ・チャン
えーと、私の衣装はコスプレではなくて、中華ロリィタ!
チャイナドレスを元に、洋装を取り入れてアレンジしたドレスで、お尻周りのラインは消してありますし、ナマ足なんかもっての外なんですけど!

セクシーアピール何かしなくても、これはこれで可愛いでしょ!
(カーテシーばりに、スカートつまんでお辞儀)

…と、衣装談義している暇(いとま)は無さそうですね!
先ずは配下・大頭頭ズを倒さないと。

ここはまず「輝ける刀刃」で一人ずつ、確実に倒していきましょう!
「身体が小さいからって、甘く見ないでくださいね!」
(腰に下げた、フォースセイバーをレイピアに展開させて、一気に突く!)

自分勝手な事ばっかり言わないでくださいね!



●レイピア・オブ・フェアリィ

 チャイナチャイナと騒いでいれば、当然それに対抗する意見も出てこよう。
 身に纏うは紅と黒。フリルを揺らし、その背に生えた薄く青色に透き通った蝶のような羽ではばたき戦場を舞うパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)。青く長い髪が流星のように尾を残す彼女の姿を一目見た大頭頭ズは、口々にその衣装を褒めそやすが、その自分勝手な意見の数々には大頭頭ズの面を壊そうとレイピアを手に戦っていたパティも流石に呆れ顔になるしかない。

「ヒュウ! 見るアル、俺達にもチャイナの妖精が舞い降りたァァアル!」
「フリルいっぱいのチャイナというのもまた良きものか……もう少し言わせてもらえばあれで二ーソックスだったらっ、あぁ、足と膝上ソックスの絶対領域……」
「贅沢は言うものじゃないアル。見えないのも逆にお人形さんらしさがあって、可愛さ満点と言えるのアルヨ。確かに、コスプレっぽさは無くも無いアルが」
「自分勝手な事ばっかり言わないでくださいね! えーと、私の衣装はコスプレではなくて、中華ロリィタ! チャイナドレスを元に、洋装を取り入れてアレンジしたドレスで、お尻周りのラインは消してありますし、ナマ足なんかもっての外なんですけど!」

 胸に手を当て、可愛い中華ロリータドレスのデザインをアピールするパティ。
 全体的にフリルとリボンで彩られたドレスは胸元を飾るリボンと彼女を象徴する月の飾りがワンポイントになっていて、腰を回る大きなリボンと膨らんだスカートは全体のシルエットに可愛さをプラスすると同時に体格を隠す役目も担っていた。

 中華ロリ、いわゆる華ロリ。フリルにリボンてんこもりという女の子の夢、まるで絵本から飛び出してきたビスクドールかお姫様、ときめく乙女心を詰め込んだロリータファッションにチャイナドレスの可愛い要素をぎゅぎゅっと合体、チャイナドレスに感じるそこはとかないオトナっぽさを中和し新たな「カワイイ」へ昇華させる、これぞ和ロリに次ぐ文化の融合、最高最強な新世紀ファッションだと思うんですけど!!!とどっかのチャイナ好きなキマイラがファッション雑誌の紙面で熱く語っていたとかいないとか。要するに、チャイナ風ファッションの一種である。

「セクシーアピール何かしなくても、これはこれで可愛いでしょ!」

 パティは片手のレイピアを上向けて、空いたもう片方の手でスカートをつまんで。片足は少し後ろへ、もう一方をちょっと曲げて、上流階級のレディらしくお辞儀をする。ちょっと自慢気なのがまたよろしいと思います!

「うっ可愛い、確かに可愛いアル……しかし、やはりチャイナはスレンダーこそ至高! すらりとスリットから伸びるあの白い美脚こそ最高なのだと認めチャイナー!」
 大頭頭は両腕をぐるりと回し、片腕を体の前でびしりと伸ばす!そして片足を曲げて、両手は餌をついばむ鳥のクチバシのような形へと。
 その体全体で鶴を模したこの拳法、鶴のポーズで鶴の気持ちになりきることで攻撃の命中率を高める効果があるのである!

「この鶴々拳、その小さな体でも避けることなどできやしないアル!」
「身体が小さいからって、甘く見ないでくださいね!」

 握るレイピアへ展開させたフォースセイバーを鶴の構えを取る大頭頭ズへ向けるパティ。光剣の【輝ける刀刃】が、持主であるパティを照らし出していた。

 ホアチャー!!と飛び出す大頭頭。その尖らせた指先からくり出される貫手は空を飛ぶ小さな彼女が相手でも、狙いを外すことはない。ともすれば吹き飛ばされそうな攻撃を受けながらも、パティは決定的な急所への攻撃をなんとか凌ぎ、鶴の一突きの合間に見える隙を狙う。

「そこです! 私の剣から逃れられるとは、思わないで!」

 蝶のように舞い、蜂のように刺し。
 鶴のくちばしの隙間を抜けて、彼女の光り輝く一刺しは見事大頭頭の額へと命中し、その歪んだチャイナへの愛を振りまく仮面を割り砕いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『コスプレ撮影怪人アングラーロー』

POW   :    ここがコスプレ会場だーーーーーーー!!
【コスプレ化光線とポーズ指定催眠音波 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    お前は最高のコスプレイヤーだ!(フラッシュ)
【強制コスプレ光線 】【ポーズ指定催眠音波】【撮影されると気持ちよくなる催眠】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    良い! 実に良いアングルだ!
【カメラのレンズ 】から【強制コスプレ光線】を放ち、【ポーズを取らせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠プリマステラ・リコールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●中華街の真ん中で愛を叫んだカメラ

 インヤン・ストリートに溢れていた怪人の配下・大頭頭ズ。しかし猟兵たちの活躍によってその仮面は祝いの席のくす玉のようにぱっかんぱっかん割られまくり、洗脳にかけられてアルアル鳴いてたキマイラたちも続々と解放されていく。
 それでは配下を失って、あの怪人はどうしているかというと。

「むっはあああああああああ!!! チャイナー!! 万・歳!!」

 パシャシャシャシャ!!!
 カメラの連写する音がメインの大通りに響き渡る。
 怪人はその催眠音波で無理やりチャイナコスプレをさせたキマイラたちを前に撮影会を行っていた。被写体になっている兎のような白くもふもふの毛に包まれた両手両足、兎耳のキマイラと、猫耳に蝙蝠のような翼を生やしたキマイラの二人はこの中華街にある中華料理店の看板キマイラたちだ。逃げ遅れてしまった二人は、ここで怪人による強制チャイナコスプレ撮影会に巻き込まれていた。

 なお、余談としてこの二人のキマイラの片方は男性であることが着せ替えの際に判明したのだが、ここで怪人はそれさえも受け入れる懐の広さをアピール。
「真なるチャイナ好きは性別で判断などしないが、やっぱり可愛い子のチャイナが一番だヨネ!」と広いようで狭い気もするチャイナへの愛を主張するのだが、そもそもこいつが元凶なので、なに言ってるんだコイツとポーズを取らされている二人は冬の海風よりも冷え切った視線を送るのであった。

「すばらしい……チャイナっ娘に栄光あれ……」

 両手で拝みながら前から後ろから横からと、角度を変えて何度も撮影する怪人。彼の元へと辿りついた猟兵たちの存在にも、気づいているのかいないのか。
 どちらにせよ、このカメラ怪人を倒さなければ中華街に真の平和は訪れない。猟兵たちはそれぞれの得物を手に、怪人に立ち向かっていくのだった。
パティ・チャン
…アレが、親玉ですか……(頭抱え)
被害者の顔が嫌そうですし、多分ろくな写真にはならないはずですが、これでは。

それでは、これで止めましょう。
【魔弾の射手】!
この炎で、先ずはカメラの露出計算を困惑させましょう。
(急激な光量の変化は、絞りやシャッタースピードの計算が追いつかなく鳴るはず)

敵がこちらに気が付いたら、残りの炎で攻撃します!

「私が小さいからって、甘く見ないでください!
…ところで、もしも私を撮るとしたら、そのレンズで大丈夫か?」

レンズからの攻撃は怖いので、まっすぐを向くわけにも行かないけど、
もしまっすぐが向けたとしたら、もろに「順光」で、全然立体感のない
撮っただけ写真が出来るだけ(にっこり)


片桐・公明
ちょっとそこのあなた!!自身のために無理矢理ポーズ取らせるなんて言語道断よ。
撮るなら私を撮りなさい!!
(衣装は先と同じ青のチャイナドレス。)

カメラを構えられるたびにポーズを変える。どのポーズでもパンツは見えないよう気を付ける。そして履いている黒のスパッツが見えることも気にせず右足を高く上げて……
「迷惑カメコ断罪撃!!」
まっすぐ振り下ろした、カカト落とし。狙いは顔のカメラか、手に持っているカメラ。
え?これも諸葛流なのかって?
「今新しく追加したわ。」

ルールを守って楽しくコスプレ!!(キメッ!!)



●当方カメコ、外ロケチャイナ併せ個撮可レイヤー大募集

 喜々としてチャイナキマイラたちの写真を撮り続けるコスプレ撮影怪人、アングラーロー。彼の頭のカメラでフラッシュが焚かれるたびに、怪人の指定するポーズをとらせる催眠音波がキマイラたちの体を支配する。二人を背中合わせにしたり、抱き合わせてみたり寝転がらせてみたり、純情な青少年が見たらちょっとどきどきしちゃうようなポーズまで、写真集が一冊出来そうなほどにありとあらゆる二人の写真がアングラーローの持つカメラの中へと増えていく。

「あとで修正してもっと素敵なチャイナになったふたりの写真は後日フォトブックにして送るから期待しててね!」

 バシャバシャと撮影しながら勝手にそんな約束までする厄介カメコ。ようやく見つけた親玉のそんな姿を前にして、戦うつもりでいたパティの頭はなんというか理解を拒否していた。なんて、頭の痛いことだろう。

「……アレが、親玉ですか……」

 やや関わり合いになりたくない存在であることは確かだが、あの写真を撮られているキマイラたちからこちらへ注意を引かなければ戦うことも出来まい。ポーズは取らされているがありありと嫌がっている表情の被害者たちをそのままにもしておけないので、パティはレイピアをすらりと振るって、アングラーローへ切っ先を向ける。

「では、これで止めましょうか。さあ、Freikugel!!」

 ボゥ、と浮かび上がる【魔弾の射手】の炎が怪人を取り囲む。

「んん、なんだこいつは……? 折角いい感じに撮影できるようにこっちは光とかきっちり調整しているんだよねえ?!」

 昼間の中華街に気にするべきは太陽の自然光だけであったのを、突然現れた炎によってカメラの設定を再度やり直さなくてはならなくなった怪人はぷんぷんと怒った様子である。ばたばたと手であおいで炎を消そうとするが、パティの操る炎が簡単に消えるはずもない。あちあち、ばさばさ、慌ただしく動く怪人はようやく、自分たちのすぐそばまで迫る猟兵の存在に目が向いたようだった。

「げぇーーー!! なんだお前ら、せっかくのオールロケを邪魔に来たのか!」
「邪魔するに決まってるでしょう! 人の意思を無視して撮るのはマナー違反です!」
「マナーとかないでーーす! 俺が撮りたいから撮る! 皆チャイナ好きになる! そして世界はチャイナで一つになる! はい世界平和達成!!」
「それを、洗脳してるっていうんですよ!」
「なにを! お前だってそんな中途半端にチャイナなくせに! タイツもいいけど生足もいいと思う!!」

 チャイナへの愛を主張しながら、撮影を邪魔する炎を操っているのがパティだと気付いたのか、怪人は彼女へ攻撃を仕掛けようとする。しかしパティは周囲にまだ残る炎で牽制し怪人を近づけさせてはくれない。
 そんな歯噛みする怪人の前へと、新たに立つ者がいた。

 その者、蒼き衣を纏い、その顔に光る叡智の結晶は陽光と炎の明るさにきらめきを増し、両腕を腰で組んで、実に堂々とした立ち姿。
 一言、怪人へと言ってやりたかった青いチャイナドレスの公明である。

「ちょっとそこのあなた!! 自身のために無理矢理ポーズ取らせるなんて言語道断よ。撮るなら私を撮りなさい!!」
「えっ、いいんですかっ、あざーーーす!!」

 ぺこりと頭を下げるアングラーロー。案外そっちのマナーはちゃんとしている!
 そしてにわかに始まる一対一の撮影会。カメラを向けられる公明もプロであるかのように、カメラを構えられるたびにポーズを変えていく。両手を胸の前で組んだり、背伸びをしてみたり、諸葛流格闘術の技の構えをしてみたり……どのポーズでもその青い布の奥は見えないように気を付けているのが、またプロらしさを感じさせる。
 そして徐々にスタート位置から近づいてきているアングラーローへ、公明はその履いている黒のスパッツが見えることも気にせず、右足を高く上げて……。

「迷惑カメコ断罪撃!!」

 息を呑んでカメラを近づけていたアングラーローの顔カメラへ、強烈なカカト落としの一撃が振り下ろされる!併せて両手の掌からも紫電の迸る!

「これぞ今さっき新しく追加したばかりの諸葛流格闘術奥義……って、えっ!?」
「ぴょええええええええっ!!! な、なな、ナイスアングルあ、ざぁーーす!!!」

 叩き割られそうになってもただでは起きないアングラーロー!
 そのカメラのレンズから放った強制コスプレ光線が、カカト落としのポーズのままで公明の動きを封じ込める!ぴくぴくと電流に痺れて痙攣しながらも、その顔は近距離でモデルの写真を撮れる喜びに満ちていたのであったとさ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヨシュカ・グナイゼナウ
ヨシュカはいつのまにかチャイナを着ていた。何故か?解らない。少し大きめの、膝丈までの赤いチャイナ服。下には膝下丈の下履きを履いて。
切れ込みのおかげかでしょうか、存外動きやすいですね。前に見た功夫映画みたいで…これはかっこいいのでは?少し高揚しているヨシュカであった。

千本を一つ投げ、相手のターゲットをこちらに移します。その隙にキマイラさんたちには避難して頂きましょう。
【七哲】で相殺しつつスピードとフェイントを生かして攻撃に入ります。先程取り出した暗器も使用し手数で攻めていきましょう。

チャイナ服は素敵なのかもしれません、ですがそれはそれ。何よりお祭の妨害は万死に値します。(アドリブ連携歓迎です)



●チャイナ・イン・ザ・ラブ

 ヨシュカはいつのまにかチャイナを着ていた。何故か?解らない。だが着ていた、少し大きめの、膝丈までの赤いチャイナ服だ。下には膝下丈の下履きを履いている。まるで初めからそれを着ていたかのように体に馴染むチャイナ服だった。
 彼の艶のある乳白色の髪とも、ミルクチョコレート色の褐色肌にも良く似合っている。ついでにしっかり編み込んだ三つ編み髪を乗せて役満である。

「切れ込みのおかげかでしょうか、存外動きやすいですね」

 試しにえいやと足を上げて空を蹴ってみるヨシュカ。いつもの格好でやるよりもなんだかちょっと気持ちが高揚している気がする。なんでだろう、思い当たることといえば、そう。

「前に見た功夫映画みたいで……これはかっこいいのでは?」

 どきどき。わくわく。画面の向こうに見たアクションスターの姿を思い浮かべながら、ヨシュカは怪人の元へ走るのだった。

 攻撃を受けても尚、その手のカメラを離そうとはしない怪人アングラーロー。彼がしびれた体を再び動かし、キマイラたちの撮影会を再開しようと立ち上がったそのすぐ近くへ、カッと突き立つ千本。

「ちょーー! まだ邪魔をしようというのか! 誰だっ!!」
「わたしです」
「えっ、許す。一枚……いや、百枚写真を撮らせてくれたらなぁ!」

 姿を現したヨシュカに怪人の目の色が変わる。新たな被写体の登場にハッスルして、カメラを構える怪人。しかしヨシュカは素早い動きで袖口から暗器を取り出すと、怪人へ向けて両手を振って暗器を放つ。

「チャイナ服は素敵なのかもしれません、ですがそれはそれ。何よりお祭の妨害は万死に値します」
「──アサシン系チャイナ!? アリですねぇ!! ちょっとこっちでその小道具構えてほしいナ!」

 暗器へ怪人はフラッシュで対抗し、暗器を発射するポーズで動きを止め、ヨシュカにこれ以上の攻撃をさせないようにしようとする。
 だが、ヨシュカも負けてはいない。ポーズが固定されてしまう前に大量の暗器を投擲し、その手数とスピードで攻めていく。
 互いに相手の技を封じる戦法、展開されるぎりぎりの勝負。
 どちらかが先に技を封じられることになるだろう、勝負の行方は。

「……むむ、動けませんね」

 暗器があちこちに刺さり疲弊した表情で撮影を行うアングラーローと、無表情だがやや憮然とした雰囲気のヨシュカの姿が、その答え。だがしかしヨシュカの視界には、怪人の背後で手と手を取って逃げていく二人のキマイラの姿が、しっかりと映っていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
むぅ、【おびき寄せ】る為にチャイナと言うのを着てみたけど割とすぐに見つけてしまいました。
やっぱり私に桜色なんて似合わないのでは?
あと肩から先と脚が出すぎていて恥ずかしい……
シニョンと言うのは動きやすくていいですが。
それはともかく怪人を倒さなければ。
どうやら無理矢理ポーズを取らせ、撮影する技を使う様子。
ならば先に【存在感】のあるポーズを取り、【誘惑】して相手が撮影しようとした所をダガーで素早く叩きましょう。
これ以上脱ぐ物も無いくらい軽いので大丈夫でしょう。
あのレンズを傷付けてしまえば戦力はかなり削れるはず。
……ただこの服で誘惑するようなポーズ取るの、とんでもなく恥ずかしいんですけど!?



●グッド・グレート・グレーテスト・チャイナ

 おお、神よ。感謝します。舞い降りたチャイナ天使に、怪人は両手を合わせて歓喜した。それは怪人をおびき寄せる為に桜色のチャイナ服を纏ったハロであったのだが、怪人の目にはチャイナの天国から来た天使に見えたのである。
 少女の腰まである長い黒髪は両サイドでシニョンとなっていて、桜色のチャイナの肩と脚の露出度が高いのを気にしているのか、その頬は少し朱に染まり、恥じらいの色が見える。
 可愛いチャイナ娘万歳!!と視界に入った瞬間に合掌していたアングラーロー、まだぴりぴり痺れている上に頭には苦無が刺さっているがそこはそれ、ハロの可愛らしいチャイナ姿を見れば削られた攻撃力も傷ついた体の痛みも気にならない。
 そんな天使の輝ける一瞬一秒を写真として残さねばという使命と、あんなポーズ、こんなポーズ、更にはそんなポーズまでとらせようだなんて邪な思いを抱いた怪人がカメラを構えて覗き込むファインダー、いざシャッターを切ろうとした瞬間。

「存在感があって誘惑するような……こういう感じ、でしょうか」

 モデルのようにすっと自分の体躯を強調させるようなポーズを取るハロを見て、アングラーローの頭頂部にあるフラッシュの発光部が衝撃で爆発した。パァンと弾けて、ブスブスと頭から煙を噴き出している。

「チャイナドレスを纏ったまだあどけなさの残る少女の見せた艶い一面こそ我らが永遠に保護すべきお宝なのではないか、俺はこのチャイナのポテンシャルを引き出せる写真をとれ……とっ、ぎゃあああああああ!!!!! 目!! いやレンズ?! いや目ェーー!!」

 恍惚として喋り倒すアングラーローのレンズへ襲いかかるハロのダガー。戦いの中でひび割れ、限界も近かったレンズの中心にはばっきりとダガーが刺さって、どこからどう見ても再起不可能なダメージだ。そう、ハロが自主的に取ったように見えたポーズはただの囮、この一撃を確実に当てる為の作戦だったのである!
 ごろごろと転がるアングラーローを、ハロは予備のダガーを構えつつ見やる。

「先にポーズを取ってしまえば、無理矢理ポーズを取らされることもありません……よね?」

 ハロの考えは確かに理屈としては間違っていない。先手必勝、先制攻撃。戦いにおいて相手の先に立つことは戦況の有利にも繋がる。しかし、戦いには時として犠牲も付き物。こと、今回の作戦においては一人の少女の心がちょっとばかり犠牲になってしまったようだった。

(……とはいえ、この服で誘惑するようなポーズ取るの、とんでもなく恥ずかしいんですけど!?)

 ダガーがレンズを割ったことを確認したハロは、すぐさま怪人から距離を取る。だがそれも仕方ない事だろう、なにせあのレンズを壊しても、怪人の方からはまだなんというか、ねばっこいような、ねちっこいような、ちょっと身の危険を感じる視線がハロへ送られているのだから。
 彼女の危険センサー的なものが、ブザーを鳴らせと囁いていた。

「例えカメラが壊れたとても……心のカメラがチャイナを写す……!」

 カメラマンは、チャイナへの愛は止まらない!!!
 無駄に勢いの良い声が、チャイナストリートの中心に響くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユェン・ウェイ
アドリブ◎

チャイナというか中華風の服装とか、ボクも大好きだし今も着てるけど……こいつのやり方は気持ち悪い!
たくさん迷惑もかけてるみたいだしボコボコにするよ!

【ダッシュ・スライディング】を駆使して相手に接近、UCの射程圏内まで近付くよ
そこまで行ったら【フェイント】も混ぜつつ片腕を【ガチキマイラ】でライオンに変形させて攻撃!
心のカメラとか分かんないけどそれも含めてボッコボコのバッキバキだよ
気持ち悪い光線は【野生の勘】で察知しつつ【ダッシュ・ジャンプ・スライディング】で避ける
攻撃以外であんまり近付きたくないな……蹴飛ばしていいかな

こういう格好は好きでやるから素敵なんだよ
よーく覚えておきな!



●ラスト・チャイナ さらば、我が(チャイナへの)愛

 花に嵐と誰かが言った。美しい花を眺めたくとも、風がひどくて散ってしまうと。この場合の花と言えばチャイナ、嵐と言えば怪人だろうか。怪人がチャイナドレスの素晴らしさをいくら広めようと人々をコスプレさせても、独りよがりに押し付けるような愛では届く前から受け取り拒否となっても仕方ない。
 同じようにチャイナを愛するユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)の目から見ても、この怪人の存在は目の上のたんこぶ、いや、薬を撒いても生きているしぶとい害虫だ。これ以上チャイナ好きに対するイメージダウンは止めて欲しい。それはキマイラも猟兵も含めたすべてのチャイナ愛好家たちに共通する想いであった。

「チャイナというか中華風の服装とか、ボクも大好きだし今も着てるけど……こいつのやり方は気持ち悪い!」
「おっとぉ! 例えレンズが半壊してもだ! 撮影した被写体からの絶対零度の視線にも耐えきってきたこのアングラーローの意地に賭けて、まだまだ負けるわけにはいかないぜ!」

 怪人へ向かってダッシュするユェン。スライディングで更に接近をしようと仕掛けるが、怪人はまだ悪あがきを続けるつもりのようだった。怪人の手に持つストロボから放たれるフラッシュが瞬き、ユェンの視界を閃光で焼き尽くそうとする。だが彼女はそれを野生の勘で察知し、間一髪のところで両目を閉じることで至近距離からのフラッシュも防ぎきる。

「お前もチャイナを撮影される気持ち良さに目覚めるがいい! そしてゆくゆくは全キマイラガールズのチャイナ化計画の筆頭となるのだ!」
「あああ、もう、そういうのが駄目なんだよー! たくさん迷惑もかけてるみたいだしボコボコにするよ!」

 あと心のカメラとか何を言っているのか分かんないけどそれも気持ち悪い!
 苦虫を噛んだ様な顔で、ユェンはその片腕を【ガチキマイラ】によってライオンの頭部へと変形させる。片腕から生えたライオンも彼女の心を理解しているのか、怪人に向かって唸り声をあげ咆えかかる。
 今にも噛みつかれそうな程の近さで大きく開かれたライオンの口と咆哮はキマイラ流の猫だまし。避けようとのけぞった怪人の胴体に、ユェンの鋭い蹴りが炸裂する。

「ふぉぉおぉう?!!」
「こういう格好は好きでやるから素敵なんだよ、よーく覚えておきな!」

 ユェンのキックは綺麗に怪人のみぞおちに刺さり、蹴り飛ばされて転がる怪人。
 そしてトドメに振り上げられたライオンが、怪人の頭へとがぶりと噛みつく!

「く、おおぉぉおおお!!!! チャイナは、チャイナっ子は、永遠だーーーっ!!」

 カメラを天高く掲げて、怪人アングラーローは高らかに宣言する。最後までチャイナを愛した怪人の体は爆散、その衝撃は突風となり、打ち捨てられていた大頭頭のかぶり面が、その風圧に押されてチャイナストリートの中央に吊り下げられていた大きな銅鑼のほうへ吹き飛ばされていく。
 それはまるで試合終了を告げるブザーのように、空気を震わせる銅鑼の音はチャイナストリート一帯に響き渡ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『こんこんして無限しゃぶしゃぶ』

POW   :    食べて食べて食べまくる

SPD   :    ものすごい速さで食べる

WIZ   :    賢くお肉もお野菜も食べる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●UTAGEが始まる
 ──インヤン・ストリート入口にて。
 イベントの案内役である二人のキマイラ、黒い猫耳に蝙蝠の翼を生やした青いチャイナドレスのキマイラと、白い兎の垂れ耳を揺らし黒地に金刺繍の長袍(チャンパオ)を纏ったキマイラが立っている。
 彼女と彼は猟兵たちを見つけると、体の前で拳を手で包むお礼の仕草を見せた。

「にいはお~~! あの気持ち悪いカメラの怪人を倒してくれてありがとね!」
「ニィハオ、……助けてくれてありがと。まぁ、楽しんでってください」
「にゃぁーん、うーちゃん、もっと笑って愛想よくしなきゃだめでしょ! さっきみたいにかわいーく、え・が・お!」
「黒歴史まっしぐらの事件を思い出させるなよ!? ……ええと、それはともかく、パーティー用に無料でチャイナ衣装の貸し出しもしてるんで、もし良ければ」
「素敵なチャイナストリートで、楽しーい思い出、作っていってにゃ!」

 さあ、準備はいいか猟兵たち!
 中華街丸ごとコンコン、美味しいしゃぶしゃぶパーティーの始まりだ!
 ちなみに食材は中華と関係無いものも出るのでご安心されたし。
 この中華街において、食べられるならそれはすなわち中華なのだ!
ハロ・シエラ
に、にぃはぉー……
皆もチャイナ衣装なのでちょっと慣れてきましたけど……やっぱり視線が気になります、これ!
……でも何だか楽しくなってきたのも事実です!
しかしこんなコンコンで食材が出るとは。
非常に羨ましい世界です……
ええと、では折角なので普段食べないようなものを。
お肉とか、お餅とか……
あ、餃子とかいいんじゃないでしょうか?
私はどっちかって言うとシュウマイ派ですけど、あんまりシュウマイ茹でないですしね。
この鍋のお湯に味をつけてもいいのでは?
こう、中華っぽく……そうなるとワンタンとかも嬉しい。
しゃぶしゃぶじゃなくてお鍋になる、ですか?
ダークセイヴァー出身の私には、その二つの違いが良く分からないのです。


パティ・チャン
(WIZ)
よろしくです!
それにしても、あれだけの目にあわされても、まだ着ますか>チャイナ服
いやいやいや。それはここでは問うまい、ですね。

えーと、これは火鍋でしょうか?

さて、どっちにしても、間違って鍋に転落しないように気を付けなくちゃ!
(えーと、ミニチュアの食器類はありますでしょうか?)

衣装の貸し出し……は、サイズがないので、今回は見送ります。
(でも、妖精族の仕立屋さんにお願いするかも知れないので、しっかとデザインは覚えておく)

最初、麻辣味火鍋に手を出してしまい、あまりの辛さに、誇張なしに吹っ飛び上がる。

結局白湯鍋のほうだけ、野菜とお肉を入れて食べます。



●コンコンするほど笑顔も増えるね
 インヤン・ストリート大通り。
 そこにはしゃぶしゃぶ用の鍋が置かれた円卓が通りのあちこちに設置されており、チャイナ服のキマイラたちはその鍋を囲み、思い思いの場所をコンコンして見つけてきた具材でしゃぶしゃぶを楽しんでいる。

(それにしても、あれだけの目にあわされても、まだ着ますか)
 そんな彼らの懲りないともいえるチャイナへの執念、愛にパティも半目になってしまうのも、やや致し方ないものだろう。とはいえ。
(いやいやいや。それはここでは問うまい、ですね)
 互いが着るチャイナの色や柄を互いにこれがいいの、それカワイイなどとしゃぶしゃぶを食べるのもそこそこに褒め合っているキマイラの姿を見て、パティも笑みを浮かべる。
 そんな彼女の手には、ドールハウスに置かれるような、ミニチュアのお椀。彼女の手に収まる中華っぽい笹とパンダの描かれた椀は通りの一角にある模型店からフェアリーである彼女の為に借りてきたものだ。

「かっっっらっ!!!」
 試しに食べてみた麻辣味火鍋に文字通り飛びあがってしまったパティは辛いのはこりごりと、白湯鍋に野菜と一口大に切られたお肉に舌鼓を打つ。ここがキマイラたちの街である以上、彼女のサイズに合うものが無いのもやや寂しくはあるが。
 着ることの出来なかったチャイナだけは後日仕立て屋さんにお願いすることもあるだろうしと、周囲に見えるチャイナのデザインを覚えておこうとじっくり目に焼き付けるパティであった。

 その横できょろきょろと、これまたキマイラたちの様子を見て目を輝かせているハロ。周囲もそろってチャイナなので今の格好にも慣れてはきたものの、まだやはり視線が気になってしまうらしく、鍋をつつく動きもぎこちない。
 だが、聞こえてくるざわめきと時折聞こえてくる笑い声にハロの中で楽しさが増してきたのもまた事実。

(しかしこんなコンコンで食材が出るとは。非常に羨ましい世界です……)
 常に物資に乏しい彼女の世界とは真逆の様相に、もぐもぐとさっと湯にくぐらせたお肉を頬張りながらしみじみ。折角だから普段は食べれないようなものを、と思ってあれやこれやとコンコンして具材を集めてきたハロだが、お餅にお肉に、試した結果辿りついたのは餃子であった。

「私はどっちかって言うとシュウマイ派ですけど、あんまりシュウマイ茹でないですしね」
 ハロは更に鍋のお湯にも注目。
「ただ茹でるより中華っぽい味をつけてもよさそうですね……そうなるとワンタンを入れるのも良い気がします」
「味を調えたら、それはお鍋になると思いますよ……?」
「そうなのですか? お鍋としゃぶしゃぶと、何が違うんでしょう……?」
 鍋を前に思考錯誤するハロにパティが横から意見を述べるものの、二つの違いを明確には知らないハロは不思議そうな顔で首を傾げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルク・フッシー
あ、クヌギさん!ぼ、ボクです、ま、前にイカと戦った時にお世話になったルクという者です!
戦いには参加出来ませんでしたけど、遊びに来てしまいました…(話しながら中華街などの絵を描いている)

ここは人がいっぱいで、緊張してたんですけど、し、知ってる人に会えてよかったです…(恥ずかしそうに、と顔を赤らめて)よ、よかったら、一緒に食事しませんか…?

(コンコン)あ、お肉ですね、美味しそう…(コンコン)お魚や野菜もおいしいです…
(コンコン)イカ…は、ぼ、ボクが食べますねっ!(慌てて)
(コンコン)…あれ?何も出ませんよ…?(【名状しがたい何か】が出てきた。ルクにはこの物体が見えないようだ)



「あ、クヌギさん!ぼ、ボクです、ま、前にイカと戦った時にお世話になったルクという者です!」
 ぴょんと手を挙げて、クヌギに手を振るドラゴニアンの少年。
「やぁ、誰ぞかと思えばいつかの! お久しいな、ルク君!」
「戦いには参加出来ませんでしたけど、遊びに来てしまいました……」
 るんるんとしゃぶしゃぶを食べ尽くす気概でインヤン・ストリートを歩いていた甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)へとそう声を掛けてきたのはルク・フッシー(ただの少年、ただの絵描き、ただの猟兵・f14346)だ。彼はその手に持った絵筆で、中華街の様子をスケッチブックに描きながら、少し恥ずかしそうに笑う。

「戦い終わった後に楽しんでいくのも我らの特権よ、遠慮せずに食っていくのがこの街のキマイラたちにとっても善き思い出となろう」
「ここは人がいっぱいで、緊張してたんですけど、し、知ってる人に会えてよかったです……」
 もじもじ、人見知りの激しさゆえか赤い顔のルク。ぱちぱちとその目を何度か瞬かせて、彼はそっと様子を伺うように問いかける。

「よ、よかったら、一緒に食事しませんか……?」
「おお、ありがたい申し出であるな。我輩もあちらの方でさきほど美味い伊勢エビがコンコンしたら出てきたと聞いたのだ。早速食いに行こうではないか!」

 そうと決まれば話は速いと、応とクヌギは頷いて。
 わははと大きな声で笑いながらルクの手を引いていく。

 コンコンすれば湧き出る湧き出る、お肉に野菜にお魚に。二人は共に鍋を囲んで、お腹からほっこり温まるようなおいしいしゃぶしゃぶに自然と生まれるにっこり笑顔。
「ムッ、こ、こやつはもしや、イ」
「イカ……は、ぼ、ボクが食べますねっ!」
 などと、ちょっとしたトラウマを思い出しかけたクヌギと慌ててイカを掴むルクというアクシデント未満のこともありつつ。
「……あれ?何も出ませんよ…?」
「いやぁ……中華とは、奥深いものであるのだなぁ」

 うねうね、ルクの背中の遠くでうねっている名状しがたい謎のナニカを視界に収めて、改めて三千年の歴史ってすごい。クヌギとその場に居合わせたキマイラたちは、気づかないルクを横目にそう思ったそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
(衣装は変わらず青のチャイナドレス)
【POW】
牛肉を湯に軽くくぐらせ、わずかに赤みが残った状態でゴマダレをたっぷり絡めて一口
食べる姿は上品でかなりに様になっている
ただし、机の下にドル箱のごとく詰まれた空の皿を無視すればの話ではあるが
(母さんの作る料理、毎回ものすごい量作るけど、結局3人で食べきっちゃうのよね。)
フードファイター顔負けの大食いの所以である

「でもちょっと物足りないわね。」
と言って懐から辛味の素を取り出す
常人だったら一舐め悲鳴を上げるそれを豚肉にたっぷりつけて一口
「やっぱりこの手の料理は辛味が一番ね。」



 鍋の中、ぐつぐつと煮立ったお湯に薄く切った牛肉をさっと軽くくぐらせ。
 わずかに赤みの残る肉に胡麻ダレをたっぷりと絡めて。
 まるで肉が自分から吸い込まれていくかのように、一口でいただきます。
 
 唇の端にはタレは一滴もついてはいない。肉をくぐらせ、タレに絡めて口に運ぶ挙措のひとつひとつが流れるように繋がっており、上品さを感じさせる公明の食べ姿は見るものにあれはどこの令嬢かと思わせるほどに様になっていた。

「ふふ、美味しい。次はどのタレで食べようかしらねー」
 そういって眼鏡のツルに手を添える公明……その足下、青いチャイナドレスの側に山と積まれた空き皿がドル箱の如く積み上がっていなければ、の話だが。
 そのフードファイター顔負けの健啖家っぷりには、周囲で同じようにしゃぶしゃぶを楽しんでいたキマイラたちも思わずざわざわ。また一枚皿が積まれる様に今度は拍手が送られる。

(母さんの作る料理、毎回ものすごい量作るけど、結局3人で食べきっちゃうのよね)
 ……家の食卓に山と置かれる料理の数々を思い出す公明。腹八分目とは言うけれど、この様子ならまだまだ食べれそうねとぶりの刺身を箸でつまんで上品に、これで何皿目なのかと思わせるほどの気軽さでぱくぱくと口に運んでいく。

「でもちょっと物足りないわね。」
 素材の味とタレの組み合わせを味わえる湯に通すだけのしゃぶしゃぶも美味しいが、折角中華街まで来ているのだし。
「やっぱりこの手の料理は辛味が一番ね。」
 足りない刺激を補うのは、公明が懐から取り出した辛みの素。
 近場でラベルを見た者が、ぎょっとした顔になるほどの知名度を誇るそれ。一口舐めればあまりの辛さに常人なれば誰しも悲鳴をあげてしまうそれを、公明はなんとたっぷりと豚肉へつけてぱくりと一口で食べる。
 けろりとした顔、むしろ微笑みさえ見せる公明を、キマイラたちは後にチャイナグルメクイーンと呼んだとか、呼ばないとか。


 見渡せば、そこには笑顔が咲いている。
 可愛い猫耳のキマイラも、格好いいイケメン獅子頭のキマイラも、梟に似たシブいお爺さんキマイラも、熱帯魚に似たヒレを持つ綺麗なキマイラも。
 みんな、笑顔で、みんな、チャイナ。
 一人残らずチャイナだが、そこにあるのは互いをリスペクトする気持ち。
 それを守れたことは猟兵たちにとってきっと何よりもいい経験になっただろう。
 やはり、チャイナはいいものですね。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月12日


挿絵イラスト