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ニコラウス曰く、袋が足りていない

作者：にゃあら

●灯火が橙や蒼に染まると誰が決めたのか、最早、幸せを求めたアリスに地獄はない
　スプラーーーッシュ！！！
　ホワイト・クリスマスに凍えたアリスは貰い物、マッチのぬくもりに縋りついた。憑かれたようにじぃっと見つめる先々にはたくさんの幸せ――それはもう夢のようなワールプールだ、レヴィアタンの蠢きも掠れてしまう――呑まれるような、溺れるような心地に囚われて削れていくのは命だろうか。嗚呼、それでも、たとえ🌈の彼方に飛ばされたとしても――アリスは針鼠（きもちいい・わるい）の奴隷に違いない。
　鬼さんの拍手に招かれて愈々ぐるぐる落っこちた――早く救い上げないと燃え尽きて終う。ほら、今度は君も手をとって――！

●グリモアベース
「隣人ちゃんですよ！！！　メリークリスマスにぐるぐるするなんてテメェ等幸福ですね！！！　アリラビ特急にご案内ってやつです！！！」
　グリモア片手に目隠しメイドはハイテンション、普段通りとも言える声色で猟兵達を『みて』笑った。
「んー。どうやらオウガがアリスに『幸せになるマッチ』を渡したそうで。まあ勿論やべえ代物なんですが――使えば使うほど命を燃やすってもんで、こりゃもぉ止めなきゃいけませんね！！！」
　聖夜のマッチに宿るのはブラックな思いに違いなく、アリスは騙されているのだろう。無理矢理取り上げるか説得するか、全ては君次第と隣人(それ)は告げた。
「それとですね。マッチが魅せる幸せとやらがまあぐるぐるしているもんで。気をつけろっておはなしです。テメェが呑まれたら世話なりませんからね！！！」
　グリモアが輝いて。

第1章 冒険 『しあわせなクリスマスの迷宮』

POW   :    幸せな幻を気合でねじ伏せる SPD   :    迷宮の構造を推察し、効率よく駆け抜ける WIZ   :    アリスを説得し、マッチを手放させる 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　盲目なんて勿体ないと思わないか、使用済みのマッチがぷすぷすと嗤っていた。複雑回喜に造られた迷宮(ラビリンス)が猟兵の目の前でぐるぐるしている。これを突破し、アリスを説得しなければたいへんな命(め)に遭うだろう。急げや急げ、ニコラウスはあわてんぼうだったのだ。
　🌈色の雪を眺めたくはない。


　炸裂寸前の銃撃（リビドー）のなんたる聖夜（ナイト）か、分裂（カオス）に塗れた人格性（うちがわ）も今宵（いま）だけは赦されている。嗚呼、とても幸せになるマッチの数本だ、これは合法阿片（おくすり）を越えるふわふわ性だろう――鳳鳴！　僕がアリスの注意を惹くからその隙に奪い取るんだ――この世が小さな四角形（フィールド）と謂うならばつまり現実（うつつ）のオマエは無敵である。
　ふんふんふんふん、ふんふんふんふん、ふんふんふんふん――迷宮踏破（ゴール）する事は容易かった、あとはアリスの四方八方で攻撃（カバディカバディ）するだけか。それともディーフェンス叫んだ方が好いだろう。悲鳴が止む事はない――そりゃオマエ全裸だからね。百足さんと象さんだったらどっちがマシ……？
　拙僧の幸福は変態（こいつ）から離れることだ――本音！！！　心の底から、魂を燃やしてでも叶えたい幸福（ゆめ）！　主人格（きみ）の言辞（ロゴス）は遂に、サンタ・クロースが叶えてくれるのだ――ダメだ鳳鳴！　望んではいけない！

　正気に戻れ！！！！！！！！！

　パーフェクトヘンタイ・メタモルフォーゼなくともオマエ、姿形を模倣（まね）る術は多い。布でも帯でもなんでも持ってきて犠牲者（あのこ）にプレゼントだ。つまりは酔いではないか、この拘束と高速の回転（リンネ）からは逃れられない――やめろ何をするぐわああああああああああ！！！？？？　躊躇いなし！　異常なまでに楽しそうなメイルシュトロム！！！
　僕も一緒に！　自動でも手動でも構うものか主導権は回転椅子（いす）が有している。鈴の音と明滅（あかはな）の狭間でメリー・なんとか！　刺激された胃袋（ふくろ）が🌈（プレゼント）をぶち撒ける！！！
　ああ僧が！　僧が！！！！！！
　アリスの正気が削れていく、ついでにもらい🌈！！！
　片付けはみんなで仲良くね。

成功 🔵​🔵​🔴​

　大団円（デウス・エクス・マキナ）の召喚に必要なのはニコラウスの言辞（ロゴス）ではない、いかれた世界（すべて）を包むかの如く尖塔（タワー）は雷（エネルギー）に触れたのだろうか。なかなか意地悪な鬼（オウガ）ですね。塑の虚（あな）を想わせる眼窩（うず）には果たして『しあわせ』目薬が合うのか、遭い言葉（ワード）を求めているほどに迷宮入りしていく――見せてあげましょうか、さらなる幸せ、マイナスもプラスもない王様。
　蜿蜒（へび）じみて永久（つづ）く路にも音は届くに違いなく、正気に縋っているアリスには丁度好い枕なのだろう。そう成れば笛（わたし）のやれることはひとつだけ――接吻（そ）えたのは捻じれ曲がったよくあるフルート、かぼそい単調な悪夢（ナイトメア）。表現の仕方は個人の自由だと作者（きみ）は告げたのか。
　思い出してください。思い出して『み』てください。あなたは何処までも膨張する混沌で在り何処までもまどろむべき無秩序だ。今ひとたびの安寧と共に、怠惰な玉座でお休みください――ふふ。闇と霧が眩暈（かさ）増す頃、人型は呆然としていた。
　そんな事は些細な意識（もの）でしかない。聞こえる乱打にとろける視線（みどり）、腐れたような炎柱（ほのお）の舞踏（おど）り。私の旋律（おと）と合わせ、あなたが何者かを教えてくれるでしょう――正直者は頷く首を落とし、足と手を失くすのか。
　では、おやすみなさい。最下（いやした）の世界（いち）から沸き立った非物質（もの）はどろぐちゃと真実（ゆめ）を孕んでいく。それは一切が観察出来ない『いい』物語と考えられた。いあ、考えられる脳（はず）もない。
　白痴の神は酸味を判断成せずに、ただ、🌈色の泉に浸かっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

　グビリと咽喉を鳴らした聖人が喇叭の響きを倣っていたのだ。
　――むかえにきた馴鹿は赤っ恥をかく。

　鬼（オウガ）の目に称えられたのは涙ではなかった、硝子細工の器（カップ）に這入り込んだ妖精（アリス）は如何抗えば好い。何度も何度も発狂（イカレ）た面してマッチを酷使（つか）う他にない。どんなに幸せでも幻は幻。現実に戻った時の落差なんて『考えたくもない』と盲目（アザトート）が吼えている。このまま、ずっとずっとキラキラな🌈を生産したいのか。沈む前に引き上げてあげないとね――もう手遅れだって事を忘れていないか、そりゃオマエのカタツムリ強度に等しい。
　眼前（めまえ）に茫々（ひろ）がる迷宮（ラビリンス）のなんと汚物（おうと）な事か。知っているなら騙されないけれど、嗚呼、それでも悪臭からは逃れられない。邪魔するものにはエチケット袋を渡してやろう。おめかしする前にあやかしをペタリ、女中さんは今日も大忙しだ――クリスマス・パーティだってのに師走（ほうき）じゃ足りなかった。

　幸せが見たいだけなら神に縋って吹っ飛ぶと好い。いくらでも『みせてあげられる』と断言（た）ったオマエの貴婦人性を教えてくれ。たとえば黄金色に煌めく魔術的な要素、さっきの魔笛（フルート）につられて顕現（き）たのか。いやいや、お酒呑んで周って全部嘔吐（わす）れるのは流石に違うかな？　ハスターだったかハスタリクだったか『羊』の鳴き声は聞こえやしない、だから『大丈夫』飲むのは私（オマエ）だけ。

　右を見ても左を見てもお隣さんの表情（かお）しか浮かんでこない。ならば『やるべき』事は定められている。漂ってきた馥郁につつかれてもうたまらなく大回転したいのだ。そうともぐるぐるしてキラキラして以下省略、さあ、手を繋ぐ時が訪れた。もう嘘偽りの朦朧（ふらふら）じゃ満足出来ない現実（からだ）にしてくれ――こぼれおちたマッチ、見上げればアルデバラン。一番星（クリスマス・ツリー）の明滅。
　逃げないで。逃がすつもりもないけどね。逃げる所以も息絶えた。ふわふわ飛翔（よ）ってきた君と悪鬼羅刹のオマエ、わけもわからずにアリスは脱力してしまった。手放した手放したサンタクロースのプレゼント、おくすりごっくんする暇もない。

　ぐーるぐる。ぐーるぐる。正気おとしてぐーるぐる。
　ぐーるぐる。ぐーるぐる。クルクル謳えよユールユル。
　宙、こんなにも近い頭と頭、お互いの目がオモシロい。
　スプラッシュ大歓迎――！

　あーはっははは！　ははははは！　三人（ぜんいん）の體（ぱん）が撹拌（ひと）つに成ったら世界は何処までも小渦巻。僅かにこまかに回転（ぐるぐる）してあははの笑いが留まらない。あとは女中さんも犠牲者（さら）ったら最高だ、こんな僥倖に巻き込まれるなら火（あか）なんてツマラナイ。これであとは目を回して、なにもかもを忘れて終うと好い。アルコールを啜らなくても雰囲気に溺れる。

　うめくような音（もの）と同時、🌈の波がふいた。
　みんな揃って天を知ろう、どろどろシュトーレン。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2021年12月27日