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急募:勇者を倒してくれる人

#デビルキングワールド #お祭り2021 #クリスマス

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●拝啓 親愛なる猟兵の皆様へ
 12月25日は何の日かご存知でしょうか?
 そう、わたくしの誕生日です。そしてクリスマスでもあります。
 わたくしのお城……の、庭で慎ましくはありますがパーティを開きますので、よろしければご参加ください。美味しい料理と楽しい時間をお約束します。
               Estrela Pisca-pisca

●じんぐるべる
「しょうたいじょうはおくりました! おりょうりもとてもおいしそうです!」
 魔王城……は建築中なので、その庭で。
 エステレラ・ピスカピスカ(ぜったいくんしゅ・f31386)は右良し、左良し! と会場の様子を確認し、パタパタと背の羽を動かして3cmほど浮かんだ。
 城前広場となる場所は如何にも建築資材っぽいものが布を被せられて隅に置いてあるが、大きなテーブルがいくつも並べられ、テーブルの上には美味しそうな料理がたくさん並んでいる。
 薔薇の形のサーモンやローストビーフにローストターキーといったクリスマスっぽい料理に、艷やかで美しくも愛らしいスイーツたち。ビュッフェ形式で食べられるそれらを見て、エステレラは満足気にうんうんと頷いた。
「ああ! みなさんきてくれましたね! ようこそわたくしのおしろへ!」
 会場と解るように白い風船をたくさんつけたゲートを誰かがくぐれば、エステレラはパッと笑顔を見せる。
 ――が。
「えっ」
 エステレラの笑顔はそこで固まってしまう。
 そこに居たのは羊の群れ――否、勇者の群れであった。

●まけました
「わーーーーん、たすけてくださいーーーー!」
 グリモアベースに駆け込んだエステレラが泣きついた。
「わたくしのおしろがのっとられてしまうかもしれません……ゆうしゃがいっぱいいます……せめてきたのです……」
 ぐすんぐすんと泣くエステレラは、羽の眷属セラちゃんにあやされながら何とかそう口にした。
 そう、勇者が攻めてきたのである。群れを成して。

 ――そんなエステレラの背後では。
『ドッキリです!』の看板を持ったセラちゃんと、『説明しましょう! デビキン式クリスマスは「楽しいパーティ会場で突然何か凄いドッキリをやって、最終的に皆を一番びっくりさせた奴が優勝」というルールがあります!』と書かれた垂れ幕を持ってパタパタと飛んでいるセラちゃんたちがいた。
 そう、エステレラは気付いていない――と言うかクリスマスパーティが初めてなので知らないのだが、実は領民たちが仕掛けたドッキリで、エステレラ以外の配下や領民の皆には周知済みの案件なのである。
 ワルの遊園地からやってきたヒーローアクターたちの姿を見たエステレラが「勇者がいっぱい来た!」とビックリすればすぐにネタばらしされる予定だったのだが、ビックリしたエステレラは泣きながら逃げ出してしまったのであった。
 エステレラはいずれ世界に名を轟かせる(予定は未定)魔王ではあるが、今はまだあまりにも弱い魔王なのである。

 最後にふわり、垂れ幕を持ったセラちゃんが浮かび上がる。
『ヒーローアクターをびっくりさせてください!』
 勇者役のヒーローアクターたちがビックリすれば、うわーやられたーと言うことで改心した体でパーティを楽しむことが出来るし、エステレラも安心してパーティを楽しむことが出来るはずだ。
 もう一度「たすけてください」と口にしたエステレラはゲートを開き、怖い勇者を倒してくれる猟兵たちをパーティへと招くのだった。


壱花
 メリークリスマス! 大変だ、勇者の群れだ!
 壱花です! デビキンからクリスマスをお届けします。

 このシナリオは一章のみで終了します。

●シナリオについて
 グループでのご参加は【何名でも】。
 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。

 受付期間:12/26(日)8:31~ 12/28(火)23:59まで

 失効までの期間内に書ける範囲での採用となりますので、ありがたくも多くのご参加を頂いた際は流れる可能性もあります。特に受付最終日のプレイングが多いと流れやすいです。(オーバーロードは後からのんびり書きます。)
 5名からの団体様がもしありましたら、最終日か以降(苦しければ「29日にお願いします」の案内が出ます)にお願いします。

●ドッキリ!
 ヒーローアクターたちは領民たちが遊園地から呼んだひとたちです。ワルいひとではありません。ビックリさせようとすれば、サービス業のプロなのでビックリしてくれます。
 アクターたちに攻撃アクションをして欲しい時は、UCのPOW/SPD/WIZでご指定ください。悪魔なのでふっ飛ばされたりしても大丈夫ですが、広範囲で会場が壊れてしまったり被害が出るものは上記の『迷惑行為』にあたるのでお気をつけください。

●パーティ!
 ドッキリさせたら立食パーティをお楽しみください。
 クリスマスビュッフェでありそうな料理は色々置いてあります。見た目は少しデビキン仕様になっていたりはしますが、どれもとても美味しいです。

●グリモア猟兵
 エステレラがいますので、お声掛け頂ければ反応いたします。

●迷子防止とお一人様希望の方
 同行者が居る場合は冒頭に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載をお願いします。また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。

 それでは、素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ワルの遊園地のヒーローアクター』

POW   :    そこまでだ!
【登場テーマ】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【舞台装着】で囲まれた内部に【裁きの氷柱(演出)】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD   :    行くぞ!トナカイザー!
自身の身長の2倍の【トナカイザー(役名)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    これでトドメだ!ラムサスソード!
【必殺のラムサスソード(技名)】が命中した対象を切断する。

イラスト:RAW

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●エステレラからの勇者情報
 ゆうしゃはとてもつよそうです。いえ、つよいにちがいありません!
 おおきなけんとたてをもっているのです。すごくてつよいゆうしゃです。
 からだももこもこしているので、きっとこうげきをきゅうしゅうしてしまうのです。つよそうなよろいもつけていましたし、きっとわたくしではかないません。つよそうでとてもこわいです……。
 めもキリッとしていて、わたくしをたおすきまんまんなかんじでした。
 ぜったいにつよいです。つよくてすごいゆうしゃのむれにちがいありません!


 ……という説明を受けてゲートを潜ったあなたたち。
 迎える『強くてすごい勇者たち』、その実態は――愛らしいもこもこ羊であった。
ファルファラ・ガーデンニア
メリークリスマス、そして誕生日おめでとう。
可愛いらしい魔王様。
まさか普段引きこもってるような僕にまで招待状が届くとは思わなかったよ。
招かれたのならば無碍には出来ないからね。

(現状を確認すると大きくため息をついて)
デビキンの慣習が仇になったね。
クリスマスなら許されるけど誕生日も兼ねているならもう少し加減しても良かったかもね…。

UC【浸食】
敵を蔦を巻きつけて動けなくする。
ついでに可愛らしい花もたくさん咲かせて。

お花は可愛らしい魔王様に…誕生日プレゼントだよ。

ん、これでいい?

さて、食事でも楽しもうかな。



「メリークリスマス、そして誕生日おめでとう。可愛いらしい魔王様」
「あ、あなたは……!」
 聞こえた声にエステレラが顔を向けると、手にした招待状を振ってみせながらファルファラ・ガーデンニア(花の悪魔の魔王・f31697)が悠々と入り口のアーチを潜って会場へとやってきた。
「僕にまで招待状が届くとは思わなかったよ」
「ファルファラはボートレースにもでれるステキなまおうではありませんか!」
 招待状を送るのは当たり前だと大きく頷くエステレラ。そしてエステレラと会場の状況を確認すると、ファルファラはふうと大きくため息をついた。
 魔王たる者、当然デビルキングワールドの習わしは知っている。知っていて色んな事が肌に合わずに引きこもったファルファラとは逆に、エステレラは魔王の娘として箱入りで育ちやっと外と交流を持とうと王城の門扉を開いた魔王だ。
「クリスマスなら許されるけど誕生日も兼ねているならもう少し加減しても良かったかもね……」
 ファルファラが静かに手を上げると植物の種が降り注ぎ、そこから蔦を伸ばしてしゅるりとヒーローアクターたちを絡め取る。
 ぽぽぽぽぽんと花が咲いていく姿に、エステレラはわあと口を開けた。
「可愛らしい魔王様、はいどうぞ」
「ありがとうございます! とってもおつよいのですね」
 お花は誕生日プレゼント。
 蔦が巻き付いて身動き取れない勇者は怖くはない。
「食事でも頂こうかな。お勧めはある?」
「それでしたら!」
 エステレラはファルファラを白薔薇のムースの前に案内するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
♢♡
ドッキリで驚かすのがデビキン流クリスマスて、なんかそんな予感はしてたんや
とはいえ、主がいないことには話にならんでな
せっかくやから頑張らせていただきますわ!

こんな時こそうってつけの技があったんや
【バ美肉】パワーで驚かせ力アップのオネェ馬飼家にへーんしん!
8頭身ボディ+ドレス+金髪ロングのヅラを被って「後ろ姿だけは」絶世の美女
しかしクルリと振り返ると……

たこ焼きヘッドの液晶画面にはバッチリメイクのオネエ顔が!
濃ゆい白塗りに目ヂカラシャドウも口裂けリップも立体感チークもバッキバキで、やりすぎてむしろ悪魔的ヘビメタバンドっぽく見えなくもない
そんな謎生物がニヤリと笑って

「ア~タ~シ~キ~レ~イ~?」

……あ、ピィピィ泣いて逃げよった。すまんの

全員集合したら変身解いて、いつもの姿=ぽよぽよボデーとナニワルックでパーティーや!
甘いスイーツに豪華な肉料理!
なーんてカロリーと糖質に溢れたワルイごちそうなんや!
(満面のえびす顔でデビキン式誉め言葉)


城野・いばら
♢♡たすけます!
メリーな日に意地悪なんてめっ、なのよ

【ビッグいばら(ぬいぐるみ)】を創造して
羊さん達に停止を呼びかけるわ
…なぁに?マダム・リリー
ぇ、え?ビックリしてもらうの?
どうすれば…羊さんチラ
が、がおー!

驚かせるのがデビキン式のクリスマスなのね
ふふ、とってもふしぎ
何はともあれ
はじめて訪れた世界の
はじめてのパーティーだもの
楽しまなくちゃ
この世界のお話も聞きたいし
珍しいお料理も沢山ね

先ずはグリモアのアリスにご挨拶
招待のお礼と
細やか乍ら、お祝いにバラを贈りたいわ
急ごしらえだけれど
おめでとうの気持ちはリボンで確り結んだの

雨がたっぷり降った後は
ね、花咲くような笑顔が見たいな
ハッピーメリーバースデー!


索・緑蘭
あらあら、勇者がこんなにたくさん攻め込んじゃってるわね。

ヒーローアクターさんがトナカイザーで攻めて来たら、UCで大きい袋にトナカイザーを転移させてよしよししちゃう♪
アクターさんが「参った」と言ったらそっちもよしよし。
後は一緒にパーティを楽しむわね。

何だかすてきなクリスマスになりそうね♪


栗花落・澪
※即席連携、アドリブお任せ

もこもこにつられた…!羊…!!!かわいい…!
どっきりあんまり得意じゃないんだけど
ユーベルコード使ってもいいのかな?
優勝…は、無理かもだけど
僕ももふもふできてびっくりさせられる一石二鳥の簡単な方法

透明人間になって飛びつきどっきり企画…!

【指定UC】発動
透明になったうえで足音を立てないよう翼で浮遊し
もふも…ヒーローアクター達の傍にそっと近寄って
頃合いを見てUC解除しながら突撃どーん☆
えへへ、どう? びっくりした?
もふもふだぁーもふもふー♪
※基本無邪気いい子過ぎてデビキンムーブができない子

もふもふと同じくらいパーティも楽しみたいな
主にスイーツとかスイーツとかスイーツとか…!




 ちらちらと天からの贈り物もあるこの日は、デビルキングワールドとてクリスマス。ただ少し、それが他の世界とは違うものではあるけれど――それでもデビルキングワールドならそんな祝い方でもおかしくはない。というかむしろ、楽しみに飢えた悪魔たちならそれくらい普通にするだろう。
 なんてことを元から思っていた馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)はエステレラの話をうんうんと聞いてやり、「わいに任せときや」と快く引き受けた。
「こういう時はな、こうするとええんや」
「えっ、そんな……」
 にんまりと笑ったたこ焼きテレビウムに、エステレラは目を丸くするのだった。

「驚かせる相手が逃げてしまった時はどうすればいいんだ……?」
「すぐにネタばらしするはずだったのに……」
「でもまあ、驚かせるかパーティを愉しめばいいのかな」
 顔を合わせて首を傾げ合う、ヒーローアクターこと『勇者』の面々。
 ドッキリの後は一緒にパーティを楽しんでいいと聞いてきている彼等は、とりあえず料理を頂こうかと移動していた。
「おい、見ろよ。すごい美人がいる」
「後ろ姿だけじゃわからないだろ……いやでも、すごい体型だな。女優か何かか?」
 長い手足を伸びやかに動かし歩くドレス姿の女性が、豊かな金髪を揺らして勇者たちの前に居た。パーティだし有名な女優か魔王かも、なんて勝手に期待が膨らんでしまう。
 女性の髪が揺れた。
 あ、振り返る――と、ごくりと誰かの喉が鳴る。
「ア~タ~シ~キ~レ~イ~?」
「ヒッ」
 振り返ったそこにあったのは美しい顔ではなく、液晶画面に映る濃ゆい白塗りのオネエ顔。ドラァグクイーンめいた長い付け睫毛にどぎついくらいのシャドウに、口裂けリップはテラテラとグロスの輝きを放ち――その顔がニヤリと笑うものだから、勇者たちはびょんっと飛び上がって逃げていった。
 正直ちょっとやりすぎたかもしれない。
「あらあら、勇者がこんなにたくさん攻め込んじゃってるわね」
 それでもまだ、勇者はたくさんいる。
「ドッキリ……? えっ、羊……!!! かわいい……!」
 赤いチャイナ服の美女――索・緑蘭(魔界のイカサマ雀天使・f31867)が頬に手を当てて微笑むその後からやってきた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思わず両頬を押さえた。強くてすごい怖い勇者って聞いてきたのに、可愛い羊なんですけど!?
「む! 新たな魔王(ゲスト)の気配か! 行くぞ、トナカイザー!」
「あら、可愛いトナカイさん♪」
「と、トナカイザー!?」
 ヒーローアクターによって召喚されたトナカイ役のアクターへと緑蘭が予告状を放ち――そして、消えた。
 転移先は緑蘭が手にしたどろぼう袋の中。もごもご動く袋をよしよしと撫でながらどうする? と視線を送れば、驚きを隠せずにいるヒーローアクターは参ったと両手を上げた。
「あなたも素敵なお仕事だったわね♪」
 降参した勇者にもよしよししてもふもふした。
「……くっ! アイツがやられたって、俺たちはまだいるぞ……!」
 ヒーローアクターたちは勇者役を演じることを忘れない。悪に屈せず立ち向かう勇者を演じてポーズを取ってみる。
 しかし。
「う、うわあああ!」
「えへへ、どう? びっくりした?」
「って、あれ、びっくりした……」
 ポーズを決めたところで、何かがいきなりどーん☆と飛び込んできた。何も見えていないのに突然衝撃があってびっくりしたが、驚きに見開いたつぶらな瞳をパチパチすればそこには澪が悪戯めいた笑みを浮かべていて。
「ふふ、やった。透明になって、近寄ったんだよー」
 タネを明かせば、なるほど! とまたヒーローアクターの瞳が丸くなった。
「ねぇ、もふってもいいかな?」
「我が身は敗れてしまった身……好きにしたまえ」
「わーい、やったぁ! もふもふだぁーもふもふー♪」
 ぎゅうと抱きしめて、もふもふ。
 またひとり(一匹)、勇者が退場した。
「み、みなさん……!」
 猟兵たちの戦い(ドッキリ)によって、勇者たちが懲らしめられている。(ようにエステレラには見えている。)
 勇ましい姿に、エステレラはぎゅうと拳を握り勇気を貰ったような表情となるが、やはり勇者が怖いのだろう。翼の中に縮こまる。
「メリーな日に意地悪なんてめっ、なのよ」
 そんなエステレラの前に大きないばらの姿をしたぬいぐるみ――『ビッグいぱら』を立たせてエステレラを隠した城野・いばら(白夜の揺籃・f20406)はキリッと眉をあげてひとつ指を立てた。
 けれど、いばらに有ることも無いことも教えてくれる『マダム・リリー』がいばらに呼びかける。
「ぇ、え? ビックリしてもらうの?」
 めってバシッとしたり、出ていって! てするのではなダメなの?
 ビックリって……どうすればビックリしてくれるのかしら。
 いばらだったらどうされればビックリするのか……。
 ちらりと勇者たちを見て閃いたいばらの答えは――。
「が、がおー!」
 いばらが指を折り曲げた勇ましいポーズ(に、エステレラが見えるポーズ)を取れば、ビッグいばらも同じポーズを取るものだから勇者たちはビックリ!
「改心、したのかしら」
「すごいです、つよいです!」
 エステレラが羽をパタパタさせて3cmほど浮かんでいるので、きっと良いのだろう。
「あ、そうだわ。――初めまして、グリモアのアリス」
 スカートを摘み、改めてご挨拶。招待のお礼を述べてから、良かったらといばらは白い薔薇を差し出した。
「お誕生日おめでとう、アリス」
「わあ、うれしいです! ありがとうです!」
 急ごしらえだけれど、おめでとうの気持ちはリボンで確りと結んである。パッと表情を明るくしたエステレラには、さっきまでの怯えた色はどこにもない。
「おりょうりにもしろいバラがあるのですよ」
 いばらが見たいと思った晴れやかな笑みを浮かべたエステレラが料理の並ぶ机へと案内する。
 悪い勇者を改心させたなら、勇者も魔王もいっしょにパーティを楽しもう!
「甘いスイーツに豪華な肉料理! なーんてカロリーと糖質に溢れたワルイごちそうなんや!」
「わがしろのシェフがうでによりをかけた、ワルいりょうりです!」
 美女(?)姿からぽよぽよボディのナニワルックに戻ったヤングの『デビキン式褒め言葉』に、エステレラは自慢げに胸を張って応じる。ワルさを示せる魔王は強い魔王なのである!
「トナカイザーさんもアクターさんも食べてる? おいしいわね♪」
「わあ、このスイーツ甘くておいしい!」
 たっぷりの生クリームに溺れるパンケーキ。
 白い薔薇の形のムース。
 赤いリボンをつけた雪だるま型のチーズケーキ。
 どれも甘くておいしくて、ワルの味。
 白い幸せ溢れる誕生日会を兼ねたクリスマスパーティには、沢山の花咲くような笑顔が幾重にも啓いて。
「ハッピーメリーバースデー!」
 いばらの声に、その掛け声いいねと、皆の声も重なった。
 ――ハッピーメリーバースデー!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

プリ・ミョート
【魔王国】
●アドリブ歓迎
●POW
●使用UC【ブギブギクッキングショー】
アル様の配下としては、力を貸さねえわけにはいかねえべ! デスさんの船とフカさんの瞬間移動でどばーんと出て、おらも「どっきりグッズ」を繰り出しながら派手に驚かせっべよ。シメはマオさんだべ! ひゅーや〜るー!!
打ち上げはむしろ料理の方を任せるべよ。おっかあ仕込みの田舎料理、秒で作ってやんべ、なんせ手足の数には自信あるしな。にしししし! みなさんもたらふく飲み食いしてくんろ!


アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】♢♡
ほほほ、エステレラさんは臣民から慕われているよですわね。
いえ、もちろん、助けますとも。わたくしの臣下を引き連れてね!
さあ、皆さん、参りましょうか。
●ドッキリ!
デスさんの船に乗り、フカヒレさんのUCにて【魔王国】の皆さんと登場です。鮫のクラッカーと共に『黄金の暴嵐』を発動。周囲一帯にド派手な黄金の雷が吹き荒れます。(あら不思議、敵味方識別可能なので会場の人員は勿論、建物や料理などにも被害0です。超高度な制御力です!)
●パーティー!
エステレラさんに誕生日の祝辞と共にプレゼントを手渡します。
礼儀としてびっくり箱ですが、中にはちゃんとしたブローチが入っています。


鬼鉄・マオ
【魔王国】アドリブ歓迎
ドッキリか。ウチのメンバーはこういうの得意そうだな。…私も、ビビらせるのは得意だ。
フロレムを背後に従えて、フカヒレのUCで瞬間移動し、デスの船の上で、フロレムの咆哮と私の【覇気】で【威圧】するぞ。
勇者の敵と言ったらドラゴンは必要だろ?……悪いがワイバーンで我慢してくれ。
さあ来い、羊ども。もこもこしてても容赦せんぞ。
勇者達が氷柱(演出)を使ってきたら、フロレムのミサイルで派手に破壊し、1番大きな氷柱をUCで粉砕して、氷の粒として辺りに降らせる。他のメンバーのドッキリの演出にもなるだろう。
パーティではたらふく酒を飲むぞ。領民たちと飲み比べでもしてみるか。


デス・ゲイザー
【魔王国】
●アドリブ歓迎
●POW
ドッキリだけでしたら問題はありませんね

まず私は使用UCで空飛ぶ巨大幽霊船に変身して魔王国の方々を乗せて登場しましょう。

自慢では無いですが私の船の姿は中々のホラーなので多少は怖さを感じるでしょう

必要とあらば魔王国のどなたかが私の船に内蔵されてるレーザーを使って驚かせてみてください。

その後のパーティは私は楽しみながら【優しさ】を込めてお料理を振る舞いましょう


フカヒレ・フォルネウス
【魔王国】
アドリブ連携歓迎

フッ。同じ猟兵であるエステレラさんの頼み。
そして我らが王アルテミシア様の命とあらば、喜んで馳せ参じましょう。

……ふむ、ドッキリ。ならば初動はお任せあれ。
幽霊船に変身したデスさんに魔王国の参加メンバーたちと搭乗して、と。
出でよ、《鮫喰場》!
パーティ会場に適応した鮫を伴って、周辺地域一帯を操作。
会場のど真ん中へ、船ごと瞬間移動します。
魔王国、推参! と鮫がクラッカーのようにパーンと紙吹雪を吐き出しさせ、デスさんのレーザー砲をサーチライトのように振り回しましょう。

あとのドッキリは皆さんが披露してくださるとして、事後の立食パーティも楽しませてもらいましょう。ワルークリスマス!




「ほほほ、エステレラさんは臣民から慕われているようですわね」
「ああ! あなたは!!」
 グリモアベースに現れた、豪奢な姿。美しい金の巻毛を肩に払ったアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)の姿にエステレラは目を丸くした。
 アルテミシアとは今年、夏の魔王の座を掛けて競い合った――いわば好敵手だ。しかし、率いる国は違えど、勇者に狙われる魔王同士。
「もちろん、助けますとも。わたくしの臣下を引き連れてね!」
 微笑んだアルテミシアに、エステレラは拝まんばかりに目を輝かせた。
 なんと頼もしい援軍なのだろうか……!
「フッ、初動は僕にお任せください」
「ええ、頼みましたわ、フカヒレさん」
「御意」
 我らが王アルテミシア様の命とあらば、そして同じ猟兵の頼みならば。
 深くアルテミシアへと頭(こうべ)を垂れたフカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)は、デビルキングワールドへと転送されると片手を前へと突き出し『力ある言葉』を放った。
「出でよ、《鮫喰場(シャークラッシュ・テリトリー)》!」
 白い物で溢れているパーティ会場に似合いの白い鮫たち(パーティ会場が可愛かったせいで花飾りとかが着いている)が鋭い牙を見せながら召喚されれば、黒い大きな『ひとつ目』が『声』を発した。
「御身の艦は私が」
「お願いしますわ、デスさん」
 鷹揚に顎を引いたアルテミシアに目礼を返したデス・ゲイザー(「無」が生んだ癒し系目玉モンスター・f34836)の身が、形を変える。みるみる大きく膨らんで――膨らむ過程で別の形、巨大な幽霊船へと変化した。
「さあ皆さん、参りましょうか」
 フカヒレに手を預け、魔王アルテミシア、そしてアルテミシア率いる魔王国の面々は幽霊船へと乗り込んだ。

「……ん?」
「どうした? 魔王様が戻ってきたのか?」
「いや、なんか、急に曇った?」
 言われてみれば、急に影がさした。
 確認しようと空を見上げれば、浮かぶ不吉な黒。
「ゆ、幽霊船!?」
 ついさっきまではなかったはずだ。いつの間に現れたのだろうか。
 恐ろしさを溢れさせるそれがそこにあるだけでも驚きだが、それは威嚇するかのようにレーザーを放った。――会場が危なくならない、サーチライトのように辺りをグルグルと派手に賑わしているのだが、驚いた勇者は腰を抜かしたようだ。
『魔王国、推参!』
 幽霊船に付き添う鮫たちが派手に紙吹雪を舞わせると、黄金の雷が吹き荒れる。
「さあ! わたくしが参りましたわ!」
 凱旋をする王者が如き佇まいで、吹き荒れる雷の中で自信に溢れた声が高らかに響く。
 降り注ぐ雷は多いが、あんぐりと口を開けて固まっているヒーローアクターや会場に被害は出ておらず、ひょっこりとゲートを潜って戻ってきたエステレラは「わあ、きれいです!」とぴょんこと跳ねた。
 雷の合間にポロポロと黒い箱が幽霊船から落とされる。なんだろうと手にしたヒーローアクターたちは、わあ! と声を上げて箱を放り投げた。プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)の『どっきりグッズ』だ。
「シメはマオさんだべ!」
 プリの言葉を背に、何かが幽霊船の上で羽ばたいた。
「鳥、か……?」
「いや、あれは……!」

 ――――――――――――――!!!!!!

 ドラゴンだ、と誰かが口にする前に響いた甲高い咆哮に、ヒーローアクターたちは耳を塞ぐ。
「さあ来い、羊ども。私たちは魔王アルテミシアの率いる魔王国だ」
 もこもこの羊でも容赦はせんぞ。
 幽霊船から睥睨してくるマオに、勇者たちはくっと汗を拭う(仕草をするが、もこもこなので実際に汗が流れている訳ではない)。
「他国の援軍か。まとめて相手をしてやる!」
 勇者(ヒーローアクター)が吠える。
 ジャーンと勇者らしいBGMが突如流れ始め、それに合わせて幽霊船に氷柱が立った。
「ふっ、甘い!」
「ひゅー、や~るー!」
 氷柱をワイバーン『フロレム』のミサイルで破壊し、一番大きな氷柱へ思いっきり金属バットを叩きつけた!
 驚愕する(演技をする)勇者。
 キラキラと降り注ぐ氷粒に瞳を輝かせるエステレラ。
 こうして多くの勇者たちは『改心』したのであった。

「やはり、ワルはさいごにかつのですね」
「ええ、そうですわ。エステレラさん」
「わたくしももっとつよくなれるよう、しょうじんいたします」
「おーい、おっかあ仕込みの田舎料理だけども、できたべー」
「いなかりょうり! どんなたべものでしょう!?」
「お取り分けしますね」
 箱入り魔王の娘だったエステレラには馴染みの無い料理ばかり。プリが作る度にどんなお味がするのでしょうと目を輝かせるエステレラに、デスは食べやすいように小皿に載せた料理を差し出してくれる。
「うん、うん。デスさんの料理はいつもながら美味しいですね」
「おーい、誰かー。酒をいっしょに飲まないかー?」
 フカヒレとマオも楽しく過ごせているようだ。
 ワルークリスマスとデビルキングワールドらしい声がけに、領民たちも真似してワルークリスマスと声を掛け合っている。
「と、忘れるところでしたわ」
 ――エステレラさん。
 改めて名を呼ばれ、プリの料理をおいしいですと頬張っていたエステレラが顔を上げる。
「お誕生日、おめでとうございます」
「ありがとうございま――ひゃっ」
 差し出された小箱を受け取れば、ぽんっと紙吹雪を降らすのはお約束。
 びっくりしましたと目を丸くしたエステレラが箱を覗き込めば、中に鎮座したブローチが出迎えて。
「すてきなたんじょうびになりました!」
 笑顔とともに、ワルークリスマスを唱えるのだった。

 ――ワルークリスマス。魔王国に栄光あれ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】♢
すごいねー量産型勇者だ
あっ、でもふわふわもこもこで可愛いね
あとでもふもふさせてもらえないかなー

まずは紅い蝶-Phantomを周囲にひらひら遊ばせておく
こちらに向かってきた勇者たちに蝶がぴとっと触れた瞬間、UC発動
勇者たちをぐるんぐるんに縛っちゃうよー
蝶が鎖に変わるなんてびっくりでしょ?

仕事が終わればお楽しみのパーティ
豪華な料理やスイーツの数々に胸躍る
さすが魔王様、料理もラスボス級だなぁ
映えな料理を写真に収めつつ次々と食べていく
見てみて、ケーキの上にサンタ帽被った悪魔の砂糖菓子が乗ってるよ
ただの雑談なノリで梓に話しかけたら
料理男子のスイッチが入っちゃったっぽい


乱獅子・梓
【不死蝶】♢
勇者が群れを成して攻めてくるって何だかすごいワードだな…
でも基本的には数が多いほうが有利だし理に適っている気もする

UC発動し、可愛らしいミニドラゴンたちを召喚
流石にでかいドラゴンたちが暴れたら
びっくりじゃ済まなさそうだからな
まずはミニドラゴンたちが恐れ慄くようなフリをする
勇者たちが油断したところで
大声で鳴き声をあげたり、ブレスを放ったりしてびっくりさせるぞ

綾は見るからにテンション上がっているが
俺も実は結構楽しみだった立食パーティ
沢山の料理が並んでいるんだ、参考にさせてもらおう
ほほう、何だかハロウィンとクリスマスを合わせたような飾り付けだな
なるほどこういうのもありだな…




 魔王と勇者。それは切り離して説明の出来ない仲である。
 勇者と言えば、弱きを助け悪しきを挫く正義の味方である。しかしそれは、他の世界でなら、の話だ。デビルキングワールドでは逆になる。良い子の悪魔たちで溢れたデビルキングワールドの魔王たちはワルを目指す良い子で、勇者は他人の家のタンスも勝手に開ければツボも割るアクである。
 その勇者が群れでやってきたのだ。気の弱い魔王など震え上がってしまう。
 けれど魔王は国を作り民を大切にし、家臣に囲まれる。勇者が簡単に勝つには、群れで来るのが一番手っ取り早い。
 ――なんだかすごいパワーワードだけれど。理には適っている。
「わー、量産型勇者だ。ふわふわもこもこで可愛いね」
 なるほどな、なんて乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が考えている間に、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は『改心させたら』もふもふさせてもらえないかなぁなんて笑っている。
 羊がいっぱいという可愛い絵面ではあるが、依頼は依頼。さくっと驚かせちゃおうかーと軽い調子で綾は紅い蝶――『Phantom』をひらりと周囲に遊ばせた。
「む。新しい魔王の一味(ゲスト)だな!」
 綾たちに気付いた勇者(ヒーローアクター)たちが勇ましく剣を構える。
 構えるが、可愛い。
(でかいドラゴンを暴れさせたらびっくりじゃ済まなさそうだな)
 もこもこの可愛い勇者でも怖いと泣いていたグリモアベースにいた魔王の姿を思えば、何かコイツ等もそんな気がする……と見てしまう。できるだけ小さなドラゴンよ応じろと念じ、梓は可愛らしいミニドラゴンたちを召喚した。
「ど、ドラゴンを召喚した、だと!?」
「いや、よく見ろ。俺たちを恐れているようだぞ」
 ドラゴンたちは勇者たちに恐れおののいているようだ。顔を見合わせた勇者たちはキリッと眉をあげると、突撃ー! と一斉に駆けてきた。
「お、きたきた」
 勇者たちが駆けてきても、綾は涼しい顔。
 それもそのはず。何故なら『罠』は既に用意済みだから。
「な!?」
 ひらりと舞った蝶がぴとりと勇者に触れた途端、綾のユーベルコードが発動する。《ロンサム・ファントム》――蝶が鎖へと変じ、勇者の身体を絡め取る。
 それに合わせ、ミニドラゴンたちが大きな声で鳴いてブレスを吐いた。自分たちに震えるような可愛いミニドラゴンだと思っていた勇者たちは、これにびっくり!
「あはは、びっくりした?」
 わあと悲鳴を上げ尻もちをついた勇者たちに、綾は楽しげに笑いかけていた。

 すっかり『改心』した様子の勇者たちが、楽しげに料理を食べている。その姿を視界に収めながら、綾も料理やスイーツの間を動き回る。
「さすが魔王様、料理もラスボス級だなぁ」
 ちょっと怖そうなデビルキングワールドらしいものから、小さな魔王らしく愛らしいものまで。たくさんの料理を映えるなぁと口にしながらスマホで写真を撮っては舌鼓。
 綾はいつも楽しそうだなと眺めた梓も、その傍らでしっかりと楽しんでいる。実は結構楽しみだったのだ。どんな料理があるのかな、と。
「見てみて、ケーキの上にサンタ帽被った悪魔の砂糖菓子が乗ってるよ」
「ほほう、何だかハロウィンとクリスマスを合わせたような飾り付けだな」
 梓の顔が面白がるような、それでいて真剣な何かを秘めたような表情になる。
 綾があっと思う間にも、梓は色んな角度から料理を確認し、そして一口食べてはしきりに頷く。
「隠し味はラズベリーソースだろうか。なるほどこういうのもありだな……」
 どうやら料理男子のスイッチが入ってしまったみたい。
 梓の興味を引きそうな料理を探しに、綾はテーブルの間を何度も行き来して回る。だってそうしておけば、家でも美味しいご飯が作ってもらえるからね!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクアス・サラザール
あぁ、陛下!なんとおいたわしい!
ですが心配はいりませんよ陛下
陛下は私と言う勇者を改心させた魔王の中の魔王!
確かな実績がここにあるのです!
あの程度のモフモフを改心させることなど造作もありませんよ
さぁ、陛下。今こそ貴方の右腕にご命令を!

――魔王陛下の御為ならば
陛下にご命令頂けたならば、分身体のソーダ水と共に勇者に襲い掛かります
まぁ、どっきりですのでフリですが
剣戟の一つでも披露できれば、余興にはちょうど良いのでは
プロの方々にはヒーローショーさながらのやられっぷりをお見せいただきましょう!

無事に驚いて頂けたら、共にパーティを楽しみたいですね
分身が残っていたらそのまま軽く給仕もしましょうか
残ってなくてもするんですが
皆様のお邪魔にならない程度にお勤めしましょう
主の庭で催されるパーティならば、配下の俺も喜んで働きますとも
エステレラ様が存分に楽しめるように、ね

あぁ、そうだ、大切なことを言いそびれておりました
お誕生日おめでとうございます、エステレラ様




「あぁ、陛下! なんとおいたわしい!」
 ルクアス・サラザール(忠臣ソーダ・f31387)は嘆いた。嘆かずにはいられない。
 何故なら『俺』の可愛い魔王陛下がハラハラと涙を零しているからだ。
 いつもは健康的に薔薇色に染まる頬は青褪めて、白い肌を際立たせている。そんな陛下も愛らしいのだが、ルクアスは忠臣。そしてエステレラに改心させられた勇者であり、魔王の右腕。
「陛下は私と言う勇者を改心させた魔王の中の魔王!」
 あの程度のモフモフを改心させることなど造作もありませんよと優しく諭せば、涙に濡れた星の色が見上げてくる。心臓を抑えたくなる気持ちを我慢して、心の中で連続でシャッターを切り、ルクアスは頼りになる従者の顔で告げるのだ。
「さぁ、陛下。今こそ貴方の右腕にご命令を!」
「そうですね、ルア。わたくしにはあなたがいます。みんながいます。ゆうしゃにはまけません! ルア、めいれいです! わたくしのためにゆうしゃをたおすのです!」
 王笏を高く上げた主の命(めい)。
 ――《魔王陛下の御為ならば(オーダーコール)》。
 主の望みを全力で叶えるのが、配下の務め。主の命令という活力を得たルクアスはソーダ水の分身体とともに前へ出る!
(まぁ、どっきりですのでフリですが)
 目配せは一瞬。心得たと言わんばかりの視線に合わせて剣を振るえば――。
「うわああああ」
「くっ、こいつ強いぞ……! さすがは魔王の右腕!」
 ルクアスと分身体に、勇者たちはバッサバッサと倒れていく。
「ルア! ルアはすごいです!」
「陛下が命令を下さったおかげです」
 心地の良い声に振り返り微笑めば、主は心底嬉しそうにピョコピョコと跳ねてくれた。
「さあ、これで陛下を脅かす者はおりません。陛下の御威光に勇者たちも改心したようですよ」
「よかったです。わたくしのおしろはまもられましたね」
 皆さんも、ありがとう。
 来てくれた猟兵たちひとりひとりへと視線を送り、エステレラはにっこりと微笑む。ああ陛下。陛下の笑顔が眩しい。やはり陛下は笑っている姿が一番いい。
「では陛下。パーティをお楽しみください」
 私は客人たちのもてなしをと御前を辞し、分身体とともに来客たちの給仕に回る。主の庭で催されるパーティならば、主のために働くのが配下のなすべきこと。客人たちが気持ちよく楽しめて、素敵な魔王国だと、素敵な魔王だと思われればこの上ない成果だろう。主の佳い所を他人に知られるのは少し嫌だが――それでも。
(エステレラ様が幸せならば)
 パーティを楽しむエステレラの笑顔を視界に収め、ルクアスは喜びを噛み締めた。来年も再来年も、この笑顔を守ろう。
「エステレラ様」
「はい、ルア」
「お誕生日おめでとうございます」
 真白に青褪めていた表情は、もうそこにはない。
 ありがとうございますと微笑んだ頬は、薔薇色に染まっていた。


 どっきりの優勝者?
 それは、もちろん。
「ぜんいん、ゆうしょうです!」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月31日


挿絵イラスト